説明

少なくとも2つのタイプの官能性ポリシロキサン化合物を含有するタイコート組成物及び支持体上に塗膜を形成させるための該組成物の使用方法

本発明は、付着物−剥離塗料系用のタイコート組成物に関する。本発明は、塗料組成物を用いる支持体の被覆方法であって、該塗料組成物が、エポキシ−官能性ポリシロキサン、アミノ−官能性ポリシロキサン及びポリシロキサン型の特定の定着剤から選択される少なくとも2つのタイプの官能性ポリシロキサン化合物を含有する該被覆方法を提供する。本発明は、この種の組成物で被覆された支持体及び該被覆方法において特に有用な組成物も提供する。バインダー相もエポキシ塗料組成物の成分、例えば、エポキシ樹脂及びアミン硬化剤等を含有していてもよい。この種の組成物は、ジオルガノポリシロキサンに基づく付着物剥離性塗料や防錆用エポキシ型下塗と併用するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物剥離性塗料系(fouling-release paint system)用のタイコート(tie -coat)組成物に関する。本発明は、塗料組成物を用いる支持体の被覆方法であって、該塗料組成物が、エポキシ−官能性ポリシロキサン、アミノ−官能性ポリシロキサン及びポリシロキサン型の特定の定着剤から選択される少なくとも2つのタイプの官能性ポリシロキサン化合物を含有する該被覆方法を提供する。本発明は、この種の組成物で被覆された支持体及び該被覆方法において特に有用な組成物も提供する。
【背景技術】
【0002】
水中構造物、特に水(就中、海水)と接触する浸漬型海洋構造物には海洋生物が付着しやすい。付着物剥離性塗料系は、このような海洋構造物(例えば、船舶、ブイ、船舶構造物等)において、海洋生物の固着を抑制するために多量に使用されている。鋼製構造物用の付着物剥離性塗料系は一般的には3つの主要層、即ち、鋼製支持体上に塗布されるエポキシを基剤とする防錆層、一般的にはポリシロキサンを基剤とするマトリックス(matrix)、及びしばしば「タイコート」と呼ばれている中間層を含むものであり、該中間層は、該中間層が存在しないときには不適合なエポキシを基剤とする防錆層とポリシロキサンを基剤とする付着物剥離層との間を強く結合させる作用をする。
【0003】
ローネ・ポーレン・ケミー社による米国特許第4978704号及び同第4996112号各明細書には、次の組成を有するオルガノシロキサン組成物が開示されている:α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンポリマー100重量部、架橋剤0.5〜20重量部、少なくとも1個のアミノ官能基を有するアミノ有機ケイ素化合物と少なくとも1個のエポキシ官能基を有する有機ケイ素化合物を含有する結合剤0.1〜10重量部、無機フィラー2〜250重量部及び金属触媒0.0004〜3重量部。この組成物は海洋構造物の表面(例えば、船舶の船体又はネット等)の塗装に有用である。
【0004】
ジェネラル・エレクトリック社によるヨーロッパ特許公報EP1013727A1号及び米国特許第6110536号明細書には、付着物剥離性塗料用タイコートとしてエポキシ−シリコーン接着性塗料が開示されている。この塗料は、エポキシ樹脂塗料80〜85重量%及びシリコーン定着剤15〜20重量%を含有する。このシリコーン定着剤は揮発性炭化水素溶剤、部分的に縮合させたオルガノシリケート、溶解金属触媒及びアミノアルキルトリアルコキシシランを含有する。
【0005】
ジェネラル・エレクトリック社による英国特許公報GB2300370A1号には、定着剤層の上面に形成させた付着物剥離層を有する物品が開示されている。定着剤層は、防錆材料 [一般的には、硬化用触媒を含有するエポキシ官能化基剤(例えば、エポキシ樹脂)] 及び結合剤を含有する。結合剤は、i)ポリジアルキルシロキサンと少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーを含有する湿分硬化性グラフトコポリマー、ii)液状のアミノ官能化ポリシロキサン、又はiii)液状のα,ω−ジアミノ官能化ポリシロキサンを含有していてもよい。
【0006】
インターナショナル・コーティング社による国際公開公報WO99/33927には、付着物抑制方法が開示されている。この方法には、潜在的反応性を付与する未反応の硬化性ケイ素含有官能基を有する造膜性ポリマーを含有する塗膜を形成させ、次いで付着物を抑制する硬化性ポリマー材料を含有する層を形成させ後、該塗膜上における未反応官能基が関与する縮合硬化反応によって該層を該塗膜に結合させる工程が含まれる。
【0007】
特開平3−258876号公報には、エポキシ樹脂とジメチルポリシロキサンとの反応生成物及び硬化剤を含有するタイコート組成物が開示されている。硬化剤は活性水素を有しているべきであり、ポリアミン、ポリアミド、アミノシランカップリング剤、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、及びポリウレタン樹脂から成る群から選択される。該反応生成物のエポキシ当量数と硬化剤の活性水素当量数の比は100:50〜100:200の範囲にすべきである。
【0008】
ヨーロッパ特許公報EP0521983号には、(A)i)第1アミン官能性シラン、若しくはii)第1アミン官能性シランとエポキシ官能性シランとの反応生成物、若しくはiii)第1アミン官能性シランとα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサンオイルとの反応生成物、(B)塩素化ポリオレフィン、及び(C)室温硬化性ポリジオルガノシロキサンを含有するプライマー組成物が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の従来技術に鑑み、当該分野においては、付着物剥離性塗料系用タイコート組成物として、さらに改良された組成物、又は少なくとも従来のこの種の組成物の代替物が依然として要請されており、本発明はこのような要請に応えるためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの観点によれば、本発明は支持体(substrate)の被覆方法に関する(請求項1参照)。
【0011】
別の観点によれば、本発明は塗料組成物(coating composition)に関する(請求項22参照)。
【0012】
さらに別の観点によれば、本発明は、i)支持体、ii)該支持体の表面上の少なくとも一部に存在するエポキシに基づく塗膜、iii)該塗膜上に存在するタイコート、及びiv)該タイコート上に存在する付着物剥離性塗膜を具有する物品に関する(請求項23参照)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、付着物剥離性塗料系に関連して特に有用な改良法と有利なタイコート組成物を提供する。
【0014】
以下の説明から明らかなように、本発明は、少なくとも2つのタイプの官能性ポリシロキサンを含有するタイコート組成物の使用を伴う方法が提供される。タイコート組成物のバインダー相(binder phase)の実質的な部分はポリシロキサン型化合物であってもよく、あるいは、該組成物のバインダー相はポリシロキサン型化合物と共に、ケイ素を含有しないアミノ化合物及び/又はエポキシ化合物(特に、エポキシ塗料組成物の代表的な成分)を併含していてもよい。従って、簡単に言えば、バインダー相は、主要な非溶剤成分として、ポリシロキサンフラクション(ポリシロキサン及びシラン)及び、可能な場合には、エポキシ塗料組成物の1種若しくは複数種の構成成分のフラクションを含有する相であると考えてもよい。一部の態様においては、エポキシ塗料組成物1種若しくは複数種の構成成分のフラクションの量は、湿量%で測定する場合、かなり多くなってもよいが、全ての場合において、タイコート組成物のバインダー相は2つのタイプの官能性ポリシロキサンを含有していなければならない。この点については、以下においてさらに詳述する。
【0015】
アミノ官能性化合物とエポキシ官能性化合物の共存によって、組成物の硬化、即ち、アミノ基とエポキシ基との反応が保証される。後述の実施例を伴う本明細書から理解されるように、大部分の場合、定着剤は支持体(又は、プライマー(下塗)、特にエポキシプライマーで被覆された支持体)とタイコートとの間の接着、及びタイコートとその後で塗布される付着物剥離性塗膜との間の接着をさらに促進する。
【0016】
支持体の被覆方法
本発明の1つの観点によれば、下記の工程(A)及び(B)を含む支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー0〜60湿量%(例えば、0〜50湿量%、好ましくは、5〜45湿量%、例えば、5〜40湿量%若しくは5〜35湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相(即ち、顔料とフィラーを含有しない塗料組成物)であって、1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物1〜90湿量%、1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物1〜90湿量%及び1種若しくは複数種の定着剤0〜20湿量%を含有するバインダー相 [この場合、該バインダー相は、次のポリシロキサン化合物a)〜c)から成る群から選択される少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物を含有する:a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] を含有する塗料組成物を該支持体の表面の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へ第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0017】
バインダー相
塗料組成物の「バインダー相」という用語は、塗料組成物に含まれる顔料及び/又はフィラー以外の全成分を意味する。一般的には、バインダー相は塗料組成物の40〜100湿量%、例えば、50〜100湿量%(例えば、55〜95湿量%、例えば、60〜95湿量%若しくは65〜95湿量%)を構成する。一方、一般的には、塗料組成物は顔料及びフィラーを0〜60湿量%、例えば、0〜50湿量%、好ましくは5〜45湿量%、例えば、5〜40湿量%若しくは5〜35湿量%含有する。
【0018】
「組成物の湿量%」という用語は、溶剤を含有する組成物に基づく各成分の百分率を意味する。
【0019】
前述のように、塗料組成物のバインダー相は1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物、1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物及び所望による1種若しくは複数種の定着剤を含有する。
【0020】
多くの実施態様においては、エポキシ官能性化合物には、一般的にはエポキシ官能性ケイ素化合物(多くの場合には、エポキシ官能性ポリシロキサン及び/又はエポキシ官能性シラン)が含まれ、アミノ官能性化合物には、一般的にはアミノ官能性ケイ素化合物(多くの場合には、アミノ官能性ポリシロキサン及び/又はアミノ官能性シラン)が含まれる。さらに、定着剤は、ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択されてもよい。
【0021】
バインダー相中には、少なくとも2種の異なるタイプのポリシロキサン化合物を存在させることが重要である。即ち、該バインダー相中には、次のポリシロキサン化合物a)〜c)から成る群から選択される少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物を含有させる:a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤。
【0022】
本願の特許請求の範囲と明細書において用いる「ポリシロキサン」という用語は、ポリジオルガノシロキサン、即ち、多数のジオルガノシロキサンユニットを含有するポリマー性成分を意味する。
【0023】
1つの重要な実施態様においては、塗料組成物は、ポリシロキサンに基づく塗料組成物である。「ポリシロキサンに基づく塗料組成物」という用語は、バインダー相の少なくとも40湿量%がポリシロキサンに基づく成分によって構成される塗料組成物を意味する。この種のポリシロキサンに基づく成分には、いずれのエポキシ官能性ケイ素化合物、アミノ官能性ケイ素化合物及びポリシロキサン型の定着剤も包含される。「アミノ官能性ポリシロキサン」、「エポキシ官能性ポリシロキサン」、「ヒドロキシ官能性ポリシロキサン」、「ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン」及び「C1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサン」等の用語も、各々の成分がジオルガノシロキサンユニット又はポリジオルガノシロキサンフラグメントを含有することを意味する。
【0024】
1つの重要な変形態様においては、エポキシ官能性化合物は1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素化合物から実質上構成され、又、アミノ官能性化合物は1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素化合物から実質上構成される。
【0025】
別の重要な実施態様においては、塗料組成物のバインダー相は、必須のポリシロキサン化合物のほかに、エポキシ塗料組成物の1種若しくは複数種の成分を含有する(この態様については、さらに後述する)。
【0026】
いずれかの特定の理論に拘束されるものではないが、アミノ官能性化合物の水素当量とエポキシ官能性化合物のエポキシ当量との比の選択は、塗料組成物の性能に関して一定の役割を果たすと考えられる。即ち、本発明方法の1つの態様においては、該当量比は20:100〜200:100の範囲にある。
【0027】
アミノ官能性化合物に関連する「水素当量」の値は、アミノ官能性化合物のグラム数をアミノ官能性化合物の水素当量で割った商として定義される。この場合、アミノ官能性化合物の水素当量は、活性水素1モルに等しいアミノ官能性化合物のグラム数として決定される。
【0028】
エポキシ官能性化合物に関連する「エポキシ当量」の値は、エポキシ官能性化合物のグラム数をエポキシ官能性化合物のエポキシ当量で割った商として定義される。この場合、エポキシ官能性化合物のエポキシ当量は、エポキシ基1モルに等しいエポキシ官能性化合物のグラム数として決定される。
【0029】
前述のように、塗料組成物のバインダー相は、エポキシ官能性化合物を1〜90湿量%(特に、エポキシ官能性ケイ素化合物を1〜90湿量%)含有する。
【0030】
バインダー相に関連する「湿量%」という用語は、いずれかの溶剤を含有するバインダー相に基づく各成分の百分率を意味する。
【0031】
「エポキシ官能性化合物」という用語は、エポキシ官能性ケイ素化合物(これに関しては後述する)及びエポキシ塗料組成物に常用されているようなケイ素不含エポキシ官能性化合物(これに関してはさらに後述する)を包含することを意図する。
【0032】
「アミノ官能性化合物」という用語は、アミノ官能性ケイ素化合物(これに関しては後述する)及びエポキシ塗料組成物に常用されているようなケイ素不含アミノ官能性化合物(これに関してはさらに後述する)を包含することを意図する。
【0033】
第1の主要な実施態様においては、エポキシ官能性化合物は、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素化合物から実質上構成され、又、アミノ官能性化合物は、1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素化合物から実質上構成される。
【0034】
「エポキシ官能性ケイ素化合物」という用語は、通常の意味に理解されるべきであって、ケイ素化合物、例えば、ペンダント状エポキシ基及び/又は末端エポキシ基を有するシラン化合物若しくはポリシロキサン化合物等を意味する。エポキシ官能性ケイ素化合物としては、エポキシ官能性ポリシロキサン及びエポキシシラン等が例示される。
【0035】
1つの実施態様においては、エポキシ官能性ケイ素化合物はエポキシ官能性ポリシロキサンである。「エポキシ官能性ポリシロキサン」という用語は通常の意味に理解されるべきであり、1個若しくは複数個のポリシロキサンブロックを有すると共に、ペンダント状エポキシ官能基及び/又は末端エポキシ官能基を有する線状若しくは分枝状のポリマー性成分を意味する。エポキシ官能基は、例えば、エポキシシラン又はエポキシ樹脂等を用いてポリシロキサン中へ導入してもよい(例えば、ヨーロッパ特許公報EP1086974A参照)。1つの例においては、エポキシ官能性ポリシロキサンは、エポキシ樹脂と反応性ポリシロキサンとの反応によって調製される。この場合、所望により、その他の成分、例えば、ヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基等を有する成分を共存させることによって、該成分を該反応に関与させてもよい。別の例においては、エポキシ官能性ポリシロキサンは、エポキシシランとアルコキシシランとの混合物を部分的な加水分解反応と縮合反応に付すことによって調製してもよい。望ましい場合には、エポキシ官能性ポリシロコサンは現場で(in situ)調製してもよいことが理解されるべきである。さらに、エポキシ官能性ポリシロキサンがアルコキシ官能基及び/又はヒドロキシル官能基を含有する態様が有利な場合があることも理解されるべきである。
【0036】
一般的に要求される要件ではないが、ポリシロキサン骨格若しくは該骨格の側鎖が−OH基若しくはアルコキシ基を含むエポキシ官能性ポリシロキサンを少なくとも1種使用する態様が有利な場合があると考えられる。いずれかの特定の理論に拘束されるものではないが、このようなヒドロキシル基若しくはアルコキシ基は、タイコート組成物が湿潤条件下に曝されたときの硬化反応に関与してもよいと考えられる。
【0037】
エポキシ官能性ポリシロキサンの市販品としては次の製品が例示される:テゴ社製の「シルコフタル(SILKOFTAL)ED」(エポキシ,メトキシポリジメチルポリシロキサン)、ウァッカー社製の「SLM43226」、及びシンエツ社製の「ES−1002T及びES−1001T」(シリコーン変性エポキシ樹脂)等。
【0038】
エポキシ官能性ポリシロキサンの一般的な含有量は、バインダー相に基づいて25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)である。
【0039】
別の実施態様においては、エポキシ官能性ケイ素化合物はエポキシシランである。この実施態様においては、アミノ官能性ポリシロキサンを存在させなければならない。エポキシシランは、次式で表されるシランとして定義される:
ASi(R)(OR)3−a
式中、Aは、エポキシドが置換した1価のC2−12−炭化水素残基を示し、Rはそれぞれ独立してC1−8−アルキル(例えば、メチル、エチル、ヘキシル及びオクチル等)、C1−4−アルキル−O−C2−4−アルキル、アリール(例えば、フェニル等)及びアリール−C1−4−アルキル(例えば、ベンジル等)から選択される基を示し、aは0若しくは1の数を示す。
【0040】
エポキシシラン中の基Aは好ましくはグリシドキシ−置換アルキル基、例えば、3−グリシドキシプロピルである。エポキシシランとしては次の化合物が例示される:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシメトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシ−ヘキシルトリエトキシシラン。
【0041】
エポキシシランの市販品としては次の製品が例示される:5,6−エポキシ−ヘキシルトリエトキシシラン [ABCRGmbH & Co. KG(独国)] 、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン[ABCRGmbH & Co. KG(独国)] 、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン [ダイナシラン・グリモ・シベントヘミーGnbH(独国)]。
【0042】
この実施態様においては、バインダー相は、エポキシシランを1〜60湿量%含有する。
【0043】
さらに別の実施態様においては、エポキシ官能性ケイ素化合物として、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランを併用する。即ち、バインダー相は1種若しくは複数種のエポキシ官能性ポリシロキサン及び1種若しくは複数種のエポキシシランを含有する。このような併用態様は、前述のようなエポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランを添加することによって達成してもよく、あるいはポリシロキサンとエポキシシランを、後者の一部が未反応で残存するようにして反応させて得られる反応生成物を用いることによって達成してもよい。
【0044】
この実施態様においては、バインダー相は、一般的には、エポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシラン(即ち、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランとの混合物)を2〜90湿量%(例えば、5〜85湿量%)含有する。
【0045】
前述のように、バインダー相はアミノ官能性化合物(特にアミノ官能性ケイ素化合物)を1〜90湿量%含有する。
【0046】
「アミノ官能性化合物」という用語は通常の意味で理解されるべきであって、ペンダント状アミノ基及び/又は末端アミノ基を有するケイ素化合物(例えば、シラン化合物又はポリシロキサン化合物等)を意味する。アミノ官能性ケイ素化合物としては、アミノ官能性ポリシロキサン及びアミノシラン等が例示される。
【0047】
本発明の1つの実施態様においては、アミノ官能性ケイ素化合物はアミノ官能性ポリシロキサンである。「アミノ官能性ポリシロキサン」という用語は、1個若しくは複数個のポリシロキサンブロックを有すると共に、ペンダント状アミノ官能基及び/又は末端アミノ官能基を有する線状若しくは分枝状のポリマー性成分を意味する。
【0048】
アミノ官能性基は、例えば、アミノシラン(即ち、以下に定義するようなアミノシラン)を用いて反応性ポリシロキサン中へ導入してもよい(例えば、米国特許第4857608号明細書参照)。アミノ官能性ポリシロキサンはその場で調製してもよいことも理解されるべきである。いくつかの例においては、ヒドロキシル官能性ポリシロキサン又はアルコキシ官能性ポリシロキサンをアミノシランと反応させることによってアミノ官能性基を導入してもよい。例えば、アミノシランをα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサンと20〜80℃で反応させることができる。この場合、ポリシロキサンのシラノール基あたりのアミノシランのアルコキシ基が0.4〜1.2個になるようにするのが好ましい。過剰のアミノシランを使用する場合、又は反応を完結するまで進行させない場合には、生成物中に少量のアミノシランが残存してもよい。1つの実施態様においては、少なくとも1種のアミノ官能性ポリシロキサンは、ポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物である。
【0049】
アミノ官能性ポリシロキサンとしては、α,ω−ジアミノ官能性ポリシロキサン(例えば、液状ポリシロキサン)が例示される。市販のアミノ官能性ポリシロキサンとしては、ウァッカー社製の「SILRES HP2000」(アミノ官能性メチルフェニルシリコーン)及びジェネラル・エレクトリック社製の「SF1708」(液状のアミノ官能化ポリシロキサン)等が挙げられる。
【0050】
一般的に要求される要件ではないが、ポリシロキサン骨格若しくは該骨格の側鎖が−OH基若しくはアルコキシ基を含むアミノ官能性ポリシロキサンを少なくとも1種使用する態様が有利な場合があると考えられる。いずれかの特定の理論に拘束されるものではないが、このようなヒドロキシル基若しくはアルコキシ基は、タイコート組成物が湿潤条件下に曝されたときの硬化反応に関与してもよいと考えられる。
【0051】
この実施態様においては、バインダー相は、一般的には、アミノ官能性ポリシロキサンを1〜60湿量%、例えば、15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%又は20〜40湿量%)である。
【0052】
好ましくは、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ケイ素化合物のエポキシ当量との比は40:100〜200:100の範囲である。
【0053】
別の実施態様においては、アミノ官能性ケイ素化合物はアミノシランである。この実施態様においては、エポキシ官能性ポリシロキサンが存在しなければならない。アミノシランは、次式で表されるシランとして定義されることが多い:
(RO)3−xSiRNHR
式中、Rはそれぞれ独立してC1−8−アルキル(例えば、メチル、エチル、ヘキシル及びオクチル等)、C1−4−アルキル−O−C2−4−アルキル、アリール(例えば、フェニル等)及びアリール−C1−4−アルキル(例えば、ベンジル等)から選択される基を示し、Rは−(CH2−4−、メチル置換トリメチレン及び−(CH2−3−O−(CH2−3−から選択される基を示し、Rは水素原子及び−(CH2−4−NHから選択される基を示す。
【0054】
アミノシランの具体例としては次の化合物が挙げられる:(CHO)Si(CHNH(CHNH、(CHCHOCHCHO)Si(CHNH2、(CO)Si(CHNH2、(CHOCHCHO)Si(CHNH2、(CO)Si(CHO(CHNH2、(CO)Si(CHNH2、(CO)SiCHO(CHNH2、(CO)Si(CHO(CHNH2、及び(CO)CHSi(CHNH 。アミノシランの市販品としては、デグッサ・ヒュルス社製の「ダイナシランAMEO」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)及びシンエツ社製の「KBM603」(N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)等の製品が例示される。
【0055】
この実施態様においては、バインダー相はアミノシランを1〜60湿量%、例えば、1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%(例えば、1〜10湿量%))含有する。
【0056】
好ましくは、アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ケイ素化合物のエポキシ当量との比は20:100〜100:100,例えば、20:100〜75:100(例えば、20:100〜49:100)の範囲である。
【0057】
さらに別の実施態様においては、アミノ官能性ケイ素化合物として、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランを併用する。即ち、バインダー相は1種若しくは複数種のアミノ官能性ポリシロキサン及び1種若しくは複数種のアミノシランを含有する。このような併用態様は、前述のようなアミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランを添加することによって達成してもよく、あるいはポリシロキサンとアミノシランを、後者の一部が未反応で残存するようにして反応させて得られる反応生成物を用いることによって達成してもよい。
【0058】
この実施態様においては、バインダー相は、一般的には、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシラン(即ち、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランとの混合物)を1〜60湿量%、例えば、2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)含有する。 より詳細には、次の通りである。アミノ官能性ケイ素化合物がアミノ官能性ポリシロキサン及びアミノシランをそれぞれZ及び(1−Z)の含有率で含有する場合には、バインダー相は、一般的には、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランを[Z×15+(1−Z)×1] %〜[Z×60+(1−Z)×30] %、例えば、[Z×20+(1−Z)×1] %〜[Z×40+(1−Z)×20] %の範囲で含有する。
【0059】
好ましくは、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ケイ素化合物のエポキシ当量との比は20:100〜200:100の範囲である。
【0060】
又、アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量との比が20:100〜75:100の範囲にある態様はさらに好ましい。
【0061】
いずれかの特定の理論に拘束されるものではないが、バインダー相のエポキシ官能性ポリシロキサン及び/又はアミノ官能性ポリシロキサンがヒドロキシ官能基若しくはアルコキシ官能基(例えば、ヒドロキシアルキル基及びヒドロキシ−Si基)を有する態様(前記説明参照)は特に有利であると考えられる。
【0062】
当該組成物は、少なくとも1種のエポキシ官能性ポリシロキサンとアミノ官能性ポリシロキサンを含有していなければならない。特定の実施態様においては、該組成物はエポキシ官能性ポリシロキサンと共にアミノ官能性ポリシロキサンを含有する。
【0063】
第1の主要な実施態様の範囲内においては、バインダー相は、一般的には、ポリシロキサンに基づく成分を26〜90湿量%、例えば、45〜90湿量%含有する。
【0064】
第2の主要な実施態様においては、少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物 [a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] は,ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物及び/又はケイ素を含有しない1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物(例えば、エポキシ塗料組成物の成分等)との混合物として使用される。従って、この実施態様の1つの変形態様においては、エポキシ官能性化合物は、ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物を含有し、又、アミノ官能性化合物は、ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物を含有する。
【0065】
この実施態様の範囲内においては、ポリシロキサン型成分とシラン型成分(即ち、塗料組成物のポリシロキサン特性に寄与する成分)は、一般的には、バインダー相の2〜90湿量%、又は2〜50湿量%、例えば、2〜30湿量%(例えば、2〜15湿量%)を構成し、又、エポキシ塗料組成物の成分(即ち、ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物及び/又はケイ素を含有しない1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物)は、一般的には、バインダー相の10〜80湿量%、又は30〜80湿量%、例えば、10〜55湿量%(例えば、30〜55湿量%)を構成する。
【0066】
「ケイ素を含有しないエポキシ官能性化合物」という用語は、エポキシ塗料組成物の一般的な「エポキシ樹脂」成分を包含することを意味する。このような「ケイ素を含有しないエポキシ官能性化合物」の市販品としては、次の製品が例示される:レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社(オランダ国)製の「エピコート235」(ビスフェノールA/ビスフェノールFエポキシド)、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社(オランダ国)製の「エピコート828EL」、「エピコート1004」、「エポコート1009」及び「エピコート872−X−75」(ビスフェノールAエポキシド)、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「アラルダイトGZ7071X75CH」(ビスフェノールAエポキシド)、ドウ・ケミカルズ社(米国)製の「DER684−EK40」(ビスフェノールAエポキシド)、ドウ・ケミカル・カンパニー社(米国)製の「DEN438−X80」(エポキシノボラック樹脂)、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社(オランダ国)製の「エポネックス1510」(脂肪族エポキシ樹脂)、クレイ・バレイ社(英国)製の「シノキュア899BA60」(エポキシ官能性アクリルポリマー)、ソルチア・ジャーマニー GmbH (独国)製の「ヂュロキシンEF900」(エポキシエステル)、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社(オランダ国)製の「カルヂュラE10P」(反応性エポキシ希釈剤)、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ社(米国)製の「ヘロキシ・モディファイヤー8」(反応性エポキシ希釈剤)、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(独国)製の「アラルダイトDY−L/BD」(反応性エポキシ希釈剤)、ウルフ・プリュマー・ポリマー・ヘミー社(独国)製の「ポリポックスR18」(反応性エポキシ希釈剤)並びにエア・プロダクツ Plc 社(米国)製の「エポジル757」(反応性エポキシ希釈剤)。
【0067】
「ケイ素を含有しないアミノ官能性化合物」という用語は、エポキシ塗料組成物の一般的な「アミノ」成分/「硬化剤(curing agent)」成分/「硬化剤(hardener)」成分を包含することを意味するものである。「ケイ素を含有しないアミノ官能性化合物」の市販品としては次の製品が例示される:ミツビシ・ガス・ケミカル・カンパニー Inc 社(米国)製の「エポキシ・ハーデナーMXDA」[ポリアミン(アリーリル)]、BASF社(独国)製の「DEAPA又はDETA」[ポリアミン(脂肪族)]、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「アラデュア42BD」[ポリアミン(脂環式)]、サンワ・ケミカル・カンパニー Inc 社(米国)製の「サンミドJ−230N」(配合アミン)、エア・プロダクツ Plc (米国)製の「アンカミドX2280」(配合アミン)、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「HY1207BD」(配合アミン)、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「アラデュア2964CH」、「アラデュア2969CH」、「アラデュア863XW80CH」、「アラデュア837CH」及び「アラデュア943CH」(ポリアミン付加物)、エア・プロダクツ Plc 社(米国)製の「アンカミン2074」、「アンカミン1734」、「アンカミン1735」及び「アンカミン2134」(ポリアミン付加物)、サンワ・ケミカル社(シンガポール)製の「サンミド300−60LH」及び「サンミド305−70X」(ポリアミノアミド)、アリゾナ・ケミカル社(米国)製の「ユニ・レズ2125−X70」(ポリアミノアミド)、エア・プロダクツ Plc 社(米国)製の「アンカミド350A」及び「アンカミド2353」(ポリアミノアミド)、フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「アラデュア460J90BD」(ポリアミド付加物)、エア・プロダクツ Plc 社(米国)製の「アンカミンMCA」、「アンカミン1856」及び「アンカミンK54」(マンニッヒ塩基)、ウルフ・プリュマー・ポリマー・ヘミー(独国)製の「ポリポックスVH40311/55」及び「ポリポックスVH40294」(マンニッヒ塩基)並びにフンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製の「アラデュア16BD」及び「アラデュア3441X90」(マンニッヒ塩基)。
【0068】
本発明の範囲内おいて使用されるエポキシ塗料組成物の市販品(即ち、市販されているケイ素を含有しないエポキシ官能性化合物とケイ素を含有しないアミノ官能性化合物との混合物)としては、市販されている水線(waterline)における付着物を防止するためのプライマー及び付着物剥離用製品が挙げられる。この種の製品としては、ヘンペルA/S社(ノルウェー国)製の「ヘンパデュア15570」、インターナショナル・コーティングズ社(英国)製の「インターシールド300」、ジョツンA/S社(ノルウェー国)製の「プリマスティック・ユニバーサル」及びCMPコーティングズ Inc 社(米国)製の「ユメガードSX」等が例示される。
【0069】
第2の主要な実施態様の範囲内において用いるエポキシ官能性ケイ素化合物とアミノ官能性ケイ素化合物は、一般的には第1の主要な実施態様の場合に定義されたものである。
【0070】
1つの実施態様においては、エポキシ官能性化合物は、前述のようなケイ素を含有しない1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素化合物から成る。
【0071】
エポキシ官能性ケイ素化合物はエポキシ官能性ポリシロキサンであってもよい。この場合、バインダー相は、一般的には、エポキシ官能性ポリシロキサンを1〜60湿量%、例えば、1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)含有する。
【0072】
あるいは、エポキシ官能性ケイ素化合物としては、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランを併用してもよい。この場合、バインダー相は、一般的には、エポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランを1〜60湿量%、例えば、1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)含有する。
【0073】
第2の主要な実施態様の範囲内においては、アミノ官能性化合物は、ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素化合物から成っていてもよい。
【0074】
アミノ官能性ケイ素化合物はアミノ官能性ポリシロキサンであってもよい。1つの変形態様においては、少なくとも1種のアミノ官能性ポリシロキサンは、ポリシロキサンとアミノシランとの反応生成物である。これらの両方の場合において、バインダー相は、一般的には、アミノ官能性ポリシロキサンを1〜60湿量%、例えば、1〜30湿量%又は1〜20湿量%含有する。
【0075】
あるいは、アミノ官能性ケイ素化合物としては、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランを併用してもよい。この場合、バインダー相は、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランを1〜60湿量%、例えば、1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)含有する。
【0076】
第2の主要な実施態様の範囲内においては、アミノ官能性化合物の水素当量とエポキシ官能性化合物のエポキシ当量との比は、一般的には、20:100〜200:100の範囲内である。
【0077】
第3の主要な実施態様においては、少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物 [a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] は,ケイ素を含有しない1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物(例えば、エポキシ塗料組成物の成分等)との混合物として使用される。
【0078】
この実施態様の範囲内においては、ポリシロキサン型成分とシラン型成分(即ち、塗料組成物のポリシロキサン特性に寄与する成分)は、一般的には、バインダー相の2〜90湿量%、又は2〜40湿量%、例えば、2〜30湿量%若しくは2〜15湿量%を構成し、又、ケイ素を含有しないエポキシ官能性化合物は、一般的には、バインダー相の10〜70湿量%若しくは20〜70湿量%、例えば、10〜45湿量%(例えば、20〜45湿量%)を構成する。
【0079】
第3の主要な実施態様の範囲内においては、エポキシ官能性ケイ素化合物、アミノ官能性ケイ素化合物及びケイ素を含有しないエポキシ官能性化合物は、一般的には、第2の主要な実施態様に関して記載したものである。
【0080】
第3の主要な実施態様の範囲内においても、アミノ官能性化合物の水素当量とエポキシ官能性化合物のエポキシ当量の比は、一般的には、20:100〜200:100の範囲内にある。
【0081】
本発明に従って塗布されるポリシロキサン塗料は、一般的は、タイコートとして使用されるので、バインダー相中へ定着剤を含有させることによって、その後で塗布されるトップコート(top-coat)、例えば、付着物剥離性塗料(後述の説明参照)の接着性を改良する態様が望ましい。従って、1つの好ましい実施態様においては、塗料組成物のバインダー相は定着剤をさらに含有する。
【0082】
いずれかの理論に拘束されるものではないが、「定着剤」という用語は、当該成分が、タイコートと該タイコート上へのその後の塗布層との間の接着性に有益な影響を及ぼす成分であるということを意味する。
【0083】
1つの実施態様においては、定着剤は、25℃において60〜10000 mPas 、例えば、60〜5000 mPas (例えば、60〜1000 mPas)の粘度を有するポリジオルガノシロキサンである。好ましいこの種の定着剤は、ケイ素に結合したヒドロキシル基を有するもの、例えば、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン、又はケイ素に結合した加水分解性基を有するもの、例えば、ケイ素に結合した加水分解性基(例えば、メトキシ基のようなC1−4−アルコキシ基等)を末端に有するポリジオルガノシロキサン等である。より好ましいこの種の定着剤は、次式で表されるジオルガノシロキシ反復単位から構成される化合物である:
−Si(R)O−
式中、RはC1−8−アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル及びn−オクチル等)、C4−8−シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシル等)、C2−4−アルケニル基(例えば、ビニル、アリル及びブテン−2−イル等)、アリール基(例えば、フェニル等)及びアリール−C1−4−アルキル基(例えば、トリル及びキシリル等)から成る群から選択される基を示す。
【0084】
適当なα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンのより具体的な化合物は次式で表されるものである:
HO−[Si(R)O] n−H
式中、Rはそれぞれ独立してメチル及びフェニルから選択され、nは4〜1000(例えば、10〜250)の整数を示す。
【0085】
適当なα,ω−ジメトキシポリジオルガノシロキサンのより具体的な化合物は次式で表されるおのである:
MeO−[Si(R)O] n−Me
式中、Rはそれぞれ独立してメチル及びフェニルから選択され、nは4〜100(例えば、10〜50)の整数を示す。
【0086】
あるいは、定着剤としてはヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサンが使用される。
【0087】
適当な定着剤としては、ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される化合物が例示されるが、特にヒドロキシ官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される化合物(例えば、この段落のすぐ上で例示した化合物)が適当である。
【0088】
ポリシロキサン定着剤の市販品としては、ロジア社製の「ロドルシルオイル48V100」(ヒドロキシル官能性ポリジメチルシロキサン)、シンエツ社製の「KF6001」(アルコキシポリジメチルシロキサン)及び「ドウ・コーニング2−1273」等が例示される。
【0089】
好ましくは、バインダー相は、定着剤を0〜20湿量%又は0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)含有する。
【0090】
いくつかの有利な実施態様においては、定着剤の(重量)平均分子量は50000ダルトン未満又は25000ダルトン未満、例えば、500〜50000ダルトン又は1000〜10000ダルトンである。
【0091】
本発明による方法に使用する塗料組成物は、その他の成分、例えば、以下の小見出し「塗料組成物」以後に記載された顔料及びフィラー並びに溶剤及び添加剤等を含有していてもよい。
【0092】
「支持体」という用語は、塗料組成物が塗布される固体材料(solid material)を意味する。支持体は、一般的には、金属(例えば、鋼、鉄及びアルミニウム等)又はガラス繊維を含有する。最も重要な実施態様においては、支持体は金属製支持体、特に鋼製支持体である。別の実施態様においては、支持体はガラス繊維製支持体である。
【0093】
「表面(surface)」という用語は、その普通の意味で使用するものであり、対象物の外部境界に関する。このような表面としては、次の対象物の表面が例示される:船舶(特に限定的ではないが、ボート、ヨット、モーターボート、モーターランチ、大洋航路船、タグボート、タンカー、コンテナ船及びその他の貨物船、潜水艦並びに全てのタイプの海軍船等を含む)、海岸及び沖合に設置される機械類、全てのタイプの建造物及び対象物、例えば、桟橋、橋梁の橋脚、水力用の設備と構造体、水中の油井構造体、漁網及びその他の海洋栽培設備、並びにブイ等。
【0094】
支持体の表面は、本来的な表面(例えば、鋼製表面等)であってもよく、あるいは、例えば、防錆塗料等で被覆されて該支持体上に形成された該塗料表面であってもよい。このような被覆層を存在させる場合には、(防錆)塗料は、一般的には、乾燥塗膜厚が100〜600μm、例えば、150〜450μm(例えば、200〜400μm)に成るように塗布する。あるいは、支持体は、塗膜、例えば、摩耗した付着物防止用塗膜又は類似物を有していてもよい。
【0095】
1つの重要な実施態様においては、支持体は、防錆塗料、例えば、防錆用エポキシ基剤塗料(例えば、硬化したエポキシ基剤塗料等)又はショッププライマー(shop-primer)(例えば、亜鉛含有量の高いショッププライマー)によって被覆された金属製支持体(例えば、鋼製支持体等)である。別の関連する実施態様においては、支持体は、エポキシプライマー塗膜によって被覆されたガラス繊維製支持体である。
【0096】
「塗布(applying)」という用語は、塗料工業の分野における通常の意味で用いる。従って、「塗布」工程はいずれかの常套の手段(例えば、ブラシ、ローラー、噴霧及び浸漬等)によっておこなわれる。塗料組成物を塗布するための商業上最も重要な方法は噴霧法である。噴霧法は、当業者に既知の常套の噴霧装置を用いておこなわれる。塗料は、一般的には、乾燥膜厚が20〜900μm、例えば、20〜750μm(例えば、50〜600μm)になるようにして塗布される。
【0097】
「該支持体表面の少なくとも一部」という用語は、塗料組成物を当該表面のいずれの部分にも塗布してもよいという事実に関するものである。多くの用途においては、塗料組成物は、支持体(例えば、船舶)の少なくとも一部へ塗布され、該支持体の表面(例えば、船体)は、付着物剥離層の塗布後に水(例えば、海水)と接触するようになる。
【0098】
本発明の特定の実施態様においては、第2の塗料組成物がタイコート上へ塗布され、これによってポリシロキサンを基剤とする塗膜、特にポリシロキサンを基剤とする付着物剥離性塗膜が支持体上に形成される。
【0099】
ポリシロキサンを基剤とする第2の塗膜(トップコート)は、当業者には明らかなように、反応硬化性トップコート又は湿分硬化性トップコートであってもよい。この種のトップコートとしては、ヒドロキシル−反応性ポリジオルガノシロキサンを基剤とする2成分系の反応硬化性トップコート及びアルコキシ反応性を有するポリジオルガノシロキサンを基剤とする1成分系の湿分硬化性トップコート等が例示される。
【0100】
好ましくは、ポリシロキサンを基剤とする第2の塗膜は付着物剥離性塗膜である。付着物剥離性塗膜は、常套のいずれかの付着物剥離性塗料組成物を用いて形成させることができる。1つの実施態様においては、ポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物ポリジメチルシロキサンを含有する。
【0101】
ポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物は、一般的には、乾燥膜厚が20〜500μm、例えば、20〜400μm(例えば、50〜300μm)に成るように塗布される。ポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物は、一般的には、上記の「塗布」という用語に関連して記載したようにして塗布される。
【0102】
本発明の別の可能な実施態様においては、フッ素化樹脂を単独で含有する組成物、又は該樹脂をポリシロキサンと共に含有する組成物(例えば、フッ素化樹脂50〜95%及びポリシロキサン5〜50%含有する組成物)を用いて付着物剥離性塗膜を形成させることができる。この種のフッ素化樹脂は、例えば、国際公開公報WO 01/094446及びWO 02/074870等に開示されている。該フッ素化樹脂を単独で使用する場合、該樹脂は、一般的には、タイコート中の、例えば、ヒドロキシ基のような官能基と反応しうる官能基を有する。
【0103】
本発明方法の特定の実施態様
以上の説明に鑑み、本発明の1つの変形態様においては、先に規定された方法であって、バインダー相がアミノ官能性ポリシロキサンとエポキシ官能性ポリシロキサンを含有する場合の該方法が提供される。
【0104】
特に、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する。
【0105】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0106】
別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシラン2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0107】
さらに別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシラン2〜90湿量%(例えば、5〜85湿量%)及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0108】
さらにまた別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシラン2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシラン2〜90湿量%、例えば、5〜85湿量%及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0109】
他の変形態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、塗料組成物のバインダー相が、アミノ官能性ポリシロキサン及びエポキシ官能性ポリシロキサンと共に、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する該方法が提供される。この場合、特に、塗料組成物のバインダー相は、アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤と共に、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0110】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び所望によるアミノシランとエポキシシラン20〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0111】
別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法が提供される:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0112】
別の変形態様においては、本発明は特に、先に規定された方法であって、塗料組成物のバインダー相が、アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性シラン及び定着剤を含有する該方法を提供する。
【0113】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシシラン1〜60湿量%及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0114】
別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランとの混合物2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシシラン1〜60湿量%及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0115】
本発明による方法の別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0116】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシシラン、定着剤及び所望によるアミノシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0117】
さらに別の変形態様においては、本発明は特に、先に規定された方法であって、塗料組成物のバインダー相が、アミノ官能性シラン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する該方法を提供する。
【0118】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノシラン1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノシランの水素当量とエポキ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量の比は20:100〜75:100(例えば、20:100〜49:100)の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0119】
別の実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、アミノシラン1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランとの混合物2〜90湿量%(例えば、5〜85湿量%)及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜75:100(例えば、20:100〜49:100)の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0120】
本発明による方法のさらに別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0121】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノシラン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0122】
本発明による方法のさらにまた別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、アミノ官能性ポリシロキサン及び定着剤と共に、1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0123】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0124】
他の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤と共に、1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0125】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0126】
さらに別の重要な変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、アミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する。
【0127】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0128】
さらにまた別の重要な変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する。
【0129】
この1つの実施態様においては、本発明は、先に規定された方法であって、下記の工程(A)及び(B)を含むエポキシを基剤とする防錆塗膜で被覆された金属製支持体の被覆方法を提供する:
(A)(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)並びにb)1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は20:100〜200:100の範囲内にする] を含有する塗料組成物を該防錆塗膜の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へポリシロキサンを基剤とする第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物剥離性塗膜を形成させる。
【0130】
本発明方法の上記の全ての特定の実施態様において、定着剤としては、次の群から選択される化合物が好ましい:ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサン。特に、ヒドロキシ官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから選択される化合物が好ましい。
【0131】
本発明方法の上記の全ての特定の実施態様は、ガラス繊維製の支持体にも同等に適用してもよい。しかしながら、この場合には、エポキシに基づく防錆塗膜は、所望により、必ずしも同等の防錆特性を有していなくてもよい別のエポキシタイプの下塗で代替させてもよい。
【0132】
塗料組成物
本明細書に規定される本発明用のポリシロキサン塗料組成物は新規な組成物であると考えられる。従って、本発明は、(i)顔料及びフィラー0〜60湿量%(例えば、0〜50湿量%)、好ましくは5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%又は5〜35湿量%)及び(ii)残余量のバインダー相であって、1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物1〜90湿量%、1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物1〜90湿量%及び1種若しくは複数種の定着剤0〜20湿量%を含有するバインダー相 [この場合、該バインダー相は、次のポリシロキサン化合物a)〜c)から成る群から選択される少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物を含有する:a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] を含有する塗料組成物に関する。
【0133】
1つの特に好ましい実施態様においては、アミノ官能性化合物の水素当量とエポキシ官能性化合物のエポキシ当量との比は20:100〜200:100の範囲内である。
【0134】
1つの実施態様においては、塗料組成物のバインダー相は上記の1種若しくは複数種の定着剤を含有する。上述のように、定着剤はヒドロキシ官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択するのが好ましい。一般的には、バインダー相は定着剤を0.1〜15湿量%含有する。
【0135】
上記の塗料組成物は、バインダー相の一部として、溶剤及び添加剤をさらに含有していてもよい。
【0136】
溶剤としては次の溶剤が例示される:脂肪族、脂環式若しくは芳香族の炭化水素、例えば、ホワイトスピリット、シクロヘキサン、トルエン、オクタメチルトリシロキサン、キシレン及びナフサ溶剤エステル、例えば、メトキシプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート及びこれらの任意の混合溶剤。
【0137】
別の可能な実施態様においては、エポキシ官能性ケイ素化合物はエポキシ官能性ポリシロキサンであり、アミノ官能性ケイ素化合物はアミノ官能性ポリシロキサンであり、又、溶剤(又は分散剤)は水又は水/溶剤混合物(例えば、水/エタノール混合物)である。
【0138】
添加剤としては下記のものが例示される:
(i)可塑剤:例えば、塩素化パラフィン;炭化水素若しくは変性炭化水素、例えば、変性芳香族炭化水素樹脂(例えば、変性フェノールとα−メチルスチレンに基づく炭化水素);フタレート、例えば、ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート及びジイソデシルフタレート;ホスフェートエステル、例えば、トリクレシルホスフェート;スルホンアミド、アルキル−p−トルエンスルホンアミド;アジペート、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)−アジペート、ジイソブチルアジペート及びジオクチルアジペート;リン酸トリエチルエステル;ブチルステアレート;ソルビタントリオレエート;非反応性オルガノポリシロキサン;
【0139】
(ii)界面活性剤:例えば、プロピレンオキシド若しくはエチレンオキシドの誘導体、例えば、アルキルフェノール−エチレンオキシド縮合物;不飽和脂肪酸のエトキシル化モノエタノールアミド、例えば、リノール酸のエトキシル化モノエタノールアミド;ナトリウムドデシルスルフェートアルキルフェノールエトキシレート;大豆レシチン;
【0140】
(iii)湿潤剤及び分散剤:例えば、次の文献に記載のこの種の添加剤:M.アッシュ及びI.アッシュ。「ハンドブック・オブ・ペイント・アンド・コーティング・ロウマテリアルズ」、第1巻、1996年、ゴワー・パブリッシング社(英国)、第821頁〜第823頁及び第849頁〜第851頁;
(iv)脱泡剤:例えば、シリコーン油;
【0141】
(v)安定剤:例えば、光と熱に対する安定剤、例えば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UV−吸収剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール型化合物及びヒドロキシフェニルトリアジン型化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(5−クロロ−(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール、及び2,4−ジt−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール;湿分に対する安定剤、例えば、モレキュラーシーブ若しくは水分掃去剤、例えば、合成ゼオライト、置換イソシアネート、置換シラン、オルト蟻酸トリエチルエステル;酸化に対する安定剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、プロピルガレート、トコフェロール、2,5−ジt−ブチル−ヒドロキノン、L−アスコルビルパルミテート、カロテン、ビタミンA;
【0142】
(vi)腐食防止剤、例えば、アミノカルボキシレート、カルシウムシリコホスフェート、アンモニウムベンゾアート、アルキルナフタレンスルホン酸塩(バリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩及びマグネシウム塩)、リン酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛;
【0143】
(vii)融合助剤:例えば、グリコール、2−ブトキシエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート;
【0144】
(viii)増粘剤及び沈降防止剤:コロイドシリカ、水和アルミニウムシリケート(ベントナイト)、アルミニウムチリステアレート、アルミニウムモノステアレート、キサンタンガム、温石綿、熱分解法シリカ、水素化ヒマシ油、有機変性クレー、ポリアミドワックス、ポリエチレンワックス;
(ix)染料:例えば、1,4−ビス(ブチルアミノ)アントラキノン及びその他のアントラキノン誘導体、トルイジン染料等。
【0145】
さらに、塗料組成物は顔料及びフィラーを含有していてもよい。本発明においては、顔料及びフィラーは、接着特性にほんの僅かしか影響を及ぼさない成分として、塗料組成物に添加してもよい。「顔料」は、通常は、最終的な塗膜を非透明又は非半透明にすることによって特徴づけられるが、「フィラー」は、普通は、塗膜を非半透明にしないために、該塗膜の下に存在する材料を覆い隠すことにはあまり寄与しないことによって特徴づけられる。
【0146】
顔料としては、以下に例示する種々のグレード(grade)の顔料が挙げられる:二酸化チタン、レッド酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、グラファイト、イエロー酸化鉄、レッドモリブデート、イエローモリブデート、硫化亜鉛、酸化アンチモン、ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、キナクリドン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ブラック酸化鉄、インダンスロンブルー、コバルト酸化アルミニウム、カルバゾールジオキサジン、酸化クロム、イソインドリンオレンジ、ビス−アセトアセト−o−トリジオール、ベンズイミダゾロン、キナフタロンイエロー、イソインドリンイエロー、テトラクロロイソインドリノン、キノフタロンイエロー。
【0147】
フィラーとしては、方解石のような炭酸カルシウム、ドロマイト、タルク、マイカ、長石、硫酸バリウム、カオリン、あられ石、シリカ、パーライト、酸化マグネシウム及び石英粉末等が例示される。フィラー(及び顔料)は繊維形態で添加してもよい。従って、塗料組成物は、先に例示したフィラーとは別に、繊維、例えば、国際公開公報WO 00/77102において特に一般的に記載されているような繊維等も含有していてもよい(該公報も本明細書の一部を構成するものである)。現在のところ、特に好ましい繊維は次に例示するような無機繊維である:無機ガラス繊維、ウォラストナイト繊維、モンモリロナイト繊維、トバーモライト(tobermorite)繊維、アタパルジャイト(atapulgite)繊維、焼成ボーキサイト繊維、火山岩繊維、ボーキサイト繊維、岩棉繊維及び鉱物棉からの加工無機繊維。
【0148】
顔料及び/又はフィラーは塗料組成物の0〜60湿量%、例えば、0〜50湿量%、好ましくは5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%又は5〜35湿量%)を構成する。繊維を添加する態様においては、該繊維は塗料組成物の0.1〜50湿量%、例えば、0.1〜25湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を構成する。繊維の特に適切な含有濃度は、繊維の種類とサイズに応じて、塗料組成物の1〜10湿量%又は2〜10湿量%、例えば、2〜7湿量%又は3〜10湿量%(例えば、3〜8湿量%)である。繊維の上記の含有濃度は、繊維の総量に関するものである。従って、2種以上の繊維を使用する場合、これらの繊維の合計量が上記の濃度範囲になるようにすべきである。
【0149】
塗料組成物は、当業者には既知の装置(例えば、ミキサー、ボールミル、グラインダー及びフィルター等)を用いる常套法によって調製してもよい。塗料組成物は、一般的には、2成分系又は3成分系として調製して輸送され、これらの系は使用の直前に配合して十分に混合する。定着剤を塗料組成物に添加する場合には、一般に3成分系が好ましい。適当な調製法は、以下の実施例において説明する。
【0150】
本発明による塗料組成物の特定の態様
先に規定された塗料組成物の1つの変形態様においては、バインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン及びエポキシ官能性ポリシロキサンを含有する。
【0151】
該塗料組成物のより特有の変形態様においては、該塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する。
【0152】
1つの重要な実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量との比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0153】
別の重要な実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランとの混合物2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量との比は20:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0154】
さらに別の実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランとの混合物2〜90湿量%、例えば、5〜85湿量%及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量との比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0155】
さらにまた別の実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランとの混合物2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランとの混合物2〜90湿量%、例えば、5〜85湿量%及び定着剤0〜20湿量%若しくは0.1〜20湿量%、例えば、0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量との比は20:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0156】
さらに別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物とエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。特に、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0157】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0158】
別の実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0159】
塗料組成物の別の変形態様においては、該塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性シラン及び定着剤を含有する。
【0160】
1つの重要な実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサン15〜60湿量%(例えば、15〜50湿量%)、エポキシシラン1〜60湿量%及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシシランのエポキシ当量との比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0161】
別の実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノ官能性ポリシロキサンとアミノシランとの混合物2〜60湿量%(例えば、5〜55湿量%)、エポキシシラン1〜60湿量%、及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノ官能性ポリシロキサン/アミノシランの水素当量とエポキシシランのエポキシ当量との比は20:100〜200:100の範囲内とする] を含有する
【0162】
さらに別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物とエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)をさらに含有する。
【0163】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシシラン、定着剤及び所望によるアミノシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0164】
塗料組成物のさらに別の変形態様においては、該塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性シラン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する。
【0165】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノシラン1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサン25〜90湿量%、例えば、30〜90湿量%(例えば、40〜90湿量%)及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサンのエポキシ当量との比は20:100〜75:100(例えば、20:100〜49:100の範囲内とする] を含有する。
【0166】
別の実施態様においては、塗料組成物は(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、アミノシラン1〜30湿量%(例えば、1〜20湿量%)、エポキシ官能性ポリシロキサンとエポキシシランとの混合物2〜90湿量%(例えば、5〜85湿量%)及び定着剤0.1〜15湿量%(例えば、0.5〜10湿量%)を含有するバインダー相 [この場合、アミノシランの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量との比は20:100〜75:100(例えば、20:100〜49:100)の範囲内とする] を含有する。
【0167】
さらにまた別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相は、1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物とエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)をさらに含有する。
【0168】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノシラン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0169】
塗料組成物のさらに別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物とエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0170】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0171】
塗料組成物のさらにまた別の変形態様においては、塗料組成物のバインダー相はエポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物とエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物(即ち、エポキシ塗料組成物)を含有する。
【0172】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物と1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物との混合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0173】
別の重要な変形態様においては、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する。
【0174】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0175】
さらに別の重要な変形態様においては、塗料組成物のバインダー相はアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する。
【0176】
この1つの実施態様においては、塗料組成物は、(i)顔料及びフィラー5〜45湿量%(例えば、5〜40湿量%)並びに(ii)残余量のバインダー相であって、a)アミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及び所望によるアミノシランとエポキシシラン2〜50湿量%(例えば、2〜30湿量%)及びb)1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物10〜80湿量%(例えば、30〜55湿量%)含有するバインダー相[この場合、アミノ官能性ポリシロキサンの水素当量とエポキシ官能性ポリシロキサン/エポキシシランのエポキシ当量の比は40:100〜200:100の範囲内とする] を含有する。
【0177】
本発明による塗料組成物の上記の全ての特定の実施態様において、定着剤としては、次の群から選択される化合物が好ましい:ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサン。特に、ヒドロキシ官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから選択される化合物が好ましい。
【0178】
本発明による塗料組成物の上記の全ての特定の実施態様は、ガラス繊維製の支持体にも同等に適用してもよい。しかしながら、この場合には、エポキシに基づく防錆塗膜は、所望により、必ずしも同等の防錆特性を有していなくてもよい別のエポキシタイプの下塗で代替させてもよい。
【0179】
物品
さらに別の観点によれば、本発明は、i)支持体、ii)該支持体の表面上の少なくとも一部に存在するエポキシに基づく塗膜、iii)該塗膜上に存在するタイコート、及びiv)該タイコート上に存在する付着物剥離性塗膜を具有する物品に関する。塗料組成物、支持体表面上への塗膜の形成方法及び塗膜の特性は前記の説明に従う。
【0180】
1つの実施態様においては、付着物剥離性塗膜は第2のポリシロキサンに基づく塗膜である。
【0181】
上記の物品の1つの実施態様においては、防錆層は100〜600μm、例えば、150〜450μm(例えば、200〜400μm)の全乾燥膜厚を有し、タイコートは20〜500μm、例えば、20〜400μm(例えば、50〜300μm)の全乾燥膜厚を有し、付着物剥離性塗膜は20〜500μm、例えば、20〜400μ(例えば、50〜300μm)の全乾燥膜厚を有する。
【0182】
上記の物品の別の実施態様においては、防錆層は100〜600μm、例えば、150〜450μm(例えば、200〜400μm)の全乾燥膜厚を有し、タイコートは50〜900μm、例えば、50〜750μm(例えば、100〜600μm又は100〜400μm)の全乾燥膜厚を有し、付着物剥離性塗膜は20〜500μm、例えば、20〜400μ(例えば、50〜300μm)の全乾燥膜厚を有する。
【0183】
上記の物品のさらに別の実施態様においては、該物品は、2〜4層のエポキシに基づく塗膜から成る防錆層(全乾燥膜厚:150〜400μm)、1〜2層から成るタイコート(全乾燥膜厚:20〜400μm)及び1〜2層から成る付着物剥離性塗膜(全乾燥膜厚:20〜400μm)から構成される塗膜系によって被覆される。特に、防錆層は、1〜3層の第1のエポキシに基づく塗膜と1〜2層の第2のエポキシに基づく塗膜のよって構成される(第1のエポキシに基づく塗膜と第2のエポキシに基づく塗膜は同一ではない)。
【0184】
上記の物品のさらに特定の実施態様においては、塗膜系は(I)2〜3層(好ましくは、3層)のエポキシに基づく塗膜から成る防錆層(全乾燥膜厚:150〜400μm)、1〜2層から成るタイコート(全乾燥膜厚:50〜300μm)及び1〜2層(好ましくは、1層)から成る付着物剥離性塗膜(全乾燥膜厚:50〜300μm)、(II)1〜2層(好ましくは、2層)のエポキシに基づく塗膜から成る防錆層(全乾燥膜厚:150〜350μm)、1〜2層(好ましくは、2層)から成るタイコート(全乾燥膜厚:100〜600μm又は100〜400μm)及び1〜2層(好ましくは、1層)から成る付着物剥離性塗膜(全乾燥膜厚:50〜300μm)、(III)1〜2層(好ましくは、1層)のエポキシに基づく塗膜から成る防錆層(全乾燥膜厚:50〜250μm)、1〜3層(好ましくは、1〜2層)から成るタイコート(全乾燥膜厚:100〜750μm)及び1〜2層(好ましくは、1層)から成る付着物剥離性塗膜(全乾燥膜厚:50〜300μm)、又は(IV)1〜3層(好ましくは、1〜2層)から成るタイコート(全乾燥膜厚:100〜900μm)及び1〜2層(好ましくは、1層)から成る付着物剥離性塗膜(全乾燥膜厚:50〜300μm)を具有する。
【0185】
一般的備考
本願の明細書と特許請求の範囲においては、塗料組成物等との関連において、単に「エポキシ官能性ケイ素化合物」、「エポキシ官能性ポリシロキサン」、「エポキシシラン」、「アミノ官能性ケイ素化合物」、「アミノ官能性ポリシロキサン」、「アミノシラン」及び「定着剤」等の用語が用いられているときであっても、このことは、ここで規定される塗料組成物等との関連において、これらの各成分が1種、2種又はそれよりも多種含有されていてもよいことを意味する。このような実施態様においては、各成分(例えば、アミノシラン)の全量は、これらの各成分に対して先に規定された量に相当するようにすべきである。
【0186】
また、単に「化合物」、「ポリシロキサン」、「シラン」及び「剤」等の用語が用いられている場合には、これらの用語は、それぞれの各成分が1種、2種又はそれよりも多種存在していてもよいことを意味する。なお、「1種」と限定されている場合には、1種の各成分のみが存在することを意味する。
【実施例】
【0187】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
下記の実験及び試験 [接着試験及び滴下試験(droplet test)] は、本発明による塗料組成物の適用性を決定するために実施した。商業的な目的に対して有用な塗膜を形成するためには、塗料組成物は接着試験に合格しなければならないと考えられる。一方、滴下試験は、耐久性と持久性のある塗膜が要求されることに関する試験である。例えば、ヨット市場における特定の市販品に対しては、付着物剥離性塗膜及び塗層は、サンドブラスチング(sand blasting)を使用せずに、例えば、溶剤型ペイントリムーバー(paint remover)等を用いて除去できることが望まれている。従って、この市場分野の市販品に対しては、滴下試験における「不合格」という評価は有利である。一般に、滴下試験における「不合格」という評価は、塗料組成物が塗布される固体材料がサンドブラスチングに対して不適当な場合に有利である。サンドブラスチングに対して不適当な固体材料にはガラス繊維が含まれる。
【0188】
原料
「シルレス(Silres)44100」:バッカー・ヘミー社(独国)製のアミノ官能性ポリシロキサン。
「SF1708」:GEシリコーンズ社(米国、12188ニューヨーク、ウォーターロード、ハドソン・リバー・ロード、260番)製のアミノ官能化ポリシロキサン液。
「シリコフタル(Silikoftal)ED」:テゴ・ヘミー・サービス社(独国、D−45127エッセン、ゴールドシュミットシュトラーセ100番)製のエポキシ官能性ポリシロキサン。
「ロードルシル(Rhodorsil)48V100」:ロジア社製のポリオルガノシロキサン部を実質上含有する末端ヒドロキシ基を有する液体。
「DC2−1273」:ドウ・コーニング社(米国)製のポリオルガノシロキサン部を実質上含有する末端ヒドロキシ基を有する液体。
「ダイナシランAMEO」:デグッサ社(独国)製の3−アミノプロピルトリエトキシシラン。
【0189】
「ダイナシラン・グリモ(Dynasylan Glymo)」:デグッサ社(独国)製のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
「アディッド(Addid)900」:バッカー・ヘミー社(独国)製のアミノ官能性トリメトキシシラン
「ヘンパデュア(Hempadur)15570」:ヘンペル社製の防錆性エポキシ塗料。
「ヘンパデュア(Hempadur)45880」:ヘンペル社製の防錆性エポキシ塗料。
「アメルロック(Amerlock)400」:バルスパー社(米国、ミネソタ55415,ミネアポリス、サード・ストリート・サウス、1101番)製の無充填エポキシ。
【0190】
「ES−1002T」:シンエツ・ケミカル社(日本国)製のシリコーン変性エポキシ樹脂ワニス。
「アンモ(AMMO)溶液」:デグッサ社(独国)製の「ダイナシラン・アンモ」にジブチル錫オキシド、エチルシリケート及びミネラルスピリットを混合させた混合物。
「KE−45TSトップコート」:シンエツ・ケミカル社(日本国)製のシリコーンゴムワニス。
二酸化チタン:ケミラ・ピグメンツ社(フィンランド)製の「ケミラX660」。
沈降硫酸バリウム:ザハトレーベン社(独国)製の「ブランク・フィクセ・スーパー(Blanc Fixe Super)F」。
グラファイト:グラフィトベルク・クロンプムHL社(独国)製の「AF96/97」
【0191】
タルク:タルク・デ・ルツェナック社(仏国)製の「ルツェナック(Luzenac)20MO」。
ベントナイト:エレメンチス・スペシャリティーズ社(英国)製の「ベントン(Bentone)SD−2」。
黒色酸化鉄:バイエル社(独国)製の「バイフェロックス(Bayferrox)318M」。
体質顔料:ノース・ケープ・ネフェリン社(ノルウェー国)製の「ミネックス(Minex)S20」(Al,K及びNaシリケート)。
無機繊維:ラピヌス・フィブレス社(オランダ国)製の「MS600」(合成シリケート繊維)。
【0192】
「エピコート(Epicoat)1001」:バヂィッシュ・オイル・カンパニー社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニス(不揮発分:70%)。
「KBM603」:シンエツ・ケミカル社(日本国)製のアミノシランカップリング剤。
「サンミドX−2800」:サンワ・ケミカル・インダストリー社(日本国)のポリアミド樹脂ワニス。
「アラルダイト(Araldite)GZ7071X75CH」:フンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社(スイス国)製のビスフェノールAエポキシド。
溶剤:地元メーカーの製品。
【0193】
方法

(1)試験パネルの調製
以下において特に言及しない限り、乾燥時間と条件は、結果を示す表中に明記した。
ブリキパネル(210×300×0.3mm)へ市販の防錆性エポキシ塗料(ヘンペル社製の「ヘンパデュア15570」)を最初に塗布した [乾燥膜厚(DFT):75〜100μm)] 。塗布操作は、空気噴霧法又はドクターブレード(doctor blade)を具有するハンドアプリケーターを用いる方法によっておこなった。得られた塗布パネルを実験室内において、所定の条件下で24時間乾燥させた後、該防錆塗膜上へモデル塗料を空気噴霧法又はドクターブレード具有ハンドアプリケーター法によって塗布した(DFT:100〜200μm)。適当な場合には、所定の条件下で所定時間乾燥させた後、トップコート [ヘンペル社製の「ヘンパシル77100」又はシンエツ・ケミカル社製の「」KE−45TS] を空気噴霧法又はドクターブレード具有ハンドアプリケーター法によって塗布した(DFT:100〜200μm)。得られた塗布パネルを所定条件下で所定時間乾燥させた。特に言及しない限り、塗膜は20℃で乾燥硬化させた(実施例1参照)。
【0194】
(2)接着試験
塗料組成物の接着性は、次の方法によるフィンガーピール(finger peel)試験によって評価した。試験者は指の爪を用いて支持体/先行塗層から塗膜を剥離させることを試みる。塗層中に凝集破壊のみが存在し、塗層と支持体/先行塗層との間に接着層破壊が存在しない場合には、当該塗膜はこの試験に合格するものとみなす。
一方、いずれかの塗層と他の塗層との間又は支持体と塗層との間に接着層破壊が存在する場合には、当該塗膜はこの試験に不合格であるとみなす。
【0195】
(3)滴下試験
塗料組成物の接着性をISO2812−1の方法3(スポッティング(spotting)法)に従って評価した。塗装された系の最終的な塗膜を、適当な数の試験液(酢酸エチル又はキシレン)の液滴(約0.1ml)に曝す。試験パネルは空気が自由に接触する条件下で所定時間放置する。接着領域の接着性は、前記の接着性試験の方法によって評価した。
【0196】
実施例1
種々のモデル塗料の配合処方を以下の表1に示す。特に言及しない限り、全ての成分の配合量の単位はグラムである。
【表1】

【0197】
モデル塗料の調製方法
成分1(684g)を次の方法によって調製した。
練り顔料(「シリコフタルED」60w/w%、黒色酸化鉄、体質顔料、合成シリケート繊維、均展剤、脱泡剤、溶剤35w/w%)を直径70mmのインペラーディスク(impeller disc)を具備するディアフ(Diaf)社製デディソルバーを用いて1リットルの缶内において、1000rpmの条件下で15分間予備混合した。インペラーディスクをテフロン(登録商標)製ディスク(直径:70mm)で置き換え、ガラスビーズ(直径:3mm)500gを該練り顔料中へ添加し、2000rpmの条件下で20分間混練した。
【0198】
残りの原料(「シリコフタルED」40w/w%、可塑剤、溶剤65w/w%)を添加し、得られた組成物を1000rpmの条件下で15分間混合した。塗料基剤を濾過処理によってガラスビーズから分離させた。
【0199】
アミノ官能性ケイ素化合物と定着剤(ヒドロキシル官能性シリコーン油)は塗布直前に添加した。
【0200】
接着性試験の結果を以下の表2に示す。表2の結果から明らかなように、本発明による塗料組成物は、エポキシを基剤とする防錆塗膜に対して優れた接着性を示す。
【0201】
【表2】

【0202】
種々の条件下でのモデル塗料に係る接着性に関するデータを以下の表3に示す。
【表3】

【0203】
実施例2
種々のモデル塗料の配合処方と接着性に関するデータを以下の表4〜表7に示す。
【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
【表6】

【0207】
【表7】

【0208】
実施例3
種々のモデル塗料の配合処方を以下の表8及び表9に示す。又、特定の条件下でのモデル塗料に係る接着性に関するデータを以下の表10に示す。
【0209】
【表8】

【0210】
【表9】

【0211】
【表10】

【0212】
実施例4
種々のモデル塗料の配合処方を以下の表11,表12及び表13に示す。
【0213】
【表11】

【0214】
【表12】

【0215】
【表13】

【0216】
実施例5
種々のモデル塗料の配合処方を以下の表14に示す。又、特定の条件下でのモデル塗料に係る接着性に関するデータを以下の表15に示す。
【0217】
【表14】

【0218】
【表15】

【0219】
実施例6
種々のモデル塗料の配合処方と接着性に関するデータを以下の表16及び表17に示す。
【0220】
【表16】

【0221】
【表17】

【0222】
実施例7
種々のモデル塗料の配合処方と接着性に関するデータを以下の表18に示す。
【0223】
【表18】

【0224】
実施例8
種々のモデル塗料の配合処方、接着性及び滴下試験に関するデータを以下の表19〜表21に示す。
【0225】
【表19】

【0226】
【表20】

【0227】
【表21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(A)及び(B)を含む支持体の被覆方法:
(A)(i)顔料及びフィラー0〜60湿量%及び(ii)残余量のバインダー相であって、1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物1〜90湿量%、1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物1〜90湿量%及び1種若しくは複数種の定着剤0〜20湿量%を含有するバインダー相 [この場合、該バインダー相は、次のポリシロキサン化合物a)〜c)から成る群から選択される少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物を含有する:a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] を含有する塗料組成物を該支持体の表面の少なくとも一部に塗布することによって該支持体上にタイコートを形成させ、
(B)得られたタイコート上へ第2の塗料組成物を塗布することによって、該支持体上に付着物−剥離塗膜を形成させる。
【請求項2】
アミノ官能性化合物の水素当量とエポキシ官能性化合物のエポキシ当量の比が20:100〜200:100である請求項1記載の方法。
【請求項3】
エポキシ官能性化合物が実質的に1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素化合物から成り、アミノ官能性化合物が実質的に1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素化合物から成る請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
バインダー相が、ポリシロキサンに基づく成分を26〜90湿量%含有する請求項3記載の方法:
【請求項5】
エポキシ官能性化合物が1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有し、アミノ官能性化合物が1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物を含有する請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
バインダー相がポリシロキサン型成分及びシラン型成分を2〜50湿量%含有する請求項5記載の方法。
【請求項7】
塗料組成物のバインダー相が1種若しくは複数種の定着剤を含有する請求項1〜6いずれかに記載の方法。
【請求項8】
バインダー相が定着剤を0.1〜15湿量%含有する請求項7記載の方法。
【請求項9】
第2のポリシロキサンに基づく付着物−剥離塗料組成物を該タイコート上に塗布することによって、該支持体上にポリシロキサンに基づく付着物−剥離塗膜を形成させる工程をさらに含む請求項1〜8いずれかに記載の方法。
【請求項10】
バインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン及びエポキシ官能性ポリシロキサンを含有する請求項1〜4及び7〜9いずれかに記載の方法。
【請求項11】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する請求項10記載の方法。
【請求項12】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン及びエポキシ官能性ポリシロキサンと共に、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物を併含する請求項1,2及び5〜9いずれかに記載の方法。
【請求項13】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤と共に、1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物を併含する請求項12記載の方法。
【請求項14】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性シラン及び定着剤を含有する請求項1〜4及び7〜9いずれかに記載の方法。
【請求項15】
塗料組成物のバインダー相が1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物をさらに併含する請求項14記載の方法。
【請求項16】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性シラン、エポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤を含有する請求項1〜4及び7〜9いずれかに記載の方法。
【請求項17】
塗料組成物のバインダー相が1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物をさらに併含する請求項16記載の方法。
【請求項18】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン及び定着剤並びに1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物を併含する請求項1,2及び5〜9いずれかに記載の方法。
【請求項19】
塗料組成物のバインダー相がエポキシ官能性ポリシロキサン及び定着剤並びに1種若しくは複数種のエポキシ官能性ケイ素不含化合物及び1種若しくは複数種のアミノ官能性ケイ素不含化合物を併含する請求項1,2及び5〜9いずれかに記載の方法。
【請求項20】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する請求項1,2及び7〜9いずれかに記載の方法。
【請求項21】
塗料組成物のバインダー相がアミノ官能性ポリシロキサン、エポキシ官能性ポリシロキサン、定着剤及びエポキシ官能性ケイ素不含化合物を含有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
(i)顔料及びフィラー0〜60湿量%及び(ii)残余量のバインダー相であって、1種若しくは複数種のアミノ官能性化合物1〜90湿量%、1種若しくは複数種のエポキシ官能性化合物1〜90湿量%及び1種若しくは複数種の定着剤0〜20湿量%を含有するバインダー相 [この場合、該バインダー相は、次のポリシロキサン化合物a)〜c)から成る群から選択される少なくとも2つのタイプのポリシロキサン化合物を含有する:a)アミノ官能性ポリシロキサン、b)エポキシ官能性ポリシロキサン及びc)ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、ヒドロキシアルキル官能性ポリシロキサン及びC1〜4−アルコキシ官能性ポリシロキサンから成る群から選択される定着剤] を含有する塗料組成物。
【請求項23】
i)支持体、ii)該支持体の表面上の少なくとも一部に存在するエポキシに基づく塗膜、iii)該塗膜上に存在するタイコートであって、請求項1〜21いずれかにおいて規定されるバインダーを含有するタイコート、及びiv)該タイコート上に存在する付着物剥離性塗膜を具有する物品。

【公表番号】特表2007−507331(P2007−507331A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529641(P2006−529641)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000415
【国際公開番号】WO2005/033219
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501477945)
【住所又は居所原語表記】Lundtoftevej 150,DK−2800 Kongens Lyngby,DENMARK
【Fターム(参考)】