説明

導電膜の製造方法及び製造装置並びに導電膜

【課題】従来に比べて導電膜の製造に要する時間の短縮と製造コストの低減を図ることができ、生産性の向上を図ることのできる導電膜の製造方法及び製造装置並びに導電膜を提供する。
【解決手段】表面に所定の凹凸形状1aが形成されたモールド1と基板3との間に、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を介在させた状態とする工程と、材料2の流動性を低下させる処理を行う工程と、モールド1を材料2から剥離する工程とを具備した導電膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ等の繊維状導電性物質を含む導電膜の製造方法及び製造装置並びに導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明基板の透明電極等に使用される導電膜としてITO(Indium Tin Oxide)膜が広く使用されている。また、繊維状導電性物質であるカーボンナノチューブを分散させて透明電極を構成することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
さらに、繊維状導電性物質であるカーボンナノチューブと微細な粒状物を混合した混合組成物を透明電極に塗布した後、粒状物を除去してカーボンナノチューブの網目状薄膜を形成し、導電膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。すなわちこの技術では、粒状物を介在させることによって、カーボンナノチューブが適度に分散した状態の網目状薄膜を形成するものである。
【0004】
また、LIGAプロセスやFIB(収束イオンビーム)を用いて微細な3次元構造を有するモールド(型)を形成し、このモールドを基板に塗布したレジスト膜に押圧して形状転写を行うナノインプリント技術が知られている(例えば、特許文献3参照。)。このナノインプリント技術は、従来から行われている露光、現像によるフォトリソグラフィーに代えて、レジスト膜に所定パターンの転写を行うものであり、情報記録装置の製造等に適用が考えられている。しかしながら、この技術は、カーボンナノチューブ等の繊維状導電性物質を用いて透明電極等を形成する技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−169120号公報
【特許文献2】特開2008−177165号公報
【特許文献3】特開2005−108351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した粒状物を用いてカーボンナノチューブの網目状薄膜を形成し導電膜を製造する技術では、微細な粒状物を用いているため、この粒状物を混合したり、混合した粒状物を除去する等の工程が必要となり、導電膜の製造に時間とコストがかかり、生産性が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、従来に比べて導電膜の製造に要する時間の短縮と製造コストの低減を図ることができ、生産性の向上を図ることのできる導電膜の製造方法及び製造装置並びに導電膜を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の導電膜の製造方法は、表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドと基板との間に、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を介在させた状態とする工程と、前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、前記モールドを前記材料から剥離する工程とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の導電膜の製造方法は、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を、表面に所定の凹凸形状が形成されたモールド上に塗布する工程と、前記基板を前記モールドに塗布された前記材料に接触させ、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、前記モールドを前記材料から剥離する工程とを具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の導電膜の製造方法は、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を基板に塗布する工程と、表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドを前記基板に塗布された前記材料に接触させ、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、前記モールドを前記材料から剥離する工程とを具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の導電膜の製造方法は、基板と表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドとを前記凹凸形状を前記基板側に向けて近接配置する工程と、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を、前記基板と前記モールドとの間に注入し、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、前記モールドを前記材料から剥離する工程とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5の導電膜の製造方法は、請求項1〜4いずれか1項記載の導電膜の製造方法であって、前記材料は、溶媒に繊維状導電性物質を混合したものであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の導電膜の製造方法は、請求項1〜4いずれか1項記載の導電膜の製造方法であって、前記材料は、樹脂溶液に繊維状導電性物質を混合したものであることを特徴とする。
【0014】
請求項7の導電膜の製造方法は、請求項5又は6記載の導電膜の製造方法であって、前記材料の流動性を低下させる処理は、加熱処理であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の導電膜の製造方法は、請求項6記載の導電膜の製造方法であって、前記材料の流動性を低下させる処理は、紫外線照射処理であることを特徴とする。
【0016】
請求項9の導電膜の製造方法は、請求項1〜8いずれか1項記載の導電膜の製造方法であって、前記繊維状導電性物質は、カーボンナノチューブであることを特徴とする。
【0017】
請求項10の導電膜の製造装置は、基板に導電膜を形成するための導電膜の製造装置であって、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を収容し、前記材料を撹拌するための機構を有する容器と、表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドと、前記容器に連通し、前記材料を前記モールド又は前記基板のいずれか一方に塗布するためのノズルと、前記モールドと前記基板とを近接させた状態に保持する機構と、前記モールドと前記基板との間に介在する前記材料の流動性を低下させる処理を行う硬化ユニットと、を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項11の導電膜の製造装置は、請求項10記載の導電膜の製造装置であって、前記硬化ユニットは、前記材料を加熱するものであることを特徴とする。
【0019】
請求項12の導電膜の製造装置は、請求項10記載の導電膜の製造装置であって、前記硬化ユニットは、前記材料に紫外線を照射するものであることを特徴とする。
【0020】
請求項13の導電膜は、繊維状導電性物質を含み、上面に所定の周期的凹凸構造を有する層を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項14の導電膜は、請求項13記載の導電膜であって、前記繊維状導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比べて導電膜の製造に要する時間の短縮と製造コストの低減を図ることができ、生産性の向上を図ることのできる導電膜の製造方法及び製造装置並びに導電膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態の工程を説明するための図。
【図2】本発明の第2実施形態の工程を説明するための図。
【図3】本発明の第3実施形態の工程を説明するための図。
【図4】本発明の第1実施形態の装置の構成を説明するための図。
【図5】本発明の第2実施形態の装置の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の詳細を、図面を参照して実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る導電膜の製造方法の工程を説明するための図である。同図において1は、表面に所定の凹凸形状1aが形成されたモールドを示している。
【0025】
このモールド1は、例えば、シリコン基板、石英基板、Ni電鋳基板等からなり、LIGAプロセスやFIB(収束イオンビーム)を用いて微細な凹凸形状1aが形成されている。なお、モールド1における所定の凹凸形状1aは、後述する繊維状導電性物質2aを適度に分散させて網目状薄膜を形成するためのものであり、例えば、所定間隔(例えば10nm〜10μm程度)で所定サイズ(例えば10nm〜10μm程度)の半球形の凸部が規則正しく並んだ形状等を選択することができる。
【0026】
本第1実施形態では、図1(b)に示すように、上記したモールド1の凹凸形状1aの上に、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を塗布する。この際、少なくともモールド1の凹凸形状1aが材料2に埋入するように材料2を塗布する。この繊維状導電性物質2aとしては、例えば、カーボンナノチューブ(単層CNT、二層CNT、多層CNT、ロープ状CNT等)、微細金属繊維(Au、Ag、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、Sn、Pb、Sn−Pb等からなる。)、窒化ガリウム(GaN)の繊維状物、酸化亜鉛(ZnO)の繊維状物等を用いることができる。また、材料2の塗布方法としては、例えば、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法等の各種の塗布方法を使用することができる。
【0027】
また、材料2としては、例えば、溶媒中に繊維状導電性物質2aを分散させたもの、樹脂溶液中に繊維状導電性物質2aを分散させたもの等を使用することができる。上記の溶媒としては、例えば、純水、エタノール、メタノール等を使用することができる。また、樹脂溶液としては、熱硬化性のものとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリ乳酸(PLA)等を例示することができる。光硬化性のものとしては、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を例示することができる。
【0028】
また、必要に応じて、上記の材料2の中に、分散剤を含ませてもよい。材料2として上記のような溶媒を用いた場合、分散剤として、例えば、第三級アミンのアミノ基を有する界面活性剤等を使用することができる。このカーボンナノチューブ等を分散させる際の分散温度としては、特に限定はないが、10℃〜180℃程度とすることが好ましく、20℃〜40℃程度とすることがさらに好ましい。分散温度が低いと分散し難くなり、分散温度が高すぎるとカーボンナノチューブ等が再凝縮を起こすからである。
【0029】
上記のように、モールド1の凹凸形状1aの上に、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を塗布した場合、図1(b)の右側に示すように、モールド1の凹凸形状1aの凸部の周囲に、繊維状導電性物質2aが網目状に分散した状態となる。
【0030】
次に、図1(c)に示すように、モールド1に塗布した材料2と接触するように、基板3を配置し、近接して対向配置されたモールド1と基板3との間に、材料2が介在した状態とする。そして、この状態で材料2の流動性を低下させる処理を行う。なお、基板3としては、例えば、ガラス基板、石英基板等の透明無機基板、又はプラスチック等のフレキシブル透明基板等を使用することができる。フレキシブル透明基板の材質の例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、アクリル樹脂、オレフィンマレイミド共重合体及びノルボルネン系樹脂等が挙げられる。基板3としてフレキシブル透明基板を使用した場合、シート状のフレキシブル透明基板の素材を、後述するようにロールとロールとの間で搬送しつつ加工することができる。
【0031】
材料2の流動性を低下させる処理とは、具体的には、材料2が、溶媒中に繊維状導電性物質2aを分散させたものの場合、加熱処理である。また、材料2が、樹脂溶液中に繊維状導電性物質2aを分散させたものの場合、熱硬化性の樹脂では加熱処理、光硬化性の樹脂では紫外線照射処理である。
【0032】
次に、図1(d)に示すように、モールド1を材料2から剥離する。これによって、図1(d)の右側に示すように、硬化した材料2のモールド1の凸部が存在した部位に形成された凹部2bの周囲に繊維状導電性物質2aが分散した網目状の繊維状導電性物質2aを含む樹脂薄膜、又は繊維状導電性物質2aの網目状薄膜が形成される。なお、この材料2からのモールド1の剥離工程では、例えば、超音波振動の印加等によって、モールド1と材料2とを剥離し易くすることが好ましい。
【0033】
上記モールド1を材料2から剥離する工程において、剥離を円滑に行うためには、予めモールド1の表面に材料2を剥離し易くするためのコーティングを施しておくことが好ましい。このようなコーティングとしては、例えば、フッ素樹脂コーティングを用いることができる。また、モールド1が石英製の場合、パーフルオロアルキル係のシランカップリング剤による撥水処理を行ってもよい。
【0034】
材料2として、溶媒中に繊維状導電性物質2aを分散させたものを用いた場合、樹脂を含まない繊維状導電性物質2aからなる網目状薄膜が形成されるため、この後、必要に応じて樹脂溶液等を塗布し硬化させて保護膜を形成する。また、材料2として、樹脂溶液中に繊維状導電性物質2aを分散させたものを用いた場合においても、形成された網目状の繊維状導電性物質2aを含む樹脂薄膜に凹部2bが形成されているため、必要に応じて樹脂溶液等を塗布し硬化させて表面を平坦化する。
【0035】
上記の第1実施形態では、表面に所定の凹凸形状1aが形成されたモールド1を用いて繊維状導電性物質2aが網目状に分散された薄膜からなる導電膜を形成するので、微細な粒状物を材料2に混合したり、混合した粒状物を除去する等の工程が不要となる。このため、従来に比べて導電膜の製造に要する時間の短縮と製造コストの低減を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。また、第1実施形態で製造された導電膜の上面はモールド1の周期的な凹凸形状1aが転写された構造になっており、繊維状導電性物質2aが全体に適度に分散された状態になるため、導電膜全体にわたって均一な導電性を得ることができる。さらに、透明導電膜である場合には、この周期的な凹凸構造によって繊維状導電性物質2aが存在しない部分も周期的な凹凸形状1aが転写された構造を形成するため、全体にわたり均一な光の透過性を備えた透明導電膜を得ることができる。
【0036】
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、図2(a)に示す基板3に対して、図2(b)に示すように、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を塗布する。
【0037】
次に、図2(c)、図2(d)に示すように、に示すように、基板3に塗布した材料2と接触するように、所定の凹凸形状1aを有するモールド1を凹凸形状1aが基板3側に向くように配置し、近接して対向配置されたモールド1と基板3との間に、材料2が介在した状態とする。この際、少なくともモールド1の凹凸形状1aが材料2に埋入するように材料2とモールド1とを接触させる。そして、この状態で材料2の流動性を低下させる処理を行う。
【0038】
次に、図2(e)に示すように、モールド1を材料2から剥離する。これによって、図2(e)の右側に示すように、硬化した材料2のモールド1の凸部が存在した部位に形成された凹部2bの周囲に繊維状導電性物質2aが分散した網目状の繊維状導電性物質2aを含む樹脂薄膜、又は繊維状導電性物質2aの網目状薄膜が形成される。
【0039】
上記のように、第2実施形態では、モールド1側ではなく、基板3側に材料2を塗布する点が、前述した第1実施形態と相違し、その他の点は第1実施形態と同様である。このため、重複した説明は省略する。この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0040】
次に、図3を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、まず、図3(a)に示すように、モールド1と基板3とを、モールド1の凹凸形状1aを基板3側に向けて近接対向配置した状態とする。
【0041】
そして、図3(b)に示すように、この状態で、モールド1と基板3との間に、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を注入する。これによって、近接して対向配置されたモールド1と基板3との間に、材料2が介在した状態とする。そして、この状態で材料2の流動性を低下させる処理を行う。モールド1と基板3との間に材料2を注入する方法としては、例えば、モールド1と基板3の側方からこれらの間に注入する方法、予めモールド1に複数の貫通孔を形成しておき、これらの貫通孔から注入する方法等を用いることができる。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、モールド1を材料2から剥離する。これによって、図3(c)の右側に示すように、硬化した材料2のモールド1の凸部が存在した部位に形成された凹部2bの周囲に繊維状導電性物質2aが分散した網目状の繊維状導電性物質2aを含む樹脂薄膜、又は繊維状導電性物質2aの網目状薄膜が形成される。
【0043】
上記のように、第3実施形態では、モールド1に材料2を塗布するのではなく、モールド1と基板3とを近接して対向配置した状態とし、モールド1と基板3との間に材料2を注入する点が、前述した第1実施形態と相違し、その他の点は第1実施形態と同様である。このため、重複した説明は省略する。この第3実施形態においても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0044】
次に、図4を参照して本発明の導電膜の製造装置の実施形態について説明する。図4に示すように、導電膜の製造装置100は、繊維状導電性物質2aを含み流動性を有する材料2を収容する容器101を具備している。この容器101には、内部に収容した材料2を撹拌するための撹拌機構102が設けられている。また、容器101と連通したノズル103が設けられ、容器101内に収容された材料2を表面に所定の凹凸形状1aが形成されたモールド1又は基板3のいずれか一方(図4ではモールド1)に塗布することができるようになっている。
【0045】
さらに、導電膜の製造装置100には、基板3を保持し、モールド1と基板3とを近接させるための機構として基板ステージ104と、モールド1と基板3との間に狭持された材料2の流動性を低下させる処理を行う硬化ユニット105が設けられている。この硬化ユニット105は、加熱機構又は紫外線照射機構から構成され、その硬化手段を適用する導電膜の種類に応じて、反応時間及び硬化ユニット105反応機構内の環境を変更可能なものとする。
【0046】
また、導電膜の製造装置100には、ベルトコンベアからなる搬送機構106が設けられており、モールド1及び基板3を、ノズル103の配置位置から硬化ユニット105内まで搬送できるようになっている。上記構成の導電膜の製造装置100では、搬送機構106によってモールド1及び基板3を搬送しつつ、基板3に繊維状導電性物質2aが網目状に分散された薄膜からなる導電膜を形成することができる。
【0047】
図5は、他の実施形態に係る導電膜の製造装置110の構成を示すものである。なお、図5において、図4に示した導電膜の製造装置100と対応する部分には、同一の符号を付して、重複した説明は省略する。
【0048】
本実施形態の導電膜の製造装置110は、板状の基板3に代えて可撓性を有するフレキシブル基板113を用いるものであり、ロール状のフレキシブル基板113を、間隔を設けて配設された他方のロールで巻き取ることによって搬送するように構成されている。また、板状のモールド1に代えて、表面に所定の凹凸形状111aが形成されたローラー状モールド111が設けられており、このローラー状モールド111を、フレキシブル基板113に塗布された材料2に接触させた状態で、ローラー状モールド111とフレキシブル基板113との間に介在する材料2を、硬化ユニット105により硬化させるが、その硬化手段を適用する導電膜の種類及びローラー状モールド111の回転機構に応じて、反応時間及び硬化ユニット105機構内の環境を変更可能なものとする。
【0049】
そして、フレキシブル基板113の送りに合わせてローラー状モールド111を回転させることにより、順次フレキシブル基板113上に繊維状導電性物質2aが網目状に分散された薄膜からなる導電膜を形成するよう構成されている。本実施形態の導電膜の製造装置110においても、前述した実施形態と同様の効果を奏することができ、さらに、フレキシブル基板113を用いることによって連続的に導電膜を形成することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1……モールド、1a……凹凸形状、2……材料、2a……繊維状導電性物質、2b……凹部、3……基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドと基板との間に、繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を介在させた状態とする工程と、
前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、
前記モールドを前記材料から剥離する工程と
を具備したことを特徴とする導電膜の製造方法。
【請求項2】
繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を、表面に所定の凹凸形状が形成されたモールド上に塗布する工程と、
前記基板を前記モールドに塗布された前記材料に接触させ、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、
前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、
前記モールドを前記材料から剥離する工程と
を具備したことを特徴とする導電膜の製造方法。
【請求項3】
繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を基板に塗布する工程と、
表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドを前記基板に塗布された前記材料に接触させ、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、
前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、
前記モールドを前記材料から剥離する工程と
を具備したことを特徴とする導電膜の製造方法。
【請求項4】
基板と表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドとを前記凹凸形状を前記基板側に向けて近接配置する工程と、
繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を、前記基板と前記モールドとの間に注入し、前記モールドと前記基板との間に前記材料を介在させた状態とする工程と、
前記材料の流動性を低下させる処理を行う工程と、
前記モールドを前記材料から剥離する工程と
を具備したことを特徴とする導電膜の製造方法。
【請求項5】
前記材料は、溶媒に繊維状導電性物質を混合したものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の導電膜の製造方法。
【請求項6】
前記材料は、樹脂溶液に繊維状導電性物質を混合したものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の導電膜の製造方法。
【請求項7】
前記材料の流動性を低下させる処理は、加熱処理であることを特徴とする請求項5又は6記載の導電膜の製造方法。
【請求項8】
前記材料の流動性を低下させる処理は、紫外線照射処理であることを特徴とする請求項6記載の導電膜の製造方法。
【請求項9】
前記繊維状導電性物質は、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の導電膜の製造方法。
【請求項10】
基板に導電膜を形成するための導電膜の製造装置であって、
繊維状導電性物質を含み流動性を有する材料を収容し、前記材料を撹拌するための機構を有する容器と、
表面に所定の凹凸形状が形成されたモールドと、
前記容器に連通し、前記材料を前記モールド又は前記基板のいずれか一方に塗布するためのノズルと、
前記モールドと前記基板とを近接させた状態に保持する機構と、
前記モールドと前記基板との間に介在する前記材料の流動性を低下させる処理を行う硬化ユニットと、
を具備したことを特徴とする導電膜の製造装置。
【請求項11】
前記硬化ユニットは、前記材料を加熱するものであることを特徴とする請求項10記載の導電膜の製造装置。
【請求項12】
前記硬化ユニットは、前記材料に紫外線を照射するものであることを特徴とする請求項10記載の導電膜の製造装置。
【請求項13】
繊維状導電性物質を含み、上面に所定の周期的凹凸構造を有する層を含むことを特徴とする導電膜。
【請求項14】
前記繊維状導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項13記載の導電膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−272409(P2010−272409A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124182(P2009−124182)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】