説明

小型多軸ボール盤・タップ盤

【課題】各スピンドルに対するドリルの取付作業を短時間で行うことのできるコレットチャック機構を備えた小型多軸ボール盤・タップ盤を提案することにある。
【解決手段】小型多軸ボール盤・タップ盤1の各スピンドル10には、その円環状段面16に当接した状態で、コレット用円筒30がねじ込み固定され、このコレット用円筒30の先端には先端側に向かって窄まった形状のコレット部38が形成されている。ここに、先端側からチャッキング用円筒40を装着し、先端側からドリル50のシャンク51をコレット部38に挿入した状態で、チャッキング用円筒40をねじ込むことにより、ドリル50がコレット部38にチャッキングされる。コレット用円筒30の後端からドリル先端52までの長さLがチャッキング時に変動しないので、多数のスピンドル10にドリル50を取り付ける作業を短時間で簡単に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに多数の穴開け加工、タップ加工を行う小型多軸ボール盤・タップ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
このような小型多軸穴加工盤においては、多軸のスピンドルのそれぞれにコレットチャックを介して穴開け用のドリルあるいはタップ加工用のタップが取り付けられている。加工対象のワークに応じた刃具(ドリル、タップ)をコレットチャックを用いて各スピンドルの先端に取り付ける場合には、それぞれの穴加工位置に応じた長さとなるように各スピンドルに刃具を取り付ける作業が必要になる。
【0003】
従来における小型多軸ボール盤・タップ盤においては、一般に、特許文献1の図3に開示されている引き込み式のコレットチャックを用いて、刃具を多軸のスピンドルのそれぞれに取り付けるようにしている。引き込み式のコレットチャックでは、先端側に向かって広がっているコレットを、スピンドルの先端に固定した円筒部にねじ込む(スピンドル側に引き込む)ことにより、当該コレットを内側に窄めて、そこに差し込まれている刃具のシャンクをチャッキングしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−79507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、このようなコレットチャックを備えた小型多軸ボール盤・タップ盤においては、段取り替時などに各スピンドルにチャッキングされた刃具の突出長さを調整する調整作業に時間が掛かるという問題点がある。すなわち、コレットに刃具のシャンクを差し込み、この状態でコレットをスピンドルの先端にねじ込む必要があるので、ねじ込み代が変わると、スピンドル先端面から刃具先端までの長さが変動してしまう。このため、刃具の突出長さを調整しながらチャッキングを繰り返して、スピンドル先端から刃具先端までの長さを適切な寸法となるように設定する必要があり、このような作業を多軸のスピンドルのそれぞれについて行う必要がある。このため、刃具の取付作業には多くの時間を必要とし、これが、小型多軸ボール盤・タップ盤の生産性低下の大きな要因となっている。
【0006】
本発明の課題は、この点に鑑みて、各スピンドルに対する刃具の取付作業を短時間で行うことのできるコレットチャック機構を備えた小型多軸ボール盤・タップ盤を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、ヘッド(2)に取り付けられている複数本のスピンドル(10)のそれぞれに刃具(50)を取り付けるためのコレットチャック機構(20)を備えた小型多軸ボール盤・タップ盤(1)であって、次の構成を備えたことを特徴としている。(なお、括弧付きの符号は後述の実施の形態において用いたものであり、理解を容易にすることを目的として付けたものであり、本願発明を実施の形態に限定することを意図したものではない。)
【0008】
すなわち、各スピンドル(10)の先端部にねじ込み固定されたコレット用円筒(30)と、前記コレット用円筒(30)の先端部にねじ込み固定されたチャッキング用円筒(40)と、前記チャッキング用円筒(40)によって前記コレット用円筒(30)に対して同軸状態にチャッキングされている刃具(50)とを有している。
【0009】
前記スピンドル(10)は、その先端部の円形外周面に形成したスピンドル側雄ねじ部(18)と、当該スピンドル側雄ねじ部(18)よりも後側の部位に形成した前記コレット用円筒(30)の円環状後端面(35)に当接している円環状段面(16)とを備えている。
【0010】
前記コレット用円筒(30)は前側円筒部分(31)および後側円筒部分(32)を備えている。前記後側円筒部分(32)は、その後端開口(33)から前記スピンドル(10)の先端部を挿入可能であり、その円形内周面には前記スピンドル側雄ねじ部(18)をねじ込み可能なコレット側雌ねじ部(34b)が形成されている。前記前側円筒部分(31)は、その後側の部位の円形外周面にコレット側雄ねじ部(36)が形成され、その前側の部位には、その円環状先端面(37)から後方に延びる円周方向に所定の角度間隔で形成したスリット(39)を備えたコレット部(38)が形成され、当該コレット部(38)の先端側の円形外周面部分は前記円環状先端面(37)に向かって先細りのテーパ付き外周面部分(38a)となっている。
【0011】
前記チャッキング用円筒(40)は、その後端開口(41)から前記コレット用円筒(30)の前記前側円筒部分(31)を挿入可能であり、その円形内周面の後側の部位には、前記コレット用円筒(30)の前記コレット側雄ねじ部(36)をねじ込み可能なチャッキング側雌ねじ部(42)が形成され、当該チャッキング用雌ねじ部(42)の前側の部位は、前記コレット部(38)を半径方向の内方に押し込むために、当該チャッキング用円筒(40)の円環状先端面に向けて窄まっているテーパ付き内周面部分(44)を備えたチャッキング部(45)となっている。
【0012】
前記チャッキング用円筒(40)の後端開口(41)から前記コレット用円筒(30)のコレット部(38)を挿入し、前記チャッキング用円筒(40)の先端開口から前記コレット部(38)の内部に前記刃具(50)のシャンク(51)を挿入し、前記チャッキング用円筒(40)を回して前記チャッキング側雌ねじ部(42)に前記コレット側雄ねじ部(36)をねじ込むことにより、前記刃具(50)がチャッキングされている。
【0013】
ここで、本発明においては、前記スピンドル(10)における前記スピンドル側雄ねじ部(18)の後側および先端側には軸部分(15、19)を形成し、前記コレット用円筒(30)の前記後側円筒部分(32)の円形内周面における前記コレット側雌ねじ部(34b)後側および先端側に、前記軸部分(15、19)が嵌り込む円形内周面部分(34a、34c)を形成しておくことが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の小型多軸ボール盤・タップ盤においては、チャッキング用円筒の後端開口から挿入されているコレット用円筒の先端開口に刃具のシャンクを挿入し、この状態でチャッキング用円筒を回す。これにより、コレット用円筒の先端側のコレット部がチャッキング用円筒のチャッキング部によって押し窄められてコレット部に刃具のシャンクがチャッキングされた状態が形成される。チャッキング時に刃具がその軸線方向に移動することがないので、コレット用円筒の後端面から刃具先端までの長さが変化することなく、チャッキングされた状態が形成される。
【0015】
この状態で、コレット用円筒の後端開口にスピンドルの先端部を挿入して、当該コレット用円筒を回すと、そのコレット側雌ねじ部にスピンドル側雄ねじ部がねじ込まれる。コレット用円筒の円環状後端面がスピンドル側の円環状段面に当接するまでねじ込まれる。したがって、スピンドルの当該円環状段面が基準面となり、ここから刃具先端までの長さは、コレット用円筒の後端から刃具先端までの長さと同一となる。また、スピンドルの軸部分がコレット用円筒の円形内周面部分に嵌り込み、これらの間で精度良く芯出しが行われる。よって、スピンドルと、コレット用円筒の先端にチャッキングされた刃具とが芯振れなく連結される。
【0016】
よって、機外セット治具などを用いて、コレット用円筒に刃具のシャンクを挿入して、当該コレット用円筒の後端から刃具先端までの長さを目標寸法になるように設定し、この状態でチャッキング用円筒を用いてシャンクをコレット用円筒にチャッキングすれば、刃具チャッキング後のコレット用円筒をスピンドルの先端にねじ込み固定するだけで、刃具が適切な突出状態で芯振れなくスピンドルに取り付けられた状態になる。よって、従来の小型多軸ボール盤・タップ盤における場合に比べて、刃具の取付作業を極めて短時間で行うことができ、穴開け、タップ加工の作業性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】小型多軸ボール盤・タップ盤のヘッドに取り付けられているスピンドル、コレットチャック機構およびドリルを示す部分断面図である。
【図2】(a)は図1のスピンドル、コレットチャック機構およびドリルを示す斜視図であり、(b)はその分解斜視図であり、(c)はコレットチャック機構の分解斜視図である。
【図3】(a)はスピンドルを示す側面図であり、一部を断面として示してあり、(b)はそのA−A線で切断した部分の横断面図である。
【図4】(a)はコレット用円筒を示す側面図、(b)はその先端面を示す端面図、(c)はそのB−B線で切断した部分を示す横断面図、(d)はその縦断面図である。
【図5】(a)はチャッキング用円筒を示す側面図、(b)はその先端面を示す端面図、(c)はその縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明を適用した小型多軸ボール盤・タップ盤の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態に係る小型多軸ボール盤・タップ盤の基本構成は一般的に使用されているものと同様であるので、以下の説明においてはコレットチャック機構の部分を中心に説明する。
【0019】
図1は小型多軸ボール盤・タップ盤のヘッドに取り付けられているスピンドル、コレットチャック機構および刃具(本例ではドリル)を示す部分断面図である。図2(a)は図1のスピンドル、コレットチャック機構およびドリルを示す斜視図であり、図2(b)はその分解斜視図であり、(c)はコレットチャック機構の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る小型多軸ボール盤・タップ盤1は、固定板式あるいは可動腕式などのスピンドル取付用のヘッド2を備えており、ここに多数本のスピンドルがその中心軸線回りに回転可能な状態で取り付けられている。図1においては1本のスピンドル10のみを示してある。
【0021】
スピンドル10の軸部分11は、スラスト軸受け3、円筒状のメタル軸受け4を介して回転可能な状態でヘッド2に取り付けられている。スピンドル10の後端(図における上端)は、例えば、ユニバーサル継ぎ手5を介して連結ロッド6に連結されている。連結ロッド6には不図示の主軸モータからの回転力が伝達される。
【0022】
図1および図2に示すように、スピンドル10の先端には同軸状態でコレットチャック機構20がねじ込み固定されており、このコレットチャック機構20の先端側に同軸状態でドリル50がチャッキングされている。コレットチャック機構20は、スピンドル10の先端部にねじ込み固定されているコレット用円筒30と、このコレット用円筒30の先端側に同軸状態でねじ込み固定されているチャッキング用円筒40とを備えている。
【0023】
図3(a)はスピンドル10を示す側面図であり、その先端部分および後端部分を断面で示してある。図3(b)はそのA−A線で切断した部分の横断面図である。スピンドル10はヘッド2の側に支持されている一定の外径の軸部分11を備えており、この軸部分11の後端部にはユニバーサル継ぎ手5に対してねじ込み固定するための雄ねじ部12が形成されている。軸部分11の先端には、これよりも大径の軸部分13が連続しており、当該軸部分13の前側の外周面部分は図3(b)に断面を示すように八角形輪郭の工具係合面14となっている。
【0024】
軸部分13の先端には、これよりも小径の軸部分15が連続しており、これらの軸部分13、15の間には円環状段面16が形成されている。軸部分15の先端にはスピンドル側雄ねじ部18が形成されている。スピンドル側雄ねじ部18の先端には、これよりも小径の先端軸部分19が形成されており、これらの部分18、19の間には円環状段面17が形成されている。このように、本例では、軸部分15および円環状段面16からなるインロー部分と、先端軸部分19および円環状段面17からなるインロー部分からなる二段のインロー部分を備えている。先端側のインロー部分を省略して一段のインロー部分のみとすることも場合によっては可能である。
【0025】
次に、このスピンドル10の先端側に同軸状態にねじ込み固定されているコレットチャック機構20を構成しているコレット用円筒30およびチャッキン用円筒40について説明する。
【0026】
図4(a)はコレット用円筒30を示す側面図、図4(b)はその先端面を示す端面図、図4(c)はそのB−B線で切断した部分を示す横断面図であり、図4(d)はその縦断面図である。コレット用円筒30は前側円筒部分31と、この後端に同軸状に連続している一回り大きな外径の後側円筒部分32とを備えている。
【0027】
後側円筒部分32は、その後端開口33からスピンドル10の先端側の部分(軸部分15、スピンドル側雄ねじ部18、先端軸部分19)を受け入れ可能な内周面形状となっている。すなわち、この後側円筒部分32の円形内周面における後端開口33に連続する部分は軸部分15を嵌め込み可能な内径の円形内周面部分34aであり、これに続く部分には、スピンドル側雄ねじ部18をねじ込み可能なコレット側雌ねじ部34bが形成されており、この前側には、先端軸部分19を嵌め込み可能な小径の円形内周面部分34cが形成されている。また、後側円筒部分32の先端側の外周面部分には図4(c)に示すように八角形輪郭の工具係合面32aとなっている。
【0028】
この後側円筒部分32にスピンドル10の先端側の部分を挿入してねじ込むと、当該後側円筒部分32の円環状後端面35にスピンドル側の円環状段面16が当接して、これらの軸線方向の位置が規定される。また、スピンドル10の軸部分15および先端軸部分19が、それぞれ、後側円筒部分32の円形内周面部分34aおよび34cに嵌り込むことにより、これらの間の芯出しが行われる。
【0029】
次に、コレット用円筒30の前側円筒部分31は、その後側の部位の円形外周面部分にコレット側雄ねじ部36が形成されている。このコレット側雄ねじ部36よりも前側の部位から円環状先端面37までの間はコレット部38となっており、ここには、その円環状先端面37から後方に直線状に延びるスリット39が形成されている。スリット39は図4(b)に示すように円周方向に90度の等角度間隔で4本形成されている。また、このコレット部38の先端側の円形外周面部分は円環状先端面37に向かって先細りのテーパ付き外周面部分38aとなっている。
【0030】
次に、図5(a)はチャッキング用円筒40を示す側面図であり、図5(b)はその先端面を示す端面図であり、図5(c)はその縦断面図である。チャッキング用円筒40は、その後端開口41からコレット用円筒30の前側円筒部分31を挿入可能な内径および長さのものである。当該チャッキング用円筒40の円形内周面の後側の部位には、コレット用円筒30のコレット側雄ねじ部36をねじ込み可能なチャッキング側雌ねじ部42が形成されている。このチャッキング側雌ねじ部42の先端側の部位は、前記コレット部分を半径方向の内方に押し込むために、その円環状先端面43に向けて窄まっているテーパ付き内周面部分44を備えたチャッキング部45となっている。このチャッキング部45の外周面部分は図5(b)に示すように八角形輪郭の工具係合面46となっている。
【0031】
(ドリルのチャッキング)
本例のコレットチャック機構20においては次のようにドリル50のチャッキングが行われる。チャッキング用円筒40の後端開口41からコレット用円筒30の前側円筒部分31を挿入し、チャッキング用円筒40の先端側からコレット用円筒30の先端側のコレット部38に、ドリル50のシャンク51を挿入する。
【0032】
この状態で、コレット用円筒30を固定し、チャッキング用円筒40を回すことにより、コレット用円筒30の先端側のコレット部38がチャッキング用円筒40のチャッキング部45によって押し窄められてコレット部38にドリル50のシャンク51がチャッキングされた状態が形成される。このチャッキング時にドリル50がその軸線方向に移動することがないので、コレット用円筒30の円環状後端面35からドリル先端52までの長さLが変化することなく、チャッキングされた状態が形成される。
【0033】
この状態で、コレット用円筒30の後端開口33にスピンドル10の先端側の部分を挿入して、当該コレット用円筒30を回してコレット側雌ねじ部34bにスピンドル側雄ねじ部18をねじ込む。コレット用円筒30の円環状後端面35がスピンドル側の円環状段面16に当接するまでねじ込む。
【0034】
この結果、スピンドル10の円環状段面16からドリル先端52までの突出量がLの状態で、ドリル50がスピンドル10に取り付けられた状態になる。すなわち、円環状段面16が円環状後端面35に当接して、これらの軸方向の位置が精度良く規定される。また、スピンドル10の軸部分15および先端軸部分19がコレット用円筒30の円形内周面部分34a、34cに嵌り込み、これらの係合によって、双方の部材10、30の芯振れが防止される。よって、スピンドル10と、コレット用円筒30の先端にチャッキングされているドリル50とが精度良く芯出しされた状態が形成される。
【符号の説明】
【0035】
1 小型多軸ボール盤・タップ盤
2 ヘッド
3 スラスト軸受け
4 メタル軸受け
5 ユニバーサル継ぎ手
6 連結ロッド
10 スピンドル
11 軸部分
12 雄ねじ部
13 軸部分
14 工具係合面
15 軸部分
16、17 円環状段面
18 スピンドル側雄ねじ部
19 先端軸部分
20 コレットチャック機構
30 コレット用円筒
31 前側円筒部分
32 後側円筒部分
33 後端開口
34a 円形内周面部分
34b コレット側雌ねじ部
34c 円形内周面部分
35 円環状後端面
36 コレット側雄ねじ部
37 円環状先端面
38 コレット部
38a テーパ付き外周面部分
39 スリット
40 チャッキング用円筒
41 後端開口
42 チャッキング側雌ネジ部
43 円環状先端面
45 チャッキング部
46 工具係合面
50 ドリル
51 シャンク
52 ドリル先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド(2)に取り付けられている複数本のスピンドル(10)のそれぞれに刃具(50)を取り付けるためのコレットチャック機構(20)を備えた小型多軸ボール盤・タップ盤(1)であって、
各スピンドル(10)の先端部にねじ込み固定されたコレット用円筒(30)と、
前記コレット用円筒(30)の先端部にねじ込み固定されたチャッキング用円筒(40)と、
前記チャッキング用円筒(40)によって前記コレット用円筒(30)に対して同軸状態にチャッキングされている刃具(50)とを有しており、
前記スピンドル(10)は、その先端部の円形外周面に形成したスピンドル側雄ねじ部(18)と、当該スピンドル側雄ねじ部(18)よりも後側の部位に形成した前記コレット用円筒(30)の円環状後端面(35)に当接している円環状段面(16)とを備えており、
前記コレット用円筒(30)は前側円筒部分(31)および後側円筒部分(32)を備えており、前記後側円筒部分(32)は、その後端開口(33)から前記スピンドル(10)の先端部を挿入可能であり、その円形内周面には前記スピンドル側雄ねじ部(18)をねじ込み可能なコレット側雌ねじ部(34b)が形成されており、前記前側円筒部分(31)は、その後側の部位の円形外周面にコレット側雄ねじ部(36)が形成され、その前側の部位には、その円環状先端面(37)から後方に延びる円周方向に所定の角度間隔で形成したスリット(39)を備えたコレット部(38)が形成され、当該コレット部(38)の先端側の円形外周面部分は前記円環状先端面(37)に向かって先細りのテーパ付き外周面部分(38a)となっており、
前記チャッキング用円筒(40)は、その後端開口(41)から前記コレット用円筒(30)の前記前側円筒部分(31)を挿入可能であり、その円形内周面の後側の部位には、前記コレット用円筒(30)の前記コレット側雄ねじ部(36)をねじ込み可能なチャッキング側雌ねじ部(42)が形成され、当該チャッキング用雌ねじ部(42)の前側の部位は、前記コレット部(38)を半径方向の内方に押し込むために、当該チャッキング用円筒(40)の円環状先端面に向けて窄まっているテーパ付き内周面部分(44)を備えたチャッキング部(45)となっており、
前記チャッキング用円筒(40)の後端開口(41)から前記コレット用円筒(30)のコレット部(38)を挿入し、前記チャッキング用円筒(40)の先端開口から前記コレット部(38)の内部に前記刃具(50)のシャンク(51)を挿入し、前記チャッキング用円筒(40)を回して前記チャッキング側雌ねじ部(42)に前記コレット側雄ねじ部(36)をねじ込むことにより、前記刃具(50)がチャッキングされていることを特徴とする小型多軸ボール盤・タップ盤(1)。
【請求項2】
前記スピンドル(10)における前記スピンドル側雄ねじ部(18)の後側および先端側には軸部分(15、19)が形成されており、
前記コレット用円筒(30)の前記後側円筒分(32)の円形内周面における前記コレット側雌ねじ部(34b)の後側および先端側には、それぞれ前記軸部分(15、19)が嵌り込む円形内周面部分(34a、34c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小型多軸ボール盤・タップ盤(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−56590(P2011−56590A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205517(P2009−205517)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(504198359)株式会社宮澤機工 (1)
【Fターム(参考)】