説明

小径の電子ビームを発生する加速器

【課題】小形化に適した構造で、小径で加速された高エネルギーの電子ビームの発生を可能にした、小径の電子ビームを発生する加速器を提供する。
【解決手段】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器は、筒状の加速器である。熱電子源,収束電極,陽極電極からなる軸対称構造の電子銃部と前記電子銃部からの電子流の加速と事前のバンチ(変調)をする軸対称構造のプリバンチャ部を一体(A)に備えている。加速器は、前記プリバンチャ部で変調された電子流をさらにバンチし加速するための加速部の前段の軸対称構造のバンチャ部(B)と、バンチャ部(B)の出力をさらに加速する後段加速部(C)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小形化に適した構造で、小径で加速された高エネルギーの電子ビームの発生を可能にした、小径の電子ビームを発生する加速器に関する。
【背景技術】
【0002】
米国ではがん患者の50%以上が放射線治療の恩恵を受けており、その治療効果は手術と比較しても遜色がない。特に最近IMRT(強度変調放射線治療)を始め、SRT(定位放射線治療)やIGRT(画像誘導放射線治療)などの新しい装置が開発されてがん治療効果を上げている。しかし、従来のX線装置は、X線ビームの直径の制約のために、直径1cm以下のがんの治療に適していない。
【0003】
がん治療には、X線をがん患部に対して360度の任意の方向から複数回照射すると、たとえばX線ビームの直径がDとすれば、約Dの球体の領域が複数のX線照射を受けることになる。がんの領域がDより小さいときには、健全な組織にも複数回照射することになり、健全な組織を痛める危険が伴う。よってDより小さいがんの治療はできない。一方早期治療はがんの領域が小さいほど効果が上げられるので、その解決が強く望まれる。
【0004】
直径1cm以下のがん治療(早期がん)に効果をあげるには、X線ビームの直径が0.7mm程度であることが望ましい(たとえば、特願2007−33404参照)。
この特願2007−33404は、X線源に関する発明であって、加速器の電子ビームのスポット径を1mmにし、X線の案内孔の径を0.6mmにする構成を提案している。
このように、この小径のX線を発生するためには、X線ターゲットを小径の電子ビームで励起する必要があり、この電子ビームを発生する加速器の開発が重要になる。小径のX線ビームを発生するためには小径の電子ビームを発生する加速器が必要となる。
【0005】
特許文献1に係る発明は、電子銃から発せられたビームにマイクロ波電界を印加する第1プリバンチャとドリフトチューブを介して接続される第2プリバンチャとを備える線形加速器を提案している。
特許文献2に係る発明は、電子銃の回りに電界分布調整金属筒を設け、その表面を熱電子放出面と面一にしてビーム性能の向上を図った線形電子加速器を提案している。
特許文献3に係る発明は、被加速電子が比較的高速でない領域では軸対称加速空洞を用いて軸対称な電子分布を得て、被加速電子が高速な領域ではサイドカップル形空洞で効果的に加速する高電界小形定在波線形加速器を提案している。
【特許文献1】特開平01−130500号公報
【特許文献2】特開平07−335400号公報
【特許文献3】特許第3010169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1に係る発明では、各部の構造、例えば電子銃とプリバンチャの構造が明らかではない。特許文献2に係る発明では電子ビームの小径化にはかならずしも最適な構造とは言いがたい。さらに特許文献3に係わる高電界小形定在波線形加速器は高エネルギーの電子流を得ることができるが、エミッタンスの改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、前述の先行技術の装置をさらに改良して、ビームのエミッタンスを良好にすることを可能し、小径の電子ビームを発生する加速器を提供することにある。
本発明のさらに詳細な目的は、直径1cm以下の早期がんを効果的に治療するために、0.75mm以下の小径X線ビームの発生を可能にするX線ターゲット励起用の小径の電子ビームを発生する加速器を提供することにある。
そのためにはエミッタンス特性の優れた小径の熱電子ビームを発生させるように電子銃部の構造を改善する。電子銃部にグリッドを使用しないことで、グリッドの存在による電子ビームの乱れ、ビームのエミッタンスの劣化を防止するとともに、発生熱電子のエミッタンス特性を改善する電子銃の構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、筒状の加速器であって、
熱電子源,収束電極,陽極電極からなる軸対称構造の電子銃部と、
前記電子銃部からの電子流の加速と事前のバンチ(変調)をする軸対称構造のプリバンチャ部と、
前記プリバンチャ部で変調された電子流をさらにバンチし加速するための加速部の前段の軸対称構造のバンチャ部と、
前記バンチャ部の出力をさらに加速する後段加速部と、
から構成されている。
【0009】
本発明による請求項2記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項1記載の加速器において、
前記電子銃部の前記収束電極はウェネルト電極であることを特徴としている。
本発明による請求項3記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項2記載の加速器において、
前記プリバンチャ部のプリバンチャキャビティは、前記電子銃部と一体的に設けられ、電子銃プリバンチャ組立を構成し、前記加速部の前段のバンチャ部に接合されることを特徴としている。
【0010】
本発明による請求項4記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項3記載の加速器において、
前記プリバンチャ部のプリバンチャキャビティは、陽極を兼ねるかまたは多段陽極の最終段に配置されていることを特徴としている。
本発明による請求項5記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項3記載の加速器において、
前記電子銃部の熱電子源の、先端が円錐台状の円柱の熱電子放出材料は、ヒータにより加熱されるものであり、加熱電力は円柱の軸に垂直方向から導入されるように構成してある。
本発明による請求項6記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項3記載の加速器において、
前記バンチャ部の管壁外側に収束コイルが設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明による請求項7記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項3記載の加速器において、
前記加速部の前段の動作モードはπ/2モードオンアクシス、後段はπ/2モードサイドカップルで動作し、前段はバンチャ部を形成していることを特徴としている。
本発明による請求項8記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項3記載の加速器において、
前記加速部の前段の動作モードはπモードオンアクシス、後段はπ/2モードサイドカップルで動作し、前段はバンチャ部を形成していることを特徴としている。
【0012】
本発明による請求項9記載の小径の電子ビームを発生する加速器は、請求項4記載の加速器において、
前記加速器の出力ビームは偏向手段により偏向されX線ターゲットに投射されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明による請求項1記載の発明によれば、エミッタンス特性の優れた小形で小径の電子ビームを発生する加速器が得られる。
本発明による請求項2記載の発明によれば、エミッタンス特性の優れた小径の熱電子ビームを発生させることができる。従来用いられていたグリッドの代わりにウェネルト部を長くしてアノードとウェネルトとカソードの電圧の関係を変えることで理想状態でのビームの流れを確保できる。ビームのエミッタンスを最小にすることが可能になる。
ウェネルト電極を用いてグリッド電極の使用を避けているので、メッシュ状のグリッド電極による電界の乱れがなくなり乱れのない電界で電子が収束されるとともに、コストを下げることができる。また、グリッドの熱による変形により電子銃パービアンスが時間によって変わることがない構造が提供できる。
本発明による請求項3記載の発明によれば、電子銃部とプリバンチャ部を一体に組み立てて加速部と熱溶着などで接合できるから、加速部との組み合わせの選択が可能となる。
本発明による請求項4記載の発明によれば、陽極電極とプリバンチャキャビティを組み合わせること、さらにプリバンチャキャビティにその機能と陽極電極の機能を持たせて小形化を図ることも可能になる。
通常、アノード部とプリバンチャのキャビティは別々であるが、ここではアノードの外側がプリバンチャキャビティの内側になるように一体形とすることができる。
本発明による請求項5記載の発明によれば、熱電子銃部の軸方向の短縮化が図れる。
本発明による請求項6記載の発明によれば、バンチャ部の管壁外側に収束コイルを設けてあるので、加速開始の段階で電子ビームのエミッタンスを向上させることができる。
本発明による請求項7,8記載の発明によれば、加速部の前段の動作モードと後段の動作モードをハイブリッドモードとすることができる。
本発明による請求項9記載の発明によれば、優れた特性の電子ビームを偏向し、X線ターゲットに投射して治療や診断のためのX線ビームを発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面等を参照して、本発明による小径の電子ビームを発生する加速器を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の全体の概略図である。
前記加速器を以下のA〜Eのブロックに分けて説明する。
A部分は、熱電子を放射する電子銃部と電子を変調するプリバンチャ部を一体化した部分である。
B部分は、加速部の前段で、管軸に対してシンメトリー(軸回転対称)の電磁界を発生し、電子群を加速するバンチャ部である。
C部分は、電子群を強力に加速するのに電力効率のよいサイドカップル形加速部である。
D部分は、加速された電子を出力する出力キャビティ部である。
E部分は、出力された電子群をXY軸を含む面内で偏向するビーム偏向部である。
【0015】
図2Aは本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の電子銃部とプリバンチャ部を一体化したA部の第1の形態を示す略図的断面図である。収束されたX線ビームを発生させるために好ましい電子源である電子銃の構造に配慮している。
カソード202の内部にヒータ201が内蔵されている。ヒータ201の加熱により発生した電子は、V4電圧206により加速されてカソード202から放出される。特にカソード202の先端部はカソード202の基部の直径より細くなっている。
しかもカソード202の先端は加速管の軸(電子の走行方向をZ軸とする)に直角な平坦面であり、円錐台状の熱陰極を構成している。
【0016】
前述したように、X線小径化および低い発散性を確保するためには電子ビームのエミッタンス特性も良好であることが必須である。本発明で使用する電子銃において、現在使用されているカソードの直径(通常1cm程度)よりも小さい3mm以下のカソード径を実現して使用している。メッシュ形グリッドをなくし、第1アノード212と第2アノード213で同じ動作をすることにした。その結果、本発明による実施例では電子ビームの直径を0.75mm以下に、電子ビームのエミッタンスは1mmradianのレベルに下げることができる。
【0017】
図2Aにおいて、電子銃部の熱電子源のカソード202は、先端が円錐台状で全体として円柱状の熱電子放出材料からなり、ヒータにより加熱されるものである。加熱電力は円柱の軸に垂直方向から導入される構成になっている。
カソード202の先端部から放出された電子はZ軸に向かうことになる。
カソード202の外側に収束電極を構成するウェネルト電極203を配置して、カソード202の先端部から放出された電子をZ軸の中心線に収束させる。
【0018】
カソード202に対してウェネルト電極203に正のパルス電圧207を印加する。これにより電子は間歇的に放出される。パルス電圧信号のタイミングを制御することにより、後段の各バンチャにおけるバンチングキャビティのマイクロ波を加速する位相をマッチングさせて、電子のより大きい加速効果を上げることができる。
次に従来の電子銃はカソードの前面にメッシュ形状のグリッドを配置する構造であったが、メッシュ形状によりその近傍の電界が乱されてしまい、電子の乱れが生ずる問題があった。
【0019】
電子の乱れを極力回避するために、第1アノード212と第2アノード213を設けた構造になっている。各アノードに加える電圧はV1(210),V2(209),V3(208)としてある。
各アノード間の電気的な絶縁は、リング状のセラミックで形成するセラミック絶縁材211で行われる。
このように、カソードから放出された電子流はZ軸に収束されて、各アノードで加速される。これらの構造は、Z軸に対してシンメトリーになるので、電子流218はZ軸に対してシンメトリーな電子流となる。
【0020】
この電子流218はプリバンチャキャビティ214に突入する。
プリバンチャキャビティ214の側面に配置する同軸フィーダ215からマイクロ波が供給され、キャビティ内の電界により、電子流218はバンチングされ、キャビティの出力端から収束された電子群219が加速されて、後述する加速部の前段のバンチャ部Bのキャビティに加えられる。
【0021】
このように電子銃部とプリバンチャ部を一体化したA部において、電子の速度が比較的遅い状態では、Z軸の外周向きの方向に対して、加速電磁界が軸対称性を高く維持することになり、電子ビームが軸対称性を確保できる。
このように、加速キャビティ内部の非対称的なマイクロ波加速電界がないので、加速電子ビームの分布が軸対称になり、発生するX線の強度分布が均一になる。
【0022】
従来の電子銃では通常はグリッドが付くことで電子ビーム量と電子ビームの出力の時間タイミングをとる構成を用いるものが多い。この構成によれば、このグリッドによって電子ビームが乱され、ビームのエミッタンスを損なってしまう。本発明の構成ではグリッドの代わりのウェネルト部を長くしてアノードとウェネルトとカソードの電圧の関係を変えることで理想状態でのビームの流れを確保できる。すなわち、ビームのエミッタンスを良好にすることが可能である。グリッドがなくなることでコストが下がるとともに、グリッドの熱による変形により電子銃パービアンスが時間によって変わることがない構造としてある。
通常、アノード部とプリバンチャのキャビティは別々であるが、ここではアノードの外側がプリバンチャキャビティの内側になるように一体形としてある。
【0023】
図2Bは、本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の電子銃部とプリバンチャ部を一体化したA部の第2の形態を示す略図的断面図である。この例では従来の陽極を省略して、プリバンチャキャビティ214に陽極の機能を持たせている。
ヒータ201,カソード202,ウェネルト電極203の構成と動作は前述と異ならない。カソード202に対してウェネルト電極203に電源221から正のパルス電圧が印加されており、前述と同様に熱電子は間歇的に放出される。このパルス電圧は、同軸フィーダ215の内導体がセラミックシール216を介して導入され、カップリングループ217により結合される励起電圧と同期させられている。なお同図において、直流電源220は陽極電圧に相当する電源であり、222はヒータ電源である。このようにウェネルト電極203に印加されるパルス電圧信号とカップリングループ217を介して接続される信号のタイミングを制御することにより、後段の各バンチャにおけるバンチングキャビティのマイクロ波を加速する位相をマッチングさせて図2Aに示した例と同様に動作させられる。
【0024】
前述のように図2A,図2Bに示す構造は電子銃部とプリバンチャ部を一体化した構造であり、図2Aに示す構造では、高圧電圧とヒータ電源を供給するフィーダを加速管軸(Z軸方向)に垂直に配置することにより、加速管の管軸方向の全体長さを短縮することができる。
【0025】
収束された電子群219はバンチャ12(バンチャ部B、図1参照)に入る。図3Aおよび図3Bは、加速器の加速部のハイブリッドモードの第1,および第2の形態を示す概略図である。
バンチャ12は、図3A(または図3B)に示すバンチャ部であり、ソレノイドコイル302による磁界により、電子群の直径を絞る作用が働いて、電子群は収束される。
キャビティ301に生ずる電界により、電子群が加速される。
この加速部の電磁界はZ軸に対して対称性を持つので、電子群はZ軸に対して軸対称性を保つ。加速電圧は10KV程度である。この加速された電子はZ軸に向かう大きい運動量が得られる。
【0026】
バンチャ部B(加速部の前段)のソレノイドコイル302はバンチャ部での電子ビームの広がりを抑止するための収束磁界を発生している。
また電子のZ軸方向の運動量が大きくなるので、好ましくない外部からの電磁界による電子のZ軸方向以外の変動は極めて少なくなり、実質的に影響を受けなくなる。
電子銃部とプリバンチャ部の一体化部Aとバンチャ部Bとの接合(図1参照)はフランジを溶接して、管壁の導電度をあげて、電力の損失を極力下げている。
【0027】
図3Aに示すように、プリバンチャキャビティ214(図2A,図2B)から入射し、定在波形π/2モードオンアクシス結合キャビティの加速部(バンチャ)を出た電子群は、π/2モードサイドカップル形加速器14(図1のC部)に突入する。サイドカップル形加速器14(C部)は、図1に示すように、主に加速キャビティ15、サイドキャビティ19と大電力マイクロ波入力ポート13で構成されている。サイドカップル形加速器14の出力は、出力キャビティ16(図1のD部)に接続される。
図3Bに示す例では、プリバンチャから入射し、定在波形πモードオンアクシス結合キャビティの加速部(バンチャ)を出た電子群は、π/2モードサイドカップル形加速器14(図1のC部)に突入する。
【0028】
大電力マイクロ波入力ポート13から入力されたマイクロ波は、サイドキャビティ304(結合キャビティ)を通して各加速キャビティ303を励振する。なお、図3A,図3Bにおいて、結合部305は、加速キャビティ303とサイドキャビティ304を結合している。
Z軸方向の電界は電子をさらに加速し、電子は次の加速キャビティへと伝送される。
このときのマイクロ波の励振はπ/2モードになる。
多段の加速キャビティにより電子のエネルギーは数Mボルトになり、電子の速度は光速に近い速度に達する。
【0029】
図1に示すように、出力キャビティ16から放出された電子群は、ビーム偏向部Eに入る。偏向用XYマグネット18の強力な磁界によって電子群はX軸,Y軸方向に偏向させられる。これにより電子群は前記偏向によって選択された任意のX線ターゲットに入射させられ、異なる位置から異なる方向にX線を発生することができる。
【0030】
その他の小形化に適した構造を採用する。たとえば、加速管の冷却パイプ(ヒートパイプ)を、加速管の外壁と内壁の間の内部に配置する。なおこの構造は、特開平11−8099号公報に開示されているから説明を省略する。電磁界をシールドするシールド板を加速管の内部に配置することもできる。
その結果、加速管の全長を30cm程度にして、全体の径を5cmφ程度に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の全体の構成を示す略図である。
【図2A】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の電子銃部とプリバンチャ部を一体に設けた第1の形態を示す略図的断面図である。
【図2B】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の電子銃部とプリバンチャ部を一体に設けた第2の形態を示す略図的断面図である。
【図3A】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の加速部のハイブリッドモードの第1の形態(π/2モードオンアクシス)を示す概略図である。
【図3B】本発明による小径の電子ビームを発生する加速器の加速部のハイブリッドモードの第2の形態(πモードオンアクシス)を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
A 電子銃部とプリバンチャ部
B バンチャ部
C サイドカップル形加速部
D 出力キャビティ部
E ビーム偏向部
11 溶接フランジ
12 バンチャ
13 大電力マイクロ波入力ポート
14 サイドカップル形加速器
15 サイドカップル形加速器の加速キャビティ
16 出力キャビティ(シンメトリー加速キャビティ)
17 真空フランジ
18 XYマグネット
19 サイドキャビティ
201 ヒータ
202 カソード
203 ウェネルト電極
204 各種電源用フィーダ
205 ヒータ電源
206 V4
207 パルス電圧
208,209,210 陽極に印加される電圧V3〜V1
211 セラミック絶縁材
212 第1アノード(陽極)
213 第2アノード(陽極)
214 プリバンチャキャビティ
215 マイクロ波用同軸フィーダ
216 セラミックシール
217 カップリングループ
218 電子流
219 電子群
301 キャビティ
302 ソレノイドコイル
303 加速キャビティ
304 サイドキャビティ
305 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の加速器であって、
熱電子源,収束電極,陽極電極からなる軸対称構造の電子銃部と、
前記電子銃部からの電子流の加速と事前のバンチ(変調)をする軸対称構造のプリバンチャ部と、
前記プリバンチャ部で変調された電子流をさらにバンチし加速するための加速部の前段の軸対称構造のバンチャ部と、
前記バンチャ部の出力をさらに加速する後段加速部と、
から構成した小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項2】
請求項1記載の加速器において、
前記電子銃部の前記収束電極はウェネルト電極であることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項3】
請求項2記載の加速器において、
前記プリバンチャ部のプリバンチャキャビティは、前記電子銃部と一体的に設けられ、電子銃プリバンチャ組立を構成し、前記加速部の前段のバンチャ部に接合されることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項4】
請求項3記載の加速器において、
前記プリバンチャ部のプリバンチャキャビティは、陽極を兼ねるかまたは多段陽極の最終段に配置されていることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項5】
請求項3記載の加速器において、
前記電子銃部の熱電子源の、先端が円錐台状の円柱の熱電子放出材料は、ヒータにより加熱されるものであり、加熱電力は円柱の軸に垂直方向から導入されるように構成した小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項6】
請求項3記載の加速器において、
前記バンチャ部の管壁外側に収束コイルが設けられていることを特徴とする電子ビームを発生する加速器。
【請求項7】
請求項3記載の加速器において、
前記加速部の前段の動作モードはπ/2モードオンアクシス、後段はπ/2モードサイドカップルで動作し、前段はバンチャ部を形成していることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項8】
請求項3記載の加速器において、
前記加速部の前段の動作モードはπモードオンアクシス、後段はπ/2モードサイドカップルで動作し、前段はバンチャ部を形成していることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。
【請求項9】
請求項4記載の加速器において、
前記加速器の出力ビームは偏向手段により偏向されX線ターゲットに投射されることを特徴とする小径の電子ビームを発生する加速器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2009−205884(P2009−205884A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45487(P2008−45487)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、平成19・04・02関東会第179号 地域新生コンソーシアム研究開発事業「可搬型高エネルギーリニアックX線源の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(506118216)株式会社アキュセラ (5)
【Fターム(参考)】