説明

少なくとも二つのカバーフリースと中央のパルプ繊維とから成る嵩高なサンドイッチフリースを造るための方法およびこのための機械設備

【課題】 本発明は、少なくとも二つのカバーフリースと中央のパルプフリースとから成る嵩高なサンドイッチフリースを造るための方法およびそのための機械設備に関する。
【解決手段】 サンドイッチフリースを化学繊維および/または天然繊維から成る少なくとも二つのカバーフリースとバルプ繊維とから造ることは知られている。
フリース層を互いに積層した後、積層体を流体力学的なニードルパンチ装置内でニードルパンチ処理し、ここで層の交絡と固化が行われる。このような様式の嵩高な、従って軟らかなフリース製品を得るために、少なくとも載置され、成形されて造られたカバーフリースを、パルプ層を載置する以前に嵩を増大させる。これは、或る程度の幅を有するフリースを圧縮することにより、或いは例えば歯車様式で互いに噛合っているロールによりカレンダロール処理することにより、或いは付加的に予備ニードルパンチ処理することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二つのカバーフリースと中央のパルプ繊維とから成る嵩高なサンドイッチフリースを造るための方法およびこのための機械設備に関する。
【背景技術】
【0002】
化学繊維および/または天然繊維から成る少なくとも二つのカバーフリースとパルプ繊維から成る中央の中間層とから成るサンドイッチフリースを造るための方法は特許文献1から公知である。サンドイッチフリースは、その固化のため、先ず水流ニードルパンチ装置内に、次いで乾燥機内に入込む。無端繊維から形成された下方のカバーフリースは、パルプが積層される以前に、繊維層の圧縮のためにカレンダロール対を通過する。
【0003】
この様式で製造されたサンドイッチフリースは可能な限りパルプ量のロスが少ない点で良好である。しかし、このサンドイッチフリースは最終製品としては偏平であり、嵩高ではない。
【特許文献1】国際公開01/53588号
【特許文献2】米国再発行特許31,599号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許公開第0 540 041号
【特許文献4】米国特許第4,704,112号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底をなす課題は、その使用によって上記の流体力学的な固化様式の処理にもかかわらず嵩高のサンドイッチフリースを得ることが可能となる方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決のため本発明は、載置され、成形され、いずれにしろ既製のカバーフリースを、パルプ層を積層する以前にその嵩を増大させることを提案する。このような嵩高のフリース、即ちサンドイッチフリースは軟らかく、手触りも心地よい。このことは、カバー層の繊維の少なくとも一部分を圧縮処理、巻縮処理、流体力学的な処理或いは収縮処理することによって行われる。如何なる場合にあっても、フリース内に形成される嵩は、この嵩が水流ニードルパンチ処理により最終的な固化が行われる際に維持された状態にあるように、固定されなければならない。
【0006】
特許文献2により、無端繊維を、三次元状に予備成形されたフリースを形成するために、紡糸の後歯車内に入れることが知られている。しかし、この場合固定が行われることはない。本発明によるこのようなフリースを使用した際、三次元性も同時に向上する。
【0007】
特許文献3により、長繊維フリースをパルプ層を積層する以前に水によるニードルパンチ処理を行うことが知られている。このことは、フリースの水吸収能を増大させるために行われる。次にフリースに乾燥したパルプ層が添えられ、このパルプ層は圧力により湿ったフリースと結合される。
【0008】
特許文献4に開示されているように、パルプを中間層に載置するのが良好である。そこで、カバーフリースに加えて中間フリースが形成され、この中間フリースは孔のような空域を備えており、次いでこの空域内にパルプが中間フリースの厚みに相応して厚い層として入込むことが可能である。このことによっては、このようなサンドイッチフリース構造が一貫したパルプ層を有していないことは別としても、軟らかな手触りを備えているフリースは得られない。
【0009】
これに対して、本発明によるアイデアにより、嵩高な、軟らかな三層フリースが得られるばかりでなく、パルプ繊維から成る比較的厚い層をも、少なくとも第一の、即ち下方のカバーフリースの凹所の高さで、三次元に成形されたカバーフリース間に挿入することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面には、サンドイッチフリースを造るための二つの設備が図示されている。これらの図面により本発明の更なる詳細を説明する。
【0011】
スパンボンド方法にあって、無端フイラメントはユニット1内において形成され、無端ベルト2上に載置される。次いで、この際形成される、例えば8 − 15g/mの重量を有するフリース3は、カレンダ4による加圧下に加熱により固化される。ここにおいて始めて、フリースは取扱い可能に、ここでは巻取り可能となるとなる。引続き、スパンボンドフリース3を有する巻体ローラ5はサンドイッチフリースを造るための別個の機械設備の使用に供するため中間貯蔵される。
【0012】
次いで、この設備は底部フリースのための巻体ローラ5とフリースの嵩を増大させるためのユニットとから成る。図1に示すように、このユニットは平滑な或いは良好な、レリーフを備えているドラム表面7を有する単純な流体力学的なニードルパンチ装置6である。この場合、歯車様式で互いに噛合っているロールを備えているカレンダロール対或いはフリース圧縮装置を使用することが可能である。どの場合にあっても、カレンダロールにより処理されたフリース3の嵩は増大され、これにより最終製品の手触りは軟らかくなる。引続きフリースに、例えばエアレイ装置8により、パルプ層が積層される。このパルプ層は、例えば20 − 60g/mである。完全な三層のサンドイッチフリースを造るために、更に巻体ローラ5′からカバーフリースが供給されるが、このカバーフリースは同様にパルプ層上に載置される以前に嵩が、例えば他の予備スパンレース装置6′により可能な限り増大されてる。最後に、三層フリースはその層内において、特に流体力学的なニードルパンチ装置9により、両側がニードルパンチ処理されることにより互いに交絡される。引続き、SPS−フリースは装置10内で乾燥され、装置11により巻上げられる。
【0013】
他の、しかも最終的であるが、非連続的でもある設備が図2に開示されている。この図においては、カレンダロールにより処理されたフリース3はユニット5″によって巻上げられる以前に先ず嵩が増大される。図示した様式にあっては、これは単純な、即ち紡糸設備に統合して設けられている予備スパンレース装置6″によって行われる。嵩を増大させるために湿潤式処理装置の代わりに、この場合もまたレリーフを備えているロール対或いは圧縮装置を使用することも可能である。湿潤式処理の場合は、乾燥装置14には、しかも少なくとも一つの水吸引装置が後続して設けられていなければならない。この際巻体ローラ5′上に得られたカバーフリースは、既に嵩が増大されており、手触りが軟らかである。ここで、サンドイッチフリース設備は底部フリース5″としても、カバーフリース5″′としても中間貯蔵することが可能である。その間パルプがユニット8により積層され、全体が一体的に装置9内で行われるようにして固化され、乾燥される。
【0014】
図3は、図2による紡糸フリース設備を開示しているが、この設備にあっては予備スパンレース装置6″を備えているロール対4は、圧縮ユニットで、即ち無端ベルト2と相反する方向で走る圧縮ベルト2′を備えていてかつ両者間をノズルビーム12の水放射流が流過している圧縮ユニットで、置換えられている。次いで圧縮処理の後、フリースの嵩は増大されるが、これは無端ベルト2にも所属しているノズルビーム13によって行われる。最後に、フリースは吸引および/または乾燥によって脱水される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】別個の紡糸ユニットに後続して設けられている、フリース前処理部を備えている非連続的なオフライン状の設備の概略図である。
【図2】紡糸工程に接続されているフリース前処理部を備えている非連続的なライン状の設備の概略図である。
【図3】水流ニードルパンチ部を備えている紡糸フリース設備。
【符号の説明】
【0016】
1 ユニット
2 無端ベルト
2′ 圧縮ベルト
3 スパンボンドフリース
4 カレンダロール
5 巻体ローラ
5′巻体ローラ
6 ニードルパンチ装置
6″ 予備スパンレース装置
7 ドラム表面
8 エアレイ装置
10 装置
12 ノズルビーム
13 ノズルビーム
14 乾燥装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学繊維および/または天然繊維から成る少なくとも二つのカバーフリースとパルプ繊維から成る中央の中間層とから成るサンドイッチフリースを造るための方法において、載置され、成形され、何れにせよ既製のカバーフリースの少なくとも下方のフリースを、パルプ繊維を積層する以前に、嵩を増大させることを特徴とする方法。
【請求項2】
一つの或いは複数のカバーフリースを三次元状に成形することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一つの或いは複数のカバーフリースを押込み圧縮処理することを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
一つの或いは複数のカバーフリースを巻縮処理することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
一つの或いは複数のカバーフリースの嵩を増大させるために流体力学的に処理することを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項6】
一つの或いは複数のカバーフリースを任意の様式の、場合によっては直接予め積層された無端合成フイラメントから形成することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
カバーフリースに二成分繊維を混合し、後にこの二成分繊維を嵩を増大させるために加熱することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
無端フイラメントとして、スパンボンド方法或いはメルトブロー方法により造られた無端フイラメントを使用することを特徴とする請求項6或いは7に記載の方法。
【請求項9】
無端フイラメントを、紡糸或いは載置処理の後、ロール対による加熱により固化し、次いで嵩を増大させるため流体力学的に処理することを特徴とする請求項6或いは7に記載の方法。
【請求項10】
載置された無端フイラメントを直ぐ引続き二つのベルト間で圧縮し、網状化し、次いで更に嵩を増大させるため水流ニードルパンチ処理し、脱水することを特徴とする請求項6或いは7に記載の方法。
【請求項11】
無端フイラメントを、紡糸或いは載置処理の後、ロール対による加熱により固化し、次いで嵩を増大させるため流体力学的に処理し、乾燥し、次いでフリースを巻上げ、一つの或いは複数のカバーフリースの巻体として、サンドイッチフリースのための機械の使用に供するため中間貯蔵し、次いで次位の処理段階においてこの巻体から改めて巻戻された嵩高のスパンボンドフリースをパルプ繊維と他のカバーフリースと一体化し、全体を流体力学的に固化処理することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
無端フイラメントを、紡糸或いは載置処理の後、ロール対による加熱により固化し、次いでスパンボンドフリースとして巻上げ、一つの或いは複数のカバーフリースの巻体としてサンドイッチフリースのための機械の使用に供するため中間貯蔵し、その際先ず先行する処理段階において改めて巻戻されたスパンボンドフリースをパルプ繊維を積層する以前に流体力学的に処理して嵩を増大させることを特徴とする請求項6から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
フリースに、流体力学的なニードルパンチ処理の際に所定のレリーフ構造を付与することを特徴とする請求項5から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
一つの或いは複数のカバーフリースを合成長繊維から形成することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
一つの或いは複数のカバーフリースの繊維を圧縮により押込み巻縮処理することを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
カバーフリースを、レリーフ構造化されていてかつ互いに噛合っているカレンダロールにより成形することを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
カバーフリースを、その全幅で押込み圧縮室内に移送することを特徴とする請求項1から16までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
カバーフリースを移送する無端ベルト、カレンダロール対、場合によってはこれらに後続してパルプ繊維を積層するための装置および他のカバーフリースを載置するための積層装置とを備えているサンドイッチフリースを造くるための機械設備において、
この機械設備がパルプ層のための積層装置(8)の手前においてフリースの嵩を増大させる処理するための装置(4,6,6″、13)によって補完されていることを特徴とする機械設備。
【請求項19】
カレンダロール対(4)が歯車様式で互いに噛合っているロールを備えていることを特徴とする請求項18に記載の機械設備。
【請求項20】
両カバーフリースのために一つのカレンダロール対が設けられていることを特徴とする請求項19に記載の機械設備。
【請求項21】
カレンダロール対がフリース−押込み巻縮装置によって置換えられているか、或いは補完されていることを特徴とする請求項18から20までのいずれか一つに記載の機械設備。
【請求項22】
カレンダロール対が流体力学的なニードルパンチ装置によって置換えられているか、或いは補完されていることを特徴とする請求項18に記載の機械設備。
【請求項23】
フリース精紡設備(1)の無端ベルト(2)に反対方向で走る圧縮ベルト(2′)が付設されており、これらのベルトにフリース(3)を湿潤するための水流ビーム(12)が、そして圧縮ベルトの外側にフリース(3)の嵩を増大させるためのもう一つのノズルビーム(13)が設けられていることを特徴とする請求項22に記載の機械設備。
【請求項24】
ニードルパンチ装置(7)がフリースをレリーフ構造化する積層部を備えていることを特徴とする請求項22或いは23に記載の機械設備。
【請求項25】
フリース載置装置、固化装置および巻取り装置とから成る無端フリースから成るサンドイッチフリースを造るための機械設備において、
固化装置並びに前処理装置が、加熱されるカレンダロール対(4)、水流ニードルパンチ装置(6″)および場合によっては乾燥装置とから成ることを特徴とする機械設備。
【請求項26】
固化装置と巻取り装置とを備えていてかつ手前に設けられているフリース載置装置から成る、スパンボンド方法により無端のフリースからサンドイッチフリースを造るための機械設備において、
この機械設備が、巻戻し装置(5)、これに後続して設けられていてかつスパンボンドフリースの嵩を増大させるための水流ニードルパンチ装置(6,7)、次にパルプ層のための積層装置(8)および同様に形成されたカバー層を中間に貯蔵するするための他のユニット(5′)、最後に両側のための固化処理部を有する水流ニードルパンチ装置(9)および乾燥装置(10)とから成ることを特徴とする機械設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509247(P2007−509247A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536074(P2006−536074)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051677
【国際公開番号】WO2005/040478
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(505196727)フライスナー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】