説明

小粒子銅ピリチオン

液体分散物中に分散した銅ピリチオンの小さな固体粒子を含む、塵を生じない銅ピリチオン分散物を含み、然も、前記固体粒子が約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さいメジアン粒径を有する、組成物がここに開示されている。分散物は、作業者が銅ピリチオンの塵に曝される危険を与えることなく、海洋ペイントのための汚染防止添加剤として適切に用いられる。小さな粒子の銅ピリチオンを含むペイントは、大きい粒子の銅ピリチオンを含むペイントと比較して、冷水で改良された汚染防止性能を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に小さな粒子の銅ピリチオン組成物、及びそれら組成物を製造する方法に関する。それら組成物は、水性又は有機溶媒キャリヤー中に入れた小さな粒子の分散物として塵を生じない形態で与えられるのが好ましい。別法として、それら小粒子は、その粉末の人間との接触又は取扱いを回避するか、又は最小にするように装備された設備中で用いるための固体粉末の形態で与えられる。この小粒子銅ピリチオン組成物は、海洋ペイントのような汚染防止用ペイント中の汚染防止剤として用いるのに適している。これらの小粒子は、大きな粒径の銅ピリチオン粒子と比較して、液体媒体を用いた分散物中で一層大きな保存安定性を示すのみならず、汚染防止用ペイントからの一層大きな浸出速度を示す。
【背景技術】
【0002】
ピリチオン塩は、殺真菌剤及び殺菌剤のような殺生物剤としてのそれらの使用を含めた多くの用途で有用なよく知られた化合物である。亜鉛、錫、カドミウム、及びジルコニウムを含めた重金属ピリチオン塩の外、マグネシウム及びアルミニウムの塩が、シャンプーで用いるのに適した平らな板状子の形態で製造されてきており、米国特許第4,345,080号及び第4,323,683号明細書に記載されている。
【0003】
ピリチオンの金属塩の小さな粒子は、皮膚及び毛髪に使用されるものとして報告されている。例として、米国特許第4,670,430号明細書には、粒子の少なくとも50%が0.2μより小さな粒径を有する微細な粉末粒子の形態の2−メルカプトピリジン−N−オキシドの多価金属塩が記載されている。その’430号特許明細書には、この微細な粒子をシャンプー又はリンス組成物に配合すると、これらの塩の分散安定性が改良され、皮膚及び毛髪へのそれら粒子の吸着性が向上することが記載されている。毛髪トリートメントに金属ピリチオンの小粒子を使用する別の例が、米国特許第5,723,112号明細書に与えられている。その’112号特許明細書には、(a)表面活性剤、(b)粒子の少なくとも90重量%が5μ以下の粒径を有する不溶性粒状金属ピリチオンの微細な粒子、及び(c)それら小粒子のための陽イオン性重合体付着助剤、を含む抗菌性毛髪トリートメント組成物が記載されている。
【0004】
ピリチオンは、種々のペイントの抗菌性添加剤としても用いられてきた。例として、ピリチオン塩(例えば、亜鉛又はナトリウムピリチオン)+銅塩(例えば、酸化第一銅又はチオシアン酸第一銅)を含む種々のペイントが当分野で知られており、例えば、米国特許第5,057,153号明細書に記載されている。別の例として、米国特許第5,185,033号明細書には、銅ピリチオン又は二硫化ピリチオン+酸化第一銅を含むペイント又はペイント基材を製造する方法が記載されており、その特許は、保存中にゲル化を起こさない安定性を示している。更に別の例として、米国特許第5,246,489号明細書には、ペイント又はペイント基材中にその場で銅ピリチオンを発生させる方法が記載されており、それは、ピリチオンの金属塩、酸化第一銅、及び調節された量の水を、ペイントの形成中、又は形成後にそのペイントへ配合することを含んでいる。
【0005】
多くの用途で、銅ピリチオンは、亜鉛ピリチオンのような他の形のピリチオンよりも幾つかの利点を与える。例えば、銅ピリチオンはペイント生成物に添加すると亜鉛ピリチオンよりも一層安定であり、従って、保存中にゲル化を起こしにくい。
【0006】
市販の銅ピリチオンは、乾燥粉末として販売されているのが典型的である。一般に、この市販乾燥粉末の粒径範囲は、約0.8μ〜約30μであり、メジアン粒径は3〜6μである。
【0007】
この市販粉末の主要な欠点は、それが取扱い中に塵を生じ、特別な取扱い装置を必要とすることである。なぜなら、特に銅ピリチオン粉末は、ラットで急性吸入毒性について試験すると、亜鉛ピリチオン粉末よりも大きな毒性を持つことが示されているためである。銅ピリチオン乾燥粉末に伴われるこの塵発生問題は、PCT WO 00/54589号公報で取扱われている。この公報には、液体分散媒体中に入れた固体銅ピリチオンの分散物を用いることにより、塵発生問題を解決することが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、PCT WO 00/54589号公報の分散物は塵発生問題に対処しているが、使用中、それらは別の問題を起こすことが今度観察された。特にこれらの分散物を用いて作ったペイントは、低温環境中でのそのペイントからの銅ピリチオンの浸出速度を低下する傾向がある。そのような低下した浸出は、ペイントからの汚染防止剤の浸出が、ペイントの表面での海洋汚染を防ぐには不十分になる傾向を増大する。本発明は、この浸出速度が減少する問題に対する一つの解決法を与えるものであり、それにより銅ピリチオン含有汚染防止剤に、希望の低温汚染防止効力を確実に与える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様として、本発明は、約0.1〜約10μの範囲内の粒径及び3μより小さいメジアン粒径を有する小さな粒子の銅ピリチオンを含む組成物に関し、これらの小さな粒子は、大きな粒径の銅ピリチオン粒子と比較して、約5℃〜約15℃の冷水環境に曝される海洋ペイントで向上した抗菌性能を示す。別の態様として、本発明は、小さな粒子の銅ピリチオンを含むペイントに関する。更に別の態様として、本発明は、冷水環境中でのペイントの汚染防止効力を増大する方法に関し、その方法は、ペイント中に小さな粒子のピリチオンを配合することを含む。
【0010】
別の態様として、本発明は、液体分散剤中に小さな固体粒子の銅ピリチオンを分散させたものを含む、塵を生じない銅ピリチオン分散物を含む組成物に関する。好ましくは、それら固体粒子は約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する。場合により、分散物は、表面活性剤、重合樹脂、結合剤、及びそれらの組合せからなる群から選択された塵発生防止剤を更に含む。
【0011】
別の態様として、本発明は、
(a)銅ピリチオンの大きな固体粒子を、すり潰し(grinding)、粉砕(milling)、粉末化(pulverizing)、超音波処理(sonicating)、及びそれらの組合せからなる群から選択された力にかけることにより、約0.1〜約10μの範囲内の希望の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する小さな固体粒子の銅ピリチオンを与える工程、及び
(b)液体分散剤中に銅ピリチオン粒子を分散させる工程、
を含む、液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンの、塵を生じない分散物を製造する方法に関する。
【0012】
更に別の態様として、本発明は、
(a)銅ピリチオンの大きな固体粒子を液体分散剤中に分散し、前記大きな固体粒子が中に分散した液体分散物を与える工程、及び
(b)前記銅ピリチオン液体分散物を、すり潰し、粉砕、粉末化、超音波処理、及びそれらの組合せからなる群から選択された力にかけ、前記分散物中の前記大きな粒径の粒子の粒径を、約0.1〜約10μの範囲内の希望の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径の範囲内に減少させる工程、
を含む、液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンの、塵を生じない分散物を製造する方法に関する。
【0013】
更に別の態様として、本発明は、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3.0μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオンの固体粒子を汚染防止に有効な量ペイントへ添加することを含む、ペイントの汚染防止特性を向上させる方法に関する。
【0014】
更に別の態様として、本発明は、液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンを含む、塵を生じない銅ピリチオンを汚染防止に有効な量ペイントへ添加することを含み、然も、前記固体粒子が約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3.0μより小さなメジアン粒径を有する、ペイントの汚染防止特性を向上させる方法に関する。
【0015】
更に別の態様として、本発明は、ペイント基材、及び約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3.0μより小さなメジアン粒径を有する、汚染防止に有効な量の銅ピリチオン固体粒子を含む、汚染防止ペイントに関する。
【0016】
更に別の態様として、本発明は、ペイント基材、及び約0.25〜約7μの範囲内の粒径、及び2μより小さなメジアン粒径を有する、汚染防止に有効な量の銅ピリチオン固体粒子を含む、汚染防止ペイントに関する。
【0017】
更に別の態様として、本発明は、冷水海洋環境中で、銅ピリチオン含有ペイントからの銅ピリチオンの浸出速度を増大する方法において、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオンの固体粒子をペイント中へ配合し、前記ペイントを前記冷水海洋環境に曝した時、10.6℃の冷水温度で測定して、少なくとも1μg/cm/日のペイントからの銅ピリチオン浸出速度を与えることを含む、浸出速度増大方法に関する。
【0018】
更に別の態様として、本発明は、冷水海洋環境中で、ペイント基体、及び汚染防止に有用な量の銅ピリチオンの固体粒子を含むペイントからの銅ピリチオンの浸出速度を増大した銅ピリチオン含有汚染防止用ペイントであって、然も、前記固体粒子は、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有し、更に前記固体粒子は、前記ペイントを前記冷水海洋環境に曝した時、10.6℃の冷水温度で測定して、少なくとも1μg/cm/日のペイントからの銅ピリチオン浸出速度を有する、ペイントに関する。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様は、本発明についての次の詳細な記述を読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な記述
小さな粒子の銅ピリチオンが、特に冷水環境中でこれら小さな粒子を含む汚染防止用ペイントからの増大した浸出速度を示すことが、今度本発明者により全く思いがけず発見された。この増大した浸出速度は、一層大きな粒径の銅ピリチオン粒子を含むペイントと比較して、その環境中でのペイントの汚染防止効力を増大する。
【0021】
ここで用いる用語「冷水環境」とは、約5℃〜約15℃の水温度を指す。ここで用いる用語「小さな粒径」及び「小さな固体」とは、銅ピリチオン粒子に関連して用いられ、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3.0μより小さなメジアン粒径を有する粒子を指す。好ましくは粒径は、約0.25〜約7μの範囲内の粒径、及び2μより小さなメジアン粒径を有する。小さな粒径の粒子のメジアン粒径は、0.5〜3μの範囲にあるのが有利であり、0.5〜2μの範囲内にあるのが一層有利である。
【0022】
本発明は、液体分散剤中に、場合により一種類以上の塵発生防止剤を存在させて分散させた小さな粒子のピリチオンを含む、塵を生じない組成物を与える。この固体/液体分散物は、取扱いが容易であり、空気中に浮遊するレベルの銅ピリチオンに曝されて吸入する危険を無くすか又は減少する。更に、小さな粒子の銅ピリチオンは、分散物中で物理的に安定であり、ペイント中で、使用前の保存中に物理的に安定である。このことは、銅ピリチオンゲル又は濃厚なチキソトロピー性沈澱物を形成する傾向を最小にし、それにより大きな粒径のピリチオン粒子を含有する分散物及びペイントと比較して、それら分散物及びペイントの保存寿命を増大する。
【0023】
ここに記載する用語「分散物」とは、低粘度の固体/液体混合物、及びペーストのような高粘度の固体/液体組成物の両方を包含するものとする。分散物は、一般に室温で約1,000cps〜約100,000cps、好ましくは室温で約5,000cps〜70,000cpsの範囲の粘度を有する。ここで、「cps」はセンチポアズのことである。分散物は、約0.05重量%〜約80重量%(好ましくは約30重量%〜約80重量%)の、水、有機溶媒、及びそれらの組合せからなる群から選択された液体分散剤中に分散した約20重量%〜約99.95重量%(好ましくは約20重量%〜約70重量%)の小さな粒子の固体銅ピリチオンを含むのが有利である。場合により、分散物は、表面活性剤、重合体樹脂、結合剤、及びそれらの組合せからなる群から選択された塵発生防止剤を、約0.05%〜約30%更に含む。これらの重量%は、全て分散物の全重量に基づいている。
【0024】
ここで用いる用語「塵を発生しない」及び「塵を含まない」とは、空気中に浮遊する銅ピリチオン粒子を実質的に含まないか、又は有利には少なくとも99重量%より多くのものがそれを含まない組成物を指す。用語「塵発生防止剤」とは、空気中に浮遊する銅ピリチオン粒子の形態で塵を形成するのを防止又は阻止するのに役立つ化合物を指し、それら化合物を含まない組成物と比較されている。「空気中に浮遊する粒子」は、アメリカ政府管掌工業衛生学者協会(American Conference of Governmental Industrial Higientists)により出版された「1999許容濃度及び生物学的露出指数」(1999 Threshold Limit Values and Biological Exposure Indices)中に見出される「空中浮遊粒状物質についての試料採取基準」(Sampling Criteria for Airborne Particulate Matter)と題する論文中に詳細に記述されている。この刊行物は、固体粒子又は液滴の懸濁物として吸入された空気中に存在する化学物質について、空気中に浮遊する粒子に伴われる潜在的危険性が、粒子の質量濃度と同様、関連する粒子の粒径の関数であることを述べている。
【0025】
上述したように、本発明は、水、有機溶媒、及びそれらの組合せからなる群から選択された液体分散剤中に分散した小さな粒子の銅ピリチオンの塵を生じない銅ピリチオン分散物を含む組成物に関する。場合により、分散物は、表面活性剤、重合体樹脂、結合剤、及びそれらの組合せからなる群から選択された塵発生防止用化合物を更に含有する。
【0026】
銅ピリチオンは、乾燥粉末の形態で〔コネチカット州ノルウォークのアーチ・ケミカルズ社(Arch Chemicals,Inc.)から〕市販されている。この形態の銅ピリチオンは、本発明の方法で出発材料として用いることができる。
【0027】
別法として、銅ピリチオンは、米国特許第5,650,095号、第5,540,860号、及び第5,238,490号明細書に記載されているように、当分野で既知の慣用的方法により製造することができる。簡単に述べると、銅塩及び/又は酸化銅をピリチオン塩と、水性又は有機キャリヤー媒体中で反応させることにより銅ピリチオンを製造することができる。適当なピリチオン塩は、ピリチオン又はピリチオン酸のナトリウム、カルシウム、カリウム、及びマグネシウム塩、又はピリチオンのエタノールアミン塩、キトサン塩、及び二硫化塩〔アーチ・ケミカルズ社から「アマジン(OMADINE)MDS」として市販されている〕のような非金属塩の、有機又は水性キャリヤーに可溶性のものである。ピリチオン塩は、好ましくは約1〜約40重量%、一層好ましくは5〜25重量%、最も好ましくは15〜25重量%の量で用いられる。重量%は、全て、希望の銅ピリチオンを製造するための反応混合物の全重量に基づく。
【0028】
銅ピリチオンを製造するために用いられる銅塩は、反応で用いられるキャリヤーに可溶性のどのような銅含有塩でも適している。例えば、もし水がキャリヤーであるならば、有用な銅塩には、塩化銅二水和物、硫酸銅、炭酸銅、硝酸銅、酢酸銅、及びそれらの組合せが含まれる。上記銅塩は、個々に、又は併用して、又は酸化銅と組合せて用いることができる。
【0029】
銅ピリチオンを製造するために用いられる銅塩、銅酸化物及び/又は銅塩/銅酸化物の組合せは、反応混合物の全重量に基づき、好ましくは約1〜約50重量%、一層好ましくは5〜30重量%、最も好ましくは約15〜20重量%の量で用いられる。
【0030】
銅ピリチオンを製造するための反応混合物に有用なキャリヤーには、水、有機溶媒、及びそれらの組合せが含まれる。有用な有機溶媒には、メタノール及びエタノールのようなアルコール、ジエタノールアミンのようなアミン、エーテル、エステル等が含まれる。
【0031】
塵を生じない小さな粒径の銅ピリチオン組成物は、上述のようにして製造された銅ピリチオンと、水性又は有機分散剤とを一緒にし、場合により塵発生防止剤を配合することにより製造される。銅ピリチオン成分の粒径の減少は、銅ピリチオン分散物を製造する前、それと同時に、又はその後で行うことができる。例として、小さな粒径の銅ピリチオンは、銅ピリチオンの製造沈澱中に、又は乾燥粉末を希望の粒径へ粉砕することにより分散物を製造する前に、又は、銅ピリチオン粒子の粒径を小さくするため、ミルのような粉砕力を発生する装置を用いて分散物を製造する間に形成することができる。更に別のやり方として、銅ピリチオン粒子の粒径は、分散工程を行なった後、その分散物を粉砕力にかけることにより、例えば、それを粒径減少ミルに通して処理することにより、減少することができる。適当な粒径減少ミルには、ジェットミル、空気分類(Air classifying)ミル(ACM)、ネッチュ(Netzsch)ミル、ボールミル、又はそのようなミルの組合せが含まれる。更に別のやり方として、超音波処理装置のような超音波により粉砕力を生ずる装置を用いて粉砕力を与えることができる。
【0032】
超音波処理を用いる場合、用いられる音波エネルギーは、好ましくは約20Hz〜約250,000Hz(250kHz)、一層好ましくは約5kHz〜約105kHz、最も好ましくは約16kHz〜約20kHzの周波数を有する。特別な超音波処理装置の構成によっては、周波数の組合せを用いることもできる。反応混合物に適用される音波エネルギーから得られるエネルギー出力レベルは、好ましくは約20〜約5000ワット、一層好ましくは約100〜約1000ワット、最も好ましくは約400〜約600ワットの範囲にある。本発明の方法で用いるのに適した適切な超音波処理装置の一例は、(コネチカット州ウッドベリーのアドバンスド・ソニック・プロセシング・システムズ(Advanced Sonic Processing Systems)から市販されている〕ネアフィールド(Nearfield)NAP3606型音響プロセッサーであるが、どのような超音波処理装置でも、本発明の方法で用いることができる。
【0033】
銅ピリチオンは、分散物中、好ましくは約20〜95重量%、一層好ましくは約30〜70重量%、更に一層好ましくは約30〜50重量%、最も好ましくは約35〜約60重量%の量で用いられる。全ての重量%は、分散物の全重量に基づいている。銅ピリチオンの特に有用な量は、約45重量%である。
【0034】
場合による本発明の組成物の塵発生防止用成分は、一種類以上の表面活性剤、一種類以上の重合体樹脂、一種類以上の結合剤、又はそれらの組合せであるのが好ましい。この成分を用いる場合、それは一般に本発明の組成物の約0.05〜約30重量%を占める。塵発生防止剤を用いる場合、それは、好ましくは約0.05〜約10重量%、一層好ましくは0.1〜約5重量%、最も好ましくは約0.5〜約2重量%の合計量で用いられる。全ての重量%は、分散物の全重量に基づく。
【0035】
本発明の分散物中の塵発生防止用成分として用いるのに適した樹脂には、アクリル樹脂、ビニル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、天然樹脂、ロジン、ポリエステル樹脂、プラスチゾル、及びそれらの組合せが含まれる。本発明の組成物には、ビニル樹脂が特に有用である。
【0036】
本発明の分散物中の塵発生防止用成分として用いるのに適したプラスチゾルは、米国特許第5,319,000号明細書(これは参考のため全体的にここに入れてある)に記載されているように、可塑剤のようなキャリヤー+樹脂を含み、可塑剤及び樹脂相容性添加剤を含む市販のプラスチゾルが含まれる。プラスチゾルの樹脂成分の好ましい量は、一般にプラスチゾルの全重量に基づき、約0.2重量%〜約30重量%の範囲にある。
【0037】
本発明の分散物中の塵発生防止用成分として用いるのに適した結合剤には、結合技術で知られているどのような低融点重合体、又はワックスでも含まれる。結合剤の例には、商標名「タコリン(TACOLYN)」又は「ピコテックス(PICOTEX)」(ビニルトルエン及びα−メチルスチレンの共重合により製造された炭化水素樹脂単量体)として販売されているロジンのようなロジン、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のようなアクリレート、キサンテート又はグアーガム、ポリビニルアクリレート、酢酸エチル、及びそれらの組合せが含まれる。結合剤成分の有用な量は、好ましくは約0.1〜約20重量%、一層好ましくは約0.5〜約10重量%、最も好ましくは約0.5〜約5重量%の範囲にある。全ての重量%は、組成物の全重量に基づいている。
【0038】
上で示したように、場合による本発明の組成物の塵発生防止剤成分は、個々に(例えば、表面活性剤としてのみ、又は塵発生防止用成分としての重合体樹脂としてのみに)用いてもよい。別法として、上に記載した塵発生防止剤の一種類以上の組合せを、塵発生防止用成分として用いてもよい。更に、一種類以上の他の塵発生防止剤(例えば、重合体樹脂)と組合せて一種類以上の上記塵発生防止剤(例えば、表面活性剤)を用いて本発明の塵発生防止用成分を形成することもできる。
【0039】
上で示したように、本発明の分散物中の銅ピリチオンは、小さな粒子の粉末(例えば、分散物)、又は別法として小さな粒子から構成された大きな吸入不可能な粒子(例えば、4μ以上の粒子)の形態になっていてもよい。一般に、市販されている銅ピリチオン粉末の粒径範囲は、約0.80μ〜約30μであり、メジアン粒径は3〜6μである。
【0040】
本発明の特に有利な分散物として、塵発生防止剤は、一種類以上の表面活性剤及び/又は一種類以上の重合体樹脂及び/又は一種類以上の結合剤であり、塵を発生しない小さな粒子の銅ピリチオン分散物は、一般に次のようにして製造される。
【0041】
選択された重合体樹脂及び/又は表面活性剤を先ず混合容器へ入れ、選択された溶媒中にペイント及び被覆の分野でよく知られている高速分散機の型の混合機を用いて低い速度(一般に約500〜800rpm)で混合することにより溶解する。次に銅ピリチオン粉末を添加し、混合速度を1,000〜3,000rpmへ増大する。均一な分散物又はペーストが生ずるまで、一般に約1分〜約30分混合を継続する。次にこの分散物をネッチュ・ツェーター・ミル(Netzsch Zeta Mill)のような粉砕ミルに入れ、10分〜8時間、或いは希望の小さな粒径が達成されるまで混合する。
【0042】
小さな粒子の銅ピリチオン分散物を製造するための別の方法は、先ずジェットミル、又は希望の小さな粒子を最初に達成することができる空気分類ミルを用いて小さな粒径へ粉末を乾燥粉砕することであろう。次にこの小さな粒子の粉末を、選択された溶媒と共に混合容器中の選択された重合体樹脂及び/又は表面活性剤へ添加し、ペイント及び被覆の分野でよく知られている高速分散機型の混合機を用いて混合する。混合速度は、1,000〜5,000rpmである。混合は、均一な分散物又はペーストが生ずるまで、一般に約5分〜約50分間継続する。
【0043】
有機溶媒系分散物を製造するために銅ピリチオン湿潤濾滓を用いる場合、残る水は、最終組成物から除去しなければならない。一つの態様として、上記混合工程は、有機溶媒から水を除去するために用いられるディーン・スターク・トラップ接続装置又は他の装置を用いて閉鎖したフラスコ又は反応器中で行う。混合物は、分散物から除去される水が無くなるまで、約95℃〜105℃以上に加熱することができる。別法として、加熱温度を低くするか(又は加熱する必要なく)真空中で混合を行うことができる。次にこの分散物を、必要に応じ、粒径を減少するため、ネッチュ・ツェーター・ミルのような粉砕ミルに入れ、15分〜5時間、或いは希望の小さな粒径が達成されるまで混合する。
【0044】
本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物は、濃厚なペーストの形態になっている分散物として製造してもよい。分散剤として水を用いて製造した場合、本発明の組成物は、一般に室温で約1,000センチポアズ(cps)〜約75,000cpsの範囲の粘度を有する。有機溶媒を用いて製造した本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物は、一般に室温で約5,000cps〜約100,000cps(好ましくは5,000〜約70,000cps)の範囲の粘度を有する。
【0045】
本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物は、従来法の銅ピリチオン組成物よりも著しい利点を与える。本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物は、ペイント、被覆、又は石鹸、シャンプー、薬剤等のような人のケアー組成物との混合及び処理が容易である。本発明の塵発生防止性は、夫々の地方の環境中の空気中に存在する銅ピリチオンの塵を著しく減少する。その結果、本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物は、毒性の空中浮遊銅ピリチオン粉末を吸入する心配がなくなり、その危険を減少して容易に取扱うことができる。更に、小さな粒子の銅ピリチオン分散物が撒き散らされ、溶媒が蒸発した場合、分散物中の塵発生防止用成分が銅ピリチオン上に膜を形成し、塵の発生を最小にすることが見出されている。更に、銅ピリチオンの小さな粒子は、懸濁物中に一層よく懸濁されたままになり、その結果濃厚なチキソトロピー性沈澱物を形成せず、従って、本発明の組成物の保存寿命を増大するように思われる。
【0046】
海洋ペイントに添加した場合、本発明は、従来法の銅ピリチオン組成物よりも著しい利点を与える。本発明の塵を生じない小さな粒子の銅ピリチオン組成物を、ペイントに混合すると、そのペイントから形成して得られたフィルム被覆が、その被覆の表面から一層多くの量の銅ピリチオンを浸出する。これは一つの利点である。なぜなら、銅ピリチオンは、0.50ppmより小さな水溶解度しかもたないからである。或る海洋汚染防止ペイントフィルムで、もし銅ピリチオンが充分大きな濃度で浸出しないと、そのフィルムの表面上に海洋汚染有機物が住み着くようになる。
【0047】
海洋ペイントフィルムからの殺生物剤の浸出速度を決定するのに用いたASTM実験室法によるデーターは、銅ピリチオンの浸出速度は温度に依存することを示している。水の温度は高くなる程、浸出速度は高くなる。これらの浸出速度試験を行なって、本発明者が非常に驚いたことは、銅ピリチオンの浸出速度が、ペイントに添加された銅ピリチオンの粒径にも依存していたことである。銅ピリチオンの粒径が小さくなる程、試験した全ての温度でフィルムからの銅ピリチオンの浸出速度が大きくなった。
【実施例】
【0048】
本発明を次の実施例により更に説明するが、それらの実施により限定されるものではない。全ての部及び%は、重量によるものであり、全ての温度は、明確に別の仕方で示されない限り℃による。全ての重量%は、明確に別の仕方で示されない限り、各組成物の全重量に基づく。
【0049】
比較例A−キシレン中に入れた銅ピリチオン(CuPt)分散物の製造
本発明の分散物に対する比較として、13gの「ラロフレックス(LAROFLEX)MP25」重合体樹脂(ノースカロライン州シャルロッテのBASF社の製品である、塩化ビニル・イソブチルビニルエーテル共重合体)を、832gのキシレン中へ溶解した。重合体の溶解に続き、862gの銅ピリチオン〔アイルランドのアーク・ケミカルズACBVスウォーズ(Arch Chemicals ACBV Swords)の製品〕(49重量%)をゆっくり添加し、1000〜2000rpmの速度で高速分散機を用いて一定速度で混合した。混合物を低速度(1000rpm)及び低剪断力で0.5時間撹拌し、均質な混合物が達成されるまで、適切な混合を与えた。この分散物を製造するのに用いた銅ピリチオン粉末は、それを分散物に添加する前及び後で、ホリバ(Horiba)レーザー光散乱粒径分析器で分析し、下のデーターが得られた。
【0050】
【表1】

【0051】
上の表のデーターから観察されるように、分散物中の銅ピリチオン粉末の低剪断混合は、銅ピリチオンの粒径を変化させなかった。
【0052】
例1−キシレン中に入れた小さな粒径の銅ピリチオン分散物の製造
例1の分散物から300gの粒径試料をとり、その試料を、キシレン溶媒を添加することにより42.8%銅ピリチオンの濃度まで希釈した。次にその希釈した試料をミニ・ツェーター・ネッチュ(Mini Zeta Netzsch)ミルに通して150分間2000rpmで処理した。得られた銅ピリチオン分散物を、ホリバ・レーザー光散乱粒径分析器で分析し、下のデーターを得た。
【0053】
【表2】

【0054】
ネッチュ粉砕分散物は、例1で製造した分散物よりも、一層よい保存寿命安定性を示していた。
【0055】
例2
A部−水中に入れた小粒子銅ピリチオン分散物の製造
3gの「ダルバン(DARVAN)」分散剤〔R.T.バンデルビルト社(R.T. Vanderbilt Company,Inc.)からのナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド共重合体のナトリウム塩〕を、75gの水中に分散した。ダルバンの溶解に続き、77gの銅ピリチオン粉末を、高速分散機(1000〜2500rpm)を用いて連続的に混合しながら、ゆっくり添加した。均質な混合物が達成されるまで、撹拌を低剪断で低速度(1000rpm)で継続し、適当な混合物を与えた。次にその分散物(合計155g)を、ミニ・ツェーター・ネッチュ・ミルで90分間2000rpmで粉砕した。得られた銅ピリチオン分散物を、ホリバ・レーザー光散乱粒径分析器で分析し、下のデーターを得た。
【0056】
【表3】

【0057】
B部−海洋汚染防止(AF)ペイント中の小粒子銅ピリチオン分散物の評価
下の成分を含む4種類のAFペイントを製造した。
【0058】
【表4】

【0059】
上記4つのペイントは、高速分散機で2000rpmで30分間低剪断混合で製造した。
各ペイント中の銅ピリチオンの粒径を下の表に記載する。
【0060】
【表5】

【0061】
上記4つのペイントを円筒状基体に適用し、乾燥し、次にその塗布した基体を、合成海水の入っているタンク中へ入れた。銅遊離速度について用いられる修正したASTM浸出速度測定法に従い試験した。合成海水中の銅ピリチオン濃度を、容認された高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用いて、アーク・ケミカルズ社の分析部門で測定した。
【0062】
上記浸出速度比較試験から得られた結果は、本発明の小粒子銅ピリチオンが、種々の温度でかなり大きな浸出速度能力を有することを実証している。図1に示したグラフは、種々の水温での3つの銅ピリチオンペイントの浸出速度データーを比較する一組の曲線を描いたものである。本発明の範囲内に入る小さな粒径を有する銅ピリチオンを含有するペイント、即ち、例1の分散物を含むペイント4は、比較例Aの分散物を含むペイント3と比較して一層大きな浸出速度を持っていたことが観察された。
【0063】
図1に与えた結果は、海洋ペイントからの銅ピリチオンの浸出速度は、その海洋ペイントが曝される水温によって変化することを実証している。水温が低下すると、浸出速度は著しく低下する。このことは一つの問題である。なぜなら、水温が低いと、海洋汚染を防ぐのに充分な銅ピリチオンがペイントフィルムから浸出しなくなる可能性があるからである。
【0064】
図1の曲線10及び20は、夫々23.5℃及び10.6℃の温度でのペイント2に関する。曲線30及び40は、夫々10.6℃及び23.5℃の温度でのペイント3に関係している。曲線50及び60は、夫々23.5℃及び10.6℃の温度でのペイント4に関係している。
【0065】
図1に与えた結果も、海洋ペイントからの銅ピリチオン浸出速度が、ペイントに添加した銅ピリチオンの粒径にも依存していたことを実証している。ペイント4に含まれている銅ピリチオンの小さな粒径の粒子は、ペイント3に含まれているそれより大きな粒径の粒子によって与えられる浸出速度と比較して、特に10.6℃の低い水温では、かなり大きな浸出速度を与え、有利であった。比較例A(ペイント3)からの銅ピリチオン浸出速度と比較して、例1(ペイント4)からの銅ピリチオンの浸出速度が大きいことは、例1の分散物が、比較例Aの分散物により与えられる汚染防止効力と比較して、一層大きな汚染防止効力をペイントに与えるであろうことを示している。
【0066】
例3(提案された冷水露出)
例2のB部で製造した4つの海洋AFペイントを、次のプロトコルを用いて汚染防止効力について試験する。
【0067】
4つのペイントの各々の試料を、6in×16inの大きさのガラス繊維パネルに塗布する。それら4つの塗布したパネルを、マイネ(ポートランド)沖合の海水中に5カ月間沈め、冷水環境中でのペイントの汚染防止効力を比較するための基礎を与える。その海水温度は、試験期間中6℃〜17℃に変化し、平均水温は11℃であった。
【0068】
試験期間後、4つの被覆したパネルを海水から取り出し、フジツボ及び微生物の増殖について目で見て調べた。この検査の結果を、次の比較表に与える。
【0069】
【表6】

【0070】
この比較の結果により、比較例A(ペイント3)からの銅ピリチオンの汚染防止効力と比較して、例1(ペイント4)からのその増大した効力が確認される。
【0071】
本発明をその態様に関連して記述してきたが、前記記述を参照して多くの変更、修正、及び変化が当業者には明らかになることは明白である。従って、そのような変更、修正、及び変化は、本願特許請求の範囲の本質及び広い範囲内に全て入るものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、比較ペイント(ペイント2及び3)と比較できるように、本発明のペイント(ペイント4)について、銅ピリチオンのペイントからの浸出速度に対する粒径及び温度の影響を時間と共に示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さいメジアン粒径を有することを特徴とする小さな粒子の銅ピリチオンを含む組成物であって、然も、前記小さな粒子が、それより大きな粒径の銅ピリチオン粒子と比較して、約5℃〜約15℃の冷水環境に曝される海洋ペイントで一層大きな抗菌性能を示す、上記組成物。
【請求項2】
ペイントの全重量に基づき、約1%〜約5%の汚染防止に有効な量で、請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とするペイント。
【請求項3】
ペイントの中に、請求項1に記載の組成物を配合することを含む、冷水環境中のペイントの汚染防止効力を増大する方法。
【請求項4】
液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンを含む、塵を生じない銅ピリチオン分散物を含む組成物であって、然も、前記固体粒子が、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する組成物。
【請求項5】
固体粒子が、約0.25〜約7μの範囲内の粒径、及び2μより小さなメジアン粒径を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
固体粒子が、約0.5〜約2.8μの範囲内のメジアン粒径を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
固体粒子が、約0.5〜約2μの範囲内のメジアン粒径を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
液体分散剤が、水、有機溶媒、及びそれらの組合せからなる群から選択されている、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の全重量に基づき、固体粒子が、約20重量%〜約99.95重量%の量で存在し、液体分散剤が、約0.05重量%〜約80重量%の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の全重量に基づき、固体粒子が約20重量%〜約70重量%の量で存在し、液体分散剤が、約30重量%〜約80重量%の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
更に、分散物の全重量に基づき、0.05%〜約30%の、表面活性剤、重合樹脂、結合剤、及びそれらの組合せからなる群から選択された塵発生防止剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
(a) 銅ピリチオンの大きな固体粒子を、すり潰し、粉砕、粉末化、超音波処理、及びそれらの組合せからなる群から選択された力にかけることにより、約0.1〜約10μの希望の範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径の小さな固体粒子の銅ピリチオンを与える工程、及び
(b) 銅ピリチオン粒子を液体分散剤中に分散させる工程、
を特徴とする、液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンの、塵を生じない分散物の製造方法。
【請求項13】
粉砕を、ボールミル、ジェットミル、空気分類ミル(ACM)、ネッチュ粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択された技術により行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)銅ピリチオンの大きな固体粒子を液体分散剤中に分散し、前記大きな固体粒子が中に分散した液体分散物を与える工程、及び
(b)前記銅ピリチオンの液体分散物を、すり潰し、粉砕、粉末化、超音波処理、及びそれらの組合せからなる群から選択された力にかけ、前記分散物中の大きな粒子の粒径を、約0.1〜約10μの希望の範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径へ減少させる工程、
を特徴とする、液体分散剤中に分散した銅ピリチオンの小さな固体粒子の、塵を生じない分散物を製造する方法。
【請求項15】
粉砕を、ボールミル、ジェットミル、空気分類ミル(ACM)、ネッチュ粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択された技術により行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオンの固体粒子を汚染防止に有効な量ペイントへ添加することを含む、ペイントの汚染防止特性を向上させる方法。
【請求項17】
銅ピリチオンの固体粒子が、約0.25〜約7μの範囲内の粒径、及び2μより小さなメジアン粒径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
液体分散剤中に分散させた小さな固体粒子の銅ピリチオンを含む、塵を生じない銅ピリチオン分散物を汚染防止に有効な量ペイントへ添加することを特徴とし、然も、前記固体粒子が約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する、ペイントの汚染防止特性を向上させる方法。
【請求項19】
ペイント基材、及び汚染防止に有効な量の、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオン固体粒子を含む、汚染防止ペイント。
【請求項20】
ペイント基材、及び汚染防止に有効な量の、約0.25〜約7μの範囲内の粒径、及び2μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオン固体粒子を含む、汚染防止ペイント。
【請求項21】
冷水海洋環境中で、銅ピリチオン含有ペイントからの銅ピリチオンの浸出速度を増大する方法において、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有する銅ピリチオンの固体粒子をペイント中へ配合し、前記ペイントを前記冷水海洋環境に曝した時、10.6℃の冷水温度で測定して、少なくとも1μg/cm/日のペイントからの銅ピリチオン浸出速度を与えることを特徴とする、上記浸出速度増大方法。
【請求項22】
冷水海洋環境中で、ペイント基材、及び汚染防止に有効な量の銅ピリチオン固体粒子を含むペイントからの銅ピリチオンの浸出速度を増大することを特徴とし、然も、前記固体粒子が、約0.1〜約10μの範囲内の粒径、及び3μより小さなメジアン粒径を有し、更に前記固体粒子が、前記ペイントを前記冷水海洋環境に曝した時、10.6℃の冷水温度で測定して、少なくとも1μg/cm/日のペイントからの浸出速度を有する、上記銅ピリチオン含有汚染防止ペイント。

【図1】
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【公表番号】特表2006−511665(P2006−511665A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565257(P2004−565257)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/038922
【国際公開番号】WO2004/060062
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】