説明

小動力のエレベータ

本発明は、小動力のエレベータに関し、より詳しくは、建物の昇降路に設置されるエレベータにおいて、人や荷物を運搬し、搭乗者や搭載された荷物の重量を測定する電子秤が底に取り付けられる昇降機と;前記昇降機に連結されており、昇降機の重量に応じて重量物を加減して昇降機の動きと反対に動く釣り合い重りと;前記釣り合い重りに重量物を供給する重量物供給手段と;前記昇降機の重量によって前記重量物供給手段から釣り合い重りに重量物を供給したり、前記釣り合い重りから重量物供給手段に重量物を排出させることを制御する制御手段と;を有して構成されている。前記昇降機の上昇時には、昇降機内の搭乗者や搭載された荷物の全体重量を測定し、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が重くなるように釣り合い重りに重量物を供給して昇降機を上昇させ、昇降機の下降時には、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が軽くなるように釣り合い重りから重量物を排出させて、昇降機自体の重力により下降させることを特徴とする。これにより、電力消費を減らして需用家の電気基本料金と消費電力料金などの電力料金を軽減することができるという効果がある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動力のエレベータに関し、より詳細には、井戸のバケットの原理により昇降機が稼動するシステムであって、電力節減のための小動力のエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にエレベータは、一定のレールに沿って機械的な力により上下に移動して人または荷物を運搬する装置であって、エスカレータ、ダムウェータなどの移動手段を総称する昇降機の一種である。
【0003】
ロープ式エレベータは、釣り合い重りを使用する方式である。この方式は巻上式のロープ車(滑車)とワイヤロープとの間の摩擦力を利用してカー(car)を動かしており、カー(car)の反対側に釣り合い重りがワイヤロープによって井戸のバケットのように連結されている。
【0004】
このような現在のエレベータは、建築物上層部の機械室に設置されている駆動電動機に直結された巻上機にワイヤロープを連結し、ギア変速による速度制御またはインバータなどにより運転するシステムであり、駆動電動機の容量が11kWである場合、専用変圧器では50KVA程度の容量が必要であり、共用変圧器ではエレベータの運転および停止に伴う電圧変動と、インバータ運転の場合、高調波が発生して他の機器に悪影響を与えるなど使用上の問題点がある。
【0005】
また、エレベータ使用により電気基本料金と消費電力料金が上昇して需用家の負担が増加し、変圧器の容量増加に伴う深夜の無負荷損失が増大するという問題点がある。
【0006】
既存のエレベータでは、上昇時の過多な電力消費のため変圧器容量が大きくなるとともに、停電時には非常発電機から給電を行うため非常発電機の容量が増加した。このため、非常発電機のメンテナンス費用が増大するなど、需用家の電気料金の上昇およびメンテナンス費用の増大だけでなく、変圧器と非常発電機の容量増大に伴う設置面積の増加と、大容量の非常発電機運転時の騒音および公害による環境汚染という問題点が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、エレベータの電力消費を減らして需用家の電気基本料金と消費電力料金など電力料金を軽減することができる小動力のエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の好適な一実施例による小動力のエレベータは、建物の昇降路に設置されるエレベータにおいて、人や荷物を運搬し、搭乗者や搭載された荷物の重量を測定する電子秤が底に取り付けられる昇降機と;前記昇降機に連結されており、昇降機の重量に応じて重量物を加減して昇降機の動きと反対に動く釣り合い重りと;前記釣り合い重りに重量物を供給する重量物供給手段と;前記昇降機の重量に応じて前記重量物供給手段から釣り合い重りに重量物を供給したり、前記釣り合い重りから重量物供給手段に重量物を排出させることを制御する制御手段と;を有して構成され、前記昇降機の上昇時には、昇降機内の搭乗者や搭載された荷物の全体重量を測定して、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が重くなるように釣り合い重りに重量物を供給して昇降機を上昇させ、昇降機の下降時には、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が軽くなるように釣り合い重りから重量物を排出して、昇降機自体の重力により下降させることを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、前記釣り合い重りは、前記重量物供給手段から重量物が供給される重量物投入口と、下部面に設置されて制御手段の制御信号を受けて一定量の重量物を重量物供給手段に排出させる重量物排出口が設置された筐体と;前記筐体の底に取り付けられて筐体内部の重量物の重量を測定し、その測定値を制御手段に送信する電子秤;とを有することを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、前記重量物供給手段は、昇降路の上側に設置されて制御手段の制御信号によって一定量の重量物を釣り合い重りに供給する第1重量物貯留ホッパーと;昇降路の下側に設置されて前記釣り合い重りから排出される重量物を受け集めて貯留する第2重量物貯留ホッパーと;および一側に投入口と他側に排出口とを備え、内部にスクリュー回転空間を有するケーシングと前記ケーシングの内部に移送スクリューを備えて、駆動モータの回転力により前記第2重量物貯留ホッパーから投入された重量物を投入口に供給して移送管を介して上側に移送し、排出口を介して前記第1重量物貯留ホッパーに供給する移送スクリュー装置と;を有して構成されることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、前記第1重量物貯留ホッパーは、昇降路の一側に固定されて移送スクリュー装置の移送ベルトから供給される重量物を受け集めることができる重量物貯留容器と;前記重量物貯留容器の空間を垂直に分離する複数個の開放ドアと;前記重量物貯留容器の下側に排出孔が形成され、重量物排出孔から排出される重量物を釣り合い重りにガイドする移動式パイプと;を有し、前記制御手段の制御信号を受けて開放ドアを開閉することにより重量物を前記釣り合い重りに供給することを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、前記第2重量物貯留ホッパーは、昇降路の一側に固定されて釣り合い重りから排出される重量物を受け集めることができる重量物貯留容器と;前記重量物貯留容器の上側に設置されて釣り合い重りから排出される重量物をガイドする移動式パイプと;を有して構成されることを特徴とする。
また、好ましくは、前記昇降機は、内部壁面に前記釣り合い重りに重量物が供給されたり排出される様子を表示するグラフィックモニターが設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は、小動力のコンベアベルトによる重量物の重量を利用して昇降機を上部に移動させ、昇降機の下降時には自体重量により下降するもので、電力使用量を既存のエレベータの半分に減らすことができ、画期的に電力を低減する効果がある。
【0014】
また、本発明は、昇降機の安全性のため災難に備えて昇降路の下端に無停電電源装置を設置することにより、使用電力量が少ないので安定的に電力を供給することができ、事故時にも無停電電源装置の容量を用いて昇降機を安定的に運行することができる。
【0015】
また、本発明は、非常用エレベータとして使用することもでき、展望用および高速用として使用すればより多くのエネルギー節約と安全性を得ることができ、大容量の荷物用リフトにも適用可能である。
【0016】
また、本発明は、駆動電動機から回生制動時に発生した電力を浄化糟内部に設けられる曝気槽に提供することで曝気槽の使用電力を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明による小動力のエレベータの斜視図である。図2は、本発明による釣り合い重りを概略的に示した側面図である。図3は、本発明による小動力のエレベータの側面図である。図4は、本発明による移送スクリュー装置を概略的に示した側面図である。
【0018】
図1〜図4を参照すれば、本発明による小動力のエレベータは、昇降機10の重量および搭乗者の重量と、釣り合い重り20の重量とを比較して、昇降に必要な重量物1を釣り合い重り20に供給することによってエレベータを運転させるものであり、一般的なエレベータの動作に使用される補助装置、すなわち、ドア閉め装置、自動着床装置、電子ブレーキ、電気制御装置(受信盤、制御手段、信号盤、Flow-Control、ガイドレール(Guide Rail)、ロープ(Rope)、調速機、緩衝器、スピードガバナー装置(2重保護)、最上層と最下層の全層におけるスローダウンスイッチ(Slow down switch)、スローダウンスイッチが動作しない場合は、最上層と最下層のモーションスイッチ、リタイアリングカム、ドア安全スイッチなど、その他の全ての安全装置は、既存エレベータのものをそのまま使用するので詳細な説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明による小動力のエレベータを示している。このような本発明の小動力のエレベータは、大きく分けて人または荷物を運搬する昇降機10と、昇降機10の反対側に設置されて昇降機10とのバランスを維持するための釣り合い重り20と、前記釣り合い重りに重量物1を供給する重量物供給手段30と、さらに、これらに電気的に接続された制御手段40とから構成されている。これらの各構成要素を詳細に説明する。
【0020】
まず、前記昇降機10は人または荷物を運搬するもので、昇降機10の底には搭乗者や搭載された荷物の重量を測定する電子秤110が取り付けられており、電子秤110により測定された重量を制御手段40に送信する。前記電子秤110は、オーバーロード(Over road)装置の周辺に設置することが好ましい。
【0021】
そして、前記昇降機10は、その内部に釣り合い重り20に重量物1が供給されたり排出される間、乗客が退屈しないようにするため、グラフィックモニター120を設けて重量物1が供給・排出される様子を見ることができるようにし、供給・排出される間はブレーキが動作して、エレベータが動作しないようにする。
【0022】
さらに、本発明の前記重量物1として鉄ボールを使用することが好ましい。ここで、重量物1として鉄ボールを使用する大きな理由は、水の比重は1であるが、鉄の比重は7.8で容積を大きく減少させることができるためであり、移送スクリューやコンベヤベルトを使用すれば、2トン位の重量物1を短い時間に建物の最上部に送ることができるので運転時間を短縮することができる。
【0023】
図2に示したように、前記釣り合い重り20は、巻上機2と調速機3、およびメインケーブル4により昇降機10の反対側に設置されており、昇降機10の重量に応じて重量物1を加減して昇降機10の動きと反対に動くものである。前記釣り合い重り20は、通常の駆動電動機の駆動力の代りに、昇降機10を上下移動させるため、内部に重量物1を貯留することができる筐体210を有する。
【0024】
また、前記釣り合い重り20は、前記筐体210の上側に貫通形成された重量物投入口212を介して以下に述べる重量物供給手段30から供給される重量物1が流入し、前記筐体210の下側に貫通形成された重量物排出口214を介して以下に述べる重量物供給手段30に重量物1を排出する。
【0025】
さらに、筐体210の底には、供給された重量物1が重量物排出口214側にガイドされるように傾斜面が形成されており、前記筐体210内部に供給された重量物1の総重量を測定し、その測定値信号を制御手段40に送信する電子秤220が底に取り付けられている。
【0026】
図1および図2に示したように、前記重量物供給手段30は、前記釣り合い重り20に重量物1を供給するもので、昇降路の上下端にわたって設けられた第1重量物貯留ホッパー310と第2重量物貯留ホッパー320、および移送スクリュー装置330から構成されている。
【0027】
まず、前記第1重量物貯留ホッパー310は、昇降路の上側に設置されており、以下に述べる移送スクリュー装置330から落下する重量物1を受け集めるための重量物貯留容器312と、前記重量物貯留容器312の空間を垂直に分離する複数個の開放ドア314とを有し、制御手段の制御信号に従って開閉することにより重量物を前記釣り合い重り20に供給する。また、前記重量物貯留容器312は、貯留された重量物1が一側に集まるように傾斜面を有し、前記傾斜面の側端には制御手段40の開閉信号に従って開閉する重量物供給穴316が形成されている。そして、前記重量物供給穴316の一側に移動式パイプ318が設置されている。前記移動式パイプ318は、制御手段40の制御信号によって長さが可変に形成されており、前記重量物供給穴316から排出される重量物1を釣り合い重り20の重量物投入口220までガイドする役割をする。すなわち、前記移動式パイプ318は、昇降機10が昇降して目的層に停止したとき、制御手段40の制御信号によって連動して、前記第1重量物貯留ホッパー310と釣り合い重り20とを連結させて重量物1を安定的に供給できるようになる。
【0028】
次に、前記第2重量物貯留ホッパ320は、エレベータが設置されている昇降路の下側に設けられ、前記釣り合い重り20から排出される重量物1を受け集めることができる重量物貯留容器322を有し、さらに同様に、前記第2重量物貯留ホッパ320にも釣り合い重り20から排出される重量物1をガイドする移動式パイプ324が設置されている。前記移動式パイプ324も制御手段40の制御信号によって長さが可変に形成されており、前記釣り合い重り20の重量物排出口230を介して排出される重量物1を移送スクリュー装置330に安定的にガイドする。この際、前記第2重量物貯留ホッパ320の傾斜面に沿って重量物1が自動的に流れ、以下に説明する移送スクリュー装置330に供給されるようになる。
【0029】
図4に示したように、前記移送スクリュー装置330は、一側に投入口331と他側に排出口332とを備え、内部にスクリュー回転空間を有するケーシング333とこのケーシング333の内部に移送スクリュー334を備えて、駆動モータ335の回転力により前記投入口331から投入された重量物1を移送管336を介して下端から上端に移送する。
【0030】
すなわち、駆動モータ335が駆動すると、この駆動モータ335の出力軸に連結された移送スクリュー334が回転する。この際、移送スクリュー334の回転方向が反時計方向に回転すると、重量物貯留容器322に貯留されている重量物1がケーシング333の投入口331に投入されて移送スクリュー334の溝に沿って上側に移送されて、ケーシング333の排出口332に排出され、移送管336を介して連続的に上側に移送されるようになる。
【0031】
次に、前記制御手段40は、エレベータの制御盤に設けられており、昇降機10にとともに移動する電源供給ケーブル5に連結されて昇降機10の速度制御および運行管理制御だけでなく、前記昇降機10および釣り合い重り20に取り付けられた電子秤(110、220)により測定された搭乗者や搭載された荷物の重量に比例して、前記重量物貯蔵装置(310、320)から釣り合い重り20に重量物1を供給したり、前記釣り合い重り20から重量物貯蔵装置(310、320)に重量物1を排出させることを制御する。
【0032】
すなわち、前記制御手段40は、前記昇降機10および釣り合い重り20の電子秤の重量測定値信号に従って第1重量物貯留ホッパ310に貯留された重量物1を釣り合い重り20内部に供給したり、釣り合い重り20にあった重量物1を第2重量物貯留ホッパ320に排出するように制御する。さらに、前記制御手段40は、前記釣り合い重り20の重量物排出口214の開閉、第1重量物貯留ホッパ310の重量物供給穴316の開閉および移送式パイプ318の動作、第2重量物貯留ホッパ320の移動式パイプ324の動作を制御すると同時に、前記移送スクリュー装置330の動作も連動制御する。
【0033】
以下、上記の構成を有する本発明の好適な一実施例による小動力のエレベータの昇降動作を詳細に説明する。
【0034】
図5は、本発明の好適な他の実施例による小動力のエレベータの昇降機が最下層に到達、釣り合い重りが最上層に到逹した場合の例を示している。
【0035】
図5に示したように、まず、第2重量物貯留ホッパ320には重量物1が積載されている。第2重量物貯留ホッパ320の底面が傾斜しているので重量物1が移送スクリュー装置330のケーシング333内に入り、重量物1は移送スクリュー334に供給される。その後、移送スクリュー334が駆動モータ335により回転すると、重量物1は移送管336を介して連続的に垂直移動して第1重量物貯留ホッパ310に貯留される。
【0036】
このような状態で乗客が昇降機内の上昇ボタンを押すと、昇降機10が動作する前に昇降機10の底に取り付けられた電子秤110で昇降機10自体の重量と搭乗客の総重量が測定して小、中、大に区分し、その信号を電気的に接続された制御手段40に送信する。
【0037】
前記制御手段40は、受信された信号に従って昇降機10の総重量よりも重くなるように重量物1の供給量を計算し、第1重量物貯留ホッパ310の移動式パイプ318を釣り合い重り20の重量物投入口212に連結した後、重量物貯留容器312の開放ドア314および重量物供給穴316を開閉する。この際、制御手段40の信号によって小、中、大に分けられ、開放ドア314の開閉数によって小、中、大に分けられ、乗客が少数である場合は、制御手段40からの信号に従って開放ドア314の1つが下に下がってオープンになり、乗客が多数である場合は、開放ドア314がすべてオープンになり重量物貯留容器312にあった重量物1が重量物供給穴316から移動式パイプ318を介して釣り合い重り30内に投入される。図面では、乗客が多数である場合、開放ドア314がすべてオープンになった状態を示している。次いで、重量物1が釣り合い重り30の筐体210内部に全部供給されると重量物供給穴316が閉まり、移動式パイプ318が元の位置に復帰すれば、ロープグリッパ(Gripper)や電子ブレーキ(図示せず)が徐々に圧力を減少し、釣り合い重り20はその重量によって下降し、昇降機10は反対に上昇するようになる。ここで、供給される重量物1の総重量と釣り合い重り20自体の重量を、昇降機10と搭乗客を合算した重量の約1.5〜2倍にすれば、釣り合い重り20の重量により昇降機10は上に上昇し、釣り合い重り20は下降して、昇降機10は乗客が押した目的層に到達することができる。
【0038】
図6は、本発明の他の実施例による小動力のエレベータの昇降機が最上層に到達し、釣り合い重りは最下層に到逹した場合の例を示している。
【0039】
図6に示したように、この実施例では、昇降機10が最上層(5階)で待機し、釣り合い重り20は最下層(1階)に下降して重量加減に使用される重量物1を下層に設置されている第2重量物貯留ホッパ320に排出する。
【0040】
このような状態で、乗客が昇降機内部の下降ボタンを押すと、昇降機10が出発する前に昇降機10の底に取り付けられた電子秤110で昇降機10自体の重量と搭乗客の総重量を測定し、その測定された信号を電気的に接続された制御手段40に送信する。
【0041】
前記制御手段40は、受信された信号に従って昇降機10の総重量よりも軽くなるように重量物1の排出量を計算し、第2重量物貯留ホッパ320の移動式パイプ324を釣り合い重り20の重量物排出口214に連結した後、釣り合い重り20の重量物排出口214を開放して重量物1を第2重量物貯留ホッパ320に排出させる。
この際、釣り合い重り20内では、排出される重量物1の重量を電子秤220で感知して計算した重量に達すると、その信号をさらに制御手段40に送信して釣り合い重り20の重量物排出口214を閉めるようにし、移動式パイプ324が元の位置に復帰すると、ロープグリッパ(Gripper)や電子ブレーキ(図示せず)は徐々に圧力を減少し、昇降機10はその重量によって下降、釣り合い重り20は反対に上昇するようになる。
【0042】
また、インテリジェントビルのように大きなビルの場合は、中間の数ヵ所に上部第1重量物貯留ホッパ310と下部第2重量物貯留ホッパ320とを設置するようにしている。要するに、上昇した後再び下降しなければならない場合、中間に設置された第2重量物貯留ホッパ320から釣り合い重り20の重量物1を排出することによって昇降機10が再び下降することができる。反対の場合も上記と同様である。しかし、上記のように重量物貯留ホッパー(310、320)を各階に設置することは難しいので3階または5階ごとに設置して需要に適切に対応することができる。この際、特定階に設置された重量物貯留ホッパー(310、320)の重量物1が一定値を超えたり、その以下である場合は、重量物貯留ホッパー(310、320)内に設置された電子秤(図示せず)により移送スクリュー装置330の移送管333を介して移送される重量物1が継続して供給される。
【0043】
また、5階の建物の場合、乗客が3階で全員降りた場合にも、昇降機10が5階まで上がると、釣り合い重り20は反対に基準層に到着して釣り合い重り20内のすべての重量物1を下層の第2重量物貯留ホッパー320に移動し、昇降機10は制御手段40の信号に従って再び基準層に下降する。
【0044】
そして、小動力のエレベータの上昇および下降において、制御手段40の信号により電気的に連結されていない駆動電動機の3ステージのうち2ステージの位置を変更し発電機として動作させてブレーキの役割をする、すなわち、冬期には駆動電動機から発生した電気を抵抗器を通じて熱エネルギーとして外部に放出する発電制動方式を利用し、冬期以外は、発生した電気を浄化槽の曝気槽に連結して使用する回生制動方式を利用して昇降機が一定速度を維持するようにする。駆動電動機の容量は、昇降機の速度を考慮して決定する。
【0045】
次に、図7は本発明の好適なまた他の実施例による小動力のエレベータの斜視図で、重量物供給手段30としてバケットコンベヤ装置340を備えている。
【0046】
図7に示したように、前記バケットコンベヤ装置340を詳細に説明すると、前記第1重量物貯留ホッパ310と第2重量物貯留ホッパ320に隣接して垂直に設置された垂直コンベヤ342の上下側にラッチングギア(344、344')を形成し、前記垂直コンベヤ342に重量物1を少なくともも2つ以上を収容できるバケット346を設け、垂直コンベヤ342の一側には張力を付与するテンションギア348と、前記下側のラッチングギア344'の中央後方には前記垂直コンベヤ342を駆動させる駆動モータ(図示せず)が設置されて構成されている。これによって、垂直コンベヤ342に設置されたバケット346が下方に移動し、バケット346がさらに上方に移動する間、複数個の重量物1が充填された第2重量物貯留ホッパー320内に入るので、前記重量物1がバケット346に載せられて上方向に連続的に移送される。垂直移送が完了した状態でバケット346の方向が変わると、重力によりバケット346に載せられた重量物1が第1重量物貯留ホッパー310に落下して積載される。
【0047】
以下、本発明による小動力のエレベータが設置された20階建ての建物、高さ60mの構築物における動作について説明する。
【0048】
本実施例で使用される乗用エレベータは11人乗で、これを駆動する駆動電動機の容量は11kWとする。
【0049】
まず、本発明による重量物1として鉄ボールを使用し、建物の上部60mまで鉄ボールをあげる場合、コンベヤの容量を5.5kW使用すれば鉄ボールの供給量は1分当たり0.28トンになるので、小動力のエレベータを動かすのに必要な鉄ボールの量は、最小1.96トン{65(kg/1人平均重量)×11人=715kg(定員)、昇降機の重量1トン、釣り合い重り20の基本重量0.6トンであり、2.58トン(1.71×1.5倍)−0.6トン(釣り合い重り(20))=1.96トン}で、7分かかる。ところが一般のアパートではエレベータが満員になることはほとんど無いので、アパート上部の第1重量物貯留ホッパー310として約4トンの容量を設置すれば需要に適切に対処することができる。
【0050】
このようなエレベータは、乗用だけではなく展望用および障害者用としても使用することができ、頻繁な運行停止のため上記の鉄ボールの供給および排出時間が問題になる場合は比重の高い物質を使用するのがよい。
【0051】
また、一般的に使用されるエレベータの駆動電動機の容量が11kWである場合、まず変圧器容量は50KVAが必要である。この場合、電気基本料金が上昇し、エレベータの急制動および出発によっても電力量料金が上昇する。これによって韓国電力パッド変圧器や柱上変圧器の容量が増加し、エレベータを使用しない深夜時間にはエレベータ専用変圧器の無負荷損失が増加し、専用ではない共用変圧器の場合でも、共用変圧器の容量が50KVAだけ増加し、増加した容量に応じて無負荷損失が増大する。
【0052】
しかし、本発明による小動力のエレベータは、コンベヤ5.5kWを設置して上部に移送する場合、5.5kW程度はY−△起動が可能であるので別の変圧器が不要であり、一般電灯、電熱用変圧器に5.5kW容量だけ追加してそのまま使用可能である。よって、本発明による小動力のエレベータは、50KVAに対する電気基本料金と消費電力料金および無負荷電力料金を節減することができ、画期的にエネルギーを節約することが可能になる。さらに、従来のインバータ運転においても、高調波の発生が他の機器に悪影響を及ぼし、駆動電動機の容量に応じて変圧器容量が増加するという問題点を解決できる。
【0053】
以下、本発明による小動力のエレベータの電気料金と従来の一般的なエレベータの電気料金とを比較して説明する。
【0054】
電気料金の節減額を算定する前に、昇降機内部の照明施設、ドアの開閉などは同一であるので除外し、駆動電動機の使用および未使用による費用差異について説明する。
【0055】
一般用電力(例;household electricity)を使用する高圧Aの場合(2006年初基準)、基本料金は5,480ウォン(kW当たり)、電力量料金は89.8ウォン(kW/中間、最大負荷の平均値、軽負荷は使用が少ないので除く)であり、建物は20階建で高さが60m、、1日平均8時間使用、エレベータの駆動電動機の容量が11kWである場合(インバータ方式と比較)、従来方式のエレベータの電気料金は、電気基本料金が5,480ウォン×11kW×1.1(付加税)=66,308ウォン(1ヶ月)であり、電力量料金が89.8ウォン×11kW×8時間ン×30日×1.1(付加税)=260,779ウォン(1ヶ月)であるので、1ヶ月分の電気料金は327,087ウォン、1年分の料金は3,925,044ウォンになる。
【0056】
これに対し、本発明による小動力のエレベータを適用すれば、移送スクリュー装置330の駆動モータ335容量が5.5kW、釣り合い重り20における重量物排出口214の開閉電力、および第1重量物貯留ホッパー310における重量物供給穴316の開閉電力容量が0.5kWであり、電気基本料金は5,480ウォン×6kW(5.5kW+0.5kW)×1.1(付加税)=36,168ウォン(1ヶ月)であり、消費電力料金は89.8ウォン×6kW×8時間×30日×1.1(付加税)=142,243ウォン(1ヶ月)であるので、1ヶ月分の電気料金は178,411ウォン、1年分の電気料金は2,140,932ウォンになる。
【0057】
このように、本発明による小動力のエレベータと従来のエレベータとの電気料金の差額は1,784,112ウォンで、昇降機内の照明、換気ファン、エレベータのドア開閉に使用される電気は同じであるので差し引いても1年で1,770,000ウォンの電気料金を節約することができる。
【0058】
また、別の変圧器使用による無負荷損失および利用時間が多くなるほどその差額は大きくなる。
【0059】
さらに、従来のインバータ方式と本発明による運転方式とを比較すると、インバータ方式では高周波の発生が予想され、本発明の小動力のエレベータ運転方式において、移送スクリューやコンベヤベルトに使用する駆動電動機をインバータとして適用すればより多くのエネルギーを節減できる。しかし、根本的な差異は、本発明の小動力のエレベータ運転方式は、昇降機10が上昇するときは重量物1の重量によって上昇するので、重量物1を上層に上げるため移送スクリュー装置330の駆動モータ335の動力が必要であるが、逆に下降するときは昇降機10自体の重量で下降することができるので、同じ条件で半分のエネルギーを使用するという長所がある。
【0060】
以上のように、本発明による小動力のエレベータは、昇降路の上下部壁面の内部に上部第1重量物貯留ホッパー310と、下部第2重量物貯留ホッパー320とを設置し、これらを移送スクリュー装置330に連結して、重量物1が上下側に円滑に供給されるように構成されており、乗客数と昇降機の重量を考慮して昇降機10の底部に設置された電子秤110からの信号を電気的に連結された制御手段40で感知し、第1重量物貯留ホッパー310に設置された重量物供給穴314を開閉して一定量の重量物1を釣り合い重り20に供給することで、釣り合い重り20の重量によって釣り合い重り20が下降し、昇降機10は反対に上昇する。昇降機10が最上部に到逹すると、基準層に到逹した釣り合い重り20は制御手段40の信号によって釣り合い重り20内の重量物1を第2重量物貯留ホッパー320に排出し、釣り合い重り20が昇降機10より軽くなり、再び昇降機10は下降し、釣り合い重り20は上昇するシステムである。このように、駆動電動機に電気を供給せずに昇降機10の下降時には重力を利用した自体重量により下降させることによって、電気エネルギーを節約することを可能にした有用な発明である。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、昇降機の安全性のため災難に備えて昇降路の下端に無停電電源装置を設置することにより、使用電力量が少ないので安定的に電力を供給することができ、事故時にも無停電電源装置の容量を用いて昇降機を安定的に運行することができる。
【0063】
また、本発明は、非常用エレベータとして使用することもでき、展望用および高速用として使用すればより多くのエネルギー節約と安全性を得ることができ、大容量の荷物用リフトにも適用可能である。
〔図面の簡単な説明〕
〔図1〕 本発明による小動力のエレベータを示した斜視図。
〔図2〕 本発明による釣り合い重りを概略的に示した側面図。
〔図3〕 本発明による小動力のエレベータの側面図。
〔図4〕 本発明による移送スクリュー装置を概略的に示した側面図。
〔図5〕 本発明の好適な一実施例による小動力のエレベータの昇降機が最下層に到達、釣り合い重りが最上層に到逹した場合の例示図。
〔図6〕 本発明の好適な他の実施例による小動力のエレベータの昇降機が最上層に到達、釣り合い重りが最下層に到逹した場合の例示図。
〔図7〕 本発明の好適なまた他の実施例による小動力のエレベータを示した斜視図
【符号の説明】
【0064】
1…重量物
2…巻上機
3…調速機
4…メインケーブル
5…移動ケーブル
10…昇降機
20…釣り合い重り
30…重量物供給手段
40…制御手段
110…電子秤
120…グラフィックモニター
210…筐体
212…重量物投入口
214…重量物排出口
220…電子秤
310…第1重量物貯留ホッパー
312…重量物貯留容器
314…開放ドア
316…重量物供給穴
318…移動式パイプ
320…第2重量物貯留ホッパー
322…重量物貯留容器
324…移動式パイプ
330…移送スクリュー装置
331…投入口
332…排出口
333…ケーシング
334…移送スクリュー
335…駆動モータ
336…移送管
340…バケットコンベヤ装置
342…垂直コンベヤ
344、344'…ラチェットギア
346…バケット
348…テンションギア
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の昇降路に設置されるエレベータにおいて、
人や荷物を運搬し、搭乗者や搭載された荷物の重量を測定する電子秤が底に取り付けられる昇降機と;
前記昇降機に連結されており、昇降機の重量に応じて重量物を加減して昇降機の動きと反対に動く釣り合い重りと;
前記釣り合い重りに重量物を供給する重量物供給手段と;
前記昇降機の重量に応じて前記重量物供給手段から釣り合い重りに重量物を供給したり、前記釣り合い重りから重量物供給手段に重量物を排出させることを制御する制御手段と;を有して構成され、
前記昇降機の上昇時には、昇降機内の搭乗者や搭載された荷物の全体重量を測定して、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が重くなるように釣り合い重りに重量物を供給して昇降機を上昇させ、昇降機の下降時には、昇降機の全体重量よりも釣り合い重りの重量が軽くなるように釣り合い重りから重量物を排出させて昇降機自体の重力により下降させることを特徴とする小動力のエレベータ。
【請求項2】
前記釣り合い重りは、
前記重量物供給手段から重量物が供給される重量物投入口と、下部面に設置されて制御手段の制御信号を受けて一定量の重量物を重量物供給手段に排出する重量物排出口とが設置された筐体と;
前記筐体の底に取り付けられて筐体内部の重量物の重量を測定し、その測定値を制御手段に送信する電子秤;とを有することを特徴とする請求項1に記載の小動力のエレベータ。
【請求項3】
前記重量物供給手段は、
昇降路の上側に設置されて制御手段の制御信号によって一定量の重量物を釣り合い重りに供給する第1重量物貯留ホッパーと;
昇降路の下側に設置されて前記釣り合い重りから排出される重量物を受け集めて貯留する第2重量物貯留ホッパーと;および
一側に投入口と他側に排出口とを備え、内部にスクリュー回転空間を有するケーシングと前記ケーシングの内部に移送スクリューを備えて、駆動モータの回転力によって前記第2重量物貯留ホッパーから投入された重量物を投入口に供給して移送管を介して上側に移送し、排出口を介して前記第1重量物貯留ホッパーに供給する移送スクリュー装置と;を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の小動力のエレベータ。
【請求項4】
前記第1重量物貯留ホッパーは、
昇降路の一側に固定されて移送スクリュー装置の移送ベルトから供給される重量物を受け集めることができる重量物貯留容器と;
前記重量物貯留容器の空間を垂直に分離する複数個の開放ドアと;
前記重量物貯留容器の下側に排出孔が形成され、重量物排出孔から排出される重量物を釣り合い重りにガイドする移動式パイプと;を有し、
前記制御手段の制御信号を受けて開放ドアを開閉することにより重量物を前記釣り合い重りに供給することを特徴とする請求項3に記載の小動力のエレベータ。
【請求項5】
前記第2重量物貯留ホッパーは、
昇降路の一側に固定されて釣り合い重りから排出される重量物を受け集めることができる重量物貯留容器と;
前記重量物貯留容器の上側に設置されて釣り合い重りから排出される重量物をガイドする移動式パイプと;を有して構成されることを特徴とする請求項3に記載の小動力のエレベータ。
【請求項6】
前記昇降機は、
内部壁面に前記釣り合い重りに重量物が供給されたり排出される様子を表示するグラフィックモニターが設置されていることを特徴とする請求項1に記載の小動力のエレベータ。

【公表番号】特表2009−506964(P2009−506964A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529915(P2008−529915)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003508
【国際公開番号】WO2007/029950
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508066120)
【Fターム(参考)】