導電接続構造およびその製造方法
【課題】異なる基材上にそれぞれ設けられた導電部間の接続において、導電率が高く、かつ、基材間の接着力を大きくすることが可能な導電接続構造およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の導電接続構造10は、第一基材11と第二基材14が、フィルム状の接着剤からなる接着層18を介して接着され、第一基材11の一面11aに設けられた導電部12と、第二基材14の一面14aに設けられた導電部15とが電気的に接続されてなり、第一基材11の他面11bに導電性基板13が貼着され、接着層18は第二基材14の一面14aから、第一基材11を厚み方向に貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられたことを特徴とする。
【解決手段】本発明の導電接続構造10は、第一基材11と第二基材14が、フィルム状の接着剤からなる接着層18を介して接着され、第一基材11の一面11aに設けられた導電部12と、第二基材14の一面14aに設けられた導電部15とが電気的に接続されてなり、第一基材11の他面11bに導電性基板13が貼着され、接着層18は第二基材14の一面14aから、第一基材11を厚み方向に貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、異方性導電接着フィルム(ACF)や非導電性フィルム(NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)や非導電性フィルム(Non−conductive Film、NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造としては、例えば、図8に示すような構造が挙げられる。
この例の導電接続構造100は、その一面101aに導電部102が設けられ、他面101bに導電性基板103が貼着された第一基材101と、その一面104aに導電部105が設けられた第二基材104および第二基材104の他面104bに設けられたICチップ106からなるチップオンフィルム(COF)107とが、フィルム状の接着剤からなる接着層108を介して接着されてなるものである。また、第一基材101の導電部102と、第二基材104の導電部105は突き合わせられて、電気的に接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
このような導電接続構造100を製造するには、まず、第一基材101の一面101aに、スクリーン印刷などにより、ポリマー型導電インクを所定の形状に印刷し、導電部102を設ける(図9、10参照)。
次いで、第一基材101の他面101bに、接着剤を介するか、あるいは、融着することにより、導電性基板103を貼着する(図11参照)。
次いで、第一基材101の導電部102と、第二基材104の一面104aに設けられた導電部105とを突き合わせ、フィルム状の接着剤を介して、第一基材101と第二基材104とを接着することにより、導電部102と導電部105とを電気的に接続し(図12参照)、導電接続構造100を得る。
【特許文献1】特開2003−168760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の導電接続構造100およびその製造方法では、第一基材101の導電部102と、第二基材104の導電部105との間に、必要以上に接着剤が介在してしまうため、導電部102と導電部105の間の導電性が十分でない場合があるという問題があった。また、第一基材101と接着層108との接触面積が少ないため接着力が小さく、導電部102と導電部105の電気的な接続が不十分となる不具合が生じるおそれがあり、このような不具合を生じさせないために、さらに大きな接着力が要求されていた。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、異なる基材上にそれぞれ設けられた導電部間の接続において、導電率が高く、かつ、基材間の接着力を大きくすることが可能な導電接続構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電接続構造は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の導電接続構造の製造方法は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電接続構造は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたので、接着層と、第一基材および導電性基板との接触面積が大きくなり、第一基材、第二基材および導電性基板の接着力が向上する。その結果、第一基材の導電部と第二基材の導電部の密着性が向上し、これらの間の導電性も向上する。
【0009】
本発明の導電接続構造の製造方法は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたので、フィルム状の接着剤は、第二基材、導電部、第一基材11の貫通部および導電性基板の凹部から形成される空間を充填するように流動し、接着層を形成するから、接着剤は第一基材の導電部と第二基材の導電部との間(界面)に必要以上に存在しなくなるので、第一基材の導電部と第二基材の導電部の電気的な接続を十分に確保することができる。したがって、第一基材の導電部と第二基材の導電部の間の導電率を向上することができる。また、第一基材と第二基材の接着時に、フィルム状の接着剤は、第二基材、導電部、第一基材11の貫通部および導電性基板の凹部から形成される空間を充填するように流動し、接着層を形成するので、第一基材、第二基材および導電性基板の接着力が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の導電接続構造およびその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
(導電接続構造)
図1は、本発明の導電接続構造の一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の導電接続構造10は、その一面11aに導電部12が設けられた第一基材11と、その一面14aに導電部15が設けられた第二基材14とが、フィルム状の接着剤からなる接着層18を介して接着されてなり、導電部12と導電部15は突き合わせられて、電気的に接続されてなるものである。また、第一基材11の他面11bには、導電性基板13が貼着され、接着層18は第二基材14の一面14aから、第一基材11を厚み方向に貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられている。さらに、第二基材14の他面14bには、ICチップ16が設けられ、第二基材14、導電部15およびICチップ16がチップオンフィルム(COF)17をなしている。
【0012】
第一基材11には、その厚み方向に貫通する貫通部11cが設けられている。
また、第一基材11に貼着された導電性基板13には、第一基材11の貫通部11cに連接し、かつ、第一基材11と接する面13bを基端とし、貫通部11cと開口径の等しい凹部13aが設けられている。この凹部13aの深さは特に限定されないが、導電性基板13を貫通しない程度に設けられる。
また、接着層18は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を埋めるように設けられている。
【0013】
第一基材11、第二基材14としては、ポリアミド系樹脂基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリ塩化ビフェニル系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材などが挙げられる。
【0014】
導電部12,15をなす材料としては、ポリマー型導電インク、導電性箔、金属メッキなどが用いられる。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0015】
導電性基板13としては、特に限定されず、絶縁基材の一面に金属配線やポリマー型導電インクからなる配線が設けられた配線基板、ITO基板などが挙げられる。
ICチップ16としては、特に限定されない。
【0016】
接着層18をなすフィルム状の接着剤としては、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)や非導電性フィルム(Non−conductive Film、NCF)などが用いられる。
【0017】
この実施形態の導電接続構造10は、接着層18が第二基材14の一面14aから、第一基材11に形成された貫通部11cを貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられているので、接着層18と第一基材11および導電性基板13との接触面積が大きくなり、第一基材11、第二基材14および導電性基板13の接着力が向上する。その結果、導電部12と導電部15の密着性が向上し、これらの間の導電性も向上する。
【0018】
(導電接続構造の製造方法)
次に、図2〜7を参照して、この実施形態の導電接続構造の製造方法を説明する。
まず、第一基材11の一面11a全面に、ポリマー型導電インク、導電性箔、金属メッキなどからなる導電部材12Aを設ける(図2、3参照)。
次いで、第一基材11の他面11bに、接着剤を介するかあるいは融着することにより、導電性基板13を貼着する(図4参照)。
【0019】
次いで、レーザーあるいはエッチングにより、導電部材12Aを所定形状の導電部12に形成するとともに、第一基材11を厚み方向に貫通する貫通部11c、および、導電性基板13に貫通部11cに連接する凹部13aを形成する(図5参照)。
次いで、異方性導電接着フィルム(ACF)や非導電性フィルム(NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、第一基材11と、別途作製したチップオンフィルム(COF)17の第二基材14とを接着するとともに、第一基材11の導電部12と第二基材14の導電部15とを電気的に接続し、導電接続構造10を得る(図6、7参照)。
なお、第二基材14の導電部15の形成方法は、導電部12と同様であってもよく、あるいは、ポリマー型導電インクのスクリーン印刷などによる方法であってもよい。
【0020】
この実施形態の導電接続構造の製造方法は、第一基材11の一面11a全面に導電部材12Aを設けた後、この導電部材12Aを所定形状の導電部12に形成するとともに、第一基材11を厚み方向に貫通する貫通部11c、および、導電性基板13に貫通部11cに連接する凹部13aを形成し、フィルム状の接着剤を介して、第一基材11と第二基材14とを接着するので、フィルム状の接着剤は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を充填するように流動し、接着層18を形成するから、この接着剤は導電部12と導電部15との間(界面)に必要以上に存在しなくなるので、導電部12と導電部15の電気的な接続を十分に確保することができる。したがって、導電部12と導電部15の間の導電率を向上することができる。また、第一基材11と第二基材14の接着時に、フィルム状の接着剤は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を充填するように流動し、接着層18を形成するので、第一基材11、第二基材14および導電性基板13の接着力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の導電接続構造の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図8】従来の導電接続構造の一例を示す概略断面図である。
【図9】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図10】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図11】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図12】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10・・・導電接続構造、11・・・第一基材、12・・・導電部、13・・・導電性基板、14・・・第二基材、15・・・導電部、16・・・ICチップ、17・・・チップオンフィルム、18・・・接着層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、異方性導電接着フィルム(ACF)や非導電性フィルム(NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)や非導電性フィルム(Non−conductive Film、NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、フレキシブル基板の配線やリジッド基板の配線同士を電気的に接続してなる導電接続構造としては、例えば、図8に示すような構造が挙げられる。
この例の導電接続構造100は、その一面101aに導電部102が設けられ、他面101bに導電性基板103が貼着された第一基材101と、その一面104aに導電部105が設けられた第二基材104および第二基材104の他面104bに設けられたICチップ106からなるチップオンフィルム(COF)107とが、フィルム状の接着剤からなる接着層108を介して接着されてなるものである。また、第一基材101の導電部102と、第二基材104の導電部105は突き合わせられて、電気的に接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
このような導電接続構造100を製造するには、まず、第一基材101の一面101aに、スクリーン印刷などにより、ポリマー型導電インクを所定の形状に印刷し、導電部102を設ける(図9、10参照)。
次いで、第一基材101の他面101bに、接着剤を介するか、あるいは、融着することにより、導電性基板103を貼着する(図11参照)。
次いで、第一基材101の導電部102と、第二基材104の一面104aに設けられた導電部105とを突き合わせ、フィルム状の接着剤を介して、第一基材101と第二基材104とを接着することにより、導電部102と導電部105とを電気的に接続し(図12参照)、導電接続構造100を得る。
【特許文献1】特開2003−168760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の導電接続構造100およびその製造方法では、第一基材101の導電部102と、第二基材104の導電部105との間に、必要以上に接着剤が介在してしまうため、導電部102と導電部105の間の導電性が十分でない場合があるという問題があった。また、第一基材101と接着層108との接触面積が少ないため接着力が小さく、導電部102と導電部105の電気的な接続が不十分となる不具合が生じるおそれがあり、このような不具合を生じさせないために、さらに大きな接着力が要求されていた。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、異なる基材上にそれぞれ設けられた導電部間の接続において、導電率が高く、かつ、基材間の接着力を大きくすることが可能な導電接続構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電接続構造は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の導電接続構造の製造方法は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導電接続構造は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたので、接着層と、第一基材および導電性基板との接触面積が大きくなり、第一基材、第二基材および導電性基板の接着力が向上する。その結果、第一基材の導電部と第二基材の導電部の密着性が向上し、これらの間の導電性も向上する。
【0009】
本発明の導電接続構造の製造方法は、第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたので、フィルム状の接着剤は、第二基材、導電部、第一基材11の貫通部および導電性基板の凹部から形成される空間を充填するように流動し、接着層を形成するから、接着剤は第一基材の導電部と第二基材の導電部との間(界面)に必要以上に存在しなくなるので、第一基材の導電部と第二基材の導電部の電気的な接続を十分に確保することができる。したがって、第一基材の導電部と第二基材の導電部の間の導電率を向上することができる。また、第一基材と第二基材の接着時に、フィルム状の接着剤は、第二基材、導電部、第一基材11の貫通部および導電性基板の凹部から形成される空間を充填するように流動し、接着層を形成するので、第一基材、第二基材および導電性基板の接着力が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の導電接続構造およびその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
(導電接続構造)
図1は、本発明の導電接続構造の一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の導電接続構造10は、その一面11aに導電部12が設けられた第一基材11と、その一面14aに導電部15が設けられた第二基材14とが、フィルム状の接着剤からなる接着層18を介して接着されてなり、導電部12と導電部15は突き合わせられて、電気的に接続されてなるものである。また、第一基材11の他面11bには、導電性基板13が貼着され、接着層18は第二基材14の一面14aから、第一基材11を厚み方向に貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられている。さらに、第二基材14の他面14bには、ICチップ16が設けられ、第二基材14、導電部15およびICチップ16がチップオンフィルム(COF)17をなしている。
【0012】
第一基材11には、その厚み方向に貫通する貫通部11cが設けられている。
また、第一基材11に貼着された導電性基板13には、第一基材11の貫通部11cに連接し、かつ、第一基材11と接する面13bを基端とし、貫通部11cと開口径の等しい凹部13aが設けられている。この凹部13aの深さは特に限定されないが、導電性基板13を貫通しない程度に設けられる。
また、接着層18は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を埋めるように設けられている。
【0013】
第一基材11、第二基材14としては、ポリアミド系樹脂基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリ塩化ビフェニル系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材などが挙げられる。
【0014】
導電部12,15をなす材料としては、ポリマー型導電インク、導電性箔、金属メッキなどが用いられる。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0015】
導電性基板13としては、特に限定されず、絶縁基材の一面に金属配線やポリマー型導電インクからなる配線が設けられた配線基板、ITO基板などが挙げられる。
ICチップ16としては、特に限定されない。
【0016】
接着層18をなすフィルム状の接着剤としては、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)や非導電性フィルム(Non−conductive Film、NCF)などが用いられる。
【0017】
この実施形態の導電接続構造10は、接着層18が第二基材14の一面14aから、第一基材11に形成された貫通部11cを貫通し、導電性基板13に形成された凹部13aに渡って設けられているので、接着層18と第一基材11および導電性基板13との接触面積が大きくなり、第一基材11、第二基材14および導電性基板13の接着力が向上する。その結果、導電部12と導電部15の密着性が向上し、これらの間の導電性も向上する。
【0018】
(導電接続構造の製造方法)
次に、図2〜7を参照して、この実施形態の導電接続構造の製造方法を説明する。
まず、第一基材11の一面11a全面に、ポリマー型導電インク、導電性箔、金属メッキなどからなる導電部材12Aを設ける(図2、3参照)。
次いで、第一基材11の他面11bに、接着剤を介するかあるいは融着することにより、導電性基板13を貼着する(図4参照)。
【0019】
次いで、レーザーあるいはエッチングにより、導電部材12Aを所定形状の導電部12に形成するとともに、第一基材11を厚み方向に貫通する貫通部11c、および、導電性基板13に貫通部11cに連接する凹部13aを形成する(図5参照)。
次いで、異方性導電接着フィルム(ACF)や非導電性フィルム(NCF)などのフィルム状の接着剤を介して、第一基材11と、別途作製したチップオンフィルム(COF)17の第二基材14とを接着するとともに、第一基材11の導電部12と第二基材14の導電部15とを電気的に接続し、導電接続構造10を得る(図6、7参照)。
なお、第二基材14の導電部15の形成方法は、導電部12と同様であってもよく、あるいは、ポリマー型導電インクのスクリーン印刷などによる方法であってもよい。
【0020】
この実施形態の導電接続構造の製造方法は、第一基材11の一面11a全面に導電部材12Aを設けた後、この導電部材12Aを所定形状の導電部12に形成するとともに、第一基材11を厚み方向に貫通する貫通部11c、および、導電性基板13に貫通部11cに連接する凹部13aを形成し、フィルム状の接着剤を介して、第一基材11と第二基材14とを接着するので、フィルム状の接着剤は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を充填するように流動し、接着層18を形成するから、この接着剤は導電部12と導電部15との間(界面)に必要以上に存在しなくなるので、導電部12と導電部15の電気的な接続を十分に確保することができる。したがって、導電部12と導電部15の間の導電率を向上することができる。また、第一基材11と第二基材14の接着時に、フィルム状の接着剤は、第二基材14、導電部15、導電部12、第一基材11の貫通部11cおよび導電性基板13の凹部13aから形成される空間を充填するように流動し、接着層18を形成するので、第一基材11、第二基材14および導電性基板13の接着力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の導電接続構造の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明の導電接続構造の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図8】従来の導電接続構造の一例を示す概略断面図である。
【図9】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図10】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図11】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図12】従来の導電接続構造の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10・・・導電接続構造、11・・・第一基材、12・・・導電部、13・・・導電性基板、14・・・第二基材、15・・・導電部、16・・・ICチップ、17・・・チップオンフィルム、18・・・接着層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、
前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたことを特徴とする導電接続構造。
【請求項2】
第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、
第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする導電接続構造の製造方法。
【請求項1】
第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造であって、
前記第一基材の一面とは反対の面に導電性基板が貼着され、前記接着層は前記第二基材の一面から、前記第一基材を厚み方向に貫通し、前記導電性基板に形成された凹部に渡って設けられたことを特徴とする導電接続構造。
【請求項2】
第一基材と第二基材が、フィルム状の接着剤からなる接着層を介して接着され、前記第一基材の一面に設けられた導電部と、前記第二基材の一面に設けられた導電部とが電気的に接続されてなる導電接続構造の製造方法であって、
第一基材の一面全面に導電部材を設ける工程と、前記基材の一面とは反対の面に導電性基板を貼着する工程と、前記導電部材を所定形状の導電部に形成するとともに、前記第一基材を厚み方向に貫通する貫通部、および、前記導電性基板に前記貫通部に連接する凹部を形成する工程と、前記第一基材と前記第二基材とを、フィルム状の接着剤を介して接着し、前記第一基材の導電部と、前記第二基材の導電部とを電気的に接続する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする導電接続構造の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−270646(P2008−270646A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114087(P2007−114087)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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