説明

小型電子部品のキャリアテープ

【課題】テープ本体とカバーテープを引き剥がす際の、毛羽立ちや紙粉の発生を抑制し、カバーテープ剥離時の帯電の低減を図ることができるキャリアテープを提供する。
【解決手段】キャリアテープ10は、カバーテープ20とテープ本体11からなり、テープ本体11には部品収納部12が形成され、且つ、テープ長手方向の部品収納部12間に凹部15を形成した。シール部分21が、テープ幅方向の部品収納部12の側部に設けられる。凹部15の深さXを20μm以上とすることが好ましい。テープ本体11は紙材料からなり、凹部15はプレスにより形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ抵抗器等の小型電子部品を包装するキャリアテープの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型電子部品(チップ抵抗器、コンデンサなど)の包装にキャリアテープが用いられている。キャリアテープは、小型電子部品を収容する部品収納部が形成されたテープ本体と、部品収納部をカバーするカバーテープとから構成されている。テープ本体は、焼却処分等が容易な紙材料が用いられる場合があり、カバーテープは合成樹脂材料等が用いられる。テープ本体とカバーテープは、部品収納部に小型電子部品を収容した後に、熱接着により接合され、部品収納部をシールして小型電子部品を包装する。
【0003】
このようなキャリアテープに収容された小型電子部品を回路基板に実装するとき、テープ本体からカバーテープを引き剥がすと、テープ本体に紙材料を用いた場合には毛羽立ちや紙粉が発生し、実装する小型電子部品等の品質に悪影響を及ぼす場合がある。また、カバーテープの引き剥がしの際に、剥離帯電が生じ、カバーテープが帯電すると、小型電子部品がカバーテープに引き寄せられ、実装時の不具合が生じる。また、小型電子部品が帯電した場合には、その放電により実装する回路基板等への影響も懸念される。
【0004】
テープ本体に紙材料を用いた場合のカバーテープ引き剥がし時の毛羽立ちや紙粉発生を低減することができるキャリアテープとして、各種の提案がなされている。例えば、特許文献1では、部品収納部の開口の周囲を加工して、段差面26を形成することが提案されている。
【特許文献1】特開2001−278334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のキャリアテープでは、部品収納部の開口の周囲を加工して段差面26を形成するため、収納凹部(部品収納部)22の開口の形状が不安定となる場合がある。また、収納凹部22の開口の周囲がカバーテープで接着(シール)されていないため、搬送中に帯材(テープ本体)20とカバーテープ30の間に小型電子部品が挟まったり、小型電子部品が飛び出してしまったり、といった問題が懸念される。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、テープ本体とカバーテープを引き剥がす際の、毛羽立ちや紙粉の発生を抑制し、カバーテープ剥離時の帯電の低減を図ることができるキャリアテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の小型電子部品のキャリアテープは、テープ本体とカバーテープとからなり、テープ本体には部品収納部が形成され、且つ、テープ長手方向の部品収納部間に凹部を形成したことを特徴とする。そして、シール部分が、テープ幅方向の部品収納部の側部に設けられる。ここで、凹部の深さを20μm以上とすることが好ましい。また、テープ本体は紙材料からなり、凹部はプレスにより形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明によれば、プレス等により、テープ本体の表面の部品収納部(ポケット)間に凹部を設けることにより、加熱ヘッドにてカバーテープを連続的にシールした場合に、シール部分が、テープ幅方向の部品収納部の側部に設けられる。部品収納部間は凹部が形成されているため、シールされず、若しくは、シールのアンカ効果が弱くなる。すなわち、キャリアテープの長手方向に沿って断続的にシールされるため、カバーテープのテープ本体に対するシール強度が弱くなり、特にテープ本体を紙材料で形成した場合に、カバーテープの剥離時の毛羽立ちや、紙粉の発生を抑えることができる。また、シールする面積が少なくなるため、テープ剥離時の帯電による弊害も減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一の作用または機能を有する部材または要素には、同一の符号を付して説明する。
【0010】
図1は本発明のキャリアテープの斜視図を示し、図2(a)はその平面図を示し、図2(b)はその側面図を示す。キャリアテープ10は、紙材料からなるテープ本体11と、その部品収納部(ポケット)12に小型電子部品を収容し、これをシールする合成樹脂材料からなるカバーテープ20とから構成されている。テープ本体11には送り穴13が長手方向に沿って等間隔に形成され、送り穴13によってテープ本体11を送りつつ、図示しない小型電子部品をポケット12に収容してカバーテープ20でシールする。実装時には、カバーテープ20を引き剥がして小型電子部品をポケット12から取り出し、小型電子部品を回路基板に実装する。
【0011】
テープ本体11には、テープ長手方向に配列させたポケット12間に凹部15が形成され、テープ本体11の表面14から少し低いところに凹部15の底面が位置する。凹部の深さXは20μm以上、好ましくは30〜50μm程度であり、プレスにより形成する。このため、加熱ヘッドにてカバーテープ20をテープ本体11の長手方向に沿って連続的にシールすると、テープ幅方向のポケットの側部である表面14にシール部21が形成される。テープ長手方向に断続的に存在するポケット間の凹部15は一段低い位置にあるためシールされず、若しくは、多少接合してもシールのアンカ効果が弱くなる。従って、キャリアテープ10は、凹部15の存在により、テープの長手方向に沿って断続的にシールされるため、カバーテープ20のテープ本体11に対する全体としてのシール強度は、従来の構造と比較して弱くなる。
【0012】
なお、テープ本体は、この実施形態では紙材料からできていて、カバーテープの幅方向両側に(帯状に、または全面に)接着材が塗布されていて、シール装置の加熱ヘッドを通過する際に、加温圧着されてテープ本体11とカバーテープ20とが接合し、シール部21が形成される。
【0013】
ポケット12には、例えば0.6mm×0.3mm×0.23mm(0603サイズ)、0.4mm×0.2mm×0.12mm(0402サイズ)等のサイズとしたチップ抵抗器等の小型電子部品が収容される。凹部の深さは20μm以上、好ましくは30〜50μm程度である。小型電子部品の高さに対して浅いため、カバーテープ20と凹部15の表面との隙間に小型電子部品が挟まってしまうのを防止できる。また、シールのアンカ効果を弱めることができる深さである。また、凹部15を形成するときのプレスにより、テープ本体11の形状を著しく歪めることを抑制できる深さである。
【0014】
また、ポケットのサイズは0603サイズでは0.3〜0.4mm×0.6〜0.7mm程度とし、0402サイズでは0.2〜0.3mm×0.4〜0.5mm 程度とする。ポケットのピッチ(凹部15のテープ長手方向長さ)は2mm程度が適当であり、具体的に、0603サイズでは2mm-0.3〜0.4mm=1.6〜1.7mmとし、0402サイズでは2mm-0.2〜0.3mm=1.7〜1.8mmとする。これにより、シール部分21とシールされていない凹部の部分との比が、0.2:0.8〜0.1:0.9程度となり、シールのアンカ効果を80〜90%程度低減できる。なお、テープ本体の幅は、8mm程度とする。ポケットの深さは、0603サイズについては0.25〜0.35mmとし、0402サイズでは0.15〜0.25mm程度とする。
【0015】
図3は、本発明の他のキャリアテープを示す。この実施形態では、凹部15の幅Yを狭め、表面14の幅をポケット12のテープ長手方向幅よりも広くしたものである。これにより、ポケット12の周囲を、カバーテープ20により完全に封着することができ、テープ本体とカバーテープとの間に小型電子部品が挟まったり、出てしまったりということを防止することができ、運搬中の小型電子部品の飛び出しが起こり難い。
【0016】
図4は、本発明のさらに他のキャリアテープを示す。この実施形態は、上記の実施形態が、テープ本体11の幅方向全てに凹部15を設けているのに対し、テープ本体11の幅方向全てに凹部を設けることは必ずしも必要で無く、シール部21を含むカバーテープの幅以上に設けておけば十分であることによる。このため、凹部15の配置領域を、送り穴13が配置された領域を除くように狭くしたものである。これによっても、断続的なシール部21の配置により、シールのアンカ効果を弱めることができると共に、送り穴部分をテープ長手方向に沿って平坦にすることができる。
【0017】
なお、上記実施形態ではテープ本体が紙材料を用いたものについて説明したが、テープ本体が合成樹脂材料からなるものを用いてもよい。これによっても、シール部をテープ長手方向に沿って断続的に形成でき、シール部のアンカ効果を低減でき、カバーテープの引き剥がし時に発生する剥離帯電の防止や安定したカバーテープの引き剥がしが行える。
【0018】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のキャリアテープを示す斜視図である。
【図2】上記キャリアテープの(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るキャリアテープの(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に係るキャリアテープの(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 キャリアテープ
11 テープ本体
12 部品収納部(ポケット)
13 送り穴
14 テープ本体表面
15 凹部
20 カバーテープ
21 シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ本体とカバーテープとからなり、テープ本体には部品収納部が形成され、且つ、テープ長手方向の部品収納部間に凹部を形成したことを特徴とする小型電子部品のキャリアテープ。
【請求項2】
シール部分が、テープ幅方向の部品収納部の側部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の小型電子部品のキャリアテープ。
【請求項3】
凹部の深さを20μm以上としたことを特徴とする請求項1または2記載の小型電子部品のキャリアテープ。
【請求項4】
テープ本体は、紙材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の小型電子部品のキャリアテープ。
【請求項5】
凹部は、プレスにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の小型電子部品のキャリアテープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−120436(P2008−120436A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308844(P2006−308844)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】