説明

少量の液体を調薬及び混合するための方法及び装置

【課題】本発明は、少量の液体を調薬及び混合するための方法に関する。
【解決手段】少なくとも接続構造(11)を介して反応槽(1)と接続する、少なくとも1つの調薬槽(3)が第1液で満たされる。少なくとも1つの接続構造は、第1液の表面張力がその反応槽への侵入を防ぐように寸法設定されている。接続構造で第1液と接触するように、反応槽は第2液で完全に満たされる。液体の完全な混合のために、少なくとも反応槽の中又は上において液中に流れのパターンが形成される。更なる本発明は、その使用と同様、開示された方法を実現するための装置、機器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、少量の液体を計量及び混合するための方法、並びに、その方法を達成するための装置、機器、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に臨床化学や免疫化学の分野などにおいて、診断分析の自動化が広い範囲で実現されている。試料溶液や試薬の規定量がマイクロプレートのウエルやキュベットにピペットで移され、それに対応した自動化装置で混合される。続いて、第1の基準とされる測定が行われ、例えば、キュベットを透過する光学的透過が決定される。試料と試薬との所定の反応時間が経過した後、同じパラメータでの第2の測定が行われる。特定の成分に関する試料の濃度、あるいは、またその成分の存在がその計測値との比較によって得られる。
典型的な容量は約100マイクロリットルの総量の中にあり、試料と試薬との必要な混合比率は1:100と100:1の間で生じ得る。任意に複数の試薬を試料との混合に備えることができる。加えて、高機能として説明されている機器は、一般に特別な研究所で見られるものであり、そこにはまた、分散した方法や、大きな機器的作用なしに分析を実現する努力もまた存在する。
【0003】
最近紹介されたラボチップ(lab−on−a−chip)技術が、チップ中、あるいはその上での液処理の統合が実現されて使用できるなら、この点に関して好ましいであろう。なお、分析時間は1時間より短いのが好ましい。
【0004】
例えば、液体の移動のためには、非特許文献1に見られるような、液体が電気浸透ポテンシャルを通じて移動する、マイクロフルイドシステム(microfluid systems)が利用できる。
【0005】
マイクロリットルの領域での液体を混合する方法が特許文献1に記載されており、そこでは、乱れが誘発された流れによって少量の液体がマイクロプレートの中で混合されている。固体表面上で少量の液体の移動を発生させる他の方法が、特許文献2に記載されている。そこでは、表面音波によって一つの液体が混合、あるいは複数の液体が互いに混合されている。
【0006】
特許文献3に記載されている方法によれば、液体が、その表面張力でまとまってそこに留まるように、周りの表面とは濡れ性の異なる、実質的に平面な表面の領域に、液体の所定量が載置されている。ここでの液体の移動は、液体への表面音波のパルスの伝導によって発生させることができる。
【0007】
とりわけ、コストに有利なラボチップシステムにおける、試料と試薬の計量及び混合の統合には課題がある。非常に小さな異なる液量の均一な混合を実現するのは難しい。
【0008】
計量のため、正確に各液量の容量を規定する必要がある。これは、例えば、幾何学的に実現することが可能である。例えば、特許文献3に記載されているように、開放系において、表面の濡れ性は容量を決定することができる。すなわち、容量の規定は、実質的に滑らかな表面上の濡れ角による親水性と疎水性の領域によって置き換わる。反応に用いられる複数の容量がこのような方法で規定されていれば、それら容量はそれぞれに向かって移動し、これを達成する。表面上での移動において、液の残余や、目的物質(analye)や液中の試薬成分は表面に張り付いて留まるため、その移動による容量損失や未知量の濃度の減少を防ぐことができない。加えて、測定は蒸発に抗して行わなければならず、分析時間が長くなると問題となり得る。
【0009】
他の調整方法は、毛細管の方法で規定された断面積が液体で満たされる経路を用いている。その液体が水溶液の場合、毛細管の方法では満たされない疎水性のバリヤがその経路の末端に取り付けられる。さらに、この経路には、同様に毛細管の方法では満たされない疎水性の表面を備えた横枝部が存在する。その断面積と、疎水性のバリヤと疎水性の枝部との間の経路の長さとが、その枝部を通る気圧によって定義された方法によって分離、移動される容量を決定する(非特許文献2)。このタイプの容量の規定は、(経路それ自体の充填のための親水性とバリヤと枝部のための疎水性の)表面の濡れ構造が必要なため、高コストになる。
【0010】
加えて、関連装置が求める空圧の働きが必要である。経路の断面積は、測定経路の毛細管による充填が可能になる小さなものでなければならない。それゆえ、長い経路では、約100マイクロリットルの範囲で大きな容量が必要である。このことは必然的に経路の壁面と液体中の成分との大きな好ましくない相互作用を生じる。複数の液体を効果的に混合することは、この構成においてはほとんど不可能である。
【非特許文献1】Anne Y. Fu, などの「マイクロ蛍光励起細胞ソーター(A micro fabricated fluorescence-activated cell sorter)ネイチャー、バイオテクノロジー 17巻、1999年11月、P.1109ff」
【特許文献1】DE 103 25 307 B3
【特許文献2】DE 101 42 789 C1
【特許文献3】DE 100 55 318 A1
【非特許文献2】バーンズ など, 統合されたナノリットルDNA分析装置 サイエンス 282 484 (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本文における「液体」の用語は、例えば生物学的物質のような固体粒子が内在する液体だけでなく、特にまじりけのない液体、混合液、分散液、懸濁液を含んでいる。計量、混合される液体は、例えば、2種あるいはそれ以上の、その中に溶け込んでいる反応に供される成分だけが異なる類似の溶液であってもよい。
【0012】
本発明の目的は、大きく変動する範囲においても簡単に実現でき、液量の正確な計量の助けとなって、液体の完全な混合を可能とする方法と装置を提供することにある。その方法は、コンパクトなラボチップシステムにおいて実現可能であろう。
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を備えた方法や、請求項21の特徴を備えた装置、請求項42の特徴を備えた機器によって充足される。従属項は好ましい実施形態による。有利な使用は、請求項48の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
統合された計量及び混合のための本発明の方法によれば、計量槽は、第1液によって完全に満たされるとともに、少なくとも1つの接続構造を介して反応槽と連絡し、そして、その接続構造は、好ましくは、第1液の表面張力が反応槽への侵入を阻止するように、槽との関係において寸法設定がなされている。その接続構造の断面積は、特に、この目的のために反応槽の断面積よりも小さいものを選択することができる。反応槽が第2液で完全に満たされると、第2液は接続構造のところで第1液と連絡する。そして、液体の混合を生じることとなる反応槽の中、あるいはその上で、液中に流れのパターンが形成され、液体の完全な均一化がなされるまでその流れのパターンが維持される。層流のパターンが形成されるのが好ましい。
【0015】
層流のパターンは、直接反応槽の中で発生させることができる。層流にとっては、反応槽の方向の少なくとも一つの接続構造で発生し、そのように反応槽に作用することも等しく可能である。そして、対応する幾何学的配置によって、接続構造を介して反応槽に作用するように、計量槽で層流を引き起こすこともまた可能である。
【0016】
本発明の方法においては、計量槽で計量される第1液の量は固定されている。第1液は、反応槽に侵入することが防がれる。好ましいプロセス管理においては、表面張力によってその液が反応槽に侵入することが防がれる。液交換は、反応槽の中あるいはその上に運ばれた第2液に第1液が接触するときにのみ生じ得る。この点において、拡散による液交換は、接続経路構造の小さい断面積のせいで無視し得る。効果的な混合は、反応槽における対応した流れのパターンの発生によってのみ実行される。第2液の量は、反応槽の大きさによって決定される。
【0017】
非常に異なった混合比率による、大きな変動範囲内での液体の計量及び混合は、本発明の方法で正確に実現することができる。試薬と試料溶液との間の混合比率は、例えば、1:100から100:1の間で設定することができる。
【0018】
流れのパターンは、第2槽の中またはその上の液体、あるいは第2槽の方向への音波の照射によって発生させられる。
【0019】
表面音波は、音波の発生のために使用でき、装置に装着される圧電性チップ上の交差指電極トランスデューサ(interdigital transducer)によって、それ自体は公知の方法で発生させることができる。表面音波の衝撃移送は、直接、もしくは表面音波によって発生する音波の助けをかりて用いられる。本文における表面音波の用語は、また、2つの固体物体間の界面における界面波を含んでいる。
【0020】
槽及び接続構造は、3次元的、あるいは2次元的に形成することが可能である。従って、槽及び接続構造は、表面に相応して形成されたウェルとなり得る。異なった形態では、それらは相応して形成された中空空間である。2次元的な形態においては、槽及び接続構造は、その表面の周りの領域よりも液体によって濡れ易い、相応じて形成された表面の領域として形成される。周りと比較して親水性の表面が、水溶液用の槽及び接続構造として選択される。そのような濡れ改質された表面は、例えば、特許文献3に記載されている。液体は、それらの表面張力によって濡れ易い領域上に滴として保持される。
【0021】
簡単な例示のために、特にはっきりと説明されていない場合には、たとえ用語が一義的に記載されているように選択されていたとしても、3次元的や2次元的な実施例がそれぞれ本文において補い合っている。例えば「槽への導入」や「充填」の用語は、2次元的な槽領域に液体を適用するためにも用いられる。これと同様に「接続構造を通じた移動」の用語は、例えば、2次元的な接続構造の上の液体の移動、などにも用いられる。類似の用法で「容量」や「断面」の大きさは、例えば、2次元的な実施例における表面や幅を意味する。
【0022】
接続構造は、計量槽と反応槽との間の相応した寸法の開口部とすることができる。特に正確なプロセス管理は、第1液によって濡らされるとともに、計量槽から毛細管力によって満たされる接続毛細管構造における毛細管力を利用する。毛細管力は、広がった断面のせいで、接続毛細管構造の反応槽への入口位置において急に減少し、接続毛細管構造から反応槽への第1液の流出が阻止される。第2液が反応槽に導入されたか、反応表面上に付けられたときにのみ、第2液は、混合が発生するように、第1液と連絡するようになる。3次元的な計量装置では、好ましくは槽の上端に位置する充填開口部を介する計量方法の態様で、槽は充填される。
【0023】
計量槽は、対応して寸法設定された容量に形成することができる。本発明の方法の特に好ましい態様においては、槽毛細管構造は計量槽として用いられ、その長さ方向に沿って少なくとも2つの開口部を有している。毛細管構造は、1つの開口部を通じて満たすことができる。液体は第1開口部から入り込み、毛細管力によって運ばれて第2開口部まで移動する。槽毛細管構造は、移動する液体の液前部が毛細管構造の全断面をとるような毛細管構造が選択される。システムの開口部は、充填開口部と第2開口部とを除いては開かれない。液体は、第2開口部でその移動を停止する。通気開口部は備えられていないため、第2開口部の他方の側で逆圧が強まって、更なる液体の移動が阻止される。加えて、毛細管力は第2開口部で急に減少する。それゆえ、第2開口部を越えた更なる充填は、充填圧の特定の閾値に至るために可能でない。このようにして、正確な計量をするための2つの開口部の間の経路により、槽毛細管構造における正確な容量が定められる。変更態様においては、充填開口部と対称に配置された、2つの第2開口が用いられている。そのような槽毛細管構造で計量された液体の液容量は、これら2つの第2開口部の間隔に対応する。
【0024】
更なる発展では、第1液の要求された計量容積に基づいて開けられた複数の、選択可能な開口部を有する槽毛細管構造が用いられる。充填開口部として使用された開口部から更に離れた開口部が開けられた場合、液体はこれら開口部にまで入り込み、より大きい容量を得ることができる。
【0025】
このプロセス管理における計量槽は、第1液で満たされる槽毛細管構造の容量と対応する。槽毛細管構造の残りの部分は、反応槽の部分である。
【0026】
計量槽、もしくは供給経路を経た反応槽と接続される、開かれた充填構造は、計量槽の充填のために用いられる。各液体は、例えば、ピペットによって各充填構造に手動的、あるいは自動的に導入される。液体は、各供給経路を通じて各槽に移動する。反応槽がウェルや固体物体の中空空間として設けられている形態では、充填構造もまた対応して選択される。例えば、供給経路は対応して寸法設定された経路として存在する。
【0027】
更なる発展では、1つまたは複数の供給経路が毛細管構造として選択される。導入される液体は、毛細管力によって充填構造から各槽に自動的に移動する。
【0028】
本発明の方法の他の有利な態様は、接続構造を介して反応槽と連絡する、好ましい異なる大きさの複数の計量槽を用いる。また、計量槽は充填開口部と連絡している。個々の計量槽と反応槽との間の接続構造は、1つの態様では、最初に閉じられており、要求された計量槽の選択によって開かれる。別の態様では、要求された容量を持つ要求された計量槽が選択され、他の計量槽への残りの接続構造は閉じられる。
【0029】
このプロセス管理の変更態様では、最初に、全ての計量槽が充填され、そして、要求された計量槽の接続構造が開かれる。この点、個々の計量槽は、他の計量槽を通じて任意に満たされる。そのようなプロセス管理はまた、ただ1つの充填開口部、そしてそのようなピペットチップなどの充填装置のただ1つの配置を通じて、たくさんの数の計量槽の充填を可能にする。このプロセス管理には、対応する充填装置を移動させる必要がなく、装置作用は低いという利点がある。選択された全ての計量槽が完全に開かれた後でのみ、対応する接続構造の開放によって計量槽は反応槽と接続される。
【0030】
開閉は、使用される計量装置の材質の適切な選択に基づく溶融プロセスによって実行することができる。例えば、プラスチック部材が、計量装置として好適である。接続構造は最初はいずれも閉止されており、要求された選択構造が接続に使用される前に溶融されて開かれる。他のプロセス管理においては、最初は接続構造が開いており、要求されていない接続構造が使用前に溶融プロセスによって閉じられる、計量装置が使用される。
【0031】
他のプロセス管理において、特に2次元的な形態では、2つの液体間の接続は、2つの液体間にもたらされて液体の架橋を生じる小さな”架橋滴”を介して確立される。その架橋滴は、第1液量及び第2液量よりも小さい容量を有する。
【0032】
特に有利な形態では、1以上の接続構造が計量槽と反応槽の間に存在している。液交換は、例えば音波によって運ばれて、完全な液体の均一化を生じるまで、回路内のこの点で生じ得る。
【0033】
本発明の方法によれば、第2液量に対する液体の1つの量の計量には限られない。複数の液体の量が、反応槽の液体に対して計量するために、同時に、あるいは継続して、対応する数の計量槽及びこれら計量槽を反応槽に接続する接続構造とに供給される。
【0034】
本発明の方法を実施することができる本発明の装置によれば、第1液量のための少なくとも1つの計量槽を備えている。さらにまた、第2液量のための反応槽と、これら2つの槽の間の少なくとも1つの接続構造とを備えている。この接続構造は、好ましくは、第1液がその表面張力によって反応槽に侵入するができないように、槽との関係において寸法設定されている。そして、本発明の装置は、反応槽内の液体の混合のための、好ましくは1つの層流のパターンを発生する装置を備えている。
【0035】
好ましい実施例では、その流れのパターンを発生させるために、反応装置に、あるいは反応装置の方向に向けて音波を照射するための少なくとも1つの音波発生装置を備えている。その少なくとも1つの音波発生装置は、好ましくは、表面音波発生装置、特に圧電性チップ上の交差指電極トランスデューサによって形成される。
【0036】
槽及び少なくとも1つの接続構造は、固体物体におけるウェルあるいは中空空間として構成することができる。本発明の装置の2次元の構成においては、槽及び接続構造は、周りの領域よりも液体で濡れ易い表面の、対応して形づくられた領域によって形成される。この種の濡れ調整された表面に関しては、例えば、特許文献3に記載されている。
【0037】
本発明の計量装置の3次元的な実施例は、例えば、槽や接続構造を形成するためのカバーによって閉じられた固体物体中のウェルを含む。そのカバーは、好ましくはプラスチックからなる箔(ホイル)から簡単な方法で作ることができる。
【0038】
本発明に係る装置を使用して、本発明の方法を実施することができる本発明の機器は、本発明の装置のための受信機を含む。装置が挿入されたとき、流れのパターンの発生のために少なくとも1つの装置は電気的に接続される。本発明に従う機器は、更に、装置が受信機に導入されたときに充填構造上に配置される、例えばピペットやディスペンサなどの制御可能な充填装置を備えている。計量は装置の内部で起こるのみであるので、本発明の装置の使用時、あるいは、本発明の方法の実施時には、充填装置の精度要求はさほど高くない。そして、機器は、充填装置及び流れのパターンの発生装置の制御を引き継ぐプロトコルの時間手順の制御のための制御手段を有する。好ましい実施例は、個々の充填構造の開口部用の開放装置、通気開口、バリヤ構造、または個々のバリヤ構造の閉止用の装置を含む。
【0039】
本発明の装置はまた、例えば、温度制御のために加熱装置が備えられるなど、対応する装置により他の機能を満たすことができる。そして、例えば、電気的あるいは光学的の評価手段も同様に組み込まれる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の方法は、本発明の装置を使用することによって簡単に、そして自動化された方法によって実施することができる。計量と混合とを統合するための本発明の装置として、使い捨て部材が問題なく使用できる。
【0041】
本発明の装置や本発明の機器、そして従属項の好ましい実施例の効果は、本発明の方法の好適な形態や効果の前記記載に起因する。
【0042】
本発明の方法、本発明の装置、及び本発明の機器は、非常に少量の液体の正確な計量が必要とされる生物学的な液体の計量と混合に、特に効果的に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の実施例及び態様は、別紙図面を参照して詳細に説明される。図は、必ずしも一定の比率であるわけではなく、概略的な説明に役立つものである。そこで示されているのは、図1が、開かれた状態の本発明の計量装置の平面図であり、図2が、図1の実施例によるII−II方向の横断面、図3が、本発明の計量装置の更なる実施例の平面図、図4が、本発明の計量装置の第三実施例の平面図、図5が、本発明の計量装置の第四実施例の平面図、そして、図6a−6fが、この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージである。
【0044】
図1はチャンバー1,3を有するプラスチック部材を示している。プラスチック部材5は、例えば、射出成型によって製造される。チャンバーのカバーは、図2において見ることができるが、図1ではプラスチック部材5の内部の加工を表すために示されていないラミネートされた、薄いプラスチックホイル2によって行われている。チャンバー1と3の間の接続は、2つの制限部11を介して行われる。符号13は、チャンバー1と3の間の壁部を示している。
【0045】
図1には、そこには示されていないプラスチックホイル2に備えられている充填開口7と9の位置が示されている。音響チップ15は、下記では反応チャンバーとも呼ばれるチャンバー1の下方に位置しており、前記チップは例えば、表層音波発生用として公知の方法で適用される交差指電極トランスデューサ上の圧電性固体チップとすることができる。交差指電極トランスデューサは、反応チャンバー1への音波照射を可能とする表面音波を発生させるように構成されている。固体によって表面音波を発生する交差指電極トランスデューサから分離する液体体積への音波の照射は、特許文献1に記載されている。同様に、音響チップ15は、ホイル2上、または横の領域中に設けることもできる。
【0046】
音響チップ15は、図示しないが、反応チャンバー1へ音波を照射する交差指電極トランスデューサで表面音波を発生するため、約10MHzの周波数の交流電圧を発生する交流電圧源に電気的接続を介して接続される。
【0047】
図示した実施例の装置の下側に取り付けられると、この視野からではチップは見ることはできないが、音響チップ15の位置を、図1中に示す。図1のスケッチにおいて、音響チップは、圧電性チップ15上の交差指電極トランスデューサの個々の指電極の配列を単に概略的に示す、平行な線の形で描かれている。このように配列された交差指電極トランスデューサの表面音波の照射方向は指電極の配列と垂直になっている。
【0048】
反応槽として利用されるチャンバー1の必要な大きさは、使用される音波の周波数に依存している。この点に関し、その最小範囲は、使用される音の波長よりも十分に大きくなければならない。そして、音波の伝搬方向の反応チャンバー1の範囲は、制限部11の範囲よりも略一桁大きくなければならない。例えば、槽の最小範囲は、例えば100μmの音の波長に対して1mmから10mmまでである。経路システムの全長は数センチメートルに達する。充填開口7,9は、反応チャンバー1よりも少なくとも1桁小さい。
【0049】
この実施例の本発明に係る装置は、次のように用いられる。例えば、反応槽は、5μlを含む計量槽に対して100μlまたは150μlを含む。そのような液体体積は、特にいくつかの診断用アプリケーションにとって特徴的である。第1に、例えば毛細管力によって引き起こされるのであるが、計量槽3は充填孔7を通じて第1液で満たされる。槽1の大径のせいで毛細管力が急に小さくなるため、液体は制限部11で止まる。その後、槽1は、充填孔9を通じて第2液で満たされる。それぞれの充填孔7,9上で生じ得る液体の溢れは重大ではない。溢れる液体は、とりわけ次の混合プロセスが層流のパターンによって引き起こされる時にであるが、幾何学的理由により次の混合プロセスには加わらない。このように、2つの液体の量は、必要ではあるが、例えばピペットのような、用いられる充填装置のいかなる大きな精度はなくても、幾何学的に規定される。液体は制限部11で接触する。制限部11の狭い横断面のせいで、拡散は無視できる程度でしか発生しない。液体の全量の均一な混合は音響チップ15の助力により達成される。音響チップへの交流電圧の適用により、音響エネルギーが液体の規定量に向けて照射され、層流のパターンが発生する。液体またはそれらの成分は、混合され、任意に反応に至る。この反応の結果は、例えば、光学的または電気的に読み取られる。充填孔7,9が閉じられている必要がないことは、この点において有利となっている。
【0050】
液体の計量及び混合は、従って、使い捨てカートリッジとして任意に構成される、コスト的に好ましい装置5において生じる。加えて計量は非常に単純である。充填孔で溢れが発生しても、幾何学的理由、および/または、用いられる層流のパターンによって混合反応には加わらない。
【0051】
図3は、本発明の計量装置の他の実施例を示している。そこに示されているのは、同様にプラスチック構造105中にウェルを含む計量装置を有するプラスチック体105の一部である。充填孔109を有する反応槽101は見ることができる。符号103は、充填開口部として利用される開口部107とともに、複数の開口部を有する毛細管構造を示している。毛細管構造103は、接続毛細管構造111を介して反応槽101と連絡する計量毛細管構造を表している。全ての構造は同様にプラスチックホイルによって閉じられる。この開いた表示では本来見ることができない開口部107,109,121,122は、この実施例においても、それらの相対的位置を説明するために示されている。交差指電極トランスデューサを有する音響チップ115は、実際にはその具体例では見えない装置の下方に配置された位置において同様に表示されている。音響チップ115は、図1及び図2に関して記載されているチップ15に対応している。
【0052】
異なった混合比率は、この種の計量装置の使用に設定される。充填は、開かれた充填孔107を経由して行われる。他の全ての孔109,121,122は最初は閉じられている。満たされる第1液の容量は、孔121,122の選択可能な開口部によって設定される。例えば、充填開口部107に直近の1つの孔121と、それに対して他方の側に対称に配置された孔121とが開かれる場合、液容量は、2つの開かれた開口部の間の間隔に対応する長さで規定することができる。
【0053】
この点において、毛細管構造103は、液体の前部が毛細管構造103の全断面積を満たす効果を有する。通気孔が開いていない場合、液体を停止することとなる逆圧が強化される。それゆえ開いた孔121を越えた移動はできない。移動を導いている毛細管力が開いた開口部121によって小さくなることでこの効果は増大する。
【0054】
2つの外側の開口部122が開いている場合には、同様にして大きな容積を生じることとなる。
【0055】
いずれの場合においても、経路103及び接続毛細管構造111の残余の容積は、それから開口部109が開かれることによって反応槽101を経由して満たされる。経路103の残余の容積は、反応槽にプラスされる。
【0056】
図3の実施例の特徴的な寸法は、図1及び図2の特徴的な寸法に対応している。
【0057】
従って、この種の実施例では、異なった混合比率の設定は単純な方法で行うことができる。第2液に対して計量される第1液の量に従って、対応する開口部121,122が開かれる。これは、例えば、対応してマークされた位置でのプラスチックホイルの単純な孔開けによって行うことができる。更なる機能は、実質的に図1及び図2の実施例に対応している。
【0058】
図4は、他の実施例を示している。そこには、接続毛細管構造211,212を介して反応槽201と連絡する複数の計量槽203,223が設けられている。計量槽203,223は、異なった大きさの容量を有し、接続経路構造216を介して連絡している。その接続経路構造216には、充填開口部207が配置されている。計量槽203,223は、通気開口部221を有する。示した実施例の接続経路216は、同様に、接続毛細管構造210を介して反応槽201に接続されている。構造210は、通気孔221もまた含んでいる。そして、充填開口部209は、反応槽201に備えられている。
【0059】
符号217,218,219,220,224は、概略的にバリヤ構造を表している。図4の計量装置の全体は、開口部207,209,221を有するフィルムによって区切られたプラスチック部材として提供されている。図4の計量装置は、同様に、予め前もって組み立てられた使い捨て部材とすることができる。この点、バリヤ構造217,218,219,220,224は、示した具体例では最初は閉じられている。
【0060】
開き位置の充填開口部207,209及び通気開口部221は見ることができないが、図4の具体例においてそれらの位置が示されている。加えて、すでに記載した音響チップ15,115に対応している音響チップ215は、図4の配置の下方に位置している。配置の下方に位置しているため、当然この具体例では見れないが、音響チップ215もまた、図4に示されている。
【0061】
図4の実施例の特徴的な寸法は、図1及び図2の実施例の特徴的な寸法に対応している。液体の対応する容量を規定するために、計量槽203,223のいずれが液体で満たされるべきかが、プロセス管理における実施例の利用のために、最初に決定される。ここで説明のために、計量槽223が選択されている。選択がなされた後、計量槽223に隣接する、対応したバリヤ217,219は、例えば、ヒータやレーザによって溶融されて開口する。これは、例えば、計量装置を有する自動機械の助けを借りて行うことができる。
【0062】
対応して選択された計量槽223は充填開口部207を経由して満たされ、計量のために用いられる。この点、例えば、図1及び図2の実施例で記載されているように、計量は類似の方法によって実行される。毛細管力の作用で計量槽の充填が引き起こされるように、構造の寸法は特に選択されている。あるいは、充填は、圧力によって引き起こすことができる。槽の完全な充填ができるように、脱気開口部221が配置されている。
【0063】
反応槽201に通ずる接続毛細管構造211の入口で急に小さくなる毛細管の効果のせいで、液体は反応槽201には侵入しない。充填開口部209を通じた反応槽201の充填によってのみ、反応槽201からの液体が接続毛細管構造211中の液体と連絡するようになる。更なる機能は、実質的に図1及び図2の実施例と対応している。
【0064】
槽203が選択された場合にも、対応しているバリヤ構造218,220及び接続毛細管構造212が用いられ、その手順は類似している。
【0065】
本実施例の他の態様は、前もって作られたバリヤ構造217,219を含まない。計量槽203,223のどちらを使うべきかについては、使用前の最初の段階で決定される。例えば、計量槽223が選択された場合には、他方の計量槽203は、用いられない計量槽203に近接するバリヤ218,220の位置で、加熱またはレーザの適用により、対応する接続経路構造を溶融して閉じる自動化装置により切り離される。
【0066】
個々の計量槽203,223は、また、図4の実施例において、対応する計量槽の選択によって開かれる、複数の接続毛細管構造211,212を介して各々反応槽201と接続されるようになっている。
【0067】
バリヤ構造219,220を有する接続構造211,212に加え、さらに、接続経路216を反応槽201に接続する、接続毛細管構造210が設けられている。この接続毛細管構造210もまた、通気開口部221と、任意であるがバリヤ構造224とを含んでいる。その付加的な経路210は、効果的な混合を促進する回路の形成に役立つ。計量槽203,223の1つが選択された後にそれは満たされる。説明のため、再度これを計量槽223とする。実施例には、バリヤ構造217,218,219,220,224は最初は閉じているものとして記載されている。槽223を満たすものとして表されているように、バリヤ構造217は溶融して開かれる。計量槽223及び接続毛細管構造211を満たす液体は、充填開口部207を通じて導入される。接続毛細管構造210もまた、この液体で満たされる。充填は、例えば、毛細管力によって引き起こされる。
【0068】
バリヤ構造219,224は、溶融して開かれる。液体は、接続毛細管構造211,210の入口で急に低下する毛細管力の影響によって槽201には侵入しない。開口部209を通じて槽201を第2液で満たすことは、接続毛細管構造210,211の入口での液体の接触をもたらす。例えば、音響チップ215による層流の発生は、液体の効果的な混合をもたらす。液体の循環移動は、ここにおいて引き起こされる。
【0069】
接続毛細管構造210,211,212における毛細管力を利用するこの種の実施例では、バリヤ構造224もまた、完全に省略することもできる。特に、図4に示されるがごとく、2つの計量槽のみを有する実施例においては、あらゆる場合における接続毛細管構造210は、切り離す必要がないため、循環プロセスに加わる。
【0070】
他のプロセス管理において、バリヤ構造219,224は、第2液が槽201に導入された後にのみ、溶融されて開かれる。プロセス管理は、他の点では同じである。この種のプロセス管理では、接続構造210,211,212は必ずしも液体に対して毛細管の作用を働かす必要はない。
【0071】
図4の装置を用いた他のプロセス管理では、最初に開いているバリヤ構造217,218,219,220,224を使用する。第1液は、充填開口部207を通じて導入される。それは、毛細管の作用によって計量槽203,223及び接続毛細管構造210,211,212に流れる。それらは、反応槽201に向かう接続構造210,211,212の入口で毛細管の効果が壊れるために、反応槽201には侵入しない。使用するのは、どの計量槽か、どれが第1液の容量を計量するかを決定するのみである。再度、この説明のために、これを反応槽223とする。示されているようにバリヤ構造218,220は溶かされて閉じており、そこに配置された液体を使用しない計量槽203は、切り離されている。それから、第2液が反応槽201に充填される。それから続くプロセス管理は、すでに説明した循環プロセス管理に対応するものである。
【0072】
図5に、本発明の計量装置の更なる実施例の概略平面図を示す。全体構成50は、プラスチックキャリヤ305の表面に配置されている。例えば、20μlの容量を有する、1mm深さに加工されたウェルによって反応槽301が形成されている。その例ではまた、2つの計量槽303がこれに隣接し、そして、例えば各々が10μlの容量を有する、1mm深さに加工されたウェルによって形成されている。各計量槽は、2つの制限部311,311を介して反応槽301に隣接している。充填構造307と309とは、計量槽303と接続されているか、または、供給経路308,310それぞれを介して、それぞれ反応槽301に接続されている。充填構造307,309は、同様にして例えばプラスチックキャリヤ305の1mm深さのウェルに形成されている。供給経路308,310は、実施例では300μm深さのウェルとなっている。図2では確認できるプラスチックホイル2と同様に、見られないプラスチックホイルが全体構成上に配置されている。充填構造307,309として使用される領域において、このプラスチックホイルは、例えばピペットを利用して液体を導入することができるように、必要に応じて孔が開けられる。
【0073】
概略図において符号315は、相互にかみ合った多数の指電極で形成されている交差指電極トランスデューサを示している。その機能は、他の実施例においてすでに説明されている。電気的交流場が交差指電極トランスデューサに適用されたとき、図の上半分に示されている計量槽303の枝部304の液体に対して矢印の方向からパルスが伝導される。
【0074】
図6aから6fは、図5の実施例に係る本発明の方法を実行した流れを示している。線320,322は、図6aから6fの図ではコントラストが低すぎて認識できない供給経路310及び充填構造309を有する反応槽301の配置示すために描かれたものである。
【0075】
図では、いずれの場合においても、計量槽303の1つが完全に見えるような部分だけが示されている。
【0076】
図6aは、ここでは暗色を有する液体が供給経路308と充填構造307を通じて反応槽301に充填される状態を示している。そのために、充填構造307の領域において、覆っているプラスチックホイルに孔が開けられ、ピペットを用いて充填構造に液体が導入される。制限部311で表面張力によってまだ空の反応槽301に暗色の液体が入り込んでいないことをはっきりと認めることができる。容量が、制限部311と供給経路308との間の計量槽303において正確に規定されている(実施例では10μlと示されている)。
【0077】
明色を有する液体が、そこにおいて反応槽301に導入される。図6aは、この充填プロセスのスタートを示している。そのために、右側の充填構造309の領域において、覆っているプラスチックホイルに孔が開けられ、ピペットを用いて液体の充填が開始されている。この液体は供給経路310を通じて反応槽に流入する。図6aにおいて、このプロセスの進行を確認することができる。液体の端部は、およそ、この写真の点補助線324で示すところに位置している。
【0078】
図6bは、明色の液体で反応槽301の全てが満たされた状態を示している。この時点では、計量槽303中の暗色の液体との液交換は極めて限られた程度で発生するだけである。
【0079】
交差指電極トランスデューサ315への電気交流場の適用によって、計量槽303の左側の枝部304中の液体にパルスが伝導される。図6cは、このことによって計量槽303で発生した層流が、どのように暗色の液体が反応槽301に入り込む効果を有するのかを示している。図6dと図6eは、このプロセスの続きを示している。最初は計量槽303中にあった暗色の液体と、反応槽301中にあった明色の液体とがどういうふうにして混合されるのかがはっきりと確認することができる。
【0080】
図6fは、プロセスの最後の状態を示している。計量槽303及び反応槽301の各液体が均一に混合され、そのことは均一な陰影によって確認することができる。充填構造309から反応槽301までの供給経路310中の液体の更なる混合は生じない。それゆえ、供給された明色の液体の量は、反応槽301の寸法によって正確に決定される。計量槽303の寸法は計量された暗色の液体の量を正確に定めているので、極めて正確な計量プロセスが実現されており、図6fの混合状態の異なる液体の各量は正確に決定されている。
【0081】
図5及び図6が示す実施例は、2つの計量槽303,303を有している。他の実施例は、1つの計量槽を有するのみか、あるいは、異なる量の計量を可能とするためにそれ以上の計量槽を有している。2つの計量槽303,303は、この実施例では同じ大きさに示されている。異なった量の計量を可能とするために、異なった大きさの計量槽を用いることも可能である。
【0082】
図4において説明されているようなバリヤ構造はまた、図5及び図6の実施例にも備えることができる。その場合、接続された計量槽の数はまた、図4の実施例で記載されているように監視することもできる。
【0083】
図5では、1つの交差指電極トランスデューサ315だけが例示されている。しかし、時間内に異なる場所の異なる計量槽に向けることができるように、そして、反応槽で液体の混合を発生させるため、個々の計量槽に層流を発生させることができるように、それ以上の交差指電極トランスデューサをプラスチックキャリヤ305に備えることも可能である。
【0084】
図6aから6fは、特に本発明の方法が、圧上昇なしに液体を混合する層流を生じていることを示している。
【0085】
本発明の装置は、対応する接続構造を有する2以上の計量槽をも含むものとすることができる。複数の計量槽は、第1液の計量する量を増やすために、循環経路において”直列に”接続することができる。この種の実施例において、個々の計量槽は、異なった、または同じ大きさを有することができる。
【0086】
特に、液体の循環に用いられるプロセス管理においては、液体間の反応は反応槽として示される装置の部分で起きるだけではない。第1液の計量が行われる「計量槽」の用語の使用に関する図のために、本文、特に示された実施例において「反応槽」の用語が用いられているが、反応槽はその大きさによって反応が生じる主要な構造である。しかしながら、例えば、計量槽と反応槽とが、例えば等しい大きさであることや、循環プロセス管理によって双方の槽で反応が生じることは、特に図1、図4または図5の実施例で可能である。
【0087】
本発明の計量及び混合装置は、装置へ液体を充填することや、装置の温度を制御すること、チップを制御すること、そして充填孔を開けることやバリヤの開閉を行うことも自動的機械で処理させることができる。加えて、電気的、あるいは光学的な評価などもまた、任意にこの種の自動化機械を用いて実行することができる。そのような自動化機械は、診断方法や、通常、研究所のオートメーションにおいて特に用いることができる。
【0088】
例えば、図3、4または5の実施例の場合、自動化機械によって液体を加えることを単純化することで、槽の充填が1つまたは多くても2つの充填構造を通じて行われ、それゆえ有利なものとなっている。充填用の、対応するピペットヘッドやディスペンサが、常備されたものとして設定される。
【0089】
例えば、個々の容量がほんの100nlである1mlの全容量が、例えば、示した実施例で処理することができる。
【0090】
非常に異なった混合比率を伴い、大きな変動範囲における液体の計量及び混合は、本発明の方法によって正確に実現することができる。本発明のプロセス管理によって、あるいは本発明の装置の利用によって計量が行われるため、使用される充填装置の精度上の要求は高くない。試薬と試料溶液の混合比率は、例えば1:100と100:1までの間に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】開かれた状態の本発明の計量装置の平面図
【図2】図1の実施例によるII−II方向の横断面
【図3】本発明の計量装置の更なる実施例の平面図
【図4】本発明の計量装置の第三実施例の平面図
【図5】本発明の計量装置の第四実施例の平面図
【図6a】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【図6b】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【図6c】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【図6d】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【図6e】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【図6f】この実施例の本発明の方法によって実施される異なるステージ
【符号の説明】
【0092】
1 反応槽、反応チャンバー
2 プラスチックホイル
3 計量槽、計量チャンバー
5 プラスチック部材
7,9 充填開口部
10 統合された計量及び充填のための装置
11 制限部
13 境界壁
15 音響チップ
20,30,50 統合された計量及び充填のための装置
101 反応槽、反応チャンバー
103 計量毛細管構造
105 プラスチック部材
107,109 充填開口部
111 接続毛細管構造
115 音響チップ
121,122 開口部
201 反応槽、反応チャンバー
203 計量槽、計量チャンバー
207,209 充填開口部
210,211,212 接続毛細管構造
215 音響チップ
216 接続経路構造
217,218,219,220 バリヤ構造
221,222 通気開口部
223 計量槽、計量チャンバー
224 バリヤ構造
301 反応槽、反応チャンバー
303 計量槽、計量チャンバー
304 計量槽の部分
307,309 充填構造
308,310 供給経路
311 制限部
315 交差指電極トランスデューサ
320,322 補助線
324 液体の境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの計量槽(3,103,203,223,303)が第1液で完全に満たされ、少なくとも一つの接続構造(11,111,210,211,212、311)を介して反応槽(1,101,201,301)と連絡し、その接続構造は、好ましくは、第1液の表面張力が反応槽(1,101,201,301)への侵入を防ぐような寸法とされており、
反応槽(1,101,201,301)が完全に第2液で満たされると、第2液は接続構造(11,111,210,211,212,311)において第1液と連絡し、液の混合を生じる流れのパターンが、少なくとも反応槽(1,101,201,301)の中、またはその上の液体に発生する、少量の液体の統合された計量及び混合のための方法。
【請求項2】
実質的に層流のパターンが混合のために発生する、請求項1の方法。
【請求項3】
層流のパターンが、少なくとも計量槽(303)と反応槽(301)との間の接続構造(311)において生じ、好ましくは計量槽(303)の中においても生じる、請求項2の方法。
【請求項4】
層流のパターンの発生に音波が用いられる、請求項3の方法。
【請求項5】
音波が、混合のために、第2槽(1,101,201,301)の中又は上の液体に照射される、請求項1〜4のいずれか1つの方法。
【請求項6】
好ましくは少なくとも1つの交差指電極トランスデューサにより、音波が、表面音波によって発生させられている、請求項4または5の方法。
【請求項7】
上記少なくも1つの接続構造が、接続毛細管構造を含む、請求項1〜6のいずれか1つの方法。
【請求項8】
上記槽及び上記少なくとも1つの接続構造は、周りの表面と比較して、液体によって濡れ易い表面の表面領域に形成されている、請求項1〜7のいずれか1つの方法。
【請求項9】
上記槽及び上記少なくとも1つの接続構造は、表面のウェルによって形成されている、請求項1〜7のいずれか1つの方法。
【請求項10】
上記槽(1,3,101,103,201,203,223)及び上記少なくとも1つの接続構造(11,111,210,211,212)は、固体構造(5,105)中の中空空間によって形成されている、請求項1〜7のいずれか1つの方法。
【請求項11】
上記各槽(1,3,101,103,201,203,223)は、好ましくは上記槽の上端部において、充填開口部(7,9,107,109,207,209)を介して充填される、請求項10の方法。
【請求項12】
槽毛細管構造(103)が、計量槽として用いられ、その長手方向に沿って少なくとも2つの開口部(107,121,122)を有している、請求項10または11の方法。
【請求項13】
液体の第1量の容積は、開かれる槽毛細管構造(103)の開口部(121,122)の選択によって選択される、請求項12の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの開いた充填構造(307)が、少なくとも1つの計量槽(303)の充填のために用いられるとともに、供給経路(308)を介して少なくとも1つの計量槽(303)と接続される、請求項1〜11のいずれか1つの方法。
【請求項15】
少なくとも1つの開いた充填構造(309)が反応槽(301)を充填するために用いられるとともに、供給経路(310)を介して反応槽(301)と接続される、請求項1〜11、14のいずれか1つの方法。
【請求項16】
少なくとも1つの毛細管構造が供給経路(308,310)として用いられる、請求項14または15の方法。
【請求項17】
好ましくは異なる大きさからなる、複数の計量槽(203,223,303)を有する装置が用いられ、上記計量槽は、一方で、接続構造(211,212,311)を介して反応槽(201,301)と連絡し、他方で、充填開口部(207,307)と連絡する、請求項1〜16のいずれか1つの方法。
【請求項18】
接続構造(211,212)は最初は閉じられており、要求された計量槽(203,223)の選択のために開かれる、直接的または間接的に請求項9または10に従属している範囲の、請求項17の方法。
【請求項19】
残る計量槽のために接続構造(211,212)を閉じることによって、要求された計量槽(203,223)が選択される、直接的または間接的に請求項9または10に従属している範囲の、請求項17の方法。
【請求項20】
接続構造(211)の開閉が、プラスチック部材の溶融プロセスによって行われる、請求項18または19の方法。
【請求項21】
請求項1の方法を実現する、少量の液体の統合された計量及び混合のための装置であって、
液体の第1量のための、少なくとの1つの計量槽(3,103,203,223,303)と、
液体の第2量のための、1つの反応槽(1,101,201,301)と、
上記少なくとも1つの計量槽と上記反応槽との間の、少なくとも1つの接続構造(11,111,211,212、311)であって、好ましくは、表面張力によって反応槽(1,101,201,301)へ第1液が侵入しない寸法にされている接続構造と、
反応槽の少なくとも中又は上で液体を混合するための流れのパターンを発生させる装置(15,115,215,315)と、が設けられている装置。
【請求項22】
流れのパターンを発生させる装置が、反応槽(1,101,201)の中に、又は反応槽(301)の方向に向けて音波を照射するための、少なくとも1つの音波発生装置(15,115,215,315)、を含む請求項21の装置。
【請求項23】
上記少なくとも1つの音波生成装置は、表面音波生成装置(15,115,215,315)、を含む請求項22の装置。
【請求項24】
表面音波の発生のために、少なくとも1つの交差指電極トランスデューサが設けられている、請求項23の装置。
【請求項25】
上記少なくとも1つの接続構造が、接続毛細管構造からなる、請求項21〜24のいずれか1つの装置。
【請求項26】
上記槽及び上記少なくとも1つの接続構造が、周りの表面と比較して、液体によって濡れ易い表面の表面領域からなる、請求項21〜25のいずれか1つの装置。
【請求項27】
上記槽及び上記少なくとも1つの接続構造が、表面におけるウェル、を含む請求項21〜25のいずれか1つの装置。
【請求項28】
上記槽(1,3,101,103,201,203,223)及び上記少なくとも1つの接続構造(11,111,210,211,212)が、固体構造(5,105)中の中空空間、を含む請求項21〜25のいずれか1つの装置。
【請求項29】
上記中空空間が、カバー(2)によって閉じられた固体(5,105,305)中のウェル、を含む請求項28の装置。
【請求項30】
上記カバー(2)が、好ましくはプラスチック製の、ホイル(2)によって形成されている、請求項29の装置。
【請求項31】
上記少なくとも1つの計量槽は、計量毛細管構造(103)、を含む請求項28〜30のいずれか1つの装置。
【請求項32】
上記中空空間は、最初は閉じられており、そして要求に応じて開かれる、予め決定された開口部(121,122)、を含む請求項28〜31のいずれか1つの装置。
【請求項33】
上記計量毛細管構造(103)は、任意に開かれ、上記計量毛細管構造に沿って配置される、少なくとも2つの予め決定された開口部(121,122)、を含む請求項31又は32の装置。
【請求項34】
少なくとも1つの計量槽(303)を充填するための、少なくとも1つの開口構造(307)であって、供給経路(308)を介して上記少なくとも1つの計量槽(303)と接続される開口構造、が設けられている請求項21〜33のいずれか1つの装置。
【請求項35】
反応槽(301)を充填するための、少なくとも1つの開いた充填構造(309)であって、供給経路(310)を介して反応槽(310)と接続されている充填構造、が設けられている請求項21〜34のいずれか1つの装置。
【請求項36】
上記供給経路(308,310)が、毛細管構造を含む、請求項34又は35の装置。
【請求項37】
好ましくは異なる大きさからなり、接続構造(211,212,311)を介して反応槽(201,301)と接続される、複数の計量槽(203,223,303)が設けられている請求項21〜36のいずれか1つの装置。
【請求項38】
上記接続構造(211,212,311)は、最初は閉じられており、必要に応じて開かれる、請求項37の装置。
【請求項39】
上記接続構造(211,212)は、溶融して開かれるプラスチック製のバリヤ(219,220)を含む、直接的または間接的に請求項27または28に従属している範囲の、請求項38の装置。
【請求項40】
上記接続構造(211,212,311)は、最初は開かれており、必要に応じて閉じられる、請求項37の装置。
【請求項41】
上記接続構造(211,212)が、溶融プロセスによってバリヤ(219,220)を形成するために成形されるバリヤ構造、を含む、直接的または間接的に請求項27または28に従属している範囲の、請求項40の装置。
【請求項42】
請求項1の方法を実現する自動化のための機器であって、
請求項21の装置(10,20,30)のための受信機と、
流れのパターンを発生するための、少なくとも1つの装置(15,115,215,315)の接続のための電気的接点であって、上記装置(10,20,30)が受信機に置かれたときに、流れのパターンの発生のために、上記少なくとも1つの装置(15,115,215,315)と電気的に接続する電気的接点と、
槽(1,3,101,103,201,203,223,301,303)への自動液供給用の装置と、
好ましくはマイクロプロセッサからなる、制御手段であって、流れのパターンの発生のための少なくとも1つの装置(15,115,215,315)の制御及び自動液供給用の装置のための制御、のための制御手段、が設けられている機器。
【請求項43】
上記自動液供給用の装置が、装置(10,20,30、50)が受信機に置かれたときに、対応する充填開口又は充填構造(7,9,107,109,207,209,307,309)の上方に配置される、電気的に制御可能なピペットチップ及び/又はディスペンサ、を含む請求項42の機器。
【請求項44】
受信機に置かれる、請求項32又は請求項33の装置(20)の開口部(121,122)を開くための制御によって制御可能な開放装置、が設けられている請求項42又は43の機器。
【請求項45】
上記開放装置が、装置(20)のカバーとして備えられるプラスチックホイルの孔開けのための孔開けチップ、を含む請求項44の機器。
【請求項46】
請求項39又は41の装置(30)のバリヤ構造(217,218,219,220,224)の位置における熱の発生の制御によって制御可能な熱発生装置、が設けられている請求項42又は43の機器。
【請求項47】
上記熱発生装置は、加熱ワイヤ又はレーザ、を含む請求項46の機器。
【請求項48】
請求項1〜20のいずれか1つの方法、請求項21〜41のいずれか1つの装置(10,20,30,50)、又は生物学的液体の計量及び混合のための請求項42〜47のいずれか1つの機器、の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【公表番号】特表2008−527337(P2008−527337A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549811(P2007−549811)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013597
【国際公開番号】WO2006/072383
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(502096196)アドヴァリティクス アーゲー (9)
【Fターム(参考)】