説明

小物ワーク用保持・搬送装置

【課題】極小サイズのカメラレンズ等、真空吸引チャックの気密接触に必要な辺縁スペース部分が得られない小物ワークを保持・搬送する装置を安価に提供する。
【解決手段】保持搬送装置1の先端にワークを押し付け保持するためのワークストッパー4とワーク位置決めのためのガイド3を備え、ワーク背面より保持装置側に向かう流体流発生のため流体を噴出または吸引する開口5を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ等超小型の保持対象ワークを流体流の押し付け圧により保持する保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のワークを保持する装置は、保持対象ワークの非活用部分の辺縁部にパッドを気密接触して真空吸引力により保持していた。
また、気密接触を必要としない非接触の保持搬送装置による吸引保持方法も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許 第4437415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークサイズの小型化が進むにつれてパッドによる気密接触に必要な辺縁部のスペース確保が著しく困難になってきている。また、非接触保持装置の場合もワークが小型化するにつれて吸引力を発生するために必要なワーク面の面積が充分得られなくなると共に、保持装置の製作に極端な微細加工が必要になり技術的かつコスト的に非実用的なものになってくる。
【0005】
そこで本発明は、非接触に近いわずかな接触面積で微小なサイズのワークを安定に保持する安価な保持装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保持装置は、端部に開口部を備えた流体管の端に開口部と連通して流路を確保するためのスリットを備えたワークの外周位置を保つためのガイドと、ガイド内側にワークを押し付け保持するためのストッパーを備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成において、流体管開口部からストッパーおよびガイドのスリットを通じ流体を噴出すると、噴出流に吸引され発生するワーク側から流体管元方向に向かう背面流体流によりワークを背面からストッパーに押し付けることでワークが保持される。
【0008】
開口部からの噴出流が保持対象ワークの周辺にある他のワーク等に吹き付けるのを防止するために、ガイド先端に平面または笠状等のアイソレーションシェルを備えることが好ましい。
【0009】
前記の開口部から流体を噴出する方法の代わりに、開口部から周囲の流体を吸引することによりワーク背面流を発生して、ワークをストッパーに押し付けることで保持することも可能である。
【0010】
この場合、背面流の発生に寄与しない流体の吸引をできるだけ防ぐために開口部から連通するガイドスリットより後方に接し、ワーク側へ伸びるアイソレーションシェルを備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図2の断面を模式的に表す図である。
【図2】保持装置の斜視図である。
【図3】図1にワークとアイソレーションシェルを加え流体噴出による動作を示す図である。
【図4】図1にワークと吸引防止カバーを加え流体吸引による動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付した図面に基づいて本発明に係る保持装置についての説明を行う。この保持装置1はワーク背面から保持装置側へ向かう背面流体流8によりワーク7を背面から保持装置のストッパー4に押し付けることにより、携帯用ビデオカメラの超小型の非球面レンズ等の保持搬送に用いることができる。
【0013】
図1に示すように保持装置1は先端を閉じた流体管先端付近の周上に設けた開口5と開口5に連通するスリット6を設けたワークの外周位置を保つためのガイド3およびワークを押し付けて固定するためのガイド3内側に設けたストッパー4により構成されている。
【0014】
流体管開口5とこれに連通するストッパー4とガイド3のスリット6は、流体管2の軸に対して回転対称の位置に設けられている。
【0015】
ストッパー4は、対象ワーク7の寸法・形状に応じて最小3点で接触する寸法・形状を有している。
【0016】
流体管開口5から流体を噴出させる場合は、図3に示すようにガイド先端にアイソレーションシェル11を設け噴出流体9が直接ワーク周囲に吹き付けるのを防止する。
【0017】
この構成においては、図3に示すように噴出流体9は主に開口5から水平面より後方に流れ、この流れに吸引されることで対象ワークの後側(保持装置と反対側)から保持装置後方へ向かう背面流体流8が発生してワーク7を背面からストッパーに押し付けることでワーク7を保持する。
【0018】
流体管開口5から直接吸引する場合は、図4に示すようにガイド3のスリット6後端より後側に接する吸引防止カバー12を設け、ワーク7の背面流8の発生に寄与しない周囲の流体を吸引するのをできるだけ減らせるような構成にする。
【0019】
この構成においては、図4に示すようにワーク7周囲近くおよび背面の流体を保持装置1の開口5から吸い込むことでワーク背面流を発生してワーク7を背面からストッパー4に押し付けることでワーク7を保持する。
【符号の説明】
【0020】
1 保持装置
2 流体管
3 ガイド
4 ストッパー
5 開口
6 スリット
7 ワーク
8 背面流体流
9 噴出流体流
10 吸引流体流
11 アイソレーションシェル
12 吸引防止カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部の周上に開口を備え先端を閉じた流体管本体の端部付近に保持対象ワークの外周位置を保つためのガイドと、3点以上で保持対象ワークを押し付け保持するためにガイド内側に設けたストッパーと、上記ガイドと上記ストッパーに上記開口部に連通して流体流路を確保する位置に切られたスリットとを備えたことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記、流体管開口部を流体噴出口とすることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記、ガイド先端付近に噴出流体が保持対象ワーク周囲へ直接吹き付けることを防ぐためのアイソレーションシェルを備えたことを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記、流体管開口部を周囲流体の吸込口とすることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項5】
前記、ガイドの流体噴出口と連通するスリット後方でガイドまたは流体管外面に接してワーク側へ伸長し周囲から不要な流体を吸引することを防ぐための吸引防止カバーを備えたことを特徴とする請求項4記載の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−13992(P2013−13992A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150362(P2011−150362)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(307006527)リンク・パワー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】