少なくとも二つの焼結体を結合する方法及び該方法によって調製した複合構造物
【課題】少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法及び本方法によって作製された複合構造物を提供する。
【解決手段】少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法であって:
第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間に結合材料を提供すること;
少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、組立物を提供すること;
該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;
第一の及び第二の焼結体の最低焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、を含んでなる方法(セラミック粒子は該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し、そして第一の及び/又は第二の焼結体の元素を少なくとも一つ含む)並びに、
本方法によって作製された複合構造物も開示する。
【解決手段】少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法であって:
第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間に結合材料を提供すること;
少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、組立物を提供すること;
該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;
第一の及び第二の焼結体の最低焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、を含んでなる方法(セラミック粒子は該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し、そして第一の及び/又は第二の焼結体の元素を少なくとも一つ含む)並びに、
本方法によって作製された複合構造物も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の結晶構造の金属酸化物を含む二つの焼結体の間の界面(インターフェース)に結合を形成する方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
焼結体を装置、例えば酸素分離装置、に採用するとき、同装置にしっかりと結合すること又はさらに気密性結合を提供することがしばしば命ぜられ、前記結合は該装置の操作条件に耐えることが要求されている。上述の装置における標準的な焼結体はイオン輸送膜(電解質)、相互接続物(interconnect)、支持体、セラミックのチューブ、シール及び導管等である。このような焼結体は概して、それぞれ、チューブ−チューブ、チューブ−平板、及び平板−平板で結合される。
【0003】
あらゆる結合はおそらく装置全体で最も脆弱な点を形成する。装置が厳しい操作条件、例えば、焼結体自体が委ねられている高い酸化若しくは還元環境、高温又は高圧力差、に曝される場合に、脆弱な点は危機的である。商業的に実行しうる装置を提供するために、従って結合は同様に、操作条件に曝されるときでさえ、機械的整合性、焼結体との適合性及び気密性を維持することを要求される。それに応じて理想的な結合は結合される物質と同等の化学的及び機械的特性、特に同等の熱サイクル安定性を有するであろう。
【0004】
現在まで、焼結体間の結合は金属ロウ付け、ナノ結晶酸化物、酸化金属共晶合金、ガラス及びセラミックガラス組成物を使用することによって形成されてきている。例えばS.D.Petivesら、「セラミック結合への反応経路:製造、インターフェース化学及び結合特性」、Acta mater. Vol.46,No.7,(1998)、頁2407−2414;Y.Iino、「セラミック金属接合の部分過渡液相金属層技術」、J.of Mat.Sci.Lett.10、(1991)、頁104−106、S.Serkowski、「セラミック間の固体状態接合のためのセラミック−金属共晶合金の適用」、Int.Symp.Ceram.Mater.Compon.Engines、第4回、(Roger Carlssonら)(1992)頁348〜355;M Neuhauserら「セラミックGrunfolienを伴った技術的なセラミックの結合」、Ber.DGK、Vol.72、No1〜2、(1995)頁17〜20;D.Seifertら、「セラミックフォイルでの結合による多孔質のものの焼結したセラミックへの結合」Ber.DGK、Vol.73、No10、(1996)頁585〜589;及びR.Chaimら「ナノ結晶質テープキャスト中間層を使用するアルミナセラミックの結合」、J.of Materials Research、15、(2000)頁1724〜1728を参照のこと。
【0005】
セラミック−金属共晶合金を使用する焼結体の結合は金属の使用を必要とするという不都合を有する。多くの金属は高温の空気中で酸化する、そしてそれゆえ金属酸化物の形成を防ぐために特別な還元雰囲気の使用を要求する。結合される焼結体はこれらの還元雰囲気で安定でないことがあり、それは結果として焼結体の分解をもたらすであろう。
【0006】
ナノ結晶性中間層を使用する焼結体の結合は、ズレ(creep)又はさらには破砕(fracture)によって結合される部品に損傷を与えることもある非常に高い圧力を必要とするという不都合を有する。
【0007】
ロウ付け、すなわち金属材料、又はガラス、すなわち多成分金属酸化物の固溶体の使用は、結合される物質と異なり、ほとんどの場合劣る、特性を伴った結合材料のインターフェース相を置き去りにするという不都合を有する。例えば、ロウ付けは延性金属を置き去りにし、これは上昇した温度でズレを生じ、周りのセラミック材料と適合せず又は酸化する可能性がある。
【0008】
同様に、ガラス結合は周りのペロブスカイト型構造又は蛍石型構造を有する多成分金属酸化物と比べて非常に異なる熱膨張係数を有することがあり、結果として続く温度変化において望ましくない残留応力をもたらす。ガラス結合はさらにそれぞれのガラス転移温度を超える温度で軟化しそして流動化する。最終的に、ガラス結合は上昇した温度でペロブスカイト型構造又は蛍石型構造の焼結体と化学的に適合しない可能性がある。あらゆる場合に、残留材料のせいで、結合が視覚的に又は微視的に検出されることが避けられず、その特性は結合される焼結体ではなく、結合自体の材質によって決定される。
【0009】
Rabinら、「SiC−SiC結合の反応プロセス及び特性」Material.Res.Soc.Symp.Proc.314、(1993)、197−203、Material Research Society、Pittsburghは結合を形成する別の方法を開示し、ここでSiC構成要素はSiとC粉末との混合物を使用することによって結合され得る。該文書は概して酸化物を結合することについてそして特に蛍石型又はペロブスカイト型構造を有する多成分金属酸化物を結合することについて言明していない。
【0010】
Seifertらはアルミナ−チタニア−カルシア−マグネシアのフォイル(箔)を結合するセラミックを使用してアルミナセラミックを結合する方法を開示する。アルミナ−チタニア−カルシア−マグネシアとアルミナ−チタニア−酸化マンガン−酸化鉄−シリカの他の結合フォイルも記載されている。結合温度は100℃超であって結合されるアルミナセラミックの焼結温度未満であった。これらの結合組成物は結合温度まで加熱すると液相を形成した。結合後、該結合は結合フォイルの組成物を維持しそして結合されたアルミナ体とは組成的に異なっていた。該文献は使用される結合組成物は結合されるセラミックに対して高度に特定されることを述べている。該文献は多成分金属酸化物をどのように結合するかについては言明していない。該文献は特にペロブスカイト型多成分酸化物をどのように結合するかについては言明していない。
【0011】
アルミナセラミックを結合する別の方法(これはNeuhauserらが開示している)は、アルミナ、シリカ及び他の酸化物の混合物から創られたセラミックフォイルの使用を必要とする。シリカは結合されるセラミックと化学的に又は機械的に適合しないので、シリカの存在は望ましくない。さらに、該文献もまた多成分金属酸化物をどのように結合するかについては言明していない。
【0012】
(Al、Cr)2O3−Cr共晶結合混合物を使用するアルミナ部品の第三の結合方法がSerkowskiによって開示される。結合を得るために、該混合物が溶解することができるように非常に低い酸素分圧を生じる特別なガス雰囲気が必要とされる。これらの特別なガス雰囲気を要求することは共晶混合物が使用され得るセラミックを限定する。多くのセラミックは共晶合金の溶融のために必要な低酸素分圧条件下では安定的でない。また共晶結合混合物は結果として結合される物体と化学的に及び機械的に異なる結合材料をもたらす。また、該文献は多成分金属酸化物を結合することについては言明していない。
【0013】
アルミナを結合する第四の方法がChaimらによって開示されている。該方法は1200〜1300℃で55〜80MPaの一軸圧力下で結合されるようにアルミナ部品をホットプレスすることを必要とする。該方法は結合材料が結合される部品と化学的かつ機械的に同一であるという(該文献が主張する)長所を有する。しかしながら、結合を生じるために必要な高圧力は、結合されるセラミック部品の破砕又はズレをもたらす可能性があるので、望ましくない。さらに、該文献も多成分金属酸化物を結合することについては言明していない。
【0014】
別のタイプの結合が開発されてきており、これはいわゆる過渡液相結合(TLP)である。例えば、Y.Zouら、「過渡液相結合のモデル化」、Int.Mat.Rev.Vol.40、No.5、(1995)、頁181、及びI.Tuah−Pokuら、「過渡液相結合等の研究」Metallurgical Transactions A Vol.19A、March1988、頁675を参照のこと。該プロセスは溶質拡散による過渡的な液相の形成を当てにしている。
【0015】
多くの用途において、セラミック材料を結合するために液相又は過渡的な液相を使用することは容認可能でありかつ多くの場合望ましい。例えば、我々の先行米国特許出願公開第2004/0185236号及びButtらの米国特許出願公開第2004/0182306号を参照のこと。これらは焼結温度未満での液相又は過渡的な液相結合を開示する。両出願は低い結合圧力及び低い圧力の使用を教示する。それらはまた高充填密度のコンセプト及び結合表面に適合する(conform)能力を教示する。これらの出願は結合材料のいたるところで均一な機械的及び熱的特性を有する結合材料を得ることが可能であること(ここで該結合プロセスは液相を使用することなく実施される)は開示または示唆していない。
【0016】
さらに、いくつかのセラミックに関して、過渡液相が望ましくない第二相を結合部又は結合されるセラミックの隣接部に生じる。これらの第二相は結果として劣った機械的特性を伴う結合をもたらす。例えば、高い化学的膨張性(expansivity)を伴う材料を使用するとき、液相の使用は結果として化学的な変化をもたらすことがあり、これは熱サイクルの際に応力を生む。
【0017】
過渡液相アプローチが劣った機械的特性を伴う結合を生じる一例はCuを含んだ過渡液相を生じるCuO−Ca2CuO3共晶結合材料を使用するLSCO(La1−xSrxCoO3−d)セラミックの結合である。結合後、例えば、液形成添加剤としてCuを使用するときに高濃度のコバルト酸化物の第二層を伴う領域が観察されてきている。結合温度から室温への温度サイクルの間の該第二相におけるCoOとCo3O4との間の相変化は周りのLSCOペロブスカイト母材における引張応力を導きそして母材の亀裂(cracking)をもたらす。
【0018】
他のセラミックに関して、結合されるセラミックと化学的にかつ機械的に適合する結合材料を生む過渡液相組成物を特定することは可能ではない。グレイン粒子(grain)成長を制限するために、結合温度は該材料の焼結温度を超えるべきでない。多くの場合において、結合される構成要素のクリープ変形を制限するために焼結温度未満で結合することも望ましい。
【0019】
従って、焼結温度と比較して低い温度かつ低い圧力で過渡液相なしで結合する能力は非常に望ましくそして当該技術における改善となるであろう。低い温度とは焼結温度より少なくとも100℃低い温度と定義される。焼結温度は理論密度の95%超に達するために必要とされる温度と定義される。低い圧力は5MPa未満そしてこのましくは2MPa未満のシール圧力と定義される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0185236号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0182306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
それゆえペロブスカイト型又は蛍石型の結晶構造を有する第一の多成分金属酸化物を含む第一の焼結体と第一の多成分金属酸化物と同型の結晶構造を有する第二の多成分金属酸化物を含む第二の焼結体との結合を形成する方法と提供することは望ましく、該方法は第一の及び第二の焼結体と化学的にかつ機械的に適合する結合の形成を可能にする。さらに、結合が形成されても区別できるインターフェース相を残さないことが望ましい。さらになお望ましいのは、該方法が適合性がある耐熱性のインターフェース相又は結合、特に適合性のある熱サイクル安定性を示す結合を形成することをさらになお可能にすることである。
【0022】
ここで引用された文献は文献全体によってここに組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って、本発明の第一の面において少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法が提供され、前記方法は以下を含み:
(a)第一の金属酸化物を含む第一の焼結体を提供すること;
(b)第二の金属酸化物を含む第二の焼結体を提供すること;
(c)第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間の結合材料を提供すること、ここで該結合材料は少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含み、ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の少なくとも40体積%そして75体積%以下を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含むこと;
(d)結合表面に少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、第一の焼結体、第二の焼結体及び結合材料の組立物を提供すること;
(e)該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;そして
(f)第一の及び第二の焼結体の最小焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、
それによって該少なくとも二つの焼結体は結合材料によって結合され複合構造体を形成する。
【0024】
本発明の第二の面において本発明の方法によって調整した複合構造物が提供される。該複合構造物は以下を含み:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の少なくとも40体積%そして75体積%以下を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は以下の図面と連動して記載され、図面では参照番号等が要素等を指定する。
【0026】
【図1】2時間に1250℃まで加熱後の例1の結合領域の研磨した断面を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図2(a)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図2(b)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図2(c)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図3(a)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図3(b)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図3(c)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図4】2m2/gLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末で創られたテープに対するバインダー/可塑化剤含有率としての漏洩率のグラフ。
【図5(a)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図5(b)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図5(c)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図6】330kPaの圧力を伴って1100℃にある(左)又は加圧なしで1200℃まで焼きなましした(右)のいずれかの結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図7】4時間1300℃で焼きなましした試料の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図8】結合において使用した部品を示す写真。
【図9(a)】良好な結合を示す 結合したスペーサー−スペーサー対(couple)の研磨した断面の二次電子像(SEI)。
【図9(b)】図9aの断面を100倍拡大した後方散乱電子像(BEI)。
【図10】6−スペーサー(5シール)La0.4Sr0.6Co1.01O3−d積層(stack)を1150℃まで加熱しそして2時間690kPa圧力下で保持した場合の漏洩率データ。
【図11】5.6m2/gのセラミック粉末を含むテープで690kPa/1150℃/2時間で創った結合領域のBEI。
【図12】シール区域を明らかにするための研磨の前(間)及び後(最後)の6−スペーサー積層を示す写真。
【図13】三層La0.4Sr0.6Co1.01O3−dガスケットを含む磨いていないスペーサー−スペーサー対(これは1150℃4時間で結合された)の漏洩率のグラフ。
【図14】例17の複合構造物を示す顕微鏡写真。ここで結合テープ(Al2O3−15体積% Y−TZP)は周囲のアルミナによって室温で残留張力の残る状態に置かれた。
【図15】例18の複合構造物を示す顕微鏡写真。ここで結合テープ(Y−TZP)は周囲にある事前に焼結し十分に安定なジルコニアによって室温で僅かな張力が残る状態にあり、ジルコニアは粒子の成長を制限するために少量のアルミナを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、実質的に継ぎ目の無い(又は一枚岩的な)構造を提供するために、事前に焼結したセラミック体の間の結合を形成する方法に関係する。発明者は驚くべきことに、固体状焼結を使用して、焼結セラミック体と同じ組成物であるグリーンセラミック結合材料を使用して、この焼結セラミック体を結合することが可能であることを発見した。「セラミック結合材料」(ときに「結合材料」又は「接着剤」とも言及される)はここでセラミック粒子と有機成分の複合混合物として定義される。有機成分は例えば重合性のバインダー、可塑剤、分散剤及び/又は溶媒を含むことが可能である。「グリーン」という用語は結合材料が焼結されていないことを意味し、そして結合材料の色を任意のやり方で制限しようと意図するものではない。
【0028】
好ましい実施態様では、グリーン結合材料は可塑化した重合性バインダーによって一緒に保持されしっかりと充填したセラミック粒子を含んでいてもよい。このグリーン結合材料の重合性の成分は圧力及び温度の適用下でセラミック粒子を再配置することを可能にし、これは焼結したセラミック体の結合表面に適合する。ひとたびこの重合体が結合している間に除去されると、セラミック粒子だけが残るが、これは結合プロセスのあらゆる点で液相を形成しない。概してこのバインダーは空気中で結合材料を加熱することによって除去され、そうするとすぐにバインダーは分解し蒸気又は燃焼生成物として結合の外へ拡散する。セラミック結合材料は負荷及び圧力の適用下での固体状態の焼結によって緻密化される。初期に、この粒子が絡まって集まりそして事前に焼結したセラミックの結合表面との接合を形成する。接合したセラミック粒子の連続的なネットワークがひとたび結合表面間で形成されると、圧力の適用はもはや必要とされない。圧力が焼結温度を下げることに関して有利であるが、それは強制的な(constrained)焼結を可能にするために必要とされるだけである。しかしながら、もし望むなら、粒子を絡ませること及び部分的な焼結は、圧力の適用なしに焼結が進行可能となるような、十分なしがらみ(constraint)を適度に形成する。
【0029】
事前に焼結したセラミックの結合は、高温で動作する複雑な装置を作製する際に、非常に重要である。無機ガラス及び金属ロウ付けは多くの場合結合のためには十分である一方、それらはそれぞれの個別のガラス転移温度を超える温度でのズレを含む(アモルファス材料の場合)又はそれらの融点に近づく(金属シールの場合)といった制限も有する。セラミック−セラミック結合プロセスは材料がこの構成要素の他の部分に対しても同様の特質を有する結合を伴って高温で使用されることを可能にする。本発明の別の実施態様では、結合が低温で残留圧縮状態にあるようにその特質を調整することによって、結合をセラミック残留物よりも強くすることが可能である。
【0030】
本発明は高圧力及び平坦な表面が結合のためには必要とされない点で拡散接合とは異なる。本発明は高価な原材料、ナノサイズ粒子又は液相を形成したものの使用を必要としない。
【0031】
固体状焼結は本発明の方法の特に好ましい面であり、そしてこの単純な方法が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、同様にこれらの材料の混合物及び固溶体を含む、広く多様な焼結セラミックに適用されることを可能にする。本発明の方法は実質的に液体を生じることなく(又は好ましさは下がるがわずかに実体のない量の液を生じる)焼結するあらゆる材料に適用されることが可能である。
【0032】
平坦な表面を結合するとき、結合上にしがらみが簡単に得られるので、結合プロセスにおいて非常に柔軟性が存在する。グリーン結合材料はそれゆえプロセス、例えば乾式プレス(dry pressing)、静水圧プレス(isostatic pressing)、ロール圧縮(roll compaction)、ゲルキャスト(gel casting)、スリップキャスト(slip casting)、遠心鋳造(centrifugal casting)、押出し成型(extrusion)又は他の当該技術分野で公知の方法によってわずかな重合体で形成され、同様により多くの重合性材料を必要とする方法、例えばテープキャスト(tape casting)又は射出成型(injection mold)によっても形成される。結果として低い充填密度をもたらす方法、例えばスクリーン又はインクジェット印刷も使用することが可能であるが、焼成中のz−方向の収縮を制限するために、グリーン状態では充填密度を高めることが望ましい。
【0033】
しがらみは固体状態の焼結を進展するものとしての接合を可能にするために結合の初期ステージの間は好ましい。しがらみは好ましくは接合表面に対する法線方向の圧力として適用される。接合表面に対する実質的に法線方向の角度で圧力を適用することも本発明の範囲内であり、ここで「実質的に法線方向」とは法線の±10度の範囲内を意味する。本発明はまた1よりも多い方向からの圧力を適用することも含む。しかしながら、ほぼ全ての緻密化はz方向で生じるので、x−y方向の結合でのしがらみは本プロセスにおいて全く必要とされない。
【0034】
圧力の量は好ましくは少なくとも1kPaだが5MPaよりは小さく、そしてより好ましくは2MPaより小さい。高すぎる結合圧力は結合材料中のセラミック粒子が固体状態の焼結開始剤として絡まる前にグリーン状態に亀裂を生じる。グリーン結合材料はバインダーの除去後及び焼結の開始前に特に亀裂に影響を受けやすい。過度に高い圧力は結合もされる焼結体に、これらの焼結体のズレを生じること又はこれらの焼結体を破壊することのいずれかによって損傷を与える可能性がある。
【0035】
局所的又は広範囲に平坦さを外れた表面を結合するときに、高いグリーン密度とグリーンセラミックの低圧力及び低温度(重合体の90質量%がプロセス、例えば吸い上げ(wicking)、毛管流(capillary flow)、揮発(volatilization)、及び/又は分解(decomposition)によって除去される温度)の適用下で接合される表面に適合する能力とをバランスさせることが重要である。圧力の適用は、セラミック結合がこの結合を取り囲む事前に焼結したセラミックの安定性によってしがらみを貼り付けるほどの十分な強度を有するまで、引き続き残る。これらの要求は概して、グリーン結合材料が20〜50体積%の有機材料を含むように、大きな体積の有機材料を必要とする。
【0036】
グリーン結合材料が室温に適合できるようにすることは、可能ではあるが、温度の適用は応力下で結合材料の重合性成分の塑性流動を可能にするので、必要ではない。重合体のズレはグリーン結合材料の表面が結合される焼結体の結合表面に適合することを可能にする。大きすぎる伸び(elongation)は、言うまでもなく、結果としてグリーンテープの裂け目をもたらす。それゆえ低温塑性流動の間に亀裂が起こる可能性があり、そして焼結によって亀裂が開く(裂ける)まで検知することは困難である。それゆえ結合材料が結合される表面に適合することを可能にするための熱的処理の間に結合材料が亀裂を生じないように、結合される表面の平坦さ及び結合材料の裂け目での伸びは一致しなければならない。塑性流動の間の裂け目から生じたあらゆる亀裂は、その亀裂の開口の変位によってだけでなく表面の熱的エッチングのせいでも、冷却のときに起こる亀裂と比べて簡単に冷却の亀裂と区別がつく。しがらみが存在しない場合、結合材料のみが緻密化しそして応力が拡散とズレを通じて緩和され得るだけなので、亀裂は焼結の開始においても起こり得る。焼結の開始の間、ズレの速度は低い。
【0037】
グリーン結合材料を形成するための手段は特に限定されない。適当なバインダー及び可塑剤をセラミック粒子サイズ分布及び固体荷重(solid loading)の選択と組み合わせて選択することによってグリーンテープの特性を調整することが単純で簡単なので、テープキャスティングは好ましい方法である。
【0038】
z方向の収縮を最小限にするため、そして結合材料の緻密化を増進するため、グリーンセラミック結合材料において高い充填密度を得ることが望ましい。高い充填密度を得るための一つの方法はグリーン結合内のセラミック粒子の高度に詰まった部分を得ることである。プロセス方法、例えばテープキャスト、一軸加圧成形、静水圧プレス、押出し成形、ロール圧縮、ゲルキャスト、スリップキャスト、遠心鋳造及び射出成形はセラミック粒子の高い充填密度を得るための一般的な方法である。しかしながら充填は焼結活性とともに調整されなければならない。二モード又は三モードのサイズ分布を使用することはめったになく、ここで粒子はより小さな粒子がより大きな粒子の隙間にうまく収まるように選択される。高い充填密度は高い易焼結性がもたらされる場合に望ましいにすぎない。より大きな粒子が焼結速度を決定するので、より高い充填密度は それが焼結活性を妨害する場合は望ましくない。同様に、ナノ粒子は易焼結性を増進し、全体がナノ粒子から出来た結合材料は概してその大きな表面積のために高い充填密度を可能としない。それゆえ適当な量の焼結活性が望まれる。
【0039】
結合材料は、z方向の最大収縮が初期のガスケット厚みの60%より小さくなるように、バインダー除去後に理論の少なくとも40%そして好ましくは理論の50%超のグリーン密度を有する。適当な充填を伴う場合、理論の60%超のグリーン密度を得ることが可能であり、それによりz方向の収縮を40%より小さく制限する。
【0040】
グリーンシールのセラミック粒子の表面積及び粒子サイズ分布は望ましい結合条件によって決定される。ある実施態様では、表面積は2m2/g程度に小さくすることが可能であり、そして粒子サイズ分布は1μmのd50を伴う場合に0.1μm〜3μmの範囲であることが可能である。25m2/g程度に大きな表面積を有する粒子が本発明の方法で採用され得る、しかし小さな粒子はグリーン状態での塑性流動を制限しそして結果として乏しい粒子充填性をもたらす。好ましい表面積は2〜10m2/gでありそしてより好ましくは3〜8m2/gである。平均粒子サイズは好ましくは0.1〜1.0μmである。
【0041】
多様な水性及び非水性溶媒系がバインダー及び可塑剤の選択を元にしたグリーン結合材料で使用されることが可能である。固体含有率は、ひとたびその溶媒が完全に蒸発してしまうと、結合している非平面の表面の場合、好ましくは40〜75体積%の範囲、そしてより好ましくは50〜65体積%となるべきである。固体含有物は溶媒の蒸発後の結合材料のセラミック粒子の体積の一部として定義される。結合表面の場合、バインダーは室温でそれがそのガラス転移温度を超えたようになるように可塑化される。可塑化剤の選択はバインダーの選択によって決まる。例えば、ブチルベンジルフタレートがポリビニルブチラールバインダーを可塑化する。
【0042】
好適なバインダーはポリビニルブチラール、ポリプロピレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリアクリレートエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリウレタン、メチルセルロース及びラテックスを含むがこれらに限定されない。
【0043】
好適な可塑剤はブチルベンジルフタレート、ジメチルフタレート、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ブチルステアレート、プロピレンカーボネート、及びブチルステアレートを含むがこれらに限定されない。
【0044】
結合テープの最終的な引張強度は好ましくは1MPa超でありそしてより好ましくは2MPa超であり、降伏強さに関しては好ましくは少なくとも0.1MPaそしてより好ましくは0.2MPa超である。張力下でのグリーンテープの伸びのパーセントは磨いていない表面と結合するとき好ましくは5%超でありそしてより好ましくは10%を超える。
【0045】
結合される焼結体は好ましくはセラミックであり、そしてより好ましくは多成分金属酸化物(すなわち少なくとも2つの金属の酸化物)を含む。焼結体のための好適な材料はLa1−xSrxCoyO3−dここで1>x>0、1.1>y>1;(La1−xCax)yFeO3−dここで1>x>0.5、1.1≧y>1そしてdは化合物の電荷を中立にする;部分的にそして完全に安定化したジルコニア;希土類又はアルカリ土類をドープしたセリア;ムライト;マグネシア;アルミナ;アルミナ−ジルコニア;バリウムチタネート;及びベータ及びベータ”アルミナ、ナシコン(nasicon)、アルミニウムチタネート、コーディエライト、シリコンカーバイド、チタニウムカーバイド、タングステンカーバイド、チタニウムジボライド、アルミニウムナイトライド及びシリコンナイトライドを含むが限定はされない広く多様な他のセラミック組成物を含むが限定はされない。
【0046】
本発明は特にセラミックとペロブスカイト型又は蛍石型結晶構造とを結合するために好適である。ペロブスカイト型構造は基礎構造として8面体の三次元立体の配置を組み込む真のペロブスカイトを含み、同様にペロブスカイト状の単数又は複数の層、すなわち二次元平面配置で並べられた八面体の二次元配置、を組み込んだ構造を含む。この八面体は6つのアニオンサイトで配意された小さな直径の金属イオンからなる。これらの八面体は大きな直径の金属イオンによって電荷が安定化される。ペロブスカイト型構造の非限定的な例は立体ペロブスカイト、ブラウンミレライト(brownmillerite)、アウリビリウス(aurivillius)相及びそれに類するものを含む。アウリビリウス相(ときに薄板状ペロブスカイトと呼ばれる)はペロブスカイトの層からなり、ここで大きな直径の金属カチオンは部分的に又は全体で、別の酸化物、通常は(Bi2O2)2+の層によって置き換えられている。ブラウンミレライトは、六分の一の酸素イオンが不足しており結果として結晶内の連続するラインに並んだ酸素イオンの空隙があるペロブスカイトである。一例はCaFeO2.5である。
【0047】
蛍石型結晶構造は真の蛍石を含む。蛍石はカチオン配位数が8及びアニオン配位数が4であることによって特徴づけられる。カチオンは立方体に閉じこめた配置で並べられ、アニオンはカチオンの間で四面体の位置を占める。蛍石の例はイットリア安定化ジルコニア、安定化ビスマス酸化物、セリア及びドープしたセリアである。
【0048】
磨いた又はズレを平坦化した表面が磨いていない又は焼成したままの表面よりも好まれるので、結合される表面はできるだけ平坦であるべきである。結合される焼結した部品の最大の平坦さからの外れ具合(out-of-flatness)は500μmより小さくあるべきでそして好ましくは250μmより小さいべきである。最も好ましくは、最大の平坦さからの外れ具合は100μmより小さいべきである。最大の平坦さからの外れ具合はレーザー表面形状測定装置(profilometry)を使用するか又はドロップゲージ(drop gage)を使用することによって計測される。平坦さからの外れ具合は表面の最小高さと最大高さとの間の差である。
【0049】
平坦で平行にするために粗研磨(lap)されていない表面を結合するとき、セラミック結合材料がグリーン状態の間にセラミック結合材料を結合される表面に適合させることが望ましい。セラミックは概してそれらにグリーン状態での強度を与えるために重合性材料が詰まっている。重合性材料の除去の前に、グリーンセラミック結合材料が結合される材料の堅固な表面に適合することを可能にすることが出来る。好ましくは、結合される表面は平坦かつ平行である。しかしながら本発明の方法は平坦さから外れる表面を結合するために好適である。最大程度の平坦さからの外れ具合は結合された表面の局所的及び広範囲の適合性の両方によって決まる。
【0050】
グリーンセラミック結合材料の延性を制御する一つの方法はグリーンセラミック結合材料が結合される表面に適合することを可能にする可塑剤又は選ばれたバインダーを加えることである。広範囲に25mmにわたって250μmまで平坦さから外れた表面は新しい結合技術を使用してうまく結合されている。グリーンセラミック結合材料は、結合テープが両方の堅固な表面に適合することが可能となるために、結合される表面に対して平行な平面、いわゆるx−y平面で塑性流動を可能にするために十分厚くなければならない。グリーンセラミック結合材料はx−y収縮が焼結中に亀裂が生じ始めることを防止するために十分薄くなければならない。グリーン結合材料に対する好ましい厚さは5μm〜1mmのオーダーにある。
【0051】
いくつかの適用に関して、結合後にその結合は十分に、又はほぼ十分に、緻密である。高純度を得るために低い漏洩速度が必要とされるガス分離メンブレンにとって、これは重要である。受け入れられる漏洩速度は要求される純度及び装置のガス製造速度によって決定される。より低い純度が受け入れられる他の適用の場合、結合での少しの漏洩は非常に受け入れ可能である。他の適用の場合、結合は緻密であることを必要としない。結合の気孔率は結合温度及び圧力によって簡単に制御される。
【0052】
結合段階の前に、表面は焼成、グリットブラスト(grit blasting)、超音波洗浄、又は標準的な研究所実務によって清浄にされるべきである。表面を粗くするために特別な処理は必要でなくそしてクリーニングは高温結合プロセスの部分として部品に同伴されるかもしれない望ましくない不純物を除去する目的のためだけのものである。
【0053】
結合材料は結合される焼結体の二つの結合表面の間に置かれるべきである。必要な場合又は望まれる場合、材料固定具(fixture)の調整が使用されることが可能である。グリーンセラミックテープを使用する場合、このサイズのガスケットを望ましくせん断することが非常に簡単であり、そしてガスケットを焼結試料の望ましい場所に置く前に溶媒の薄いコーティングをテープの両表面に適用することによってテープを焼結セラミックに付着するために溶媒を使用した。この溶媒はグリーンテープが結合される表面に容易に接着するように、グリーンテープの粘着力を高める。
【0054】
次に、バインダーが流動すること及びガスケットが結合される表面に適合することを可能にするために、加熱の初期ステージの間に圧力が適用されるべきである。圧力は少なくとも10kPaそして好ましくは100kPa〜700kPaの間であるべきである。圧力は5MPaより小さくそして好ましくは2MPaより小さいべきである。圧力の目的は可塑剤的な面から(plastically)結合材料を焼結した結合表面の外形に対して変形させることであり、必要であれば、同様に固体状態の焼結によって接合が生じるまで結合材料と焼結した表面との接触を保ち、そして焼結反応速度を増進することである。圧力は高められた温度での緻密化に役立つことが可能であり、そしてひとたび絡まりが生じると上昇させられることも(もし望めば)可能である。あるいは、上昇した圧力が結果として焼結した表面と固定(setter)材料との間の望ましくない反応をもたらす場合、又は焼結したセラミックの強度が高められた温度で減少する場合、絡まりの後に圧力を緩める又は低下させることもできる。圧力は静的に適用されることが可能であり又はロードセル又は変位計で制御されることが可能である。
【0055】
温度の上昇は、結合材料に損傷を与えないようにバインダーを重合体からどのように除去するかという認識によって影響を受けるはずである。結合温度は結合材料の厚み、結合の幅及びグリーン結合材料の重合体の除去特性によって決まる。焼結した表面はしばしば閉じた気孔性の状態に焼結されるので、x−y平面でバインダーを除去することが望ましい。熱重量分析(TGA)に加えて示差熱分析(DTA)がバインダー除去サイクルを調整するために最も普通に使用される方法である。セラミックプロセスに関して普通であるように、非酸化物セラミックに関して真空又は制御した雰囲気の使用はバインダー除去の速度を上げるために使用されることができ、そして酸化物セラミックに関して酸素又は空気の流れの分圧の制御が使用されることが可能である。
【0056】
結合温度は結合されている焼結体を製造するために使用する焼結温度を超えるべきでなく、そして好ましくは焼結温度より低い。結合温度を制限する理由は、グレイン粒子の成長は高められた温度で生じるので、焼結体でのグレイン粒子サイズを制御するためであり、そして焼結体で生じることのあるズレの変形の量を制限するためである。いくつかの適用に関して、事前に焼結したセラミックのグレイン粒子サイズが変化しないように又は結合されている構成要素のズレを制限するために、結合温度を焼結体の最低焼結温度(すなわち少なくとも一つの焼結体が焼結する最低温度)より少なくとも100℃低い温度に維持することが好ましい。非制限的な例の結合温度はペロブスカイトに対しての1100℃からシリコンカーバイドに対しての2100℃の範囲にある。
【0057】
結合されている焼結体のズレを、ズレの影響を受けやすい構成要素を支える充填粉末ベッド又はスペーサーを使用することによって、制限することも可能である。
【0058】
拡散は熱的に活性化され、そして温度と共に指数関数的にそして時間と共には放物線的にのみ上昇するので、結合時間は結合温度よりは重大性は低い。結合時間は結合の緻密化によって影響を受けるはずであり、そしてディラトメトリー(dilatometry)(結合の収縮)、焼結後の漏洩確認、又は研磨した若しくは砕いた結合の断面の顕微鏡検査によって監視されることが可能である。好ましい結合時間は1分〜10時間の範囲にあり、そしてより好ましくは1時間〜5時間である。
【0059】
本発明の方法による結合は複数の段階または単一の段階で実施されることが可能である。複数の段階は、炉の使用又は固定材との反応のせいで、より効果的なことがある。バインダーを除去しそして適用圧力下で粒子を一緒に絡ませるために、比較的遅い、第一の、結合サイクルが第一の炉で使用されることが可能であり、そして第二の結合サイクル及び炉が最終的な焼結のために外部圧力を低減した又は無い状態で使用されることが可能である。固定の相互作用を排除するために、焼結温度で低減した圧力を使用する若しくは圧力適用を使用しないことが有利なことがある。固定材は炉にある材料であり、結合される焼結体はこれと接触した状態にある。特定の結合条件は結合されるセラミックに対して調整されることが可能である。
【0060】
異なる材料を結合する場合又は異なるグリーン特性を伴う結合テープを使用してテープでの流動度を制御する場合に、結合の組成物を格付けすることが可能である。さらに、結合の熱膨張を制御することによって結合を圧縮又は張力のかかった状態に置くことが可能である。二軸応力状態を仮定し厚さt1の二つの平面が結合後厚みt2のセラミックと結合されるサンドイッチ構造を見れば、焼成後の結合における残留応力σ2は以下により与えられる。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで△Tは温度範囲であり、その範囲にわたって応力が働き、△αは結合材料と結合される事前に焼結したセラミックとの間の熱膨張における不整合であり、Eはヤング率であり、tは厚み、υはポアソン比であり、そして添え字の1と2は結合される焼結体及び焼結結合材料をそれぞれ言及する。事前に結合したセラミックにおける結合後の残留応力σ1は以下により与えられる。
【0063】
【数2】
【0064】
薄い結合した範囲がより厚い結合していない範囲に隣接しているときに、結合をこのより厚い事前に焼結した範囲に僅かに残留する引張応力を伴って圧縮状態に置くことは有利な場合がある。これは△αを負にすること(結合範囲は事前に焼結した範囲より低い熱膨張係数を有する)によって簡単に遂行される。圧縮度は結合の厚み及び結合材料の組成物を調整することによって制御される。例えば、二つのジルコニア部品が結合される場合、アルミナをジルコニアに添加しアルミナ−ジルコニア複合材料を作ることによって、固体状態の焼結ジルコニア結合の熱膨張を低下させることが可能である。
【0065】
以下の例を参照することによって、本発明はさらに明らかにされそしてその対象及び利点はより明確に理解される。これらの例は説明が目的のものにすぎず本発明の範囲を制限することを意図していない。
【実施例】
【0066】
例1:化学量論的La0.9Ca0.1FeO3−d焼結体の結合
【0067】
2.0m2/gの表面積を有する250gのLa0.9Ca0.1FeO3粉末(セラマテック ロット110−2m2/g)が250gのイットリア部分安定化正方晶多結晶ジルコニア(Y−TZP)球状媒体、72.8gの試薬用トルエン、18.2gの変性エタノール(Ashland Chemical製Synasol PM−509)、及び1.25gポリビニルブチラール(PVB)分散剤(Solutia製グレードB−79)を伴う1リットルの高密度ポリエチレン(HDPE)ビンに添加された。このスラリーはセラミック粉末を分散させるために30分間ペイントシェカーにかけた。可塑剤(9.64gのFerro製ブチルベンジルフタレート(BBP)グレードS−160)及びバインダー(18.04gのSolutia製PVB B−98)が添加され、そしてこのスリップがバインダーを溶解するために1時間ペイントシェーカーに戻された。乾燥後に厚さ250±25μmを有するグリーンセラミック結合テープを作るために、その後このスリップはろ過、脱気、及びポリエステルシート上でドクターブレードを伴って一体成型(casting)される前に16時間ボールミルで混合された。乾燥したテープは質量ベースで可塑剤に対するバインダーの比が2.0で、60体積%の固体含有率を有した。
【0068】
リング形状ガスケット(内径9.5mm 外径15.8mm)はグリーン結合テープからせん断された。ガスケットを使用して磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−dディスクを磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−dリングに結合した。ディスクは外径21mm、厚さ2〜3mmであった。リングは中心に内径5mmの穴を有する外径21mm、厚さ2〜3mmであった。理論密度の95%超のリング及びディスクは2時間1450℃でテープキャスト部品を焼結することによって作った。ディスクの結合している表面は平坦に磨かれた。三対のディスクとリングを結合したものを作った。ガスケットはLa0.9Ca0.1FeO3−dディスク及びリングの結合表面へのα−テルピネオール(JT Baker混合異性体の実用グレード)の薄層(1〜3mgテルピネオール/cm2のグリーンテープ表面積)を伴うロールコーティングによって溶剤接合した。この三対は結合表面に対して法線方向でこの対に適用される290kPa圧力を伴ってそして空気流(1〜2リットル/分)を伴って炉内で20〜150℃は5℃/時で、250℃〜350℃は1℃/時で、そして350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持を伴う)加熱し、そしてそれから50℃/時で1250℃から20℃へ冷却した。結合部品は断面にして研磨する前に漏洩確認をした。
【0069】
それぞれの対に対する漏洩速度を室温で各対のリングの5mm穴を真空源に接続することによって測定した。各対の外部は大気圧に保ったままで、穴のところで<7000kPaの圧力を生じ、そして5mm穴を通じてこの対から出てくるガスの流速を測定した。3つの対の平均漏洩速度は室温で0.11±0.07標準立方センチメートル/分(sccm)であった。これは請求項に記載した発明は非常に低い漏洩速度を有する結合を作ることを実証している。図1は4時間で1250℃まで加熱した後の例1の結合範囲の研磨した断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。左の溝(slot)は結合した範囲の幅を示す。図1は請求項に記載した発明が良好な機械的完全性を伴った結合を作ることを実証する。
【0070】
例2〜5:セラミック粉末の表面積及びテープの可塑性の漏洩速度に対する影響
【0071】
いくつかのペロブスカイトセラミックはB−サイトリッチ(又はA−サイトが欠損(デフィシェント))であるとき、それらはより迅速に焼結する。例1での結合テープの焼結速度を増加するために、1質量%の酸化鉄を例1の結合テープのために使用されるLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末に添加した。表1は組成物を示し、これらは 分散段階の間にFe2O3(CeracグレードI−1039)を添加したこと及び1kgのY−TZPを250gの媒体の代わりに使用したことを除いて例1と同じやり方で作られた。
【0072】
表1 例2〜5のスリップ組成物
【0073】
【表1】
【0074】
a. エタノール、PM−509
b. 分散剤(B−79 PVB)
c. バインダー(B−98 PVB)
d. 可塑剤(S−160 BBP)
e. 2.0m2/g La0.9Ca0.1FeO3−d粉末
f. 6.0m2/g (La0.9Ca0.1)1.005FeO3−d粉末
【0075】
例2〜4のテープ(表1を参照)は一定の25.4mmの外径を伴い、19.1mm、15.9mm、又は9.5mmの内径を伴ってせん断した。これらのガスケットの最長の幅は3.2mm、4.8mm又は7.9mmであり、それぞれバインダー除去の間にこれらの幅の半分の拡散距離を与えた。それぞれの焼結していない、単一層のガスケット(約250μm厚さ)はLa0.9Ca0.1FeO3−dディスクとLa0.9Ca0.1FeO3−dリングとの間に置かれ、このディスクとリングは例1の焼結したディスクとリングと同じ寸法及び特性を有していた。理論密度の95%超のリング及びディスクは2時間1450℃でテープキャスト部品を焼結することによって作った。要望は全ての3つの幅で一定の圧力とすることそしてそれからバインダー除去に重要な範囲の間(150〜250℃)異なる加熱速度を使用してバインダー/可塑剤比率(これは特に他の言及なければ質量ベースである)との関係でガスケット幅の影響を測定することである。重大な加熱速度は各サイクルに関して倍にした(1℃/時、2℃/時、4℃/時、及び8℃/時)。それぞれの結合している対に圧力を、シールしている表面に対して法線方向に、適用した。しかしながら、この圧力は一定には保持されずそして19.1mmの内径のガスケットに対しての175kPaから9.5mmの内径のガスケットに対しての240kPaまで変化させた。さらに、炉内には僅かな温度傾斜があった、これは結果としてより狭いガスケットと比べてより高い温度を有するより広いガスケットをもたらした。27のガスケット(各バインダー/可塑剤比率及びガスケット幅につき3個)を同時に加熱し、20〜150℃は5℃/時、150〜250℃は可変加熱速度で、250℃〜350℃は5℃/時で、350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持を伴う)そして50℃/時で1250℃から20℃の焼成サイクルを使用した。全ての焼結した試料は例1と同じやり方で漏洩確認し、そしてSEM評価のために選ばれた使用を断面にし研磨した。一つの結合サイクルを作り、360kPa圧力及び20℃〜350℃は5℃/時で、350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持)そして50℃/時で1250℃から20℃を使用して、6m2/g(例5)と2m2/g(例3)を比較した。
【0076】
図2a、2b及び2cは(a)175kPa圧力を負荷した3.2mmの幅のガスケット(b)205kPa圧力を負荷した4.8mmの幅のガスケット及び(c)240kPa圧力を負荷した7.9mmの幅のガスケットに対する2m2/gテープを伴う結合の結果を示す。予想に反して温度勾配速度の漏洩速度に対する影響は無かった。ガスケットの可塑化が高い程(可塑化剤に対するバインダーの比(B/P)は低くなる)、ガスケットサイズにかかわらず、結果としてより少ない漏洩速度をもたらした。上昇した圧力及び結合温度は漏洩速度を低減した。より幅のあるガスケットはより細いガスケットより少ない漏洩速度を有したが、これはこれらのガスケット上のより高い圧力と温度によるものであった。
【0077】
図3(a)、3(b)及び3(c)は研磨した断面における結合した範囲を示し、(a)は加熱速度が1又は4℃/時のいずれかで結合したLa0.9Ca0.1FeO3−dの3.2mmガスケット、(b)は加熱速度が1又は4℃/時のいずれかで結合したLa0.9Ca0.1FeO3−dの7.9mmガスケット、そして(c)は選択した試料を8℃/時で加熱したものに対応する。圧力は高かったにもかかわらず(3.2mmガスケットに対して175kPaそして7.9mmガスケットに対して240kPa)、これらのテープでは比較的低い流量が存在した。
【0078】
図4は2m2/gLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末で作ったテープに関するバインダー/可塑剤含有率の関数としての漏洩速度を示す。圧力の適用にもかかわらず、より多く可塑化したテープが結果としてより少ない漏洩速度をもたらした。
【0079】
より多く可塑化したガスケットが結果としてより少ない漏洩速度をもたらしたという事実(図4参照)にもかかわらず、ガスケットの変形度合いにおける差はほとんどなかった(図3参照)。これは与えられたテープ組成物を結合目的のために最適化する能力は表面積、有機含有物、及び可塑化の程度によって決まることを示唆している。
【0080】
表2は比較するガスケットに関する漏洩速度を示し、これは結合圧力が360kPaであるときにより高い表面積のテープを磨いた表面に使用することに対して不利な面が存在しないことを示唆している。漏洩速度は両方の結合テープに関して受け入れられる。
【0081】
表2 バインダー除去の間に5℃/時で加熱したシールに関する漏洩速度
【0082】
【表2】
【0083】
111の結合を大きな漏洩速度の兆候なく作った。磨いた表面に封圧(175〜360kPa)を使用したときでも低温バインダー除去は結合の亀裂を生じなかった。
【0084】
例6〜8:テープの化学量論比の漏洩速度に対する影響
【0085】
表3に示した3つのテープを、セラミックと添加剤(酸化鉄及び炭酸カルシウム(GE製 グレード111−30−26))の両方の組成物を変化させて、結合後にB−サイトリッチ、ほぼ化学両論比、およびA−サイトリッチである結合テープを製造したことを除いて例2−5で記載したのと同様のやり方で作製した。155.1gのトルエン、38.8gのエタノール(PM509)、5gのPVB分散剤(B−79)、及び77.0gのBBP可塑剤(Santicizer160)、これらを事前に1kgの15mm直径のY−TZP媒体を含んだ1リットルHDPEビンに添加しておいたものに表3に示された内容物を加えることによって3つのテープを作った。Fe2O3の粒子サイズを減少させるために、このスリップは30分ずつペイントシェーカーで2時間製粉した(ビンの過熱を防ぐため中間に冷却を伴った)。バインダー(33.5gのB−98 PVB)をその後添加しそしてボールミルで一晩回転させる前にこのスリップを追加の1時間ペイントシェーカーに置いた。
【0086】
このスリップを脱気し一体成型して250μm厚のテープを作った。それから2つのグリーンテープを一緒にラミネートすることによって二層のテープを作った。この二層テープを磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−d結合試料に例2〜5と同様のやり方で結合した。この例6〜8の結合した対は第一の10.6cm長、3.8cm幅、0.05cm厚の長方形の平板及び同じ外形寸法だが二つの3.7cmx1.83cmの長方形の貫通穴を伴う第二の長方形の平板からなり、この穴は0.36cm離れていた。この二層テープを長方形の穴を有する平板と同じ寸法にカットしてガスケットを形成した。ガスケットを各々の結合している対のこの二つの長方形の平板の間に置いた。外圧(275kPa)を各々のシールしている対のシールしている表面に対して法線方向に適用し、そして各タイプの三つの対を炉内で以下のように加熱することによって結合した:20〜350℃は5℃/時、350〜1100℃は50℃/時(4時間1100℃で保持)、そして1100〜20℃は50℃/時。この1100℃保持はCaO−Fe2O3擬似的二成分系における共晶融点(これは約1215℃で生じる)より低かった。それゆえこのシールは液相形態が存在しない温度で作られる。これらの対を漏洩確認し、断面にしそしてSEMで観察した。各々の対は二つの引き込み口(ポート)を含みしたがって合計6つの引き込み口の漏洩確認をした。各引き込み口の漏洩速度を引き込み口を真空源に接続することによって測定し、引き込み口での圧力を<7000kPaに低減し、そしてこの引き込み口から出てくる流速を測定した。この部品を外部圧力をかけずに2時間で1200℃に再加熱し(60℃/時の昇降勾配)そして漏洩確認後に新しい断面をとった。最終的に、この部品は4時間で1300℃まで加熱しそして3度目の断面をとった。
【0087】
表3 例6〜8の組成物
【0088】
【表3】
【0089】
表4 異なるA/B比率を有する例6〜8に対する漏洩速度データ
【0090】
【表4】
【0091】
表4は漏洩速度の結果を示しそして図5〜7はSEM顕微鏡写真を示す。B−サイト過剰が焼結の増進をもたらすことは明らかである。しかしながら、液相が存在している兆候はない。これは1100℃保持と両立し、この保持により添加剤が転移液相を形成するよりもむしろ反応することを可能とする。全ての三つの組成物に関して1100℃での結合後のこの漏洩速度は受け入れられるものであり、そしてこの漏洩速度は1200℃までの加熱によってさらに改善される。A/B比率の減少につれて漏洩速度が減少することはペロブスカイト粉末の焼結活性に結びつけられるようである。この例6のB−サイト過剰組成物は鉄リッチの第二相を有していた、一方例7及び8では第二層に気づかなかった。
【0092】
図5(a)、5(b)および5(c)は結合又は焼きなまし温度に応じた結合の研磨した断面を示す。図5(a)は例6のB−サイトリッチの結合を左に二次像右に後方散乱像を伴って示す。結合でのz方向焼結が存在し、それにつれて多孔性が減少する。図5(b)は例7のほぼ化学量論比の結合を示し、そして図5(c)は例8のA−サイト過剰の結合を示す。他の図においてと同様、矢印は結合範囲を示す。
【0093】
図6は330kPa圧力を伴って1100℃での(左)又は圧力をかけない1200℃への焼きなましでの(右)いずれかで結合した後の結合の研磨した断面を示す顕微鏡写真を合成したものである。マーカーは全て10μm長である。
【0094】
図7はB−サイト過剰の部品がA−サイト過剰の部品より低い気孔率を有していることを示す。
【0095】
例9:大きな磨いていない構成要素の結合
【0096】
大きな結合面積(図8で示すように、36.8cm2)を厚さ430μmの例6のテープキャストで結合した。図8に示すように、二層テープは一緒に溶剤ラミネートしそしてそれから磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−d下側スペーサーと磨いていないLa0.9Ca0.1FeO3−d上側スペーサーとの間に溶剤接合した。ソケット結合を通じて伝達される負荷を伴って、圧力(130kPa)をハイアルミナ耐火材平板と結合している表面に対して法線方向に適用した。磨いたハイアルミナ耐火材平板は結合中はLa0.9Ca0.1FeO3−dスペーサーと接していた。結合サイクルは20〜350℃は5℃/時、350〜1150℃は50℃/時(4時間1150℃で保持)、そして1150〜20℃は50℃/時であった。全ての三つの対の二つの引き込み口の各々を例1と同じやり方で真空源を各引き込み口に付けガスの流れを測定することによって漏洩確認した。全ての三つの対を圧力を適用することなく4時間1300℃焼きなましサイクル(加熱及び冷却勾配は1℃/分)に通した、続けて各引き込み口の漏洩確認をした。
【0097】
1150℃で結合した後の6つの引き込み口の平均漏洩速度は16.3±9.5sccmであり、これらの漏洩速度は7.9〜34.6sccmの範囲にあった。焼きなまし後、6つの引き込み口のうち4つは気密であった。図9は標準的な結合範囲を示し、ここで二次像(図9(a))では結合を見るのは困難であるが、後方散乱電子像(図9(b))では結合を識別可能である。この結合は、第二相によって証明されるように、B−サイトリッチである。暗い点は気孔又はプルアウト(pullout)(研磨マークは紙の幅と調和する)であり、そして灰色の点は酸化鉄リッチな第二相である。図9(b)の矢印は結合した範囲を示す。
【0098】
例10:より高い圧力の結合
【0099】
例9で結合した試料と同じ試料をより高い圧力で結合した。結合サイクルは初期に、温度が20〜350℃は5℃/時、350〜1100℃は50℃/時で上げられるとき、690kPaの圧力を適用した。温度が1175℃まで上げられそして4時間保持されるとき、圧力を965kPaに上げた。温度を50℃/時で室温まで下げるときに、圧力を線形的に下げた。二つの引き込み口の漏洩速度は0.054及び0.036sccmであった、これは本発明が非常に低い漏洩速度を有する結合を作ることを実証している。
【0100】
例11−14:粉末活性の結合に対する影響
【0101】
セラミック粉末の表面積が2.0〜5.6m2/gの範囲である、La0.4Sr0.6Co1.01O3−dセラミック粉末を含む一連の結合テープを例1に記載されたプロセスによって、表5に示す処方を使用して作った。
【0102】
表5 例11〜14のスリップ組成物
【0103】
【表5】
【0104】
a.La0.4Sr0.6Co1.01O3粉末
b. エタノール、PM−509
c. 分散剤(B−79 PVB)
d. バインダー(B−98 PVB)
e. 可塑剤(S−160 BBP)
【0105】
全ての四つのテープを例1で定義したように、1:2のバインダー/可塑剤含有率を伴い及び55.0体積%の固体含有率を伴って作った。結合テープの二層又は三層ガスケットを例1で記載したように溶剤接合テープによって一緒に作製した。ガスケット(内径28.5mm、外径31.8mmを伴う)をせん断しそしてそれから磨いていない焼結したLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dセラミックスペーサーに溶剤接合した。1250℃でLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dを焼結することによって緻密なスペーサーを調製した。このスペーサーは35.3mmの外径、27.5mmの内径及び3mmの厚みを有していた。このスペーサーを6枚重ねにし、各々のスタック(積層)が5つの結合を有するようにした。各スタックは結合表面に対して法線方向に690kPaの負荷をかけられそして室温〜350℃は5℃/時、350〜1150℃は50℃/時(1150℃で2時間保持)で加熱し、そして1150〜600℃は50℃/時で、600〜400℃は5℃/時、そして400℃〜室温は50℃/時で冷却した。結合し室温まで冷却した後、5つのセラミック−セラミック結合を含む各スタックの漏洩速度を例1の方法と同様のやり方で測定した。図10はこの温度での漏洩速度に対するセラミック表面積の影響を示す。表面積の増大を伴ってセラミック粉末の焼結速度が増大したせいで、漏洩速度は表面積の増加に伴って指数関数的に減少した。図11は結合範囲の後方散乱像を示しそして図12はこのスペーサースタックの視覚的外観を示す。図11で矢印が結合を示すが、結合は素晴らしい焼結のために見ることが困難である。
【0106】
例15−16:テープ特性の調整能力
【0107】
三層ガスケットを作製したが、ここでこの三層複合材料の外側の層は堅く、そして内側の層は表6に示す特性を有するテープを使用していて変形可能であった。この堅い層は変形可能な内部層をグリーンテープのズレの初期ステージの間に、磨いていないスペーサーの平坦でない表面に適合するように、強要する。例15のガスケットを2m2/gのテープを使用して作製し、そして例16のガスケットを4m2/gのテープを使用して作製した、ここで全ての三層ガスケットは1:2のバインダー/可塑剤のより固さの低いテープを外側の適合可能な層に使用し、そして2:1のバインダー/可塑剤のより固さの高いテープをこのより堅い、内部層に使用した(表6参照)。
【0108】
表6 テープ特性
【0109】
【表6】
【0110】
図13は結合した磨いていないスペーサー−スペーサー対の漏洩速度が圧力及びLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dガスケットの焼結活性の増加を伴ってどのように減少するかを示している。三層ガスケットは本結合技術を実践するために必須ではないが、これらの例はこのアプローチの柔軟性を明らかにしている。
【0111】
例17及び18:非ペロブスカイト組成物との結合
【0112】
非ペロブスカイト組成物に対する本技術の適用性を示すために、二つのテープを加工した。例17はアルミナを結合するために使用したAl2O3−15体積%のZrO2組成物であり、そして例18はジルコニアを結合するために使用した部分的に安定化したZrO2テープであった。例17のテープを、1kgのY−TZP媒体を1リットルHDPEビンに添加することそしてそれから317.6gのトルエン、79.4gのエタノール(PM509)、2.5gのPVB(B−79)、397.0gのアルミナ(Ceralox HPA0.5)、及び217.6gの部分的に安定化したジルコニア(Daiich
HSY3.0)を添加することによって調製した。このスリップを30分間ペイントシェーカーにかけ、その後68.8gのバインダー(B−98 PVB)、35.7gの可塑剤(S−160 BBP)を添加しそしてさらに1時間ペイントシェークした。それを68時間ボールミルで混合し、その後脱気しそしてキャスティングして250μm厚のテープを作った。
【0113】
例18のテープを9kgのY−TZP媒体を25リットルHDPEビンに添加することそしてそれから3.03kgのトルエン/メチルエチルケトン及び60gのポリエステルアミン分散剤(Avecia製Solsperse24000)、続けて5.81kgのZrO2(3mol%Y2O3)粉末(Tosoh製グレードTZ−3Y)を添加することによって調製した。このスリップを4時間回転させ(roll)、そしてそれから0.507kgのPVBバインダー(B−79)と0.423kgのBBP可塑剤(S−160)を加え、そしてこのスリップをさらに22時間回転させた。このスリップを濾過し、脱気し、そしてキャストして厚さ250μmのグリーンにした。
【0114】
グリーン二層ガスケット(28.5mmの内径、31.8mmの外径を伴う)を事前に焼結した磨いたセラミックに結合するために、この二層ガスケットを例1に記載したように溶剤接合によって作製した。例17の場合、この焼結したセラミックは99.9%純度のアルミナであり、そして例18の場合、それは少量のアルミナ(Ceramatec グレード TZ−102)を含んだ十分に安定化したZrO2(8mol%Y2O3)セラミックであった。
【0115】
これらの部品にシールしている表面に対して法線方向に1.4MPaの圧力で負荷をかけ、そして25〜350℃は5℃/時そしてその後350〜1250℃は50℃/時で加熱し、1250℃で4時間保持した。この部分的に焼結した結合を室温まで50℃/時で冷却した。例17の部品を1600℃まで加熱しそして加圧しないで2時間保持し、一方で例18の結合を1450℃まで加熱しそして加圧しないで2時間保持した。例17の漏洩速度は0.21sccmでそして例18の漏洩速度は0.07sccmであった。図14及び15は異なる材料間での優れた接合が可能であったことを示し、これは広く多様なセラミック材料を結合することに対する本技術の適用性を実証している。
【0116】
本発明は詳細にそしてそれらの特定の例を参照しながら記述されているが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく多様な変化及び改造が可能であることは当業者にとって明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の結晶構造の金属酸化物を含む二つの焼結体の間の界面(インターフェース)に結合を形成する方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
焼結体を装置、例えば酸素分離装置、に採用するとき、同装置にしっかりと結合すること又はさらに気密性結合を提供することがしばしば命ぜられ、前記結合は該装置の操作条件に耐えることが要求されている。上述の装置における標準的な焼結体はイオン輸送膜(電解質)、相互接続物(interconnect)、支持体、セラミックのチューブ、シール及び導管等である。このような焼結体は概して、それぞれ、チューブ−チューブ、チューブ−平板、及び平板−平板で結合される。
【0003】
あらゆる結合はおそらく装置全体で最も脆弱な点を形成する。装置が厳しい操作条件、例えば、焼結体自体が委ねられている高い酸化若しくは還元環境、高温又は高圧力差、に曝される場合に、脆弱な点は危機的である。商業的に実行しうる装置を提供するために、従って結合は同様に、操作条件に曝されるときでさえ、機械的整合性、焼結体との適合性及び気密性を維持することを要求される。それに応じて理想的な結合は結合される物質と同等の化学的及び機械的特性、特に同等の熱サイクル安定性を有するであろう。
【0004】
現在まで、焼結体間の結合は金属ロウ付け、ナノ結晶酸化物、酸化金属共晶合金、ガラス及びセラミックガラス組成物を使用することによって形成されてきている。例えばS.D.Petivesら、「セラミック結合への反応経路:製造、インターフェース化学及び結合特性」、Acta mater. Vol.46,No.7,(1998)、頁2407−2414;Y.Iino、「セラミック金属接合の部分過渡液相金属層技術」、J.of Mat.Sci.Lett.10、(1991)、頁104−106、S.Serkowski、「セラミック間の固体状態接合のためのセラミック−金属共晶合金の適用」、Int.Symp.Ceram.Mater.Compon.Engines、第4回、(Roger Carlssonら)(1992)頁348〜355;M Neuhauserら「セラミックGrunfolienを伴った技術的なセラミックの結合」、Ber.DGK、Vol.72、No1〜2、(1995)頁17〜20;D.Seifertら、「セラミックフォイルでの結合による多孔質のものの焼結したセラミックへの結合」Ber.DGK、Vol.73、No10、(1996)頁585〜589;及びR.Chaimら「ナノ結晶質テープキャスト中間層を使用するアルミナセラミックの結合」、J.of Materials Research、15、(2000)頁1724〜1728を参照のこと。
【0005】
セラミック−金属共晶合金を使用する焼結体の結合は金属の使用を必要とするという不都合を有する。多くの金属は高温の空気中で酸化する、そしてそれゆえ金属酸化物の形成を防ぐために特別な還元雰囲気の使用を要求する。結合される焼結体はこれらの還元雰囲気で安定でないことがあり、それは結果として焼結体の分解をもたらすであろう。
【0006】
ナノ結晶性中間層を使用する焼結体の結合は、ズレ(creep)又はさらには破砕(fracture)によって結合される部品に損傷を与えることもある非常に高い圧力を必要とするという不都合を有する。
【0007】
ロウ付け、すなわち金属材料、又はガラス、すなわち多成分金属酸化物の固溶体の使用は、結合される物質と異なり、ほとんどの場合劣る、特性を伴った結合材料のインターフェース相を置き去りにするという不都合を有する。例えば、ロウ付けは延性金属を置き去りにし、これは上昇した温度でズレを生じ、周りのセラミック材料と適合せず又は酸化する可能性がある。
【0008】
同様に、ガラス結合は周りのペロブスカイト型構造又は蛍石型構造を有する多成分金属酸化物と比べて非常に異なる熱膨張係数を有することがあり、結果として続く温度変化において望ましくない残留応力をもたらす。ガラス結合はさらにそれぞれのガラス転移温度を超える温度で軟化しそして流動化する。最終的に、ガラス結合は上昇した温度でペロブスカイト型構造又は蛍石型構造の焼結体と化学的に適合しない可能性がある。あらゆる場合に、残留材料のせいで、結合が視覚的に又は微視的に検出されることが避けられず、その特性は結合される焼結体ではなく、結合自体の材質によって決定される。
【0009】
Rabinら、「SiC−SiC結合の反応プロセス及び特性」Material.Res.Soc.Symp.Proc.314、(1993)、197−203、Material Research Society、Pittsburghは結合を形成する別の方法を開示し、ここでSiC構成要素はSiとC粉末との混合物を使用することによって結合され得る。該文書は概して酸化物を結合することについてそして特に蛍石型又はペロブスカイト型構造を有する多成分金属酸化物を結合することについて言明していない。
【0010】
Seifertらはアルミナ−チタニア−カルシア−マグネシアのフォイル(箔)を結合するセラミックを使用してアルミナセラミックを結合する方法を開示する。アルミナ−チタニア−カルシア−マグネシアとアルミナ−チタニア−酸化マンガン−酸化鉄−シリカの他の結合フォイルも記載されている。結合温度は100℃超であって結合されるアルミナセラミックの焼結温度未満であった。これらの結合組成物は結合温度まで加熱すると液相を形成した。結合後、該結合は結合フォイルの組成物を維持しそして結合されたアルミナ体とは組成的に異なっていた。該文献は使用される結合組成物は結合されるセラミックに対して高度に特定されることを述べている。該文献は多成分金属酸化物をどのように結合するかについては言明していない。該文献は特にペロブスカイト型多成分酸化物をどのように結合するかについては言明していない。
【0011】
アルミナセラミックを結合する別の方法(これはNeuhauserらが開示している)は、アルミナ、シリカ及び他の酸化物の混合物から創られたセラミックフォイルの使用を必要とする。シリカは結合されるセラミックと化学的に又は機械的に適合しないので、シリカの存在は望ましくない。さらに、該文献もまた多成分金属酸化物をどのように結合するかについては言明していない。
【0012】
(Al、Cr)2O3−Cr共晶結合混合物を使用するアルミナ部品の第三の結合方法がSerkowskiによって開示される。結合を得るために、該混合物が溶解することができるように非常に低い酸素分圧を生じる特別なガス雰囲気が必要とされる。これらの特別なガス雰囲気を要求することは共晶混合物が使用され得るセラミックを限定する。多くのセラミックは共晶合金の溶融のために必要な低酸素分圧条件下では安定的でない。また共晶結合混合物は結果として結合される物体と化学的に及び機械的に異なる結合材料をもたらす。また、該文献は多成分金属酸化物を結合することについては言明していない。
【0013】
アルミナを結合する第四の方法がChaimらによって開示されている。該方法は1200〜1300℃で55〜80MPaの一軸圧力下で結合されるようにアルミナ部品をホットプレスすることを必要とする。該方法は結合材料が結合される部品と化学的かつ機械的に同一であるという(該文献が主張する)長所を有する。しかしながら、結合を生じるために必要な高圧力は、結合されるセラミック部品の破砕又はズレをもたらす可能性があるので、望ましくない。さらに、該文献も多成分金属酸化物を結合することについては言明していない。
【0014】
別のタイプの結合が開発されてきており、これはいわゆる過渡液相結合(TLP)である。例えば、Y.Zouら、「過渡液相結合のモデル化」、Int.Mat.Rev.Vol.40、No.5、(1995)、頁181、及びI.Tuah−Pokuら、「過渡液相結合等の研究」Metallurgical Transactions A Vol.19A、March1988、頁675を参照のこと。該プロセスは溶質拡散による過渡的な液相の形成を当てにしている。
【0015】
多くの用途において、セラミック材料を結合するために液相又は過渡的な液相を使用することは容認可能でありかつ多くの場合望ましい。例えば、我々の先行米国特許出願公開第2004/0185236号及びButtらの米国特許出願公開第2004/0182306号を参照のこと。これらは焼結温度未満での液相又は過渡的な液相結合を開示する。両出願は低い結合圧力及び低い圧力の使用を教示する。それらはまた高充填密度のコンセプト及び結合表面に適合する(conform)能力を教示する。これらの出願は結合材料のいたるところで均一な機械的及び熱的特性を有する結合材料を得ることが可能であること(ここで該結合プロセスは液相を使用することなく実施される)は開示または示唆していない。
【0016】
さらに、いくつかのセラミックに関して、過渡液相が望ましくない第二相を結合部又は結合されるセラミックの隣接部に生じる。これらの第二相は結果として劣った機械的特性を伴う結合をもたらす。例えば、高い化学的膨張性(expansivity)を伴う材料を使用するとき、液相の使用は結果として化学的な変化をもたらすことがあり、これは熱サイクルの際に応力を生む。
【0017】
過渡液相アプローチが劣った機械的特性を伴う結合を生じる一例はCuを含んだ過渡液相を生じるCuO−Ca2CuO3共晶結合材料を使用するLSCO(La1−xSrxCoO3−d)セラミックの結合である。結合後、例えば、液形成添加剤としてCuを使用するときに高濃度のコバルト酸化物の第二層を伴う領域が観察されてきている。結合温度から室温への温度サイクルの間の該第二相におけるCoOとCo3O4との間の相変化は周りのLSCOペロブスカイト母材における引張応力を導きそして母材の亀裂(cracking)をもたらす。
【0018】
他のセラミックに関して、結合されるセラミックと化学的にかつ機械的に適合する結合材料を生む過渡液相組成物を特定することは可能ではない。グレイン粒子(grain)成長を制限するために、結合温度は該材料の焼結温度を超えるべきでない。多くの場合において、結合される構成要素のクリープ変形を制限するために焼結温度未満で結合することも望ましい。
【0019】
従って、焼結温度と比較して低い温度かつ低い圧力で過渡液相なしで結合する能力は非常に望ましくそして当該技術における改善となるであろう。低い温度とは焼結温度より少なくとも100℃低い温度と定義される。焼結温度は理論密度の95%超に達するために必要とされる温度と定義される。低い圧力は5MPa未満そしてこのましくは2MPa未満のシール圧力と定義される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0185236号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0182306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
それゆえペロブスカイト型又は蛍石型の結晶構造を有する第一の多成分金属酸化物を含む第一の焼結体と第一の多成分金属酸化物と同型の結晶構造を有する第二の多成分金属酸化物を含む第二の焼結体との結合を形成する方法と提供することは望ましく、該方法は第一の及び第二の焼結体と化学的にかつ機械的に適合する結合の形成を可能にする。さらに、結合が形成されても区別できるインターフェース相を残さないことが望ましい。さらになお望ましいのは、該方法が適合性がある耐熱性のインターフェース相又は結合、特に適合性のある熱サイクル安定性を示す結合を形成することをさらになお可能にすることである。
【0022】
ここで引用された文献は文献全体によってここに組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って、本発明の第一の面において少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法が提供され、前記方法は以下を含み:
(a)第一の金属酸化物を含む第一の焼結体を提供すること;
(b)第二の金属酸化物を含む第二の焼結体を提供すること;
(c)第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間の結合材料を提供すること、ここで該結合材料は少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含み、ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の少なくとも40体積%そして75体積%以下を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含むこと;
(d)結合表面に少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、第一の焼結体、第二の焼結体及び結合材料の組立物を提供すること;
(e)該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;そして
(f)第一の及び第二の焼結体の最小焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、
それによって該少なくとも二つの焼結体は結合材料によって結合され複合構造体を形成する。
【0024】
本発明の第二の面において本発明の方法によって調整した複合構造物が提供される。該複合構造物は以下を含み:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の少なくとも40体積%そして75体積%以下を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は以下の図面と連動して記載され、図面では参照番号等が要素等を指定する。
【0026】
【図1】2時間に1250℃まで加熱後の例1の結合領域の研磨した断面を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図2(a)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図2(b)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図2(c)】150〜250℃の間の勾配率の関数としての漏洩率のグラフ。
【図3(a)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図3(b)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図3(c)】結合領域を示している研磨した断面の顕微鏡写真。
【図4】2m2/gLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末で創られたテープに対するバインダー/可塑化剤含有率としての漏洩率のグラフ。
【図5(a)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図5(b)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図5(c)】結合又は焼きなまし温度に応じた結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図6】330kPaの圧力を伴って1100℃にある(左)又は加圧なしで1200℃まで焼きなましした(右)のいずれかの結合部の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図7】4時間1300℃で焼きなましした試料の研磨した断面の顕微鏡写真。
【図8】結合において使用した部品を示す写真。
【図9(a)】良好な結合を示す 結合したスペーサー−スペーサー対(couple)の研磨した断面の二次電子像(SEI)。
【図9(b)】図9aの断面を100倍拡大した後方散乱電子像(BEI)。
【図10】6−スペーサー(5シール)La0.4Sr0.6Co1.01O3−d積層(stack)を1150℃まで加熱しそして2時間690kPa圧力下で保持した場合の漏洩率データ。
【図11】5.6m2/gのセラミック粉末を含むテープで690kPa/1150℃/2時間で創った結合領域のBEI。
【図12】シール区域を明らかにするための研磨の前(間)及び後(最後)の6−スペーサー積層を示す写真。
【図13】三層La0.4Sr0.6Co1.01O3−dガスケットを含む磨いていないスペーサー−スペーサー対(これは1150℃4時間で結合された)の漏洩率のグラフ。
【図14】例17の複合構造物を示す顕微鏡写真。ここで結合テープ(Al2O3−15体積% Y−TZP)は周囲のアルミナによって室温で残留張力の残る状態に置かれた。
【図15】例18の複合構造物を示す顕微鏡写真。ここで結合テープ(Y−TZP)は周囲にある事前に焼結し十分に安定なジルコニアによって室温で僅かな張力が残る状態にあり、ジルコニアは粒子の成長を制限するために少量のアルミナを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、実質的に継ぎ目の無い(又は一枚岩的な)構造を提供するために、事前に焼結したセラミック体の間の結合を形成する方法に関係する。発明者は驚くべきことに、固体状焼結を使用して、焼結セラミック体と同じ組成物であるグリーンセラミック結合材料を使用して、この焼結セラミック体を結合することが可能であることを発見した。「セラミック結合材料」(ときに「結合材料」又は「接着剤」とも言及される)はここでセラミック粒子と有機成分の複合混合物として定義される。有機成分は例えば重合性のバインダー、可塑剤、分散剤及び/又は溶媒を含むことが可能である。「グリーン」という用語は結合材料が焼結されていないことを意味し、そして結合材料の色を任意のやり方で制限しようと意図するものではない。
【0028】
好ましい実施態様では、グリーン結合材料は可塑化した重合性バインダーによって一緒に保持されしっかりと充填したセラミック粒子を含んでいてもよい。このグリーン結合材料の重合性の成分は圧力及び温度の適用下でセラミック粒子を再配置することを可能にし、これは焼結したセラミック体の結合表面に適合する。ひとたびこの重合体が結合している間に除去されると、セラミック粒子だけが残るが、これは結合プロセスのあらゆる点で液相を形成しない。概してこのバインダーは空気中で結合材料を加熱することによって除去され、そうするとすぐにバインダーは分解し蒸気又は燃焼生成物として結合の外へ拡散する。セラミック結合材料は負荷及び圧力の適用下での固体状態の焼結によって緻密化される。初期に、この粒子が絡まって集まりそして事前に焼結したセラミックの結合表面との接合を形成する。接合したセラミック粒子の連続的なネットワークがひとたび結合表面間で形成されると、圧力の適用はもはや必要とされない。圧力が焼結温度を下げることに関して有利であるが、それは強制的な(constrained)焼結を可能にするために必要とされるだけである。しかしながら、もし望むなら、粒子を絡ませること及び部分的な焼結は、圧力の適用なしに焼結が進行可能となるような、十分なしがらみ(constraint)を適度に形成する。
【0029】
事前に焼結したセラミックの結合は、高温で動作する複雑な装置を作製する際に、非常に重要である。無機ガラス及び金属ロウ付けは多くの場合結合のためには十分である一方、それらはそれぞれの個別のガラス転移温度を超える温度でのズレを含む(アモルファス材料の場合)又はそれらの融点に近づく(金属シールの場合)といった制限も有する。セラミック−セラミック結合プロセスは材料がこの構成要素の他の部分に対しても同様の特質を有する結合を伴って高温で使用されることを可能にする。本発明の別の実施態様では、結合が低温で残留圧縮状態にあるようにその特質を調整することによって、結合をセラミック残留物よりも強くすることが可能である。
【0030】
本発明は高圧力及び平坦な表面が結合のためには必要とされない点で拡散接合とは異なる。本発明は高価な原材料、ナノサイズ粒子又は液相を形成したものの使用を必要としない。
【0031】
固体状焼結は本発明の方法の特に好ましい面であり、そしてこの単純な方法が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、同様にこれらの材料の混合物及び固溶体を含む、広く多様な焼結セラミックに適用されることを可能にする。本発明の方法は実質的に液体を生じることなく(又は好ましさは下がるがわずかに実体のない量の液を生じる)焼結するあらゆる材料に適用されることが可能である。
【0032】
平坦な表面を結合するとき、結合上にしがらみが簡単に得られるので、結合プロセスにおいて非常に柔軟性が存在する。グリーン結合材料はそれゆえプロセス、例えば乾式プレス(dry pressing)、静水圧プレス(isostatic pressing)、ロール圧縮(roll compaction)、ゲルキャスト(gel casting)、スリップキャスト(slip casting)、遠心鋳造(centrifugal casting)、押出し成型(extrusion)又は他の当該技術分野で公知の方法によってわずかな重合体で形成され、同様により多くの重合性材料を必要とする方法、例えばテープキャスト(tape casting)又は射出成型(injection mold)によっても形成される。結果として低い充填密度をもたらす方法、例えばスクリーン又はインクジェット印刷も使用することが可能であるが、焼成中のz−方向の収縮を制限するために、グリーン状態では充填密度を高めることが望ましい。
【0033】
しがらみは固体状態の焼結を進展するものとしての接合を可能にするために結合の初期ステージの間は好ましい。しがらみは好ましくは接合表面に対する法線方向の圧力として適用される。接合表面に対する実質的に法線方向の角度で圧力を適用することも本発明の範囲内であり、ここで「実質的に法線方向」とは法線の±10度の範囲内を意味する。本発明はまた1よりも多い方向からの圧力を適用することも含む。しかしながら、ほぼ全ての緻密化はz方向で生じるので、x−y方向の結合でのしがらみは本プロセスにおいて全く必要とされない。
【0034】
圧力の量は好ましくは少なくとも1kPaだが5MPaよりは小さく、そしてより好ましくは2MPaより小さい。高すぎる結合圧力は結合材料中のセラミック粒子が固体状態の焼結開始剤として絡まる前にグリーン状態に亀裂を生じる。グリーン結合材料はバインダーの除去後及び焼結の開始前に特に亀裂に影響を受けやすい。過度に高い圧力は結合もされる焼結体に、これらの焼結体のズレを生じること又はこれらの焼結体を破壊することのいずれかによって損傷を与える可能性がある。
【0035】
局所的又は広範囲に平坦さを外れた表面を結合するときに、高いグリーン密度とグリーンセラミックの低圧力及び低温度(重合体の90質量%がプロセス、例えば吸い上げ(wicking)、毛管流(capillary flow)、揮発(volatilization)、及び/又は分解(decomposition)によって除去される温度)の適用下で接合される表面に適合する能力とをバランスさせることが重要である。圧力の適用は、セラミック結合がこの結合を取り囲む事前に焼結したセラミックの安定性によってしがらみを貼り付けるほどの十分な強度を有するまで、引き続き残る。これらの要求は概して、グリーン結合材料が20〜50体積%の有機材料を含むように、大きな体積の有機材料を必要とする。
【0036】
グリーン結合材料が室温に適合できるようにすることは、可能ではあるが、温度の適用は応力下で結合材料の重合性成分の塑性流動を可能にするので、必要ではない。重合体のズレはグリーン結合材料の表面が結合される焼結体の結合表面に適合することを可能にする。大きすぎる伸び(elongation)は、言うまでもなく、結果としてグリーンテープの裂け目をもたらす。それゆえ低温塑性流動の間に亀裂が起こる可能性があり、そして焼結によって亀裂が開く(裂ける)まで検知することは困難である。それゆえ結合材料が結合される表面に適合することを可能にするための熱的処理の間に結合材料が亀裂を生じないように、結合される表面の平坦さ及び結合材料の裂け目での伸びは一致しなければならない。塑性流動の間の裂け目から生じたあらゆる亀裂は、その亀裂の開口の変位によってだけでなく表面の熱的エッチングのせいでも、冷却のときに起こる亀裂と比べて簡単に冷却の亀裂と区別がつく。しがらみが存在しない場合、結合材料のみが緻密化しそして応力が拡散とズレを通じて緩和され得るだけなので、亀裂は焼結の開始においても起こり得る。焼結の開始の間、ズレの速度は低い。
【0037】
グリーン結合材料を形成するための手段は特に限定されない。適当なバインダー及び可塑剤をセラミック粒子サイズ分布及び固体荷重(solid loading)の選択と組み合わせて選択することによってグリーンテープの特性を調整することが単純で簡単なので、テープキャスティングは好ましい方法である。
【0038】
z方向の収縮を最小限にするため、そして結合材料の緻密化を増進するため、グリーンセラミック結合材料において高い充填密度を得ることが望ましい。高い充填密度を得るための一つの方法はグリーン結合内のセラミック粒子の高度に詰まった部分を得ることである。プロセス方法、例えばテープキャスト、一軸加圧成形、静水圧プレス、押出し成形、ロール圧縮、ゲルキャスト、スリップキャスト、遠心鋳造及び射出成形はセラミック粒子の高い充填密度を得るための一般的な方法である。しかしながら充填は焼結活性とともに調整されなければならない。二モード又は三モードのサイズ分布を使用することはめったになく、ここで粒子はより小さな粒子がより大きな粒子の隙間にうまく収まるように選択される。高い充填密度は高い易焼結性がもたらされる場合に望ましいにすぎない。より大きな粒子が焼結速度を決定するので、より高い充填密度は それが焼結活性を妨害する場合は望ましくない。同様に、ナノ粒子は易焼結性を増進し、全体がナノ粒子から出来た結合材料は概してその大きな表面積のために高い充填密度を可能としない。それゆえ適当な量の焼結活性が望まれる。
【0039】
結合材料は、z方向の最大収縮が初期のガスケット厚みの60%より小さくなるように、バインダー除去後に理論の少なくとも40%そして好ましくは理論の50%超のグリーン密度を有する。適当な充填を伴う場合、理論の60%超のグリーン密度を得ることが可能であり、それによりz方向の収縮を40%より小さく制限する。
【0040】
グリーンシールのセラミック粒子の表面積及び粒子サイズ分布は望ましい結合条件によって決定される。ある実施態様では、表面積は2m2/g程度に小さくすることが可能であり、そして粒子サイズ分布は1μmのd50を伴う場合に0.1μm〜3μmの範囲であることが可能である。25m2/g程度に大きな表面積を有する粒子が本発明の方法で採用され得る、しかし小さな粒子はグリーン状態での塑性流動を制限しそして結果として乏しい粒子充填性をもたらす。好ましい表面積は2〜10m2/gでありそしてより好ましくは3〜8m2/gである。平均粒子サイズは好ましくは0.1〜1.0μmである。
【0041】
多様な水性及び非水性溶媒系がバインダー及び可塑剤の選択を元にしたグリーン結合材料で使用されることが可能である。固体含有率は、ひとたびその溶媒が完全に蒸発してしまうと、結合している非平面の表面の場合、好ましくは40〜75体積%の範囲、そしてより好ましくは50〜65体積%となるべきである。固体含有物は溶媒の蒸発後の結合材料のセラミック粒子の体積の一部として定義される。結合表面の場合、バインダーは室温でそれがそのガラス転移温度を超えたようになるように可塑化される。可塑化剤の選択はバインダーの選択によって決まる。例えば、ブチルベンジルフタレートがポリビニルブチラールバインダーを可塑化する。
【0042】
好適なバインダーはポリビニルブチラール、ポリプロピレンカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリアクリレートエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリウレタン、メチルセルロース及びラテックスを含むがこれらに限定されない。
【0043】
好適な可塑剤はブチルベンジルフタレート、ジメチルフタレート、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ブチルステアレート、プロピレンカーボネート、及びブチルステアレートを含むがこれらに限定されない。
【0044】
結合テープの最終的な引張強度は好ましくは1MPa超でありそしてより好ましくは2MPa超であり、降伏強さに関しては好ましくは少なくとも0.1MPaそしてより好ましくは0.2MPa超である。張力下でのグリーンテープの伸びのパーセントは磨いていない表面と結合するとき好ましくは5%超でありそしてより好ましくは10%を超える。
【0045】
結合される焼結体は好ましくはセラミックであり、そしてより好ましくは多成分金属酸化物(すなわち少なくとも2つの金属の酸化物)を含む。焼結体のための好適な材料はLa1−xSrxCoyO3−dここで1>x>0、1.1>y>1;(La1−xCax)yFeO3−dここで1>x>0.5、1.1≧y>1そしてdは化合物の電荷を中立にする;部分的にそして完全に安定化したジルコニア;希土類又はアルカリ土類をドープしたセリア;ムライト;マグネシア;アルミナ;アルミナ−ジルコニア;バリウムチタネート;及びベータ及びベータ”アルミナ、ナシコン(nasicon)、アルミニウムチタネート、コーディエライト、シリコンカーバイド、チタニウムカーバイド、タングステンカーバイド、チタニウムジボライド、アルミニウムナイトライド及びシリコンナイトライドを含むが限定はされない広く多様な他のセラミック組成物を含むが限定はされない。
【0046】
本発明は特にセラミックとペロブスカイト型又は蛍石型結晶構造とを結合するために好適である。ペロブスカイト型構造は基礎構造として8面体の三次元立体の配置を組み込む真のペロブスカイトを含み、同様にペロブスカイト状の単数又は複数の層、すなわち二次元平面配置で並べられた八面体の二次元配置、を組み込んだ構造を含む。この八面体は6つのアニオンサイトで配意された小さな直径の金属イオンからなる。これらの八面体は大きな直径の金属イオンによって電荷が安定化される。ペロブスカイト型構造の非限定的な例は立体ペロブスカイト、ブラウンミレライト(brownmillerite)、アウリビリウス(aurivillius)相及びそれに類するものを含む。アウリビリウス相(ときに薄板状ペロブスカイトと呼ばれる)はペロブスカイトの層からなり、ここで大きな直径の金属カチオンは部分的に又は全体で、別の酸化物、通常は(Bi2O2)2+の層によって置き換えられている。ブラウンミレライトは、六分の一の酸素イオンが不足しており結果として結晶内の連続するラインに並んだ酸素イオンの空隙があるペロブスカイトである。一例はCaFeO2.5である。
【0047】
蛍石型結晶構造は真の蛍石を含む。蛍石はカチオン配位数が8及びアニオン配位数が4であることによって特徴づけられる。カチオンは立方体に閉じこめた配置で並べられ、アニオンはカチオンの間で四面体の位置を占める。蛍石の例はイットリア安定化ジルコニア、安定化ビスマス酸化物、セリア及びドープしたセリアである。
【0048】
磨いた又はズレを平坦化した表面が磨いていない又は焼成したままの表面よりも好まれるので、結合される表面はできるだけ平坦であるべきである。結合される焼結した部品の最大の平坦さからの外れ具合(out-of-flatness)は500μmより小さくあるべきでそして好ましくは250μmより小さいべきである。最も好ましくは、最大の平坦さからの外れ具合は100μmより小さいべきである。最大の平坦さからの外れ具合はレーザー表面形状測定装置(profilometry)を使用するか又はドロップゲージ(drop gage)を使用することによって計測される。平坦さからの外れ具合は表面の最小高さと最大高さとの間の差である。
【0049】
平坦で平行にするために粗研磨(lap)されていない表面を結合するとき、セラミック結合材料がグリーン状態の間にセラミック結合材料を結合される表面に適合させることが望ましい。セラミックは概してそれらにグリーン状態での強度を与えるために重合性材料が詰まっている。重合性材料の除去の前に、グリーンセラミック結合材料が結合される材料の堅固な表面に適合することを可能にすることが出来る。好ましくは、結合される表面は平坦かつ平行である。しかしながら本発明の方法は平坦さから外れる表面を結合するために好適である。最大程度の平坦さからの外れ具合は結合された表面の局所的及び広範囲の適合性の両方によって決まる。
【0050】
グリーンセラミック結合材料の延性を制御する一つの方法はグリーンセラミック結合材料が結合される表面に適合することを可能にする可塑剤又は選ばれたバインダーを加えることである。広範囲に25mmにわたって250μmまで平坦さから外れた表面は新しい結合技術を使用してうまく結合されている。グリーンセラミック結合材料は、結合テープが両方の堅固な表面に適合することが可能となるために、結合される表面に対して平行な平面、いわゆるx−y平面で塑性流動を可能にするために十分厚くなければならない。グリーンセラミック結合材料はx−y収縮が焼結中に亀裂が生じ始めることを防止するために十分薄くなければならない。グリーン結合材料に対する好ましい厚さは5μm〜1mmのオーダーにある。
【0051】
いくつかの適用に関して、結合後にその結合は十分に、又はほぼ十分に、緻密である。高純度を得るために低い漏洩速度が必要とされるガス分離メンブレンにとって、これは重要である。受け入れられる漏洩速度は要求される純度及び装置のガス製造速度によって決定される。より低い純度が受け入れられる他の適用の場合、結合での少しの漏洩は非常に受け入れ可能である。他の適用の場合、結合は緻密であることを必要としない。結合の気孔率は結合温度及び圧力によって簡単に制御される。
【0052】
結合段階の前に、表面は焼成、グリットブラスト(grit blasting)、超音波洗浄、又は標準的な研究所実務によって清浄にされるべきである。表面を粗くするために特別な処理は必要でなくそしてクリーニングは高温結合プロセスの部分として部品に同伴されるかもしれない望ましくない不純物を除去する目的のためだけのものである。
【0053】
結合材料は結合される焼結体の二つの結合表面の間に置かれるべきである。必要な場合又は望まれる場合、材料固定具(fixture)の調整が使用されることが可能である。グリーンセラミックテープを使用する場合、このサイズのガスケットを望ましくせん断することが非常に簡単であり、そしてガスケットを焼結試料の望ましい場所に置く前に溶媒の薄いコーティングをテープの両表面に適用することによってテープを焼結セラミックに付着するために溶媒を使用した。この溶媒はグリーンテープが結合される表面に容易に接着するように、グリーンテープの粘着力を高める。
【0054】
次に、バインダーが流動すること及びガスケットが結合される表面に適合することを可能にするために、加熱の初期ステージの間に圧力が適用されるべきである。圧力は少なくとも10kPaそして好ましくは100kPa〜700kPaの間であるべきである。圧力は5MPaより小さくそして好ましくは2MPaより小さいべきである。圧力の目的は可塑剤的な面から(plastically)結合材料を焼結した結合表面の外形に対して変形させることであり、必要であれば、同様に固体状態の焼結によって接合が生じるまで結合材料と焼結した表面との接触を保ち、そして焼結反応速度を増進することである。圧力は高められた温度での緻密化に役立つことが可能であり、そしてひとたび絡まりが生じると上昇させられることも(もし望めば)可能である。あるいは、上昇した圧力が結果として焼結した表面と固定(setter)材料との間の望ましくない反応をもたらす場合、又は焼結したセラミックの強度が高められた温度で減少する場合、絡まりの後に圧力を緩める又は低下させることもできる。圧力は静的に適用されることが可能であり又はロードセル又は変位計で制御されることが可能である。
【0055】
温度の上昇は、結合材料に損傷を与えないようにバインダーを重合体からどのように除去するかという認識によって影響を受けるはずである。結合温度は結合材料の厚み、結合の幅及びグリーン結合材料の重合体の除去特性によって決まる。焼結した表面はしばしば閉じた気孔性の状態に焼結されるので、x−y平面でバインダーを除去することが望ましい。熱重量分析(TGA)に加えて示差熱分析(DTA)がバインダー除去サイクルを調整するために最も普通に使用される方法である。セラミックプロセスに関して普通であるように、非酸化物セラミックに関して真空又は制御した雰囲気の使用はバインダー除去の速度を上げるために使用されることができ、そして酸化物セラミックに関して酸素又は空気の流れの分圧の制御が使用されることが可能である。
【0056】
結合温度は結合されている焼結体を製造するために使用する焼結温度を超えるべきでなく、そして好ましくは焼結温度より低い。結合温度を制限する理由は、グレイン粒子の成長は高められた温度で生じるので、焼結体でのグレイン粒子サイズを制御するためであり、そして焼結体で生じることのあるズレの変形の量を制限するためである。いくつかの適用に関して、事前に焼結したセラミックのグレイン粒子サイズが変化しないように又は結合されている構成要素のズレを制限するために、結合温度を焼結体の最低焼結温度(すなわち少なくとも一つの焼結体が焼結する最低温度)より少なくとも100℃低い温度に維持することが好ましい。非制限的な例の結合温度はペロブスカイトに対しての1100℃からシリコンカーバイドに対しての2100℃の範囲にある。
【0057】
結合されている焼結体のズレを、ズレの影響を受けやすい構成要素を支える充填粉末ベッド又はスペーサーを使用することによって、制限することも可能である。
【0058】
拡散は熱的に活性化され、そして温度と共に指数関数的にそして時間と共には放物線的にのみ上昇するので、結合時間は結合温度よりは重大性は低い。結合時間は結合の緻密化によって影響を受けるはずであり、そしてディラトメトリー(dilatometry)(結合の収縮)、焼結後の漏洩確認、又は研磨した若しくは砕いた結合の断面の顕微鏡検査によって監視されることが可能である。好ましい結合時間は1分〜10時間の範囲にあり、そしてより好ましくは1時間〜5時間である。
【0059】
本発明の方法による結合は複数の段階または単一の段階で実施されることが可能である。複数の段階は、炉の使用又は固定材との反応のせいで、より効果的なことがある。バインダーを除去しそして適用圧力下で粒子を一緒に絡ませるために、比較的遅い、第一の、結合サイクルが第一の炉で使用されることが可能であり、そして第二の結合サイクル及び炉が最終的な焼結のために外部圧力を低減した又は無い状態で使用されることが可能である。固定の相互作用を排除するために、焼結温度で低減した圧力を使用する若しくは圧力適用を使用しないことが有利なことがある。固定材は炉にある材料であり、結合される焼結体はこれと接触した状態にある。特定の結合条件は結合されるセラミックに対して調整されることが可能である。
【0060】
異なる材料を結合する場合又は異なるグリーン特性を伴う結合テープを使用してテープでの流動度を制御する場合に、結合の組成物を格付けすることが可能である。さらに、結合の熱膨張を制御することによって結合を圧縮又は張力のかかった状態に置くことが可能である。二軸応力状態を仮定し厚さt1の二つの平面が結合後厚みt2のセラミックと結合されるサンドイッチ構造を見れば、焼成後の結合における残留応力σ2は以下により与えられる。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで△Tは温度範囲であり、その範囲にわたって応力が働き、△αは結合材料と結合される事前に焼結したセラミックとの間の熱膨張における不整合であり、Eはヤング率であり、tは厚み、υはポアソン比であり、そして添え字の1と2は結合される焼結体及び焼結結合材料をそれぞれ言及する。事前に結合したセラミックにおける結合後の残留応力σ1は以下により与えられる。
【0063】
【数2】
【0064】
薄い結合した範囲がより厚い結合していない範囲に隣接しているときに、結合をこのより厚い事前に焼結した範囲に僅かに残留する引張応力を伴って圧縮状態に置くことは有利な場合がある。これは△αを負にすること(結合範囲は事前に焼結した範囲より低い熱膨張係数を有する)によって簡単に遂行される。圧縮度は結合の厚み及び結合材料の組成物を調整することによって制御される。例えば、二つのジルコニア部品が結合される場合、アルミナをジルコニアに添加しアルミナ−ジルコニア複合材料を作ることによって、固体状態の焼結ジルコニア結合の熱膨張を低下させることが可能である。
【0065】
以下の例を参照することによって、本発明はさらに明らかにされそしてその対象及び利点はより明確に理解される。これらの例は説明が目的のものにすぎず本発明の範囲を制限することを意図していない。
【実施例】
【0066】
例1:化学量論的La0.9Ca0.1FeO3−d焼結体の結合
【0067】
2.0m2/gの表面積を有する250gのLa0.9Ca0.1FeO3粉末(セラマテック ロット110−2m2/g)が250gのイットリア部分安定化正方晶多結晶ジルコニア(Y−TZP)球状媒体、72.8gの試薬用トルエン、18.2gの変性エタノール(Ashland Chemical製Synasol PM−509)、及び1.25gポリビニルブチラール(PVB)分散剤(Solutia製グレードB−79)を伴う1リットルの高密度ポリエチレン(HDPE)ビンに添加された。このスラリーはセラミック粉末を分散させるために30分間ペイントシェカーにかけた。可塑剤(9.64gのFerro製ブチルベンジルフタレート(BBP)グレードS−160)及びバインダー(18.04gのSolutia製PVB B−98)が添加され、そしてこのスリップがバインダーを溶解するために1時間ペイントシェーカーに戻された。乾燥後に厚さ250±25μmを有するグリーンセラミック結合テープを作るために、その後このスリップはろ過、脱気、及びポリエステルシート上でドクターブレードを伴って一体成型(casting)される前に16時間ボールミルで混合された。乾燥したテープは質量ベースで可塑剤に対するバインダーの比が2.0で、60体積%の固体含有率を有した。
【0068】
リング形状ガスケット(内径9.5mm 外径15.8mm)はグリーン結合テープからせん断された。ガスケットを使用して磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−dディスクを磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−dリングに結合した。ディスクは外径21mm、厚さ2〜3mmであった。リングは中心に内径5mmの穴を有する外径21mm、厚さ2〜3mmであった。理論密度の95%超のリング及びディスクは2時間1450℃でテープキャスト部品を焼結することによって作った。ディスクの結合している表面は平坦に磨かれた。三対のディスクとリングを結合したものを作った。ガスケットはLa0.9Ca0.1FeO3−dディスク及びリングの結合表面へのα−テルピネオール(JT Baker混合異性体の実用グレード)の薄層(1〜3mgテルピネオール/cm2のグリーンテープ表面積)を伴うロールコーティングによって溶剤接合した。この三対は結合表面に対して法線方向でこの対に適用される290kPa圧力を伴ってそして空気流(1〜2リットル/分)を伴って炉内で20〜150℃は5℃/時で、250℃〜350℃は1℃/時で、そして350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持を伴う)加熱し、そしてそれから50℃/時で1250℃から20℃へ冷却した。結合部品は断面にして研磨する前に漏洩確認をした。
【0069】
それぞれの対に対する漏洩速度を室温で各対のリングの5mm穴を真空源に接続することによって測定した。各対の外部は大気圧に保ったままで、穴のところで<7000kPaの圧力を生じ、そして5mm穴を通じてこの対から出てくるガスの流速を測定した。3つの対の平均漏洩速度は室温で0.11±0.07標準立方センチメートル/分(sccm)であった。これは請求項に記載した発明は非常に低い漏洩速度を有する結合を作ることを実証している。図1は4時間で1250℃まで加熱した後の例1の結合範囲の研磨した断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。左の溝(slot)は結合した範囲の幅を示す。図1は請求項に記載した発明が良好な機械的完全性を伴った結合を作ることを実証する。
【0070】
例2〜5:セラミック粉末の表面積及びテープの可塑性の漏洩速度に対する影響
【0071】
いくつかのペロブスカイトセラミックはB−サイトリッチ(又はA−サイトが欠損(デフィシェント))であるとき、それらはより迅速に焼結する。例1での結合テープの焼結速度を増加するために、1質量%の酸化鉄を例1の結合テープのために使用されるLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末に添加した。表1は組成物を示し、これらは 分散段階の間にFe2O3(CeracグレードI−1039)を添加したこと及び1kgのY−TZPを250gの媒体の代わりに使用したことを除いて例1と同じやり方で作られた。
【0072】
表1 例2〜5のスリップ組成物
【0073】
【表1】
【0074】
a. エタノール、PM−509
b. 分散剤(B−79 PVB)
c. バインダー(B−98 PVB)
d. 可塑剤(S−160 BBP)
e. 2.0m2/g La0.9Ca0.1FeO3−d粉末
f. 6.0m2/g (La0.9Ca0.1)1.005FeO3−d粉末
【0075】
例2〜4のテープ(表1を参照)は一定の25.4mmの外径を伴い、19.1mm、15.9mm、又は9.5mmの内径を伴ってせん断した。これらのガスケットの最長の幅は3.2mm、4.8mm又は7.9mmであり、それぞれバインダー除去の間にこれらの幅の半分の拡散距離を与えた。それぞれの焼結していない、単一層のガスケット(約250μm厚さ)はLa0.9Ca0.1FeO3−dディスクとLa0.9Ca0.1FeO3−dリングとの間に置かれ、このディスクとリングは例1の焼結したディスクとリングと同じ寸法及び特性を有していた。理論密度の95%超のリング及びディスクは2時間1450℃でテープキャスト部品を焼結することによって作った。要望は全ての3つの幅で一定の圧力とすることそしてそれからバインダー除去に重要な範囲の間(150〜250℃)異なる加熱速度を使用してバインダー/可塑剤比率(これは特に他の言及なければ質量ベースである)との関係でガスケット幅の影響を測定することである。重大な加熱速度は各サイクルに関して倍にした(1℃/時、2℃/時、4℃/時、及び8℃/時)。それぞれの結合している対に圧力を、シールしている表面に対して法線方向に、適用した。しかしながら、この圧力は一定には保持されずそして19.1mmの内径のガスケットに対しての175kPaから9.5mmの内径のガスケットに対しての240kPaまで変化させた。さらに、炉内には僅かな温度傾斜があった、これは結果としてより狭いガスケットと比べてより高い温度を有するより広いガスケットをもたらした。27のガスケット(各バインダー/可塑剤比率及びガスケット幅につき3個)を同時に加熱し、20〜150℃は5℃/時、150〜250℃は可変加熱速度で、250℃〜350℃は5℃/時で、350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持を伴う)そして50℃/時で1250℃から20℃の焼成サイクルを使用した。全ての焼結した試料は例1と同じやり方で漏洩確認し、そしてSEM評価のために選ばれた使用を断面にし研磨した。一つの結合サイクルを作り、360kPa圧力及び20℃〜350℃は5℃/時で、350〜1250℃は50℃/時で(1250℃で4時間保持)そして50℃/時で1250℃から20℃を使用して、6m2/g(例5)と2m2/g(例3)を比較した。
【0076】
図2a、2b及び2cは(a)175kPa圧力を負荷した3.2mmの幅のガスケット(b)205kPa圧力を負荷した4.8mmの幅のガスケット及び(c)240kPa圧力を負荷した7.9mmの幅のガスケットに対する2m2/gテープを伴う結合の結果を示す。予想に反して温度勾配速度の漏洩速度に対する影響は無かった。ガスケットの可塑化が高い程(可塑化剤に対するバインダーの比(B/P)は低くなる)、ガスケットサイズにかかわらず、結果としてより少ない漏洩速度をもたらした。上昇した圧力及び結合温度は漏洩速度を低減した。より幅のあるガスケットはより細いガスケットより少ない漏洩速度を有したが、これはこれらのガスケット上のより高い圧力と温度によるものであった。
【0077】
図3(a)、3(b)及び3(c)は研磨した断面における結合した範囲を示し、(a)は加熱速度が1又は4℃/時のいずれかで結合したLa0.9Ca0.1FeO3−dの3.2mmガスケット、(b)は加熱速度が1又は4℃/時のいずれかで結合したLa0.9Ca0.1FeO3−dの7.9mmガスケット、そして(c)は選択した試料を8℃/時で加熱したものに対応する。圧力は高かったにもかかわらず(3.2mmガスケットに対して175kPaそして7.9mmガスケットに対して240kPa)、これらのテープでは比較的低い流量が存在した。
【0078】
図4は2m2/gLa0.9Ca0.1FeO3−d粉末で作ったテープに関するバインダー/可塑剤含有率の関数としての漏洩速度を示す。圧力の適用にもかかわらず、より多く可塑化したテープが結果としてより少ない漏洩速度をもたらした。
【0079】
より多く可塑化したガスケットが結果としてより少ない漏洩速度をもたらしたという事実(図4参照)にもかかわらず、ガスケットの変形度合いにおける差はほとんどなかった(図3参照)。これは与えられたテープ組成物を結合目的のために最適化する能力は表面積、有機含有物、及び可塑化の程度によって決まることを示唆している。
【0080】
表2は比較するガスケットに関する漏洩速度を示し、これは結合圧力が360kPaであるときにより高い表面積のテープを磨いた表面に使用することに対して不利な面が存在しないことを示唆している。漏洩速度は両方の結合テープに関して受け入れられる。
【0081】
表2 バインダー除去の間に5℃/時で加熱したシールに関する漏洩速度
【0082】
【表2】
【0083】
111の結合を大きな漏洩速度の兆候なく作った。磨いた表面に封圧(175〜360kPa)を使用したときでも低温バインダー除去は結合の亀裂を生じなかった。
【0084】
例6〜8:テープの化学量論比の漏洩速度に対する影響
【0085】
表3に示した3つのテープを、セラミックと添加剤(酸化鉄及び炭酸カルシウム(GE製 グレード111−30−26))の両方の組成物を変化させて、結合後にB−サイトリッチ、ほぼ化学両論比、およびA−サイトリッチである結合テープを製造したことを除いて例2−5で記載したのと同様のやり方で作製した。155.1gのトルエン、38.8gのエタノール(PM509)、5gのPVB分散剤(B−79)、及び77.0gのBBP可塑剤(Santicizer160)、これらを事前に1kgの15mm直径のY−TZP媒体を含んだ1リットルHDPEビンに添加しておいたものに表3に示された内容物を加えることによって3つのテープを作った。Fe2O3の粒子サイズを減少させるために、このスリップは30分ずつペイントシェーカーで2時間製粉した(ビンの過熱を防ぐため中間に冷却を伴った)。バインダー(33.5gのB−98 PVB)をその後添加しそしてボールミルで一晩回転させる前にこのスリップを追加の1時間ペイントシェーカーに置いた。
【0086】
このスリップを脱気し一体成型して250μm厚のテープを作った。それから2つのグリーンテープを一緒にラミネートすることによって二層のテープを作った。この二層テープを磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−d結合試料に例2〜5と同様のやり方で結合した。この例6〜8の結合した対は第一の10.6cm長、3.8cm幅、0.05cm厚の長方形の平板及び同じ外形寸法だが二つの3.7cmx1.83cmの長方形の貫通穴を伴う第二の長方形の平板からなり、この穴は0.36cm離れていた。この二層テープを長方形の穴を有する平板と同じ寸法にカットしてガスケットを形成した。ガスケットを各々の結合している対のこの二つの長方形の平板の間に置いた。外圧(275kPa)を各々のシールしている対のシールしている表面に対して法線方向に適用し、そして各タイプの三つの対を炉内で以下のように加熱することによって結合した:20〜350℃は5℃/時、350〜1100℃は50℃/時(4時間1100℃で保持)、そして1100〜20℃は50℃/時。この1100℃保持はCaO−Fe2O3擬似的二成分系における共晶融点(これは約1215℃で生じる)より低かった。それゆえこのシールは液相形態が存在しない温度で作られる。これらの対を漏洩確認し、断面にしそしてSEMで観察した。各々の対は二つの引き込み口(ポート)を含みしたがって合計6つの引き込み口の漏洩確認をした。各引き込み口の漏洩速度を引き込み口を真空源に接続することによって測定し、引き込み口での圧力を<7000kPaに低減し、そしてこの引き込み口から出てくる流速を測定した。この部品を外部圧力をかけずに2時間で1200℃に再加熱し(60℃/時の昇降勾配)そして漏洩確認後に新しい断面をとった。最終的に、この部品は4時間で1300℃まで加熱しそして3度目の断面をとった。
【0087】
表3 例6〜8の組成物
【0088】
【表3】
【0089】
表4 異なるA/B比率を有する例6〜8に対する漏洩速度データ
【0090】
【表4】
【0091】
表4は漏洩速度の結果を示しそして図5〜7はSEM顕微鏡写真を示す。B−サイト過剰が焼結の増進をもたらすことは明らかである。しかしながら、液相が存在している兆候はない。これは1100℃保持と両立し、この保持により添加剤が転移液相を形成するよりもむしろ反応することを可能とする。全ての三つの組成物に関して1100℃での結合後のこの漏洩速度は受け入れられるものであり、そしてこの漏洩速度は1200℃までの加熱によってさらに改善される。A/B比率の減少につれて漏洩速度が減少することはペロブスカイト粉末の焼結活性に結びつけられるようである。この例6のB−サイト過剰組成物は鉄リッチの第二相を有していた、一方例7及び8では第二層に気づかなかった。
【0092】
図5(a)、5(b)および5(c)は結合又は焼きなまし温度に応じた結合の研磨した断面を示す。図5(a)は例6のB−サイトリッチの結合を左に二次像右に後方散乱像を伴って示す。結合でのz方向焼結が存在し、それにつれて多孔性が減少する。図5(b)は例7のほぼ化学量論比の結合を示し、そして図5(c)は例8のA−サイト過剰の結合を示す。他の図においてと同様、矢印は結合範囲を示す。
【0093】
図6は330kPa圧力を伴って1100℃での(左)又は圧力をかけない1200℃への焼きなましでの(右)いずれかで結合した後の結合の研磨した断面を示す顕微鏡写真を合成したものである。マーカーは全て10μm長である。
【0094】
図7はB−サイト過剰の部品がA−サイト過剰の部品より低い気孔率を有していることを示す。
【0095】
例9:大きな磨いていない構成要素の結合
【0096】
大きな結合面積(図8で示すように、36.8cm2)を厚さ430μmの例6のテープキャストで結合した。図8に示すように、二層テープは一緒に溶剤ラミネートしそしてそれから磨いたLa0.9Ca0.1FeO3−d下側スペーサーと磨いていないLa0.9Ca0.1FeO3−d上側スペーサーとの間に溶剤接合した。ソケット結合を通じて伝達される負荷を伴って、圧力(130kPa)をハイアルミナ耐火材平板と結合している表面に対して法線方向に適用した。磨いたハイアルミナ耐火材平板は結合中はLa0.9Ca0.1FeO3−dスペーサーと接していた。結合サイクルは20〜350℃は5℃/時、350〜1150℃は50℃/時(4時間1150℃で保持)、そして1150〜20℃は50℃/時であった。全ての三つの対の二つの引き込み口の各々を例1と同じやり方で真空源を各引き込み口に付けガスの流れを測定することによって漏洩確認した。全ての三つの対を圧力を適用することなく4時間1300℃焼きなましサイクル(加熱及び冷却勾配は1℃/分)に通した、続けて各引き込み口の漏洩確認をした。
【0097】
1150℃で結合した後の6つの引き込み口の平均漏洩速度は16.3±9.5sccmであり、これらの漏洩速度は7.9〜34.6sccmの範囲にあった。焼きなまし後、6つの引き込み口のうち4つは気密であった。図9は標準的な結合範囲を示し、ここで二次像(図9(a))では結合を見るのは困難であるが、後方散乱電子像(図9(b))では結合を識別可能である。この結合は、第二相によって証明されるように、B−サイトリッチである。暗い点は気孔又はプルアウト(pullout)(研磨マークは紙の幅と調和する)であり、そして灰色の点は酸化鉄リッチな第二相である。図9(b)の矢印は結合した範囲を示す。
【0098】
例10:より高い圧力の結合
【0099】
例9で結合した試料と同じ試料をより高い圧力で結合した。結合サイクルは初期に、温度が20〜350℃は5℃/時、350〜1100℃は50℃/時で上げられるとき、690kPaの圧力を適用した。温度が1175℃まで上げられそして4時間保持されるとき、圧力を965kPaに上げた。温度を50℃/時で室温まで下げるときに、圧力を線形的に下げた。二つの引き込み口の漏洩速度は0.054及び0.036sccmであった、これは本発明が非常に低い漏洩速度を有する結合を作ることを実証している。
【0100】
例11−14:粉末活性の結合に対する影響
【0101】
セラミック粉末の表面積が2.0〜5.6m2/gの範囲である、La0.4Sr0.6Co1.01O3−dセラミック粉末を含む一連の結合テープを例1に記載されたプロセスによって、表5に示す処方を使用して作った。
【0102】
表5 例11〜14のスリップ組成物
【0103】
【表5】
【0104】
a.La0.4Sr0.6Co1.01O3粉末
b. エタノール、PM−509
c. 分散剤(B−79 PVB)
d. バインダー(B−98 PVB)
e. 可塑剤(S−160 BBP)
【0105】
全ての四つのテープを例1で定義したように、1:2のバインダー/可塑剤含有率を伴い及び55.0体積%の固体含有率を伴って作った。結合テープの二層又は三層ガスケットを例1で記載したように溶剤接合テープによって一緒に作製した。ガスケット(内径28.5mm、外径31.8mmを伴う)をせん断しそしてそれから磨いていない焼結したLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dセラミックスペーサーに溶剤接合した。1250℃でLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dを焼結することによって緻密なスペーサーを調製した。このスペーサーは35.3mmの外径、27.5mmの内径及び3mmの厚みを有していた。このスペーサーを6枚重ねにし、各々のスタック(積層)が5つの結合を有するようにした。各スタックは結合表面に対して法線方向に690kPaの負荷をかけられそして室温〜350℃は5℃/時、350〜1150℃は50℃/時(1150℃で2時間保持)で加熱し、そして1150〜600℃は50℃/時で、600〜400℃は5℃/時、そして400℃〜室温は50℃/時で冷却した。結合し室温まで冷却した後、5つのセラミック−セラミック結合を含む各スタックの漏洩速度を例1の方法と同様のやり方で測定した。図10はこの温度での漏洩速度に対するセラミック表面積の影響を示す。表面積の増大を伴ってセラミック粉末の焼結速度が増大したせいで、漏洩速度は表面積の増加に伴って指数関数的に減少した。図11は結合範囲の後方散乱像を示しそして図12はこのスペーサースタックの視覚的外観を示す。図11で矢印が結合を示すが、結合は素晴らしい焼結のために見ることが困難である。
【0106】
例15−16:テープ特性の調整能力
【0107】
三層ガスケットを作製したが、ここでこの三層複合材料の外側の層は堅く、そして内側の層は表6に示す特性を有するテープを使用していて変形可能であった。この堅い層は変形可能な内部層をグリーンテープのズレの初期ステージの間に、磨いていないスペーサーの平坦でない表面に適合するように、強要する。例15のガスケットを2m2/gのテープを使用して作製し、そして例16のガスケットを4m2/gのテープを使用して作製した、ここで全ての三層ガスケットは1:2のバインダー/可塑剤のより固さの低いテープを外側の適合可能な層に使用し、そして2:1のバインダー/可塑剤のより固さの高いテープをこのより堅い、内部層に使用した(表6参照)。
【0108】
表6 テープ特性
【0109】
【表6】
【0110】
図13は結合した磨いていないスペーサー−スペーサー対の漏洩速度が圧力及びLa0.4Sr0.6Co1.01O3−dガスケットの焼結活性の増加を伴ってどのように減少するかを示している。三層ガスケットは本結合技術を実践するために必須ではないが、これらの例はこのアプローチの柔軟性を明らかにしている。
【0111】
例17及び18:非ペロブスカイト組成物との結合
【0112】
非ペロブスカイト組成物に対する本技術の適用性を示すために、二つのテープを加工した。例17はアルミナを結合するために使用したAl2O3−15体積%のZrO2組成物であり、そして例18はジルコニアを結合するために使用した部分的に安定化したZrO2テープであった。例17のテープを、1kgのY−TZP媒体を1リットルHDPEビンに添加することそしてそれから317.6gのトルエン、79.4gのエタノール(PM509)、2.5gのPVB(B−79)、397.0gのアルミナ(Ceralox HPA0.5)、及び217.6gの部分的に安定化したジルコニア(Daiich
HSY3.0)を添加することによって調製した。このスリップを30分間ペイントシェーカーにかけ、その後68.8gのバインダー(B−98 PVB)、35.7gの可塑剤(S−160 BBP)を添加しそしてさらに1時間ペイントシェークした。それを68時間ボールミルで混合し、その後脱気しそしてキャスティングして250μm厚のテープを作った。
【0113】
例18のテープを9kgのY−TZP媒体を25リットルHDPEビンに添加することそしてそれから3.03kgのトルエン/メチルエチルケトン及び60gのポリエステルアミン分散剤(Avecia製Solsperse24000)、続けて5.81kgのZrO2(3mol%Y2O3)粉末(Tosoh製グレードTZ−3Y)を添加することによって調製した。このスリップを4時間回転させ(roll)、そしてそれから0.507kgのPVBバインダー(B−79)と0.423kgのBBP可塑剤(S−160)を加え、そしてこのスリップをさらに22時間回転させた。このスリップを濾過し、脱気し、そしてキャストして厚さ250μmのグリーンにした。
【0114】
グリーン二層ガスケット(28.5mmの内径、31.8mmの外径を伴う)を事前に焼結した磨いたセラミックに結合するために、この二層ガスケットを例1に記載したように溶剤接合によって作製した。例17の場合、この焼結したセラミックは99.9%純度のアルミナであり、そして例18の場合、それは少量のアルミナ(Ceramatec グレード TZ−102)を含んだ十分に安定化したZrO2(8mol%Y2O3)セラミックであった。
【0115】
これらの部品にシールしている表面に対して法線方向に1.4MPaの圧力で負荷をかけ、そして25〜350℃は5℃/時そしてその後350〜1250℃は50℃/時で加熱し、1250℃で4時間保持した。この部分的に焼結した結合を室温まで50℃/時で冷却した。例17の部品を1600℃まで加熱しそして加圧しないで2時間保持し、一方で例18の結合を1450℃まで加熱しそして加圧しないで2時間保持した。例17の漏洩速度は0.21sccmでそして例18の漏洩速度は0.07sccmであった。図14及び15は異なる材料間での優れた接合が可能であったことを示し、これは広く多様なセラミック材料を結合することに対する本技術の適用性を実証している。
【0116】
本発明は詳細にそしてそれらの特定の例を参照しながら記述されているが、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく多様な変化及び改造が可能であることは当業者にとって明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法であって、前記方法は以下を含み:
(a)第一の金属酸化物を含む第一の焼結体を提供すること;
(b)第二の金属酸化物を含む第二の焼結体を提供すること;
(c)第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間に結合材料を提供すること、
ここで該結合材料は少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含み、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含むこと;
(d)結合表面に少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、第一の焼結体、第二の焼結体及び結合材料の組立物を提供すること;
(e)該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;そして
(f)第一の及び第二の焼結体の最低焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、
それによって該少なくとも二つの焼結体は結合材料によって結合され複合構造体を形成する、方法。
【請求項2】
第一の金属酸化物がペロブスカイト型結晶構造及び蛍石型結晶構造からなる群から選択した第一の結晶質構造を有する第一の多成分金属酸化物であり、そして第二の金属酸化物が第一の結晶質構造と同一の第二の結晶質構造を有する第二の多成分金属酸化物である、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
第一の焼結体及び第二の焼結体が同一の組成物を有する、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つがアルミナ、ジルコニア、セリア、La1−xSrxCoyO3−δセラミック、La1−xCaxFeO3−δセラミック、又はLa1−xCaxMnO3−δセラミックを含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項5】
第一の及び第二の焼結体がイオン輸送膜、相互接続物(interconnect)、支持体、セラミックのチューブ、シール又は導管の構成要素である、請求項1に記載された方法。
【請求項6】
結合材料は化学的にそして機械的に第一の焼結体及び第二の焼結体と両立する、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
少なくとも一つの有機成分が重合性バインダー、可塑剤、分散剤及び溶媒からなる群から選択した少なくとも一つの部材である、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
セラミック粒子が第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれた全ての元素を含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
少なくとも一つの有機成分が重合性バインダー、可塑剤、分散剤及び溶媒からなる群から選択した少なくとも一つの部材である、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
少なくとも一つの有機成分がバインダー及び可塑剤を少なくとも0.25:1のバインダー対可塑剤の質量比率で含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項11】
結合表面の平坦さからの外れ具合(out of flatness)が500μm未満であるように結合表面が提供される、請求項1に記載された方法。
【請求項12】
適合温度が300℃未満である、請求項1に記載された方法。
【請求項13】
結合温度が第一の及び第二の焼結体の焼結温度より少なくとも100℃低い、請求項1に記載された方法。
【請求項14】
結合表面に対して実質的に法線の角度で圧力が適用される、請求項1に記載された方法。
【請求項15】
複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、請求項1に記載された方法。
【請求項16】
結合が熱サイクルを通して安定している、請求項1に記載された方法。
【請求項17】
セラミック粒子が液相を生じない、請求項1に記載された方法。
【請求項18】
請求項1に記載された方法によって調整した複合構造物であって、前記複合構造物は以下を含み:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含む、複合構造物。
【請求項19】
第一の金属酸化物がペロブスカイト型結晶構造及び蛍石型結晶構造からなる群から選択した第一の結晶質構造を有する第一の多成分金属酸化物であり、そして第二の金属酸化物が第一の結晶質構造と同一の第二の結晶質構造を有する第二の多成分金属酸化物である、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項20】
セラミック粒子は結合温度で適応(adapt)されて固体相に残留する、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項21】
結合温度への加熱後に、複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項22】
結合温度への加熱後に、第一の及び第二の焼結体はチューブ及び/又は平板でありそしてチューブ−チューブ、平板−チューブ、又は平板−平板結合によって結合されている、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項23】
以下を含んでなる複合構造物であって:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含み、
ここで結合温度への加熱後に、該複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、複合構造物。
【請求項1】
少なくとも二つの焼結体を結合し複合構造物を形成する方法であって、前記方法は以下を含み:
(a)第一の金属酸化物を含む第一の焼結体を提供すること;
(b)第二の金属酸化物を含む第二の焼結体を提供すること;
(c)第一の焼結体と第二の焼結体の結合表面間に結合材料を提供すること、
ここで該結合材料は少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含み、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含むこと;
(d)結合表面に少なくとも1kPaかつ5MPa未満の圧力を適用し、第一の焼結体、第二の焼結体及び結合材料の組立物を提供すること;
(e)該結合材料が結合表面に適合することを可能にするために十分な適合温度まで該組立物を加熱すること;そして
(f)第一の及び第二の焼結体の最低焼結温度未満である結合温度まで該組立物をさらに加熱すること、
それによって該少なくとも二つの焼結体は結合材料によって結合され複合構造体を形成する、方法。
【請求項2】
第一の金属酸化物がペロブスカイト型結晶構造及び蛍石型結晶構造からなる群から選択した第一の結晶質構造を有する第一の多成分金属酸化物であり、そして第二の金属酸化物が第一の結晶質構造と同一の第二の結晶質構造を有する第二の多成分金属酸化物である、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
第一の焼結体及び第二の焼結体が同一の組成物を有する、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つがアルミナ、ジルコニア、セリア、La1−xSrxCoyO3−δセラミック、La1−xCaxFeO3−δセラミック、又はLa1−xCaxMnO3−δセラミックを含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項5】
第一の及び第二の焼結体がイオン輸送膜、相互接続物(interconnect)、支持体、セラミックのチューブ、シール又は導管の構成要素である、請求項1に記載された方法。
【請求項6】
結合材料は化学的にそして機械的に第一の焼結体及び第二の焼結体と両立する、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
少なくとも一つの有機成分が重合性バインダー、可塑剤、分散剤及び溶媒からなる群から選択した少なくとも一つの部材である、請求項1に記載された方法。
【請求項8】
セラミック粒子が第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれた全ての元素を含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項9】
少なくとも一つの有機成分が重合性バインダー、可塑剤、分散剤及び溶媒からなる群から選択した少なくとも一つの部材である、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
少なくとも一つの有機成分がバインダー及び可塑剤を少なくとも0.25:1のバインダー対可塑剤の質量比率で含んでなる、請求項1に記載された方法。
【請求項11】
結合表面の平坦さからの外れ具合(out of flatness)が500μm未満であるように結合表面が提供される、請求項1に記載された方法。
【請求項12】
適合温度が300℃未満である、請求項1に記載された方法。
【請求項13】
結合温度が第一の及び第二の焼結体の焼結温度より少なくとも100℃低い、請求項1に記載された方法。
【請求項14】
結合表面に対して実質的に法線の角度で圧力が適用される、請求項1に記載された方法。
【請求項15】
複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、請求項1に記載された方法。
【請求項16】
結合が熱サイクルを通して安定している、請求項1に記載された方法。
【請求項17】
セラミック粒子が液相を生じない、請求項1に記載された方法。
【請求項18】
請求項1に記載された方法によって調整した複合構造物であって、前記複合構造物は以下を含み:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含む、複合構造物。
【請求項19】
第一の金属酸化物がペロブスカイト型結晶構造及び蛍石型結晶構造からなる群から選択した第一の結晶質構造を有する第一の多成分金属酸化物であり、そして第二の金属酸化物が第一の結晶質構造と同一の第二の結晶質構造を有する第二の多成分金属酸化物である、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項20】
セラミック粒子は結合温度で適応(adapt)されて固体相に残留する、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項21】
結合温度への加熱後に、複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項22】
結合温度への加熱後に、第一の及び第二の焼結体はチューブ及び/又は平板でありそしてチューブ−チューブ、平板−チューブ、又は平板−平板結合によって結合されている、請求項18に記載された複合構造物。
【請求項23】
以下を含んでなる複合構造物であって:
第一の金属酸化物を含む第一の焼結体;
第二の金属酸化物を含む第二の焼結体;及び
少なくとも一つの有機成分及びセラミック粒子を含む第一の焼結体と第二の焼結体の間の結合、
ここで該セラミック粒子は:
(i)該結合材料の40体積%〜75体積%を構成し;そして
(ii)第一の焼結体及び第二の焼結体の少なくとも一つに含まれる元素を少なくとも一つ含み、
ここで結合温度への加熱後に、該複合構造物は第一の焼結体と第二の焼結体との間に区別できる界面(interfacial)相がない、複合構造物。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−73967(P2011−73967A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−283417(P2010−283417)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【分割の表示】特願2007−7055(P2007−7055)の分割
【原出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【出願人】(507015402)セラマテック インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283417(P2010−283417)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【分割の表示】特願2007−7055(P2007−7055)の分割
【原出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【出願人】(507015402)セラマテック インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】
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