説明

小児腫瘍の治療

例えば、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫などの小児腫瘍の治療のための薬物を調製するのに有用である、サブクラスのカンプトテシン誘導体を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫などの小児腫瘍の治療のための薬物を調製するための、サブクラスのカンプトテシン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンプトテシン誘導体は、卓越したクラスの抗がん剤として出現したDNA-トポイソメラーゼI阻害薬である。タキサンとともに、トポイソメラーゼI阻害薬は、おそらく、臨床的実践に導入された最も重要な新しいクラスの抗がん剤である。前臨床試験により、カンプトテシン及びその誘導体などのトポイソメラーゼI阻害薬の、広範囲の腫瘍に対する著しいin vitro及びin vivoの活性が実証された。2つのトポイソメラーゼ阻害薬であるトポテカン及びイリノテカン(CPT-11としても知られている)が多くのヨーロッパ諸国及び米国において、それぞれ卵巣がん及び直腸結腸がんの患者の治療のために登録されたことによって示されるように、臨床試験からの結果は有望であった。他の誘導体は、現在、臨床開発の様々な段階にある。
【0003】
欧州特許出願第1044977号明細書、及びJ.Med.Chem.、2001年、44巻、3264〜3274頁において、7位にアルキルオキシムO-置換を保有し、参照の化合物であるトポテカンよりも高い抗腫瘍活性が与えられる、カンプトテシン誘導体が記載されている。さらに、7位にイミノ基を保有するこれらのカンプトテシン誘導体は、治療指標の改善も示す。これらの化合物の中で、好ましい分子の1つは、7-t-ブトキシイミノメチルカンプトテシン(CPT184、ST1481またはギマテカンとしても知られている)であることが示されていた。
【0004】
小児がんの年間死亡率は過去20年にわたって減少しているが、同集団における中枢神経系の腫瘍による死亡の割合は18パーセントから30パーセントに増加している。小児期の脳腫瘍の原因は、ほとんど知られていない。放射線への曝露は脳腫瘍にとって認められているリスクファクターであるが、他の環境性の毒素の役割は小児において不確かである。5パーセント未満の小児脳腫瘍は、良性腫瘍の神経組織上の増殖に関連する一般的な遺伝的病態である神経線維腫症などの知られている遺伝病に関連する(Serletis D、Parkin P、Bouffet E、Shroff M、Drake JM、Rutka JT、J Neurosurg.、2007年、106巻、363〜7頁)。
【0005】
1パーセントにすぎない小児期の脳腫瘍は出生時または生後数カ月で検出されるが、かなりの数が5歳前に診断され、発達異常が示唆される。実際、発達上の増殖シグナル経路における欠陥が、最近、胎児性腫瘍において特定されている。
【0006】
歴史的に、脳がんの診断は顕微鏡下で組織試料を観察する病理学者によって行われる。脳細胞を肉眼検査する(組織像)際に、病理学者はそのとき腫瘍タイプを分類することができる(Miller CR、Perry A、Arch Pathol Lab Med.、2007年、131巻、397〜406頁)。これを実践する限界は、脳腫瘍の多くは、実際にそれらが予後及び治療に対する反応が大幅に異なる、極めて異なる腫瘍である場合、組織像が類似することである。髄芽腫と診断された子供の中には、治療に良好に反応する者もいれば、そうではない者もいる。したがって、腫瘍の分類は、腫瘍組織をより正確に分類し、悪性度分けする、分子署名を用いる方向に動きつつある(Sardi I、Cavalieri D、Massimino M、Paediatr Drugs、2007年、9巻、81〜96頁)。
【0007】
小児腫瘍は、腫瘍の分類を混乱させる他に、過去において、成人における腫瘍に類似すると考えられていた。しかし、最近の研究では、小児脳腫瘍は、成人の脳腫瘍とは生物学的に非常に異なることが明らかになっている。一例として、小児及び成人の両方に生じる腫瘍である線維性星細胞腫とよばれる腫瘍がある(Collins、Nat Clin Pract Oncol.、2007年、4巻、362〜74頁)。
【0008】
生物学的に、これらは顕微鏡下で同じに見えても、極めて異なる挙動をする。小児におけるこの疾患は、小児期の間は高悪性度の腫瘍になることは滅多にないが、成人では高悪性度の腫瘍に変わり得る。
【0009】
これらの観察は、分子マーカーの最近の研究によってさらに支持される。成人において疾患を引き起こす特定の遺伝子の突然変異は、小児における疾患の原因ではないことがある。さらなる研究により、薬物標的の発見、及び関連の分子標的療法に対する豊かな機会が提供されるはずである。
【0010】
小児脳腫瘍の治療における手術の使用は十分に確立されているが、より効果的な治療が必要とされている。小児における腫瘍の状態及び治療を非侵襲的に評価するために撮像技術が用いられており、これによって同じ腫瘍の生検を繰返し得る必要性がなくなる。脳腫瘍の外科的切除の改善において達成された利益は、撮像技術の進歩の結果でもあり得る(Khatua S.、Jalali R、Pediatr Hematol Oncol.、2005年、22巻、361〜71頁)。外科医は、現在では、腫瘍の位置を特定し、断端を見極め、正常な脳組織を少なく切除することがより良くできる。小児患者におけるいくつかのタイプの脳腫瘍において、腫瘍切除の程度と生存の間には直接相関があるので、これは意義深い進歩である。撮像技術の進歩は、放射線治療技術における前進にも拍車をかけている(Greco C、Wolden S.、Cancer.、2007年、109巻、1227〜38頁)。撮像技術は、腫瘍のサイズ及び位置に関する情報を提供するだけではなく、腫瘍の生化学的プロファイルを評価するデータもやはり提供する。研究により、腫瘍のある生化学的成分の割合における変化は、腫瘍が積極的に増殖しているかを、腫瘍学者が判定する助けとなり得ることが示されている(Chen L、Madura K.、Cancer Res.、2005年、65巻、5599〜606頁;Chung TD、Broaddus WC、Mol Interv.、2005年、5巻、15〜9頁)。これらの結果は、積極的な、または厳格性の低い治療レジメンの選択を支持するものである。
【0011】
脳中の腫瘍及び組織への血流も、撮像によって調べられている。脳中の組織への血流量における変化の評価は、血管新生阻害薬の有効性の評価に不可欠である。これらの薬物は腫瘍を直接標的にするのではなく、腫瘍の増殖を支持する血管を裏打ちする細胞を攻撃する。腫瘍のサイズが縮小することはないかもしれないが、腫瘍を取り囲む血管数の減少は意義ある前進である(Kieran MW、J Neurooncol.、2005年、75巻、327〜34頁;Kibble A.、IDrugs.、2007年、10巻、5〜7頁)。血管新生阻害薬は、腫瘍を直接標的とする他の薬剤と組み合わされる可能性が十分にある。現在、これらの薬剤は、安全性に関して単独で試験中である。
【0012】
神経芽細胞腫は、その進行段階における予後がよくない、小児期における最も一般的な頭蓋外の固形腫瘍の1つである。治療の失敗は、薬物耐性の発生に付随することが多い。現在まで、小児神経芽細胞腫の治療は依然として見通しが暗く、したがって新規の有効な薬物が待たれている(Gutierrez JC、Fischer AC、Sola JE、Perez EA、Koniaris LG、Pediatr Surg Int.、2007年、23巻、637〜46頁)。横紋筋肉腫は、小児期がんすべての5%を表す、最も一般的な小児期の軟部肉腫である(M.Beth、McCarville、Sheri L.、Spunt and Alberto S.、Pappo AJR、2001年、176巻、1563〜1569頁)。これは骨格筋の分化に関係づけられる原始的な間葉系細胞から生じ、横紋筋を欠くものを含めた様々な器官及び組織に生じ得ると考えられている。
【0013】
原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)は、神経系の初期の発生からの、原始的な、または未分化の神経上皮細胞から発生する。後頭蓋窩のPNET、または髄芽腫は、小児における最も一般的な脳腫瘍である。症例の80%において、PNETを有する患者は頭痛及び嘔吐の重症症状を伴う急性の水頭症を発症し、塊を緊急に切除する必要がある(de Bont JM、den Boer ML、Kros JM、Passier MM、Reddingius RE、Smitt PA、Luider TM、Pieters R.、J Neuropathol Exp Neurol.、2007年、66巻、505〜516頁)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願第1044977号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】J.Med.Chem.、2001年、44巻、3264〜3274頁
【非特許文献2】Serletis D、Parkin P、Bouffet E、Shroff M、Drake JM、Rutka JT、J Neurosurg.、2007年、106巻、363〜7頁
【非特許文献3】Miller CR、Perry A、Arch Pathol Lab Med.、2007年、131巻、397〜406頁
【非特許文献4】Sardi I、Cavalieri D、Massimino M、Paediatr Drugs、2007年、9巻、81〜96頁
【非特許文献5】Collins、Nat Clin Pract Oncol.、2007年、4巻、362〜74頁
【非特許文献6】Khatua S.、Jalali R、Pediatr Hematol Oncol.、2005年、22巻、361〜71頁
【非特許文献7】Greco C、Wolden S.、Cancer.、2007年、109巻、1227〜38頁
【非特許文献8】Chen L、Madura K.、Cancer Res.、2005年、65巻、5599〜606頁
【非特許文献9】Chung TD、Broaddus WC、Mol Interv.、2005年、5巻、15〜9頁
【非特許文献10】Kieran MW、J Neurooncol.、2005年、75巻、327〜34頁
【非特許文献11】Kibble A.、IDrugs.、2007年、10巻、5〜7頁
【非特許文献12】Gutierrez JC、Fischer AC、Sola JE、Perez EA、Koniaris LG、Pediatr Surg Int.、2007年、23巻、637〜46頁
【非特許文献13】M.Beth、McCarville、Sheri L.、Spunt and Alberto S.、Pappo AJR、2001年、176巻、1563〜1569頁
【非特許文献14】de Bont JM、den Boer ML、Kros JM、Passier MM、Reddingius RE、Smitt PA、Luider TM、Pieters R.、J Neuropathol Exp Neurol.、2007年、66巻、505〜516頁
【非特許文献15】Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、N.J.、1991年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
現在、驚くべきことに2つのカンプトテシン誘導体が、in vivoにおける広範囲の小児腫瘍異種移植に対して腫瘍体積の阻害(TVI%)の点から参照化合物(イリノテカン)に関して優れた有効性を示すことが見出された。さらに、治療は、動物によって概ね良好に忍容され、急性毒性または遅延型の毒性の徴候はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
特に、本発明の主な目的は、例えば、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫などの小児腫瘍の治療のための薬物を調製するための式(I):
【化1】

[式中、Rは、水素またはC1〜C4アルキルである]
の化合物の使用である。
【0018】
式(I)の化合物は、互変異性体、幾何異性体;エナンチオマー、ジアステレオマー、及びラセミ型などの光学活性な形態、ならびに式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩も含む。
【0019】
式(I)の好ましい薬学的に許容できる塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及びパラ-トルエンスルホン酸塩などの薬学的に許容できる酸と形成される酸付加塩である。
【0020】
Rは、水素またはメチルであることが好ましい。
【0021】
式(I)の好ましい化合物は、7-(2-アミノ)エトキシイミノメチルカンプトテシン(ST1968、CPT188としても知られている)、及び7-(2-ジメチルアミノ)エトキシイミノメチルカンプトテシン(ST1969)である。
【0022】
式(I)の化合物は、以下の一般的方法及び手順を用いて、容易に入手できる出発材料から調製することができる。典型的な、または好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル、溶媒など)が与えられる場合、別段の記載がなければ、他の実験条件も用いることができることが理解されよう。最適の反応条件は、用いられる特定の反応物または溶媒とともに変化してよいが、このような条件は、当業者であればルーチンの最適化手順によって決定することができる。欧州特許出願第1044977号明細書、及びJ.Med.Chem.、2001年、44巻、3264〜3274頁に記載されている方法が特に言及される。
【0023】
本発明の態様の1つは、上記に記載した式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含む、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫からなる群から選択される腫瘍の病態に罹患している患者を治療する方法である。
【0024】
本明細書で用いられる「治療有効量」の語は、標的の疾患もしくは病態を治療し、改善するのに、または検出できる治療効果を表すのに必要とされる治療薬の量を意味する。
【0025】
あらゆる化合物に対して、治療有効投与量は、最初、例えば、新生細胞の細胞培養アッセイにおいて、または通常マウスもしくはラットである動物モデルにおいて、いずれかにおいて評価することができる。
【0026】
動物モデルも、好適な濃度範囲及び投与経路を決定するのに用いることができる。次いで、このような情報を用いて、ヒトにおける有用な投与量及び投与のための経路を決定することができる。
【0027】
ヒト対象に対する正確な有効量は、疾患状態の重症度、対象の全体的な健康、対象の年齢、体重、及び性別、食事、投与の時間及び頻度、(1つまたは複数の)薬物の組合せ、反応感受性、ならびに治療に対する忍容性/反応に依存する。この量は、ルーチンの実験によって決定することができ、医師の判断の範囲内である。一般的に、有効投与量は、0.01mg/kgから100mg/kg、好ましくは0.05mg/kgから50mg/kgである。組成物を、患者に個々に投与してもよく、または他の薬剤、薬物、もしくはホルモンと組み合わせて投与してもよい。
【0028】
薬物は、治療薬を投与するための薬学的に許容できる担体も含んでいてもよい。このような担体には、担体自体が、組成物を投与する個体に有害な抗体の生成を誘発しなければ、及び担体が過度の毒性なしに投与され得るならば、抗体及び他のポリペプチド、遺伝子及び他の治療薬、例えば、リポソームが含まれる。
【0029】
適切な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸共重合体、及び不活性のウイルス粒子など、大型の、代謝の遅い巨大分子であってよい。
【0030】
薬学的に許容できる担体の徹底的な考察は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.、N.J.、1991年)において入手できる。
【0031】
治療用組成物における薬学的に許容できる担体は、水、食塩水、グリセロール、及びエタノールなどの液体をさらに含むことができる。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質も、このような組成物中に存在してよい。このような担体は、医薬組成物が、患者が摂取するために、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして配合されるのを可能にする。
【0032】
配合後、本発明の組成物を、対象に直接投与することができる。治療すべき対象は動物であってよく、特にヒト小児対象を治療することができる。
【0033】
本発明の薬物は、それだけには限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)の適用、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、膣内、直腸内の手段を含むあらゆる数の経路によって、または外科手術後の罹患している組織に局所的に投与することができる。
【0034】
投与量治療は、単回投与量スケジュールであってもよく、または複数回投与量スケジュールであってもよい。
【0035】
本発明を、次に、非限定的な実施例によって、より詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[実施例]
様々な小児腫瘍異種移植モデルに対するin vivoの抗腫瘍活性
様々なヒト小児腫瘍モデルに対して抗腫瘍効果を評価した:SK-ND-AS(神経芽細胞腫)、PSFK(原始神経外胚葉性腫瘍/PNET)、TE-671(横紋筋肉腫)。ST1968を、スケジュールq4d×4に従って、ST1968に対して30mg/10ml/kg、及びCPT-11に対して50mg/10ml/kgの静脈内送達によって、CPT-11(イリノテカン)と比べて評価した。
【0037】
方法
指数関数的に増殖している腫瘍細胞を、胸腺欠損ヌードマウス中にs.c.注射した。腫瘍細胞の数を、増殖曲線によって予め選択した。マウスを、ステンレススチール製のカバーフィード付き、滅菌済み、ダストフリーのベディングコブ(bedding cob)を有するマクロロンケージ(33.2×15×13cm)中で飼育した。動物を、明暗サイクル下、温度及び湿度を一定に保って飼育した。動物室のパラメータは以下の通りに評価された:温度22±2℃、相対湿度55±10%、1時間あたり約15〜20回のろ過空気の交換、人工光線の12時間の概日サイクル(午前7時、午後7時)。依頼により環境条件をモニターした。データはAnimal Housing Archivesに保持する。飲料水を適宜供給した。各マウスには、試験を通して、毎日、完全ペレット食(GLP4RF21、Mucedola)を提供した。動物の餌及び水の分析証明書はSigma-Tau構内に保持してある。動物はすべて、実験開始前に体重測定し、様々な投与量群にさらに分けた。
【0038】
各ケージは、ケージ番号、群、腫瘍を注射した日、治療の開始日、試験アイテムの名称、投与量及び投与経路、屠殺日を示す紙製タグによって判別した。
【0039】
腫瘍の増殖を、2週間に1回、ノギスで腫瘍の直径を測定することによって追跡した。腫瘍体積(TV、mm3)を、[長さ(mm)×幅(mm)2]/2として計算した。ここで、幅及び長さは、各腫瘍の、それぞれ最短及び最長の直径である。
【0040】
薬物治療の有効性を、100-[(治療動物の平均腫瘍体積/対照動物の平均腫瘍体積)×100]として計算した、治療マウス対対照マウスにおける腫瘍体積の阻害(TVI%)として評価した。
【0041】
薬物治療の毒性を、体重減少パーセント(%BWLmax)=100-(平均BWX日目/平均BW1日目×100)として測定し、BWX日目は治療の間最大に減少した日の平均BWであり、BW1日目は治療1日目の平均BWである。
【0042】
結果
in vivo試験において、ST1968は、CPT-11に比べて、全モデルにおいて完全な腫瘍の退行が好適な速度である、顕著な抗腫瘍活性を示した。最も印象的な抗腫瘍効果は、腫瘍体積の阻害(TWI)がそれぞれ99%または100%であるという、高率の完全な反応によって実証されるように、PNET及び横紋筋肉腫モデルに対して観察された(表1)。興味深いことに、ST1968治療は、概ね、マウスで良好な忍容性を示し、急性毒性または遅延毒性の徴候はなかった。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児腫瘍の治療のための薬物を調製するための、式(I):
【化1】

[式中、Rは、水素またはC1〜C4アルキルである]
の化合物の使用。
【請求項2】
Rが水素またはメチルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
小児腫瘍が、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫からなる群から選択される、頭部及び頚部の癌腫である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I):
【化2】

[式中、Rは、水素またはC1〜C4アルキルである]
の化合物を、薬学的に許容できる担体及び/または賦形剤と混合するステップを含む、小児腫瘍の治療のための医薬組成物を調製するための方法。
【請求項5】
治療有効量の式I:
【化3】

[式中、Rは、水素またはC1〜C4アルキルである]
の化合物、または、薬学的に許容できる担体及び/または賦形剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む、横紋筋肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、及び神経芽細胞腫からなる群から選択される、小児腫瘍の病態に罹患している哺乳動物を治療する方法。

【公表番号】特表2010−534699(P2010−534699A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518590(P2010−518590)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058601
【国際公開番号】WO2009/015981
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】