説明

小型加湿機および静電霧化手段搭載の小型加湿機

【課題】人が触れて傾くことが多く、手軽に移動される小型の加湿器にあって、機器が傾けられた際に水漏れを抑制できる小型加湿機を提供することを目的とする。
【解決手段】上面を開口した貯水容器11と、貯水容器11に下部が浸漬される加湿フィルター13と、貯水容器11に水を供給する給水容器12と、加湿フィルター13および給水容器12の下部を貯水容器11に保持するカバー16とからなる加湿ユニット4を着脱自在に設け、カバー16は、加湿ユニット4が傾いたときに、貯水容器11と加湿フィルター13および給水容器12との間からの水漏れを抑制する構成としたことにより、機器が傾けられても貯水容器11からの水漏れを抑制することができることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水された水を貯水した貯水槽の水に、一部を浸漬した加湿フィルターに通風して加湿する気化式の加湿機であって、とくに、使用者の近くに置いて運転するパーソナルユースに適した小型加湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、事務所等の広い空間では、湿度の低い乾燥した時季に大型の加湿機を複数台置いて、適度な加湿をしていたが、設置スペースや水の補給等の運転管理の関係から、設置台数に限度があり、快適な湿度状態にまでは至っていないこともあった。
【0003】
また、勉強部屋のように、在室者が一箇所に長時間座っている所では、その在室者のまわりのごく限られた空間が快適な湿度状態になれば、目的が達成される。
【0004】
このようなことから、使用者の周囲を効率よく加湿して、使用者のまわりを快適な湿度状態にする小型加湿機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載の加湿器は、外郭を形成する筐体の内部に設けられた送風ファンによって、筐体の前面となる一側面の中央部に設けられた吸い込み口から、その付近の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を内蔵された加湿ユニットにより加湿した後、筐体内に同心状に設けられた内部ケースと筐体との間に形成された環状の流路に送り、この流路を通過した加湿空気を筐体の前記一側面の外周側(吸い込み口を囲む形状)に形成された環状の開口部から、前方(使用者が存在する方向)に向けて吹き出す構成となっている。
【0006】
この構成により、筐体の一側面の外周側に形成された環状の開口部から加湿された空気が吹き出され、いわゆるエアカーテン状の流れを形成し、さらに、中央部の吸い込み口で加湿器の前方の空気を吸い込むことで、エアカーテン状の流れは中央側に引き寄せられるように湾曲する。その結果、エアカーテン状の流れの内側は、外側に比べ高湿度の領域となる。
【0007】
このようにして、加湿器の前方の限られた空間を重点的に加湿することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−57877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような特許文献1に記載の加湿器では、筐体の前面に吹き出し口である開口部と吸い込み口とを設け、筐体内に後方へ向かい加湿ユニットと送付ファンを並設するとともに、吸い込み空気流を吹き出し空気流として内部で折り返す流路を形成しているので、筐体は、奥行き寸法が幅寸法および高さ寸法に比べて長く、平面視、縦横の寸法比の大きい四角形状をなすものである。
【0010】
そのため、人の近くに置かれて手が触れる機会が大型の加湿機に比べて多くなる小型の加湿器としては、左右方向に傾けられることが増えると考えられる。
【0011】
そして、加湿ユニットが周知の上面を開口した貯水槽を備えたものであれば、傾いた際に貯水された水がこぼれ、書類等を濡らしてしまうことがある。また、小型で可搬性がよいので、移動することも手軽に行われ、その際の水の流出も懸念される。
【0012】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決して、人が触れて傾くことが多く、手軽に移動される小型の加湿機にあって、機器が傾けられた際に水漏れを抑制できる小型加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そして、この目的を達成するために、本発明の小型加湿機は、天面に吹出口と側面下部に開口を形成した本体ケースの内部に、送風機を設けるとともに、前記側面下部の開口から水平方向に挿入することにより、前記送風機を介して前記吹出口と連通する吸込口を形成する加湿ユニットを着脱自在に設けた小型加湿機であって、前記加湿ユニットは、上面を開口し一定水位の水を貯水する貯水容器と、前記貯水容器の水に下部が浸漬される加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水容器と、前記加湿フィルターおよび給水容器の下部を前記貯水容器に保持するカバーとからなり、前記カバーは、前記加湿ユニットが傾いたときに、前記貯水容器と前記加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れを抑制する構成としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者が触れることが増えることにより、また、可搬性が良好になることにより、傾くことが大型機器に比べて多くなる機器であっても、貯水容器からの水漏れを抑制することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1の小型加湿機を示す斜視図
【図2】同小型加湿機の断面図
【図3】同小型加湿機の分解斜視図
【図4】同小型加湿機における給水容器取外し時の加湿ユニットの斜視図
【図5】同加湿ユニットの断面図
【図6】同加湿ユニットのカバーの斜視図
【図7】同加湿ユニットのカバーの断面図
【図8】同加湿ユニットの貯水容器の斜視図
【図9】本発明の実施の形態2の静電霧化手段搭載の小型加湿機を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の請求項1記載の小型加湿機は、天面に吹出口と側面下部に開口を形成した本体ケースの内部に、送風機を設けるとともに、前記側面下部の開口から水平方向に挿入することにより、前記送風機を介して前記吹出口と連通する吸込口を形成する加湿ユニットを着脱自在に設けた小型加湿機であって、前記加湿ユニットは、上面を開口し一定水位の水を貯水する貯水容器と、前記貯水容器の水に下部が浸漬される加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水容器と、前記加湿フィルターおよび給水容器の下部を前記貯水容器に保持するカバーとからなり、前記カバーは、前記加湿ユニットが傾いたときに、前記貯水容器と前記加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れを抑制する構成としたものであり、加湿ユニットが傾いても、加湿ユニットを構成するカバーが貯水容器からの流出を抑制することが、また、加湿フィルターの清掃等のために加湿ユニットを本体ケースから取り外す場合にも、同様の作用効果を奏するものである。
【0017】
また、請求項2記載の小型加湿機は、請求項1に記載の小型加湿機において、前記カバーは、前記貯水容器の上面開口に取り付けられ、前記加湿フィルターの下部および前記給水容器の下部を嵌入保持する加湿フィルター側開口部および給水容器側開口部を備えたものであり、加湿フィルター側開口部に加湿フィルターの下部が、また、給水容器側側開口部に給水容器の下部が、それぞれ嵌入されて、両方の開口部が塞がれることにより、カバーは、加湿フィルターと給水容器の下部を保持するとともに、この保持により、貯水容器と加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れを抑制することが可能となる。
【0018】
また、請求項3記載の小型加湿機は、請求項2に記載の小型加湿機において、前記加湿フィルター側開口部および前記給水容器側開口部の開口縁に、内方へ延びる柔軟性を有した加湿フィルター側薄膜部および給水容器側薄膜部を設けたものであり、加湿フィルター側開口部と加湿フィルター外側部の密着性、および、給水容器側開口部と給水容器の下部
の密着性が向上し、貯水容器と加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れ抑制効果が向上する。
【0019】
また、請求項4記載の小型加湿機は、請求項3に記載の小型加湿機において、前記加湿フィルター側薄膜部および給水容器側薄膜部は、内方へ向かうほど薄くなる形状としたものであり、加湿フィルター側薄膜部と給水容器側薄膜部の柔軟性が増し、各薄膜部の密着性が向上する。
【0020】
また、請求項5記載の小型加湿機は、請求項3または4に記載の小型加湿機において、前記給水容器は、前記給水容器側薄膜部の上面に当接する水平当接面を備えたものであり、給水容器側開口部と給水容器との密着性がより向上し、貯水容器と給水容器との間からの水漏れ抑制効果がより向上する。
【0021】
また、請求項6記載の小型加湿機は、請求項3〜5のいずれかに記載の小型加湿機において、前記加湿フィルター側開口部および前記給水容器側開口部の開口縁から上方へ延びる加湿フィルター側薄肉部および給水容器側薄肉部を設けたものであり、加湿フィルター側開口部の上方開口縁が高くなり、加湿フィルターとの間からの水漏れがわずかにあったとしても、外部への漏れを抑制し、また、給水容器側開口部における給水容器との水密性を向上させ、貯水容器と加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れ抑制効果が、さらに向上する。
【0022】
また、請求項7記載の小型加湿機は、請求項2〜6のいずれかに記載の小型加湿機において、前記加湿フィルター側開口部から下方へ、前記加湿フィルターの下部を抱持する容器状の加湿フィルター保持部を設け、前記加湿フィルター保持部の下端部に、前記貯水容器内に連通する連通孔を形成したものであり、加湿フィルターは容器状の加湿フィルター保持部に抱持されることにより、連通孔から供給される水が、加湿フィルターの外周を通って加湿フィルター側開口部へ流れるのを抑えることができ、貯水容器と加湿フィルターとの間からの水漏れ抑制効果が、いっそう向上する。
【0023】
また、請求項8記載の小型加湿機は、請求項2〜7のいずれかに記載の小型加湿機において、前記カバーは、材質をシリコンとしたものであり、カバーは、適切な柔軟性を有する形状とすることができるとともに、その形状の経時変化を小さくすることができ、加湿フィルター側開口および給水容器側開口部と加湿フィルターおよび給水容器との密着性あるいは水密性を、長期にわたって維持できる。
【0024】
また、請求項9記載の小型加湿機は、請求項3〜8のいずれかに記載の小型加湿機において、前記給水容器は、先端部に給水口を有した容器部と、給水弁を備えて、前記給水口に螺合保持され、その外周部を円筒状に延設し一部を切り欠いた円筒部を有したキャップ部とからなり、前記容器部に前記本体ケースと係脱自在に係合する係合部を設けるとともに、前記貯水容器内の下面に前記キャップ部の円筒部先端の外周面が当接するリブを設けたものであり、給水容器が本体ケースに、上部の係合と、下部の給水容器側開口部への嵌入とにより保持されて取り付けられる際、給水容器は上部と下端部において位置決めされ、柔軟性を有した給水容器側薄膜部において外方へ逃げることなく適正な状態で取り付けられることとなる。
【0025】
また、請求項10記載の小型加湿機は、請求項2〜8のいずれかに記載の小型加湿機において、前記貯水容器は、前記給水容器の下部が挿入される給水容器側貯水部と、前記給水容器側貯水部と連なって貯水され前記加湿フィルターの下部が挿入される加湿フィルター側貯水部とからなり、前記加湿フィルター側貯水部の底面を前記給水容器側貯水部の底面より高く位置する形状としたものであり、加湿フィルター側貯水部は、その底面を高くした分、貯水量が少なくなり、加湿ユニットが傾いたとき、または、加湿ユニットを本体ケースから取り出したとき、水の流出の程度を低くすることができる。
【0026】
また、請求項11記載の小型加湿機は、請求項1〜10のいずれかに記載の小型加湿機において、前記加湿ユニットを前記本体ケース内に挿入したときに前記吸込口を形成する吸込開口を備え、前記吸込開口に除塵フィルターを有した吸込部を、前記加湿ユニットに着脱自在に設けたものであり、加湿ユニットを加湿フィルターの清掃時に本体ケースから取り外すとき、除塵フィルターもいっしょに取り外すことができるので、加湿フィルターの清掃時に、除塵フィルターの清掃も忘れずにすることができることとなる。
【0027】
また、請求項12記載の小型加湿機は、請求項11に記載の小型加湿機において、前記吸込部はその上部に、前記加湿ユニットへの装着時に前記加湿フィルターの上面に当接する加湿フィルター押さえ部を備えているものであり、加湿フィルター押さえ部は、加湿フィルターの挿入高さを確認して正規の位置まで挿入できるとともに、加湿フィルターの傾きを阻止した安定した状態に取り付けることができるので、安定した加湿性能を維持できるとともに、加湿フィルターと貯水容器との間の水漏れ効果を維持できる。
【0028】
また、請求項13記載の小型加湿機は、請求項11または12に記載の小型加湿機において、前記本体ケース内の底面に、前記加湿ユニットが挿入されたときに保持する加湿ユニット保持部を設けたものであり、加湿ユニットが本体ケースに取り付けられたことを確認できるとともに、機器が傾いても加湿ユニットは取付状態が確実に保持されるので、安定した加湿性能を維持できるとともに、貯水容器からの水漏れ抑制効果を維持できる。
【0029】
また、請求項14記載の小型加湿機は、請求項13に記載の小型加湿機において、前記本体ケース内の底面に、前記加湿ユニットを前記加湿ユニット保持部に案内するガイド部を設けたものであり、加湿ユニットを保持する位置に無理なく導くことができるので、安定した加湿性能を維持できる状態、および、貯水容器からの水漏れ抑制効果を維持できる状態に、容易に導くことができる。
【0030】
また、請求項15記載の小型加湿機は、請求項14に記載の小型加湿機において、前記加湿ユニット下方の前記本体ケース底面に、水抜き穴を設けたものであり、加湿ユニットを加湿フィルターの清掃等で水が付着した状態で取り付けた場合、または、万が一、何らかの要因で水漏れがした場合に、その水を水抜き穴から排出することができ、充電部への水の浸入を阻止することができる。
【0031】
また、請求項16記載の小型加湿機は、請求項1〜15のいずれかに記載の小型加湿機にあって、本体ケース内の下部に送風機を配設し、上部に静電霧化手段を配設したことを特徴とする静電霧化手段搭載の小型加湿機であり、本体ケースは高さが増して傾きの程度が高くなるので、請求項1〜15における作用効果がより顕著なものとなる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0033】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の小型加湿機は、図1〜図4に示すように、天面の吹出口1と、後部となる側面下部に四角形の開口2とを形成した円筒状の本体ケース3と、四角形の開口2から本体ケース3内に挿入され、あるいは、取り出される加湿ユニット4と、加湿ユニット4と吹出口1との間に設けられる送風機5とからなる。
【0034】
そして、加湿ユニット4には、加湿ユニット4を開口2から本体ケース3内に挿入すると、開口2を塞ぐとともに、本体ケース3の吸込口6を形成する吸込開口7を備えた吸込部8を、着脱自在に備えている。すなわち、加湿ユニット4を本体ケース3に装着すると、後述する加湿フィルター13と送風機5を介して、吸込口6と吹出口1を連通する通風路9を本体ケース3内に形成する。また、吸込開口7は、本体ケース3内に吸い込まれる空気に含まれる塵埃等を捕集する除塵フィルター10を有している。
【0035】
そして、加湿ユニット4は、上面を開口し、一定水位の水を貯水する貯水容器11と、貯水容器11に水を供給する給水容器12と、貯水容器11内に下部を挿入して立設され、下部が水に浸漬されている加湿フィルター13と、貯水容器11の上面開口に取り付けられ、加湿フィルター側開口部14と給水容器側開口部15とを備えたカバー16とからなる。
【0036】
加湿フィルター13は、厚みのある長方形状で、下部をカバー16の加湿フィルター側開口部14に嵌入して保持され、通風路9を仕切るように横長状に配設され、厚み方向に通風される。
【0037】
給水容器12は、概略形状がボトル状で、外周側面に軸心方向へ平面部(以下、給水容器側平面部17aという)を形成し、先端部に給水口17bを開口した容器部17と、給水口17bに螺合保持され、給水弁18aを備えたキャップ部18とからなり、容器部17は給水口17b側の端面に、容器部17の外径より径の小さい円形水平面19aと円形垂直面19bとからなる段差部19を有しており、また、キャップ部18は、外周部を円筒状に延設し、下方が開口した所定の高さの切欠きを形成した円筒部18bを備えている。
【0038】
そして、給水容器12は、図2および図3に示すように、給水容器側平面部17aを本体ケース3の開口2上方の外周側面に形成した平面部(以下、本体ケース側平面部3aという)に沿わせ、給水容器側平面部17aと本体ケース側平面部3aとに設けた係合部20によって着脱自在に係合されるとともに、下部がカバー16の給水容器側開口部15に嵌入、当接して保持される。
【0039】
このように、貯水容器11は、加湿フィルター側開口部14の下方の部分が、本体ケース3内に位置し、給水容器12の下部が嵌入される給水容器側開口部15の下方の部分は、本体ケース3の外部に位置するように、取り付けられる。
【0040】
カバー16は、図5〜図7に示すように、加湿フィルター側開口部14および給水容器側開口部15において、加湿フィルター13あるいは給水容器12との密着性を向上させるために、加湿フィルター側開口部14および給水容器側開口部15の開口縁に、内方へ延びる柔軟性を有した加湿フィルター側薄膜部21および給水容器側薄膜部22を設け、かつ、これら加湿フィルター側薄膜部21、および給水容器側薄膜部22を、内方へ向かうほど薄くなる形状として柔軟性を増し、より密着性が向上した形状としている。
【0041】
さらに、加湿フィルター側開口部14および給水容器側開口部15の開口縁から上方へ延びる加湿フィルター側薄肉部23および給水容器側薄肉部24を設けている。
【0042】
そして、カバー16は、長期にわたって経時変化が小さく、このような柔軟性を有した形状を維持することができるように、材質をシリコンとしている。
【0043】
上記の加湿フィルター側薄膜部21、給水容器側薄膜部22、加湿フィルター側薄肉部23,および給水容器側薄肉部24を設けることにより、加湿フィルター13は、外側面と加湿フィルター側開口部14との密着性が加湿フィルター側薄膜部21によって向上し、また、加湿フィルター側薄肉部23は、加湿フィルター13の外側面との間に隙間34を形成し、後述する水漏れ抑制に寄与する。そして、給水容器12は、容器部17の円形垂直面19bがカバー16の給水容器側薄肉部24に嵌入されるとともに、円形水平面19aが給水容器側薄膜部22の上面に当接して、給水容器側開口部15に対する保持と密着性が良好になる(図2参照)。すなわち、円形水平面19aが、給水容器12をカバー16に対し密着状態にして水密性を向上させる水平当接面となっている。
【0044】
さらに、カバー16は、加湿フィルター側開口部14から下方へ容器状に加湿フィルター保持部25を設けており、加湿フィルター保持部25は、横断面形状が加湿フィルター13を嵌入する寸法・形状で、底面にまで加湿フィルター13の下端部が挿入されて、加湿フィルター13の下部を抱持する深さを有している。そして、底面には、貯水容器11内に連通する連通孔26が形成されている。
【0045】
そして、貯水容器11は、図5および図8に示すように、上記寸法・形状の加湿フィルター保持部25の外表面と類似の内面形状を有した加湿フィルター側貯水部27と、給水容器12のキャップ部18側が挿入される給水容器側貯水部28とからなり、両貯水部である加湿フィルター側貯水部27,給水容器側貯水部28は、連なって貯水されるように形成されている。
【0046】
そして、給水容器側貯水部28は、加湿フィルター側貯水部27に安定して水を供給するために、所定の深さの水位が必要になり、一方、加湿フィルター側貯水部27は、加湿フィルター13が吸水し、その加湿フィルター13に通風して気化させ、所定の加湿量を得るのに必要な水が不足なく供給されればよく、このようなことから、加湿フィルター側貯水部27の底面を給水容器側貯水部28の底面より高く形成している。
【0047】
さらに、貯水容器11は、給水容器側貯水部28内の底面外周部に、給水容器12のキャップ部18の円筒部18b先端外周面が当接する円弧状のリブ29を設けている。リブ29の弦長は、キャップ部18の切欠きの幅より大きければよい。
【0048】
次に、前述の吸込部8について詳述する(図3および図4参照)。
【0049】
本体ケース3の後面下部の開口2は、加湿ユニット4が加湿フィルター13を立設したままで着脱できる大きさに開口されており、吸込部8は、この開口2において、加湿ユニット4を挿入したとき、貯水容器11の給水容器側貯水部28によって塞がれる部分以外の部分を覆うように全体形状が形成されており、装着された給水容器12の両側方に吸込開口7を有している。
【0050】
また、吸込部8は、加湿ユニット4に装着すると、加湿フィルター13の上面に当接する加湿フィルター押さえ部30を備えており、加湿フィルター押さえ部30は、加湿フィルター13が加湿フィルター保持部25の奥まで挿入されているか確認でき、挿入が不完全の場合は正規の位置まで押し込むことができる。そして、加湿フィルター押さえ部30は装着されると、加湿フィルター13を正規の姿勢に保持するので、下部が保持され立設されている加湿フィルター13の傾きを阻止することができ、所定の加湿量を維持できることとなる。
【0051】
そして、吸込部8を備えた加湿ユニット4を本体ケース3に挿入したとき、加湿ユニット4が正規の位置に保持され、その保持を確認できる加湿ユニット保持部31と、この加湿ユニット保持部31に加湿ユニット4を案内するガイド部32とを、本体ケース3の底面に設けている。
【0052】
また、加湿ユニット4が装着されたとき、加湿ユニット4の下方となる本体ケース3の底面部分に水抜き穴33を設けており(図2参照)、加湿フィルター13を水洗いして清掃した際に、貯水容器11に水が付着し、そのままの状態で本体ケース3に装着された場合、底面に流下してくる水を水抜き穴33から排水して処理することができる。また、万が一、何らかの要因で水漏れがした場合に、その水を水抜き穴33から排水して、充電部への水の浸入を阻止することができる。
【0053】
上記のように構成された小型加湿機は、事務所や勉強部屋のデスク上等に置いて、在室する使用者個人で使用することが多いものであり、給水容器12が片手でつかむことができる大きさで、また、本体ケース3も、デスク上に置くスペースを極力小さくするように、平面積の大きさを抑えた大きさとし、可搬性の良好なものとしている。
【0054】
小型加湿機は、このような大きさ、形状および使用形態に起因して、使用者が触れて傾くことが大型機器の加湿機に比べて多くなり、場合によっては転倒することも発生し、また、軽量で可搬性が良いことから、移動するときに、気軽に持ち運んで傾けることも増える。
【0055】
加湿ユニット4には、貯水容器11内に水が貯水されているが、本体ケース3が傾けられて加湿ユニット4が傾いたとき、以下のようにして水漏れが抑制され、転倒してしまった場合にも水の流出量が抑えられる。
【0056】
加湿ユニット4は、加湿フィルター側貯水部27の方が低くなるように傾いたとき、加湿フィルター側貯水部27は、その底面が給水容器側貯水部28の底面より高く形成され、かつ、貯水量が加湿フィルター13に浸透して所定の加湿量を発生するのに足る程度の水量で、大半の水が加湿フィルター13に含浸されているので、貯水状態にある水量はわずかである。
【0057】
さらに、加湿フィルター13の下部外側面はカバー16の加湿フィルター保持部25に嵌合状態で抱持されているので、貯水容器11が傾いても、このわずかな水は加湿フィルター側開口部14の方へ短時間では浸透していかない。
【0058】
そして、この水が加湿フィルター側開口部14側に浸透していったとしても、内方へ向かうほど薄くなって柔軟性の優れた加湿フィルター側薄膜部21が加湿フィルター13の外側部に密着しているので、外部への水漏れが阻止される。
【0059】
この過程で同時に、給水容器側貯水部28の水が加湿フィルター側貯水部27に流れるが、その水のいくらかが加湿フィルター保持部25および加湿フィルター側薄膜部21と加湿フィルター13の外側部との間を通過したとしても、加湿フィルター13の外側部と加湿フィルター側薄肉部23との間に形成された隙間34に滞留し、短時間では外部に流出しない。
【0060】
一方、加湿ユニット4が給水容器側貯水部28の方向へ傾いた場合、給水容器12の装着が保持されていれば、給水容器12の円形垂直面19bおよび円形水平面19aとカバー16の給水容器側薄肉部24および給水容器側薄膜部22との嵌合および当接によって、給水容器側貯水部28の水が外部へ漏れるのを抑制することができる。
【0061】
また、給水容器12が外れてしまう強い衝撃を受けて機器が傾いた場合、給水容器側貯水部28の上方に位置するカバー16の給水容器側開口部15に内方へ延設した給水容器側薄膜部22によって、給水容器側貯水部28から給水容器側開口部15を通って流出していこうとする水の流れの勢いを抑え、外部への水漏れを抑制する。
【0062】
また、機器が給水容器側貯水部28の方向へ転倒してしまった場合、貯水された水は外部へ流出するが、給水容器側貯水部28には所定の深さの水が貯水されているものの、この所定の深さは、機器の設置状態にかかわらず加湿フィルター側貯水部27に常に安定して水を供給できるための水位を得るためのもので、そして、前述のように、加湿フィルター側貯水部27の貯水量は少量であるので、給水容器側貯水部28の貯水量は多くなく、さらに、給水容器側薄膜部22によって流出する水の勢いが抑えられるので、デスク上に広く多量の水が流出して書類等を濡らしてしまうといった大事には至らない。
【0063】
そして、小型加湿機は、長時間運転をすると、給水容器12および貯水容器11の内部が汚れ、加湿フィルター13に汚れが付着してくるので、加湿ユニット4を取り出して、それぞれを清掃することとなるが、この清掃時、まず本体ケース3から給水容器12を取り外し、それから、加湿ユニット4を取り外す。
【0064】
取り外した加湿ユニット4を水洗いできる場所に持ち運ぶとき、機器が小型で加湿ユニット4も片手で手軽に持ち運ぶことができるので、つい傾けて運んでしまうことがあり得るが、その傾けた際の水漏れ抑制効果の作用効果も、上記の人が触れて傾けた場合と同様に奏することとなる。
【0065】
加湿ユニット4を取り外すと、いっしょに吸込部8が取り外されるので、吸込部8の吸込開口7に設けられた除塵フィルター10を忘れずに清掃することができる。
【0066】
そして、加湿フィルター13を貯水容器11から取り外し、それぞれを清掃する。
【0067】
清掃後は、加湿ユニット4を組み立て、組み立てた加湿ユニット4に、加湿フィルター13の上面を加湿フィルター押さえ部30でしっかりと押さえるようにして、吸込部8を取り付ける。
【0068】
この加湿フィルター押さえ部30によって、機器が転倒したような場合でも、加湿フィルター13の適正な姿勢を維持して、水漏れ抑制効果を維持できる。
【0069】
加湿ユニット4を本体ケース3に挿入して保持する際、加湿ユニット4は本体ケース3の底面に設けられたガイド部32によって加湿ユニット保持部31に案内され、無理なく本体ケース3に保持され、その保持を確認することができる。
【0070】
このように、加湿ユニット4が本体ケース3内の正規の位置に確実に保持され、その状態が維持されるので、機器に衝撃が加わって傾いたり転倒しても、水漏れ抑制効果を維持できることとなり、また、加湿性能も維持できることとなる。
【0071】
加湿ユニット4が本体ケース3に挿入されて取り付けられたら給水容器12を取り付けるが、このとき、キャップ部18の円筒部18bの先端外周部が、給水容器側貯水部28内のリブ29に当接して位置決めされるので、給水容器12取付時に、容器部17に当接する給水容器側薄膜部22が変形して容器部17が正規の保持位置から逃げる現象がなくなり、この位置決めと本体ケース3との上部の係合とによって、しっかりと保持されることとなる。
【0072】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の静電霧化手段搭載の小型加湿機は、図9に示すように、上記実施の形態1の小型加湿機に対し、送風機5の下流側の通風路9Aに静電霧化手段35を配設しことを特徴とし、おもに事務所や勉強部屋の空気の乾燥時に、使用者個人のまわりを快適な湿度状態にする加湿流にウイルスを無力化する帯電微細水滴を放出する静電霧化手段35を搭載したものである。
【0073】
本実施の形態2の小型加湿機では、デスク上で機器を置くために占めるスペースを極力小さくするために、静電霧化手段35を送風機5の上方に配設し、本体ケース3Aが高さH方向に長くなる構成としている。
【0074】
この構成により、本体ケース3Aは、傾く頻度、傾き方が大きくなり、上記実施の形態1の小型加湿機における作用効果に相当する作用効果は、より顕著なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る小型加湿機は、傾けられたり転倒されても、貯水容器からの水漏れが抑制されるという効果を有し、貯水槽を備えた気化式の加湿機であって、機器が傾けられたり転倒されることがあり得る大きさ、使用形態の加湿機に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 吹出口
2 開口
3 本体ケース
3A 本体ケース
4 加湿ユニット
5 送風機
6 吸込口
7 吸込開口
8 吸込部
10 除塵フィルター
11 貯水容器
12 給水容器
13 加湿フィルター
14 加湿フィルター側開口部
15 給水容器側開口部
16 カバー
17 容器部
17b 給水口
18 キャップ部
18a 給水弁
18b 円筒部
19a 円形水平面
20 係合部
21 加湿フィルター側薄膜部
22 給水容器側薄膜部
23 加湿フィルター側薄肉部
24 給水容器側薄肉部
25 加湿フィルター保持部
26 連通孔
27 加湿フィルター側貯水部
28 給水容器側貯水部
29 リブ
30 加湿フィルター押さえ部
31 加湿ユニット保持部
32 ガイド部
33 水抜き穴
35 静電霧化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に吹出口と側面下部に開口を形成した本体ケースの内部に、送風機を設けるとともに、前記側面下部の開口から水平方向に挿入することにより、前記送風機を介して前記吹出口と連通する吸込口を形成する加湿ユニットを着脱自在に設けた小型加湿機であって、前記加湿ユニットは、上面を開口し一定水位の水を貯水する貯水容器と、前記貯水容器の水に下部が浸漬される加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水容器と、前記加湿フィルターおよび給水容器の下部を前記貯水容器に保持するカバーとからなり、前記カバーは、前記加湿ユニットが傾いたときに、前記貯水容器と前記加湿フィルターおよび給水容器との間からの水漏れを抑制する構成としたことを特徴とする小型加湿機。
【請求項2】
前記カバーは、前記貯水容器の上面開口に取り付けられ、前記加湿フィルターの下部および前記給水容器の下部を嵌入保持する加湿フィルター側開口部および給水容器側開口部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の小型加湿機。
【請求項3】
前記加湿フィルター側開口部および前記給水容器側開口部の開口縁に、内方へ延びる柔軟性を有した加湿フィルター側薄膜部および給水容器側薄膜部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の小型加湿機。
【請求項4】
前記加湿フィルター側薄膜部および給水容器側薄膜部は、内方へ向かうほど薄くなる形状としたことを特徴とする請求項3に記載の小型加湿機。
【請求項5】
前記給水容器は、前記給水容器側薄膜部の上面に当接する水平当接面を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の小型加湿機。
【請求項6】
前記加湿フィルター側開口部および前記給水容器側開口部の開口縁から上方へ延びる加湿フィルター側薄肉部および給水容器側薄肉部を設けたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項7】
前記加湿フィルター側開口部から下方へ、前記加湿フィルターの下部を抱持する容器状の加湿フィルター保持部を設け、前記加湿フィルター保持部の下端部に、前記貯水容器内に連通する連通孔を形成したことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項8】
前記カバーは、材質をシリコンとしたことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項9】
前記給水容器は、先端部に給水口を有した容器部と、給水弁を備えて、前記給水口に羅合保持され、その外周部を円筒状に延設し一部を切り欠いた円筒部を有したキャップ部とからなり、前記容器部に前記本体ケースと係脱自在に係合する係合部を設けるとともに、前記貯水容器内の下面に前記キャップ部の円筒部先端の外周面が当接するリブを設けたことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項10】
前記貯水容器は、前記給水容器の下部が挿入される給水容器側貯水部と、前記給水容器側貯水部と連なって貯水され前記加湿フィルターの下部が挿入される加湿フィルター側貯水部とからなり、前記加湿フィルター側貯水部の底面を前記給水容器側貯水部の底面より高く位置する形状としたことを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項11】
前記加湿ユニットを前記本体ケース内に挿入したときに前記吸込口を形成する吸込開口を備え、前記吸込開口に除塵フィルターを有した吸込部を、前記加湿ユニットに着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の小型加湿機。
【請求項12】
前記吸込部はその上部に、前記加湿ユニットへの装着時に前記加湿フィルターの上面に当接する加湿フィルター押さえ部を備えていることを特徴とする請求項11に記載の小型加湿機。
【請求項13】
前記本体ケース内の底面に、前記加湿ユニットが挿入されたときに保持する加湿ユニット保持部を設けたことを特徴とする請求項11または12に記載の小型加湿機。
【請求項14】
前記本体ケース内の底面に、前記加湿ユニットを前記加湿ユニット保持部に案内するガイド部を設けたことを特徴とする請求項13に記載の小型加湿機。
【請求項15】
前記加湿ユニット下方の前記本体ケース底面に、水抜き穴を設けたことを特徴とする請求項14に記載の小型加湿機。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の小型加湿機にあって、本体ケース内の下部に送風機を配設し、上部に静電霧化手段を配設したことを特徴とする静電霧化手段搭載の小型加湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−13361(P2012−13361A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151797(P2010−151797)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】