説明

小物物品の供給整列搬送装置

【課題】 安全且つ確実でさらに錠剤に優しい振り分け機構を備え、所定の整列処理能力を向上できるようにした小物物品の供給整列搬送装置を提供することにある。
【解決手段】 小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドとを含む整列用搬送路と、該整列用搬送路に隣接し、整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路とを備える小物物品の供給整列搬送装置において、搬送されてきた小物物品を振り分けるための回転軸が、幅規制ガイドの上流側端部近傍に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煩雑な状態で送られてくる錠剤等の小物物品を所定の姿勢で整列させて後段の処理工程に供給する小物物品の供給整列搬送装置に関し、特に、小物物品の所定の整列処理能力を向上させるべく改良された振り分け機構を備える小物物品の供給整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等の小物物品の供給整列搬送装置として、出願人は、特許文献1や特願2004−322727号出願に示されるような平坦な搬送路と側面ガイドを利用して高速搬送を可能とする供給整列搬送装置を既に提案してきている。
【0003】
図7に、特願2004−322727号出願に提案されている小物物品の供給整列搬送装置の部分拡大概略図が示されている。
【0004】
供給整列搬送装置は、概略、搬送ベルト111上に画定される錠剤Tを整列搬送する搬送路110、搬送ベルト111に乗って移動する錠剤Tを整列させる搬送路110を画定するガイド部材120、同じく搬送路110を画定する部材であって、高さを規制するゲート部材(不図示)、同じく搬送路110を画定する部材であって、幅を規制するゲート部材を構成する幅規制ガイド130、及び搬送路110から振分、排除された錠剤を供給整列搬送装置の上流の戻すための還元用搬送路140を備えている。
【0005】
ガイド部材120は、具体的には、上流において、搬送ベルト111上を斜めに遮るように横断し、整列用搬送路110を次第に狭めるように画定し(不図示)、下流において、幅規制ガイド130との間に錠剤Tが一列に整列して搬送されるように整列用搬送路110を画定する。幅規制ガイド130の上流側先端部は、錠剤を振分けるように構成されており、例えば、振分ピン等が設けられていてもよい。
【0006】
供給整列搬送装置に定量的に放出された錠剤Tは、図7において、搬送ベルト111上を左から右に搬送される。高さ規制ガイドで所定の姿勢にされた錠剤Tは、幅規制ガイド130の上流側先端部で振り分けられる。搬送路110側に振り分けられた錠剤Tは、ガイド部材120と幅規制ガイド130とで画定される搬送路110を通過することで一列に整列されて、供給整列搬送装置の下流に設けられている処理装置、例えば、検査装置に供給される。
【0007】
【特許文献1】特開2003−128233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図7に示される従来例において、錠剤Tは、上記したように、幅規制ガイド130の上流側先端部で振り分けられる。しかしながら、素錠で摩擦係数の高い錠剤や粉の飛散が多い錠剤等においては、幅規制ガイド130の上流側先端部での円滑な振り分けができずにブレーキがかかる恐れがある。この場合、後続の錠剤に押されるなどして、錠剤の滞りは解消されるものの、錠剤が滞っている間は錠剤が流れないため、一列に整列して搬送される錠剤間に間隔があいてしまい、定量供給が崩れてしまう。結果として、このような不規則な錠剤の供給は、供給整列搬送装置を含む処理装置全体としての処理能力の低下を招く。
【0009】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、小物物品を高速搬送する供給整列搬送装置であって、安全且つ確実でさらに錠剤に優しい振り分け機構を備え、所定の整列処理能力を向上できるようにした小物物品の供給整列搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドとを含む整列用搬送路と、前記整列用搬送路に隣接し、前記整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路とを備える小物物品の供給整列搬送装置において、搬送されてきた前記小物物品を振り分けるための回転軸が、前記幅規制ガイドの上流側端部近傍に配置されることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、回転軸が、小物物品を前記整列用搬送路に取り込む方向に回転することが好ましく、該回転軸は、圧縮空気により駆動されることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、該供給整列装置に着脱自在に取り付けられる風力ブロックをさらに備え、前記回転軸が、前記風力ブロックに回転自在に支持されていることが好ましい。
【0013】
また、回転軸は、前記圧縮空気を受けて回転する凹凸車を有していることが好ましい。
【0014】
なお、前記風力ブロックには、前記圧縮空気を供給する通路、及び前記凹凸車に圧縮空気を吹き付けるための吹き付け孔が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置は、回転軸を備えることにより小物物品を振り分けるようにしているので、小物物品が円滑に一列に整列搬送される。また、回転軸の回転方向を、小物物品を整列用搬送路に取り込む方向とすることで、整列搬送の処理能力を向上させる。さらに、回転軸の駆動を圧縮空気で行なうように構成しているため、回転の制御が容易であるとともに、安全性に優れ、回転軸の減速または停止が迅速であり、したがって、錠剤を破損させることもなく錠剤に対して優しい。また、回転軸を指示する風力ブロックを着脱自在とすることで、回転軸の交換や取り外しが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1ないし6を用いて本発明にかかる実施例につき詳細に説明する。本実施例においては、概ね扁平な状剤を搬送する装置として説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施例である小物物品の供給整列搬送装置の概略平面図である。図2は、図1に示される供給整列搬送装置の第2ゲート部を上から見た要部拡大概略図である。図3は、図1に示される供給整列搬送装置の振り分け機構を斜め上から見た斜視図である。図4は、図3に示される振り分け機構の要部断面図である。図5は、図3に示す振り分け機構が取り付けられた供給整列搬送装置を、理解を容易にするために搬送ベルトを取り除いた状態で、斜め下から見た要部斜視図である。図6は、従来例と本実施例との処理能力比較図である。
【0018】
錠剤Tを搬送する供給整列搬送装置1は、概略、第1の整列用搬送路10a、第2の搬送路10b、該2つの搬送路10a、10bの間に配置される還元用搬送路80とから構成される。
【0019】
2つの搬送路10a、10bは、略水平に設置され、中心に配置される傾斜した還元用搬送路80を挟んで対称形をなしている。
【0020】
第1の整列用搬送路(図1において、還元用搬送路80の下側に位置する搬送路)10aは、錠剤Tを主搬送方向(矢印X)に搬送する搬送ベルト11a、錠剤Tを案内するガイド側面21aが形成されているガイド部材20a、第1のゲート部30a及び第2のゲート部40aを含んでいる。
【0021】
搬送ベルト11aは、エンドレスのコンベアであり、錠剤Tの搬送面が前段の搬送装置Fから後段の錠剤検査処理装置Cにまで延在するように2つのプーリー間に渡され、駆動される。
【0022】
ガイド部材20aは、搬送ベルト11aの直上に配置され、上述したように錠剤Tを案内するガイド側面21aを有する。このガイド側面21aは、錠剤Tの主搬送方向上流側の錠剤受け入れ部では、第1の整列用搬送路10aを搬送ベルト11aの幅に略等しく画定しているが、下流に向かって、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断するように形成されている。すなわち、ガイド部材20aのガイド側面21aは、下流に行くにしたがい、錠剤Tを還元用搬送路80側に寄り、結果として、漸次錠剤Tの第1の整列用搬送路10aの幅を漸次狭めるように、該第1の整列用搬送路10aを画定している。この場合、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断するように形成されているガイド側面21aは、直線的であってもよいし、曲線的であってもよい。ガイド側面21aは、さらに、図2に詳細に示されるように、後述する第2ゲート部40aの入口近傍において第1の整列用搬送路10aの幅が最も狭くなり、搬送される錠剤Tの直径に略等しい幅にまでなるように第1の整列用搬送路10aを画定する。ガイド側面21aは、最終的には主搬送方向(矢印X)に平行になるように形成され、後述する第2ゲート20aの幅規制ガイド42aとともに、搬送される錠剤T1個分の幅、すなわち搬送される錠剤Tの直径に略等しい幅、となるように第1の整列用搬送路10aを画定する。したがって、ガイド側面21aは、搬送ベルト11aを斜めに遮って横断する傾斜面から搬送ベルト11aの主搬送方向(矢印X)に平行となる平行面に向きを変更する構成をとる。
【0023】
なお、ガイド部材20aは、本実施例に示されるように、水平方向であって、且つ主搬送方向(矢印X)に対して直交する方向に移動可能に構成し、位置調整ツマミ16aにより、ガイド部材20aを、したがってガイド側面21aを移動させ、搬送される錠剤Tの大きさに対応して第1の整列用搬送路10aの幅を調整できるように構成されることが好ましい。なお、符号17a、17aは、ガイド部材20aを基台に固定するためのクランパである。
【0024】
第1ゲート部30aは、第1の整列用搬送路10aの略中間に、該第1の整列用搬送路10aを構成するガイド側面21aに沿って設けられている。第1ゲート部30aは、搬送されてくる錠剤Tに対応して高さを規制する第1の高さ規制ゲート31aから構成される。この第1の高さ規制ゲート31aは、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤Tの高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面に対して平行になるように、ガイド部材20aに取り付けられている。また、第1の高さ規制ゲート31aには、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切り還元用搬送路80にまで延在する側面32aが、高さ規制ゲート31aの底面に対して垂直に形成されている。第1の高さ規制ゲート31aを備える第1ゲート部材30aが第1の整列用搬送路10aの略中間に設けられていることにより、搬送されてくる錠剤Tのうち、立っていたり、重なっていたりする錠剤Tは、ゲート31aの側面32aにより横に倒されたり、重なりを解かれたり、言い換えれば、姿勢を安定した状態にさせられる。あるいは、該側面32aに沿って第1の整列用搬送路10aから還元用搬送路80に向けて排除される。なお、第1の高さ規制ゲート31aは、高さ調整用ツマミ35aにより、その高さ(第1の整列用搬送路10aの搬送面からの距離)を調整できるようにされていることが好ましい。
【0025】
第2ゲート部40aは、第1の整列用搬送路10aの下流に、傾斜面から平行面に向きを変更するガイド側面21aに沿って設けられる。第2ゲート部40aは、図2に示されるように、第2の高さ規制ゲート41a、幅規制ガイド42a、振り分け機構、第1サイドガイド43a及び第2サイドガイド44aから構成されている。
【0026】
第2の高さ規制ゲート41aの外側(還元用搬送路80側)は、その上流側で、第1の整列用搬送路10aを斜めに横切り還元用搬送路80にまで延在し、第2の高さ規制ゲート41aの底面に対して垂直な側面45a、及び後述する振り分け機構を構成する回転軸55a先端が第2の高さ規制ゲート41aの下方に突出し、第1の整列用搬送路10a上に臨むことを可能とするU字形の溝46aを備えている。該U字形の溝46aの深さは、振り分け機構を構成する回転軸55aが第1の整列用搬送路10aの還元用搬送路80側縁部、すなわち搬送ベルト11aの還元用搬送路80側縁部、の近傍に配置できるように設定される。なお、U字形の溝46aは、第2の高さ規制ゲート41aを上下方向(図2において、紙面に垂直な方向)に貫通する貫通孔であってもよい。
【0027】
第2の高さ規制ゲート41aの内側は、ガイド部材20aのガイド側面21aに沿うように、また、上記第1の高さ規制ゲート31aと同様に、その底面が第1の整列用搬送路10aの搬送面より所定の距離、例えば、錠剤Tの高さより若干長い距離だけ離れ、該搬送面10aに対して平行になるように、ガイド部材20aに取り付けられる。第2の高さ規制ゲート41aの底面に対して垂直な側面45aは、依然として不安定な姿勢にある錠剤Tを、還元用搬送路80に排除する。
【0028】
幅規制ガイド42aは、本実施例では、上記第2の高さ規制ゲート41aと一体的に形成されており、該第2の高さ規制ゲート41aの下側に形成されている(図5参照)。本実施例において、幅規制ガイド42aは、第2の高さ規制ゲート41aのU字形の溝46aから下流側に延在している。この構成から、振り分け機構を構成する回転軸55aは、幅規制ガイド42aの上流側端部の近くに配置されることが理解される。幅規制ガイド42aは、また、その内側側面がガイド部材20aのガイド側面21aに対して所定の距離、例えば、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、該ガイド側面21aに対して平行になるように配置される。結果として、幅規制ガイド42aの内側側面48aとガイド部材20aのガイド側面21aとで錠剤Tの直径分の幅を有する第1の整列用搬送路10a、すなわち、錠剤Tを一列に整列させて搬送させる搬送路10aが形成される。さらに、幅規制ガイド42aの外側(還元用搬送路80側)は、図2、5に示されるように、上流側が先細になるように傾斜側面47aが形成されていることが好ましい。傾斜側面47aを備えることにより、後述する振り分け機構(より詳細には、回転軸55a)で還元用搬送路80側に振り分けられた錠剤Tが円滑に還元用搬送路80に落下することができる。しかしながら、幅規制ガイド42aは、傾斜側面47aを備えていなくてもよい。例えば、幅規制ガイド42aの外側形状は、第2の高さゲート41aの外側形状と同じであってもよい。
【0029】
なお、一体に形成されている第2の高さ規制ゲート41a及び幅規制ガイド42aは、それぞれの高さ及び幅を調整できるように構成されていることが好ましい。また、本実施例では、第2の高さ規制ゲート41a及び幅規制ガイド42aは、一体に構成されているがこれに限られるものではない。例えば、第2の高さ規制ゲート41a及び幅規制ガイド42aは、その高さや幅をそれぞれ独立して調整できるように、別体に形成されていてもよい。
【0030】
振り分け機構は、本発明の最も特徴とする構成要素である。図3ないし5に該振り分け機構の詳細図が示されている。
【0031】
図3、5に示されるように、該振り分け機構は、概略、風車50a及び風力ブロック60aを備えている。
【0032】
風車50aは、風車本体51a、凹凸車52a、回転軸55a、第1軸受部56a及び第2軸受部57aを備えている。
【0033】
風車本体51aは、凹凸車52aを支持する部材であり、中心部に貫通孔が形成されている円筒状をなしている。風車本体51aの中心貫通孔を回転軸55aが貫通し、風車本体51aに形成されている軸固定用孔54aを介してネジ等により風車本体51aと回転軸55aが一体化される。
【0034】
凹凸車52aは、風車本体51a上に配置され、適宜の手段で風車本体51aに固定される。凹凸車52aは、外周に複数の凸部53a(図4参照)が形成され、中心部に回転軸55aが貫通する貫通孔が形成されている。凹凸車52aの外周に形成される凸部53aは、歯車の歯の形状をしていてもよいし、平板状の羽根のような形状であってもよい。要は、圧縮空気の吹き付けを受け止めることができる形状であればどのような形状であってもよい。
【0035】
回転軸55aは、錠剤Tを振り分ける部材であり、風車本体51a、凹凸車52aそれぞれの貫通孔を貫通し、風車本体51a及び凹凸車52aを挟んで両側に配置されている第1軸受部56a及び第2軸受部57aにより回転可能に支持される。
【0036】
また、回転軸55aは、図に示されるように、下方端部を第2軸受部57aから所定の長さ突出させ、該突出部分の自由端を、錠剤Tを振り分ける部材として機能させる。回転軸55aは、どのような材料を用いて作られてもよいが、表面がテフロン(登録商標)処理されたステンレス鋼(SUS)で作られるのが好ましい。さらに、回転軸55aの直径は、錠剤Tが扁平な円形状の錠剤(丸錠)である場合、その径より若干小さい(約1mm小さい)径であることが好ましい。例えば、錠剤Tの径が5mmであるとすると、回転軸55aの径は4mmであることが好ましい。あるいは、錠剤が楕円やオーバル形状のような断面長円形状の錠剤(異形錠)である場合、回転軸55aの直径は、短軸のほうの長さより若干小さいことが好ましい。回転軸55aの径は、大きすぎると、錠剤が詰まりやすく、小さすぎると、回転軸55aの強度が弱くなり、該軸55aが曲がってしまう恐れがある。
【0037】
風力ブロック60aは、風車50aを回転可能に支持するとともに、図4に示されるように、風車50aの凹凸車52aに圧縮空気を吹き付ける機能を備える。圧縮空気を吹き付けることにより、一体化されている風車本体51a、凹凸車52a及び回転軸55aを反時計方向、すなわち、錠剤を整列用搬送路に取り込む方向、に回転させる。
【0038】
風力ブロック60aは、ブロック本体61a、及び第1の軸受保持体67aを備えている。
【0039】
ブロック本体61aは、縦ブロック62a、ベース65aを有し、該縦ブロック62aとベース65aとで略L字形をなしている。縦ブロック62aには、空気供給管71aから管継手72a及び通路63aを介して送られてくる圧縮空気を風車50aの凹凸車52aに吹き付ける吹き付け孔64aが設けられている。ベース65aは、第2の軸受保持体を構成するとともに、固定孔66aが形成されている。ブロック本体61aは、固定孔66aを介してネジ等で第2ゲート部40aの第2高さ規制ゲート41a上に着脱自在に取り付けられる(図5参照)。
【0040】
第1の軸受け保持体67aは、ネジ部材68a等で縦ブロック62上に固定される。また、第1の軸受保持体67a及びベース65aは、それぞれに形成されている取り付け孔に上記風車50aの第1軸受部56a及び第2軸受部57aをそれぞれ圧入する等の固定方法を採用して、該風車50aを回動可能に支持する。
【0041】
図5に示されるように、振り分け機構を構成する風車50a及び風力ブロック60aが第2の高さ規制ゲート45a上に組み立てられると、風車50aの回転軸55aの下方先端部は、第2高さ規制ゲート41aのU字形の溝46aを通り抜け、第1の整列用搬送路10aに臨むことになる。この場合、風車50aの回転軸55aの下方自由端は、第1の整列用搬送路10aを構成する搬送ベルト11aの上面に対して搬送される錠剤Tの高さ(厚さ)より小さいが、搬送ベルト11の上面に触れない距離だけ離れて配置されることが理解されるであろう。また、回転軸55aは、幅規制ガイド42aの上流側端部近傍であって、ガイド側面21aが傾斜面から平行面に向きを変更する箇所に第1の整列用搬送路10aを挟んで対向する、搬送ベルト11aの還元用搬送路80側縁部近傍に配置される。なお、図示されていないが、振り分け機構は、供給整列搬送装置1として組み立てられたとき、全体がカバー等で覆われていることがより好ましい。
【0042】
本実施例における振り分け機構は、上述のような構成を備えることで、吹き付け孔64aから吐出される圧縮空気が、図4に示されるように、凹凸車52aの凸部53aに当たることで凹凸車52aが図において反時計方向に回転する。それにより、該凹凸車52と一体に形成されている風車本体51も回転する。結果として、風車本体51aと一体化されている回転軸55aが、反時計方向、すなわち、錠剤を第1の整列用搬送路10aに取り込む方向に回転し、回転軸55aにぶつかってくる錠剤Tを円滑に第1の整列用搬送路10aに導き、錠剤Tの停滞を阻止することができる。
【0043】
仮に、錠剤Tが、回転軸55aとガイド部材20aのガイド側面21aとの間に挟み込まれて停滞しようとしても、従来例にも存在する後続する錠剤の押し込み作用に加えて、回転軸55aの回転力による取り込み作用が働くことより錠剤Tはほとんど停滞することがない。また、回転軸55aの回転は、圧縮空気の吹き付け力によるものであるから、瞬間的に停滞が起こって回転軸55aに負荷がかかったとしても、回転軸55aの回転が容易に減速または停止する。それにより、本実施例における振り分け機構は、モーター等で回転軸55を強制的に駆動することに比べて錠剤Tに無理な力がかからず、錠剤Tを破損させることもない。
【0044】
なお、回転軸55aの回転速度の制御は、圧縮空気の圧力や流量を調整することにより、凹凸車52aに吹き付けられる空気の速度を変えることで容易に行なうことができる。また、圧縮空気供給源としては、搬送ベルトの清掃や検査用カメラの防塵用等の装置に供給される工場施設内に備えられているコンプレッサ等を使用する。
【0045】
第1サイドガイド43a、第2サイドガイド44aは、幅規制ガイド42aの内側側面48aとガイド部材20aのガイド側面21aとで画成される搬送路から送られてくる錠剤Tを後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡すための構成要素である。したがって、第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとは、錠剤Tの直径より若干長い距離だけ離れ、かつ互いに対して平行になるように配置されて、第1の整列用搬送路10aを画成するように、ガイド部材20aに取り付けられる。この第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとで画成される搬送路は、錠剤Tの主搬送方向(矢印X)にも平行に形成される。また、図2に示されるように、この第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとで画成される搬送路は、後段の錠剤検査処理装置Cへ受け渡すべく第2の高さ規制ガイド41aには覆われていない。なお、第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aも、その幅を調整できるようにされていることが好ましい。
【0046】
ここで、第2ゲート部材40aにおいて、錠剤Tが安定した姿勢で一列に整列される作用について図2を用いて簡単に説明する。
【0047】
第1の整列用搬送路10a、より具体的には、搬送ベルト11aの搬送面、に載って搬送されてきた錠剤Tは、安定した姿勢(本実施例では、横になった状態)をとる錠剤のみが搬送ベルト11aの搬送面と第2の高さ規制ガイド41aとの間に入り込む。さらに搬送される錠剤Tは、振り分け機構を構成する回転軸55aの存在により、ガイド面21aと幅規制ガイド42aの内側側面48aとで画成される第1の整列用搬送路10aへと進むものと、還元用搬送路80へ排除されるものとに振り分けられる。
【0048】
ガイド側面21aに沿って搬送されてくる錠剤Tは、若干の慣性力が働き、回転軸55aに当たったとしても、その瞬間において錠剤Tは、上記したように、回転軸55aの取り込み作用により、詰まることがなく、ガイド側面21aと幅規制ガイド42aの内側側面48aとで画成される第1の整列用搬送路10aを搬送される。
【0049】
一方、ガイド側面21aから離れて搬送されてくる錠剤Tは、第1の整列用搬送路10aがガイド側面21aにより略錠剤Tの直径にまで幅を狭められているので、ガイド側面21aに沿って搬送されてくる錠剤Tの存在により第1の整列用搬送路10aから還元用搬送路80に押し出され、あるいは、回転軸55aに当たって、還元用搬送路80側に排除される。
【0050】
このようにして、回転軸55aを通過し、ガイド側面21aと幅規制ガイド42aの内側側面48aとで画成される第1の整列用搬送路10aに搬送されてきた錠剤Tは、一列に整列され、第1サイドガイド43aと第2サイドガイド44aとで画成される第1の整列用搬送路10aへ送られる。
【0051】
第2の整列用搬送路(図1において、還元用搬送路80の上側に位置する搬送路)10bは、上記第1の整列用搬送路10aと対をなしており、実質的に同じ構造をしているので説明は省略する(各構成要素は、第1の整列用搬送路の構成要素と同じ数字にアルファベットのaに代えてbを付している)。
【0052】
還元用搬送路80は、図1に示されるように、対称形状を有する第1の整列用搬送路10aと第2の整列用搬送路10bとの間に配置され、第1、第2の整列用搬送路10a、10bから排除される錠剤Tを、供給整列搬送装置10の上流に配置される搬送装置Fに戻し、再度第1の整列用搬送路10a又は第2の整列用搬送路10bを通過させ、整列させるためのものである。還元用搬送路80の具体的構成は、従来例と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0053】
次に、本実施例の供給整列搬送装置における錠剤Tの搬送動作を説明する。
【0054】
ホッパなどから定量的に放出される錠剤Tは、搬送装置Fで振動を与えられ、搬送装置F下流に設けられるフィンF1a、F1bにより適宜振り分けられ、本実施例の供給整列搬送装置1の整列用搬送路10a、10bに送られてくる。この時、フィンF1a、F1bにより、錠剤Tは、整列用搬送路10a、10bのそれぞれのガイド側面21a、21bに向けられるように案内される。搬送路10a、10bを搬送される錠剤Tは、第1ゲート部30a、30bで安定した姿勢の錠剤のみ通過するように取捨選択され、第2ゲート部40a、40bで、安定した姿勢で且つ一個の錠剤のみが取捨選択され、結果として一列に整列される。第2ゲート部40a、40bの第1サイドガイド43a、43bと第2サイドガイド44a、44bとでそれぞれ画成される搬送路10a、10bに到達した錠剤Tは、供給整列装置1全体としては二列に整列されて後段の錠剤検査処理装置Cに受け渡される。
【0055】
図6に、本発明を用いた場合と従来例との錠剤整列処理能力を比較したものが示されている。図6に示されるように本発明に係る振り分け機構を備えることで、時間経過に関係なく、単位時間当たりの処理能力が平均的に約5%向上することが理解されるであろう。
【0056】
以上、本発明に係る小物物品の供給整列搬送装置の実施例として、扁平な円形状の錠剤の供給整列搬送装置につき説明したが、本発明は、このような錠剤の搬送に限られないことは言うまでもない。特に、本発明は、楕円、オーバル形状等のような断面長円形状の錠剤(異形錠)やRのきつい錠剤等の整列搬送に有効である。また、本実施例の小物物品の供給整列搬送装置では、2つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路を備えているが、1つの整列用搬送路と1つの還元用搬送路とを備えたものであってもよいし、その他の組み合わせであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る実施例である小物物品の供給整列搬送装置の概略平面図である。
【図2】図1に示される供給整列搬送装置の第2ゲート部を上から見た要部拡大概略図である。
【図3】図1に示される供給整列搬送装置の振り分け機構を斜め上から見た斜視図である。
【図4】図3に示される振り分け機構の要部断面図である。
【図5】図3に示す振り分け機構が取り付けられた供給整列搬送装置を、理解を容易にするために搬送ベルトを取り除いた状態で、斜め下から見た要部斜視図である。
【図6】従来例と本実施例との処理能力比較図である。
【図7】従来の供給整列搬送装置の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
1 小物物品の供給整列搬送装置
10a、10b 整列用搬送路
11a、11b 搬送ベルト
20a、20b ガイド部材
21a、21b ガイド側面
30a、30b 第1ゲート部
31a、31b 第1の高さ規制ゲート
40a、40b 第2ゲート部
41a、41b 第2の高さ規制ゲート
42a 幅規制ガイド
50a、50b 風車
52a 凹凸車
55a 回転軸
60a、60b 風力ブロック
80 還元用搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物物品を載せて搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に配置され、小物物品を案内するガイド側面を有するガイド部材と、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢でのみ通過できるように、前記搬送ベルトとの間で高さを規制する高さ規制ゲートと、前記搬送ベルト上を搬送される小物物品が安定した姿勢で且つ一つのみ通過できるように、前記ガイド部材のガイド側面との間で幅を規制する側面を有する幅規制ガイドと、を含む整列用搬送路と、前記整列用搬送路に隣接し、前記整列用搬送路から排除された小物物品を該整列用搬送路上流に戻す還元用搬送路と、を備える小物物品の供給整列搬送装置において、
搬送されてきた前記小物物品を振り分けるための回転軸が、前記幅規制ガイドの上流側端部近傍に配置されることを特徴とする小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項2】
前記回転軸は、小物物品を前記整列用搬送路に取り込む方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項3】
前記供給整列装置に着脱自在に取り付けられる風力ブロックをさらに備え、
前記回転軸は、前記風力ブロックに回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項4】
前記回転軸は、圧縮空気により駆動されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項5】
前記回転軸は、前記圧縮空気を受けて回転する凹凸車を有していることを特徴とする請求項3に記載の小物物品の供給整列搬送装置。
【請求項6】
前記風力ブロックには、前記圧縮空気を供給する通路、及び前記凹凸車に圧縮空気を吹き付けるための吹き付け孔が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の小物物品の供給整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−55739(P2007−55739A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242975(P2005−242975)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】