説明

小生物捕獲材料

【課題】体重の異なる各種の有害小生物を効果的に捕獲することが出来る、小生物捕獲材料を提供する。
【解決手段】ポリブテン、ポリイソブチレンゴム、ポリエチレンからなる粘着性組成物に中分子量のポリイソブチレンを少量添加することにより、所定の粘着最大応力、延糸距離を示し、幼獣から成獣に至るげっ歯類の捕獲力が共に確保され、各種の小生物を効果的に捕獲できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ等の体重の異なる各種の小生物を捕獲するのに適した捕獲材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ネズミ、ゴキブリ、ハエ等の有害小生物の駆除は生活環境の改善面から重要な課題である。特にげっ歯類による被害は膨大なものであり、中でもネズミは、農産物、食品はもちろんのこと、鉛管を食い破ってガス漏洩を起したり、電灯線をかじって露出させ火災を起こすこともある。これらの小生物の駆除方法として従来からいくつかのものが提案され実施されているが、それらの中で最も簡便なものとして、粘着性を有する捕獲剤を厚紙、ボール紙、木板、プラスチックフイルム、シートなどの被塗布材料に塗布し、小生物の通路に設置する方法がある。この場合、捕獲剤は塗布作業性にすぐれかつ粘着性にもすぐれているという要請を満たさなければならない。さらに、あらかじめ被塗布材料に塗布しておく場合などには、保存中又はこれを使用中に捕獲剤が被塗布材料から流れ出したり、あるいは被塗布材料に浸透してにじみ出したりして使用不能になったり、床を汚すようなことがあってはならない。
【0003】
この種の小生物捕獲剤としては、例えばポリブテン86 %、ブチルゴム10%およびたれ防止剤としてのパラフイン4%より成る組成物(特許文献1)、ポリブテン80部、ブチルゴム10部およびロジン、シリカゲル、ポリエチレン計40部より成る組成物(特許文献2)、ポリイソブテン(50℃における粘度が1000ポイズ)またはポリイソブテンと天然ゴムとの80:20混合物100質量部に対し、それぞれ有機ベントナイト2〜40質量部あるいはコロイダルシリカ0.5〜8質量部を配合した組成物(特許文献3、特許文献4)、またブチルゴム5 質量%、ポリブテン35質量%、およびロジンエステル、トルエン、キシレン計60質量%より成る組成物(特許文献5)などが開示されている。また、ポリブテン80質量%、ブチルゴム16質量%およびポリエチレン4質量%からなる組成物(特許文献6)、さらには、分子量が異なる二種類の液状ポリブテンの混合物80〜98質量%、粘度平均分子量が100万〜250万のポリイソブチレンゴム1〜10質量%、特定の性状を有する高圧法ポリエチレン1〜10質量%からなる組成物が開示されている(特許文献7)。
【0004】
しかし、これらの例は、いずれも前記の要請のすべてを満たすものではない。具体的には、パラフインワツクスを用いた組成物においては、少量の添加では流れ出し防止効果が十分でなく、一方過度な量を添加すれば、塗布後の時間経過とともに、ワックス分が粘着層の表面に移動し、粘着力を低下させるため、捕獲能力が著しく低下する。高価な有機ベントナイトあるいはシリカを用いた組成物においては、比較的流れ出し防止効果や粘着力の面で良好であるが、これら粉状物は嵩高く混合時に空気を巻込んで、混合後の脱泡など製造時の手間あるいはコストの面から好ましくない。
また、ブチルゴム、ポリブテン、およびロジンエステル、トルエン、キシレンより成る組成物は揮発性の芳香族溶剤を使用するため臭気の問題がある。さらには当該粘着性組成物を塗布した塗膜を小生物捕獲用に設置して長時間経過中に溶剤が揮散し、塗布膜が硬化し、捕獲能力が低下する問題も避けられない。 また、ポリブテン、ブチルゴムおよびポリエチレンからなる組成物は粘着性組成物の粘着性と塗布作業時の作業性の双方を満足させることは出来ない。
また、特開2007−177104で開示されている、ポリイソブチレンゴムを用いるものは、粘着力は優れているものの、ポリイソブチレンゴムの分子量が非常に大きいため、ポリブテンに溶解するのに時間がかかるという欠点を有する。また、対象となるげっ歯類がクマネズミ、ドブネズミ類等の比較的体重の重い成獣であるため、体重が軽い幼獣のクマネズミ、ドブネズミ類の捕獲には難があり、逃亡することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭48−16617号公報
【特許文献2】特開昭52−105217号公報
【特許文献3】特開昭51−125123号公報
【特許文献4】特公昭53−18586号公報
【特許文献5】特開昭52−98161号公報
【特許文献6】特公平2−57521号公報
【特許文献7】特開2007−177104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、体重の異なる各種の有害小生物を効果的に捕獲することが出来る、小生物捕獲材料を提供することにある。本発明者らはかかる課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリブテン、ポリイソブチレンゴム、ポリエチレンからなる粘着性組成物に中分子量のポリイソブチレンを少量添加することにより、粘着最大応力900〜1500gf/cm、且つ延糸距離70mm以上の物性値からなる幼獣捕獲力、成獣捕獲力は共に維持された状態で、各種の小生物を効果的に捕獲できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の第一は、(a)粘度平均分子量が30万〜250万の範囲にあるポリイソブチレンゴム 0.3〜3質量%、(b)メルトフローレート(MFR;190℃/212kPa荷重)が0.04〜35、密度が0.97g/cm以下、DSC測定による融点が120℃以下の範囲にある高圧法ポリエチレン 2〜6質量%、(c)粘度平均分子量が20000〜100000の範囲にある中分子量ポリイソブチレン 1〜4質量%、(d)数平均分子量が200〜2000の範囲にある液状ポリブテン 87〜97質量部よりなる小生物捕獲用材料組成物である。
本発明の第二は、粘着最大応力が900〜1500gf/cm、且つ延糸距離が70mm以上である請求項1に記載の小生物捕獲用材料組成物である。
本発明の第三は、本発明の第一に記載の小生物捕獲用材料組成物のうち、(c)中分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が30000〜60000の範囲にあり、配合量が1〜3質量%であり、(d)液状ポリブテンの配合量が88〜97質量%である小生物捕獲用材料組成物である。
本発明の第四は、(a)ポリイソブチレン、(b)高圧法ポリエチレンおよび(d)液状ポリブテンよりなる組成物を予め混合した後に、(c)中分子量ポリイソブチレンを添加し溶融混練することを特徴とする請求項1〜3に記載の小生物捕獲用材料組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小生物捕獲材料において、成獣げっ歯類捕獲力を重視した粘着性組成物(A)に、粘度平均分子量20000〜100000の中分子量ポリイソブチレンを添加することで、粘着性組成物の濡れ性(=延糸距離)を改良し、これまで捕獲が完全ではなかった体重の軽い幼獣のげっ歯類から体重の重い成獣のげっ歯類まで、効果的に捕獲することが出来る小生物捕獲用材料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について更に詳しく述べる。
ポリイソブチレンゴム、高圧法ポリエチレンおよび液状ポリブテンを配合することにより、粘着最大応力400〜800gf/cm、延糸距離60mm未満の物性値を有する粘着性組成物を得ることができる。
ここで粘着最大応力は、粘着組成物に付着した小生物を逃がさずに捕捉し続ける力を表すものであり、延糸距離は粘着組成物の濡れ性、すなわち粘着組成物の小生物に対する付着性を表すものである。この組成物は延糸距離が短いため小生物の捕獲には難があり、取り逃がす場合があった。この組成物に中分子量ポリイソブチレンを添加して得られる本発明の組成物は、延糸距離と粘着最大応力のバランスが著しく改善され、これまで難しかった、体重の軽い幼獣のげっ歯類から体重の重い成獣のげっ歯類までを効果的に捕獲することが可能となった。すなわち、組成物の粘度および延糸性を適度に保ったまま粘着最大応力を増大することができるため、体力がある成獣げっ歯類が粘着性組成物に付着した後に逃亡することを防ぐことができる。また粘着力が著しく向上するため、効果的に小生物を捕捉し逃亡を防ぐことができる。
【0010】
本発明で用いるポリイソブチレンゴムは粘度平均分子量が30万から250万のものであり、好ましくは60万〜180万のものである。粘度平均分子量が30万以下の場合は粘着力が低下し、小生物の捕獲に十分ではない。250万以上となると溶解に手間が掛かり、また粘着剤の粘度が高粘度となるため、塗布が困難となる。
ポリイソブチレンゴムの配合割合は0.3〜3質量%、好ましくは0.3〜2質量%の範囲である。配合割合が0.3質量%未満であると、体重の重い成獣に対する捕獲性が低下する。また、3質量%を超えると粘着性組成物の濡れ性が低下するため小生物の捕獲性が低下する。
【0011】
本発明で用いるポリエチレンはエチレンを高圧重合法によって重合したもので、一般に高圧法ポリエチレンと言われているものであり、メルトインデックスが0.04〜35好ましくは0.1〜20のものである。これらの高圧法ポリエチレンは例えば、ノバテックLJ600(日本ポリエチレン(株))の商品名で入手することが出来る。メルトインデックスが0.04より小さいものは液状ポリブテンへの溶解に高い温度と長時間を要し、また35より大きいものは粘着性が良くかつ捕獲剤の流れ出し防止効果およびにじみ出し防止効果の十分なものは得られない。
高圧法ポリエチレンの配合割合は、組成物全体に対して好ましくは2〜6質量%、さらに好ましくは3〜5質量%の範囲である。配合割合が2質量%に満たないと、塗布膜の耐流れ出し性が劣る。一方6質量%を超えると、塗膜形成性が低下し、表面の凹凸の生成等、塗布膜の加工性に劣る。
【0012】
本発明で用いる(B)中分子量ポリイソブチレンとは、イソブチレンを主として重合されてなるものであって、ブテン−1などが共重合されていても良く、常温で液体または半固体状の重合体である。このような中分子量ポリイソブチレンはヘキサンなどの溶剤中でイソブチレンを重合するか、またはイソブチレンを含む石油精製におけるFCC(流動接触分解)からのC4留分または石油化学におけるナフサクラッカーからのC4留分などを塩化アルミニウム、フッ化ホウ素などのフリーデルクラフツ触媒で重合したものを用いることができる。該中分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量は20000〜100000の範囲であり、好ましくは30000〜60000の範囲である。該成分の含有量は1〜4質量%であり、好ましくは1〜3質量%である。粘度平均分子量が20000に満たない場合は、延糸距離は長くなるが粘着最大応力が低下するため、体力のある成獣げっ歯類は逃げる虞がある。粘度平均分子量が100000を超える場合は、延糸距離が短くなり、体重の軽い幼獣のげっ歯類は捕獲できても体重の重い成獣のげっ歯類は、いったんは捕獲しても逃げる虞がある。また、中分子量ポリイソブチレンの添加量が1%に満たない場合は、粘着力が十分でなく、4質量%を超える場合は十分な延糸距離を得ることができない。
【0013】
本発明で用いる液状ポリブテンは、数平均分子量は200 〜2000であることが必要であるが、好ましくは400〜1500のものである。この液状ポリブテンは例えばナフサ分解により生成するいわゆるC4留分のうちブタジエンを除いたブタン−ブテン留分を重合することにより製造できる。これらのポリブテンは、例えば日石ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー(株)製)の商品名で市販されている。ポリブテンの分子量が200より小さい場合には、引火点が低くなるため、本粘着性組成物の製造時もしくは調理場等の火気のある所で使用する際の安全性に問題があり、また、得られた粘着剤組成物の粘着力が低下するため好ましくない。また2000より大きい場合には、組成物の溶融粘度が大きくなりすぎるため、円滑な塗布作業が困難となる。液状ポリブテンの配合割合は、組成物全体に対して87〜97質量%、好ましくは88〜97質量%の範囲である。配合割合が87質量%より少ないと、粘着性組成物の濡れ性が低下する傾向にある。また塗布膜の伸展性が低下し、表面の凹凸等の生成等、塗布加工性に劣る傾向にある。また、97質量%より多いと、塗布膜の耐流れ出し性が劣る傾向にある。
【0014】
本発明の組成物の粘着最大応力は900〜1500gf/cmである。粘着最大応力が900gf/cm未満の場合は、粘着力が弱過ぎて、体力がある成獣のげっ歯類は、一度粘着性組成物に付着しても逃亡する虞がある。粘着最大応力が1500kggf/cmを超える場合、粘度と延糸距離の著しい低下が避けられないため、小生物の捕獲性能が低下する。本発明の組成物の延糸距離は70mm以上である。70mm未満では粘着性組成物の濡れ性が悪く小生物が捕獲できないか、捕獲できても逃亡してしまう虞がある。
【0015】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、好ましくはポリイソブチレンゴム、ポリエチレンおよびポリブテンの溶融混合組成物に、中分子量ポリイソブチレンを添加し溶融混練する方法を用いることができる。溶融混練方法は公知の方法を用いることができ、例えばポリイソブチレンゴム、ポリエチレンおよびポリブテンの組成物が溶融する温度条件化で、混練機を用いて強制的に中分子量ポリイソブチレンを攪拌するなどの方法を用いることで、小生物捕獲用材料組成物を製造することが出来る。
【0016】
本発明の小生物捕獲用材料は有機溶剤を用いないので特異な臭気を有しないから、げっ歯類が忌避することがないし、誘引剤の効果を阻害することもない。また、ベントナイトやシリカのような嵩高な充填剤を用いないので、混練作業中に泡立ちを生じて、製造作業の継続を困難にするという問題も無い。また本発明に用いる粘着性組成物は、その要求性能を損なわない範囲において、上記必須構成成分の他、必要に応じてプロセス油、動植物油、高分子可塑剤、軟化剤、着色剤、酸化防止剤、老化防止剤、香料、誘引剤、飼料等を適宜配合することが出来る。
【0017】
本発明の小生物捕獲用材料は被塗布材の表面に塗布して使用するが、被塗布材料は、それが平面状のものである限り特に制限はない。例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックからなるシートを用いることが出来る。これらプラスチックからなるシートは厚紙などの台紙に張り合わせたものも使用することが出来る。
本発明の小生物捕獲材料は、ねずみ等の幼獣、成獣のげっ歯類小生物の捕獲に有効であるのはもちろん、それ以外の、例えばごきぶり、ハエ、飛翔性害虫等の有害小生物の捕獲にも使用することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
<粘着性組成物の調製>
ポリイソブチレン、高圧法ポリエチレンおよび液状ポリブテンよりなる組成物(粘着性組成物(A)とする)を表1に示す配合割合にしたがって、配合し調製した。調製方法は以下のとおりである。すなわち、170℃に加熱した液状ポリブテンにポリイソブチレンゴム、ポリエチレン、酸化防止剤を加えて、各成分が均一に溶解するまで攪拌した。次に、170℃に加熱した粘着性組成物(A)に中分子量ポリイソブチレンを所定量添加して、各成分が均一に溶解するまで撹拌して、実施例1〜5、比較例2〜3の試料を調整した。
使用した (a)ポリイソブチレンゴム、(b)ポリエチレン、(c)中分子量ポリイソブチレン並びに(d)液状ポリブテン、は以下の通りである。
(a)ポリイソブチレンゴム;BASF社製、オパノールB−100、粘度平均分子量 130万
(b)ポリエチレン;日本ポリエチレン製、ノバテックLJ−600、MFR5.5、密度0.93g/cm
(c)中分子量ポリイソブチレン(1);JX日鉱日石エネルギー(株)製、テトラックス3T、粘度平均分子量 3万
中分子量ポリイソブチレン(2);JX日鉱日石エネルギー(株)製、テトラックス6T、粘度平均分子量 6万
中分子量ポリイソブチレン(3);BASF社製、オパノールB−15、粘度平均分子量 8万
(d)液状ポリブテン:JX日鉱日石エネルギー(株)製、日石ポリブテンHV−300、数平均分子量
1400
【0020】
<粘着性組成物の物性評価>
粘着最大応力:プローブタック法に準拠し、塗布面に塗布した粘着剤に直径1/4インチ、重量15.3gの金属球を接触させ、金属球を塗布面から引き離すのに必要な力を23℃において引張試験機により測定した。粘着最大応力は、成獣のげっ歯類の捕獲性能に影響する。
延糸距離:プローブタック法に準拠し、塗布面に塗布した粘着剤に直径1/4インチ、重量15.3gの金属球に接触させ、金属球を塗布面から引き離す時、粘着剤が金属球から離れた時の距離を23℃において引張試験機により測定した。延糸距離は粘着剤の濡れ性を表わし、幼獣のげっ歯類の捕獲性能に影響する。
粘着組成物Aの組成と評価結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
<実施例、比較例における捕獲性能評価用試験片の作成>
厚紙にポリプロピレンフィルムをラミネートした台紙(縦21×横16×厚さ0.1cm)の上に、小生物捕獲材料を縦17×横13cmの面積に所定の塗布厚に塗布した後、約1時間静置させて捕獲性能評価用の試料とした。
【0023】
<捕獲性能の評価>
げっ歯類捕獲力(20g、100g鋼球):傾斜角30°の台上に粘着性組成物を塗布した台紙を置き、助走距離10cmの位置から鋼球を転がす。20g鋼球を転がした時、粘着面で鋼球が停止するか、停止後ゆっくり転がる時は、20gのげっ歯類を捕獲する力があるとして○とした。また鋼球が粘着面を転がり落下する時は、20gのげっ歯類を捕獲する力が無いとして×とした。
100g鋼球を転がした時、粘着面で鋼球が停止するか、停止後ゆっくり転がる時は、100gのげっ歯類を捕獲する力があるとして○とした。また鋼球が停止せずに粘着面を転がり落下する時は、100gのげっ歯類を捕獲する力が無いとして×とした。結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
表2は小生物捕獲材料を厚紙にポリプロピレンフィルムをラミネートした台紙に塗布して試験した結果である。実施例1〜4は小生物捕獲用材料を本発明の条件に従って塗布して試験したものであるが、成獣のげっ歯類および幼獣のげっ歯類の何れに対しても優れた捕獲性能を示した。また、延糸距離も十分確保できた。比較例1は粘着性組成物(A)を塗布したものである。成獣のげっ歯類の捕獲力は認められたが、幼獣のげっ歯類の捕獲力は無かった。比較例2では中分子量ポリイソブチレン(B)−1の添加量が多過ぎて、粘着最大応力、延糸距離が悪化して、幼獣のげっ歯類の捕獲力、成獣のげっ歯類の捕獲力は無かった。
比較例3は中分子量ポリイソブチレン(B)−2の添加量が多過ぎて、粘着最大応力、延糸距離が悪化して、幼獣のげっ歯類の捕獲力、成獣のげっ歯類の捕獲力は無かった。
比較例4は中分子量ポリイソブチレン(B)−3の粘度平均分子量が大き過ぎて、延糸距離が悪化して、幼獣げっ歯類の捕獲力が無かった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の小生物捕獲材料は、体重の軽い小生物ならびに体重の重い小生物何れに対しても優れた捕獲性能を示す。したがって、本発明の捕獲材料を用いることにより、一種類の捕獲材で以って幼獣から成獣まで幅広い対象物を捕獲できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粘度平均分子量が30万〜250万の範囲にあるポリイソブチレンゴム 0.3〜3質量%、(b)メルトフローレート(MFR;190℃/212kPa荷重)が0.04〜35、密度が0.97g/cm以下、DSC測定による融点が120℃以下の範囲にある高圧法ポリエチレン 2〜6質量%、(c)粘度平均分子量が20000〜100000の範囲にある中分子量ポリイソブチレン 1〜4質量%、(d)数平均分子量が200〜2000の範囲にある液状ポリブテン 87〜97質量%よりなる小生物捕獲用材料組成物。
【請求項2】
粘着最大応力が900〜1500gf/cm、且つ延糸距離が70mm以上である請求項1に記載の小生物捕獲用材料組成物。
【請求項3】
請求項1に記載された小生物捕獲用材料組成物のうち、(c)中分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が30000〜60000の範囲にあり、配合量が1〜3質量%であり、(d)液状ポリブテンの配合量が88〜97質量%である小生物捕獲用材料組成物。
【請求項4】
(a)ポリイソブチレン、(b)高圧法ポリエチレンおよび(d)液状ポリブテンよりなる組成物を予め混合した後に、(c)中分子量ポリイソブチレンを添加し溶融混練することを特徴とする請求項1〜3に記載の小生物捕獲用材料組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−72286(P2012−72286A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218415(P2010−218415)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】