説明

小型カップラー

【課題】 連結やその解除が容易でありながら小型構造のカップラーを提供する。
【解決手段】 いずれか一方のコネクターが、先端が開口した接続用円筒部31と、中空が形成されたハウジング32と、軸線に沿って開閉方向に往復移動可能なピストンバルブ33と、ピストンバルブを閉方向に押圧する弾性体とを備え、ピスンバルブ33は、ハウジングと接触してシールするリング状凸部33dとシールせずに接触し縦溝流路を形成する概略リング状凸部33eとで保持され、ピストンバルブ33の外周側とハウジング32の内壁との間に流路を形成し、流路がリング状凸部33dによってシールされ、ハウジングの外部に向けて開口した流路孔と連通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、供給側と受容側とのコネクターを連結することにより、少なくとも一方のコネクターに設けられた弁座が開いてそれぞれのコネクターの流路を連通させるように構成されたカップラーに関し、特にメタノール燃料電池のカートリッジ容器と燃料電池本体との間に設けられるカップラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体燃料をエネルギー源とする機器において、機器の運転や使用に伴って減少する燃料などの液体を補充する必要がある場合が多く、機器本体側に設けた容器にカートリッジ容器を連結して燃料などの液体を移すことで供給したり、機器本体側の容器と別の容器を付け替えて燃料などを供給することが行われている。また、このような容器同士の連結や容器の付け替えを簡単にするため、着脱可能な種々のカップラーが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ソケットとプラグとにそれぞれ弁体が設けられ、これらの弁体は、その軸線方向での後側に配置されたスプリングによって弁座に対して押圧されるとともに、その弁座に接触する部分より先端側に突出した操作部などの突出部を備えている連結装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−057007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された連結装置では、メタノール等の流路がピストンバルブの上部シール部の内側からピストンバルブの内面側に流路を形成させているため、ピストンバルブの略中間部から下部が空洞になり、円周上に壁が必要なためピストンバルブの径を小さくすることが難しく、また、製作するための金型形状も複雑な構造となるためなおさらピストンバルブを小さくすることが非常に困難であった。
【0006】
また、シール部の外側に金属製コイルばねを形成しているために、ソケット本体の内径及びハウジングの内径が大きくなり、また、ソケット本体とハウジングがフランジ部を介して連結されているため、ソケットの外径が必然的に大きくなり燃料電池本体を薄くすることができないという問題があった。
【0007】
さらに、ピストンバルブのシール部がハウジングとソケット本体の二箇所に分かれているため、三部品の同心度を取るのが難しく、ピストンバルブがスムーズに移動をしない、または、密封性に不都合を生じる等の問題があった。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、連結とその解除が容易でありながら小型構造のカップラーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、供給側コネクターと受容側コネクターとを相互に嵌合させることにより開弁して供給側コネクターに形成されている供給側流路と受容側コネクターに形成されている受容側流路とを連通させる小型カップラーにおいて、前記供給側コネクターと受容側コネクターとの少なくともいずれか一方のコネクターは、他方のコネクターに嵌合させられるように先端部に形成されかつ開口した接続用円筒部と、その接続用円筒部の後方側に連続して一体に形成されるとともに前記接続用円筒部に連通された中空のハウジングと、そのハウジングの内部に軸線方向に前後動可能に格納されたピストンバルブと、そのピストンバルブと前記ハウジングの内周面の間を液密状態にシールするとともにピストンバルブをハウジングの内周面に沿って摺動させるように案内しかつ前記ピストンバルブの後端部側に設けられたシール部と、そのシール部よりも先端部側で前記ピストンバルブを前記ハウジングの内面に摺動させるように設けられた摺動支持部と、前記シール部よりも先端部側で前記ピストンバルブと前記ハウジングの内面との間に形成されかつ前記ハウジングの外部に向けて開口した流路と、前記シール部より後端部側で前記ハウジングの内部に収容されて前記ピストンバルブを先端部側に押圧する弾性体と、その弾性体によって押圧されて前記ピストンバルブが先端部側に位置する状態で前記ピストンバルブの少なくとも一部を密着させて前記流路と前記接続用円筒部との連通を遮断する弁座部とを備えていることを特徴とする小型カップラーである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記弾性体は金属製コイルばねであって、当該弾性体が複数設けられたことを特徴とする小型カップラーである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、一方の前記接続用円筒部が、他方の前記接続用円筒部よりも小径に形成され、かつ当該一方の接続用円筒部の外周には当該他方の接続用円筒部と嵌合連結してシールする凸部が設けられるとともに、当該一方の接続用円筒部の材質が、当該他方の接続用円筒部の材質より軟らかいことを特徴とする小型カップラーである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加え、前記シール部と摺動支持部との少なくともいずれか一方が、前記ピストンバルブに一体に形成された凸部によって構成され、かつ前記各コネクターのハウジングおよびピストンバルブが、熱可塑性樹脂材からなるとともに、前記ピストンバルブの材質が前記ハウジングの材質より軟らかい熱可塑性樹脂材からなることを特徴とする小型カップラーである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の構成に加え、前記コネクターが、メタノール燃料電池本体と燃料用メタノール容器とを接続するように構成されていることを特徴とする小型きカップラーである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ピストンバルブの外周側とハウジングの内面との間に形成された流路がハウジングの外部に向けて連通した開口まで連通するため、ピストンバルブを簡素な小型構造とすることが可能になり、これに併せてハウジングも小さくなるので外形が小さいコネクターの製作が可能となる。さらに、ピストンバルブとハウジングとが接触するシール部にてシールしているので、摺動の作動不備を防止でき、コンタミの混入を防止できるとともに、ハウジングの外形を小さくすることができ、小型カップラーの製作が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ピストンバルブの作動手段となる金属製コイルばねが複数設けられて、ピストンバルブを押圧する弾性力が強化されるので、コネクターの摺動不備を防止させるとともに、閉弁状態におけるピストンバルブと弁座部との密閉性を向上させることができる。また、ハウジングとピストンバルブとのシールを強くすることが可能となり、シール部の信頼性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、嵌合連結する際に接続用円筒部同士の嵌合を強化させることが可能になり、この接続用円筒部同士をシールする信頼性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、供給側コネクターと受容側コネクターとの嵌合連結部の接触密着の仕方が互いに熱可塑性樹脂材で成形された接続用円筒部同士で密着するため、コンタミがメタノールなどの液体に混入することを防ぐことができる。さらに、受容側の接続用円筒部の材質が供給側の小径な接続用円筒部の材質より硬いため、嵌合連結時に受容側の接続用円筒部が摩耗することなく長期の使用に耐えることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、小型カップラーがメタノール燃料電池本体と燃料用メタノール容器との間に設けられているので、小型カップラーの構造に汎用性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、この発明の一実施形態における小型カップラーであり、図2(a)の供給側コネクターのA−A縦断面図である。(b)は、この発明の一実施形態における小型カップラーであり、図2(b)の受容側コネクターのB−B縦断面図である。
【図2】(a)は、供給側コネクターの下端面図である。(b)は、受容側コネクターの上端面図である。
【図3】この発明の一実施形態における小型カップラーの接続状態における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明を具体例に基づいて説明する。この発明に係る小型カップラー1は、メタノール容器などのカートリッジ容器10に装着された供給側コネクター30と、この供給側コネクター30と嵌合連結されるメタノール燃料電池本体20に装着された受容側コネクター40とを備えている。
【0021】
また、この小型カップラー1の主要な構成部材は、非金属製の構成部材、例えば熱可塑性樹脂材などで作られている。例えば、後述で詳細に説明する金属製コイルばね37a,37b,47a,47b以外の構成部材が、熱可塑性樹脂材などで作られている。この熱可塑性樹脂材の例として、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。
【0022】
この供給側コネクター30には装着大径円筒部32dと装着小径円柱部32eとが設けられており、カートリッジ容器10の第一装着孔11aに装着大径円筒部32dが装着されるとともに、カートリッジ容器10の第二装着孔11bに装着小径円柱部32eが装着されて、供給側コネクター30がカートリッジ容器10に連結される。なお、以下の説明において、供給側コネクター30をプラグ30と記載して説明する。さらに、図1(a)に例示する図の上方向を後方側もしくは後端部側とし、かつ下方向を前方側もしくは先端部側として、軸線方向におけるプラグ30の前後方向を説明する。
【0023】
この発明に係る小型カップラー1は、プラグ30とソケット40とが嵌合連結されていない状態では、プラグ30およびソケット40が閉弁状態であり、それぞれがカートリッジ容器10とメタノール燃料電池本体20とを密閉させている。また、このプラグ30およびソケット40はいずれも先端部側に開口を備えるものであって、プラグ30には供給口が、ソケット40に受容口が設けられている。
【0024】
このソケット40に挿嵌されるプラグ30は、ソケット40の開口した接続用円筒部41に嵌合させられるようにプラグ30の先端部分に形成された小径接続用円筒部31を備えている。この小径接続用円筒部31は、先端が開口しかつ接続用円筒部41に挿脱される嵌合連結部であり、その外径はソケット40の接続用円筒部41の外径よりも小径に形成され、その先端部分に凹部31aと凸部31bとが設けられているとともに、開口したソケット40の接続用円筒部41に挿嵌させることで接続用円筒部41の内壁41cとシールする突部である凸リング部31eをその外周部分に備えている。この凸部31bには、ピストンバルブ33の先端と接触する内面突出部31cが設けられている。また、小径接続用円筒部31の材質は、接続用円筒部41の材質よりも軟らかいものである。
【0025】
なお、シールとは、構成部材同士を接触させて、接触箇所から液体が漏れないように密着させることである。言い換えれば、接触してシールした箇所を境に、一方の空間に液体を密封させた液密状態を保つとともに、他方の空間に液体を進入させない状態に保つことである。すなわち、構成部材間に液体が漏れないように接触させて密着させたことをシールさせたことと言っている。したがって、流路がシールされると、流路を形成する空間が液密状態に保たれ、このシールされた箇所を境に流路を形成しない空間へは流路から液体が進入できないこととなる。
【0026】
図2(a)に例示するように、凹部31aは略半円状に形成され、この凹部31aに挟まれるようにして凸部31bが直径部分に略長方形状に形成され、中心部分は凹部31aと凸部31bとによって小径接続用円筒部31の連通孔を先端に開口させた供給口が形成されている。
【0027】
この小径接続用円筒部31の後方側に連続して一体的に形成されるとともに小径接続用円筒部31に連通された中空のハウジング32を備えている。このハウジング32は、小径接続用円筒部31と一体に形成されるとともに、ピストンバルブ33を内部に保持する円筒形状の内壁32bが内面に形成され、ハウジング32の外部に向けて開口する流路孔32cを内部に設けた装着大径円筒部32dと、装着小径円柱部32eとが外側に形成されている。この装着大径円筒部32dは軸線方向におけるハウジング32の先端部側に設けられ、この装着大径円筒部32dより軸線方向における後端部側に装着小径円柱部32eが設けられている。ピストンバルブ33の材質よりも硬い材質によって、このハウジング32は作られている。
【0028】
なお、内壁32bは、軸線方向の全てにおいて円筒形状に形成されなくてもよく、ピストンバルブ33を保持しかつシールした状態で軸線方向に前後動可能に摺動させるような形状に形成されていればよい。例えば、ハウジング32の内面は、ピストンバルブ33とシールしかつ摺動させる箇所における内壁32bの軸線方向の一部分が円筒形状であり、ピストンバルブ33とシールせずかつ摺動させる箇所における内壁32bの軸線方向の一部分は円筒形状に限定されないものであってもよい。言い換えれば、内壁32bは、後述で詳細に説明するリング状凸部33dを前後に摺動させる範囲が円筒形状に形成されればよく、概略リング状凸部33eを前後に摺動させる範囲が円筒形状に限定されるものではない。
【0029】
このハウジング32と小径接続用円筒部31とは仕切部32aを介して一体に形成される。また、ハウジング32の中空の内部は、先端部側に段差を形成する仕切部32aによって小径接続用円筒部31の連通孔に連通している。したがって、この一連に連通された中空の内部はハウジング32の内径よりも小径接続用円筒部31の内径が小さくなるように、ハウジング32と小径接続用円筒部31とが一体に形成されている。
【0030】
この仕切部32aには、金属製コイルばね37a,37bに押圧されて軸線方向に前進しようとするピストンバルブ33を受け止めるとともに、この弁体であるピストンバルブ33と密着して流路を閉止する弁座であるパッキンリング35が固設されている。また、ハウジング32の内面とピストンバルブ33の外面との間に、燃料などの液体が液密状態で流通する流路が形成され、ピストンバルブ33とパッキンリング35との接触または離隔に基づく弁開閉によって、この供給側流路をソケット40に形成された受容側流路に連通させる。
【0031】
このハウジング32の内部に軸線方向に開閉往復の前後動を可能に格納された弁体であってハウジング32内に保持されているピストンバルブ33を備えている。この弁体であるピストンバルブ33は、ハウジング32の内壁32bに保持されるとともに摺動する胴体部33aと、この胴体部33aの先端部分から一体化して前方側に突出しかつ胴体部33aの最小径よりも小径に形成された第一突出部33bと、この胴体部33aと一体化して後方側に突出しかつ胴体部33aの最大径よりも小径に形成された第二突出部33cとを備えている。このハウジング32の材質よりも軟らかい材質によって、このピストンバルブ33は作られている。
【0032】
また、後退時のピストンバルブ33を受け止めて停止させるハウジング32に固定されたハウジング蓋34を備えている。さらに、このハウジング32の内部に収容されかつピストンバルブ33を先端部側へ押圧する弾性体であって軸線方向でピストンバルブ33とハウジング蓋34との間にかつ軸線と直交方向でピストンバルブ33とハウジング32の内面との間に収容された金属製コイルスプリング37a、37bとを備えている。また、このプラグ30は、金属製コイルばね37a,37b以外の構成部材が熱可塑性樹脂材料製とされている。
【0033】
この胴体部33aは、その外周面部分に、軸線方向における後端部側に設けられかつ内壁32bに接触してシールするとともにピストンバルブ33を内壁32bに沿って摺動させるように案内するシール部であるリング状凸部33dと、このリング状凸部33dより先端部側に設けられ内壁32bとシールせずに接触するとともにピストンバルブ33を内壁32bに摺動させる摺動支持部である概略リング状凸部33eとを備えている。
【0034】
また、内壁32bと接触しない胴体部33aの外周面部分は、リング状凸部33dから先端部側に向けて徐々に小径となるテーパー状に形成される。したがって、胴体部33aは先端部分の径が最小径となり、一方後端部分の径が最大径となる。これによって、このリング状凸部33dよりも先端部側でピストンバルブ32の外周面とハウジング33の内壁32bとの間に流路が形成され、かつリング状凸部33dにより流路側が液密状態にシールされている。なお、この外周面部分の全体がテーパー状の面であって、このテーパー面にリング状凸部33dと概略リング状凸部33eとが設けられてもよい。
【0035】
この概略リング状凸部33eと内壁32bとはシールされずに接触しており、この接触により流路が遮断されることがないように概略リング状凸部33eは形成されている。
【0036】
例えば、概略リング状凸部33eが内壁32bと連続に接触する場合、概略リング状凸部33eには液体の流路となる縦溝33fが数本設けられる。または、不連続に内壁32bと接触する形状に概略リング状凸部33eが形成されている場合、非接触箇所が液体の流路となる縦溝流路を形成する。したがって、供給側流路は、リング状凸部33dにより液密状態にシールされるとともに、この縦溝33fまたは縦溝流路を介してハウジング32の外部に向けて開口する流路孔32cと連通され、カートリッジ容器10の流路孔12と連通される。
【0037】
また、閉弁状態において、軸線方向の先端部側にピストンバルブ33が最も前進した状態となる。この閉弁状態であっても、図1(a)に例示するように、リング状凸部33dより先端部側に流路孔32cが位置するように、これらリング状凸部33dと流路孔32cとが配設されている。
【0038】
この胴体部33aの先端部分には、この胴体部33aと一体化されて軸線方向の前方側に延設された第一突出部33bと、弁座であるパッキンリング35と対向する面でありかつ弾性体に押圧されてパッキンリング35の端面35aと当接する開閉当接部33gと、この開閉当接部33gには軸線方向の前方側に突出したリング状突起33hとが設けられている。したがって、金属製コイルばね37a,37bにより先端部側に押圧されて移動したピストンバルブ33は、リング状突起33hおよび開閉当接部33gがパッキンリング35の端面35aに接触すると閉弁状態となる。図1(a)に例示する閉弁状態において、弁体の一部である開閉当接部33gが弁座であるパッキンリング35に当接し押圧するとともに突起であるリング状突起33hがパッキンリング35を押し込み、弁体と弁座とを密着させている。したがって、供給側流路はこの弁体と弁座の密着により閉鎖され、供給口と流路孔12とが不通となり、プラグ30においてカートリッジ容器10を密閉している。
【0039】
この第一突出部33bは、ハウジング32内から小径接続用円筒部31内へと延設されているとともに、その外周部分はプラグ30のいずれの構成部材とも非接触となるように配置される。この第一突出部33bの径は、胴体部33aの最小径よりも小径である。また、第一突出部33bの先端部分には、ソケット40により押圧されてプラグ30を開弁させるようにピストンバルブ33を作動させる操作部33iが設けられている。この操作部33iは、プラグ30の閉弁状態において小径接続用円筒部31の内面突出部31cと接触し、一方で開弁状態においてこの内面突出部31cと離隔する。したがって、プラグ30の閉弁状態には、ピストンバルブ33を内面突出部31cに当てることでピストンバルブ33のスロトークを規制させる。
【0040】
一方、胴体部33aの後端部分には、この胴体部33aと一体化されて軸線方向の後方側に延設された第二突出部33cと、ハウジング蓋34dと対向する面でありかつ弾性体である金属製コイルばね37a,37bにより先端側への弾性力を付勢される被押圧部とが設けられている。この第二突出部33cの後端には、ハウジング蓋34と対向しかつピストンバルブ33の後退時にハウジング蓋34と接触するストッパー部33jが設けられている。この第二突出部33cの径は、胴体部33aの最大径よりも小径である。
【0041】
また、ピストンバルブ33を先端部側に押圧する弾性体である金属製コイルばね37a,37bは、ハウジング32内であって、径方向に第二突出部33cの外周面とハウジング32の内面との間、かつ軸線方向にピストンバルブ33の後端側の被押圧部とハウジング蓋34との間の箇所に収容されている。この金属製コイルばね37a,37bが収容されている空間は、シール材であるリング状凸部33dによるピストンバルブ33の外周面とハウジング32の内周面とのシールによって、液密状態の供給側流路から完全に隔離されている。したがって、開弁状態または閉弁状態のいずれの状態においても、流路を流通する燃料などの液体が、金属製コイルばね37a,37bに接触することがないように構成部材が配置されている。
【0042】
この受容側コネクター40には装着大径円筒部42dと装着小径円柱部42eとが設けられており、メタノール燃料電池本体20の第一装着孔21aに装着大径円筒部42dが装着されかつメタノール燃料電池本体20の第二装着孔21bに装着小径円柱部42eが装着されて、受容側コネクター40がメタノール燃料電池本体20に連結される。なお、以下の説明において、受容側コネクター40をソケット40と記載して説明する。さらに、図1(b)に例示する図の上方向を前方側もしくは先端部側とし、かつ下方向を後方側もしくは後端部側として、軸線方向におけるソケット40の前後方向を説明する。
【0043】
このプラグ30を挿嵌させるソケット40は、プラグ30の小径接続用円筒部31を嵌入させるソケット40の先端部分に形成された接続用円筒部41を備えている。この接続用円筒部41は、先端および中心が開口しかつ小径接続用円筒部31を挿脱させる嵌合連結部であって、その先端部分が開口端の円筒形状に形成されている。この開口端から開口内に向けて小径接続用円筒部31を挿入させ係止する内壁41cが軸線方向に形成され、この底部には所定の深さで凹部41aと凸部41bとが設けられている。図1(b)に例示するように、この内壁41cは開口端から底部に向けて縮径のテーパ状に形成されているとともに、この凹部41aと凸部41bとは、仕切部42aから開口端に向けて軸線方向に異なる長さに形成され、開口端からの深さが異なるように形成されている。また、接続用円筒部41の材質は、小径接続用円筒部31の材質よりも硬いものである。
【0044】
また、この底部には、内壁41cから径方向に延設された凹部41aおよび凸部41bによって形成され、この開口端の径よりも小径な受容口が形成されている。図2(b)に例示する受容側コネクター40の先端部分のように、この凸部41bは略半円状に形成され、これら凸部41bに挟まれるようにして凹部41aは直径部分に略長方形状に形成され、円中心部分は凹部41aと凸部41bとによって接続用円筒部41の連通孔である受容口が形成されている。この受容口は、図1(b)に例示するように、凹部41aおよび凸部41bによってテーパー状に形成された内面テーパー部42fによって形成されている。したがって、この受容口は、後端側の仕切部42aにより形成される口径から先端側の開口に向けて徐々に小径となるように形成されている。
【0045】
この接続用円筒部41の後方側に連続して一体に形成されているとともに接続用円筒部41に連通された中空のハウジング42を備えている。このハウジング42は、接続用円筒部41と一体に形成されているとともに、ピストンバルブ43を内部に保持する円筒形状の内壁42bが内面に形成され、ハウジング42の外部に向けて開口する流路孔42cを設けた装着大径円筒部42dと、装着小径円柱部42eとが外側に形成されている。この装着大径円筒部42dは軸線方向におけるハウジング42の先端部側に設けられ、この装着大径円筒部42dより軸線方向における後端部側に装着小径円柱部42eが設けられている。このハウジング42の材質は、ピストンバルブ43の材質よりも硬いものである。
【0046】
なお、内壁42bは、軸線方向の全てにおいて円筒形状に形成されなくてもよく、ピストンバルブ43を保持しかつシールした状態で軸線方向に前後動可能に摺動させるような形状に形成されていればよい。例えば、ハウジング42の内面は、ピストンバルブ43とシールしかつ摺動させる箇所における内壁42bの軸線方向の一部分が円筒形状であり、ピストンバルブ43とシールせずかつ摺動させる箇所における内壁42bの軸線方向の一部分は円筒形状に限定されないものであってもよい。
【0047】
このハウジング42と接続用円筒部41とは仕切部42aを介して一体に形成される。また、ハウジング42の内部は、先端部側に段差を形成する仕切部42aによって形成された接続用円筒部41に連通する連通孔に続いており、連通孔の内径がハウジング42の内径及び接続用円筒部41の内径よりも小さくなるように一体に形成されている。
【0048】
この仕切部42aには、金属製コイルばね47a,47bに押圧されて軸線方向に前進しようとするピストンバルブ43を受け止めるとともに、この弁体であるピストンバルブ43と密着して流路を閉止する弁座であるパッキンリング45が固設されている。また、ハウジング42の内面とピストンバルブ43の外面との間に、燃料などの液体が液密状態で流通する流路が形成され、ピストンバルブ43とパッキンリング45との接触または離隔に基づく弁開閉によって、この受容側流路をプラグ30に形成された供給側流路に連通させる。
【0049】
このハウジング42の内部に軸線方向に開閉往復するための前後動を可能に格納された弁体であってハウジング42に保持されているピストンバルブ43を備えている。このピストンバルブ43は、ハウジング42の内壁42bに保持されるとともに摺動する胴体部43aと、この胴体部43aの先端部分から一体化して前方側に突出しかつ胴体部43aの最小径よりも小径に形成された第一突出部43bと、この胴体部43aと一体化して後方側に突出しかつ胴体部43aの最大径よりも小径に形成された第二突出部43cとを備えている。このピストンバルブ43の材質は、ハウジング42の材質よりも軟らかいもので作られている。
【0050】
また、後退時のピストンバルブ43を軸線方向に受け止めて停止させるハウジング42に固定されたハウジング蓋44を備えている。このハウジング42の内部に収容されかつピストンバルブ43を先端部側へ押圧する弾性体であって軸線方向でピストンバルブ43とハウジング蓋44との間にかつ軸線と直交方向でピストンバルブ43とハウジング42の内面との間に収容された金属製コイルスプリング47a、47bとを備えている。また、このソケット40は、金属製コイルばね47a,47b以外の構成部材が熱可塑性樹脂材料製とされている。
【0051】
この胴体部43aは、その外周面部分に、軸線方向における後端部側に設けられ内壁42bに接触してシールするとともにピストンバルブ43を内壁42bに沿って摺動させるように案内するシール部であるリング状凸部43dと、このリング状凸部43dより先端部側に設けられ内壁42bとシールせずに接触するとともにピストンバルブ43を内壁42bに摺動させる摺動支持部である概略リング状凸部43eとを備えている。
【0052】
また、内壁42bと接触しない胴体部43aの外周面部分は、リング状凸部43dから先端部側に向けて徐々に小径となるテーパー状に形成される。したがって、胴体部43aは先端部分の径が最小径となり、一方後端部分の径が最大径となる。この構成よって、このリング状凸部43dよりも先端部側でピストンバルブ43の外周面とハウジング42の内壁42bとの間に流路が形成され、かつリング状凸部43dにより液密状態にシールされている。なお、この外周面部分の全体がテーパー状の面であって、このテーパー面にリング状凸部43dと概略リング状凸部43eとが設けられてもよい。
【0053】
この概略リング状凸部43eと内壁42bとはシールさせずに接触しており、この接触により流路が遮断されることがないように概略リング状凸部43eは形成されている。例えば、概略リング状凸部43eが内壁42bと連続に接触する場合、概略リング状凸部43eには液体の流路となる縦溝43fが数本設けられている。または、不連続に内壁42bと接触する形状に概略リング状凸部43eが形成されている場合、非接触箇所が液体の流路となる縦溝流路を形成する。したがって、受容側流路は、リング状凸部43dにより液密状態にシールされるとともに、この縦溝43fまたは縦溝流路を介してハウジング42の外部に向けて開口する流路孔42cと連通され、メタノール燃料電池本体20の流路孔22と連通される。
【0054】
また、閉弁状態において、軸線方向の先端部側にピストンバルブ43が最も前進した状態となる。この閉弁状態であっても、図1(b)に例示するように、リング状凸部43dより先端部側に流路孔42cが位置するように、これらリング状凸部43dと流路孔42cとが配設されている。
【0055】
胴体部43aの先端部分には、この胴体部43aと一体化されて軸線方向の前方側に延設された第一突出部43bと、弁座であるパッキンリング45と対向する面でありかつ弾性体に押圧されたピストンバルブ43がパッキンリング45と当接する開閉当接部43gと、この開閉当接部43gには軸線方向の前方側に突出したリング状突起43hとが設けられている。したがって、金属製コイルばね47a,47bにより先端部側に押圧されて移動したピストンバルブ43は、リング状突起43hおよび開閉当接部43gがパッキンリング45に接触すると閉弁状態となる。図1(b)に例示する閉弁状態において、弁体の一部である開閉当接部43gが弁座であるパッキンリング45に当接し押圧するとともに突起であるリング状突起43hがパッキンリング45を押し込み、弁体と弁座とを密着させている。したがって、受容側流路はこの弁体と弁座の密着により閉鎖され、受容口と流路孔22とが不通となり、ソケット40においてメタノール燃料電池本体20を密閉している。
【0056】
この第一突出部43bは、ハウジング42内から接続用円筒部41内へと略円柱状に延設されるとともに、前方の先端部分には操作部43iが設けられている。この操作部43iの外周部分には、先端に向けて小径となるようなテーパー状のテーパー部43kが形成されている。このテーパー部43kは、ソケット40が閉口状態において接続用円筒部41の内面テーパー部42fと接触し、一方で開口状態においてはこの内面テーパー部42fと離隔する。したがって、ソケット40における流路を閉鎖するときは、テーパー部43kを内面テーパー部42fに当てることでピストンバルブ43のスロトークを規制させる。
【0057】
また、この第一突出部43bの先端部分は、嵌合連結する状態においてプラグ30の小径接続用円筒部31を挿入されるものであり、この小径接続用円筒部31を挿入される部分は円柱形状に形成されている。換言すれば、第一突出部43bのうち少なくとも軸線方向に凸部41bよりも突出した部分は、内面テーパ部42fに接触しない直径を備えた円柱形状に形成されている。
【0058】
一方、胴体部43aの後端部分には、この胴体部43aと一体化されて軸線方向の後方側に延設された第二突出部43cと、ハウジング蓋44と対向する面でありかつ弾性体である金属製コイルばね47a,47bにより先端側への弾性力を付勢される被押圧部とが設けられている。この第二突出部43cの後端には、ハウジング蓋44と対向しかつピストンバルブ43の後退時にはハウジング蓋44と接触するストッパー部43jが設けられている。この第二突出部43cの径は、胴体部43aの径よりも小径である。
【0059】
また、ピストンバルブ43を先端部側に押圧する弾性体である金属製コイルばね47a,47bは、ハウジング42内であって、径方向に第二突出部43cの外周面とハウジング42の内面との間、かつ軸線方向にピストンバルブ43の後端側の被押圧部とハウジング蓋44との間の箇所に収容されている。この金属製コイルばね47a,47bが収容されている空間は、シール材であるリング状凸部43dによるピストンバルブ43の外周面とハウジング42の内周面とのシールによって、液密状態の受容側流路から完全に隔離されている。したがって、開弁状態または閉弁状態のいずれの状態においても、流路を流通する燃料などの液体が、金属製コイルばね47a,47bに接触することがないように構成部材が配置されている。
【0060】
次に、接続状態すなわち嵌合連結しているプラグ30とソケット40とについて説明する。図3に例示する小型カップラー1は、このプラグ30とソケット40とが嵌合連結された接続状態である。この接続状態における小型カップラー1は、プラグ30をソケット40に押し込んで互いに嵌合連結させることにより各々開弁して、すなわち供給側流路と受容側流路とを連通させて、カートリッジ容器10からメタノール燃料電池本体20側へ燃料を供給させる。
【0061】
プラグ30の小径接続用円筒部31がソケット40の接続用円筒部41内に嵌合連結されており、プラグ30の凹部31aと凸部31bとが、それぞれソケット40の凸部41bと凹部41aとに嵌合し、凸リング部31eと内壁41cとが係止してプラグ30とソケット40との嵌合連結部分をシールしている。
【0062】
この嵌合連結をしている状態において、操作部33iと操作部43iとが接触してそれぞれ押圧し合い、ピストンバルブ33,43が金属製コイルばね37a,37b,47a,47bに付勢される弾性力に抗してそれぞれ後方へ移動させられ各々弁体と弁座が離隔して開弁状態となる。これらピストンバルブ33,43が開弁すると、それぞれプラグ30とソケット40とが開弁状態となる。この開弁状態において、供給口と受容口とが連通になっている。
【0063】
プラグ30において、操作部33iがソケット40の操作部43iから受ける力に基づきピストンバルブ33は後退させられて、金属製コイルばね37a,37bがピストンバルブ33に圧縮され、開閉当接部33gおよびリング状突起33hが、パッキンリング35の端面35aから離れて開弁状態となり、この離隔した部材間に供給側の流路36が形成される。この流路36が形成されることで、縦溝33fもしくは縦溝流路を介して、カートリッジ容器10の流路孔12とプラグ30の供給口とが連通される。したがって、ピストンバルブ33の開閉当接部33gを開閉させると、流路36が開通または閉鎖され、流路孔12と供給口とが連通されたり遮断されたりする。
【0064】
また、ソケット40において、操作部43iがプラグ30の操作部33iから受ける力に基づきピストンバルブ43が後退させられて、金属製コイルばね47a,47bがピストンバルブ43に圧縮され、開閉当接部43gおよびリング状突起43hが、パッキンリング45の端面45aから離れて開弁状態となり、この離隔した間に流路46が形成される。この流路46が形成されることで、縦溝43fもしくは縦溝流路を介して、メタノール燃料電池本体20の流路孔22とソケット40の受容口とが連通される。したがって、ピストンバルブ43の開閉当接部43gを開閉させると、流路46が開通または閉鎖され、流路孔22と受容口とが連通されたり遮断されたりする。
【0065】
以上、詳細に説明してきたこの発明に係る小型カップラーの実施形態によれば、メタノール燃料電池本体と燃料用のメタノール容器との間に設けられるカップラーとして小型のカップラーを製作することが可能となる。
【0066】
また、リング状突起がパッキンリングをハウジングへ押し付けることによって、供給側コネクターはカートリッジ容器の密封性を保つことができるので、パッキンリングが摩耗してしまうおそれがない。さらに、供給側コネクターにおいて流路を閉鎖するときには、ピストンバルブを小径接続用円筒部の内面突出部に当てることでピストンバルブのスロトークを規制させることができる。
【0067】
さらに、この小型カップラーの受容側コネクターは、接続用円筒部が底部に凹部と凸部とを備えかつ内壁がテーパー状に形成されているので、供給用コネクターとの嵌め合いの不備を防止させることができる。
【0068】
閉弁状態から開弁状態へ移行中も、金属製コイルばねが常に、供給側コネクターまたは受容側コネクター内を流れる液体とは完全に隔離されているので、メタノールなどの液体が金属製コイルばねに触れることがなく、この液体に金属製コイルばねの金属イオンが溶出して混入することを完全に防止できる。したがって、メタノールなどの液体に金属製コイルばねの金属イオンが溶出して、反応速度を低下させ燃料電池の性能を低下させることを防止できる。
【0069】
また、リング状突起がパッキンリングをハウジングへ押し付けることによって、受容側コネクターは燃料電池本体の密封性を保つことができるので、パッキンリングが摩耗してしまうおそれがない。受容側流路を閉鎖するときは、ピストンバルブのテーパー部を仕切部の内面テーパー部に接触させることで、ピストンバルブのスロトークを規制させることができる。
【0070】
ピストンバルブの外周面とハウジングの内壁面との間に流路を形成させるので、ピストンバルブの内部構造を簡素にすることができ、カップラーの小型化を図ることができる。また、従来はシール部材としてリングシールを用いているが、本実施形態におけるシール部によれば、径方向の外形を小さくさせることができ、カップラーのさらなる小型化を図ることができる。
【0071】
ハウジングとピストンバルブとを封止する熱可塑性樹脂製のシール部によれば、ゴム製リングシールなどをシール部材に用いた場合に比べ、往復運動の摺動不備を防止でき、摩耗によるシール部の欠損を防止できてコンタミの混入を防止できるとともに、耐久性を向上させることができる。さらに、供給側コネクターと受容側コネクターとを封止するシール部についても、嵌合連結の作動不備を防止でき、シール部の欠損によるコンタミの混入を防止できるとともに、耐久性を向上させる。
【0072】
また、供給側コネクターの小径接続用円筒部の材質は、受容側コネクターの接続用円筒部の材質よりも軟らかいため、摩耗に対する耐久性を向上させることができる。
【0073】
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、前述した各部分の構成の一部を変更してもよい。例えば、対象とする液体はメタノール以外の液体であってもよく、また機器本体は燃料電池に限られず、さらに、弾性体をコイルスプリング以外のものに変更し、シール材やOリングの数等を変更するなど、設計上の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…カップラー、 10…カートリッジ容器、 20…メタノール燃料電池の本体、 12,22…流路孔、 30…供給側コネクター(プラグ)、 40…受容側コネクター(ソケット)、 31,41…接続用円筒部、 32,42…ハウジング、 32c,42c…流路孔、 33,43…ピストンバルブ、 33d,43d…リング状凸部、 33e,43e…概略リング状凸部、 33j,43j…ストッパー部、 35,45…パッキンリング、 36,46…流路、 37a,37b,47a,47b…金属製コイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給側コネクターと受容側コネクターとを相互に嵌合させることにより開弁して供給側コネクターに形成されている供給側流路と受容側コネクターに形成されている受容側流路とを連通させる小型カップラーにおいて、
前記供給側コネクターと受容側コネクターとの少なくともいずれか一方のコネクターは、他方のコネクターに嵌合させられるように先端部に形成されかつ開口した接続用円筒部と、
その接続用円筒部の後方側に連続して一体に形成されるとともに前記接続用円筒部に連通された中空のハウジングと、
そのハウジングの内部に軸線方向に前後動可能に格納されたピストンバルブと、
そのピストンバルブと前記ハウジングの内周面の間を液密状態にシールするとともにピストンバルブをハウジングの内周面に沿って摺動させるように案内しかつ前記ピストンバルブの後端部側に設けられたシール部と、
そのシール部よりも先端部側で前記ピストンバルブを前記ハウジングの内面に摺動させるように設けられた摺動支持部と、
前記シール部よりも先端部側で前記ピストンバルブと前記ハウジングの内面との間に形成されかつ前記ハウジングの外部に向けて開口した流路と、
前記シール部より後端部側で前記ハウジングの内部に収容されて前記ピストンバルブを先端部側に押圧する弾性体と、
その弾性体によって押圧されて前記ピストンバルブが先端部側に位置する状態で前記ピストンバルブの少なくとも一部を密着させて前記流路と前記接続用円筒部との連通を遮断する弁座部とを備えている
ことを特徴とする小型カップラー。
【請求項2】
前記弾性体は金属製コイルばねであって、当該弾性体が複数設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載の小型カップラー。
【請求項3】
一方の前記接続用円筒部は、他方の前記接続用円筒部よりも小径に形成され、かつ当該一方の接続用円筒部の外周には当該他方の接続用円筒部と嵌合連結してシールする凸部が設けられるとともに、当該一方の接続用円筒部の材質が、当該他方の接続用円筒部の材質より軟らかいこと
を特徴とする請求項1または2に記載の小型カップラー。
【請求項4】
前記シール部と摺動支持部との少なくともいずれか一方は、前記ピストンバルブに一体に形成された凸部によって構成され、かつ前記各コネクターのハウジングおよびピストンバルブが、熱可塑性樹脂材からなるとともに、前記ピストンバルブの材質が前記ハウジングの材質より軟らかい熱可塑性樹脂材からなること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の小型カップラー。
【請求項5】
前記コネクターは、メタノール燃料電池本体と燃料用メタノール容器とを接続するように構成されていること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の小型カップラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2576(P2013−2576A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135493(P2011−135493)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】