説明

小物入れ

【課題】簡単な構造でありながらボトルホルダとしても、その他の小物入れとしても兼用可能な廉価で破損するおそれが無く、所望のスペースに配設できる小物入れを提供する。
【解決手段】小物入れ1は、収納空間5を有する可撓性素材からなる函体8と、収納空間5を適宜に仕切る硬質素材からなる仕切部材9とを備え、函体8は、仕切部材9を配設しない状態では側板同士6a,6bが重合するように幅方向に収縮する一方、幅方向に伸長させて仕切部材9を上記左右の側板間に渡設することにより収納空間が画成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小物入れに係り、特に収縮及び伸張可能で、その内部の収納空間を適宜に仕切ることができて、車室内に配設してボトルホルダとしても使用可能な小物入れに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内において使用する小物入れとしては、様々の形態と機能を備えたものが提案されている。それらの中でも、特にボトルホルダとして使用可能に構成された小物入れとしては、予め車室内に備え付けられているタイプや後付けで配設するタイプなど、多数存在する。最近では、ボトルホルダの設定数はユーザの関心事の一つに挙げられ、車輌の販売カタログに記載される必須事項になりつつあり、各車設定スペースを含め大掛かりな部品となるケースが増えている。
【0003】
そのような従来のボトルホルダ201として、例えば、図6及び図7に示すように、助手席202のシートクッション203の側部に一体に構成されたボトルホルダ201が挙げられる。このタイプのドリンクホルダ201は硬質樹脂製でなり、ドリンクボトル221,221を直立状態で二本並べてその下半部を収納可能なホルダ部222と、このホルダ部222を支持する基板223とで構成されている。この基板223がシートクッション203の側部からほぼ水平方向に延出するように、基板223の一端辺部はシートクッション203に一体的に形成されている。
【0004】
また、図8及び図9に示すように、運転席と助手席との間のセンタコンソール324に予め一体的に形成された硬質樹脂製のボトルホルダ301も知られている。このタイプのボトルホルダ301は、センタコンソール324の上端部前方に開閉可能に取り付けられた蓋体325を備えて成る函体308を有し、この函体308の内部には、ドリンクボトル321,321を直立状態で二本並べてその下半部を収納可能なホルダ部322が構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のボトルホルダ201,301のようなボトル収納可能な小物入れは、使用されていないときであっても大きな設定スペースを必要とするうえ、構成が大掛かりであって製造コストも高騰するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて創作されたもので、簡単な構造でありながらボトルホルダとしても、その他の小物入れとしても兼用可能な廉価で破損するおそれが無く、所望のスペースに配設できる小物入れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の小物入れにおいて採った手段は、左右に側板を、下部に底を、上部に開口を有する函体と、この函体の内部を適宜に仕切るための板状の仕切部材とを備え、この函体は、仕切部材を配設しない状態においては側板同士が重合するように幅方向に収縮する一方、幅方向に伸長させて仕切部材を上記左右の側板間に渡設することにより収納空間が画成されることを特徴としている。好ましくは、函体を、可撓性を有する樹脂素材によって形成する。
【0008】
仕切部材は互いに蝶着された基板と仕切板とを有し、仕切部材を構成する基板は、函体の内部に固定されることを特徴としている。また、仕切部材を構成する仕切板は端部に係合部を備え、側板は係合部が係合可能な被係合部を有することを特徴としている。これによって、函体内部において、対向する側板間に渡設する仕切板の端部に形成された係合部を、仕切板の端部が当接する側の側板に形成される被係合部に係合することで、函体内部の収納空間を安定した大きさに仕切ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の小物入れは、構成が簡素化されていて、函体が廉価な製造コストで成形でき、伸縮性を有し折り畳み可能に形成されるので、小さな物から幾分大きめな物まで収納することが可能である。
【0010】
函体はそれ自体に可撓性があるので、破損するおそれが無く安全で耐久性にも優れる。この函体は折り畳みが可能であるので、比較的小さなスペースにも設置でき、所望のスペースに配設することができる。
【0011】
本発明の小物入れは、廉価に製造可能な仕切部材によって、函体内部の収納空間を適宜に仕切ることができ、ドリンクボトルなどを直立状態で収納することもできるので、ボトルホルダとして兼用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図1乃至5を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の小物入れ1は、図1に示すように、車室内における助手席2を構成するシートクッション3の下方に位置し、助手席2と運転席(図示せず)との間の空間に面した下部カバー4の側部に配設されて使用されるものであり、函体8を備える。函体8は側壁6及び底部(図示せず)を備え、上部には開口部7を有し、側壁6及び底部により所望の物品を収納するための収納空間5が画成されてなる。また、小物入れ1は函体8の内部に、図2や図4に示すような、収納空間5を適宜に仕切るための仕切部材9,109を備えている。勿論、小物入れ1は、助手席2やそのシートクッション3に限らず、シートバックやアームレスト、サイドトリムやドアトリム等の車室内壁や内装材の所要の部位に配設することが可能であり、設置場所は特に限定されるものではない。
【0013】
図2に示すように、側壁6は、左右にそれぞれ配設される略平板状に形成された第一の側板6a及び第二の側板6bと、前後にそれぞれ配設される横断面略「く」字形に形成された第三の側板6c及び第四の側板6dとから構成される。函体8は、可撓性を有する合成樹脂から成り、仕切部材を配設しない状態においては第一の側板6a及び第二の側板6b同士が重合するように幅方向に収縮する。
【0014】
函体8の左右の第一の側板6aと第二の側板6bとは、外形が互いにほぼ合同に形成される略長方形の略平板状に形成され、所定の間隔をあけて互いに平行に配設される。第一の側板6aは、その板面の幅方向におけるほぼ中央、高さ方向における該高さ方向を三等分する二点位置に、それぞれ板面の表裏に貫通した取付孔10,10を有する。第一の側板6aは、その外面が取付対象に当接し、第一の側板6aの二つの取付孔10,10にそれぞれネジ11,11を挿通して、ネジ11,11を取付対象に螺合することで固着して取り付けられる。
【0015】
第二の側板6bは、その板面上の高さ方向における中心位置、幅方向における該幅を略三等分する二点位置に、第二の側板6bの表裏に貫通して形成される角穴状の被係合部12,12を有する。この被係合部12,12は、仕切部材9に形成される後述の係合部を係合して仕切部材9により函体8内部の収納空間5を安定的に仕切るためのものである。
【0016】
函体8の前後の第三の側板6cと第四の側板6dとは、互いにほぼ合同に形成される外形が、略「く」字形の板状をなしており、互いにその頂部同士を向け合って所定の間隔をあけて対向配置される。これら第三の側板6cと第四の側板6dは、それぞれ略「く」字形を成して形成される板面同士を接近させて二つ折りにするようにして圧縮変形できるように構成される。
【0017】
すなわち、側壁6は、第一の側板6aの一端に第三の側板6cの一端が連続して形成され、第三の側板6cの他端に第二の側板6bの一端が連続して形成され、第二の側板6bの他端に第四の側板6dの一端が連続して形成され、第四の側板6dの他端が第一の側板6aの他端に連続して形成されているため、第三の側板6cと第四の側板6dを圧縮変形させつつ、第一の側板6aと第二の側板6bとを互いに接近させて重ね合わせることができる。
【0018】
函体8の底部は、側壁6の平面形状とほぼ合同な平板状に形成されていて、該側壁6の下端に、側壁6と一体に形成され、第一及び第二の側板6a及び6bが互いに接するように折り畳まれる時にはこれらに追従して畳まれるように構成されている。函体8の上部には、前述の側壁6の平面形状とほぼ合同な形状に開口した開口部7を有し、開口部7から所望の物品を出し入れできるようになっている。
【0019】
仕切部材9は、図2に示すように、互いに蝶着された基板13と仕切板14とを備えている。基板13は、比較的硬質な素材の合成樹脂製で略平板状に形成されている。基板13の板面のほぼ中央には、函体8を構成する第一の側板6aに穿孔される二つの取付孔10,10に対応する二つの挿通孔15,15が基板13の表裏に亘って貫穿される。基板13の左右両端には、その上端から下端に亘って溝状に形成される連結部16,16を有し、連結部16,16を介して略平板状の仕切板14が連結される。連結部16,16はインテグラルヒンジとして一体的に構成されており、基板13と仕切板14とは互いに蝶動可能である。
【0020】
仕切板14は、比較的硬質な素材の合成樹脂製で略平板状に形成されていて、連結部16,16と反対側の端部の高さ方向におけるほぼ中央部には、台形状に延出した係合部17,17が形成される。この係合部17,17は函体8を構成する第二の側板6bに形成される角穴状の被係合部12,12に嵌入して、仕切板14を函体8の第一の側壁6と第二の側壁6との間に張り渡して安定的に渡設するためのものである。
【0021】
この仕切板14は、基板13に対してその連結部16,16を介して垂直に曲げたり、真っ直ぐに展開したりすることが自在にできるように蝶着されている。例えば、図3に示すように、函体8の内部において函体8をなす第一の側板6aの内壁に、基板13をネジ11,11で固着して配設し、基板13に連接されている左右それぞれの仕切板14を基板13に対して垂直に折り曲げて、それらの係合部17,17を第二の側板6bの被係合部12,12に係合して、函体8の内部の収納空間5を三つの小空間18,19,20に画成することができる。この画成される小空間18,19,20は、それぞれ平面形状が略正方形状になるように構成される。
【0022】
このように、函体8の内部の収納空間5を三つの小空間18,19,20に画成した際には、例えば、ドリンクボトル21を直立状態で安定的に収納することができる。勿論、ドリンクボトル21の平面形状が、小空間18,19,20の平面形状の内接図形となるように予め設定すれば、より安定した収納状態を得ることができて好ましい。
【0023】
上記仕切部材9は、図2に示すように、基板13の左右に仕切板14がそれぞれ蝶着されていなければならないというものではなく、図4に示す仕切部材109のように、基板113の右側の一方のみに仕切板114を蝶着してもよい。この場合には、図5に示すように、小物入れ1を構成する函体8の内部の収納空間5を、比較的狭めに画成される小空間118と、これに比べて広めに画成される中空間119との二つの空間に仕切ることができる。このように収納空間5内部を二つに仕切る場合には、例えば、小空間118はドリンクボトル21を直立状態で安定的に収納するスペースとして用い、中空間119はその他の物品を収納する物入れとして使用することができる。
【0024】
以上説明したように、本発明の小物入れは、収納空間を有する可撓性素材からなる函体と、この収納空間を適宜に仕切る硬質素材からなる仕切部材とを備えて構成されるものであって、その主旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の小物入れを助手席の下部に設置した状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す小物入れの函体と仕切部材の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2の函体と仕切部材とを組み合わせて使用している状態の小物入れを示す図である。
【図4】図2に示す仕切部材の一変形である仕切部材の構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示す函体と、図4に示す仕切部材とを組み合わせて使用している状態の小物入れの斜視図である。
【図6】ボトルホルダが、助手席のシートクッションの下部カバーと一体に形成されたタイプの従来の小物入れの斜視図である。
【図7】図6の小物入れの構造を示す断面図である。
【図8】センタコンソールに一体的に形成されたタイプの従来の小物入れの閉蓋状態を示す斜視図である。
【図9】図8の小物入れの開蓋状態においてドリンクボトルを収納している状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 小物入れ
2 助手席
3 シートクッション
4 下部カバー
5 収納空間
6 側壁
6a 第一の側板
6b 第二の側板
6c 第三の側板
6d 第四の側板
7 開口部
8 函体
9 仕切部材
10 取付孔
11 ネジ
12 被係合部
13 基板
14 仕切板
15 挿通孔
16 連結部
17 係合部
18 小空間
19 小空間
20 小空間
21 ドリンクボトル
109 仕切部材
113 基板
114 仕切板
118 小空間
119 中空間
201 ボトルホルダ
202 助手席
203 シートクッション
221 ドリンクボトル
222 ホルダ
223 基板
301 ボトルホルダ
308 函体
321 ドリンクボトル
322 ホルダ
324 センタコンソール
325 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に側板を、下部に底を、上部に開口を有する函体と、
上記函体の内部を仕切るための板状の仕切部材と、を備え、
上記函体は上記仕切部材を配設しない状態においては上記側板同士が重合するように幅方向に収縮し、
上記函体を幅方向に伸長させて上記仕切部材を上記左右の側板間に渡設することにより上記函体内部に複数の収納空間が画成されることを特徴とする、小物入れ。
【請求項2】
前記仕切部材は、互いに蝶着された基板と仕切板とを有することを特徴とする、請求項1に記載の小物入れ。
【請求項3】
前記基板は、前記函体の内部に固定されることを特徴とする、請求項2に記載の小物入れ。
【請求項4】
前記仕切板は端部に係合部を備え、前記側板は上記係合部が係合可能な被係合部を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の小物入れ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate