説明

少なくとも1種類の体積排除ポリマーを含むポリマー組成物

【課題】シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、従来のレンズよりも高い、レンズから眼球に到る酸素量を可能にするが、固有の湿潤性がなく、当該レンズの湿潤性の改善にコーティング剤や湿潤剤が使用されてきた。一部のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの装着者に、まぶたと材料の間の剪断力によってムチンボールが発症することが知られている。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種類の体積排除ポリマーを含むポリマー基材を含む組成物に関する。ある実施形態では、本発明は、浸透圧ドライバーとしての作用が可能なポリマー用品を提供する。用品は、水分を基材内外に移動させ、基材とその周囲の間の陽イオン濃度平衡を維持することによって、所望の水分バランスを維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、米国特許仮出願第60/863755号からの優先権を主張するものであり、参照することによってそのまま組み入れられている。
【0002】
〔発明の背景〕
コンタクトレンズは、視力を改善するために使用されることができ、多年に亘って各種コンタクトレンズが商業生産されてきた。ハイドロゲルコンタクトレンズは、今日非常にポピュラーである。これらのレンズは、しばしば、硬質材料製のコンタクトレンズよりも装着が快適である。
【0003】
毎日および毎週使用される、あるポピュラーなコンタクトレンズ材料は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と少量のメタクリル酸を基礎にしたエタフィルコン(Etafilcon)である。酸成分がHEMA材料の親水性を高め、より快適なレンズを製造する。
【0004】
シリコーンハイドロゲルから製造されるコンタクトレンズは開示されている。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、従来のレンズ(HEMA系レンズ)よりも高い、レンズから眼球に到る酸素量を可能にする。しかし、当該シリコーン材料は、固有の湿潤性がなく、当該レンズの湿潤性の改善にコーティング剤や湿潤剤が使用されてきた。一部のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの装着者に、まぶたと当該材料の間の剪断力によって引き起こされるムチンボール(Mucin balls)が発症することが知られている。これの長期の影響は、まだ発見されていない。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、少なくとも1種類の体積排除ポリマー(volume excluding polymer)を含むポリマーを含む組成物に関する。
【0006】
本発明は、さらに、水和ポリマーと、浸透圧ドライバー(osmotic driver)として作用するのに十分な濃度の少なくとも1種類の体積排除ポリマーから形成される用具に関する。
【0007】
本発明は、さらに、少なくとも1個の基材の中もしくは上に少なくとも1種類の体積排除ポリマーを組み入れることを含む方法に関する。
【0008】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書で使用される場合、体積排除ポリマーとは、帯電状態での電荷斥力と陰イオン基のサイズによって、当該陰イオン基が組み入れられる表面から他の基団を排除する能力を有する水和性ポリ陰イオンを含むポリマーである。ある実施形態では、当該水和性ポリ陰イオンは、約5〜約8のpHなどの生理的pHで、カルボキシレート基によって所有される体積以上の排除体積を所有する。適切な陰イオン基は、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネート、それらの配合物などを含む。ある実施形態では、当該陰イオン基は、少なくとも1個のスルホネート基を含む。別の実施形態では、当該陰イオン基は、スルホネートである。
【0009】
前記体積排除ポリマーは、前記水和性ポリ陰イオン基と、反応性陰イオンモノマーの当該体積排除ポリマーへの組み入れを可能にする少なくとも1個の反応基を含む反応性陰イオンモノマーから形成されることができる。
【0010】
適切な反応性陰イオンモノマーの例は、
R-L-A
を含む。式中、Rは反応基、Lは結合基、Aは上記のとおりの陰イオン基である。
【0011】
反応基Rは、フリーラジカルおよび/または陽イオン重合、縮合重合、開環重合などを受けることができる基団を含む。フリーラジカル反応基の無制約の例は、(メト)アクリレート((meth)acrylates)、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1-6アルキル(メト)アクリレート(すなわち、炭素数1〜6個のアルキル(メト)アクリレート)、(メト)アクリルアミド、C1-6アルキル(メト)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、C2-12アルケニル、C2-12アルケニルフェニル、C2-12アルケニルナフチル、C2-6アルケニルフェニルC1-6アルキル、O-ビニルカルバメートおよびO-ビニルカーボネートを含む。陽イオン反応基の無制約の例は、ビニルエーテルまたはエポキシド基およびそれらの混合物を含む。ある実施形態では、当該反応基は、(メト)アクリレート、アクリルオキシ、(メト)アクリルアミドおよびそれらの混合物を含む。本明細書で使用される場合、「(メト)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレートの両方を含む。
【0012】
縮合重合を受けることができる基団の無制約の例は、アルコール、エステル、カルボン酸、イソシアネート、無水物、ハライド置換(halide displacement)が可能な基団(フェニルクロライドなど)、それらの配合物などを含む。
【0013】
開環重合を受けることができる基団の無制約の例は、ヒドロキシルおよびアミノカルボン酸(amino carboxycylic acid)の環式誘導体、環式エーテル、環式エステル、環式アミド、それらの配合物などを含む。
【0014】
開環重合を受けることができる基団の無制約の例は、環式エーテル、環式エステル、環式アミド、それらの配合物などを含む。
【0015】
Lは、直鎖もしくは枝分れが可能な炭素原子1〜12個を有する置換および非置換アルキレンを含む二価結合基であり、ポリエーテル、オキサゾリン、置換および非置換複素環基であることができる。適切な置換基は、アリール、アミン、エーテル、アミド、ヒドロキシル基、それらの配合物などを含む。別の実施形態では、Lは、炭素原子2〜8個を有する直鎖もしくは枝分れアルキレン基を含む。ある実施形態では、本発明の反応性陰イオンは、次式を有し、
H2C=C(R2)-CO2-(CH2)n-A
式中、R2は、-H、-CH3、-CH2CO2-(CH2)n-Aから選択され、この場合、nは2〜8の整数、Aは上記のとおりである。ある実施形態では、nは2〜6である。
【0016】
前記反応性陰イオンモノマーは、単独で、または、コモノマーと重合され、体積排除ポリマーを形成する。適切な体積排除ポリマーは、基材表面に所望濃度の水和性ポリ陰イオン(hydratable polyanion)が存在する限り、広範囲な分子量を有することができる。これは、3個以上の反復単位のオリゴマーを当該基材にグラフト(grafting)することによって、あるいは、広範囲の分子量を有するポリマーを組み入れることによって達成されることができる。従って、当該体積排除ポリマーは、GPC、粘度などの技術上周知の方法のいずれかによって測定した場合、少なくとも約500の分子量を有するオリゴマーであることができ、あるいは、少なくとも約1000、また、一部の実施形態では、約1000〜数百万の分子量を有するポリマーであることができる。異なる分子量を有する体積排除ポリマーの混合物も使用されることができる。例えば、一部の実施形態では、体積排除ポリマーの混合物であって、当該ポリマーそれぞれが異なる分子量を有する体積排除ポリマーの混合物を使用するのが望ましい場合もある。前記基材表面近くに、また、当該基材表面からある間隔で陰イオン基を有するのが望ましい、ある無制約の実施形態では、少なくとも2種類の異なる体積排除ポリマー、即ち、約10,000未満の比較的低分子量を有する第一の体積排除ポリマーと、100,000を超える高分子量を有する第二の体積排除ポリマーと、が使用されることができる。他の配合物は、本発明の教示を使用すると、当業者に明らかになる。
【0017】
本発明での使用に適した体積排除ポリマーは、加水分解に安定であり、一部の実施形態では、熱にも安定である。
【0018】
一般に、生理学的適合性陽イオンは、陰イオン基にイオン結合される。本発明の基材がコンタクトレンズなどの眼科用具である場合、適切な陽イオンは、Li+、Na+、K+、NH4+、Mg+、Zn+、Ag+、それらの配合物などを含む。一部の実施形態では、当該陽イオンは、Na+、K+、NH4+およびそれらの混合物を含む。他の陽イオンも、本発明の眼科用具とともに使用される溶液中の塩として存在することができ、Ca+、Mg+、Zn+、Ag+などを含むが、それらに制約されない。
【0019】
適切な反応性陰イオンモノマーの例は、ナトリウム-2-(アクリルアミド)-2-メチルプロパンスルホネート、3-スルホプロピル(メト)アクリレートカリウム塩、3-スルホプロピル(メト)アクリレートナトリウム塩、ビス3-スルホプロピルイタコネート二ナトリウム、ビス3-スルホプロピルイタコネート二カリウム(bis 3-sulphopropyl itaconate di potassium)、ビニルスルホネートナトリウム塩、ビニルスルホネート塩、スチレンスルホネートおよびそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0020】
一部の実施形態では、前記体積排除ポリマーは、Lがアミン官能基を含む反応性陰イオンモノマーからも形成されることができる。これらのアミン官能基反応性陰イオンモノマーは、バランスの取れた電荷を有しており、低膨潤が求められる基材に望ましい場合がある。しかし、望ましい浸透圧効果を達成するには、前記体積排除ポリマーの少なくとも約20重量%は、前記反応性陰イオンモノマーから誘導される反復単位を含む必要がある。
【0021】
前記体積排除ポリマーは、約20〜約80重量%、一部の実施形態では、約40〜約75重量%の反応性陰イオンモノマーから誘導される反復単位を含む。
【0022】
前記体積排除ポリマーは、コモノマーも含むことができる。当該コモノマーは、ランダム分布、ブロック分布またはそれらの組合せを含めた何らかの方法で、当該体積排除ポリマー全体に分布されることができる。ある実施形態では、コモノマーが存在する場合、当該コモノマーは、陰イオン基で除外される体積中に実質的な隙間を提供しないように、当該ポリマー全体に分布される。当該体積排除ポリマーが親和性相互作用によって前記レンズと結合される実施形態では、当該体積排除ポリマーは、レンズポリマーの性質と類似した性質を有するコモノマーブロックを含むことができる。例えば、シリコーンを含むコンタクトレンズに関しては、当該コモノマーは、ヘキシレンなどの疎水性ブロックであることができ、あるいは、ペンダントシロキサン基などのペンダント疎水基であることができる。
【0023】
ある実施形態では、前記コモノマーは、一官能基親水性モノマーから選択されることができ、アクリルもしくはビニル含有モノマーなどがあるが、それらに制約されない。用語「ビニルタイプ」または「ビニル含有」モノマーは、ビニル基(-CH=CH2)を含有するモノマーを指し、一般に高い反応性を示す。当該親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが知られている。
【0024】
「アクリルタイプ」または「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH2=CRCOX)を含有するモノマーで、式中、RはHまたはCH3で、XはOまたはNであり、当該モノマーも、容易に重合することが知られており、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メト)アクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸などがある。
【0025】
コモノマーとして使用されることができる親水性ビニル含有モノマーは、N-ビニルアミド、N-ビニルラクタム(例、N-ビニルピロリドン即ちNVP)、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、2,2-ジメトキシ、1-ヒドロキシアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N-アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシルメチルアクリルアミド、それらの配合物などを含む。
【0026】
本発明で用いられることができる他の親水性モノマーは、1個の重合性二重結合を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基1個以上を有するポリオキシエチレンポリオールを含む。例は、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルグルコシド、および、エトキシル化ビスフェノールAを含み、1モル当量以上の末端封鎖基(end-capping group)(イソシアナートエチルメタクリレート(isocyanatoethyl methacrylate)(IEM)、トルイルメタイソシアネート(toluylmeta isocyanate)(TMI)、メタクリル酸無水物、メタクリロイルクロライド、ビニルベンゾイルクロライドなど)と反応して、ポリエチレンポリオールを生成し、このポリエチレンポリオールは、カルバメートもしくはエステル基などの結合部分によって当該ポリエチレンポリオールに結合された1個以上の末端重合性オレフィン基を有する。
【0027】
なおもさらなる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、および、米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは、当業者に明らかになる。
【0028】
ある実施形態では、前記コモノマーは、DMA、HEMA、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、NVP、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド、イタコン酸およびそれらの配合物から選択される少なくとも1個の親水性モノマーを含む。
【0029】
別の実施形態では、前記体積排除ポリマーは、少なくとも1個のアミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらの混合物を含有するコモノマーを含む。これらのタイプのコモノマーは、上記のR-L基を有し、さらに、少なくとも1個のアミド、カルボン酸またはヒドロキシルを前記ポリ陰イオン基の定位置に含むことができ、あるいは、上記のとおりのRに直接結合されたアミド、カルボン酸またはヒドロキシル基を有することができる。適切なアミド基は、以下の構造を有し、
【化1】

式中、R3およびR4は、それぞれ、エーテル置換が可能なH、直鎖もしくは枝分れC1-12アルキルから選択される。
【0030】
ある実施形態では、前記体積排除ポリマーは、以下の量の以下のモノマーから形成される。
【表1】

【0031】
前記体積排除ポリマーは、上記の親水性モノマーに追加して、あるいは、上記の親水性モノマーの代わりに、少なくとも1個の疎水性コモノマーも含むことができる。下記のシリコーンモノマーのいずれも、硬質もしくはハードコンタクトレンズまたはIOLなどの生物医学的用具の製造に有用であることが知られているいずれかの他の疎水性モノマーとともに、使用されることができる。
【0032】
一部の実施形態で、前記体積排除ポリマーは、ポリマー主鎖から延びた水和性ポリ陰イオン基を伴う構造を有するのが望ましい。別の実施形態では、当該水和性ポリ陰イオン基は、ポリマー主鎖から外に延び、自由に回転できる。適切な構造の例は、ブラシ形構造(brush structure)、枝分れ構造、ループ構造およびそれらの組合せを含む。ブラシ形構造では、当該水和性ポリ陰イオン基は、ポリマー主鎖に沿ってペンダント状に延び、櫛形またはブラシ形構造を形成する。枝分れ構造では、当該水和性ポリ陰イオン基は、前記体積排除ポリマーの非反応末端からペンダント状に延びる。ループ構造では、当該水和性ポリ陰イオン基は、当該体積排除ポリマーの主鎖に少なくとも2箇所で結合され、当該ポリマー主鎖とループまたは橋(bridge)を形成する。
【0033】
前記体積排除ポリマーは、生物医学的用具で使用されることができる。本明細書で使用される場合、生物医学的用具とは、哺乳動物組織または体液、さらに、ある実施形態では、ヒト組織または体液上または中のいずれか、または、その両方で使用するように設計された用具を含む。当該用具の例は、ステント、インプラント、カテーテル、創傷被覆材、人工椎間板、センサーデバイス、診断器具、ならびに眼科用具(涙点プラグ(punctal plugs)、眼科用レンズおよび眼科用挿入物(ophthalmic inserts)を含む)を含むが、それらに制約されない。ある実施形態では、当該生物医学的用具は、コンタクトレンズまたは眼内レンズを含むが、それらに制約されない眼科用具である。別の実施形態では、当該用具は、ソフトコンタクトレンズであり、ある場合は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである。
【0034】
前記医療用具は、当該用具に有用であることが既知のいずれかの材料から製造されることができる。ある実施形態では、当該医療用具は、少なくとも1種類のポリマーから製造される。簡単にするために、結合法は、当該医療用具がコンタクトレンズである実施形態を参照して説明されることとする。当業者は、本発明の教示を使用して、本発明を他の医療用具に応用することができる。
【0035】
前記体積排除ポリマーは、少なくとも1個の基材表面の少なくとも一部に共有またはイオン結合されることができ、基材表面に塗布されるコーティング組成物に混入されることができ、基材の全部または一部に吸収されることができ、あるいは、基材が製造される反応混合物で重合されることができ、あるいは、上記方法の組合せによることができことができる。
【0036】
前記体積排除ポリマーが共有結合される実施形態では、基材ポリマーと前記体積排除ポリマーの両方が、反応し、共有結合を形成することができる反応基を有する。基材使用中に安定を保つ共有結合を形成できるいずれかの方法が使用されることができる。従って、フリーラジカル反応、縮合およびエステル化反応、開環反応などである。当該基材ポリマーが適当な反応基を保有しない場合、当該基材ポリマーは、所望の基団を生成するために前処理されることができる。ある実施形態では、フリーラジカル反応化合物を含む体積排除ポリマーは、所望の基材表面をコートするためのコーティング有効量およびコーティング有効条件下で、当該基材の少なくとも1個の表面と接触される。
【0037】
体積排除ポリマーは、溶液に混入され、コーティングプロセスを促進することができる。例えば、当該体積排除ポリマーおよびいずれかの他の所望の成分、即ち、重合開始剤、架橋剤、着色剤、調光化合物(photochromic compounds)、安定化剤、連鎖移動剤、保湿剤、湿潤剤、抗菌化合物、治療化合物、それらの配合物などが、溶媒に配合されることができる。一部の実施形態では、保湿剤、湿潤剤、抗菌化合物、治療化合物およびそれらの混合物などであるが、それらに制約されない数種の追加化合物が前記用品から溶出するのが望ましい。適切な溶媒は、当該体積排除ポリマーおよび他のコーティング組成物成分を溶解するが、生物医学的用具を溶解させず、あるいは、実質的に膨潤させない。例えば、生物医学的用具がコンタクトレンズである場合、溶媒の適切な例は、水、アセトニトリル、水混和性アルコール、ポリエーテル、それらの配合物などを含む。具体例は、アルコキシアルコール、アルコキシポリオール、グリセロールボレートエステル(glycerol borate esters)、それらの配合物などを含む。具体例は、トリプロピレングリコール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、アルコキシトリメチレングリコール、N-プロパノール、イソプロパノール、t-アミルアルコール、t-ブタノール、モノエチルエーテル、それらの配合物を含む。
【0038】
前記体積排除ポリマーは、コーティング有効量で前記溶媒に混入される。本明細書で使用される場合、コーティング有効量は、用品表面への凝集コーティング(coherent coating)を提供するのに十分な量である。当該コーティング有効量は、選択されるコーティングプロセスのタイプに応じて変動する。例えば、溶液に関して、グラフティング量は、コーティング溶液中の全成分に基づいて、約5重量%から、一部の実施形態では、約5〜約10重量%である。当業者は、本発明の教示を使って、他のコーティング処理用の適切な範囲を決定することができる。
【0039】
生物医学的用具は、いずれかの従来の手段によって前記溶液と接触される。適切な接触手段は、吹付け、浸漬、塗付け、ローリング、それらの組合せなどを含む。用具全体がコートされることができ、用具の一表面がコートされることができ、あるいは、表面の一部のみがコートされることができる。例えば、生物医学的用具がコンタクトレンズである場合、当該レンズ全体がコートされることができ、当該レンズの片側だけがコートされることができ(例えば、角膜もしくは結膜(conjuctiva)上に位置するバックカーブか、まぶたおよび空気と接触する前面のどちらか)、あるいは、表面の一部のみがコートされることができる(虹彩、瞳孔もしくは結膜を覆う片面の一部)。
【0040】
前記用具は、コーティングの形成に適した条件下で前記溶媒/コーティングポリマー溶液と接触される。適切な温度は、選択溶媒の凝固点〜沸点の間の温度、好ましくは約0〜約100℃、さらに好ましくは約15〜約50℃を含む。使用される接触時間は、所望の範囲まで表面をコートするのに十分な時間の長さになる。接触時間は、約2日まで、一部の実施形態では約1日まで、一部の実施形態では約12時間まで、別の実施形態では約1時間までであることができる。圧力は、本発明のコーティング反応では重要でない。しかし、当業者は、圧力および温度上昇が、より短時間での反応実施を可能にすることを認識することになる。グラフト溶液中の水和性ポリ陰イオンの濃度、反応温度および時間が、すべて関連すること、より高濃度の水和性ポリ陰イオンおよび/または温度増加が反応時間の短縮を可能にすることができることが理解される必要がある。
【0041】
別法として、前記反応性ポリ陰イオン基は、重合有効条件下で基材と接触し、当該基材の存在下で重合されることができる。適切な重合条件は、選択される反応性ポリ陰イオン基に依存することになる。例えば、表面に、または、その近くにヒドロキシル基を含有する基材に関して、フリーラジカル3-スルホプロピルエステルアクリレート(SPA)カリウム塩などの反応性水和性ポリ陰イオンは、硝酸アンモニウムセリウム(IV)(CAN)など、隣接ヒドロキシル基から水素原子を取り去ることができる触媒を使ってグラフト重合されることができる。しかし、所望の基材上に反応部位を生じるいずれの既知グラフティング技術も、使用されることができる。SPAおよび触媒は、選択された基材を膨潤させる溶媒中で混合され、グラフト溶液を形成する。反応性ポリ陰イオン基濃度は、コーティング溶液中で約5〜約100重量%、一部の実施形態では約50〜約100重量%で変動することができる。当該触媒は、当該触媒および体積排除ポリマー成分(反応性陰イオンモノマーおよびコモノマー)の重量に基づいて、約0.01〜約1重量%、一部の実施形態では約0.05〜約0.1重量%の量で存在する。
【0042】
本出願のコーティング溶液には、架橋剤が含まれることができる。含まれる架橋剤の量は、選択される製品の基材に応じて変動することになる。例えば、当該基材が陰イオン電荷を有するポリマーから形成される場合、選択された触媒は、基材ポリマー網に浸透し、使用に必要な架橋剤は、不要である、あるいは、ごく少量であることができる。他の実施形態では、基材が中性電荷を有するポリマーから形成される場合、当該基材は、最終使用目的に適った前記体積排除ポリマーと当該基材の間の所望レベルのコーティング一体性および性能を提供するのに十分な量で、コーティング溶液中に少なくとも1種類の架橋剤を含むのが望ましい。例えば、基材がコンタクトレンズである実施形態では、コーティング剤は、装着期間にわたって残留することが必要で、当該レンズ表面の関連部分全体に所望の利益を提供するのに必要な一体性を保有することが必要である。架橋剤を使用する場合、適切な架橋剤濃度は、0〜約3重量%、一部の実施形態では約0〜約1%を含む。適切な架橋剤は、二封鎖ポリエチレングリコール(dicapped polyethylene glycols)を含むが、それらに制約されず、さらなる具体例は、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチルグリコールジメタクリレート(polyethylgycol dimethacrylate)、テトラエチレンGDMA、ジアリルタルトルアミド(diallyl tartramide)、ペンタエリスラトールジアクリレート(pentaerithratol diacrylate)、ジビニルベンゼン、それらの配合物などを含む。
【0043】
ソフトコンタクトレンズなどの水膨潤性基材に関して、当該基材の水分量も、グラフト反応効率に影響する可能性がある。従って、グラフティングレベルを調整し、所望の効果を得る、即ち、基材ポリマー網に当該体積排除ポリマーが実質的に介在するのを防ぐのに十分に高い分子量を有する体積排除ポリマーで当該基材をコートするのが望ましい。
【0044】
グラフティングプロセスは、任意に、前反応段階を含み、グラフティング効率を増強する性質を有する基材を提供することができる。例えば、当該基材は、反応基の濃度を増加するように処理されることができる。適切な前活性化段階は、技術上周知で、プラズマ酸化、過硫酸カリウムとの反応、ヨウ化物(iodate)との反応、それらの組み合わせなどを含むが、それらに制約されない反応部位生成酸化プロセスを含む。
【0045】
別法として、Rは、カップリング剤によって活性化されることができるいずれかの基団、または、カップリング剤で活性化済みの基材表面と反応可能ないずれかの基団であることができる。例えば、直接反応は、カップリング剤の混入なしで、試薬の使用によって、または、表面ポリマーまたは体積中の基団を活性化し、合成抗菌ペプチドの場合には、ぞれぞれ、当該基団を当該ペプチドまたはポリマー上の官能基と反応させる反応によって達成されることができる。例えば、合成抗菌ペプチド上の1個以上のアミン基またはアルコール基またはチオール基は、直接、前記ポリマー上の、イソチオシアネート、アシルアジド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェノキシエステル、スルホニルクロライド、アルデヒド、グリオキサールエポキシド、カーボネート、アリールハライド、イミドエステル、トシレートエステルまたは無水物基と反応することができる。
【0046】
ほかの実施形態では、カップリング剤が使用されることができる。陽イオンペプチドまたはタンパク質の用具表面へのカップリングに有用なカップリング剤は、N,N'-カルボニルジイミダゾールと、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-シクロヘキシル-3-(2-モルフォリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドなどのカルボジイミド、または、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。当該カルボジイミドは、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはN-ヒドロキシスルホスクシンイミドとともに使用され、エステルを形成することができ、当該エステルは、アミンと反応し、アミドを形成することができる。
【0047】
アミノ基も、シッフ塩基(Schiff base)の形成によって前記ポリマーにカップリングされ、ナトリウムシアノボロヒドリド(sodium cyanoborohydride)などの作用物質で還元され、加水分解に安定なアミン結合を形成することができる。この目的に有用なカップリング剤は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(例えば、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)、3,3'-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、ジスクシンイミジルスベラート、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート、ジスクシンイミジルタルトラート(disuccinimidyl tartarate)など)、イミドエステル(ジメチルアジピメートを含むが、それに制約されない)、ジフルオロベンゼン誘導体(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンを含むが、それに制約されない)、臭素官能基アルデヒド(グルタールアルデヒド(gluteraldehyde)を含むが、それに制約されない)、および、ビスエポキシド(1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルを含むが、それに制約されない)を含むが、それらに制約されない。用具表面上に存在する官能基に応じて、多数の他のカップリング剤が使用可能であることを、当業者は認識するようになる。
【0048】
用具表面が適切な反応基を含有しない場合、当該の適切な反応基は、いずれかの従来の有機合成法によって前記ポリマー中に組み入れられることができる。別法として、当該反応基は、反応基を含有する重合性モノマーの、当該ポリマーの形成に使用されるモノマー混合物への添加によって導入されることができる。当業者に既知のように、ヒドロキシル基、酸、酸クロライド基、カルボジイミド、アミンなどであるが、それらに制約されない不安定水素を有するいずれかのモノマーが使用されることができる。反応ガスプラズマプロセスも、使用されることができる。
【0049】
別法として、前記体積排除ポリマーは、ポリマー基材と結合されることができる。当該体積排除ポリマーは、イオン相互作用、立体相互作用、親和性相互作用、吸着、分散相互作用、陰イオン電荷、相互浸透、それらの組合せなどによって結合されることができる。この実施形態では、当該体積排除ポリマー中のコモノマーは、所望の相互作用を提供するように選択される。このプロセスでは、ポリマー基材は、所望量の体積排除ポリマーの取込みを可能にする条件下で、当該体積排除ポリマーを含む溶液と接触される。米国特許第6,689,480号、第6,827,966号、第6,451,871号、第7,022,379号、第6,858,248号、WO2004,060431およびEP 1,287,060に開示されている方法などの方法があり、その開示内容、および、本明細書に挙げられるすべての他の特許および出願は、参照することによって本明細書に組み入れられている。
【0050】
別の実施形態では、前記体積排除ポリマーは、トランスファー成形(mold transfer)プロセスによって組み入れられることができる。一般に、当該トランスファー成形プロセスは、次のように、当該体積排除ポリマーの組み入れに使用される:
a)型(mold)または半割り型(mold half)の成形面を少なくとも1種類の体積排除ポリマーを含むコーティング有効量のコーティング組成物でコートし、
b)所望の基材の製造用に選択される重合性成分を含む反応混合物を、前記型または半割り型に供給し、
c)前記コーティング組成物でコートされた所望の基材の形成に適した条件下で硬化させる。
一部の実施形態では、コーティング組成物が基材反応混合物中で膨潤するように、当該コーティング組成物を選択するのが望ましい場合がある。トランスファー成形コーティングのさらなる詳細は、米国特許出願第2003-0052424号に見られることができる。
【0051】
他のコーティング法は、当業者に明らかになり、本発明の範囲内である。
【0052】
ある実施形態では、前記体積排除ポリマーは、基材の少なくとも1個の表面上に、基材の当該表面の脱水を防ぐ、または、脱水に耐えるのに有効な量で組み入れられる。例えば、当該基材がコンタクトレンズである実施形態では、瞬きの最中にまぶたと接触するコンタクトレンズの前面は、少なくとも1種類の陰イオン体積排除ポリマーの層を含む。当該体積排除ポリマー中のポリ陰イオンは、涙液膜からの陽イオンと結合する。コンタクトレンズ前面の水分が蒸発するにつれ、レンズ表面上の涙液膜中の陽イオン濃度は、涙液中の陽イオン濃度を超えて増加する。これが、浸透圧不均衡を生じ、涙液膜から水分を引き出し、レンズ前面上の水分まで、陽イオン平衡濃度を戻す。よって、ある実施形態では、本発明の体積排除ポリマーは、浸透圧ドライバーとして作用する。本発明で使用される場合、浸透圧ドライバーは、水分を基材内外に移動させ、当該基材とその周囲の間の陽イオン濃度平衡を維持する。
【0053】
涙液膜から前記レンズ前面に引き出される水分量は、体積排除ポリマーコーティングの厚さによって制御されることができる。前記用具が、角膜もしくは結膜とまぶたのいずれかの部分との間に位置するように構成された眼科用具である実施形態では、当該体積排除ポリマーは、主に、レンズ表面の5 um外側に配置される。より厚い層を有するレンズは、望ましくない水分量を涙液から引き出す傾向がある。よって、本発明の別の実施形態は、浸透圧ドライバーとして作用し、当該用具上もしくは用具中で望ましい水分バランスを維持する用具を含む。当該浸透圧ドライバーの他の最終用途は、被覆材(dressing)を含めた創傷治癒材、治療用眼科被覆材、人工椎間板などを含むが、それらに制約されない。
【0054】
本発明に適した基材の形成に使用可能なポリマーの例は、スチレンおよび置換スチレン、エチレン、プロピレン、アクリレートおよびメタクリレート、N-ビニルラクタム、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸およびメタクリル酸の各ポリマーおよびコポリマー、ならびに、ポリウレタン、ポリエステル、ポリジメチルシロキサン、および、それらの混合物などを含むが、それらに制約されない。当該ポリマーは、ハイドロゲルおよびシリコーンハイドロゲルを含むことができる。
【0055】
生物医学的用具がコンタクトレンズである実施形態では、適切なポリマーは、ソフトコンタクトレンズの製造に使用されるポリマー、および、ハードコンタクトレンズの製造に使用されるポリマーを含む。適切なソフトコンタクト調合物の無制約の例は、ポリ(メト)アクリレート(シリコーン(メト)アクリレートを含むが、それに制約されない)、ポリ(メト)アクリルアミド、ポリビニルカーボネート、ポリビニルカルバメート、ポリビニルアミド、ポリビニルラクタム、ポリウレタン、ポリビニルアルコールおよびそれらの配合物のポリマーおよびコポリマー、ならびに、米国特許第5,710,302号、WO 9421698、EP 406161、米国特許第5,998,498号、米国特許第6,087,415号、米国特許第5,760,100号、米国特許第5,776,999号、米国特許第5,789,461号、米国特許第5,849,811号、米国特許第5,965,631号に記述されている調合物を含む。ソフトコンタクトレンズ調合物の無制約の例は、アクアフィルコンA、バラフィルコンA、ガリフィルコンA、セノフィルコンA、コムフィルコン、ならびにロトラフィルコンAおよびBの各調合物を含むが、それらに制約されない。適切なシリコーンハイドロゲルのさらなる例は、米国特許第5,998,498号、WO03/22321、米国特許第6,087,415号、米国特許第5,760,100号、米国特許第5,776,999号、米国特許第5,789,461号、米国特許第5,846,811号、米国特許第5,965,631号、米国特許第6,867,245号、米国特許第6,822,016号、米国特許第6,849,671号、米国特許第7,052,131号に開示されているものを含む。これらの特許、ならびに、この段落に開示されているすべての他の特許は、参照することによって、そのまま本明細書に組入れられている。当該医療用具がソフトコンタクトレンズである場合、前記ポリマーは、好ましくは、ハイドロゲルであり、一部の実施形態では、少なくとも約5%、一部の実施形態では、少なくとも約20%の水分量を有することになる。
【0056】
ハードコンタクトレンズは、ポリ(メチル)メタクリレート、シリコーン(メト)アクリレート、フルオロ(メト)アクリレート、フルオロエーテル、ポリアセチレン、および、ポリイミドのポリマーおよびコポリマーを含むが、それらに制約されず、代表的例の調製は、特開2000−10055、特開昭61−23860および米国特許第4,330,383号に見出されることができる。本発明の眼内レンズは、既知材料を使って形成されることができる。例えば、当該レンズは、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネートなど、および、それらの配合物を含むが、それらに制約されない硬質材料から製造されることができる。さらに、ハイドロゲル、シリコーン材料、アクリル材料、フルオロカーボン材料など、または、それらの配合物を含むが、それらに制約されない軟質材料が使用されることができる。典型的眼内レンズは、WO 0026698、WO 0022460、WO 9929750、WO 9927978、WO 0022459、米国特許第4,301,012号、第4,872876号、第4,863,464号、第4,725,277号、第4,731,079号に記述されている。本出願で言及されるすべての参考文献は、参照することによって、そのまま本明細書に組入れられている。
【0057】
ある実施形態では、前記基材は、少なくとも1種類のシリコーン含有成分を含む反応混合物から形成される。
【0058】
用語「成分」は、モノマー、マクロマーおよびプレポリマーを含む。「モノマー」は、重合され、高分子量化合物、ポリマー、マクロマーまたはプレポリマーになることができる低分子量化合物を指す。用語「マクロマー」は、本明細書で使用される場合、高分子量重合性化合物を指す。プレポリマーは、さらに重合を進めることができる部分重合モノマーまたはモノマーである。
【0059】
「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマーまたはプレポリマー中に少なくとも1個の[-Si-O-]単位を含有する成分である。好ましくは、総Siおよび結合Oは、当該シリコーン含有成分の総分子量の約20重量%を超える量、さらに好ましくは30重量%を超える量で、当該シリコーン含有成分中に存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、および、スチリル官能基などの重合性官能基を含む。本発明で有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、第4,120,570号、第4,136,250号、第4,153,641号、第4,740,533号、第5,034,461号および第5,070,215号、および、EP080539に見出されることができる。これらの参考文献は、オレフィン系シリコーン含有成分例を多数開示している。
【0060】
適切なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含み、
【化2】

式中、
R1は、それぞれ、一価反応基、一価アルキル基または一価アリール基(前記の基団のいずれも、さらに、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲンまたはそれらの配合物を含むことができる)、1〜100個のSi-O反復単位を含む一価シロキサン鎖(当該単位が、さらに、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲンまたはそれらの配合物から選択される官能基を含むことができる)から選択され、
b=0〜500で、この場合、当然、bが0以外である場合、bは規定値に等しいモードを有する分布であり、
少なくとも1個のR1は、一価反応基を含み、一部の実施形態では、1〜3個のR1が一価反応基を含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「一価反応基」は、フリーラジカルおよび/または陽イオン重合を受けることができる基団である。フリーラジカル反応基の無制約の例は、(メト)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1-6アルキル(メト)アクリレート、(メト)アクリルアミド、C1-6アルキル(メト)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、C2-12アルケニル、C2-12アルケニルフェニル、C2-12アルケニルナフチル、C2-6アルケニルフェニルC1-6アルキル、O-ビニルカルバメートおよびO-ビニルカーボネートを含む。陽イオン反応基の無制約の例は、ビニルエーテルまたはエポキシド基およびそれらの混合物を含む。ある実施形態では、前記フリーラジカル反応基は、(メト)アクリレート、アクリルオキシ、(メト)アクリルアミドおよびそれらの混合物を含む。
【0062】
適切な一価アルキルおよびアリール基は、非置換一価C1−C16アルキル基、C6−C14アリール基を含み、例えば置換および非置換メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、それらの配合物などである。
【0063】
ある実施形態では、bはゼロ、1個のR1は一価反応基で、少なくとも3個のR1は、炭素原子1〜16個を有する一価アルキル基から、別の実施形態では、炭素原子1〜6個を有する一価アルキル基から選択される。この実施形態のシリコーン成分の無制約の例は、2-メチル-、2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(SiGMA)、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル-トリス(トリメチルシロキシ)シラン、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、3-メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、および3-メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンを含む。
【0064】
別の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、または、一部の実施形態では、3〜10であり、少なくとも1個の末端R1は、一価反応基を含み、残りのR1は、炭素原子1〜16個を有する一価アルキル基から、別の実施形態では、炭素原子1〜6個を有する一価アルキル基から選択される。なおも別の実施形態では、bは、3〜15であり、1個の末端R1は一価反応基を含み、他の末端R1は、炭素原子1〜6個を有する一価アルキル基を含み、残りのR1は、炭素原子1〜3個を有する一価アルキル基を含む。この実施形態のシリコーン成分の無制約の例は、(モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(分子量400〜1000))(「OH-mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量800〜1000)(「mPDMS」)を含む。
【0065】
別の実施形態では、bは、5〜400、または、10〜300で、両末端R1は、一価反応基を含み、残りのR1は、それぞれ、炭素原子間にエーテル結合を有することができ、さらにハロゲンを含むことができる炭素原子1〜18個を有する一価アルキル基から選択される。
【0066】
別の実施形態では、1〜4個のR1は、次式のビニルカーボネートまたはカルバメートを含み、
【化3】

式中、
YはO-、S-またはNH-を示し、
Rは水素またはメチルを示し、
dは1、2、3または4を示し、
qは0または1である。
【0067】
シリコーン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3-ビス[4-(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト-1-イル]テトラメチル-ジシロキサン、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、および、次式のモノマーを含む。
【化4】

【0068】
弾性率が200よりも低い生物医療的用具が望ましい場合、1個のR1のみが、一価反応基を含み、残りのR1基のわずか2個が一価シロキサン基を含むことになる。
【0069】
ある実施形態で、シリコーンハイドロゲルレンズが望ましい場合、本発明のレンズは、ポリマーが製造される反応性モノマー成分の総重量に基づいて、少なくとも約20重量%、好ましくは約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む反応混合物から製造される。
【0070】
別のクラスのシリコーン含有成分は、次式のポリウレタンマクロマーを含み、
式IV〜VI
(*D*A*D*G)a *D*D*E1
E(*D*G*D*A)a *D*G*D*E1、または、
E(*D*A*D*G)a *D*A*D*E1
式中、
Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカルまたはアルキルアリールジラジカルを示し、主鎖中にエーテル、チオまたはアミン結合を含有でき、
*は、ウレタンまたはウレイド結合を示し、
aは、少なくとも1であり、
Aは、次式の二価ポリマーラジカルを示し、
【化5】

式中、
R11は、それぞれ、炭素原子1〜10個を有するアルキルまたはフッ素置換アルキル基を示し、炭素原子間にエーテル結合を含有でき、
yは、少なくとも1であり、
pは、400〜10,000の部分分子量を提供し、
EおよびE1は、それぞれ、次式で表される重合性不飽和有機ラジカルを示し、
【化6】

式中、
R12は水素またはメチルであり、
R13は、水素、炭素原子1〜6個を有するアルキルラジカル、または、−CO−Y−R15ラジカル(式中、Yは、−O−、Y−S−または−NH−である)であり、
R14は、炭素原子1〜12個を有する二価ラジカルであり、Xは、−CO−または−OCO−を示し、
Zは、−O−または−NH−を示し、
Arは、炭素原子6〜30個を有する芳香族ラジカルを示し、
wは、0〜6であり、
xは、0または1であり、
yは、0または1であり、
zは、0または1である。
【0071】
好ましいシリコーン含有成分は、次式で表されるポリウレタンマクロマーであり、
【化7】

式中、
R16は、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなど、イソシアネート基分離後のジイソシアネートのジラジカルである。別の適切なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネートおよびイソシアナートエチルメタクリレートの反応によって形成される式Xの化合物(式中、x+yは、10〜30の範囲の数である)である。
【化8】

【0072】
本発明での使用に適した他のシリコーン含有成分は、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフルオロ化炭化水素(polyfluorinated hydrocarbon)、ポリフルオロ化エーテルおよびポリサッカライド基を含有するマクロマーなどのWO96/31792に記述されている成分を含む。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号および同第5,539,016号は、極性フッ素化グラフトまたは末端ジフルオロ置換炭素原子に結合された水素原子を有する側基を有するポリシロキサンを記述している。米国特許出願第2002/0016383号は、エーテルおよびシロキサニル結合を含有する親水性シロキサニルメタクリレート、および、ポリエーテルおよびポリシロキサニル基を含有する架橋性モノマーについて記述している。前記ポリシロキサンのいずれかは、本発明でのシリコーン含有成分としても使用されることもできる。
【0073】
前記反応混合物は、少なくとも1種類の親水性成分も含むことができる。親水性モノマーは、ハイドロゲルの製造に有用であることが既知の親水性モノマーのいずれかであることができる。
【0074】
あるクラスの適切な親水性モノマーは、アクリルまたはビニル含有モノマーを含む。当該親水性モノマーは、それ自体、架橋剤として使用されることができるが、1個以上の重合性官能基を有する親水性モノマーが使用される場合、所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するには、その濃度は、上記のとおりに限定されることが必要である。用語「ビニルタイプ」または「ビニル含有」モノマーは、ビニル基(-CH=CH2)を含有するモノマーを指し、一般に、高い反応性を示す。当該親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが既知である。
【0075】
「アクリルタイプ」または「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH2=CRCOX)を含有するモノマーで、式中、RはHまたはCH3で、XはOまたはNであり、これも、容易に重合することが既知で、例えばN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸などである。
【0076】
本発明のシリコーンハイドロゲルに混入されることができる親水性ビニル含有モノマーは、N-ビニルアミド、N-ビニルラクタム(例、N-ビニルピロリドンもしくはNVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミドなどのモノマーを含み、NVPが好ましい。
【0077】
本発明で用いられることができる他の親水性モノマーは、重合性二重結合含有官能基で置換された末端ヒドロキシル基1個以上を有するポリオキシエチレンポリオールを含む。例は、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルグルコシド、エトキシル化ビスフェエノールAを含み、イソシアナートエチルメタクリレート(「IEM」)、メタクリル酸無水物、メタクリロイルクロライド、ビニルベンゾイルクロライドなどの1モル当量以上のエンドキャップ(末端封鎖)基と反応し、カルバメートまたはエステル基などの結合部分を介してポリエチレンポリオールに結合された1個以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成する。
【0078】
なおもさらなる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは、当業者に明らかになる。
【0079】
ある実施形態では、前記親水性モノマーは、少なくとも1個のDMA、HEMA、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、NVP、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸およびアクリル酸を含む。ある実施形態では、当該親水性モノマーは、DMAを含む。
【0080】
前記親水性モノマーは、所望の性質の特異的バランスに応じて、広範囲な量で存在することができる。反応成分中の全成分に基づいて、約50重量%まで、好ましくは約5〜約50重量%の親水性モノマー量が許容可能である。例えば、ある実施形態では、本発明のレンズは、少なくとも約30%、別の実施形態では、約30〜約70%の水分を含む。これらの実施形態に関して、当該親水性モノマーは、約20〜約50重量%の量で含まれることができる。
【0081】
米国特許出願第2003/0162862号、米国特許出願第05/06640号、米国特許出願第2006/0072069号、WO2006/039276に開示されている反応性および非反応性湿潤剤も、含まれることができる。湿潤剤が使用される場合、当該湿潤剤は、相溶化成分を含むことも望ましい。適切な相溶化成分は、米国特許出願2003/0162862号に開示されている相溶性試験を満たす成分を含む。上記のシリコーン成分のいずれも、その構造にヒドロキシル基などの相溶化基を組み入れることによって相溶化成分に転換されることができる。一部の実施形態では、Si対OH比は、約15:1未満、他では、約1:1〜約10:1である。相溶化成分の無制約の例は、(モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(分子量400〜1000)、「OH-mPDMS」、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル「SiGMA」、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル-トリス(トリメチルシロキシ)シラン、それらの配合物などを含む。
【0082】
着色剤、調光化合物、安定化剤、連鎖移動剤、保湿剤、湿潤剤、抗菌化合物、治療化合物、それらの配合物などの追加成分も、前記反応混合物に含まれることができる。一部の実施形態では、保湿剤、湿潤剤、抗菌化合物、治療化合物、それらの混合物などであるが、それらに制約されない数種の追加成分が前記用品から溶出するのが望ましい。
【0083】
前記反応混合物には、重合触媒が含まれることができる。重合開始剤は、温和な昇温でフリーラジカルを発生するラウリルパーオキサイド(lauryl peroxide)、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート(isopropyl percarbonate)、アゾビスイソブチロニトリルなどの化合物、さらに、芳香族アルファ-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、および、三級アミン+ジケトン、それらの混合物などの光重合開始剤系を含む。説明に役立つ光重合開始剤の例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキサイド、および、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾインメチルエステル、および、カンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートの配合物である。市販の可視光重合開始剤系は、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(すべて、Ciba Specialty Chemicals製)、およびLucirin TPO重合開始剤(BASFから販売)を含む。市販UV光重合開始剤は、Darocur 1173、およびDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals)を含む。使用可能なこれらや他の光重合開始剤は、J.V.クリベロおよびK.ダイエットライカー(J.V. Crivello& K. Dietliker)著、「フリーラジカル陽イオンおよび陰イオン光重合用の光重合開始剤(Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization)」、第3巻、G.ブラッドリー(G. Bradley)編集、第2版、ニューヨーク所在のジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、1998年、に開示されている。重合開始剤は、前記反応混合物中に、当該反応混合物の光重合開始に有効な量で、例えば、100重量部の反応性モノマーに対して、約0.1〜約2重量部で使用される。当該反応混合物の重合は、使用される重合開始剤に応じて、熱または可視光もしくは紫外光または他の手段を適切に選択して開始されることができる。別法として、重合開始は、光重合開始剤なしで、例えば電子ビームを使って実施されることができる。しかし、光重合開始剤が使用される場合、好ましい重合開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure 819(登録商標))のようなビスアシルフォスフィンオキサイド、または、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド(DMBAPO)との配合物であり、別の実施形態では、重合開始法は、可視光活性化による。好ましい重合開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0084】
これらの反応混合物は、そのまま、または、希釈剤の存在下で反応されることができる。適切な希釈剤および反応条件は、技術上周知である。
【0085】
実施例では、以下の試験法が使用された。
前進および後退接触角は、浸漬および浮上(emersion)中に有効な力が得られることができる移動台(Ealing Optical Co)とともに、デジタル天秤(ホワイト・エレクトリカル・インストルメント(WHITE Electrical Instruments))上で測定された。コンタクトレンズサンプルは、3.3 mm幅の小片に切断された。1個のコンタクトレンズから、最大3枚の小片が切断できる。次に、当該小片の一端にフックで荷重が加えられ、他端をワニ口クリップが留める (重量+フック=88.9±0.5 mg)。これは、当該サンプルを、分析中、真直ぐにし、プローブ溶液にレンズが浮遊し、カールするのを防ぐ。前進および後退接触角は、当該サンプルの浸漬および浮上点の力を読取ることによって決定され、Youngの式を使って算出された。
【数1】

式中、F=測定された力(mN)
θa/r=前進/後退接触角(°)
γ=プローブ溶液の表面張力(mN/m)
P=被験片の周長(m)
【0086】
前記後退角を前記前進角から差し引いて、ヒステリシスが算出された。
【0087】
実施例24〜27で報告される液滴接触角(sessile drop contact angles)は、自動Digidrop Contact Angleメーターおよび技術(GBXサイエンティフィック・インストルメンツ、ローマ、フランス(GBX Scientific Instruments, Romans, France))を使って測定された。
【0088】
平衡含水率は、P.H.コークヒル(P H Corkhill)、A.M.ジョリー(A M Jolly)、C.O.Ng(C O Ng)、およびB.J.タイ(B J Tighe)、「合成ハイドロゲル1、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート(Synthetic Hydrogels 1, Copolymers of Hydroxyalkyl
Acrylates and Methacrylates): 水結合研究(Water Binding Studies)」、ポリマー(、1987,28,1758〜1766に記述されている技術を使って、20℃のリン酸緩衝食塩水中で測定された。
【0089】
本明細書に詳述されている試験法は、すべて、一定量の固有の試験誤差を有する。従って、本明細書で報告される結果は、絶対数として得られることはできないが、特定の試験の精度に基づいて数値範囲として得られることができる。
【0090】
本発明を説明するために、以下の実施例が含まれる。これらの実施例は、本発明を制約するものではない。これらの実施例は、本発明を実施する方法を提言することを意図されているにすぎない。コンタクトレンズ、ならびに、他の専門分野の有識者は、本発明を実施する他の方法を見出すことができる。しかし、それらの方法は、本発明の範囲内であると思われる。
【0091】
実施例では、以下の略語が使用される。
AA=アクリル酸
ACMO=アクリロイルモルフォリン
Am=アクリルアミド
AMO=モルフォリノアクリルアミド
CAN=硝酸セリウム(IV)アンモニウム
DAT=ジアリルタルトルアミド
DMA=N,N-ジメチルアクリルアミド
DMAEMA=N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
HEA=2-ヒドロキシエチルアクリルアミド
HPA=2-ヒドロキシプロピルアクリレート
NaAMPS=2-(アクリルアミド)-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム
NaVS=ビニルスルホン酸ナトリウム
NIPA=N-イソプロピルアクリルアミド
NIPAm=N-イソプロピルアクリルアミド
NVA=N-ビニルアセトアミド
NVMA=N-メチル-N-ビニルアセトアミド
NVP=N-ビニルピロリドン
PBS=リン酸緩衝食塩水
SPA=3-スルホプロピルアクリレートカリウム塩
THFA=テトラヒドロフルフリルメタクリレート
TRIS=N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド
【0092】
<実施例>
〔実施例1〜23〕
グラフティング溶液は、メチレンビスアクリルアミドを水と混合し、0.5重量%とすることによって形成された。下記の表1に挙げられた反応性陰イオンモノマーおよびCANは、表1に挙げられた量で添加された。3種類の異なるレンズ、レネフィルコンA、米国特許出願2005/0070661号の実施例2に従って製造されたレンズ、Dailies(ネルフィルコンA、PVA系コンタクトレンズ、 Ciba Visionから販売)およびSeeQuence(ポリマコン、ポリHEMA系コンタクトレンズ、Bausch and Lombから販売)が、表1に挙げられた時間と温度でグラフティング溶液に接触され、窒素で脱気された。当該グラフティング溶液混合物(実施例5、8、10、15および20)それぞれは、挙げられたモノマーの50:50モル混合物であった。当該レンズは、グラフティング溶液から取り出され、蒸留水中に3〜5日間入れられた。動的接触角が測定され、下記の表1に報告される。グラフティング溶液と接触されなかった対照レンズの動的接触角も測定され、下記の表1に報告される。
【表2】

実施例1、2、6、7、12、16、17、22および23のレンズは、グラフティングの物理的証明の指標としてイオウの存在下で試験された。
【0093】
グラフト化レンズそれぞれに関して、実施例1、2、6、7、12、16および17のレンズにイオウが検出された。イオウは、実施例22および23のレンズ(SeeQuence/SPA)には検出されず、これは、当該サンプルの異常さまたは不規則なグラフティングの徴候であったと思われる。多数のスペクトル上で、セリウム(重合開始剤)も顕著であった。非グラフト化対照レンズのいずれにも、イオウは存在しなかった。
【0094】
より高い表面ヒドロキシル基数を有する前記(ポリビニルアルコール系)ネルフィルコンレンズの化学的性質は、グラフト重合に対する反応性がより高い部位を提供し、これが、少なくとも一部で、実施例1、3、4、9および10に示されるヒステリシスの有意な改善の原因であると考えられる。SPA、NaAMPS両方のグラフト重合は、劇的に低めの前進接触角およびヒステリシス値を示した。比較用の適切な対照は、比較実施例2である(グラフティングプロセスで使用された時間と同様の時間で塩水洗浄されたネルフィルコンレンズ)。比較実施例1と比較実施例2の比較から明らかなように、当該洗浄段階は、浸出可能なポリビニルアルコールのヒステリシスへの影響を軽減する。
【0095】
レネフィルコンレンズには、SPA、NaAMPS両方による改質は、ヒステリシスが改善されたレンズを提供する(実施例12、13および17〜19)。前記体積排除ポリマーとしてNaAMPSが使用されると、より良好なヒステリシスが得られ、その場合、反応条件は、さらに激しいものであった(即ち、50℃または60℃のより高い温度、より長い反応時間(2時間)および0.10%重合開始剤)。SPAに関しては、SPA濃度が低い方が、より良好なヒステリシスが達成された。
【0096】
〔実施例24〜27および比較実施例5〜7〕
比較実施例2の非グラフト化ネルフィルコンレンズと、実施例3、6および10のレンズが、5 cm x 5 cmガラスセル中に入れられ、自動動的蒸気収着分析器(DVS)を使って同一湿度サイクルに供された。この装置の概略図が、図1に示される。当該DVS装置の中心部には、サンプルの質量の変化を1000万分の1部未満まで測定できる超高感度微量天秤1(Micrbalance Cahn D-200)があった。当該微量天秤は、精密に制御された定温インキュベーター2に収納されており、これが、非常に高いベースライン安定性、ならびに、相対湿度の正確な制御を保証した。乾燥気流は、マスフローコントローラー3によって制御され、飽和蒸気流は、マスフローコントローラー5および蒸気加湿器5を使って制御された。湿度および温度プローブ6は、それぞれ、サンプルおよび参照品ホルダー7および8直下に位置し、システム性能の個別の検証を実施した。DVSは、図示されていない専用マイクロコンピューターからの制御によって完全自動化されていた。
【0097】
チャンバー内の条件は、次のように制御された。即ち、温度は、25℃に維持され、湿度は、98%相対湿度での40分間と、それに続く40%相対湿度での2分間のサイクルで100分間制御された。
【0098】
全湿度サイクル後、前記レンズを収納したガラスセルは、前記DVSキャビネットから取り出され、当該DVSキャビネットに隣接する画像キャプチャー液滴接触角測定器(Digidrop Contact Angle Meter, GBX Scientific Instruments,Romans,France)の台上に置かれ、接触角の変化がモニターされた。結果は、図2に示される。図2に示されるように、非改質レンズは、再水和表面として、接触角の顕著な漸進的減少を示したが、本発明のグラフト化レンズは、より高い水和度を保持し、はるかに低い初期接触角を示し、それ以上の変化をほとんど示さなかった。
【0099】
図2は、イオン性SPAおよびAMPSモノマーでコートされたレンズが、未処理ハイドロゲルの場合よりも高い水への親和性を示したことを表している。グラフト化層は、レンズの脱水を防止しなかったが、明らかに、高水和度を維持し、優先的に再水和した。
【0100】
〔比較実施例8〜11〕
市販の未処理レンズ(ACUVUE ONE DAY(登録商標)ブランドコンタクトレンズ(Vistakonから販売)、DAILIES(登録商標)ブランドコンタクトレンズ(Ciba Visionから販売)およびBIOCOMPATIBLE PROCLEAR(登録商標)ブランドコンタクトレンズ)、および、ヒトの角膜の脱水/再水和動力学が、上記の実施例24〜27で説明された自動動的蒸気収着分析器(DVS)を使って測定された。測定された各レンズに関して、当該レンズは、サンプルホルダーに入れられ、過剰の水分が除去され、サンプルの相対質量損失が、湿度サイクルの間中、規則的な間隔で測定された。図3は、3種類の市販レンズの分析結果を示す。健康なヒトの角膜のサンプルは、同じ手順を使って試験された。
【0101】
〔実施例28〜29〕
エタフィルコンレンズ(ACUVUEブランドコンタクトレンズ、Vistakonから販売)は、その包装から取り出され、蒸留脱イオン水で洗浄され、塩水が除去された。コーティング溶液が、下記の表2に示される量の成分を有するように調製された。
【表3】

【0102】
前記モノマー(使用される場合は、陰イオンモノマーおよびコモノマー)は、50 gの水に溶解され、窒素が、10分間当該溶液に通気された。CAN、過硫酸カリウムおよびMbAは、他の50 gの水に溶解された。コーティング対象のレンズは、CAN溶液中に浸漬され、モノマー溶液が当該CAN溶液に添加され、コーティング溶液を形成した。窒素が当該コーティング溶液に通気された。当該混合物は、50℃に維持され、一定の窒素流が当該コーティング溶液に通気された。4時間後、当該コーティング溶液からレンズが取り出され、次に、温和な攪拌下、蒸留水で20分間洗浄された。洗浄液は、新鮮蒸留水と取り替えられ、当該洗浄段階が繰り返された。コート済みレンズは、食塩水(pH 7.4)を含有する小バイアル中に入れられ、密封され、約120℃で約20分間滅菌された。
【0103】
コート済みおよび非コートレンズのヒステリシスが測定された。非コートエタフィルコンレンズのヒステリシスが26であったのに比較して、SPAコートレンズのヒステリシスは3であった。
【0104】
〔実施例30〜31〕
上記の実施例28〜29で調製されたレンズが、未処理ACUVUE(登録商標)ONE DAYブランドコンタクトレンズ(エタフィルコンA)との比較で臨床評価された。臨床評価は、試験を完了した患者20名による単盲検(患者)無作為試験であった。
【0105】
参加対象患者は、次の基準を満たした。即ち、年令18才以上、最高視力が少なくとも6/9、CLDEQ(Nichols et al., 2002)における症状スコア>0.19で、臨床プロトコルで定められた指示を遵守する意志がある、毎日ソフトコンタクトレンズ装着の習慣のある装着者。被験者は、乱視(<1 DC)であり、かつ、眼球のアレルギー、疾患、活動性眼内感染症、有意な(Efron 3度以上)眼内組織異常がいずれもなく、現在眼球に関係する眼科用薬や全身投与薬を使用していなかった。
【0106】
患者は、3種類のレンズタイプを無作為順に3日間装着し、3日目の午後に評価された。次のレンズタイプの評価まで、最低2日間の間隔が設けられた。
【0107】
0.1目盛りの解像度までのCCLRU評価尺度を使って、眼球充血、まぶたのざらつき、角膜の汚れが等級付けされた。試験中、小嚢腫(mycrocysts)、線状痕(straie)、皺または浸潤物は、認められなかった。
【0108】
患者は、次のパラメーターについて、連続視覚アナログ尺度でレンズを採点した。即ち、快適さ、乾燥、灼熱感/ひりひり感、視野の明瞭さ、および、羞明である。採点は、挿入時(装着の最初の30分間)、日中(その後午後6時まで)、および、夕方(午後6時からコンタクトレンズを外すまで)に行われ、日誌に記録された。表3〜5は、試験結果を示す。患者は、レンズ装着時間数も記録した。前記レンズに関して報告された平均装着時間数は、次のとおりであった。実施例30(実施例28のSPAコートレンズ)11.05±2.81時間/日、実施例31(実施例29のAMPSコートレンズ)12.01±2.45時間/日、比較実施例12の対照レンズ(非コートエタフィルコンレンズ)10.90±2.79時間/日。
【表4】

【表5】

【表6】

本発明のレンズは、少なくとも遜色のない快適さ、乾燥および視力を示し、実施例31の場合、非コート対照よりも良好な快適さ、乾燥および視力を示した。全レンズが許容可能な移動と低汚染を示した。
【0109】
〔実施例32〕
8 g(5.38重量%)の2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(水中45%溶液の形態)、40.0 g(49.80重量%)の2-アクリルアミド2,2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(水中50%溶液の形態)および16.01 g(44.82重量%)のN-ビニルピロリドンは、0.8 g(2重量%)の過硫酸カリウム(K2S2O8)重合開始剤とともに、80 mLのアセトニトリルと120 mLの水の混合物中に溶解された。当該混合物は、攪拌器、水冷却器および窒素スパージ(nitrogen sparge)を備えた三口反応フラスコに導入され、電気恒温マントル(electric isomantle)で加熱された。反応混合物は、70℃の温度まで60分間加熱された。当該反応混合物は、過剰量のアセトンに沈殿され、濾過され、60℃の真空オーブンで乾燥され、67%の収率(26.5 g)が得られた。
【0110】
回収されたポリマーは、PBSに溶解され、0.01重量%ポリマー溶液を生じた。当該ポリマーは、オービタルシェーカー上での穏やかな攪拌によって容易に溶解した。100 mLの当該0.1%ポリマー溶液は、200 mLのオートクレーブ可能なポリプロピレンプラスチックネジぶた式容器に添加された。ジョンソン&ジョンソン・ビジョン・ケア社(Johnson & Johnson Vision Care, Inc.)から市販されている1 DAY ACUVUEブランドコンタクトレンズは、Histosette生検カセット中に入れられた。3個のHisosetteカセットが、200 mLプラスチックネジぶた式容器に入れられ、当該容器最上部が、ネジぶたで閉められた。当該容器は、オートクレーブ内に置かれた。当該容器およびレンズは、0.1%ポリマー溶液中、120℃で30分間オートクレーブに供された。当該容器は、オートクレーブから取り出され、前記ポリマー溶液は、PBSに置換された。Histocasette中のレンズは、COF分析実施前に、少なくとも2日間PBSで洗浄/保存され、PBSは、少なくとも2回交換された。当該レンズの取扱いおよび移し替えには、ピンセットが使用された。レンズは、このプロセス後、元の寸法を維持していたことが判明した。
【0111】
前記レンズの摩擦係数は、次のように測定された。摩擦係数の測定に、エアテーブル上に据えられた高感度摩擦計(CSM Nano Scratch Tester, CSM Instruments, Peseux, Switzerland)が使用された。被験レンズが、凸面支持部上に置かれ、潤滑溶液(Hypotears(登録商標)人工涙液(Novartis Ophthalmics)の存在下、選択基材(Melinex(登録商標)(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(DuPont)への3 mN/mの荷重によって当該レンズが5 mm/分の滑り速度で滑る際の摩擦係数が測定された。
【0112】
サンプル毎に、20 mmの距離の滑りについて10回繰り返し測定された。少なくとも2個のレンズがこれらの条件下で試験され、当該レンズからのデータが平均化された。この実施例32のレンズのCOFは、0.161±0.013であった。
【0113】
〔比較実施例8〕
滅菌溶液としてポリマーを含有しないPBSが使用された点を除いて、実施例32が反復された。未処理レンズのCOFが測定され、0.47であった。
【0114】
〔実施例33〜42〕
実施例32は、下記の表6〜8に挙げられた成分および条件を使って繰り返された。実施例36、37、39、40、42、44、45、47、49、50および52についてCOFが測定され、下記の表9に示される。
【表7】

よって、0.47のCOFを有した対照に比較して、本発明のレンズは、有意に改善されたCOFを示した。
【表8】

【表9】

【表10】

【0115】
〔実施の態様〕
(1) 組成物において、
少なくとも1種類の体積排除ポリマーを含むポリマー、
を含む、組成物。
(2) 実施態様1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、任意のコモノマー、および、少なくとも1種類の水和性ポリ陰イオン基を含む少なくとも1種類の反応性陰イオンモノマー、を含む反応混合物から形成される、組成物。
(3) 実施態様1に記載の組成物において、
前記水和性ポリ陰イオン基は、前記体積排除ポリマー全体に実質的に均一に分布されている、組成物。
(4) 実施態様3に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、次式であり、
R-L-A
式中、Rが反応基、Lが結合基、Aが水和性ポリ陰イオン基である、組成物。
(5) 実施態様4に記載の組成物において、
Rは、(メト)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1-6アルキル(メト)アクリレート、(メト)アクリルアミド、C1-6アルキル(メト)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、C2-12アルケニル、C2-12アルケニルフェニル、C2-12アルケニルナフチル、C2-6アルケニルフェニルC1-6アルキル、O-ビニルカルバメート、およびO-ビニルカーボネートから成る群から選択されるフリーラジカル反応基である、組成物。
(6) 実施態様4に記載の組成物において、
Rは、(メト)アクリレート、アクリルオキシ、(メト)アクリルアミド、およびそれらの混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応基である、組成物。
(7) 実施態様4に記載の組成物において、
Rは、ビニルエーテルまたはエポキシド基、アルコール、エステル、カルボン酸、イソシアネート、無水物、ハライド置換が可能な基団、ヒドロキシルおよびアミノカルボン酸の環式誘導体、環式エーテル、環式エステル、環式アミド、およびそれらの配合物(combination)から成る群から選択される、組成物。
(8) 実施態様4に記載の組成物において、
Lは、直鎖もしくは枝分れが可能な炭素原子1〜12個を有する置換および非置換アルキレン、ポリエーテル、オキサゾリン、置換および非置換複素環基、ならびにそれらの配合物から成る群から選択される、組成物。
(9) 実施態様4に記載の組成物において、
Aは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネート、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
(10) 実施態様4に記載の組成物において、
Aは、少なくとも1個のスルホネート基を含む、組成物。
【0116】
(11) 実施態様2に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、次式を有し、
H2C=C(R2)-CO2-(CH2)n-A
式中、R2は、-H、-CH3、-CH2CO2-(CH2)n-Aから選択され、この場合、nは2〜8の整数、Aは水和性ポリ陰イオン基である、組成物。
(12) 実施態様11に記載の組成物において、
Aは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネート、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
(13) 実施態様11に記載の組成物において、
Aは、少なくとも1個のスルホネート基を含む、組成物。
(14) 実施態様1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、少なくとも約500の分子量を有するオリゴマーである、組成物。
(15) 実施態様1に記載の組成物において、
少なくとも2種類の異なる体積排除ポリマー、即ち、約10,000未満の分子量を有する第一体積排除ポリマーと、約100,000を超える分子量を有する第二体積排除ポリマーと、を含む、組成物。
(16) 実施態様3に記載の組成物において、
前記ポリ陰イオン基に陰イオン結合された少なくとも1個の生理学的適合性陽イオン、
をさらに含む、組成物。
(17) 実施態様16に記載の組成物において、
前記陽イオンは、Li+、Na+、K+、NH4+、Mg+、Zn+、Ag+、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
(18) 実施態様16に記載の組成物において、
前記陽イオンは、Na+、K+、および、それらの混合物から成る群から選択される、組成物。
(19) 実施態様2に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、ナトリウム-2-(アクリルアミド)-2-メチルプロパンスルホネート、3-スルホプロピル(メト)アクリレートカリウム塩、3-スルホプロピル(メト)アクリレートナトリウム塩、3-スルホプロピル(メト)アクリレートカルシウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二カリウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二カルシウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二ナトリウム塩、スチレンスルホネート、および、それらの混合物から成る群から選択される、組成物。
(20) 実施態様2に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、反応性陰イオンモノマーから誘導される約20〜約80重量%の反復単位を含む、組成物。
【0117】
(21) 実施態様2に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、約20〜約80モル%の前記反応性陰イオンモノマー、ならびに約2〜約80モル%のアミド含有コモノマー、0〜約40モル%のカルボン酸含有コモノマー、および0〜約40モル%のヒドロキシル含有コモノマーを含むコモノマー、を含む反応混合物から形成される、組成物。
(22) 実施態様2に記載の組成物において、
前記の少なくとも1種類のコモノマーは、N-ビニルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、2,2-ジメトキシ、1-ヒドロキシアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N-アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシルメチルアクリルアミド、および、それらの配合物から成る群から選択される少なくとも1種類の親水性ビニル含有モノマーを含む、組成物。
(23) 実施態様2に記載の組成物において、
前記の少なくとも1種類のコモノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド、イタコン酸、および、それらの配合物から成る群から選択される少なくとも1種類の親水性モノマーを含む、組成物。
(24) 実施態様1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、ブラシ形構造、枝分れ構造、ループ構造またはそれらの組合せから成る群から選択される構造を有する、組成物。
(25) 実施態様1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、前記ポリマーの少なくとも一部と相互浸透網を形成する、組成物。
(26) 用具において、
水和ポリマーと、浸透圧ドライバーとして作用するのに十分な濃度の少なくとも1種類の体積排除ポリマーとから形成される、用具。
(27) 実施態様26に記載の用具において、
前記用具は、
第一表面と、
第二表面と、
を含み、
前記体積排除ポリマー濃度は、前記第一表面から前記第二表面まで変動する、用具。
(28) 実施態様26に記載の用具において、
前記体積排除ポリマーは、前記用具の1個の表面のみに存在する、用具。
(29) 実施態様26に記載の用具において、
前記用具は、コンタクトレンズである、用具。
(30) 実施態様29に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記第一表面は、使用中にコンタクトレンズ装着者のまぶたと接触して配置されるコンタクトレンズ前面であり、
前記第二表面は、前記コンタクトレンズ装着者の眼球に接触して配置される後面である、コンタクトレンズ。
【0118】
(31) 実施態様30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記コンタクトレンズ前面は、前記体積排除ポリマーでコートされている、コンタクトレンズ。
(32) 実施態様30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記体積排除ポリマーの濃度は、前記コンタクトレンズ前面でより高くなっている、コンタクトレンズ。
(33) 実施態様30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記体積排除ポリマーは、前記コンタクトレンズ前面の5 um以内に位置する、コンタクトレンズ。
(34) 実施態様30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記コンタクトレンズは、少なくとも約5重量%の水分を有するハイドロゲルから形成されるコンタクトレンズである、コンタクトレンズ。
(35) 実施態様34に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記ハイドロゲルは、シリコーンハイドロゲルである、コンタクトレンズ。
(36) 実施態様26に記載の用具において、
前記用具は、創傷治癒材および眼科用治療被覆材および人工椎間板から成る群から選択される、用具。
(37) 方法において、
少なくとも1個の基材中または基材上に少なくとも1種類の体積排除ポリマーを組み入れるステップ、
を含む、方法。
(38) 実施態様37に記載の方法において、
前記組み入れるステップは、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の少なくとも1個の表面の少なくとも一部への共有またはイオン結合ステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の少なくとも1個の表面へのコーティングステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の全部または一部への吸収ステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材が製造される反応混合物との重合ステップ、
前記基材の少なくとも一部の存在下での反応性陰イオン基の反応ステップ、および、
上記ステップの組合せ、
から成る群から選択される方法によって達成される、方法。
(39) 実施態様37に記載の方法において、
前記体積排除ポリマーは、前記基材の少なくとも1個の表面上に存在する、方法。
(40) 実施態様37に記載の方法において、
前記体積排除ポリマーは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネートおよびそれらの配合物から成る群から選択される少なくとも1個の水和性ポリ陰イオン基を含む反応陰イオンモノマーから形成される、方法。
(41) 実施態様40に記載の方法において、
前記水和性ポリ陰イオン基は、少なくとも1個のスルホネート基を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、実施例で使用される動的蒸気収着分析装置の概略図である。
【図2】図2は、時間の関数としての、対照レンズと本発明のレンズの相対質量損失のグラフである。
【図3】図3は、時間の関数としての、3種類の市販レンズと健康なヒトの角膜サンプルの相対質量損失のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物において、
少なくとも1種類の体積排除ポリマーを含むポリマー、
を含む、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、任意のコモノマー、および、少なくとも1種類の水和性ポリ陰イオン基を含む少なくとも1種類の反応性陰イオンモノマー、を含む反応混合物から形成される、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物において、
前記水和性ポリ陰イオン基は、前記体積排除ポリマー全体に実質的に均一に分布されている、組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、次式であり、
R-L-A
式中、Rが反応基、Lが結合基、Aが水和性ポリ陰イオン基である、組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物において、
Rは、(メト)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1-6アルキル(メト)アクリレート、(メト)アクリルアミド、C1-6アルキル(メト)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、C2-12アルケニル、C2-12アルケニルフェニル、C2-12アルケニルナフチル、C2-6アルケニルフェニルC1-6アルキル、O-ビニルカルバメート、およびO-ビニルカーボネートから成る群から選択されるフリーラジカル反応基である、組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の組成物において、
Rは、(メト)アクリレート、アクリルオキシ、(メト)アクリルアミド、およびそれらの混合物から成る群から選択されるフリーラジカル反応基である、組成物。
【請求項7】
請求項4に記載の組成物において、
Rは、ビニルエーテルまたはエポキシド基、アルコール、エステル、カルボン酸、イソシアネート、無水物、ハライド置換が可能な基団、ヒドロキシルおよびアミノカルボン酸の環式誘導体、環式エーテル、環式エステル、環式アミド、およびそれらの配合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項8】
請求項4に記載の組成物において、
Lは、直鎖もしくは枝分れが可能な炭素原子1〜12個を有する置換および非置換アルキレン、ポリエーテル、オキサゾリン、置換および非置換複素環基、ならびにそれらの配合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項9】
請求項4に記載の組成物において、
Aは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネート、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項10】
請求項4に記載の組成物において、
Aは、少なくとも1個のスルホネート基を含む、組成物。
【請求項11】
請求項2に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、次式を有し、
H2C=C(R2)-CO2-(CH2)n-A
式中、R2は、-H、-CH3、-CH2CO2-(CH2)n-Aから選択され、この場合、nは2〜8の整数、Aは水和性ポリ陰イオン基である、組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物において、
Aは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネート、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の組成物において、
Aは、少なくとも1個のスルホネート基を含む、組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、少なくとも約500の分子量を有するオリゴマーである、組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物において、
少なくとも2種類の異なる体積排除ポリマー、即ち、約10,000未満の分子量を有する第一体積排除ポリマーと、約100,000を超える分子量を有する第二体積排除ポリマーと、を含む、組成物。
【請求項16】
請求項3に記載の組成物において、
前記ポリ陰イオン基に陰イオン結合された少なくとも1個の生理学的適合性陽イオン、
をさらに含む、組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物において、
前記陽イオンは、Li+、Na+、K+、NH4+、Mg+、Zn+、Ag+、および、それらの配合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項18】
請求項16に記載の組成物において、
前記陽イオンは、Na+、K+、および、それらの混合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項19】
請求項2に記載の組成物において、
前記反応性陰イオンモノマーは、ナトリウム-2-(アクリルアミド)-2-メチルプロパンスルホネート、3-スルホプロピル(メト)アクリレートカリウム塩、3-スルホプロピル(メト)アクリレートナトリウム塩、3-スルホプロピル(メト)アクリレートカルシウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二カリウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二カルシウム塩、ビス-3-スルホプロピルエステル(メト)アクリレート二ナトリウム塩、スチレンスルホネート、および、それらの混合物から成る群から選択される、組成物。
【請求項20】
請求項2に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、反応性陰イオンモノマーから誘導される約20〜約80重量%の反復単位を含む、組成物。
【請求項21】
請求項2に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、約20〜約80モル%の前記反応性陰イオンモノマー、ならびに約2〜約80モル%のアミド含有コモノマー、0〜約40モル%のカルボン酸含有コモノマー、および0〜約40モル%のヒドロキシル含有コモノマーを含むコモノマー、を含む反応混合物から形成される、組成物。
【請求項22】
請求項2に記載の組成物において、
前記の少なくとも1種類のコモノマーは、N-ビニルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、2,2-ジメトキシ、1-ヒドロキシアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N-アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシルメチルアクリルアミド、および、それらの配合物から成る群から選択される少なくとも1種類の親水性ビニル含有モノマーを含む、組成物。
【請求項23】
請求項2に記載の組成物において、
前記の少なくとも1種類のコモノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、N-(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド、イタコン酸、および、それらの配合物から成る群から選択される少なくとも1種類の親水性モノマーを含む、組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、ブラシ形構造、枝分れ構造、ループ構造またはそれらの組合せから成る群から選択される構造を有する、組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物において、
前記体積排除ポリマーは、前記ポリマーの少なくとも一部と相互浸透網を形成する、組成物。
【請求項26】
用具において、
水和ポリマーと、浸透圧ドライバーとして作用するのに十分な濃度の少なくとも1種類の体積排除ポリマーとから形成される、用具。
【請求項27】
請求項26に記載の用具において、
前記用具は、
第一表面と、
第二表面と、
を含み、
前記体積排除ポリマー濃度は、前記第一表面から前記第二表面まで変動する、用具。
【請求項28】
請求項26に記載の用具において、
前記体積排除ポリマーは、前記用具の1個の表面のみに存在する、用具。
【請求項29】
請求項26に記載の用具において、
前記用具は、コンタクトレンズである、用具。
【請求項30】
請求項29に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記第一表面は、使用中にコンタクトレンズ装着者のまぶたと接触して配置されるコンタクトレンズ前面であり、
前記第二表面は、前記コンタクトレンズ装着者の眼球に接触して配置される後面である、コンタクトレンズ。
【請求項31】
請求項30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記コンタクトレンズ前面は、前記体積排除ポリマーでコートされている、コンタクトレンズ。
【請求項32】
請求項30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記体積排除ポリマーの濃度は、前記コンタクトレンズ前面でより高くなっている、コンタクトレンズ。
【請求項33】
請求項30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記体積排除ポリマーは、前記コンタクトレンズ前面の5 um以内に位置する、コンタクトレンズ。
【請求項34】
請求項30に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記コンタクトレンズは、少なくとも約5重量%の水分を有するハイドロゲルから形成されるコンタクトレンズである、コンタクトレンズ。
【請求項35】
請求項34に記載のコンタクトレンズにおいて、
前記ハイドロゲルは、シリコーンハイドロゲルである、コンタクトレンズ。
【請求項36】
請求項26に記載の用具において、
前記用具は、創傷治癒材および眼科用治療被覆材および人工椎間板から成る群から選択される、用具。
【請求項37】
方法において、
少なくとも1個の基材中または基材上に少なくとも1種類の体積排除ポリマーを組み入れるステップ、
を含む、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、
前記組み入れるステップは、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の少なくとも1個の表面の少なくとも一部への共有またはイオン結合ステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の少なくとも1個の表面へのコーティングステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材の全部または一部への吸収ステップ、
前記体積排除ポリマーの、前記基材が製造される反応混合物との重合ステップ、
前記基材の少なくとも一部の存在下での反応性陰イオン基の反応ステップ、および、
上記ステップの組合せ、
から成る群から選択される方法によって達成される、方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、
前記体積排除ポリマーは、前記基材の少なくとも1個の表面上に存在する、方法。
【請求項40】
請求項37に記載の方法において、
前記体積排除ポリマーは、フォスフェート、ホスホネート、ボレート、サルフェート、スルホネートおよびそれらの配合物から成る群から選択される少なくとも1個の水和性ポリ陰イオン基を含む反応陰イオンモノマーから形成される、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
前記水和性ポリ陰イオン基は、少なくとも1個のスルホネート基を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−208331(P2008−208331A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−282222(P2007−282222)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(500092561)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (153)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【Fターム(参考)】