説明

導電粒子を用いた接続構造

【課題】 不要な電極間の短絡がなく、簡単な接続工程で、確実な接続が可能な接続構造を提供する。
【解決手段】 本発明の導電粒子を用いた接続構造は、対向する電極間(115a,115b)に導電粒子 (122)を設置し、磁界を印加して接続する接続構造において、導電粒子(122)は、磁性を有した金属粒子(120)を接着剤層(121)により被覆したものを用い、所定の電極部に磁界を印加した状態で加圧し加熱してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電粒子を用いた接続構造に関し、回路素子を配線板へ実装する場合や、配線板同士を接続する際の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例1として、導電粒子を用いて、回路素子を配線板へ実装する場合や、配線板同士を接続する場合は、導電粒子があらかじめ分散された異方導電性フィルムを用いることが多いが、微細な接続の場合、球状高分子粒子に金属を被覆し、さらにその外層をホットメルト接着剤にて被覆した導電粒子を配線板上へ分散し、加熱、加圧により接続する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、従来例2として、中空球状の樹脂層とその外層を金属層で被覆された弾性変形が可能な導電体をあらかじめ配線板に導電性接着剤などで固定し、その上に回路素子などを実装し、別途、樹脂や部材により固定する接続方法も開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
まず、従来例1について、図3、図4を用いて説明する。
図3は、ホットメルト接着剤で被覆された導電粒子を用いた接続構造を示す断面模式図、図4はその接続工程を示すフローチャートである。図において、111はホットメルト接着剤層、112は金属めっき層、113は球状高分子粒子、114は111〜113から形成される導電粒子、115は電極、116は電極を有する配線板などである。
ホットメルト接着剤で被覆された導電粒子を用いた接続構造の場合、図4に示したようなフローチャートに沿って、接続が完成する。まず、電極を有する配線板116上に導電粒子114を均一に散布し、加熱によりホットメルト接着剤111を溶融させた後、電極115aと対向する位置に電極115bを配置し、圧着する。加熱により、導電粒子114の電極115a及び115bに対峙する部分に存在するホットメルト接着剤111が溶融し、金属めっき層112が露出され、圧着により電極115aと115bが完全に接続される。これで、図3に示した接続構造が完成する。
次に、従来例2について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、中空球状の樹脂層とその外層を金属層で被覆された弾性変形が可能な導電体を用いた接続構造を示す断面模式図、図6は接続工程を示すフローチャートである。図3に示す特許文献2の構成要素が特許文献1と同じものについては、同一符号とを付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。図において、117は中空球状樹脂層、118は112および117から形成される導電体、119は接着剤である。
中空球状の樹脂層とその外層を金属層で被覆された弾性変形が可能な導電体を用いた接続構造場合、図6に示したようなフローチャートに沿って、接続され、完成する。まず、電極を有する配線板116上の電極115a上に、導電体118を配置し、接着剤119などにより固定する。固定に接着剤を用いる場合は、フローチャートに示したように加熱の工程が必要になる。また、導電体の配置方法の詳細についてはふれられていない。次に、対向する電極115bを配置し、加圧により接触させる。接触の固定は、樹脂などにより電極を覆うか、部材により押さえつける機械的な固定方法で固定する。
【特許文献1】特開平9−204815号公報(第1−4頁、図1)
【特許文献2】特開平5−326635号公報(第1−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来例1のホットメルト接着剤で被覆された導電粒子を用いた接続構造の場合、配線板上に均一に散布し、加熱、圧着するため、接続したい部分と接続したくない部分を選択できない、また、不要な電極間の短絡が発生する可能性が高いという問題があった。
また、従来例2の中空球状の樹脂層とその外層を金属層で被覆された弾性変形が可能な導電体を用いた接続構造の場合、接続構造を固定するために樹脂、または、部材による機械的な抑えが必要となるため、接続の工程が煩雑になるという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、接続したい部分に選択的に導電粒子を配置することで、電極間の短絡がなく、簡単な接続工程で、確実な接続が可能であり、また、接続の固定には別の工程や部材は必要ない接続構造を提供することを目的とする。
電極間の短絡がなく、簡単な接続工程で、確実な接続が可能な接続構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、対向する電極間に導電粒子を設置し、磁界を印加して接続する導電粒子を用いた接続構造において、前記導電粒子は、磁性を有した金属粒子を接着層により被覆したものを用い、所定の電極部に前記磁界を印加した状態で加圧し加熱したものである。
請求項2に記載の発明は、前記金属粒子が、Ni、FeまたはCuめっきFeの粒子からなるものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1、2に記載の発明によると、導電粒子の配置に、局部磁界を用いることで、接続したい部分に選択的に導電粒子を配置するため、不要な電極の短絡などを防ぐことができる確実な接続が可能である。加えて、接続の固定には、金属粒子を被覆した接着層を用いるため、固定のための接着剤塗布や部材などを用いた加圧構造は必要ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の第一の実施例に係る導電粒子を用いた接続構造の断面模式図、図2は接続工程を示すフローチャートである。本発明の構成要素が従来技術と同じものについては、同一符号を付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。図において、120は磁性を有する金属粒子、121は金属粒子120を被覆した接着剤層であり、120および121をあわせて導電粒子122とする。
本発明が特許文献1、2と異なる部分は、磁性を有した金属粒子120を用いること、導電粒子122を配線板上の電極上に配置する際には、電極位置に対応した局部磁界を印加することにより所定の電極位置へ導電粒子122を配置すること、である。これにより、接続したい部分に選択的に導電粒子122を配置することで、確実な接続ができる。
接続工程について、図2に示したフローチャートに沿って説明する。配線板上に導電粒子122を散布し、接続したい電極上に対応した位置に局部磁界を印加することで、導電粒子122を電極上に配置する。ここで、用いる導電粒子122は、磁性を有するNi、Fe、CuめっきFeなどの数μmの金属粒子120を接着剤層121で被覆したものである。接着剤層121に用いる接着剤は、熱硬化性、熱可塑性のものが考えられるが、接着力などの点から、本実施例では熱硬化性エポキシ樹脂を用いた。接着剤層121の形成は、金属粒子120を接着剤中にディッピングする方法を用いた。次に、対向する電極を配置し、加圧と加熱を同時に行う。対向する電極を有するものとしては、フレキシブル配線板や回路素子などが考えられる。導電粒子122の外層である接着層層121を溶融し、電極との固定を行う。加圧時には、金属粒子120を用いているため、金属粒子120が電極に食い込むことで、接続し、その接続構造を接着剤が硬化することにより固定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の接続構造を示す断面模式図
【図2】本発明の実施例1の作製手順を示すフローチャート
【図3】従来例1の接続構造を示す断面模式図
【図4】従来例1の作製手順を示すフローチャート
【図5】従来例2の接続構造を示す断面模式図
【図6】従来例2の作製手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0009】
111 ホットメルト接着剤層
112 金属めっき層
113 球状高分子粒子
114 導電粒子
115a、115b 電極
116 電極を有する配線板
117 中空球状樹脂層
118 導電体
119 接着剤
120 金属粒子
121 接着剤層
122 導電粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する電極間に導電粒子を設置し、磁界を印加して接続する導電粒子を用いた接続構造において、
前記導電粒子は、磁性を有した金属粒子を接着層により被覆したものを用い、所定の電極部に前記磁界を印加した状態で加圧し加熱したことを特徴とする導電粒子を用いた接続構造。
【請求項2】
前記金属粒子は、Ni、FeまたはCuめっきFeの粒子からなることを特徴とする請求項1記載の導電粒子を用いた接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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