説明

少なくとも1つのガスセンサアレイを備える加熱調理器、加熱調理器のためのサンプル採取システム、加熱調理器を用いて加熱調理する方法、および加熱調理器を洗浄する方法

本発明は、次のような加熱調理器に関する。この加熱調理器は、少なくとも1つの調理室と、少なくとも1つの装置室と、ガスセンサアレイとを備える。このガスセンサアレイは、少なくとも2つのそれぞれ異なる別々の個別センサ、および/または少なくとも1つのまとまったセンサフィールドを有し、このセンサフィールドは少なくとも2つのそれぞれ異なるセンサセグメントを含む。このガスセンサアレイは、調理室の雰囲気、装置室の雰囲気、および/またはこの加熱調理器を取り囲む大気を検出するためのものである。またこの加熱調理器は、ガスセンサアレイによって検出された信号を記憶する少なくとも1つの記憶部と、検出された信号を処理する少なくとも1つの評価部と、評価された信号に応じて加熱調理プロセスまたは洗浄プロセスを制御するため、少なくとも1つの制御部と、調理室から雰囲気をガスセンサアレイに供給する少なくとも1つの第1の供給管とを備える。この第1の供給管の入口に、および/またはこの供給管の領域に、少なくとも1つのバルブを設ける。また、本発明は、このような加熱調理器のためのサンプル採取システムと、このような加熱調理器を用いて加熱調理する方法、およびこの加熱調理器を洗浄する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのガスセンサアレイを備える加熱調理器、少なくとも1つのガスセンサアレイを備える加熱調理器のためのサンプル採取システムに関する。本発明はさらに、本発明による加熱調理器を用いて加熱調理する方法、およびこの加熱調理器を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理物の加熱調理プロセスを正確に追跡できるようにして、例えば希望の加熱調理状態を決定し、調理物を正しい時点で加熱調理器から取り出せるようにすることは、特に大調理場ならびに従業員食堂にとって重要である。なぜなら、希望の加熱調理状態が得られないなら、その調理物は、例えば焦がしすぎなど、しばしば味覚上の欠陥を生じ、極端な場合はすべて廃棄しなければならないからである。加熱調理ロットが大きいのは、大調理場に通常のことであるが、これには少なからぬ経済的損害がつきまとう。しばしばその原因は、加熱調理プロセスが完全には標準化できないことにあり、これはまたさらに、調理物の大きさが統一されていないこと、初期状態がそれぞれ異なること、調理物の総量として完全に同量が加熱調理されるのはまれであることに原因がある。
【0003】
しかし使用される調理物の種類、大きさ、個数に左右されずに、再現可能な調理結果を得るために、いわゆる調理プロセスセンサ、例えば中心温度センサの利用が増加している。このような調理プロセスセンサは、例えば、特許文献1、特許文献2、または特許文献3に記載されている。これらの中心温度センサによって、事前に指定された参照値を用いれば、調理物の中心が、加熱調理プロセス中に、事前に指定された希望の基準調理温度に、いつ到達したかを測定することができる。このためには少なくとも、中心温度センサが実際に調理物の中心に到達するように、中心温度センサを調理物の中に機械的に挿入する必要がある。当然のことながら、このような測定方法の場合、この刺し込み動作によって調理物は一部破壊される。加熱調理プロセス終了後も、調理物表面に刺し込み箇所が依然認められることがしばしばである。中心温度センサは、加熱調理プロセスの間中、調理室内に置かれることがまれでないので、不注意によりオペレータを傷つけることも時には生じる。また、加熱調理プロセスの間、調理プロセスセンサの差し替えが必ずしも最適に行われず、その結果、例えば調理プロセスセンサが、調理物の本来の中心を外れて差し込まれることもある。さらには、調理物の断面が小さいため、中心温度センサがそもそもその調理物にあてがわれないという可能性も生じる。また、中心温度は必ずしも調理状態を表さない。すなわち、中心温度と調理状態との間に相関関係があり得るのは、調理物について正確な知識がある場合のみである。
【0004】
現在、ガスセンサを用いて、食品の調理状態を検出しようという試みも行われている。ただしこの努力は、今のところプロジェクト段階を超えるものではない。例えば、ドイツ連邦文化科学省が推進するプロジェクト“一次芳香によって、グリル、ベーキング、ローストの各プロセスをチェックするセンサシステム”が意図するのは、適切なガスセンサを用い、完成した食品の匂いによって、食品加熱調理の際の調理終了時点を検出できるかどうか調べることである。このプロジェクトにおいては、さらにコーヒー焙煎プロセスと、ガスセンサによる食品の商品チェックについて調査が行われた(非特許文献1参照)。
【0005】
上記の方法では、食品は加熱されると、確かに多数の揮発性物質を遊離するが、食品の特徴的な匂いに影響するのは、それら揮発性物質のうち、常にごくわずかであるということを利用する。例えば、バターの匂いは合計230の揮発性物質から構成されるが、それらのうち合計19だけが匂いに影響すると見られる(L.M.Nijssenらの非特許文献2)。この種の匂いに影響する物質は、酸化金属ガスセンサ、例えば二酸化錫または酸化亜鉛をベースとする同センサを用いて検出できる(T.Hofmannらの非特許文献3参照)。上記の方法は、いわゆる先導化合物を使用することに基づく。匂いに影響する特徴的な成分または先導化合物はこの場合、使用されるガスセンサによって検知され、検出された信号から所望の情報を導き出すことができる。これには少なくとも最初には、高解像度ガスクロマトグラフィを平行して使用する必要がある。ガスクロマトグラフィで検出された先導物質信号が、ガスセンサの対応する信号に割り当て可能になれば、ただちにガスクロマトグラフィの使用を中止することができる。
【0006】
Lemmeが非特許文献4で述べているところによれば、カールスルーエ研究所(Forschungszentrum Karlsruhe)によるKAMINAの名称を持つガスセンサアレイを使用する場合、先導成分を前もって検出する必要はない。むしろ、このガスセンサに検出されたモデルだけを相互に比較する。上記のKAMINAセンサアレイを最初に学習させた後、ステーキを沢山載せたフライパンの上に取り付けて、“レア”から“メディアム”、“ウェルダン”、“焼き過ぎ”まで、検知することができる。フライパンの加熱は、上記のセンサアレイを用いて、正確に所望の時点で自動的にスイッチオフされる。調理状態の測定に上記のセンサアレイが十分適するとは、上記の文献にはわずかしか書かれていない。これは、このガスセンサの基礎となる特許文献4についても同様である。このセンサタイプの使用範囲を、完全に異なる種類の状況に拡張できるかどうか、すでに疑問である。例えば、特に工業的な加熱調理器の内部スペースにおける調理雰囲気は、開放されたフライパン上に生じる雰囲気と比較することはできない。これは、いわゆる熱風加熱調理器にさらによく当てはまり、この調理器においては、高速で回転するファンホイールが常に使用される。またこのような調理器における空気中湿度は常に非常に高く、飽和領域にあることも稀ではない。従来この種の熱風蒸気調理器における加熱調理プロセスは、中心温度センサを用いて初めて、かなりの満足度を持ってチェックされ得る。したがって、特許文献5および特許文献6で加熱調理器に用いられるガスセンサは、一酸化炭素含有量を測定するためにのみ使用され、その目的は、調理室の汚れの度合いを測定することにより、自動洗浄型加熱調理器の洗浄サイクルの長さを決定できるようにすることである。
【0007】
したがって、特に中心温度センサ使用時に欠点が観察されるため、加熱調理プロセスを追跡する手段、すなわち、再現可能であることから信頼性のある結果が得られ、例えば大きさや初期状態の点で調理物に事前の制限を必要としない、といったような追跡手段も利用できることが望ましい。
【0008】
特許文献7からは、例えば1つの多機能センサが公知であって、このセンサは、加熱エレメントによって加熱される個別のセンサエレメントを含む。このセンサエレメントを、調理室内の湿度に左右されずに加熱調理器を制御するのに用いることができる。
【0009】
特許文献8には、電気調理器の水蒸気排出型フードとして、排気管を備えるものが開示されている。このフードは多数のセンサを備え、これらのセンサは、気体媒体や気体媒体に含まれる物質を評価するために形成されている。これらのセンサが検出し、評価したデータを用いて、例えば電気調理器の排気管におけるファンを制御することができる。同様に特許文献8では、集められた測定データを基に、電気調理器の出力を制御することができる。
【0010】
特許文献9は、冒頭に挙げた種類の加熱調理器、ならびに冒頭に挙げた種類のサンプル採取システムとして、多数のガスセンサを含むガスセンサアレイを用いるものを開示している。このガスセンサアレイは、学習段階の後、様々な物質を検出することができる。例えば、このようなガスセンサアレイは、電子レンジまたはグリル調理器に用いられ、測定されたデータに基づいて、対応する加熱調理器を制御し、または調理物がまだ加工可能であるかどうか検出することができる。
【特許文献1】独国実用新案出願公開第20204393U1号公報
【特許文献2】独国実用新案出願公開第29923215U1号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第19945021号公報
【特許文献4】独国特許第4423289C1号
【特許文献5】米国特許第6,784,404号
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0144768A1号公報
【特許文献7】米国特許第4,378,691号
【特許文献8】独国特許出願公開第10307247A1号
【特許文献9】米国特許第6,170,318B1号
【非特許文献1】www.mst‐innovationen.de,Infoboerse, Mikrosystemtechnik, 43‐2003, L.Heinert, N.Telde,“食品工業におけるロースト、グリル、ベーキングの各プロセスを測定するための半導体ガスセンサの使用 (Einsatz von Halbleitergassensoren zur Erkennung von Roest-, Brat- und Backvorgaengen in der Lebensmittelindustrie) (SPAN)"
【非特許文献2】Volatile Compound in Food, 7.ed., TNO Nutrition and Food Research Institute, Zeist, オランダ
【非特許文献3】"High resolution gas chromatography/selective odorant measurement by multisensor array (HRGC/SOMSA): a useful approach to standardise multisensor arrays for use in the detection of key food odorants", Sensors and Actuators B 41(1997), 8-87ページ
【非特許文献4】Elektronik/17 2002, 42-48ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の加熱調理器ないしサンプル採取システムを発展させて、従来の技術の欠点を克服することである。特に調理状態の無接触チェックを、外乱影響に左右されることなく、特に調理物ロットが大きくても加熱調理器の内部スペースで行えるようにして、より大きなプロセス安定性が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この加熱調理器に関する課題は、請求項1の内容によって解決される。
【0013】
本発明による加熱調理器の有利な実施形態を、請求項2〜20に記載した。
【0014】
基本的にはすべての加熱調理器が、本発明による加熱調理器、すなわち調理室と装置室とを備える同加熱調理器の出発点と見なされる。特に、これらの加熱調理器は、さらに少なくとも1つのエアレーションシステムを備える、いわゆる熱風蒸気調理器である。本発明による加熱調理器の出発基盤となる適切な熱風蒸気調理器は、例えば独国特許第19651514A1号に記載されている。従来型の熱風蒸気調理器に用いられているファンホイールは、高回転数時に調理室の一部に非常に高い風速を生じ、このため、脂肪その他の液滴を調理室内部に舞い上げる場合がある。
【0015】
当然のことながら、本発明による加熱調理器の記憶部と評価部、ならびに制御システムを、ただ1つのプロセッサ内に設けることができる。この制御システムを介して、例えば調理室加熱、ファンホイールの回転数、蒸気発生器、エアレーション装置―例えば新鮮な空気によるもの―、蒸気ノズルおよび/または洗浄ノズルを制御することができる。
【0016】
本発明による加熱調理器は少なくとも1つのガスセンサアレイを含むが、同加熱調理器におけるガス雰囲気の監視が可能であり、先導化合物についても、好ましくは検出された信号全体についても、その状態を知ることができる。この先導化合物の信号は、前もって検出され、加熱調理器の記憶部に入力されている。検出された信号全体の場合、加熱調理プロセスの間における複雑な信号モデルの時間的変化について、所望の情報が、先導化合物を用いることなく求められて、例えば調理状態について言明することができる。すなわち、特に酸化可能および/または還元可能な多数の揮発性物質に由来する信号が、全スペクトルとして、ガスセンサアレイを介して規則的に検出される。この全スペクトルから、特定の個別化合物の信号は、通常は抽出されない。これは、センサアレイを介して全モデルが検出されるため、一般には不要である。ほぼ同一の条件下で、かつほぼ同一の測定対象雰囲気において、ガスセンサアレイの少なくとも2つの、特に多数の個別センサまたはセンサエレメントから、それぞれ異なる測定信号が得られる。このようにして、いずれの個別の測定条件または雰囲気に対しても、特徴的な全体的測定結果が得られる。ある1つの時間区分において、証拠能力が十分な信号モデルを検出するには、個別センサまたはセンサセグメントが5〜100個、例えば10〜50個あれば、しばしばすでに十分である。
【0017】
調理状態について言明できるためには、一般には少なくとも1つのいわゆる学習段階が必要である。加熱調理器で特定されるべき状態、特に調理状態で、この場合まず経験的に運転し、検出された信号モデルの時間的変化を、最適な加熱調理経過の標準状態として求め、記憶させる。次に信号モデルの時間的推移として、この最適な状態から逸脱する加熱調理プロセスに対するものを求め、記憶する。これにより、ある加熱調理プロセスにおいて、検出された信号の時間的変化が、所望の限界内または許容範囲内を推移するならば、事前指定された所望の加熱調理プロセス制御が維持されることになる。もしこの限界内、許容範囲内にないならば、新たな解決法が用いられる。したがって重要なのは特に、検出された信号全体について、その時間的な推移または変化を追跡することである。一般的には、ある1つの加熱調理タイプに対する上記の学習段階は、1回行えば十分である。そうすれば得られた信号モデルは、その他すべての加熱調理器に問題なく用いることができ、例えばそれらの器具の記憶部にファイルすることができる。
【0018】
特に、少なくとも1つのガスセンサアレイを、調理室、装置室、エアレーションシステムの中に、および/または加熱調理器の外部に、取り付ければ有利である。
【0019】
同様に好ましくは、このガスセンサアレイは、酸化物半導体フィルムからなる複数のフィールドを含むものとし、これらのフィールドは、それぞれ2つの電極と結合されるものとする。その際、これらのフィールドは1つのほぼ連続した面を形成し、電極はテープ状の形状であって、この連続的な面が複数のフィールドに区分される際には、連続的な面のいずれのフィールドも、それぞれ2つの電極によって区切られるようにする。
【0020】
したがって適切なガスセンサアレイは、複数の、例えば8個の個別センサを配置したものからなり、これら個別センサは対をなして、1つのシリコンチップの上に配置される。これら個別センサのいずれもが、1つまたは複数の半導体用酸化物SnO2、ZnO、TiO2およびWO3からなり、薄膜としてチップに塗布されている。このチップの少なくともその一部分を、パラジウムまたはプラチナが触媒として覆っている。使用される個別センサはすべてその構成または構造が相違する。測定ガスと接触すると、半導体用酸化物の導電性が、同酸化物の構成や、場合によっては施されている触媒作用のあるパラジウムコーティングに応じて変化する。したがっていずれの個別センサも、測定ガスと接触してそれぞれ異なる信号を提供する。この信号は導電性変化に比例する。この種のガスセンサアレイは、例えばX.Wangらによる、Sensors and Actuators B 13〜14(1993)458〜461に記載されている。
【0021】
特に好ましくは、次のようなガスセンサアレイを用いる。すなわち、このセンサアレイにおいては、それぞれ異なるフィールドが、それぞれが2つの電極と結合されている酸化物半導体薄膜を含んでおり、これらのフィールドは、還元ガスまたは酸化ガスと接触すると、温度、構成、ドーピング、および/またはコーティングに応じて、それぞれ異なる導電性変化を示す。
【0022】
1つの好ましいガスセンサアレイでは、感応層が主としてただ1つの連続する層から構成され、この層は1つまたは複数の半導体用酸化物から、例えば二酸化錫からなる。この連続する層は、テープ状の電極によって個々のフィールドに区分される。これらの電極は、連続する層の直接上に、またはこの層の表面の下にかぶせることができる。この連続する面は、特に次のようにして、上記のフィールドに区分される。すなわち、連続する面におけるいずれのフィールドも、好ましくはそれぞれ2つの電極によって区切られるようにする。1つの有利な実施形態では、ガスセンサアレイにコーティングを施し、還元ガスまたは酸化ガスに対するコーティングの透過性は、外側2つの電極の間にあるもので、常に変化するものとする。
【0023】
特に複雑な気体系を分析する際に有利なのは、センサアレイの個々のフィールドの構造または構成が、相互に異なる場合である。したがって、センサがただ1つのガスと接触するだけで、いずれのフィールドも他のフィールドと異なる導電性変化を生じる。フィールドをそれぞれ異なる構成とすることは、例えば貴金属の蒸着、すなわち酸化金属フィルムのドーピングを、時間の長さをさまざまに変えて行うことにより達成できる。ガスセンサアレイの連続する面全体における構成の連続的変化は、化学蒸着法(chmical vapor deposition)によって得られる。
【0024】
ある特定のガスに対するガスセンサアレイの感度は、ある特定の温度を加えることによって、特に異なるフィールドに異なる温度を加えることによって調節すれば、有利な場合がある。この点については、基本的に下記の場合、ガスセンサアレイの感度が高くなることに、前もって注意を喚起したい。
―化学反応の経過時間に応じて、ガスセンサアレイの信号、例えば個別センサの抵抗に、著しい変化が認められる場合。
―ガスセンサアレイの信号がそれ自体すでに強い場合、すなわちある定義された濃度が、強い可能性のある信号を生じる場合。
―同時に生じる様々なガスが、可能な限り異なる信号モデルを、ガスセンサアレイ内に生じる場合。または、
―ある1つのガスの検出限界が低いため、低濃度ですでにそのガスの同定が可能である場合。
【0025】
1つのガスセンサアレイの同一センサであっても、さまざまガスに対し、温度に応じて矛盾する感度を示すことがわかっている。そのためいずれのセンサの温度も、調節可能とするのが有利であろう。この目的で、例えば熱電対によって、ガスセンサアレイのあらゆるフィールドの温度を検出できるようにし、あらゆるフィールドを目的に合わせて、例えば電熱線によって、加熱できるようにするべきであろう。
【0026】
特に適切なガスセンサアレイは、例えば独国特許第4423289C1号に記載されており、カールスルーエ研究所のいわゆるKaminaセンサとしても知られている。
【0027】
本発明のもう1つの態様によれば、本発明による加熱調理器は、第2、第3、および/または第4の供給管をも、それぞれ少なくとも1本ずつ備えることを特徴とする。第2の供給管は、装置室から第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイの少なくとも1つに雰囲気を送る。第3の供給管は、エアレーションシステムから第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイの少なくとも1つに雰囲気を送る。第4の供給管は、加熱調理器を取り巻く大気を第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイの少なくとも1つに送る。
【0028】
さらに、適切な加熱調理器は、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイからの、第1の排出管を少なくとも1本備える。
【0029】
ガスセンサアレイの測定面を、長期の間に生じる汚れから保護するため、少なくとも1つのガスセンサアレイの前、特に同ガスセンサアレイの測定面の前に、および/または第1、第2、第3および/または第4の供給管の入口の中、または入口に接して、少なくとも1つのフィルタを取り付ければ有利である。適切なフィルタは、例えばプラスチックダイヤフラム、例えばテフロン(登録商標)製ダイヤフラム、セラミックスフィルタ、例えば多孔質の酸化アルミニウムセラミックス、または金属フィルタ、例えば多孔質の金属フォームである。焼結合金フィルタが特に適している。
【0030】
本発明による加熱調理器はその他、少なくとも1つの、特に制御部を介して制御可能なバルブが、第2、第3および/または第4の供給管および/または排出管の入口に、および/またはそれらの管の領域に設けられていることを特徴とする。
【0031】
上記のバルブ、特に排出管の経路に設けられている上記のバルブを用いて、例えばガスセンサアレイに排気が取り込まれるのを防止することができる。ガスセンサアレイへの供給管は、好ましくは非常に短く作られるものとする。これは検出される信号に、不必要な遅れやぼやけが生じるのを防止するためである。
【0032】
適切な加熱調理器のもう1つの実施形態はさらに、分析される雰囲気を1つまたは複数のガスセンサアレイに搬送するため、第1、第2、第3および/または第4の供給管と作用上結合しているポンプ部を少なくとも1つ備える。例えばポンプを用いて、調理室または装置室または外気から得た雰囲気を、フィルタを通して、ガスセンサアレイに導くことができる。このフィルタは、サンプル体積物の特徴的な構成を変えないものである。この場合のフィルタは、例えば固形物粒子や、滴状の脂肪および液体を捕捉することができる。
【0033】
本発明は、少なくとも2本の供給管を、直接または間接に、ガスセンサアレイと結合することも意図する。
【0034】
例えば、少なくとも1つのガスセンサアレイを、調理室または装置室の内壁に組み込む。当然のことながら、加熱調理器外の領域における雰囲気を検出または分析するため、ガスセンサアレイを加熱調理器の外壁にも設け、または外壁内に組み込むこともできる。その他もう1つの実施形態では、加熱調理器の内壁または外壁の中に組み込まれたガスセンサアレイもまた、分析される雰囲気を取り込むための供給管を備えることができる。これは特に、ガスセンサアレイが壁面上に設けられず、壁面内に組み込まれている場合、有利である。これらの供給管は、適切なフィルタをガスセンサアレイの前に取り付けるためにも、利用することができる。
【0035】
好ましくは、調理室の少なくとも2つの内壁に、少なくとも1つのガスセンサアレイを設ける。この方法で、加熱調理プロセスを箇所ごとに検出することができる。
【0036】
サンプル採取システムに関する課題を解決するには、加熱調理器のための次のようなサンプル採取システムを設ける。このサンプル採取システムは、加熱調理器の調理室から得た雰囲気を検出する少なくとも1つの第1のガスセンサアレイ、加熱調理器の装置室から得た雰囲気を検出する第2のガスセンサアレイ、加熱調理器のエアレーションシステムから得た雰囲気を検出する第3のガスセンサアレイ、および/または加熱調理器を取り囲む大気を検出する第4のガスセンサアレイを含む。さらに第1、第2、第3および/または第4の供給管それぞれ少なくとも1つ設ける。第1の供給管は、調理室から得た雰囲気を、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイに供給するものである。第2の供給管は、装置室から得た雰囲気を、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイに供給するものである。第3の供給管は、エアレーションシステムから得た雰囲気を、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイに供給するものである。第4の供給管は、調理室を取り囲む大気を、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイに供給するものである。この場合、第1、第2、第3および/または第4の供給管の入口に、および/またはそれら供給管の領域に、バルブが少なくとも1つ配置されている。
【0037】
さらに、第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイからの、少なくとも1つの第1の排出管が設けられている。この場合好ましくは、排出管の入口に、および/または排出管の領域に、バルブを少なくとも1つ配置する。
【0038】
少なくとも1つのガスセンサアレイの前、特に同ガスセンサアレイの測定面の前に、および/または第1、第2、第3および/または第4の供給管の入口の中に、または同入口に接して、フィルタを少なくとも1つ設けることを、本発明は提案する。
【0039】
また、上記の少なくとも1つのバルブは、制御可能とすることを意図する。
【0040】
分析される雰囲気を1つまたは複数のガスセンサアレイに搬送するため、少なくとも1つのポンプ部を、第1、第2、第3および/または第4の供給管と結合することを、本発明は提案する。
【0041】
本発明による好ましいサンプル採取システムは、次の特徴を持つ。すなわち、ガスセンサアレイは、それぞれが2つの電極と結合されている、金属酸化物半導体フィルムからなる複数のフィールドを含む。この場合フィールドは、ほぼ連続する1つの面を形成し、電極はテープ状の形状であり、そして連続する面は複数のフィールドに区分されるが、その際、連続する面におけるいずれのフィールドも、それぞれ2つの電極によって区切られている、このような特徴である。
【0042】
本発明は次のことも提案する。すなわち、各ガスセンサアレイのそれぞれ異なるセンサ、センサセグメント、および/またはフィールドは、還元ガスまたは酸化ガスと接触するとき、温度、構成、ドーピング、および/またはコーティングに応じて、それぞれ異なる導電性変化を示すものとする。
【0043】
さらには、ガスセンサアレイの各センサ、センサセグメント、および/またはフィールドの温度は調節可能とすること、好ましくはある特定の温度勾配、またはある特定の温度プロファイルを、ガスセンサアレイに印加できるものとすることも、意図している。
【0044】
いずれのセンサ、いずれのセンサセグメント、および/またはいずれのフィールドも、1つの、好ましくは制御可能な熱電対および/または加熱エレメントと、作用上結合させることも、本発明は提案する。
【0045】
さらに別の態様では、本発明の加熱調理器によって調理物を調理する方法として、次のことを提案する。すなわち、少なくとも調理室雰囲気が、少なくとも1つのガスセンサアレイの少なくとも1つのセンサ、センサセグメント、またはフィールドに供給されて、加熱調理の間、断続的または連続的に検出され、分析結果が評価部で、記憶部にファイルされた基準と比較され、分析結果に従って加熱調理プロセスが制御される、このような方法である。
【0046】
この場合、分析結果が、選択された基準から逸脱しないように、あるいは逸脱が事前に決められた帯域の範囲内にとどまるように、意図することができる。
【0047】
さらに、センサ、センサセグメントまたはフィールドの温度、および/または比較に用いられる基準を変化させること、特に加熱調理プロセスの前または同プロセスの間に、変化させることを、意図することができる。
【0048】
さらに、本発明は次のことを提案する。すなわち、上記の基準は、各ガスセンサアレイの検出信号のプロファイルまたはモデルとして、特に調理物の種類、調理物の量、調理物の品質、および/または所望の加熱調理の度合いに応じて、好ましくは各センサ、センサセグメント、および/またはフィールドのそれぞれ異なる温度に対するものが、学習段階で記憶されるものとする。
【0049】
加熱調理器の内部スペースに調理物を装入した後、特に最初の加熱段階の間、調理物の種類および/または初期状態を、1つまたは複数のガスセンサアレイによって検出することも、意図することができる。
【0050】
この場合、検出された種類および/または検出された初期状態を、加熱調理プロセスを制御する際に考慮することを提案する。
【0051】
さらに、本発明は、ある調理物の初期状態として、腐敗していると評価される場合、加熱調理プロセスを停止し、かつ/または警告信号を出すことを提案する。
【0052】
さらに、学習段階で、上記のいずれの基準にも1つの加熱調理プロセスを割り当てることを、意図することができる。
【0053】
したがって、学習の際、それぞれ異なる温度プロファイルがガスセンサアレイに供給され、ガスセンサアレイの信号が記憶され、また基準を形成するガスセンサアレイのいずれの信号モデルにも、加熱調理プログラムが割り当てられることにすれば、有利である。次いで本発明による加熱調理器の通常運転時に、加熱調理器の操作面およびガスセンサアレイからの情報を用いて、調理室で生じる化学的プロセスを上記の基準と比較して分類する。分類が行われると直ちに、経験的に決定された適切な温度プロファイルが呼び出される。この温度プロファイルは、ガスセンサアレイの感度を最適化し、そして最適な加熱調理プログラムの選択を可能にする。多数の熱電対と加熱エレメントを用いて、いつでもガスセンサアレイの温度プロファイルを調整することができる。しかも1つの加熱調理プロセスの間に複数回、すなわちこの分類の適合が必要な場合に設定することができる。
【0054】
加熱調理プログラムが時間制御されているとき、例えば加熱調理器の操作面を経由する入力によって、調理室内の湿度だけを制御する場合、本発明によれば、記憶された多数の温度プロファイルの中から、次のような温度プロファイルを自動的に選択する。すなわち、加熱調理雰囲気のH2O含有量をできるだけ正確に決定できるが、調理物自体の加熱調理によって生じる炭化水素が増えても、これが信号におよぼす影響はできるだけ少ないような温度プロファイルである。
【0055】
その他、肉をグリルするために操作面に入力がなされ、そしてこの肉は牛肉である確率が高いとガスセンサアレイにおける上記プロファイルまたはモデルが認識するなら、本発明による加熱調理器の制御装置は、自動的に1つの温度プロファイルを選択する。これは、グリルされた牛肉に対する感度が、実証されている温度プロファイルである。この場合、加熱調理時に生じる炭化水素が増加するが、これは信号モデルの形成に特に著しく影響する。
【0056】
別の態様は、本発明による加熱調理器を洗浄する1つの方法を意図する。この方法の場合、加熱調理プロセス終了後、調理室の汚れの度合いを1つまたは複数のガスセンサアレイによって決定し、その汚れの度合いに対応する洗浄プログラムを、評価部によって求め、この洗浄プログラムを制御部によって運転する。
【0057】
この場合汚れの度合いを、基準、好ましくは各ガスセンサアレイの信号のプロファイルまたはモデルとしての基準、特に学習段階で記憶されるプロファイルまたはモデルとしての基準との比較によって、検出することを意図することができる。
【0058】
本発明による加熱調理器、サンプル採取システムまたは方法の上記の実施形態を用いれば、加熱調理器の様々な箇所における匂いを検出することができる。これは、測定箇所に取り付けられた複数のガスセンサを用いて、場合によってサンプル採取のための専用の供給管を備える同ガスセンサを用いて、行うことができる。または、1つの中心的なガスセンサアレイにすべて用いられる多数の供給管を用いて、行うことができる。
【0059】
本発明によれば、加熱調理プロセスの間、例えば調理室ドアの頻繁な開閉によって、調理室雰囲気が損なわれ、または変化する場合でも、最適な加熱調理結果が得られる。調理室の雰囲気が変化して、このことが加熱調理器に検知されておらず、または記憶部にファイルされていない場合、操作者のためにエラーメッセージが生成することができる。さらに有利なことは、検出された匂いモデルを介して、調理物の初期加熱時に、調理物の初期状態、例えば低温に冷却されている、マリネ状態であるなどの状態を検出できることである。検出された全体モデルの時間的変化を用いて、例えば調理物が低温に冷却されていることが検知されるならば、まず解凍段階またはウォームアップ段階を作動することができる。マリネ状態のものが検出される場合、これを加熱しすぎることのないよう、確実な処置が取られる。加熱調理のこの初期段階では、加熱調理される食品が、腐敗している可能性がないかどうか、あるいは肉の熟成が悪く、所望の加熱調理結果を得るためには、場合によっては停止段階で止めるべきかどうか、このようなことも確認することができる。
【0060】
したがって、調理物例えば肉の初期状態を、ユーザが視覚または触覚によって確認する必要はなくなり、本発明による加熱調理器によって求めることができるのは、有利なことである。
【0061】
検知されているまたは記憶された信号推移が変化する速度も、調理室に入れられた調理物の量に依存する。そのため、本発明の加熱調理器を用いる加熱調理プロセスでは、その初期段階ですでに、いわゆる負荷測定を行うことができる。検出された負荷に、次に加熱調理プログラムを個々に適合させることができる。
【0062】
匂いを持つ化合物の検出は、各調理物の表面状態や火の通り具合を確認するためにも用いることができる。例えばある調理物がすでに十分焦げ目がついているが、火がまだ通っていない場合、焦がし過ぎを生じないよう、加熱調理温度を相応に下げなければならない。測定可能な表面反応速度と、火の通りの速度から、さらに調理物の個物の大きさも求めることができる。さらに有利なこととして、香辛料を加えるとか、加湿するとか、水を加えるといったプロセスは、純粋に時間に依存して行う必要がなくなり、実際の火の通り具合に応じて、それぞれ正しい時点に行うことができる。このプロセスは、本発明の加熱調理器によれば、当然のことながら自動化することもできる。
【0063】
調理室内の複数箇所におけるサンプル採取を、同時にまたはほとんど同時に行うことができることにより、調理物に均一に火が通っているかどうか、あるいは調理物によく火が通っている領域と、火の通りが少ない領域とがあるかどうか、本発明による加熱調理器の操作者には、問題なく推定される。方向変換可能または調節可能なそらせ板を用いれば、例えば熱風蒸気調理器では、火の通りが足りない調理物に的を絞って、エネルギーを加えることができる。
【0064】
本発明の加熱調理器に用いられるガスセンサアレイによれば、加熱調理終了後であっても、調理室の汚れの度合いを検出することができる。例えば、記憶された初期状態と最終状態の単純な比較をこのために援用することができる。この汚れの度合いを用いて、加熱調理器は、この汚れの度合いに適合した洗浄プログラムを、自動的に提案または実行することができる。例えば油脂の割合が高いことが検出されると、多量の乳化剤を、自動的に提案または使用することができる。同様にして、蛋白質を含む汚れが検出されると、酵素を含む洗浄剤を提案することができる。
【0065】
さらに、本発明の加熱調理器を用いれば誤操作が防止され、例えば焦げ付き臭といった不具合、装置室や調理室における加熱調理システムの過熱または漏れを、ただちに検知することができる。特に有利なのは、初期状態と最終状態を検出し互いに比較できることで、これにより、所望の衛生条件がすべて遵守されていたかといったことを検知することができる。
【0066】
例えば蒸気発生器を加熱調理器に用いる場合、本発明の加熱調理器に設けられたガスセンサアレイを用いて、水質をも直接に確認することができる。
【0067】
特に少なくとも1つのポンプ、少なくとも1つのフィルタ、および少なくとも1つのバルブを組み合わせて使用することにより、許容されるデータ収集が得られる。
【0068】
本発明のその他の内容と利点を下記の説明に記載する。下記の説明では、本発明の加熱調理器の実施例を、模式的な図面を用いながら、具体的に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
図1は、本発明による加熱調理器、この場合は熱風蒸気調理器100である。この加熱調理器は、調理室ドア8および排出口10を備える調理室1、エアレーションシステム7、装置室9を含む。この実施形態では、装置室9にガスセンサアレイ2が設けられている。ガスセンサアレイ2には、供給管20、22、24、26を経由して、加熱調理室1、エアレーションシステム7、装置室9から、または加熱調理室100外部の大気11から、分析されるべきガスサンプルを別々に、または同時に供給することができる。サンプル採取は、制御可能なバルブ4、およびガスセンサアレイ2の下に接続されたポンプ3を用いて、簡単に行うことができる。供給管20、22、24、26に、適切なフィルタ5または6を設ければ有利である。例えば調理室1内の雰囲気を測定するためには、供給管20のバルブ4を除き、その他すべてのバルブ4を閉じて、所望の調理室雰囲気だけを、ガスセンサアレイ2に供給することができる。
【0070】
代替の方法として、図2に示すように、いずれのサンプル採取システムにも、専用のガスセンサアレイ2を設けることができる。この変形の場合、調理室1に生じた雰囲気は供給管20を経由して、エアレーションシステム7に生じた雰囲気は供給管22を経由して、装置室9に生じた雰囲気は供給管24を経由して、そして加熱調理器100の外部の大気11は供給管26を経由して、それぞれのガスセンサアレイ2に供給される。すでに図1で説明したように、図2の変形でも、供給管20、22、24、26の入口領域にフィルタ5または6を用いて、動作することができる。別々に制御できるポンプ3を用いて、各ガスセンサアレイ2に対するサンプル供給を制御することができる。
【0071】
図1および図2の実施形態に記載するように、ガスサンプルは、加熱調理器100における様々な箇所で採取して、1つの中心的な、または複数の別々なガスセンサアレイ2に供給することができる。サンプルは、加熱調理器100の内部スペースから採取したものも、外部スペースから採取したものも、1つまたは複数のガスセンサアレイ2に供給し、測定することができることによって、例えば最適な加熱調理プロセスを決定するとき、周囲の空気の影響による外乱を避けることができる。
【0072】
図1または図2の加熱調理器100に使用できるガスセンサアレイ2は、図3に記載するように、多数のフィールドを持つ。これらのフィールドはそれぞれ1つのガスの検出に用いられ、その際、1つの特定のガスに対する感度は、それぞれ特定の印加が行われた1つの温度プロファイルを介して、調節することができる。この温度プロファイルは、牛肉、豚肉、魚、または鶏肉といった調理物の種類に応じて、または中心温度および/または焦げ目付けによって決定される加熱調理の度合いその他に応じて、例えば加熱調理器100の操作面101から、選択可能または調節可能である。しかもこの選択または調節は、好ましくは加熱調理器100の制御装置または調整装置102を、中間に接続することにより行う。温度プロファイル200の再調整は、ガスセンサアレイ2の出力データに応じて行うこともできる。このようにして加熱調理プロセスの間、感度の最適化が得られ、したがってまた加熱調理プロセスを1つの標準的加熱調理プロセスおよび特定の加熱調理プログラムに割り当てるに当たって、その最適化が得られる。このことから最終的には、再現可能で良好な加熱調理結果が、得られることになる。
【0073】
上記の説明および図面と請求項の範囲で開示された本発明の諸内容は、個別にも、またいかなる任意の組み合わせにおいても、本発明を様々な実施形態で実現するに重要なものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による加熱調理器の模式的断面図。
【図2】本発明による加熱調理器の上記と異なる実施形態の模式的断面図。
【図3】本発明による加熱調理器の主なコンポーネントと組み合わせた、ガスセンサアレイを示す図。
【符号の説明】
【0075】
1 調理室
2 ガスセンサアレイ
3 ポンプ
4 バルブ
5 フィルタ
6 フィルタ
7 エアレーションシステム
8 調理室ドア
9 装置室
10 排出口
11 大気
12 排出管
20 供給管
22 供給管
24 供給管
26 供給管
100 加熱調理器、熱風蒸気調理器
101 操作面
102 制御装置または調整装置
200 温度プロファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器(100)であって、少なくとも1つの調理室(1)と、少なくとも1つの装置室(9)と、少なくとも1つのガスセンサアレイ(2)とを備え、前記ガスセンサアレイは、前記調理室(1)の雰囲気、前記装置室の雰囲気、および/または前記加熱調理器具(100)を取り囲む大気(11)を測定するため、少なくとも2つのそれぞれ異なる別々の個別センサ、および/または少なくとも1つのまとまったセンサフィールドを有し、前記センサフィールドは少なくとも2つのそれぞれ異なるセンサセグメントを含み、前記ガスセンサアレイ(2)が検出した信号を記憶する少なくとも1つの記憶部と、検出された前記信号を処理する少なくとも1つの評価部と、評価された前記信号に応じて加熱調理プロセスまたは洗浄プロセスを制御する少なくとも1つの制御部と、前記調理室(1)から前記ガスセンサアレイ(2)に雰囲気を供給する少なくとも1つの第1の供給管(20)とを備え、前記第1の供給管(20)の入口に、および/または前記供給管の領域に、少なくとも1つのバルブ(4)を設けている、加熱調理器。
【請求項2】
前記調理室(1)のためのエアレーションシステム(7)を含み、前記ガスセンサアレイ(2)によって、前記エアレーションシステム(7)の雰囲気が検出されることを特徴とする、請求項1に記載の加熱調理器(100)。
【請求項3】
前記調理室(1)の前記雰囲気を検出するための第1のガスセンサアレイ(2)、前記装置室(9)の前記雰囲気を検出するための第2のガスセンサアレイ(2)、前記エアレーションシステム(7)の前記雰囲気を検出するための第3のガスセンサアレイ(2)、および/または前記加熱調理器(100)を取り囲む前記大気(11)を検出するための第4のガスセンサアレイ(2)を備え、前記調理室(1)、前記装置室(9)、前記エアレーションシステム(7)の中、および/または前記加熱調理器(100)の外部に、前記ガスセンサアレイ(2)が少なくとも1つ取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の加熱調理器(100)。
【請求項4】
前記装置室(9)から前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に前記雰囲気を供給する少なくとも1つの第2の供給管(24)、前記エアレーションシステム(7)から前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に前記雰囲気を供給する少なくとも1つの第3の供給管(22)、および/または、前記加熱調理器(100)を取り囲む前記大気(11)を、前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に供給する少なくとも1つの第4の供給管(26)を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項5】
少なくとも2つの前記供給管(20、22、24、26)が、直接または間接に、前記ガスセンサアレイ(2)と結合されていることを特徴とする、請求項4に記載の加熱調理器(100)。
【請求項6】
前記調理室(1)および前記装置室(9)の内壁、および/または前記加熱調理器(100)の外壁に、少なくとも1つの前記ガスセンサアレイ(2)が組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項7】
前記調理室(1)の少なくとも2つの内壁に、少なくとも1つの前記ガスセンサアレイ(2)が組み込まれていることを特徴とする、請求項6に記載の加熱調理器(100)。
【請求項8】
分析される雰囲気を少なくとも1つの前記ガスセンサアレイ(2)に搬送するため、前記第1、第2、第3および/または第4の供給管(20、22、24、26)と作用上結合された少なくとも1つのポンプ部(3)を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ガスセンサアレイ(2)の前、特に前記センサアレイの測定面の前、特に前記第1、第2、第3および/または第4の供給管(20、22、24、26)の入口の中または入口に接して、少なくとも1つのフィルタ(5、6)を設ける、請求項1〜8のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項10】
前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)から第1の排出管(12)を少なくとも1つ設ける、請求項3〜9のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項11】
前記第2、第3および/または第4の供給管(22、24、26)および/または前記第1の排出管(12)の入口に、および/または前記供給管の領域に、少なくとも1つの前記バルブ(4)を設ける、請求項4〜10のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項12】
いずれの前記バルブ(4)も前記制御部により制御できる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項13】
前記記憶部、前記評価部および/または前記制御部が前記装置室(9)に、特に制御装置または調製装置(102)の中に組み込まれて、配置されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項14】
いずれの前記ガスセンサアレイ(2)も、金属酸化物半導体フィルムからなる複数のフィールドを含み、前記フィールドは2つの電極と結合されており、前記フィールドはほぼ連続する1つの面を形成し、前記電極はテープ状の形状であり、前記連続する面は複数のフィールドに区分され、前記連続する面におけるいずれの前記フィールドも、それぞれ2つの前記電極によって区切られることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項15】
いずれの前記ガスセンサアレイ(2)のそれぞれ異なる前記センサ、前記センサセグメントおよび/または前記フィールドも、還元ガスまたは酸化ガスと接触するとき、温度、構成、ドーピングおよび/またはコーティングに応じて、それぞれ異なる導電性変化を示すことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項16】
いずれの前記センサ、前記センサセグメントおよび/または前記フィールドの温度も調節可能であり、前記加熱調理器(100)の操作面(101)を介して手動により、および/または評価部および/または制御部(102)を介して自動的に、調節可能であることを特徴とする、請求項15に記載の加熱調理器(100)。
【請求項17】
多数の温度勾配から得られた1つの特定の温度勾配または多数の温度プロファイルから得られた1つの特定の温度プロファイルが、前記各ガスセンサアレイ(2)に印加され、前記多数の温度プロファイルは、前記記憶部に記憶されていることを特徴とする、請求項15または16に記載の加熱調理器(100)。
【請求項18】
前記温度、前記温度勾配または前記温度プロファイルは、加熱調理プロセスまたは洗浄プロセスの前または間に、変化させることができることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項19】
少なくとも1つの熱電対および/または少なくとも1つの加熱エレメントが、前記ガスセンサアレイ(2)の前記センサ、前記センサセグメントおよび/または前記フィールドに割り当てられ、かつ/または前記制御部を通じて制御可能であることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項20】
前記加熱調理器が熱風蒸気調理器であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の加熱調理器(100)。
【請求項21】
加熱調理器(100)のためのサンプル採取システムであって、前記加熱調理器(100)の調理室(1)から生じた雰囲気を検出する第1のガスセンサアレイ(2)、前記加熱調理器(100)の装置室(9)から生じた雰囲気を検出する第2のガスセンサアレイ(2)、前記加熱調理器(100)のエアレーションシステム(7)から生じた雰囲気を検出する第3のガスセンサアレイ(2)、および/または、前記加熱調理器(100)を取り囲む大気(11)を検出する第4のガスセンサアレイ(2)を備え、さらに、前記調理室(1)から前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に前記雰囲気を供給する少なくとも1つの第1の供給管(20)、前記装置室(9)から前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に前記雰囲気を供給する少なくとも1つの第2の供給管(24)、前記エアレーションシステム(7)から前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に前記雰囲気を供給する少なくとも1つの第3の供給管(22)、および/または、前記加熱調理器(100)を取り囲む前記大気(11)を前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)に供給する少なくとも1つの第4の供給管(26)を備え、前記第1、第2、第3および/または第4の供給管(20、22、24、26)の入口に、および/または前記供給管の領域に、少なくとも1つのバルブ(4)が配置されていることを特徴とする、サンプル採取システム。
【請求項22】
前記第1、第2、第3および/または第4のガスセンサアレイ(2)から少なくとも1つの第1の排出管(12)が設けられ、前記排出管の入口に、および/または前記排出管の領域に、少なくとも1つのバルブが配置されていることを特徴とする、請求項21に記載のサンプル採取システム。
【請求項23】
少なくとも1つの前記ガスセンサアレイ(2)の前に、特に前記ガスセンサアレイの測定面の前に、および/または前記第1、第2、第3および/または第4の供給管(20、22、24、26)の入口の中に、または前記入口に接して、少なくとも1つのフィルタ(5、6)が設けられていることを特徴とする、請求項21または22に記載のサンプル採取システム。
【請求項24】
少なくとも1つの前記バルブ(4)が制御可能であることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載のサンプル採取システム。
【請求項25】
分析される雰囲気を1つまたは複数の前記ガスセンサアレイ(2)に搬送するため、前記第1、第2、第3および/または第4の供給管(20、22、24、26)と結合された少なくとも1つのポンプ部(3)が設けられていることを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一項に記載のサンプル採取システム。
【請求項26】
前記ガスセンサアレイ(2)が、金属酸化物半導体フィルムからなる複数のフィールドを含み、前記フィールドはそれぞれ2つの電極と結合されており、前記フィールドはほぼ連続する面を形成し、前記電極はテープ状の形状であり、前記連続する面が前記フィールドに区分される際、前記連続する面におけるいずれの前記フィールドもそれぞれ2つの前記電極によって区切られることを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一項に記載のサンプル採取システム。
【請求項27】
いずれの前記ガスセンサアレイ(2)のそれぞれ異なるセンサ、センサセグメントおよび/または前記フィールドも、還元ガスまたは酸化ガスと接触するとき、温度、構成、ドーピングおよび/またはコーティングに応じて、それぞれ異なる導電性変化を示すことを特徴とする、請求項21〜26のいずれか一項に記載のサンプル採取システム。
【請求項28】
前記ガスセンサアレイ(2)のいずれの前記センサ、前記センサセグメントおよび/または前記フィールドの温度も調節可能であり、ある特定の温度勾配またはある特定の温度プロファイルを、前記ガスセンサアレイ(2)に印加できることを特徴とする、請求項27に記載のサンプル採取システム。
【請求項29】
いずれの前記センサ、いずれの前記センサセグメントおよび/またはいずれの前記フィールドも、1つの、制御可能な熱電対および/または加熱エレメントと、作用上結合されていることを特徴とする、請求項27または28に記載のサンプル採取システム。
【請求項30】
少なくとも調理室の雰囲気が、少なくとも1つのガスセンサアレイの少なくとも1つのセンサ、センサセグメントまたはフィールドに供給されて、加熱調理の間、断続的または連続的に検出され、分析結果は評価部において、記憶部にファイルされた基準と比較され、加熱調理プロセスが、前記分析結果に従って行われることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の加熱調理器を用いて、調理物を加熱調理する方法。
【請求項31】
前記分析結果が、選択された基準から逸脱しないか、または事前指定された帯域の範囲内でのみ逸脱することを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記センサ、前記センサセグメントまたは前記フィールドの温度、および/または比較のため援用される基準を変化させること、特に前記加熱調理プロセスの前または前記プロセスの間、変化させることを特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記基準は、各ガスセンサアレイで検出される信号プロファイルまたはモデルとして、特に調理物の種類、調理物の量、調理物の品質および/または所望の加熱調理の度合いに応じて、各前記センサ、前記センサセグメントおよび/または前記フィールドのそれぞれ異なる温度に対するものが、学習段階において記憶されることを特徴とする、請求項30〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記加熱調理器の内部スペースに前記調理物を入れた後、最初のウォームアップ段階の間、前記調理物の種類および/または初期状態を、1つまたは複数の前記ガスセンサアレイによって検出することを特徴とする、請求項30〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
検出された前記種類、および/または求められた前記初期状態を、前記加熱調理プロセスを制御する際に考慮することを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記調理物の前記初期状態が腐敗していると評価されると、前記加熱調理プロセスを停止し、かつ/または警告信号が出されることを特徴とする、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
いずれの前記基準にも1つの前記加熱調理プログラムが、学習段階で割り当てられることを特徴とする、請求項30〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記加熱調理プロセスが終了した後、前記調理室の汚れの度合いが、1つまたは複数の前記ガスセンサアレイによって測定され、前記汚れの程度に対応する洗浄プログラムが、前記評価部を介して得られ、前記洗浄プログラムが、前記制御部によって実行されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の加熱調理器を洗浄する方法。
【請求項39】
前記汚れの度合いが、基準、特に各ガスセンサアレイの信号プロファイルまたはモデルとしての基準、特に前記学習段階で記憶される前記プロファイルまたはモデルとしての基準との比較によって検出されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−525755(P2008−525755A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548685(P2007−548685)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/DE2005/002311
【国際公開番号】WO2006/069563
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(500100855)ラツィオナル アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】