説明

導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデンサ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法

【課題】高導電率な導電性高分子材料を提供するための導電性高分子懸濁液とその製造方法を提供し、特に低ESRの固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなるドーパントを含む水系溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを酸化剤を用いて化学酸化重合して、導電性高分子懸濁液を製造する。または、低分子有機酸またはその塩からなるドーパントを含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマーを酸化剤を用いて化学酸化重合して、導電性高分子を合成し、前記導電性高分子を精製
し、低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなる酸成分を含む水系溶媒中で、前記精製された導電性高分子と酸化剤とを混合して、導電性高分子懸濁液を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子懸濁液およびその製造方法、導電性高分子材料、電解コンデン
サ、ならびに固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性有機材料は、コンデンサの電極、色素増感太陽電池などの電極、エレクトロルミ
ネッセンスディスプレイの電極などに用いられている。このような導電性有機材料として
、ピロール、チオフェン、アニリンなどを重合して得られる導電性高分子が知られている

【0003】
このような導電性高分子は、一般には水性溶媒中の分散体(懸濁液)もしくは溶液、ま
たは有機溶媒中の溶液として提供されており、使用時に溶媒を除去して導電性高分子材料
として使用される。しかし、導電性高分子の種類が同じであっても、分散体の状態によっ
て得られる導電性高分子材料の物性が異なることから、その分散体の製造方法に関して、
種々検討がなされている。
【0004】
特許文献1には、ポリチオフェンの溶液(分散体)およびその製造方法、ならびにおよ
びプラスチック成形体の帯電防止処理への使用に関する技術が開示されている。このポリ
チオフェンの分散体は、分散媒体としての水または水混和性有機溶媒と水の混合物と、3
,4−ジアルコキシチオフェンの構造単位からなるポリチオフェンと、2,000〜50
0,000の範囲の分子量を有するポリスチレンスルホン酸由来のポリ陰イオンとを含ん
でなる。そして、ポリチオフェンは、2,000〜500,000の範囲の分子量を有す
るポリスチレンスルホン酸のポリ陰イオンの存在下で酸化化学重合により得られたもので
ある。これにより、透明な帯電防止膜が形成できるとされている。
【0005】
特許文献2には、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンとの複合体
の水分散体およびその製造方法、ならびにその水分散体を含むコーティング用組成物およ
びその組成物が塗布された透明導電膜を有する被覆基材に関する技術が開示されている。
この水分散体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で、ペルオ
キソ二硫酸を酸化剤として用い、水系溶媒中で重合させることで得られたものである。ま
たは、この水分散体は、3,4−ジアルコキシチオフェンを、ポリ陰イオンの存在下で、
酸化剤を用いて、水溶性の無機酸および有機酸からなる群より選択される酸を添加し、反
応溶液のpHを低下させて、水系溶媒中で化学酸化重合させることで得られたものである
。これにより、透明性に優れた導電性薄膜を形成することができるとされている。
【特許文献1】特開平7−90060号公報
【特許文献2】特開2004−59666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および2に記載された方法のように、ドーパントとして作用するポ
リ陰イオン存在下で、1段階で3,4−ジアルコキシチオフェンを酸化化学重合する方法
では、ポリ陰イオンの分子鎖長が大きいため、微粒子で構成されるポリチオフェン溶液を
得ることは困難である。なお、特許文献1および2で使用しているポリスチレンスルホン
酸(ポリ陰イオン)は分子量が2,000以上とされていることから、その重量平均分子
量は当然に2000よりも大きく、一般的には10000以上と考えられる。また、ドー
プ率の制御も困難であり、未ドープのポリ陰イオン、つまり導電性に寄与しないポリ陰イ
オンが余剰に存在してしまい、より高導電率であるポリマー材料を得る製造方法としては
、十分な方法とは言い難い。
【0007】
また、特許文献1に記載された方法で得られた導電性高分子膜は、帯電防止材料として
は十分な導電率でも、例えばコンデンサの固体電解質として用いた場合には、低ESR化
の要求を十分に満足させる導電率を実現することは困難である。すなわち、帯電防止膜の
表面抵抗率は一般に105〜1014Ω/□と分類されており、導電性が高すぎると激しい
静電気放電を起こす可能性があることから、帯電した物体の静電気をすみやかに消散させ
られるほどの導電性を有しないと考えられている。従って、帯電防止膜として使用可能な
材料は、コンデンサの固体電解質としては抵抗が高く、低抵抗の要求を満たせない。加え
て、余剰なポリ陰イオンが含まれた固体電解質を含むコンデンサは、信頼性、特に高湿度
雰囲気化での特性が劣る欠点がある。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、具体的には、高導電率な導電性高
分子材料を提供するための導電性高分子懸濁液とその製造方法を提供し、特に低ESRの
固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の導電性高分子懸濁液の製造方法(1)は、
低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなるドーパント(D1)を含む水系溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマー(M1)を酸化剤(O1)を用いて化学酸化重合して、導電性高分子(P1)を合成する工程と、
エリスリトールおよびペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種を混合する工程と
を有する。
【0010】
本発明の導電性高分子懸濁液の製造方法(2)は、
(a)低分子有機酸またはその塩からなるドーパント(D2)を含む溶媒中で、導電性高
分子を与えるモノマー(M2)を酸化剤(O2)を用いて化学酸化重合して、導電性高分
子(P2)を合成する工程と、
(b)前記導電性高分子(P2)を精製する工程と、
(c)低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸も
しくはその塩からなる酸成分を含む水系溶媒中で、前記精製された導電性高分子(P2)
と酸化剤(O3)とを混合して、導電性高分子懸濁液を得る工程と
を有する。
【0011】
本発明の導電性高分子懸濁液は、上記の方法により得られるものである。本発明の導電
性高分子材料は、上記導電性高分子懸濁液から溶媒を除去して得られるものである。
【0012】
本発明の電解コンデンサは、上記導電性高分子懸濁液を電解液として含むものである。
電解コンデンサである。本発明の固体電解コンデンサは、上記導電性高分子材料を含む固
体電解質層を有するものである。
【0013】
本発明の第一の固体電解コンデンサの製造方法は、
弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層上に、上記導電性高分子懸濁液を塗布または含浸し、該導電性高分子懸濁液
から溶媒を除去して、前記導電性高分子材料を含む固体電解質層を形成する工程と
を有する。
【0014】
本発明の第二の固体電解コンデンサの製造方法は、
弁作用金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層上で、導電性高分子を与えるモノマー(M3)を化学酸化重合または電解重
合して、導電性高分子(P3)を含む第一の固体電解質層を形成する工程と、
前記第一の固体電解質層上に、上記導電性高分子懸濁液を塗布または含浸し、該導電性高
分子懸濁液から溶媒を除去して、第二の固体電解質層を形成する工程と
を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高導電率な導電性高分子材料を提供するための導電性高分子懸濁液と
その製造方法を提供し、特に低ESRの固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供す
ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の導電性高分子懸濁液の製造方法(1)に関して説明する。
【0017】
導電性高分子懸濁液の製造方法(1)では、低分子有機酸もしくはその塩、または重量
平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなるドーパント(D1)を含む
水系溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマー(M1)を酸化剤(O1)を用いて化学酸
化重合して、導電性高分子(P1)を合成する。この工程を行うことで、高導電率な導電
性高分子材料を提供するための導電性高分子懸濁液となる。
【0018】
水系溶媒としては、水が好ましく、水と水溶性の有機溶媒の混和溶媒でもよい。水溶液
の有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸等のプロト
ン性極性溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル
、アセトン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
【0019】
モノマー(M1)としては、導電性高分子を与えるモノマーから適宜選択することがで
きる。モノマー(M1)の具体例としては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその
誘導体が挙げられる。ピロールの誘導体の具体例としては、3−ヘキシルピロール等の3
−アルキルピロール、3,4−ジヘキシルピロール等の3,4−ジアルキルピロール、3
−メトキシピロール等の3−アルコキシピロール、3,4−ジメトキシピロール等の3,
4−ジメトキシピロールが挙げられる。チオフェンの誘導体の具体例としては、3,4−
エチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体、3−ヘキシルチオフェン等の3−アルキ
ルチオフェン、3−メトキシチオフェン等の3−アルコキシチオフェンが挙げられる。ア
ニリンの誘導体の具体例としては、2−メチルアニリン等の2−アルキルアニリン、2−
メトキシアニリン等の2−アルコキシアニリンが挙げられる。中でも、下記式(1)で示
される3,4−エチレンジオキシチオフェンまたはその誘導体が好ましい。3,4−エチ
レンジオキシチオフェンの誘導体としては、3,4−(1−ヘキシル)エチレンジオキシ
チオフェン等の3,4−(1−アルキル)エチレンジオキシチオフェンが挙げられる。モ
ノマー(M1)は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもでき
る。
【0020】
【化1】

【0021】
溶媒中のモノマー(M1)の濃度は、高い導電率を有する導電性高分子(P1)を得る
ためには、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。
【0022】
ドーパント(D1)としては、低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が
2,000未満のポリ酸もしくはその塩を用いる。このような分子量の小さいドーパント
(D1)を用いることで、分散粒子の粒子径が小さい懸濁液を得ることができる。そして
、分散粒子の粒子径が小さい懸濁液から溶媒を除去して得られる導電性高分子材料は、高
密度となることから高導電率を有するようになる。また、分散粒子の粒子径が小さい懸濁
液は、コンデンサ電極に用いる多孔質体の細孔への侵入しやすくなるため、細孔内部の固
体電解質層との接触部が増加し、抵抗低減に寄与する。
【0023】
ドーパント(D1)となる低分子有機酸またはその塩の具体例としては、アルキルスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カン
ファースルホン酸およびそれらの誘導体等、ならびにそれらの鉄(III)塩が挙げられ
る。低分子有機酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ア
ルキルスルホン酸の誘導体の具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸が挙げられる。ベンゼンスルホン酸の誘導体の具体例としては、フェノールス
ルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙
げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体の具体例としては、1−ナフタレンスルホン酸
、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレ
ントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸が挙げられる。アントラキノ
ンスルホン酸の誘導体の具体例としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキ
ノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキ
ノン−6−スルホン酸が挙げられる。中でも、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレ
ンスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、
p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸またはこれらの鉄(III)塩が好まし
い。重合物の高結晶化への影響が大きいことから、カンファースルホン酸がさらに好まし
い。カンファースルホン酸は、光学活性体でもよい。
【0024】
ドーパント(D1)となるポリ酸の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸;ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸;
およびこれらの構造単位を有する共重合体が挙げられる。ポリ酸の塩の具体例としては、
ポリ酸の、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。中で
も、下記(3)で示される構造単位を有するポリスチレンスルホン酸が好ましい。
【0025】
【化2】

【0026】
ポリ酸またはその塩の重量平均分子量は、分散粒子の粒子径が小さい懸濁液を得る観点
から、2,000未満であるが、1,800以下が好ましい。また、ポリ酸またはその塩
は、それを構成する単量体の2量体以上であればよい。
【0027】
ドーパント(D1)は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いること
もできる。
【0028】
ドーパント(D1)を過剰に使用する導電率が損なわれてしまう場合があることから、
ドーパント(D1)の使用量は、モノマー(M1)1重量部に対して0.1〜50重量部
が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましい。
【0029】
酸化剤(O1)としては、特に制限はなく、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(
III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n
=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和
物(n=1,6)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩
化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II
)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、オゾ
ン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和
物、臭素、ヨウ素;p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩を
用いることができる。中でも、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、または過硫酸塩
が好ましく、過硫酸アンモニウムまたはp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ま
しい。酸化剤(O1)は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いること
もできる。
【0030】
酸化剤(O1)の使用量は、高い導電率を有する導電性高分子(P1)を得るためには
、モノマー(M1)1重量部に対して0.5〜100重量部が好ましく、1〜30重量部
がより好ましい。
【0031】
この化学酸化重合は、界面活性剤の存在下で行うこともできる。モノマー(M1)は水
への溶解性が低いことから、溶媒として水を用いた場合に界面活性剤を用いることで、モ
ノマー(M1)の分散性を向上させることができる。界面活性剤は、陰イオン界面活性剤
でも、陽イオン界面活性剤でも、両性イオン界面活性剤でも、非イオン界面活性剤でもよ
く、ドデシルベンゼンスルホン酸またはポリエチレングリコールが好ましい。界面活性剤
は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0032】
界面活性剤の使用量は、高い導電率を有する導電性高分子(P1)を得るためには、モ
ノマー(M1)1重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部が
より好ましい。
【0033】
化学酸化重合中または後に、エリスリトールおよびペンタエリスリトールから選択され
る少なくとも1種を混合する工程をさらに有することが好ましい。エリスリトールまたは
ペンタエリスリトールの存在下で化学酸化重合を行うことで、導電性高分子懸濁液中の導
電性高分子(P1)の近傍に存在する酸成分(未ドープのドーパントアニオン(抵抗成分
))と相互作用することで、導電性高分子(P1)粒子間の抵抗を下げるとともに、導電
性高分子(P1)の密度が増加するため、さらなる高導電率化が可能となる。
【0034】
エリスリトールは、例えば、ソルビトール、マルチトースなど多価アルコールに比較し
て結晶性が高いため、吸湿性が小さく、取扱いが容易である観点から好ましい。また、エ
リスリトールは、甘味料として用いられる食品添加物として知られており、安全面、安定
性にも優れており、また水に対する溶解度においても、例えば、エチレングリコール、グ
リセリンなどの非水溶媒に比較して、数倍高く添加量の設計自由度が高い利点がある。
【0035】
ペンタエリスリトールは、加熱すると徐々に昇華し、融点以上の加熱で脱水して重合す
る特徴を有している。これによって、有機材料の物性が変化し、密度、強度が向上する利
点を有する。このような反応性は、その化学構造に起因しており、例えばエリスリトール
、ソルビトールのような化学構造では、起こり難い。
【0036】
エリスリトールまたはペンタエリスリトールは、導電性高分子懸濁液中の導電性高分子
(P1)の濃度以上の濃度となる量を混合することによって、より大きな効果を奏する。
なお、混合する量の上限は、導電性高分子懸濁液に溶解する量であれば、特に制限されな
い。
【0037】
モノマー(M1)を化学酸化重合して得られる導電性高分子(P1)は、モノマー(M
1)に由来する構造単位を有する。例えば、モノマー(M1)として、式(1)で示され
る3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いた場合、得られる導電性高分子(P1)は
、下記式(2)で示される構造単位を有する。
【0038】
【化3】

【0039】
化学酸化重合は、攪拌下で行うことが好ましい。化学酸化重合の反応温度は、特に限定
されないが、使用する溶媒の還流温度を上限として行い、0〜100℃が好ましく、10
〜50℃がより好ましい。反応温度が適正でないと、得られる導電性高分子(P1)の導
電性が低下する場合がある。化学酸化重合の反応時間は、酸化剤(O1)の種類や使用量
、反応温度、攪拌条件などに依存するが、5〜100時間程度が好ましい。
【0040】
また、イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行うことも、酸化剤由来の遊離イオン
成分を除去する方法として有効である。
【0041】
得られた導電性高分子懸濁液には、結着作用として機能する樹脂を添加してもよい。こ
の樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、
ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられる。この樹脂の添加量は、導電性を
損なわない観点から、導電性高分子懸濁液100重量部に対して0.01〜20重量部が
好ましい。
【0042】
以上のような導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で得られる導電性高分子懸濁液は、
通常は濃青色を呈している。
【0043】
本発明の導電性高分子懸濁液の製造方法(2)に関して説明する。
【0044】
導電性高分子懸濁液の製造方法(2)では、まず、低分子有機酸またはその塩からなる
ドーパント(D2)を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマー(M2)を酸化剤(
O2)を用いて化学酸化重合して、導電性高分子(P2)を合成する(工程(a))。こ
の工程(a)を行うことで、重合度が高く、結晶化度の高い導電性高分子(P2)を得る
ことができる。
【0045】
この反応を行う溶媒は、モノマー(M2)との相溶性が良好な溶媒を選定することが好
ましく、水でも有機溶媒でも水混和有機溶媒でもよい。有機溶媒の具体例としては、メタ
ノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられる。有機溶
媒は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも、
エタノールまたはエタノールと水との混合溶媒が好ましい。
【0046】
モノマー(M2)としては、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で用いるモノマー(
M1)と同様のものを用いることができる。溶媒中のモノマー(M2)の濃度は、過剰で
あっても工程(b)で除去することが可能なため特に制限はないが、高い導電率を有する
導電性高分子(P2)を収率良く得るためには、0.5〜70重量%が好ましく、1〜5
0重量%がより好ましい。
【0047】
ドーパント(D2)としては、低分子有機酸またはその塩を用いる。低分子有機酸また
はその塩としては、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)でドーパント(D1)として用
いる低分子有機酸またはその塩と同様のものを用いることができる。また、酸化剤(O2
)の機能を兼ねる性質を有していることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)も好
ましい。ドーパント(D2)の使用量は、過剰に添加しても工程(b)で除去することが
可能なため特に制限はないが、高い導電率を有する導電性高分子(P2)を得るためには
、モノマー(M2)1重量部に対して1〜100重量部が好ましく、1〜20重量部がよ
り好ましい。
【0048】
酸化剤(O2)としては、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で用いる酸化剤(O2
)と同様のものを用いることができる。特に、ドーパント(D2)を兼ねる性質を有して
いることから、p−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましい。酸化剤(O2)の
使用量は、過剰に添加しても工程(b)で除去することが可能なため特に制限はないが、
より穏やかな酸化雰囲気で反応させて高導電率の重合体を得るためには、モノマー(M2
)1重量部に対して0.5〜100重量部が好ましく、1〜40重量部がより好ましい。
【0049】
工程(a)は、界面活性剤の存在下で行うこともできる。界面活性剤は、導電性高分子
懸濁液の製造方法(1)で用いうる界面活性剤と同様ものを用いることができる。界面活
性剤の使用量は、過剰に添加しても工程(b)で除去することが可能なため特に制限はな
いが、モノマー(M2)1重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5
重量部がより好ましい。
【0050】
モノマー(M2)を化学酸化重合して得られる導電性高分子(P2)は、モノマー(M
2)に由来する構造単位を有する。
【0051】
化学酸化重合は、攪拌下で行うことが好ましい。化学酸化重合の反応温度は、特に限定
されないが、使用する溶媒の還流温度を上限として行い、0〜100℃が好ましく、10
〜50℃がより好ましい。反応温度が適正でないと、得られる導電性高分子(P2)の導
電性が低下する場合がある。化学酸化重合の反応時間は、酸化剤(O2)の種類や使用量
、反応温度、攪拌条件などに依存するが、5〜100時間程度が好ましい。なお、導電性
高分子(P2)が生成すると、反応液が濃青色に変化する。
【0052】
導電性高分子懸濁液の製造方法(2)では、次いで、導電性高分子(P2)を精製する
(工程(b))。具体的には、化学酸化重合して得られた導電性高分子(P2)を含む反
応液から、導電性高分子(P2)を分離し、洗浄することで、ドーパント(D2)、モノ
マー(M2)、酸化剤(O2)および反応後の酸化剤を除去する。この工程(b)を行う
ことで、高純度の導電性高分子(P2)を得ることができる。
【0053】
反応液から導電性高分子(P2)を分離する方法としては、ろ過法、遠心分離法などが
挙げられる。
【0054】
洗浄溶媒は、導電性高分子(P2)を溶解することなく、モノマー(M2)および/ま
たは酸化剤(O2)を溶解可能な溶媒を用いて行うことが好ましい。洗浄溶媒の具体例と
しては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられ
る。洗浄溶媒は、1種を用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる
。洗浄の程度は、洗浄後の洗浄溶媒のpH測定や比色観察を行うことにより、確認するこ
とができる。
【0055】
さらに、酸化剤(O2)由来の金属成分をより高度に除去することができることから、
導電性高分子(P2)を熱水洗浄および/または熱処理することが好ましい。熱処理の温
度は、導電性高分子(P2)の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃未満
で行うことが好ましい。また、イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行うことも、酸
化剤由来の金属成分を除去する方法として有効である。
【0056】
導電性高分子(P2)に含まれる不純物は、ICP発光分析やイオンクロマトグラフィ
ーなどにより定量可能である。
【0057】
導電性高分子懸濁液の製造方法(2)では、次いで、低分子有機酸もしくはその塩、ま
たは重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなる酸成分を含む水系
溶媒中で、精製された導電性高分子(P2)と酸化剤(O3)とを混合して、導電性高分
子懸濁液を得る(工程(c))。このような分子量の小さい酸成分を用いることで、分散
粒子の粒子径が小さい懸濁液を得ることができる。そして、分散粒子の粒子径が小さい懸
濁液から溶媒を除去して得られる導電性高分子材料は、高密度となることから高導電率を
有するようになる。また、分散粒子の粒子径が小さい懸濁液は、コンデンサ電極に用いる
多孔質体の細孔への侵入しやすくなるため、細孔内部の固体電解質層との接触部が増加し
、抵抗低減に寄与する。
【0058】
また、工程(c)では、酸成分が分散剤として作用するので、分散性の良好な導電性高
分子懸濁液を得ることができる。分散機構としては、少なくとも酸成分由来の陰イオンの
ドーピング作用が考えられる。
【0059】
水系溶媒としては、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で用いる水系溶媒と同様のも
のを用いることができる。
【0060】
水系溶媒中の導電性高分子(P2)の濃度は、0.1〜20重量%が好ましく、0.5
〜10重量%がより好ましい。
【0061】
酸成分としては、低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未
満のポリ酸もしくはその塩を用いることができ、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で
用いるドーパント(D1)と同様のものを用いることができる。酸成分の使用量は、導電
性高分子(P2)100重量部に対して20〜3,000重量部が好ましく、30〜1,
000重量部がより好ましい。
【0062】
酸化剤(O3)としては、導電性高分子懸濁液の製造方法(1)で用いる酸化剤(O1
)と同様のものを用いることができる。中でも、過硫酸アンモニウムまたは過酸化水素な
どが好ましい。酸化剤(O3)の使用量は、高い導電率を有する導電性高分子(P2)を
得るためには、導電性高分子(P2)1重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、
1〜30重量部がより好ましい。
【0063】
工程(c)の温度は、特に限定されないが、0℃〜100℃の範囲が好ましく、10℃
〜50℃がより好ましい。工程(c)の時間は、特に制限されないが、5〜100時間程
度である。
【0064】
工程(c)後に、前述したイオン交換処理を施すことがより好ましい。
【0065】
導電性高分子懸濁液の製造方法(1)と同様に、工程(c)中または後に、エリスリト
ールおよびペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種を混合する(工程(d)
)を行うことが好ましい。工程(d)を行うことで、導電性高分子懸濁液中の導電性高分
子(P2)の近傍に存在する酸成分(未ドープのドーパントアニオン(抵抗成分))と相
互作用することで、導電性高分子(P2)粒子間の抵抗を下げるとともに、導電性高分子
(P2)の密度が増加するため、さらなる高導電率化が可能となる。
【0066】
エリスリトールまたはペンタエリスリトールは、導電性高分子懸濁液中の導電性高分子
(P2)の濃度以上の濃度となる量を混合することによって、より大きな効果を奏する。
なお、混合する量の上限は、導電性高分子懸濁液に溶解する量であれば、特に制限されな
い。
【0067】
導電性高分子懸濁液の製造方法(1)と同様に、得られた導電性高分子懸濁液には、他
の添加物として、結着作用として機能する樹脂を添加してもよい。この樹脂の添加量は、
ポリチオフェン懸濁液100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が導電性を損
なわない観点から好ましい。
【0068】
以上のような導電性高分子懸濁液の製造方法(2)で得られる導電性高分子懸濁液は、
分散粒子の粒子径が小さく、さらに導電性高分子の重合度、結晶化度および純度が高いこ
とから、高導電率を有するようになる。この導電性高分子懸濁液は、通常は濃青色を呈し
ている。
【0069】
本発明の導電性高分子懸濁液から溶媒を除去することで、導電性高分子材料を得ること
ができる。この導電性高分子材料は、高い導電率を有している。なお、この導電性高分子
材料は、導電性高分子の結晶化度が高く光を分散するため、透明性はなく、黒色に近い色
を呈している。
【0070】
溶媒の除去は、導電性高分子を乾燥することで行うことができる。乾燥温度は、導電性
高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃以下が好ましい。
【0071】
本発明の導電性高分子懸濁液は、電界コンデンサの電解液として用いることができる。
また、本発明の導電性高分子懸濁液から溶媒を除去して得られた導電性高分子材料を、固
体電解コンデンサの固体電解質層として用いることができる。導電性高分子懸濁液に含ま
れる導電性高分子や、導電性高分子懸濁液から溶媒を除去することで得られる電性高分
子材料の導電性が高いことから、低ESRのコンデンサを得ることが可能となる。さらに
、導電性高分子の結晶化度が高いことから、酸素バリア性も相関して高く、コンデンサの
信頼性の向上も十分見込まれる。
【0072】
図1に、本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す模式的断面図を示
す。この固体電界コンデンサは、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質層3および陰
極導体4がこの順に形成された構造を有している。
【0073】
陽極導体1は、弁作用金属の板、箔または線;弁作用金属の微粒子からなる焼結体;エ
ッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。弁作用金属の具
体例としては、タンタル、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよびこれらの
合金などが挙げられる。中でも、アルミニウム、タンタルおよびニオブから選択される少
なくとも1種の弁作用金属であることが好ましい。
【0074】
誘電体層2は、陽極導体1の表面を電解酸化させることで形成することができる層であ
り、焼結体や多孔質体などの空孔部にも形成される。誘電体層2の厚みは、電解酸化の電
圧によって適宜調整できる。
【0075】
固体電解質層3は、少なくとも、前述の導電性高分子懸濁液から溶媒を除去して得られ
る導電性高分子材料を含む。固体電解質層3の形成方法としては、誘電体層2上に、前述
の導電性高分子懸濁液を塗布または含浸し、その導電性高分子懸濁液から溶媒を除去する
方法が挙げられる。
【0076】
塗布または含浸の方法としては、特に制限はされないが、十分に多孔質細孔内部へ導電
性高分子懸濁液を充填させるために、塗布または含浸後に数分〜数10分放置することが
好ましい。塗布や浸漬を繰り返すこともできる。含浸は、減圧方式または加圧方式が好ま
しい。
【0077】
導電性高分子懸濁液からの溶媒の除去は、導電性高分子を乾燥することで行うことがで
きる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、熱による素
子劣化防止の観点から、上限温度は300℃未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾
燥温度によって適宜最適化する必要があるが、導電性が損なわれない範囲であれば特に制
限されない。
【0078】
さらに、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体からなる導電性重合体;二
酸化マンガン、酸化ルテニウムなどの酸化物誘導体;TCNQ(7,7,8,8−テトラ
シアノキノジメタンコンプレックス塩)などの有機物半導体を含んでいてもよい。
【0079】
例えば、固体電解質層3は、第一の固体電解質層3aと第二の固体電解質層3bの2層
構造とすることもできる。そして、誘電体層2上で、導電性高分子を与えるモノマー(M
3)を化学酸化重合または電解重合して、導電性高分子(P3)を含む第一の固体電解質
層を形成し、その第一の固体電解質層3a上に、前述の導電性高分子懸濁液を塗布または
含浸し、その導電性高分子懸濁液から溶媒を除去して、第二の固体電解質層3bを形成す
ることができる。
【0080】
モノマー(M3)として、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体から
選ばれる少なくとも1種を用いることができる。モノマー(M3)を化学酸化重合または
電解重合して導電性高分子(P3)を得る際に使用するドーパントとしては、アルキルス
ルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カ
ンファースルホン酸およびその誘導体等のスルホン酸系化合物が好ましい。ドーパントの
分子量としては、単量体から高分子量体まで適宜選択して用いることができる。溶媒とし
ては、水のみでもよく、水と水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒でもよい。
【0081】
第一の固体電解質層3aに含まれる導電性高分子(P3)と、第二の固体電解質層3b
に含まれる導電性高分子(P1)または(P2)は、同一種の重合体であることが好まし
い。
【0082】
陰極導体4は、導体であれば特に限定されないが、例えば、グラファイトなどのカーボ
ン層4aと、銀導電性樹脂4bとからなる2層構造とすることができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0084】
〔実施例1:製造方法(1)〕
モノマー(M1)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパント(
D1)としてのポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:1,800)を20重量%含
有する水溶液10gとを、水100ml中に投入して30分攪拌した。続いて、酸化剤(
O1)としての過硫酸アンモニウムを40重量%含有する水溶液を0.5ml滴下し、以
降10分間隔で6回に別けて滴下した(合計で3ml)後、室温で60時間攪拌して化学
酸化重合を行った。このとき溶液は、薄黄色から濃紺色へと変化した。
【0085】
得られたポリチオフェン懸濁液の粒径分布を、マイクロトラック法により測定した。図
2にその測定結果を示す。
【0086】
次いで、得られたポリチオフェン懸濁液を、ガラス基板上に100μl滴下し、恒温槽
中で125℃で15分乾燥した後、180℃で30分間処理して、導電性高分子層を形成
した。その後、四端子法で導電性高分子膜の表面抵抗(Ω/□)および膜厚を計測し、導
電率(S/cm)を算出した。結果を表1に示す。
【0087】
〔実施例2:製造方法(1)〕
ドーパント(D1)として、重量平均分子量が1,000のポリスチレンスルホン酸を
用いた以外は、実施例1と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして、
実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算
出した。結果を表1に示す。
【0088】
〔実施例3:製造方法(1)〕
ドーパント(D1)としてスチレンスルホン酸を用い、投入量を19gとした以外は、
実施例1と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして、実施例1と同様
の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を
表1に示す。
【0089】
〔実施例4:製造方法(1)〕
モノマー(M1)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパント(
D1)および界面活性剤として機能するドデシルベンゼンスルホン酸2.3gと、ドーパ
ント(D1)としてのポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:1,800)を20重
量%含有する水溶液10gとを、水100ml中に分散させ、室温下1時間攪拌してよく
分散させた。その後、酸化剤(O1)としての過硫酸アンモニウムを40重量%含有する
水溶液を0.5ml滴下し、以降10分間隔で6回に別けて滴下した(合計で3ml)後
、室温で60時間攪拌して化学酸化重合を行った。このとき溶液は、薄黄色から濃紺色へ
と変化した。
【0090】
得られたポリチオフェン懸濁液を用いて、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形
成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。
【0091】
〔実施例5:製造方法(1)〕
モノマー(M1)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパント(
D1)としてのポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:1,800)を20重量%含
有する水溶液10gとを、水100ml中に投入して30分攪拌した。続いて、酸化剤(
O1)としての過硫酸アンモニウムを40重量%含有する水溶液を0.5ml滴下し、以
降10分間隔で6回に別けて滴下した(合計で3ml)後、室温で60時間攪拌して化学
酸化重合を行った。このとき溶液は、薄黄色から濃紺色へと変化した。次いで、エリスリ
トールを11g混合して、さらに10時間攪拌させた。この際、溶液色は、濃紺色が維持
された。
【0092】
得られたポリチオフェン懸濁液を用いて、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形
成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。
【0093】
〔実施例6:製造方法(2)〕
(工程(a))
モノマー(M2)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパント(
D2)としてのカンファースルホン酸1gと、酸化剤(O2)およびドーパント(D2)
として機能するp−トルエンスルホン酸鉄(III)9gとを、溶媒としてのエタノール
30mlに溶解させた。得られた溶液を室温下24時間攪拌して化学酸化重合を行った。
このとき溶液は、黄色から濃青色へと変化した。
【0094】
(工程(b))
得られた溶液を減圧ろ過装置を用いてろ過して、粉末を回収した。純水を用いて粉末を
洗浄して、過剰の酸化剤(O2)およびドーパント(D2)を除去した。純水による洗浄
は、ろ液の酸性度がpH6〜7になるまで繰り返し行った。その後、エタノールを用いて
粉末を洗浄して、モノマー(M2)、酸化剤(O2)、反応後の酸化剤(p−トルエンス
ルホン酸鉄(II))を除去した。エタノールによる洗浄は、ろ液が無色透明となるまで
行った。
【0095】
(工程(c))
精製後の粉末0.5gを水50ml中に分散させた後、酸成分としてのポリスチレンス
ルホン酸(重量平均分子量:1,800)を20重量%含有する水溶液15gを添加した
。この混合液に、酸化剤(O3)としての過硫酸アンモニウム1.5gを添加し、室温下
24時間攪拌した。得られたポリチオフェン懸濁液は濃紺色であった。
【0096】
得られたポリチオフェン懸濁液を用いて、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形
成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。また、形成した
導電性高分子膜の結晶性を評価するため、導電性高分子膜のX線回折を測定した。なお、
測定は、2θを5〜40°までスキャンして行った。その測定結果を図3に示す。
【0097】
〔実施例7:製造方法(2)〕
工程(b)において、得られた粉末を純水およびエタノールで洗浄した後、さらに沸騰
した熱純水を用いて洗浄した以外は、実施例6と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁液
を製造した。そして、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性
高分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。
【0098】
〔実施例8:製造方法(2)〕
工程(b)において、得られた粉末を純水およびエタノールで洗浄した後、さらに12
5℃の恒温槽中で加熱処理した以外は、実施例6と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁
液を製造した。実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子
膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。
【0099】
〔実施例9:製造方法(2)〕
(工程(a))
モノマー(M2)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gを、ドーパント(
D2)および界面活性剤として機能するドデシルベンゼンスルホン酸2.3gとを、溶媒
としての水100ml中に投入した。そして、室温下1時間攪拌して分散させた後、酸化
剤(O2)としての過硫酸アンモニウム2.4gを加えて、さらに室温下で100時間攪
拌して化学酸化重合を行った。このとき溶液は、黄色から濃青色へと変化した。
【0100】
(工程(b))
得られた分散液から、遠心分離機(5,000rpm)を用いて粉末を回収した。純水
を用いた遠心分離機でのデカンテーション法により粉末を洗浄して、過剰の(O2)およ
びドーパント(D2)を除去した。純水による洗浄は、上澄み液の酸性度がpH6〜7に
なるまで繰り返し行った。
【0101】
工程(c)は、実施例6と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして
、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を
算出した。結果を表1に示す。
【0102】
〔実施例10:製造方法(2)〕
(工程(a))
モノマー(M2)としての3,4−エチレンジオキシチオフェン1gと、ドーパント(
D2)としてのカンファースルホン酸1gとを、界面活性剤として機能するポリエチレン
グリコール(重量分子量:4,000)2gを用いて溶媒としての水100ml中に分散
させ、室温下1時間攪拌して分散させた後、酸化剤(O2)としての過硫酸アンモニウム
2.4gを加えた。得られた分散液を室温下100時間攪拌して、化学酸化重合を行った
。このとき溶液は黄色から濃青色へと変化した。
【0103】
工程(b)および工程(c)は、実施例6と同様に実施して、ポリチオフェン懸濁液を
製造した。そして、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高
分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示す。
【0104】
〔実施例11:製造方法(2)〕
(工程(d))
実施例6で得られたポリチオフェン懸濁液10gに、さらに、エリスリトール1gを室
温下で溶解させて、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして、実施例1と同様の方法で
導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を表1に示
す。
【0105】
〔実施例12:製造方法(2)〕
実施例6で得られたポリチオフェン懸濁液10gに、さらに、ペンタエリスリトール1
gを室温下で溶解させて、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして、実施例1と同様の
方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結果を表
1に示す。
【0106】
〔実施例13:製造方法(2)〕
実施例6で得られたポリチオフェン懸濁液10gに、さらに、アクリル樹脂溶液0.5
gを混合して、室温下で10時間攪拌して、ポリチオフェン懸濁液を製造した。そして、
実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算
出した。結果を表1に示す。
【0107】
〔実施例14:製造方法(2)〕
実施例6で得られたポリチオフェン懸濁液20gに、イオン交換形がH+、OH-からな
る市販品の両イオン交換樹脂(オルガノ製)を100g投入して、5時間攪拌して、ポリ
チオフェン懸濁液を製造した。このとき懸濁液のpHは、1.8から2.5に変化した。
そして、実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導
電率を算出した。結果を表1に示す。
【0108】
〔実施例15〕
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりア
ルミニウムの表面に誘電体層となる酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽
極導体を、実施例1で製造したポリチオフェン懸濁液に浸漬し引き上げた後、125℃で
乾燥した後、180℃で30分間処理して、固体電解質層を形成した。固体電解質層の上
に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成して、そして、固体電解コンデンサ
を得た。
【0109】
得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、LCRメーターを用いて1
00kHzの周波数で測定した。ESRの値は、全陰極部面積を単位面積(1cm2)に
規格化した。結果を表2に示す。
【0110】
〔実施例16〕
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のアルミニウムを用い、陽極酸化によりア
ルミニウム金属表面に酸化皮膜を形成した。次いで、誘電体層を形成した陽極導体を、モ
ノマー(M3)としてのピロール10gを純水200mlに溶解させたモノマー液と、ド
ーパントとしてのp−トルエンスルホン酸20gおよび酸化剤としての過硫酸アンモニウ
ム10gを純水200ml溶解させた酸化剤液とに順番に浸漬・引き上げを10回繰り返
し行い、化学酸化重合を行うことで、第一の固体電解質層を形成した。
【0111】
第一の固体電解質層上に、実施例1で製造したポリチオフェン懸濁液を滴下し、125
℃で乾燥・固化させることで、第二の固体電解質層を形成した。そして、第二の固体電解
質層の上に、グラファイト層および銀含有樹脂層を順番に形成して、固体電解コンデンサ
を得た。
【0112】
得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、実施例15と同様の方法で
測定した。結果を表2に示す。
【0113】
〔実施例17〕
実施例6で製造したポリチオフェン懸濁液を用いた以外は、実施例16と同様にして、
固体電解コンデンサを製造し、その固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を測定
した。結果を表2に示す。
【0114】
〔実施例18〕
実施例11で製造したポリチオフェン懸濁液を用いた以外は、実施例16と同様にして
、固体電解コンデンサを製造し、その固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を測
定した。結果を表2に示す。
【0115】
〔実施例19〕
弁作用金属からなる陽極導体として多孔質性のタンタルを用いた以外は、実施例16と
同様に実施して、固体電解コンデンサを製造し、その固体電解コンデンサのESR(等価
直列抵抗)を測定した。結果を表2に示す。
【0116】
〔比較例1〕
ポリスチレンスルホン酸(重量分子量:50,000)2gと、3,4−エチレンジオ
キシチオフェン0.5gと、硫酸鉄(III)0.05gとを、水20mlに投入した後
、室温下で60時間攪拌して、ポリチオフェン溶液を製造した。得られたポリチオフェン
溶液の粒径分布を、実施例1と同様にして測定した。図2にその測定結果を示す。また、
実施例1と同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算
出した。結果を表1に示す。さらに、形成した導電性高分子膜の結晶性を評価するため、
実施例6と同様にして、導電性高分子膜のX線回折を測定した。その測定結果を図3に示
す。
【0117】
〔比較例2〕
重量平均分子量が500,000のポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、比較例1
と同様に実施して、ポリチオフェン溶液を製造した。得られたポリチオフェン溶液の粒径
分布を、実施例1と同様にして測定した。図2にその測定結果を示す。また、実施例1と
同様の方法で導電性高分子膜を形成した後、その導電性高分子膜の導電率を算出した。結
果を表1に示す。
【0118】
〔比較例3〕
比較例1で製造したポリチオフェン溶液を用いた以外は、実施例16と同様に実施して
、固体電解コンデンサを製造し、その固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を測
定した。結果を表2に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
図2に示した粒度分布測定結果から、実施例1で製造したポリチオフェン懸濁液の粒子
径は、比較例1および2で製造したポリチオフェン懸濁液よりも小さいことが確認できた
。そして、使用したポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が小さいほど、ポリチオフ
ェン懸濁液の粒度分布が、粒子径が小さい方へシフトする傾向が認められた。
【0122】
表1に示したように、実施例1〜14で形成した導電性高分子膜は、いずれも比較例1
および2で形成した導電性高分子膜よりも高導電率であった。特に、実施例6〜14で形
成した導電性高分子膜の高導電率化は顕著であった。このように、工程(a)〜工程(c
)を経ることで、(1)ドーパントの選択肢が広く、(2)結晶化度を高くするドーパン
トを選択することができ、(3)モノマーと相溶性の高い溶媒構成を選択することができ
ることから重合度が高く、(4)洗浄が容易であり高純度化を図ることができる。
【0123】
また、工程(b)において、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を熱水洗浄
および/または熱処理した実施例7および8では、より導電性が高くなった。これは、熱
水による不要成分の高溶解度化または加熱によって揮発成分の除去が可能となり、さらな
る高純度化を図ることが可能となったからと考えられる。
【0124】
また、エリスリトールまたはペンタエリスリトールを混合した実施例5、11および1
2では、より導電性が高くなった。これは、ポリチオフェン懸濁液中のポリ(3,4−エ
チレンジオキシチオフェン)粒子の近傍に存在するポリスチレンスルホン酸と相互作用す
ることで、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)粒子間の抵抗を下げるとともに
、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の密度が増加したためと考えられる。こ
の作用に伴い、例えばガラス基板上に導電性高分子層を形成した際に緻密な膜が形成され
るように改良される。
【0125】
図3に示したX線回折の測定結果から、実施例6で形成した導電性高分子膜の結晶性は
、比較例1で形成した導電性高分子膜より高いことも確認できた。このため、得られたポ
リチオフェン懸濁液中のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、高分子鎖間の
電子伝導が良好であり、高導電性となる。なお、実施例6で形成した導電性高分子膜は、
結晶化度が高く光を分散するため、透明性はなく、黒色に近い色を呈する。
【0126】
そして、表2に示すように、実施例15〜19で作製した固体電解コンデンサは、ポリ
(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の導電率が高いために、固体電解質の抵抗を低
減することが可能となり、固体電解コンデンサの抵抗(ESR)を低減することが可能と
なった。
【0127】
なお、実施例16と比較例3とを比較すると、用いた導電性高分子の導電率は若干の差
であるにも関わらず、コンデンサの抵抗値が大きく異なった。この理由は、実施例16で
用いたポリチオフェン懸濁液は、粒子径が小さいために多孔質体の内部まで浸透しやすく
、内部ポリマーとの接触部が増えるがために、接触抵抗が低減した効果が現れていると考
えられる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの構造を示す模式的断面図である。
【図2】実施例1、ならびに比較例1および2で製造したポリチオフェン懸濁液の粒径分布である。
【図3】実施例6および比較例1で形成した導電性高分子膜のX線回折チャートである。
【符号の説明】
【0129】
1 陽極導体
2 誘電体層
3 固体電解質層
3a 第一の固体電解質層
3b 第一の固体電解質層
4 陰極導体
4a グラファイト層
4b 銀導電性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなるドーパント(D1)を含む水系溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマー(M1)を酸化剤(O1)を用いて化学酸化重合して、導電性高分子(P1)を合成する工程と、
エリスリトールおよびペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種を混合する工程と
を有する導電性高分子懸濁液の製造方法により得られる導電性高分子懸濁液Aと、結着作用として機能する樹脂とを含む導電性高分子懸濁液B。
【請求項2】
請求項1に記載の導電性高分子懸濁液Bから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料。
【請求項3】
請求項2に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質層を有する固体電解コンデンサ。
【請求項4】
第一の固体電解質層と第二の固体電解質層からなる固体電解質層を有する固体電解コンデンサであって、
第一の固体電解質層は導電性高分子を与えるモノマー(M3)を化学酸化重合または電解重合して得られる導電性高分子(P3)を含み、
第二の固体電解質層は請求項1に記載の導電性高分子懸濁液Aから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料又は請求項2に記載の導電性高分子材料を含む固体電解コンデンサ。
【請求項5】
請求項1に記載の導電性高分子懸濁液Aから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料であって、結晶性を有する導電性高分子材料。
【請求項6】
請求項5に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質層を有する固体電解コンデンサ。
【請求項7】
(a)低分子有機酸またはその塩からなるドーパント(D2)を含む溶媒中で、導電性高分子を与えるモノマー(M2)を酸化剤(O2)を用いて化学酸化重合して、導電性高分子(P2)を合成する工程と、
(b)前記導電性高分子(P2)を精製する工程と、
(c)低分子有機酸もしくはその塩、または重量平均分子量が2,000未満のポリ酸もしくはその塩からなる酸成分を含む水系溶媒中で、前記精製された導電性高分子(P2)と酸化剤(O3)とを混合して、導電性高分子懸濁液Cを得る工程と
を有する導電性高分子懸濁液Cの製造方法により得られる導電性高分子懸濁液Cと、結着作用として機能する樹脂とを含む導電性高分子懸濁液D。
【請求項8】
請求項7に記載の導電性高分子懸濁液Dから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料。
【請求項9】
請求項8に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質層を有する固体電解コンデンサ。
【請求項10】
第一の固体電解質層と第二の固体電解質層からなる固体電解質層を有する固体電解コンデンサであって、
第一の固体電解質層は導電性高分子を与えるモノマー(M3)を化学酸化重合または電解重合して得られる導電性高分子(P3)を含み、
第二の固体電解質層は請求項7に記載の導電性高分子懸濁液Cから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料又は請求項8に記載の導電性高分子材料を含む固体電解コンデンサ。
【請求項11】
請求項7に記載の導電性高分子懸濁液Cから溶媒を除去して得られる導電性高分子材料であって、結晶性を有する導電性高分子材料。
【請求項12】
請求項11に記載の導電性高分子材料を含む固体電解質層を有する固体電解コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−104850(P2012−104850A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540(P2012−540)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2008−202132(P2008−202132)の分割
【原出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】