説明

少なくとも2種の透過増強剤を組み合わせて含む局所用組成物

本発明は、薬物、少なくとも2種の透過増強剤を組み合わせて含んでなる経皮的薬剤送達が改良された組成物であって、透過増強剤の少なくとも1種が、飽和または不飽和脂肪酸と低級アルコールおよびアルコールのアイソフォームとのエステルからなる群より選択され、透過増強剤の少なくとも1種が、脂肪族ジオールおよびトリオールからなる群より選択され、成分が非水性溶媒系中に存在する組成物に関する。好ましい局所用組成物は、活性物質であるイミキモドと、透過増強剤であるミリスチン酸イソプロピルおよびプロピレングリコールとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の生物学的利用能を増すための、特に、皮膚を通して薬物を送達するための新規組成物に関する。本発明の組成物は、少なくとも2種の透過増強剤の混合物と非水性溶媒系とを含む。本発明は、新規組成物を含むゲル、溶液、オイル、ローション、軟膏、クリームまたはスティックのような液状および固形製剤にも関する。
【0002】
適している薬物は、生物学的利用能の乏しいまたは不規則な薬物であり、その例は、親油性薬剤化合物の群の中にある。
【背景技術】
【0003】
薬物の局所塗布は、皮膚の疾患の治療において好ましい。その理由は、少なくとも理論的には、それにより全身露出が最小限に抑えられるからである。これは、薬物が皮膚に利用できる場合に有効であり、障壁である角質層を薬物が透過し得ることが必要である。通常、皮膚に利用できる障壁内の薬物の量は、平均して、塗布した量の約1〜3%の僅かな量である。全ての患者が一様で瘢痕がない場合、投与量の97〜99%が障壁の外側で使用されずに残ることは問題ではない。しかし、これはこの場合当てはまらない。そのままの皮膚の透過性は、個々の患者の間で少なくとも10倍異なる。さらに、皮膚の瘢痕および他の凹凸は、特に疾患のある皮膚において頻繁に見られ、患者間および皮膚の異なる領域間の透過性の多様性を増す。薬物の透過性の10倍の相違は、投与量が10倍相違することにつながり、効果および副作用の両方の多様性を生じる。治療範囲の狭い薬物または副作用を有する薬物の場合、この予測性欠如により、一部の患者は効果的投与量より少ない量を受け取ることになり、一方、他の患者は副作用を被ることになる。
【0004】
患者が瘢痕を有する場合、または皮膚の自然の障壁機能を失った場合、生物学的利用能が増す。無傷の障壁機能での生物学的利用能が1〜3%である場合、利用性の30〜100倍の増加を予測することができる。薬物の利用可能量のそのように高い増加は、30〜100倍の過剰投与につながる。
【0005】
このように挙動する幾つかの薬物の例がある。この問題への解決は、薬物の大部分が利用できる程度に生物学的利用能を増加させることである。例えば、無傷の障壁機能で薬物の生物学的利用能が50%の場合、最大全身露出量は、障壁機能が欠如している場合に意図される投与量の2倍となる。
【0006】
US6121314A(NOVARTIS AG)、US6005001A(NOVARTIS AG)およびUS5856355A(NOVARTIS AG)は、テルビナフィンの送達のために「活性剤として式Iで示される化合物および低級アルカノールを含み、要すれば、可溶化剤またはミリスチン酸イソプロピルのような油相を含んでなる非油性局所用溶液、エマルジョンゲルまたはローションが有用な送達系である(non-greasy topical solutions, emulsion gels or lotions comprising as the active agent a compound of formula I and a lower alkanol, and if desired together with a solubilizing agent or an oil phase such as isopropyl myristate are useful delivery systems)」ことを開示している。これらの文献は、向上した透過増強特性を達成するために2種の増強剤を組み合わせる必要性を、開示も示唆もしていない。
【0007】
GB2146528A(HOWELLS TREVOR)は、保湿剤、例えば、ミリスチン酸イソプロピル;オイル、例えば、ラノリン;乳化剤、例えば、ソルビトールエステル;防腐剤、例えば、ニパステート(Nipastat);毛包刺激物質、例えば、タバシーア(Tabasheer);および酵素触媒、例えば、腹足類、具体的にはニワマイマイ(Helix aspersa)の排出から得られるカルボキシラーゼ脱水酵素を含んでなる、発毛を促進するために皮膚または頭皮を処理するための組成物を開示している。この文献は、ミリスチン酸イソプロピルのそれ自体のまたは他の剤と組み合わせた場合の透過性に対する陽性効果についていかなる情報も含んでいない。
【0008】
DE4038385A(ROECAR HOLDINGS NV)は、キャリアとしてレシチンを用いたマイクロエマルジョンの形態の、生物学的利用能が改良されたシトステロールおよびそのグリコシドを開示している。好ましくは、これらのマイクロエマルジョンは、ミリスチン酸イソプロピルを乳化剤としておよびイソプロパノールを共乳化剤として含む。これらのマイクロエマルジョンは、分散剤としての水の中に、21−23%のレシチン、15−16%のイソプロパノールおよび7.0−7.5%のミリスチン酸イソプロピルを含んでなる。シトステロールおよびそのグリコシドが、キャリアとしてレシチンを用いたマイクロエマルジョンの形態である場合、生物学的利用能が改良される。この文献は、水を含まない製剤中に2種の異なる透過増強剤を組み合わせて用いて高められた透過性は教示していない。
【0009】
大きなパテントファミリーの代表としてのUS6503894B(UNIMED PHARMACEUTICALS INC)、US2002183296A(DUDLEY ROBERT ET AL.)、US2003022877A(DUDLEY ROBERT)、US2003139384A(DUDLEY、ROBERT)およびUS2003232072A(DUDLEY、ROBERT ET AL.)は、アンドロゲン性またはタンパク同化ステロイド、C1−C4アルコール、ミリスチン酸イソプロピルのような透過増強剤、および水を、ゲル化剤と共に含んで水性アルコール性ゲル製剤を形成している組成物を記載している。これらの文献は、ミリスチン酸イソプロピルにより高められた透過性を開示しているが、他の剤と組み合わされてはいない。これらの文献中の全ての製剤が、水を含んでいる。
【0010】
WO2005/025626A(PROCTER)は、制御放出のためのマイクロカプセルを開示している。請求項4において、ミリスチン酸イソプロピルおよび他の幾つかの剤からなる群より安定化剤が選択される。この文献は、マイクロカプセル用の安定化剤としてミリスチン酸イソプロピルを用いることを教示している。
【0011】
WO97/34644A(HOECHST AG)(特許文献1)は、乾癬に効果的な物質、ミリスチン酸イソプロピルを含む少なくとも1種の拡散溶媒、少なくとも1種の易揮発性溶媒、および被膜形成剤を含んでなると共に、爪乾癬の治療に適している製剤を開示している。この参考文献には、ミリスチン酸イソプロピルの単独または他の剤と組み合わせた場合の透過性向上特性が教示されていない。
【0012】
EP1889609A(MEDA AB)は、脂肪酸を含む水性泡製剤中に、軟化剤としてミリスチン酸イソプロピルを用いることに言及している。ミリスチン酸イソプロピルの単独または他の剤と組み合わせた場合の透過性向上特性は教示されていない。
【0013】
US7425340A(ANTARES PHARMA IPL AG)は、尿素化合物と抗コリン性または抗痙攣性薬との組み合わせ剤のための透過増強剤としてアルコールを用いることを開示している。この文献は、増強剤を組み合わせることの有用性および結果を教示していない。
【0014】
ブリンクマン(Brinkmann)らは、ヒト角質層(SC)を透過するヒドロコルチゾン(HC)について、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、イソプロピルアルコール(IPA)および両者の組合せの影響を検討した(BRINKMANN,I,et al.Role of isopropyl myristate,isopropyl alcohol and a combination of both in hydrocortisone permeation across the human stratum corneum.Skin Pharmacol Appl Skin Physiol.2003,vol.16,no.6,p.393−404)(非特許文献1)。IPMおよびIPA並びにこれらの組合せを含水親水性軟膏(WHS)に組み込み、ヒトSCにおけるHC透過およびHC蓄積への得られる効果を検討すると共に、SCのマイクロ構造へのこれらの物質の影響を検討した。示差走査熱量測定および広角および狭角X線回折が、IPMをSCに組み込むと、密に詰まった二層脂質が得られ、角質細胞に結合した脂質の秩序が失われることを示している。両効果により、SC中のHCの拡散係数が低下し、それにより、WHSからのHCと比べて透過率が低下する。
【0015】
もう一つの文献において、ブリンクマンらは、プロピレングリコールとIPMの組合せの角質層への効果も検討した(BRINKMANN,I,et al.An attempt to clarify the influence of glycerol,propylene glycol,isopropyl myristate and a combination of propylene glycol and isopropyl myristate on human stratum corneum.Pharmazie.2005,vol.60,no.3,p.215−220)。これらの検討の結果、IPM単独ではWHS製剤からの薬物の透過性が低下するが、イソプロピルアルコールと組み合わせると透過性が増加するという結論が得られた。
【0016】
ゴルカンチ(Gorukanti)らは、IPMとアルコール(エタノール、IPAおよび第三級ブチルアルコール)を含む製剤を用いる場合、マウスにおいてベンズトロピン(BZ)遊離塩基およびそのメシレート塩の透過性が増加することを示した(GORUKANTI,S.R.,et al. Transdermal delivery of antiparkinsonian agent,benztropine.I.Effect of vehicles on skin permeation.Int J Pharm.1999,vol.192,no.2,p.159−172)。tBtOH−IPMの組合せ(2:8)は、メシレート塩からの最大BZ流出、すなわち、2016mg/cm/hを生じさせ、これは水からよりも100倍大きく、個々の溶媒純物よりも44から540倍大きい。アルカノール−IPM混合物によるBZメシレートの観察された透過性増加は、おそらく、二元ビヒクルによる角質層の障壁能の低下と、生きている表皮/真皮を通過するBZメシレートの適度の分配との組合せの結果であった。
【0017】
パンチャグヌラ(Panchagnula)らは、エタノールと組み合わせたIPMの透過性への陽性効果を示した(PANCHAGNULA,R.,et al.Feasibility studies of dermal delivery of paclitaxel with binary combinations of ethanol and isopropyl myristate: role of solubility,partitioning and lipid bilayer perturbation.Farmaco.2005,vol.60,no.11−12,p.894−9.)。
【0018】
チャ(Cha)らは、皮膚を通過するDA−5018のIPM媒介透過性へのオレイン酸の陰性効果を示した(CHA,B.J.,et al.Enhanced skin permeation of a new capsaicin derivative (DA−5018) from a binary vehicle system composed of isopropyl myristate and ethoxydiglycol. Arch Pharm Res.2001,vol.24,no.3,p.224−8)。
【0019】
アラネロ(Aranello)らは、皮膚を通過するジクロフェナクの透過性へのIPMおよびPGの効果を検討した(ARANELLO,A,et al.Influence of propylene glycol and isopropyl myristate on the in vitro percutaneous penetration of diclofenac sodium from carbopol gels.Eur J Pharm Sci.1999Jan,vol.7,no.2,p.129−35)。この論文において、以下に開示の組合せは、無水環境においては研究されなかった。
【0020】
別の論文において、テノキシカムの経皮透過性への、オレイン酸とプロピレングリコールとの組み合わせ効果が研究された(LARRUCEA,E,et al.Combined effect of oleic acid and propylene glycol on the percutaneous penetration of tenoxicam and its retention in the skin. Eur J Pham Biopharm.2001Sep,vol.52,no.2,p.113−9)。無水製剤の使用について教示はされていない。
【0021】
US2007269393A(WEPFER SCOTT)は、皮膚透過増強剤としてベンジルアルコール、プロピレングリコールおよびエトキシジグリコールを含む無水ゲルの形態の局所麻酔製剤を開示している。
【0022】
US2007179121A(PLOTT R T)は、コルチコステロイドと、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールおよびベンジルアルコールからなる群より選択される2種またはそれ以上の透過増強剤とを含む組成物に関する。
【0023】
US2008153885A(MEADOWS CHEYNEY ET AL.)は、第1および第2の透過増強剤、非プロトン性一次溶媒、および治療有効量のフルニキシンまたは薬学的に許容されるその塩を含んでなる経皮液体製剤に関する。
【0024】
US2008260655A(TAMARKIN DOV ET AL.)は、ワセリンもしくはその混合物、少なくとも1種の起泡剤、少なくとも1種の推進剤を含み、活性剤を加えたまたは加えない、安定で実質的に非水性、非アルコール性、非シリコーン性の起泡性キャリア組成物に関する。
【0025】
US5837289A(GRASELA JOHN ET AL.)は、局所製剤中に2種の別々の透過増強剤を用いることを記載しており、第1の透過増強剤は、好ましくは、パルミチン酸イソプロピルまたはミリスチン酸イソプロピルを用いて形成されたレシチンオルガノゲルであり、第2の透過増強剤は、好ましくはポリオキシマー、好ましくはプロピレングリコールのポリオキシアルキレン誘導体である。
【0026】
WO2007/103555A(NUVIANCE INC)(特許文献2)は、相乗的に、しかし異種の生化学的経路により作用する2種またはそれ以上の経皮浸透剤を含んでなる、皮膚疾患の治療のための局所組成物に関する。
【0027】
WO2007/019224A(WATSON LABORATORIES INC)は、被験者の皮膚の薬物への透過性を高めるための方法および製剤に関し、透過増強剤としてのラウリルアルコールとミリスチン酸イソプロピルの組合せを皮膚の領域に投与して、薬物の相乗的に高められた透過性を提供することを含む。
【0028】
WO2007/066149A(PHARMAKODEX LTD)は、治療剤を含む薬剤組成物を皮膚に正確に局所的に投与するための組成物および塗布装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】国際公開第97/34644号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/103555号パンフレット
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Skin Pharmacol Appl Skin Physiol.2003,vol.16,no.6,p.393−404
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
前述の問題は、以下の条件が整う場合に生じる驚くべき効果によって、今回、多くの薬物について解決される。
【0032】
本発明の全般的態様は、薬物、少なくとも2種の透過増強剤を組み合わせて含んでなる局所用組成物であって、透過増強剤の少なくとも1種が、飽和または不飽和脂肪酸と低級アルコールおよびアルコールのアイソフォームとのエステルからなる群より選択され、透過増強剤の少なくとも1種が、脂肪族ジオールおよびトリオールからなる群より選択され、成分が非水性溶媒系中に存在する局所用組成物である。
【0033】
この全般的態様において、薬物は、好ましくは親油性薬物、より好ましくは免疫調節薬または免疫反応修飾物質、三環系抗うつ薬、鎮痛剤、麻酔薬、抗炎症薬、β遮断薬、抗菌剤およびCa遮断薬からなる群より選択される親油性薬物、最も好ましくはToll様受容体7(TLR7)配位子のような免疫調節化合物、例えばイミキモドである。
【0034】
本組成物中に用いられる成分は局所用生成物中に用いられてきた標準的成分であるが、「試験管内(in vitro)」研究において、これらの成分の新規組合せが、皮膚における薬物の送達に対して驚くほど高い効果を示している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1の結果を示すグラフである。
【図2】実施例2の結果を示すグラフである。
【図3】実施例3の結果を示すグラフである。
【図4】実施例5の結果を示すグラフである。
【図5】実施例6の結果を示すグラフである。
【図6】実施例7の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明は、本発明を実施するために現在考えられる最良の形態のものである。この説明は限定的に解すべきでなく、本発明の全般的原理を説明する目的だけに成されるものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照して決めるべきである。
【0037】
本発明を詳細に説明する前に、これらの発明は、記載された特定の化合物または記載された方法の工程に限定されず、そのような化合物および方法は変化し得ると理解すべきである。ここで用いられる用語は、特定の態様のみを説明する目的であり、限定的であることを意図しないことも理解すべきである。明細書および添付の特許請求の範囲に記載の単数形は、要旨が特記しない限り、対応する複数形を含むことに留意すべきである。
【0038】
さらに、「約」という用語は、適用可能な場合、所定の値の±10%の偏差、好ましくは±5%、最も好ましくは数値の±2%の偏差を意味する。
【0039】
「非水性」溶媒系という用語は、本発明において水が添加されないことを意味する。「無水」および「非水性」という用語は、出発材料中に存在する微量の水の存在を排除するものではなく、水が組成物に添加されることはないことを明らかにするものである。
【0040】
脂肪に対して親和性を有しており、高い脂溶性を有する場合、物質は親油性であると考えられる。すなわち、親油性は、水と非混和性有機溶媒との間の溶質分子の平衡分配を説明する物理化学的特性であり、非混和性有機溶媒が優勢である。
【0041】
親油性は、一般的に、水と非水混和性溶媒との間の分配Log Pにより表される。薬物の発見と開発において最も一般的に用いられる溶媒は1−オクタノールである。Log Pは、分配係数Pの対数を示し、オクタノール中の中性種の濃度を水中の中性種の濃度で割った比として定義される。この出願の目的に適した親油性薬物は、Log Pが少なくとも約1.5である薬物である。
【0042】
本発明者は、薬物および少なくとも2種の透過増強剤を組み合わせて含んでなる局所用組成物であって、透過増強剤の少なくとも1種が、飽和または不飽和脂肪酸と低級アルコールおよびアルコールのアイソフォームとのエステルからなる群より選択され、透過増強剤の少なくとも1種が、脂肪族ジオールおよびトリオールからなる群より選択され、成分が非水性溶媒系中に存在する局所用組成物を提供する。
【0043】
このように、本組成物は、少なくとも2種の透過増強剤の組合せ、および少なくとも1種の非水性溶媒を含む。組成物は、任意に、少なくとも1種の溶解性調整物質を含んでもよく、また、組成物は、適切な産物を作るために局所用途を意図した製剤中で通常用いられる賦形剤を含むことも理解される。
【0044】
皮膚粘膜における薬物の送達として測定される組成物の性能に適した透過増強剤の組合せは、好ましくは、飽和または不飽和脂肪酸と低級アルコールまたはアルコールのアイソフォーム、例えばイソプロピルアルコールやイソブチルアルコールとのエステルからなる群より選択される少なくとも1種の透過増強剤と、脂肪族ジオールおよびトリオールからなる群より選択される少なくとも1種の透過増強剤との混合物である。エステル型の透過増強剤の非限定的例としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチルおよびアジピン酸ジイソプロピルが挙げられる。脂肪酸とモノグリセリドのソルビン酸エステル、および、モノ、ジおよびトリ不飽和脂肪酸エステルも用いられている。脂肪族ジオールおよびトリオール型の透過増強剤のさらなる非限定的例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびグリセロールが挙げられる。
【0045】
新規組成物に適した薬物は、好ましくは、親油性または非水性環境中に可溶性であり、好ましくは、Log Pが約1.5〜約5の範囲である薬物である。
【0046】
さらに、最も好ましい薬物は、治療範囲が狭小な効果的および/または毒性親油性化合物である。すなわち、その薬物は好ましくは親油性薬物、より好ましくは、免疫調節薬または免疫反応修飾物質、三環系抗うつ薬、鎮痛剤、麻酔薬、抗炎症薬、β遮断薬、抗菌剤およびCa遮断薬からなる群より選択される親油性薬物である。
【0047】
より好ましくは、前記薬物は免疫調節化合物を含み、一つの態様によれば、前記免疫調節化合物はToll様受容体7(TLR7)配位子を含む。その例として、イミキモド、アムロジピン、ニフェジピン、フェロジピンおよびレシキモドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
免疫調節化合物の非限定的例はイミキモドである。
【0049】
薬物は、標的組織である皮膚において薬理学的効果を生じるのに必要な量で存在する。本発明の一つの態様によれば、前記薬物は、組成物の合計重量を基準に約0.01〜約5重量%の量で存在する。好ましくは、本発明の組成物により得られる改良された透過性の結果、前記薬物は少量で、例えば、組成物の合計重量を基準に約0.01〜約1重量%の量で存在する。
【0050】
他の態様と自由に組み合わせることができる本発明の一つの態様によれば、アルコールはイソプロピルアルコールまたはイソブチルアルコールである。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、透過増強剤はミリスチン酸イソプロピルおよびプロピレングリコールを含む。
【0052】
一つの態様において、透過増強剤の組み合わせた量は、組成物の合計重量を基準に約1〜約99重量%である。ゲル、クリーム、軟膏、油性製剤またはオイルのような液体製剤において、透過増強剤の組み合わせた量は、好ましくは、組成物の合計重量を基準に約50〜約99重量%である。ペーストまたはスティックのような固体または半固体製剤において、透過増強剤の組み合わせた量は、好ましくは、組成物の合計重量を基準に約5〜約60重量%である。
【0053】
本発明の一つの態様において、第1の透過増強剤と第2の透過増強剤との比は約1:10〜約10:1、好ましくは約1:2〜約2:1である。
【0054】
この製剤系において適している溶媒または溶媒混合物は、ベンジルアルコールのような芳香族アルコール、限定はされないが8個までの炭素を有する短鎖アルコールと乳酸または脂肪酸とのエステルのようなα−ヒドロキシ酸のエステルにより例示される化合物の群から選択される。同様の溶解特性を有する他のタイプの適切な溶媒は、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、サリチル酸メチル、安息香酸、オレイルアルコールおよび酢酸により代表される。エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールのような短鎖脂肪族アルコールも適している。好ましくは、溶媒は、組成物の合計重量を基準に1〜80重量%の量で存在する。
【0055】
本発明の好ましい態様によれば、非水性溶媒は、芳香族アルコール、芳香族アルコールと脂肪酸とのエステルまたはαヒドロキシ酸と8個までの炭素を有する短鎖アルコールとのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む。現時点で本発明者により好ましいとされる非限定的例によれば、アルコールはベンジルアルコールである。
【0056】
好ましくは、非水性溶媒は、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、サリチル酸メチル、安息香酸、オレイルアルコールおよび酢酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む。現時点で本発明者により好ましいとされる非限定的例によれば、エステルは乳酸エステルから選択され、現時点で好ましい溶媒は乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピルおよび乳酸ブチルから選択される。
【0057】
別の態様によれば、溶媒は、8個までの炭素を有する短鎖脂肪族アルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む。好ましくは、前記溶媒は、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0058】
別の態様によれば、前記溶媒は、αヒドロキシ酸と8個までの炭素を有する短鎖アルコールとのエステルを含む群より選択される少なくとも1種の溶媒を含む。
【0059】
前記態様のいずれか一つの態様によれば、前記溶媒または溶媒の組合せは、組成物の合計重量に基づいて1〜80重量%の量で存在する。
【0060】
本発明の一つの態様による組成物は、構造剤(structural agent)も含んでよい。局所用組成物は、例えば、組織および他の物理的特性を得るために局所用産物において通常用いられる非活性成分で希釈することができる。そのような成分の非限定的例として鉱物油、軟質白色パラフィンおよびワックスがあり、カルナウバワックスが例示されるがそれに限定はされない。
【0061】
前記構造剤は、好ましくは、製剤の粘度を増すために、軟質白色パラフィン、パラフィンオイルおよびワックスを含む群より選択される少なくとも1種のワックスを含み、カルナウバワックスが例示されるがそれに限定はされない。その代わりにまたはそれと組み合わせて、構造剤は可溶性または不溶性ポリマーを含んでよい。不溶性ポリマーは、例えばラテックス型のポリマーであり、例えばEudragit(登録商標)(EvonikIndustries)が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
組成物は、さらに好ましくは着色剤を含む。着色剤は、皮膚に塗布された場合、組成物の量および分布を示すのに有用である。従って、着色された組成物は、均一に投与および塗布するのが容易である。当業者は、局所用薬剤組成物において用いることが認可されたものから適切な着色剤または顔料を選択することができる。
【0063】
製剤中の望ましい溶媒は、溶解性に基づいて選択することができる。この製剤中において、ベンジルアルコールのような有効性の高い溶媒は、用いられる溶媒が、水素の結合、極性および分散力に関して同様の溶解性パラメーターを有するという条件下に、他の溶媒に取り換えることができる。同様の溶解性パラメーターの場合は、±10%以内の偏差が意図される。
【0064】
脂肪酸を含むカルボン酸により代表される溶解性修飾物質は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびイソステアリン酸、オレイン酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、アスコルビン酸、およびα−ヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸および酒石酸により例示されるが、これらに限定されない。溶解性修飾物質の役割は、製剤が適度に飽和するように、薬物の溶解性を調節することである。前記態様のいずれか一つの態様によれば、組成物は、さらに溶解性修飾物質を、組成物の合計重量を基準に約1〜約60重量%の量で含んでよい。
【0065】
現時点で、本発明者により好ましいとされる溶解性修飾物質の非限定的例は、オレイン酸である。
【0066】
本発明による局所用組成物は、溶液、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、オイルまたはスティックとして調製することができる。局所用薬製剤の当業者は、発明的努力をすることなく、特許請求の範囲内において、溶液、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、オイルまたはスティックを容易に作ることができる。
【0067】
組成物はスティックの形態とし得る。スティックは周知であり、本組成物を用いてスティックを製造するためのいかなる方法も用いることができる。用いることができる方法の一例が米国特許第4,069,574(Krevald)に開示されており、その開示全体を援用として取り込む。適切なスティックの一例が米国特許第5,819,993(Wile)に開示されており、その開示全体を援用として取り込む。
【0068】
組成物をスティック形態で用いる場合、好ましくは、透過増強剤の合計量は組成物の合計重量を基準に約1〜50重量%である。
【0069】
本発明者により得られた改良された透過性は、多くの利点を生み出す。例えば、薬学用途に認可された透過増強剤および溶媒を用いて薬物の透過性を改良し得ることが、本発明の利点である。明細書、特許請求の範囲および非限定的実施例を詳しく検討することにより、本発明のさらなる利点が当業者に明らかとなる。
【実施例】
【0070】
本発明の範囲を説明することを意図し限定することは意図していない以下の実施例を参照すると、本発明がより良く理解される。
【0071】
以下の実施例において言及する薬製剤の試験管内評価は、セル面積が0.63cmであるBronaugh拡散セルを使用して、約900μmの厚さの全層豚耳皮膚粘膜を用いて32℃で行った。実施例4においては、Franz拡散装置を用いた。受容体媒体流量は1.6ml/hに設定し、界面活性剤を含むクエン酸緩衝溶液またはリン酸緩衝塩水溶液を受容体媒体として用いた。
【0072】
イミキモド(3−(2−メチルプロピル)−3,5,8−トリアザトリシクロ[7.4.0.02 6]トリデカ−1(9),2(6),4,7,10,12−ヘキサエン−7−アミン)は、光線角化症、表在基底細胞癌および外性器疣贅またはコンジローマの治療に認可された免疫反応調整物質であり、現在、Aldara(登録商標)およびBeselna(登録商標)の商品名で販売されている。発赤、表皮剥脱、剥離、腫れ、痂皮、掻痒/焼灼感のような局所的反応から発熱、筋肉痛などのような全身性効果に及ぶ副作用が報告されているのでイミキモドを選択した。比較実験に利用できる市販製剤Aldara(登録商標)があるので、本発明を例示する目的でもイミキモドを選択した。
【0073】
実施例1
表1に示す製剤Aからのイミキモドの試験管内透過性を評価し、市販のAldara(登録商標)5%クリーム(3M Health Care Limited)からのイミキモドの透過性と比較した。
【0074】
【表1】

【0075】
略号「S」は溶媒を示し、「PE」は透過増強剤を示す。
【0076】
試験管内実験の実験パラメーターを表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
図1に示す結果は、48時間後のイミキモドの平均透過量が、製剤AよりもAldara(登録商標)において大きいが、皮膚透過性は同じ水準であることを示している。イミキモドの平均量は、1cm当たり透過した量の平均(n=7)である。製剤Aは、イミキモド、ベンジルアルコールおよびプロピレングリコールを含む。
【0079】
実施例2
表3に示す製剤Bからのイミキモドの試験管内透過性を評価し、市販のAldara(登録商標)5%クリーム(3M Health Care Limited)からのイミキモドの透過性と比較した。
【0080】
【表3】

【0081】
以下の略号を用いる。「S」は溶媒、「PE」は透過増強剤、および「SM」は溶解性修飾物質である。
【0082】
試験管内実験の実験パラメーターを表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
図2に示す結果は、イミキモドの平均透過量が、Aldara(登録商標)5%クリームと比較して、製剤Bを用いた場合に45倍以上高いことを示している。図2は、1cm当たり透過したイミキモドの平均量(n=7)である。製剤Bは、イミキモド、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、オレイン酸およびミリスチン酸イソプロピルを含む。
【0085】
これらの結果を、実施例1に示す結果を比較すると、オレイン酸およびミリスチン酸イソプロピルを製剤に添加すると透過性の増加が非常に大きいことが分かる。製剤Bについて、48時間後に透過したイミキモド量は約5%(w/w)であったが、Aldara(登録商標)5%クリームについては、僅かに約0.1%(w/w)であった。
【0086】
実施例3
表5に示す製剤Cおよび製剤Dからのイミキモドの試験管内透過性を評価した。次に、この透過性を、市販のAldara(登録商標)5%クリーム(3M Health Care Limited)からのイミキモドの透過性と比較した。
【0087】
【表5】

【0088】
試験管内実験の実験パラメーターを表6に示す。
【0089】
【表6】

【0090】
図3に示す結果は、製剤Dからのイミキモドの平均透過量が、製剤Cからの対応透過量より25倍以上高いことを示している。
【0091】
図3は、1cm当たりのイミキモドの平均透過量を示し、製剤Cについてはn=7での平均量、製剤Dについてはn=6での平均量およびAldara(登録商標)5%クリームについてはn=7での平均量を表す。製剤Cは、イミキモド、ベンジルアルコールおよびプロピレングリコールを含み、製剤Dはイミキモド、ベンジルアルコール、プロピレングリコールおよびミリスチン酸イソプロピルを含む。これらの結果は、ミリスチン酸イソプロピルおよびベンジルアルコールの存在が、イミキモドの高い透過性を促進することを示している。製剤Cおよび製剤Dからのイミキモド透過量は、それぞれ、0.7%(w/w)および37.5%(w/w)であり、Aldara(登録商標)5%クリームについては、透過量は0.1%(w/w)未満であった。
【0092】
実施例4
ベンジルアルコールおよびミリスチン酸イソプロピルを含むが、プロピレングリコールを含むおよび含まない2種の製剤を、Franzセル拡散装置において全層豚耳皮膚を通過する薬物透過性について試験した。製剤を表7に示す。
【0093】
【表7】

【0094】
製剤Dからの透過したイミキモドの平均量は15.2%であったが、製剤Eからの透過量は僅か1.0%であった。これは、本発明の製剤中におけるプロピレングリコールの存在の重要性を示している。
【0095】
【表8】

【0096】
実施例5
製剤中の溶媒は、溶解性に基づいて選択することができる。この製剤中のベンジルアルコールのような高度に効果的な溶媒を、用いられる溶媒が同様の溶解性を有するという条件下に他の溶媒に置き換えることができる。この実施例において、ベンジルアルコールを、乳酸のブチルエステルに置き換えた。製剤FおよびGの組成を表9に示す。
【0097】
【表9】

【0098】
実験条件を表10に示す。
【0099】
【表10】

【0100】
Aldara(登録商標)クリームを、皮膚透過性研究における比較物質として用いた。この研究においては、真皮内に存在するイミキモドの量を決めた。産物FおよびG並びにAldara(登録商標)に20時間晒した後、皮膚粘膜を洗い、角質層を除去した。得られた皮膚組織を、イミキモドの存在について調べた。製剤FおよびGは、それぞれ、皮膚濃度が62および59μg/mlであったが、市販産物Aldara(登録商標)は、組織内濃度が僅かに7μg/mlであった。イミキモドの累積透過量を、表11および図4に示す。
【0101】
皮膚へのイミキモドの透過性は製剤Fと製剤Gにおいて同様であり、これは、溶解性基準に基づきベンジルアルコールを他の溶媒に交換する可能性を示している。
【0102】
【表11】

【0103】
実施例6
この実施例において、2種の透過増強剤および1種の溶媒をワックスと組み合わせて含む組成物を透過性について試験し、市販の製剤Aldara(登録商標)5%クリーム(3M Health Care Limited)と比較した。スティックの組成を表12に示す。
【0104】
【表12】

【0105】
前記透過実験において、試験組成物のためのAldara(登録商標)の推薦投与量10mg/cmを適用した。膜として全層豚耳皮膚を用いた。
【0106】
結果を、イミキモドの平均累積透過量として図5に示す。ISM08164について5個のセルを用い、Aldara(登録商標)5%クリームについて4個のセルを用いた。エラーバーは、95%信頼区間を表す。平均累積透過量は、本発明の製剤は、Aldara(登録商標)より約5倍多いが、その新規製剤では合計投与量が50倍少ない。
【0107】
実施例7
表13に示す製剤Hからのイミキモドの試験管内透過性を評価し、市販のAldara(登録商標)5%クリーム(3M Health Care Limited)からのイミキモドの透過性と比較した。
【0108】
【表13】

【0109】
以下の略号を用いる:「S」は溶媒を示し、「PE」は透過増強剤を示し、「SM」は溶解性修飾物質を示す。
【0110】
試験管内実験の実験パラメーターを表14に示す。
【0111】
【表14】

【0112】
図6に示す結果は、イミキモドの平均透過量が、Aldara(登録商標)5%クリームと比較して、製剤Hを用いた場合に45倍以上高いことを示している。図6は、1cm当たり透過したイミキモドの平均量(n=5)である。製剤Hは、イミキモド、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含む。
【0113】
これらの結果を、実施例1に示す結果と比較すると、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを製剤に添加すると透過性の増加が非常に大きいことが分かる。製剤Hについて、48時間後に透過したイミキモド量は約40%(w/w)であったが、Aldara(登録商標)5%クリームについては、約0.1%(w/w)であった。
【0114】
特許請求の範囲の発明を、その具体例を参照して詳細に説明したが、特許請求の範囲の発明を、その精神および範囲から離れることなく、種々に変換および修飾し得ることが、当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物および少なくとも2種の透過増強剤を組み合わせて含んでなる局所用組成物であって、該透過増強剤の少なくとも1種が、飽和または不飽和脂肪酸と低級アルコールおよびアルコールのアイソフォームとのエステルからなる群より選択され、該透過増強剤の少なくとも1種が、脂肪族ジオールおよびトリオールからなる群より選択され、成分が非水性溶媒系中に存在する局所用組成物。
【請求項2】
前記薬物が親油性薬物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記薬物が、免疫調節薬または免疫反応調整物質、三環系抗うつ薬、鎮痛剤、麻酔薬、抗炎症薬、β遮断薬、抗菌剤およびCa遮断薬からなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記薬物が免疫調節化合物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫調節化合物がToll様受容体7(TLR7)配位子を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記免疫調節化合物がイミキモドである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記薬物が、組成物の合計重量を基準に約0.01〜約5重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記薬物が、組成物の合計重量を基準に約0.01〜約1重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルコールがイソプロピルアルコールまたはイソブチルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記透過増強剤がミリスチン酸イソプロピルおよびプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記透過増強剤の組み合わせた量が組成物の合計重量を基準に約1〜約99重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記透過増強剤の組み合わせた量が組成物の合計重量を基準に約50〜約99重量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記透過増強剤の組み合わせた量が組成物の合計重量を基準に約5〜60重量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記第1の透過増強剤と前記第2の透過増強剤との比が約1:10〜約10:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1の透過増強剤と前記第2の透過増強剤との比が約1:2〜約2:1である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記非水性溶媒が、芳香族アルコール、芳香族アルコールと脂肪酸とのエステル、またはαヒドロキシ酸と8個までの炭素を有する短鎖アルコールとのエステルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記非水性溶媒が、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、サリチル酸メチル、安息香酸、オレイルアルコール、オレイン酸および酢酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒が、8個までの炭素を有する短鎖脂肪族アルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記溶媒が、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記溶媒が、αヒドロキシ酸と8個までの炭素を有する短鎖アルコールとのエステルを含む群より選択される少なくとも1種の溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記溶媒または溶媒の組み合わせが、組成物の合計重量に基づいて1〜80重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
さらに構造剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
組成物を希釈すると共に組織を形成するために、さらに非溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
さらに着色剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記構造剤が、組成物の粘度を増すために軟質白色パラフィンおよびパラフィンオイルからなる群より選択される少なくとも1種のワックスを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記構造剤が、可溶性または不溶性ポリマーを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
さらに溶解性調整物質を、組成物の合計重量を基準に約1〜約60重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
溶液、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、オイルまたはスティックとして調製された、前記請求項のいずれか1項に記載の局所用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−507511(P2012−507511A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534448(P2011−534448)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051230
【国際公開番号】WO2010/050889
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511107603)モバーグ ダーマ アーベー (1)
【氏名又は名称原語表記】MOBERG DERMA AB
【Fターム(参考)】