説明

局所ゲイン間隔を用いた超音波スキャニング

【課題】被検体内部の深さに関わらず、被検体内部の全ての欠陥が等しく検出される超音波スキャンニングを提供する。
【解決手段】処理構成要素200は入力線201と、主ゲイン構成要素229と、第1の局所ゲイン構成要素221と、第2の局所ゲイン構成要素222とを含む。主ゲイン構成要素229は、入力線経由で受信される超音波信号に主ゲインを適用し、それにより主ゲイン信号を供給するように構成されている。第1の局所ゲイン構成要素は、第1の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第1の局所ゲインを適用し、それにより第1の局所ゲイン信号を供給するように構成されている。第2の局所ゲイン構成要素は、第2の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第2の局所ゲインを適用し、それにより第2の局所ゲイン信号を供給するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている本発明は、非破壊試験の分野、詳細には、超音波スキャニングを使用する非破壊試験に関する。
【背景技術】
【0002】
検査中および検査後のいずれにも、非破壊試験デバイスを使用して、被検体(test object)を検査して被検体内の傷および欠陥を確認し分析することができる。1つのタイプの非破壊試験では、被検体の表面および下層構造の両方の試験を実施するために、被検体の表面またはその近くで、操作者がプローブを操作する。非破壊試験は、例えば航空宇宙、発電、および石油ガス回収精製などのいくつかの産業において特に有用である可能性があり、周囲構造から被検体を取り外すことなく被検体試験が行わなければならず、さもなければ目視検査では確認不可能であろう隠れた欠陥が見つかる可能性があり、特に、完成構成要素は作製にコストがかかり、商業利用化することが所望されている。非破壊試験はまた、被検体(test subject)の厚さの測定に有用である可能性がある。
【0003】
非破壊試験の一例が、超音波試験である。超音波試験の実施時、超音波パルスがプローブから送信され、その特定の物質の特徴的な音速で被検体を通過し得る。所与の物質の音速は、物質の弾性係数、温度、および濃度に部分的に左右される。被検体への超音波パルスの印加により、超音波パルスと被検体構造との間に相互作用が生じ、音波がプローブへ反射される。プローブにより受信された信号すなわちそれら信号の振幅および飛行時間の対応する評価は、被検体を破壊せずにその内部品質に関して結果が得られることを可能にすることができる。詳細には、超音波パルスは、被検体の任意の内部不連続に反射し、そのような物質の異常などの任意の内部不連続を通過して屈折する。被検体の既知の外部境界に起因しないそのような不規則な反射および屈折は、被検体内の損傷または異常の指示と受け取られてもよい。そのような不規則な反射および/または屈折からの回帰信号のタイミングが分析されて、被検体内部のそのような損傷または異常の位置およびサイズを示してもよい。
【0004】
一般に、超音波試験システムが、被検体との間で信号を送受信するプローブと、プローブを超音波試験ユニットに接続するプローブケーブルと、試験結果を見るためのスクリーンまたはモニタとを含む。超音波試験ユニットは、電源構成要素と、信号発生、増幅および処理電子機器と、非破壊試験デバイスを動作させるのに使用されるデバイス制御装置とを含み得る。いくつかの超音波試験ユニットは、システム動作、ならびに試験結果の処理および表示を制御するコンピュータに接続することができる。電気パルスは、トランスミッタにより生成することができ、プローブに供給することができ、そこでそれらは超音波変換器により超音波パルスに変換され得る。
【0005】
超音波変換器が、超音波試験ユニットの形のパルス送受信ユニット(pulsing−receiving unit)に電気的に接続され得る圧電セラミックを組み込んでいてもよい。圧電セラミックの表面の部分を金属被覆して、超音波試験ユニットに接続することができる電極を形成することができる。動作中、電気波形パルスが圧電セラミックの電極に印加されて、セラミック寸法に機械的変化を生じさせ、超音波変換器が結合されている金属またはプラスチックなどの物質を介して伝播され得る音波を生成してもよい。逆に、検査中の物質から反射された音波が圧電セラミックの表面に接触した場合、圧電セラミックは、超音波試験ユニットまたは他の信号処理電子機器により受信信号として検出される、電極全体に亘る電圧差を生じる。
【0006】
パルス送信ユニットにより印加される電気波形パルスの振幅、タイミングおよび送信シーケンス(transmit sequence)は、超音波試験ユニット内に組み込まれている種々の制御手段により決定され得る。パルスは、一般に、約0.5MHzから約25MHzまでの周波数範囲内にあるので、それは、その設備の名の由来である超音波と呼ばれる。超音波パルスが被検体を通過する際、パルスが被検体内部の任意の内部構造、空隙、または他の異常と、かつ被検体の反対側(後面)と相互作用するので、エコーと呼ばれる様々なパルス反射が発生する。エコー信号は、エコー振幅が垂直跡として、かつ飛行時間または距離が水平跡として見えている状態で、スクリーン上に表示することができる。電気パルスの送信と電気信号の受信との間の時差を追跡することおよび受信された波動の振幅を測定することにより、物質の様々な特徴を判定することができる。したがって、例えば、超音波試験を使用して、所与の被検体内部の物質の厚さまたは欠陥の存在および大きさを判定することができる。
【0007】
上記の検討は、一般的な背景情報として提供されているに過ぎず、特許請求されている主題の範囲を決定する助けとして用いられることを目的としていない。
【発明の概要】
【0008】
種々の例示的実施形態に基づいて、超音波信号の部分に適用される局所ゲインを用いて超音波スキャニングを実施するために、システム、方法、およびデバイスが開示されている。いくつかの開示されている実施形態の実践において実現される可能性がある一例示的利点が、被検体内部のより深い異常がより高いゲインスキャニング信号の範囲内に確認されて、被検体内部のより浅い位置を有する欠陥に関連するより大きな拡散、干渉およびノイズによるより大きな信号減衰に起因する他のより弱いスキャニング信号を、確実に補償することである。このことは、被検体内部の深さに関わらず、超音波スキャニング操作者により、被検体内部の全ての欠陥が等しく検出される可能性があることを確実にするように助長する可能性がある。
【0009】
一例示的実施形態では、デバイスが開示されている。ある例示的実施形態では、デバイスは、入力線と、主ゲイン構成要素と、第1の局所ゲイン構成要素と、第2の局所ゲイン構成要素とを含む。主ゲイン構成要素、第1の局所ゲイン構成要素、および第2の局所ゲイン構成要素は各々、入力線との通信接続を有する。主ゲイン構成要素は、入力線経由で受信される超音波信号に主ゲインを適用し、それにより主ゲイン信号を供給するように構成されている。第1の局所ゲイン構成要素は、第1の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第1の局所ゲインを適用し、それにより第1の局所ゲイン信号を供給するように構成されている。第2の局所ゲイン構成要素は、第2の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第2の局所ゲインを適用し、それにより第2の局所ゲイン信号を供給するように構成されている。
【0010】
別の例示的実施形態では、超音波スキャニングシステムが開示されている。超音波スキャニングシステムは、超音波変換器と、処理構成要素と、出力構成要素と、モニタとを含んでいてもよい。超音波変換器は、超音波を送受信し、かつ受信する反射された超音波に基づいて超音波信号を生成するように構成されていてもよい。したがって、超音波変換器により生成される超音波信号は、超音波変換器が受信する反射された超音波の関数としてまたはそれに基づいて生成される、電気信号の形を取っていてもよい。超音波信号は、それが超音波変換器により検出される反射された超音波に基づく信号であるという意味での超音波信号である。処理構成要素は、超音波受信器との通信接続を有していてもよく、超音波信号を受信し、かつその超音波信号に主ゲインを適用して主ゲイン信号を供給し、第1の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第1の局所ゲインを適用して第1の局所ゲイン信号を供給し、第2の信号ゲートの範囲内で超音波信号の部分に第2の局所ゲインを適用して第2の局所ゲイン信号を供給するように構成されていてもよい。出力構成要素は、主ゲイン信号と、第1の局所ゲイン信号と、第2の局所ゲイン信号とを出力してもよい。モニタは、出力構成要素との通信接続を有していてもよい。
【0011】
別の例示的実施形態では、超音波を用いて被検体をスキャンする方法が開示されている。本方法は、被検体を通して超音波を送信することを含む。本方法は、被検体から反射された超音波を受信することをさらに含む。本方法は、反射された超音波に基づいて超音波信号を生成することをさらに含む。本方法は、超音波信号に主ゲインを適用することをさらに含む。本方法は、被検体の第1の部分に対応する超音波信号の第1の部分に第1の局所ゲインを適用することをさらに含む。本方法は、被検体の第2の部分に対応する超音波信号の第2の部分に第2の局所ゲインを適用することをさらに含む。本方法は、適用された主ゲインを有する超音波信号、適用された第1の局所ゲインを有する超音波信号の第1の部分、適用された第2の局所ゲインを有する超音波信号の第2の部分に関して、モニタ上にグラフを表示することをさらに含む。
【0012】
本発明のこの簡潔な記載は、1つまたは複数の例示的実施形態に基づいて本明細書に開示されている主題の概要を提供することのみを目的としており、特許請求の範囲を説明するかまたは本発明の範囲を定めるかもしくは限定する手引きとしての機能は果たさず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定められる。この簡潔な記載は、詳細な説明において以下にさらに記載されている概念の例示的選択を簡易化して紹介するために提供されている。この簡潔な記載は、特許請求されている主題の重要な特徴または本質的特徴を特定することを目的としておらず、特許請求されている主題の範囲を決定する助けとして使用されることも目的としていない。特許請求されている主題は、背景技術において言及されている任意のまたは全ての欠点を解決する実施に限定されない。
【0013】
本発明の特徴が理解され得るように、ある実施形態を参照することにより、本発明の詳細な説明が得られる可能性があり、そのいくつかは添付図面に示されている。しかし、図面は本発明のある実施形態のみを示しており、したがって、本発明の範囲を限定するものと見なされないことに留意されたい。なぜなら、本発明の範囲は、他の等しく効果的な実施形態を包含するからである。図面は必ずしも縮尺通りでなく、一般に、本発明のある実施形態の特徴を示すことに重点が置かれている。図面では、種々の図を通じて、同様の部品を示すのに同様の数字が使用されている。したがって、本発明のさらなる理解のために、図面に関連して読まれる以下の詳細な説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ある例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフをもたらす超音波スキャニングシステムの概略ブロック図である。
【図2】ある例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフをもたらすデバイスの概略ブロック図である。
【図3】ある例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフである。
【図4】ある例示的実施形態による、被検体内の深さに対する局所ゲインを有する超音波信号部分を示す信号グラフである。
【図5】ある例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフを制御し表示するソフトウェアプログラム用の簡易化されたグラフィカルユーザインターフェースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、ある例示的実施形態による、被検体90内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波RF信号を示す信号グラフをもたらす超音波スキャニングシステム10の概略ブロック図を示す。多数の他の実施形態が異なる変形形態および態様を使用するという了解の下で、本例示的実施形態の種々の態様が以下の通り記載されている。超音波スキャニングシステム10は、超音波制御デバイス20と、2つの要素間に通信接続をもたらすケーブル31で超音波制御デバイス20に接続されている超音波変換器30とを含む。
【0016】
本例示的実施形態では、超音波制御デバイス20が、処理構成要素200と、電源構成要素22と、出力構成要素23とを含む。出力構成要素23は、例えばシステムバスなどの処理構成要素200との通信接続を有していてもよく、電源構成要素22は、処理構成要素200および出力構成要素23と動作可能に接続されていてもよい。処理構成要素200は、ケーブル31を介した超音波変換器30との通信接続を有する。この例示的な例では、出力構成要素23は、例えば何らかの種類の無線送信機または無線トランシーバであってもよく、モニタ290を有するコンピュータデバイス280に出力信号を送信してもよい。他の実施形態では、超音波制御デバイス20は、例えば、それ自体のモニタを有しており、自体のモニタ上に出力信号を表示してもよく、例えば、データを送信する前にそれをバッファに保留するために使用し得る記憶構成要素などの他の構成要素を有していてもよい。
【0017】
他の実施形態では、超音波スキャニングシステムが、例えば付加的な構成要素もしくはより少ない構成要素、またはモニタへ出力を供給する異なる装置もしくは方法などの変形形態を有していてもよい。
【0018】
超音波変換器30が、(図では個々に表示されていない)超音波送信機および超音波受信機の両方を含んでいてもよい。したがって、超音波送信機および超音波受信機はどちらも、超音波変換器30内に含まれていてもよい。超音波送信機は、超音波制御デバイス20からの命令を受信し、超音波周波音波を送信するように構成されていてもよく、一方、超音波受信機は、超音波周波音波を受信し、それらを超音波信号に変換し、その超音波信号を処理構成要素200に供給するように構成されていてもよい。したがって、このように供給された超音波信号は、以下にさらに詳細に記載されている通り、例えば処理構成要素200により受信され処理されてもよい電気信号の形であってもよい。
【0019】
図1の簡易化された概略形態に示されている通り、超音波変換器30は、超音波51を被検体90内に送信してもよい。超音波51の一成分が、反射された超音波52のように被検体90の前面91に反射してもよい。超音波51の別の成分が、反射された超音波54のように被検体90の後面92に反射してもよい。これら波反射はどちらも、被検体90の予想形態から予想される。被検体90の厚さは、例えば、超音波変換器30による前面91から反射された超音波52の受信と後面92から反射された超音波54の受信との間の時差に、被検体90内部の音速をかけたものの2分の1と評価されてもよい。
【0020】
反射された超音波52の受信と反射された超音波54の受信との間の時間間隔は、他の超音波成分もまた被検体90を通る本来の超音波51の反射または屈折から受信されてもよい場合に範囲を画定する。超音波変換器30からの超音波の伝搬範囲内の被検体90の内部が滑らかに連続している場合、被検体90の前面91を通って屈折する超音波の主要部分は、被検体90を円滑に通って伝搬し、被検体90の後面92に反射し、超音波変換器30により再度捕捉されるように戻ると予想され得る。この予想された場合には、超音波変換器30は、反射された超音波52の受信と同時に入来する超音波の第1のスパイクを、後に、反射された超音波54の受信と同時に入来する超音波の第2のスパイクを受信すると予想することができ、(例えば、前面91から反射して内側に戻る、後面92に再度反射し、次いで前面91を通って屈折し最終的に超音波変換器30により受信される、反射された超音波54の微量成分からの、その後のより弱いエコー以外)他はほとんど受信しないと予想することができる。
【0021】
他方で、被検体90内部に隠されている任意の内部不連続が、被検体90を通って伝搬する超音波に付加的な予想外の影響を生み出す。例えば、超音波51の別の成分が、被検体90内部に隠されている内部欠陥93に遭遇する可能性がある。超音波51のこの成分は、内部欠陥93の一様でない表面に反射し、それを通って屈折して、いくつかの方向に分散する可能性があり、その一部分は、反射して超音波変換器30の方向に戻る可能性がある。この反射された部分は、欠陥検出波成分53と呼ばれてもよい。内部欠陥93の角度および凹凸は、膨張した形状を有しかつ被検体90の滑らかな前面91および後面92からの反射からの鋭い信号より長時間に亘って続く受信超音波信号を生じる可能性がある。前面91および後面92からの予想される信号の中間にある内部欠陥93からの受信信号のタイミングは、被検体90が適正に形成されている場合には連続が予想される被検体90内に不連続が存在することを明確に示す。
【0022】
超音波変換器30を通って受信された超音波信号を示す信号グラフの例示的な例が、図3〜図5に示されており、それらの図を参照して以下に記載されている。図2は、処理構成要素200の例示的詳細を示し、その処理構成要素は、被検体90内の内部欠陥などの不連続を示す超音波信号の検出を補助することにおいて、新規の利点をもたらす可能性がある。
【0023】
図2は、例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフをもたらす処理構成要素200の概略ブロック図を示す。処理構成要素200はまた、種々の実施形態において、本明細書に示されているもの以外に付加的な構成要素を含んでいてもよい。
【0024】
処理構成要素200は入力線201を含み、その入力線は、ケーブル31を介して超音波変換器30との通信接続を有していてもよく、それにより、例えば、超音波変換器30からの超音波信号を受信するように構成されていてもよい。入力線201は、最初に、信号調整装置203に接続している。したがって、信号調整装置203は、超音波受信機30の受信機との通信接続を有していてもよい。信号調整装置203は、例えば、1つまたは複数の増幅器、1つまたは複数の整流器、1つまたは複数のフィルタ、および/または他の要素を含んでいてもよい。種々の実施形態では、信号調整装置203は、例えば、超音波変換器30からの超音波信号の増幅、調整、およびフィルタリングの少なくとも1つを実施するように構成されていてもよい。
【0025】
ゲイン乗算器205が、信号調整装置203の出力に接続されている。ゲイン乗算器205は、時間制御ゲイン構成要素(time controlled gain component)207に適合し、その時間制御ゲイン構成要素は、図2の残りの構成要素を紹介した後に、以下にさらに記載されている。
【0026】
処理構成要素200は、関連ゲイン乗算器219と、ステータスAスキャン要素239と、出力249とを備えた主ゲイン構成要素229をさらに含む。主ゲイン構成要素229は、本例では信号調整装置203を介して、超音波受信機30との通信接続を有していてもよい。任意の通信接続が、通信接続の一部を成し得る種々の他の構成要素を通っていてもよい。主ゲイン構成要素229は、例えば、超音波受信機30から入力線201経由で受信される超音波信号に主ゲインを適用するように構成されていてもよい。例示的な例として、適用されるゲインは、信号の電圧の増幅の形であってもよい。当業者には理解されるように、ゲインを適用することは、いかなる形のゲイン適用も含み得る。主ゲイン構成要素229は、それにより、超音波信号に主ゲインが適用されている状態で、超音波受信機30から入力線201経由で受信される超音波信号の完全な間隔を例示的に示し得る主ゲイン信号を供給するように構成されていてもよい。
【0027】
処理構成要素200はまた、いくつかの局所ゲイン選択肢の各々について類似したゲイン要素セットを含む。詳細には、この例示的な例に示されている通り、処理構成要素200は、関連ゲイン乗算器211、ステータスAスキャン要素231および出力241を備えた第1のゲイン構成要素221と;関連ゲイン乗算器212、ステータスAスキャン要素232および出力242を備えた第2のゲイン構成要素222と;概略的に示されている通り、関連ゲイン乗算器218、ステータスAスキャン要素238および出力248を備えた、最高N番目のゲイン構成要素228までをさらに含み、ここで、Nは任意の数字であり、種々の実施形態では、任意の数のゲイン構成要素および関連要素が出現してもよい。ステータスAスキャン要素231、232および238は、例えば、Aスキャン形式出力信号を供給してもよい。処理構成要素200は、第3のゲイン構成要素、第4のゲイン構成要素、または任意の数の付加的ゲイン構成要素を含んでいてもよい。別の実施形態では、Nはもっぱら2であってもよく、例えば、処理構成要素内の単なるゲイン構成要素として、主ゲイン構成要素229、第1のゲイン構成要素221、および第2のゲイン構成要素222のみしかなくてもよい。したがって、処理構成要素200は、例えば、超音波信号に主ゲインと複数の局所ゲインとを与えること含む技術的効果をもたらす可能性がある。
【0028】
第1のゲイン構成要素221と、第2のゲイン構成要素222と、最高N番目までの可能性があるゲイン構成要素228とは、各々、本例では信号調整装置203を介して、超音波変換器30との通信接続を有していてもよい。第1の局所ゲイン構成要素221は、超音波受信機30から入力線201経由で受信される超音波信号の部分にそれ自体のゲインを適用するように構成されていてもよい。第1の局所ゲイン構成要素221により超音波信号の部分だけに適用されるこのゲインは、第1の局所ゲインと呼ばれてもよい。第1の局所ゲイン構成要素221が第1の局所ゲインを適用する超音波信号の部分は、図3〜図5に示されている第1の信号ゲート113などの信号ゲートの範囲内にある超音波信号の部分として画定されてもよい。第1の信号ゲート113は、ユーザにより画定されてもよくかつ/または処理構成要素200内で事前に選択されてもよく、以下に図3〜図5を参照してさらに説明される。
【0029】
同様に、第2の局所ゲイン構成要素222は、超音波受信機30から入力線201経由で受信される超音波信号の異なる部分にそれ自体のゲインを適用するように構成されていてもよい。第2の局所ゲイン構成要素222により超音波信号の別の部分に適用されるこのゲインは、第2の局所ゲインと呼ばれてもよい。第2の局所ゲイン構成要素222は、図3〜図5に示されておりかつ以下にさらに記載されている通り、第2の信号ゲート115の範囲内にある超音波信号の部分に第2の局所ゲインを適用してもよい。
【0030】
図2に示されている通り、信号調整装置203は、第1のゲイン構成要素221と、第2のゲイン構成要素222と、N番目のゲイン構成要素228と、主ゲイン構成要素229と、それらの関連要素、詳細にはゲイン乗算器211、212、218および219とに出る直接線を有し、一方、時間制御ゲイン乗算器205から、代替線が同じ構成要素に繋がっている。このようにして、時間制御ゲイン構成要素207により制御される時間制御ゲインが適宜適用されてもよく、またはされなくてもよい。時間制御ゲイン構成要素207は、第1の信号ゲート113の範囲内にある超音波信号の部分および第2の信号ゲート115の範囲内にある超音波信号の部分に関してなど、経時的にゲインを変更するためにユーザが選択可能な選択肢を提供するように構成されていてもよい。これは、経時的にゲインを変更するための付加的な選択肢または付加的なツールとして、したがって被検体90の深さ範囲に亘って効果的に、使用されてもよい。
【0031】
ある例示的実施形態では、図2に示されている出力241、242、248および249が、全て、図1に示されている出力構成要素23に含まれていてもよい。したがって、出力構成要素23は、例えば、適用された主ゲインを有する超音波信号と、適用された第1の局所ゲインを有する超音波信号の部分と、適用された第2の局所ゲインを有する超音波信号の部分とを出力してもよい。図1に示されている通り、出力構成要素23は、この情報をコンピュータデバイス280に送信してもよい。この情報を送信することは、処理構成要素200とコンピュータデバイス280との間の直接無線接続またはハードライン接続経由であってもよく、または無線ネットワーク、イーサネット(商標)、ゲートウェイ、ルータ等のその任意の中間通信基盤および/または要素によってもよい。その結果、この例示的な例では、したがって、コンピュータデバイス280のモニタ290が、処理構成要素200の出力構成要素23との通信接続を有していてもよく、それにより、例えば、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波信号を示す信号グラフを表示するように構成されていてもよい。
【0032】
本例示的実施形態では、処理構成要素200が特定の例示的回路ハードウェア実装の観点で示されているが、他の実施形態が、例えば、種々のプログラミング実行のいずれか、またはいくつかの他のハードウェア変形形態のいずれか、またはハードウェアとソフトウェアの任意の組合せで、ソフトウェアで実施される同一または類似の機能を有していてもよい。
【0033】
図3は、当業者によく知られているAスキャン形式に基づく例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインを有する超音波信号101を示す信号グラフ100を示し、その態様は、後続の図4および図5にも使用されている。第1の局所信号ゲート113が、超音波受信機30からの示度に基づいて処理構成要素200により供給された超音波信号101の第1の部分を画定する間隔として示されている。第1の局所信号ゲート113は、以下に図5を参照してさらに記載され示されている通り、選択された開始深さから、かつそこから選択された範囲に亘って延びて、被検体90の所与の部分と一致する超音波信号101の部分を画定している。同様に、第2の局所信号ゲート115は、超音波受信機30による示度に基づいて、被検体内部の選択された開始深さで、かつそこから選択された範囲に亘って延びて、超音波信号101の第2の部分を画定している。したがって、ある例示的実施形態では、超音波信号101のこれら2つの中間局所部分は、(必ずしも図1の被検体90ではない)被検体内部の中間深さを、任意の可能性のある欠陥を目的に検査する候補部分として画定している。図5を参照して以下により詳細に説明されている通り、第1の局所信号ゲート113と第2の局所信号ゲート115とが、ユーザにより定められてもよいかつ/または処理構成要素200内で事前に選択されてもよいパラメータと共に設定されてもよい。また、図3〜図5に示されている通り、第1の信号ゲート113と第2の信号ゲート115とは、互いに重なっていてもよい。
【0034】
図4は、ある例示的実施形態による、主ゲイン信号部分151と157との真ん中に、第1の局所ゲイン信号153と第2の局所ゲイン信号155とを示す信号グラフ150を示す。第1の局所ゲイン信号153は、被検体内部の選択された開始深さおよび幅または深さ範囲に一致する、第1の局所信号ゲート113により画定されている超音波信号101の局所部分に、第1のゲイン構成要素221からのゲインを適用することにより供給される。同様に、本例示的実施形態では、第2の局所ゲイン信号155は、たとえそれが第1の局所ゲイン信号153の対象となる被検体の部分と重なっても、被検体内部の選択された開始深さおよび幅または深さ範囲に一致する、第2の局所信号ゲート115により画定されている超音波信号101の局所部分に、第2のゲイン構成要素222からのゲインを適用することにより供給される。第1の局所ゲイン信号153と第2の局所ゲイン信号155との間の重なりは、例えば、2つの局所ゲイン信号の対象となる被検体内部の範囲間の境界の近傍の深さにあるいかなる欠陥も見過ごされないことを確実にするように助長する可能性がある。本例示的実施形態では、主ゲイン信号部分151および157が、それらに適用された、主ゲイン構成要素229からの主ゲインのみを有する超音波信号101の部分である。本例示的実施形態では、主ゲイン信号部分151および157、第1の局所ゲイン信号153、ならびに第2の局所ゲイン信号155は、全て、同時に信号グラフ150に示されてもよい。
【0035】
第1の局所ゲイン信号153は、適用された第1のゲインを有していて、その第1のゲインは、主ゲインレベルに対してその振幅を修正し得る。例えば、この例示的な例では、第1の局所ゲイン信号153は、図3に示されている主ゲインレベルを越えてその振幅を増大させる。また、他の実施形態では、局所ゲイン信号が、信号を増幅または増加させるのではなく、それを抑止するかまたは減少させる。例えば、本例示的実施形態では、第1の局所ゲイン信号153に適用されるこの第1のゲインは、図2に示されている第1のゲイン構成要素221により適用されてもよい。同様に、第2の局所ゲイン信号155は、適用された第2のゲインを有していて、その第2のゲインは、主ゲインレベルに対してその振幅を修正し得る。この例示的な例では、第2の局所ゲイン信号155は、図3に示されている主ゲインレベルを越えてその振幅を増大させ、本例示的実施形態では、第2の局所ゲイン信号155に適用されるこの第2のゲインは、図2に示されている第2のゲイン構成要素222により適用されてもよい。したがって、この例示的な例では、第1の局所ゲイン構成要素221は、超音波信号101の主出力信号より大きい振幅を有する第1の局所ゲイン信号153を供給するように構成されており、第2の局所ゲイン構成要素222は、同様に、超音波信号101の主出力信号より大きい振幅を有する第2の局所ゲイン信号155を供給するように構成されている。他の例では、第1の局所ゲインまたは第2の局所ゲインのどちらかが、超音波信号を増加させるかまたは減少させるかどちらかのために超音波信号を修正してもよい。例えば、他の実施形態では、信号ゲートが、前面91を含むことが予想される深さ範囲を対象とするように設定されてもよく、別の信号ゲートが、後面92を含むことが予想される深さ範囲を対象とするように設定されてもよく、それらが、主ゲイン下での信号グラフの最大限の高さを超過するであろうように、これら表面からの信号は相対的に非常に強い可能性がある。この例示的な例では、被検体90の前面91および後面92を対象としている、これらの信号ゲートに適用される局所ゲインは、主ゲインに対して超音波信号を減少させることにより、超音波信号を修正するように設定されてもよい。このようにして、これら2つの信号ゲートの範囲内の信号のピークは、信号グラフ150のy軸範囲内にもたらされてもよく、例えば、ユーザが完全な信号の形状を見て理解することを可能にする。例示的な使用の場合として、また、異常に関して被検体90を評価することに加えてまたはその代わりに、被検体の厚さを測定するために、超音波スキャニングシステム10が有用である。本例示的場合には、被検体90の前面91および後面92を注意深く特徴付けることが、超音波スキャニングシステム10の使用の主要目的であり得る。
【0036】
第1の局所信号ゲート113および第2の局所信号ゲート115それぞれの範囲内に入る、図3に示されている本来の信号ピークの振幅はそれぞれ、特に大きくない。それらは、さらに目立たない可能性があるがそれでも実際に内部欠陥を示している他の信号を代表している可能性がある。本来の信号ピークの相対顕著性をさらに減少させる相当なノイズがある可能性があり、それらは、観察すべき被検体の超音波スキャンを実施するユーザには厄介である可能性がある。図4に示されているこれらの信号に適用されるゲインは、これらの信号部分を明白にし、それにより、超音波スキャニングシステム10により検出される内部欠陥のあらゆる実際のしるしを、超音波スキャン操作者が確実に気付くことを助長する。例えば、処理構成要素200はまた、第1の局所ゲイン信号153がモニタ290上の信号グラフ150に表示されて信号グラフ150の高さの半分より多くを占めるように第1の局所ゲインを適用するように、かつ第2の局所ゲイン信号155がモニタ290上の信号グラフ150に表示されて信号グラフ150の高さの半分より多くを占めるように第2の局所ゲインを適用するように構成されていてもよい。特定の例として、パラメータが事前に選択されて、第1の局所ゲイン信号153および第2の局所ゲイン信号155を、例示的な例として信号グラフ150の最大限の高さの約80%くらいの最高公称相対振幅まで上昇させる可能性がある。さらなる例示的な例が、以下図5を参照して開示される。
【0037】
さらに、図4に示されている第1の局所ゲイン信号153および第2の局所ゲイン信号155の対象となる、図3の超音波信号101に見られる本来の欠陥表示信号ピークは、第1の局所信号ゲート113と一致する欠陥ピークより大幅に小さく弱い第2の局所信号ゲート115と一致する後に出現する欠陥ピークと等しくない。これは、被検体90内部の伝搬過程に亘る超音波信号の拡散などの要因の固有の性質に起因する可能性があり、その結果、欠陥が前面91からより遠く離れ、後面92により近くの方にあると、図3の場合の超音波信号101に最初に適用される一定の主ゲイン下で、その信号がより弱く出現する。
【0038】
したがって、いくつかの例示的な例では、深さに伴うこの弱化は、より深い間隔のゲインを増加することにより補償され得る。図4の例示的実施形態に見られる通り、第2の局所信号ゲート115と一致する超音波信号部分155の信号ピークは、下層の信号がより弱かったとしても、実際は、第1の局所信号ゲート113と一致する超音波信号部分153の信号ピークより高い。このことは、第1のゲイン構成要素221よりも第2のゲイン構成要素222を用いてさらに高いレベルのゲインを適用すること、および被検体内部の深さに伴う内部欠陥信号の弱化を認めてそれを補償することにおける、超音波信号101に適用される初期主ゲインを凌ぐ、ゲインのさらなる増加に起因する。したがって、本例示的実施形態では、第2の局所ゲイン構成要素222は、第1の局所ゲイン信号153より大きい振幅を有する第2の局所ゲイン信号155を供給するように構成されていてもよい。
【0039】
同様に、図2のN番目の局所ゲイン構成要素228は、やはり超音波受信機との通信接続を有して、第3の局所ゲイン構成要素または第4のまたはそれ以上の局所ゲイン構成要素を表していてもよい。第3の局所ゲイン構成要素の場合、例えば、第3の局所ゲイン構成要素は、超音波受信機の示度に基づいて、超音波信号101の第3の部分に対応する第3の局所ゲイン信号を供給するように構成されていてもよい。この第3の局所ゲイン構成要素は、超音波信号の第1の部分または超音波信号の第2の部分のどちらかとは異なるように、超音波信号の第3の部分に第3の局所ゲインを適用してもよい。第4のまたはそれ以上の局所ゲイン構成要素の場合、付加的な局所ゲイン構成要素の各々は、例示的に、超音波受信機により受信される超音波信号の付加的な部分に付加的な局所ゲインを適用して、第4の局所ゲイン信号を供給するように構成されていてもよく、例えば、第4の局所ゲイン信号は、第1の局所ゲイン信号、第2の局所ゲイン信号、または第3の局所ゲイン信号のどれかとは異なっている。種々の例示的な例では、第3の局所ゲイン構成要素は、第2の局所ゲイン信号より大きいまたはより小さい振幅を有する第3の局所ゲイン信号を供給するように構成されていてもよく、第4の局所ゲイン構成要素は、第3の局所ゲイン信号より大きいかまたはより小さい振幅を有する第4の局所ゲイン信号を供給するように構成されていてもよく、局所ゲイン構成要素のいずれかが、それらの局所ゲイン信号を修正して主ゲインより大きいかまたはより小さいかのどちらかであるようにするように構成されていてもよい。
【0040】
各1つに適用されている異なる局所ゲインを有する別個の局所ゲイン信号を明確にするのに用いられてもよい別の要素が、各局所ゲイン信号に異なる色を使用することである。図4の黒と白の図には示されていないが、第1の局所信号153および第2の局所信号155の各々は、互いに異なる色で、かつ主ゲインのみの影響下にある信号部分、例えば超音波信号部分155および157、とは異なる色で、モニタ290上の信号グラフ150に示されていてもよい。デバイスは、主ゲイン信号を第1の色でモニタ290上に、第1の局所信号153を第2の色でモニタ290上に、第2の局所ゲイン信号155を第3の色でモニタ290上に表示するように構成されていてもよい。
【0041】
また、信号ゲートが、異なる色でかつそれらの対応する局所ゲイン信号に一致する色で、示されていてもよい。その結果、例えば、第1の信号ゲート113および第1の局所ゲイン信号153はどちらも、青などの1つの第1の色で示されていてもよく、一方、第2の信号ゲート115および第2の局所ゲイン信号155はどちらも、黄などの1つの第2の色で示されていてもよく、一方、主ゲイン信号部分151および157は、例えば緑などのさらに別の色で示されていてもよい。本例示的実施形態では、色の対比の種類は、どの局所ゲイン信号がどの局所ゲインの影響下にあるのか、および個々の局所ゲイン信号がどこで互いに分離するのかかつ/または互いに重なるのかに関する操作者の理解をさらに容易にする可能性がある。
【0042】
図5は、例示的実施形態による、被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波RF信号を示す信号グラフを制御し表示するソフトウェアプログラム用の簡易化されたグラフィカルユーザインターフェース300を示す。グラフィカルユーザインターフェース300は、図1に示されているコンピュータデバイス280内に含まれているように、モニタ290上に表示されて示されている。モニタ290は、関連媒介要素経由で、超音波制御デバイス20の出力構成要素23との、それにより処理構成要素200の主ゲイン構成要素229、第1の局所ゲイン構成要素221、第2の局所ゲイン構成要素222、および他の局所ゲイン構成要素への、通信接続を有していてもよい。このことは、図4の場合のように、第1の局所ゲイン信号153と、第2の局所ゲイン信号155と、主ゲイン信号部分151および157とを含めて、モニタ290が信号グラフ150を確実に表示するように構成されることを助長する可能性がある。信号グラフ150はまた、x軸およびy軸の両方に沿った参照数字を用いて示されており、例えば、x軸の数字は、被検体を通過する超音波の伝搬時間に基づく被検体内への等しい深さを示していてもよく、y軸の数字は、信号グラフ150の高さの相対パーセンテージを示していてもよい。
【0043】
グラフィカルユーザインターフェース300は、例示的信号グラフ150と、ユーザ制御ボックス363および365とを含む、いくつかの要素を含む。信号グラフ150は、例示的実施形態による、被検体90内の深さに対するゲイン上昇信号反射を指示している、第1の局所ゲイン信号153と、第2の局所ゲイン信号155と、主ゲイン信号部分151および157とを示す。ある例示的実施形態では、第1の局所ゲイン信号153および第2の局所ゲイン信号155のどちらかが、図1に示されている内部欠陥93などの内部欠陥または内部異常に対応している可能性がある。(その他の局所ゲイン信号は、例えば、(図1に示されていない)異なる内部欠陥または内部欠陥93の異なる部分に対応していてもよい。)局所信号ゲート113と115とが、それらの間に重なりを有して、被検体の深さの異なる部分に対応する範囲に亘って示されている。
【0044】
図5は、局所ゲイン信号により占められている信号グラフ150内の相対振幅または相対高さの範囲の例示的な例をさらに説明する。本例示的実施形態では、図5に示されているモニタ290上に表示されているグラフィカルユーザインターフェース300内の信号グラフ150のy軸を上方へ、第1の局所ゲイン信号153および第2の局所ゲイン信号155をパーセンテージ基準数字と比較すると、第1の局所ゲイン信号153は、信号グラフ150の高さの約68%の明白な振幅まで上方に延びており、一方、第2の局所ゲイン信号155は、信号グラフ150の高さの約88%の明白な振幅まで上方に延びていることが分かる。したがって、本例示的実施形態では、これらの局所ゲイン信号に対して局所に適用されたゲインは、被検体内の内部欠陥の検出がスキャニング操作者の注意から逸れることを非常に困難にする。
【0045】
本例示的実施形態では、ユーザ制御ボックス363および365の各々は、ユーザ制御ボックス363が局所信号ゲート113に関するパラメータを供給し、かつユーザ制御ボックス365が局所信号ゲート115に関するパラメータを供給している状態で、局所信号ゲート113および115の1つに関するパラメータを決定するために選択可能な選択肢を提供する。詳細には、ユーザ制御ボックス363および365の各々は、対応する局所信号ゲートの開始位置、局所信号ゲートの幅、および局所信号ゲートの閾値のパラメータを制御する選択肢を提供する。例えば、ユーザ制御ボックス363は、信号グラフ150のx軸に沿った位置に対応する、被検体90内への深さに関して局所信号ゲート113の開始位置を選択するための開始フィールド373を提供する。ユーザ制御ボックス363はまた、開始位置からの被検体90内へのさらなる深さ範囲に関して局所信号ゲート113の開始位置からの幅を選択するための幅フィールド383を提供する。ユーザ制御ボックス363はまた、信号グラフ150の信号振幅またはy軸に対応する、局所信号ゲート113の信号閾値を選択するための閾値フィールド393を提供する。所与の局所信号ゲートの閾値は、局所ゲイン信号の高さ、およびノイズもしくは他のスプリアス信号、または検査されている関心高さの下にある可能性がある小さい欠陥の可能性のある反射に対して異常または欠陥がどのくらい顕著に示されているかを評価する基準として、事前に選択されてもよいかまたはユーザにより選択されてもよい。ある例示的実施形態では、閾値は、信号部分が被検体内部の内部欠陥、異常、または十分に重要な他の不連続を意味があるように示すのに十分に顕著である場合に、その局所信号ゲートの信号部分がもっぱら到達すべき値に設定されてもよい。閾値は、実行の所与のパラメータの範囲内で信号グラフ150のy軸範囲の20%、30%、40%、または任意の他のパーセンテージで選択されてもよく、検査の任意の特定の状況に応じて、かつ内部異常に関する任意の所望のレベルの公差に応じて、選択されてもよい。1つの例示的な例として、校正被検体がその内部の既知の深さによく特徴付けられた試験傷を有している状態で初期校正が実施されて、よく特徴付けられた試験傷に対する超音波信号の応答を試験してもよく、閾値は、校正試験傷に対する超音波信号への局所ゲインの応答に基づいて選択されてもよい。
【0046】
同様に、本例示的実施形態では、ユーザ制御ボックス365は、局所信号ゲート115に関するこれらのパラメータを制御するために、開始フィールド375と、幅フィールド385と、閾値フィールド395とを含む。また、例えば、他の局所信号ゲートに関するパラメータまたは被検体90の前面91および後面92からの信号部分を対象とする信号ゲートに関するパラメータを制御するために、他のユーザ制御ボックスが含まれていてもよい。種々の実施形態では、また、多種多様な他のDOM要素またはGUI要素のいずれかが、グラフィカルユーザインターフェース300の異なる実行に含まれていてもよい。種々の実施形態では、また、自動ゲート追跡システムが設置されて、局所ゲイン信号をそれらのゲートと関連する閾値と比較してもよい。この種の実施形態では、例えば、超音波スキャニングシステム10の処理構成要素200または何らかの他の構成要素が、信号ゲートの局所ゲイン信号をその信号ゲートと関連する閾値と比較して、その信号ゲートの局所ゲイン信号がその信号ゲートの閾値より大きいかまたはそれに等しいかどうかを指示する自動ゲート追跡システムを含んでいてもよい。例えば、これは、人間の操作者が信号グラフを評価することなく、または信号グラフがモニタ上に表示されることなく、実施されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、自動ゲート追跡システムが設置されて、信号ゲートの開始点および幅を動的に変更してもよい。例えば、自動ゲート追跡システムが、第1の信号ゲートの開始深さまたは第1の信号ゲートの幅の少なくとも1つを、第1の局所ゲイン信号に基づいて、後続の超音波信号に適用されるように修正するように構成されていてもよい。したがって、例えば、自動ゲート追跡システムは、第1の局所ゲイン信号のピークが第1の信号ゲートの縁部上またはその付近にある場合などに、先の試運転の局所ゲイン信号に応答して、信号ゲートの開始点または幅を動的に修正してもよい。
【0047】
したがって、超音波信号を使用して被検体を検査し、超音波信号を使用して得られた情報を表示するために、様々な例示的実施形態において、種々の方法が開示されている。いくつかの実施形態では、方法が、被検体を通して超音波信号を送信するステップと;被検体を通過した入力超音波信号を受信するステップと;入力超音波信号に主ゲインを適用するステップと;被検体の第1の部分に対応する、入力超音波信号の第1の部分に第1の局所ゲインを適用するステップと;被検体の第2の部分に対応する、入力超音波信号の第2の部分に第2の局所ゲインを適用するステップと;適用された主ゲインを有する入力超音波信号を表す主ゲイン信号、適用された第1の局所ゲインを有する入力超音波信号の第1の部分を表す第1の局所ゲイン信号、および適用された第2の局所ゲインを有する入力超音波信号の第2の部分を表す第2の局所ゲイン信号をモニタ上に表示するステップと、を含んでいてもよい。
【0048】
ある例示的実施形態では、方法が、主ゲイン信号を第1の色で表示するステップと、第1の局所ゲイン信号を第2の色で表示するステップと、第2の局所ゲイン信号を第3の色で表示するステップとをさらに含んでいてもよい。
【0049】
したがって、一連の様々な実施形態に基づいて、種々の他の利点の中でも、本明細書に開示されている種々のデバイス、システム、および方法が、超音波スキャニング設備の操作者が被検体内に関連の欠陥または他の重要な不連続を確実に検出する新規の方法を提供する。
【0050】
処理構成要素200が、ある特定の回路要素を含むように図2に示されているが、種々の他の実施形態では、様々な実行において、処理構成要素が、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路(PLD)もしくは結合プログラム可能論理回路(CPLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他のタイプの処理ユニットもしくはチップなどの種々の形態のいずれかで実施されてもよく、依然として、本明細書に記載されているものと同一の機能または類似の機能を実施してもよい。
【0051】
被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波RF信号を示す信号グラフを制御し表示するソフトウェアプログラムが、例えば、C、C++、Java(商標)、C#、Perl、PHP、Scala、Python、Ruby、Smalltalk、Haskell、Common Lisp、またはClojureなどの多種多様な言語のいずれかを使用してプログラムされてもよい。種々のフレームワークのいずれかが使用されて、そのようなプログラミングを容易にしてもよい。被検体内の深さに対する主ゲインおよび/または局所ゲインを有する超音波RF信号を示す信号グラフを制御し表示するソフトウェアプログラムはまた、多種多様なデータベースアーキテクチャ、データベース管理システム、およびデータベース問合わせ言語のいずれかを使用してもよい。例えば、ISO/IEC9075基準に準拠するものなどのSQLデータベース問合わせ言語の任意の変形形態を使用してもよい。ソフトウェアプログラムは、デスクトップアプリケーション、モバイルアプリケーション、ウェブアプリケーション、または任意の他の形のアプリケーションの形で実行されてもよい。種々の実施形態では、ブラウザベースのアプリケーションに関して、インターフェースの設計は、HTML、HTML5、CSS、CSS3、JavaScript(商標)、AJAX、および/あるいは任意の他のスクリプトツールもしくはスクリプト言語または設計ツールもしくは設計言語の使用を含んでいてもよい。
【0052】
本明細書は、例を用いて、最良の形態を含めて本発明を開示し、また、任意のデバイスもしくはシステムを作製しかつ使用することおよび任意の採用されている方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実践することを可能にしている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲により定められており、当業者に思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言とごく僅かしか異ならない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内に入るものとする。
【符号の説明】
【0053】
10 超音波スキャニングシステム
20 超音波制御デバイス
22 電源構成要素
23 出力構成要素
30 超音波変換器、超音波受信機
31 ケーブル
51 超音波
52、54 反射された超音波
53 欠陥検出波成分
90 被検体
91 前面
92 後面
93 内部欠陥
100、150 信号グラフ
101 超音波信号
113 第1の信号ゲート
115 第2の信号ゲート
151、157 主ゲイン信号部分
153 第1の局所ゲイン信号
155 第2の局所ゲイン信号
200 処理構成要素
201 入力線
203 信号調整装置
205 (時間制御)ゲイン乗算器
207 時間制御ゲイン構成要素
211、212、218、219 関連ゲイン乗算器
221 第1のゲイン構成要素
222 第2のゲイン構成要素
228 N番目のゲイン構成要素
229 主ゲイン構成要素
231、232、238、239 ステータスAスキャン要素
241、242、248、249 出力
280 コンピュータデバイス
290 モニタ
300 グラフィカルユーザインターフェース
363、365 ユーザ制御ボックス
373、375 開始フィールド
383、385 幅フィールド
393、395 閾値フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス(20)であって、
入力線(201)と、
前記入力線(201)との通信接続を有する主ゲイン構成要素(229)であり、前記入力線(201)経由で受信される超音波信号に主ゲインを適用し、それにより主ゲイン信号(151、157)を供給するように構成されている、主ゲイン構成要素(229)と、
前記入力線(201)との通信接続を有する第1の局所ゲイン構成要素(221)であり、第1の信号ゲート(113)の範囲内で前記超音波信号の第1の部分に第1の局所ゲインを適用し、それにより第1の局所ゲイン信号(153)を供給するように構成されている、第1の局所ゲイン構成要素(221)と、
前記入力線(201)との通信接続を有する第2の局所ゲイン構成要素(222)であり、第2の信号ゲート(115)の範囲内で前記超音波信号の第2の部分に第2の局所ゲインを適用し、それにより第2の局所ゲイン信号(155)を供給するように構成されている、第2の局所ゲイン構成要素(222)と、
を含む、デバイス(20)。
【請求項2】
前記第1の局所ゲイン構成要素(221)は、前記主ゲインに対して修正された振幅を有する前記第1の局所ゲインを適用し、それにより前記主ゲイン信号(151、157)に対して修正された振幅を有する前記第1の局所ゲイン信号(153)を供給するよう構成されており、前記第2の局所ゲイン構成要素(222)は、前記主ゲインに対して修正された振幅を有する前記第2の局所ゲインを適用し、それにより前記主ゲイン信号(151、157)に対して修正された振幅を有する前記第2の局所ゲイン信号(155)を供給するように構成されている、請求項1記載のデバイス(20)。
【請求項3】
前記第2の局所ゲイン構成要素(222)は、前記第1の局所ゲインに対して修正された振幅を有する前記第2の局所ゲインをもたらすように構成されている、請求項2記載のデバイス(20)。
【請求項4】
前記入力線(201)との通信接続を有する少なくとも第3の局所ゲイン構成要素(228)を含む1つまたは複数の付加的な局所ゲイン構成要素をさらに含み、前記付加的な局所ゲイン構成要素(228)の各々は、付加的な信号ゲート(238)内で前記超音波信号の付加的な部分に付加的な局所ゲインを適用し、それにより付加的な局所ゲイン信号を供給するように構成されている、請求項3記載のデバイス(20)。
【請求項5】
前記第3の局所ゲイン構成要素(228)は、前記第1の局所ゲインまたは前記第2の局所ゲインに対して修正された振幅を有する前記第3の局所ゲインを供給するように構成されている、請求項4記載のデバイス(20)。
【請求項6】
前記第1の信号ゲート(113)と前記第2の信号ゲート(115)とは互いに重なっている、請求項1記載のデバイス(20)。
【請求項7】
前記入力線(201)との通信接続を有する信号調整装置(203)をさらに含み、前記入力線(201)との前記主ゲイン構成要素(229)、前記第1の局所ゲイン構成要素(221)、および前記第2の局所ゲイン構成要素(222)の通信接続は、前記信号調整装置(203)を介している、請求項1記載のデバイス(20)。
【請求項8】
前記信号調整装置(203)は、前記主ゲイン構成要素(229)、前記第1の局所ゲイン構成要素(221)、または前記第2の局所ゲイン構成要素(222)により前記超音波信号が受信される前に、前記入力線(201)からの前記超音波信号の増幅、調整、およびフィルタリングの少なくとも1つを実施するように構成されている、請求項7記載のデバイス(20)。
【請求項9】
前記入力線(201)との通信接続を有し、かつ前記超音波信号を供給するように構成されている超音波受信機をさらに含む、請求項1記載のデバイス(20)。
【請求項10】
前記超音波受信機は、前記超音波受信機が前記ソース超音波の反射を受信するように構成されているように、ソース超音波を送信するように構成されている超音波送信機の機能をさらに果たす超音波変換器(30)に含まれている、請求項9記載のデバイス(20)。
【請求項11】
前記主ゲイン構成要素(229)、前記第1の局所ゲイン構成要素(221)、および前記第2の局所ゲイン構成要素(222)との通信接続を備えたモニタ(290)をさらに含み、前記モニタ(290)は、前記主ゲイン信号(151、157)を第1の色で、前記第1の局所ゲイン信号(153)を第2の色で、および前記第2の局所ゲイン信号(155)を第3の色で、前記モニタ上に表示するように構成されているようになっている、請求項1記載のデバイス(20)。
【請求項12】
前記主ゲイン構成要素(229)、前記第1の局所ゲイン構成要素(221)、および前記第2の局所ゲイン構成要素(222)との通信接続を有する、時間制御ゲイン構成要素(207)をさらに含み、前記時間制御ゲイン構成要素(207)は、前記第1の局所ゲイン信号(153)および前記第2の局所ゲイン信号(155)に関して経時的にゲインを変更させる、ユーザが選択可能な選択肢を提供するように構成されている、請求項1記載のデバイス(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−247416(P2012−247416A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−117155(P2012−117155)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】