説明

局所用皮膚治療組成物

様々な皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物およびそれを使用する方法。具体的な態様において、これらの局所用組成物は、過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の保存安定混合物を含む。他の実施形態において、これらの局所用組成物は、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および、過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステルのいずれかの保存安定混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、一般に、様々な皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物およびこれを使用する方法に関する。具体的な態様において、これらの組成物は、過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の保存安定混合物を含む。他の実施形態において、これらの組成物は、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステルのいずれかの保存安定混合物を含む。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮脂腺および毛包に関連する皮膚疾患としては、ざ瘡および酒さなどの状態ならびに微生物を含む他の非感染性皮膚病などがある。このような疾患は、しばしば炎症によって特徴付けられる。
【0003】
ざ瘡は、疾患の炎症状態で、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)などの細菌で汚染される黒色面皰、白色面皰、丘疹、小膿疱、嚢胞、ならびに様々な大きさの小結節および瘢痕を特徴とする一般的な皮膚疾患である。この疾患は皮脂腺が最も活発な皮膚領域に影響し、細菌感染が脂腺性毛包に生じ得る。
【0004】
過去においては、これらの皮膚病は、経口用および/または局所用抗菌剤を用いて治療されてきた。使用される経口用抗生物質としては、テトラサイクリン、エリスロマイシン、およびミノサイクリンなどがある。使用される局所用組成物には、抗生物質のテトラサイクリン、エリスロマイシン、およびクリンダマイシン;レチノイン酸またはトレチノインなどのレチノイド;およびその強力な酸化特性によってその抗菌作用を発揮する過酸化ベンゾイルが別々に含まれていた。しかし、過酸化物の強力な酸化特性は、しばしば不安定組成物を生じることがある。過酸化ベンゾイルはまた、皮脂抑制剤、刺激剤、および面皰溶解剤として作用することもできる。
【0005】
現在入手可能な1つの製品である、Cleocin T(登録商標)クリンダマイシン局所用溶液(Pharmacia & Upjohn Company of Kalamazoo、MI)は、1%のクリンダマイシンを含む局所用溶液である。しかし、Cleocin T(登録商標)にはいくつかの欠点がある。第1に、この製剤は50%のイソプロピルアルコールおよび水を含む。この製剤はそれ自体、しばしば皮膚に対し過剰に乾燥させ刺激するものとなる。第2に、薬剤師によって調剤されるようなこの組成物は、室温での長期の保存に必要な安定性を欠く。
【0006】
少なくとも2つの活性抗菌剤を組み合わせる局所用組成物が、これらの疾患に対する治療として提案されてきた。これらの組成物は通常、薬剤師による配合を必要とし、冷蔵(refrigerated)されなければならない。3カ月の冷蔵(refrigeration)後、この組成物は効力および有効性を失い、新しいバッチと取り替えなければならない。
【0007】
例えば、現在入手可能な1つの組合せ製品は、3%のエリスロマイシンおよび5%の過酸化ベンゾイルを含むBenzamycin(登録商標)局所用ゲル(Dermik Laboratories,Berwyn、PA)である。しかし、Benzamycin(登録商標)には、いくつかの欠点がある。第1に、この製品は、第1の容器に過酸化ベンゾイルゲルおよび第2の容器にエリスロマイシン粉末として薬局に供給される。したがって、この製品は薬剤師による配合を必要とし、薬剤師は(1)アルコール中にエリスロマイシンを溶解させ、(2)このエリスロマイシン溶液を該ゲルに加え、(3)外観が均一になるまで攪拌しなければならない。第2に、調剤されるこの組成物中に存在するアルコールは全組成物の16%に達し、これは、特に過酸化ベンゾイルとの組合せにおいて、皮膚に対し過剰に乾燥させ、刺激するものとなった。第3に、薬剤師によって調剤されるこの組成物は、(すなわち、再構成または配合後)室温での長期保存に必要な安定性を欠く。この組合せ製品は、冷蔵下で最長3カ月間保存することができる。
【0008】
同様に、現在入手可能な組合せ製品BenzaClin(登録商標)は、1%のクリンダマイシンおよび5%の過酸化ベンゾイルを含む局所用ゲルである。しかし、BenzaClin(登録商標)にも、いくつかの欠点がある。例えば、この組合せ製品は最長3カ月間保存できるだけなので、この製品は室温での長期保存に必要な安定性を欠く。したがって、この製品は第1の容器に過酸化ベンゾイルゲルおよび第2の容器にクリンダマイシン粉末として薬局に供給されるので、薬剤師がそれを配合しなければならない。薬剤師による配合を必要とすることにより、この製品にもばらつき/不純物の問題があり、これは部分的に溶解するかまたは溶解しない凝集体を形成する薬剤に起因する。このことは、皮膚に適用された場合、一部の患者は時にこの製品のザラザラ感を報告することとなり、皮膚剥削術による炎症および刺激の問題をさらに悪化させる。最後に、この組成物は、ラベル指示の通りに有効であるためには、1日に少なくとも2回局所的に適用しなければならない。
【0009】
ざ瘡の治療のための別の知られている局所用組成物が、米国特許第6,117,843号に記載されている。この特許には、過酸化ベンゾイルおよびクリンダマイシンの組合せを含むざ瘡の治療のための局所用治療組成物が記載されている。開示された組成物において使用されるクリンダマイシンは、pH5.9から6.9の組合せ前pHを有する。さらに、開示された組成物は、ざ瘡の治療に有効であるためには、1日2回投与しなければならない。
【0010】
ざ瘡の治療のための現在知られているこれらの組成物は、患者への1日2回投与用に製剤され、1日2回投与しなければならない組成物についての患者順守は、特にざ瘡の主たる患者である十代の間で不規則になりがちであることが報告されている。
【0011】
最後に、これら現在の治療選択肢は、不都合な副作用の相当なリスクを与える。皮膚を通してよく吸収されるクリンダマイシンは、大腸炎、下痢、および出血性下痢を伴った。重症大腸炎は死をもたらすことがある。同様に、過酸化ベンゾイルは、皮膚によって都合よくは受け入れられ得ない既知の皮膚刺激剤である。同様に、レチノイドも、一般に刺激性であり、特に敏感肌の人にそうである。したがって、これらの先行組成物に対する毎日必要な暴露の回数を減少させることによってこれらの潜在的副作用を減少させる必要がある。
【0012】
予期されるように、これらの3つの活性成分の組合せを含む組成物は、2つの活性成分を含む組成物より製造がさらにより難しくなった。このような3種類の活性成分の組合せに本来備わっている利点にもかかわらず、安定製品を製剤するための困難性により、これまで、抗生物質、レチノイド、および過酸化ベンゾイルの3つすべてを含むいかなる製品の開発も妨げられてきた。同様に、レチノイド、ならびに過酸化ベンゾイルおよび抗生物質の少なくとも1つを含む製品を製剤することには多くの困難があった。したがって、ざ瘡などの様々な皮膚疾患の治療のためのこのような製品に対するニーズは依然として存在している。
【0013】
特に、組合せ製品の安定性を改善する他の努力は、使用時まで安定性を維持するために該活性剤を別にしておく新規な包装の使用によってきた。しかし、配合は調剤時にやはり必要であり、製品は調製後直ちに使用しなければならないので、安定性は依然として問題のままである。
【0014】
これらの理由のために、ざ瘡の治療用の改良組成物および組成物を製剤するための改良方法を提供することが望ましい。特に、上記の不利な点を殆どまたは全く有しない、クリンダマイシンなどの抗生物質化合物の活性と、過酸化ベンゾイルの活性およびレチノイドの活性とを組み合わせる製品を提供することが望ましい。このような組成物は先行組成物に伴った製剤および安定性の問題を克服すべきであり、刺激性が少なく、製剤が容易で、製剤後に滑らかな稠度を有し、十分に安定であり、かつ冷蔵の有無にかかわらず十分に長い保存寿命を有する改良組成物を提供すべきである。
【0015】
同様に、上記の不利な点を殆どまたは全く有しない、レチノイドの活性と、クリンダマイシンなどの抗生物質化合物または過酸化ベンゾイルのいずれかの活性とを組み合わせる製品を提供することが望ましい。このような組成物としては、刺激性が少なく、製剤が容易で、製剤後に滑らかな稠度を有し、十分に安定であり、かつ冷蔵の有無にかかわらず十分に長い保存寿命を有する改良組成物を提供すべきである。
【0016】
したがって、長期間保存安定性で、製剤が容易であり、実質的に均質である、皮膚疾患の治療用の有効な局所用組成物のニーズが依然として存在する。
【0017】
(発明の概要)
本発明の主題は一般に、様々な皮膚疾患または皮膚状態を治療するのに有用な局所用組成物に関する。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、約3から約8の最終pHを有し、前記局所用組成物が、前記保存安定混合物を得る前の過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有する、
局所用組成物に関する。
【0019】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の主題はまた、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上が、固体または半固体成分にカプセル化されるかまたは取り込まれ、
前記局所用組成物が、約3から約8の最終pHを有する、
局所用組成物に関する。
【0020】
別の好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の成分の各々の濃度を、前記成分の各々についてのラベル表示の少なくとも90%である濃度に維持する、
局所用組成物に関する。
【0021】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の主題はまた、患者の皮膚疾患または皮膚状態を処置するための方法であって、治療を必要とする患者に前記皮膚疾患を治療するのに有効量の局所用組成物を局所的に投与する段階を含み、前記局所用組成物が、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、約3から約8の最終pHを有し、前記局所用組成物が、前記保存安定混合物を得る前の過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有する、
方法に関する。
【0022】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、前記局所用組成物の安定性に寄与する約3から約8の最終pHを有する、
局所用組成物に関する。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、15℃以下の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定である、
局所用組成物に関する。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の主題はまた、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
1)レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、2)過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および3)医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、前記過酸化ベンゾイルおよび前記抗生物質または医薬上許容されるその塩の1つ以上が、固体または半固体成分にカプセル化されるかまたは取り込まれ、
前記局所用組成物が、約3から約8の最終pHを有する、
局所用組成物に関する。
【0025】
別の好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
1)レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、2)過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および3)医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および前記過酸化ベンゾイルあるいは前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステルの成分の各々の濃度を、前記成分の各々についてのラベル表示の少なくとも90%である濃度に維持する、
局所用組成物に関する。
【0026】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
1)レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、2)過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および3)医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が前記局所用組成物の安定性に寄与する約3から約8の最終pHを有する、
局所用組成物に関する。
【0027】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の主題は、皮膚疾患または状態を治療するための局所用組成物であって、
1)レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、2)過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および3)医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物が、15℃以下の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定である、
局所用組成物に関する。
【0028】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において使用されるように、「ざ瘡」の用語は、面皰、丘疹、小膿疱、炎症性小結節、表面膿充満嚢胞(superficial pus-filled cysts)、および(極端な場合には)疎通性の(canalizing)、深い、炎症化した、時に化膿性嚢を特徴とする毛嚢脂腺の一般の炎症性疾患について言う。本発明の主題の範囲内のざ瘡の種類としては、尋常性ざ瘡または局所性ざ瘡などがある。「ざ瘡」は、ホルモン、ケラチン、皮脂、および細菌間の相互作用によって引き起こされる。1つの一般的な細菌原因物質は、プロピオニバクテリウム・アクネスである。
【0029】
本明細書において使用されるように、「投与する」、「投与」などの用語は、健全な医療または美容行為において、皮膚病、皮膚状態、または皮膚外観に好ましい効果を与えるような仕方で対象に該組成物を送達する任意の方法について言う。該組成物は、好ましくは、治療される全体領域に及ぶように投与される。「直接投与」は、健全な医療または美容行為において、別の組成物、送達剤、または装置を使用することなく、対象に組成物を送達する任意の方法について言う。「間接投与」は、健全な医療または美容行為において、少なくとも1つの他の組成物、送達剤、または装置を使用して、対象に組成物を送達する任意の方法について言う。
【0030】
本明細書において使用されるように、「商業的目的」の語句は、出荷時期、保存、流通、および冷蔵を含むFDA規則に従う任意の長さの時間または保存条件を必要とする任意の目的について言う。
【0031】
本明細書において使用されるように、活性剤もしくは活性成分、または医薬活性剤もしくは医薬活性成分の「有効量」または「治療有効量」の語句は、本明細書においては同義語であるが、適用領域に好ましい効果を示すのに十分な量の医薬活性剤の量について言う。したがって、これらの量は、健全な医療または皮膚科の診断の範囲内で、治療される皮膚疾患、皮膚状態、または皮膚外観を改変するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分低い。治療有効量の医薬活性剤は、期間中に繰り返し適用される場合、症状の実質的な緩和をもたらす。有効量の医薬活性剤は、治療している具体的状態、病態の重症度、治療期間、使用組成物の具体的成分などの要因によって変化する。
【0032】
本明細書において使用されるように、「長期間」の語句は、本発明の好ましい組成物の保存寿命について言うものであり、薬局での棚にある時間ならびに該組成物販売後の全体期間(その間、組成物は示された使用に対して有効性を保持する)を含む。
【0033】
本明細書において使用されるように、「ラベル表示」の語句は、販売用医薬製品に添付のラベルまたは印刷物上に作成された説明について言う。この点で、「ラベル表示」の語句は、その製品中にある任意の活性成分の量についての医薬製品のラベル、包装、および/または印刷物上の表示を含むことを意図する。
【0034】
本明細書において使用されるように、「小児科の」の用語は、子供の治療に関連する医学分野、および特に、子供または非成人患者に対する様々な具体的治療について言う。この点で、小児治療は、18歳までの年齢の患者について主に意図する。
【0035】
本明細書において使用されるように、「医薬上許容される塩」の語句は、活性化合物と同じ薬理学的活性を有し、生物学的にも他の点においても望ましくなくない活性化合物の塩について言う。塩は、例えば、有機酸または無機酸を用いて形成することができる。好適な酸の非限定的な例としては、酢酸、アセチルサリチル酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、重亜硫酸(bisulfic acid)、ホウ酸、酪酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グリセリン酸、グリセロリン酸、グリシン、グルコヘプタン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、ヘミ硫酸(hemisulfic acid)、ヘプタン酸、ヘキサン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフチレンスルホン酸(naphthylanesulfonic acid)、ナフチル酸(naphthylic acid)、ニコチン酸、亜硝酸、シュウ酸、ペラルゴン酸、リン酸、プロピオン酸、サッカリン、サリチル酸、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、チオグリコール酸、チオ硫酸、トシル酸、ウンデシレン酸、天然および合成由来アミノ酸などがある。
【0036】
塩基塩(base salts)の非限定的な例としては、アンモニウム塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩およびカリウム塩など;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩など;有機塩基の塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩など;メチル−D−グルカミン;ならびにアミノ酸の塩、例えばアルギニン、リジンの塩などがある。また、塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物など;硫酸ジアルキル、例えばジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルの硫酸塩など;長鎖ハロゲン化物、例えばデシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物;喘息ハロゲン化物(asthma halides)、例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物;ならびにその他のものなどの薬剤を用いて四級化することができる。水溶性または油溶性または分散性の製品がそれによって得られる。
【0037】
本明細書において使用されるように、「冷蔵」または「冷蔵温度」の語句は、約15℃以下の温度について言う。
【0038】
本明細書において使用されるように、「室温」の語句は、約20℃から約25℃の温度について言う。
【0039】
本明細書において使用されるように、「感受性」の用語は、感受性、炎症、刺激などを測定する好適なアッセイのパラメータによって例示されるような、皮膚刺激または皮膚炎症の度合について言う。このようなアッセイの1つは、Jordan−Kingアッセイである。
【0040】
本明細書において使用されるように、「保存安定(storage stable)」または「保存安定(storage-stable)」の語句は、同義的に使用され、本発明の組成物がその有効性および医薬上許容される外観を維持する期間中の、薬局での棚で費やされる期間ならびに該組成物の販売後の全体の期間を含む長い保存寿命を有する該組成物の能力について言う。したがって、本発明の組成物は、安定であり、長期間の保存の間、最小量の劣化を示す。
【0041】
本明細書において使用されるように、皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態の「治療」または「治療する」は、少なくとも1つのその症状の緩和、その重症度の減少、またはその進行の遅延、予防、もしくは阻止を包含する。治療は、病、疾患、または状態が完全に治癒されることを必ずしも意味しない。本明細書において有用な組成物は、皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態の重症度を減少させ、それに伴う症状の重症度を減少させ、患者の生活の質を改善し、あるいは皮膚病、皮膚疾患、もしくは皮膚状態の発病を遅延させ、予防し、または阻止することだけを必要とする。
【0042】
本明細書において使用されるような他の用語は、当該技術分野でよく知られた意味によって定義されることを意味する。
【0043】
(局所組成物)
本明細書において表される発明の主題は一般に、皮膚疾患、皮膚病、または皮膚状態を治療するための様々な局所用組成物、およびそれを使用するこのような皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態を治療するための方法に関する。
【0044】
この点で1つの好ましい態様において、本発明の主題は、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含む局所用組成物に関する。好ましい実施形態において、該局所用組成物は約3から約8の最終pHを有するように製剤される。
【0045】
本発明の主題の特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、保存安定混合物を得る前の過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有するように製剤される。他の特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、過酸化ベンゾイル、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上が、固体または半固体成分にカプセル化されるかまたは取り込まれるように製剤される。
【0046】
本発明の主題の別の他の特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、存在する活性成分から形成される劣化物の量を最小にするように製剤される。この点で、本明細書における好ましい組成物は、好ましくは、過酸化ベンゾイル、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の成分の各々の濃度を、これらの成分の各々についてのラベル表示の少なくとも90%である濃度に有効に維持することができる。
【0047】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、過酸化ベンゾイル、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の成分の各々の濃度を、これらの成分の各々についてのラベル表示の少なくとも90%である濃度に、冷蔵下または室温でのいずれかで少なくとも30日間維持することができる。さらなる好ましい実施形態において、本発明の組成物は、活性成分のこれらの濃度を冷蔵下または室温でのいずれかで少なくとも60日間維持することができる。別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、活性成分のこれらの濃度を冷蔵下または室温でのいずれかで少なくとも90日間維持することができる。なお別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、活性成分のこれらの濃度を冷蔵下で少なくとも6カ月間維持することができる。
【0048】
本発明の主題のさらなる他の特に好ましい実施形態は、製品安定性に寄与するのに十分な約3から約8の最終組成物pHでこれらの活性成分の各々を含む局所用組成物に関する。別の他の実施形態は、15℃以下の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定である組合せ組成物に関する。
【0049】
本発明の組成物の過酸化ベンゾイル成分は、好ましくは、溶液、分散液、または懸濁液として形成される初期の過酸化ベンゾイル含有組成物に導入する。この過酸化ベンゾイルは、医薬品グレードである。この過酸化ベンゾイルは、本発明の主題による処理の間にその粒度を適宜減少させてもよい細分化粉末のスラリーの形態、または水和顆粒状物質の形態であってもよい。好適な過酸化ベンゾイル成分の調製は、医学文献および特許文献に十分に記載されている。
【0050】
本発明の組成物の過酸化ベンゾイル成分は一般に、全組成物の約0.1重量%から約10重量%の過酸化ベンゾイルの量で存在する。好ましい実施形態において、該組成物は、全組成物の約0.5重量%から約5重量%の過酸化ベンゾイルを含む。さらに、本発明の組成物は、好ましく、過酸化ベンゾイルについてのラベル表示の少なくとも90%である過酸化ベンゾイルの濃度を有効に維持することができる点で特異である。
【0051】
この実施形態によれば、混合前の、初期過酸化ベンゾイル含有組成物は、約25,000から約1,250,000センチポアズの好ましい粘度を有する。
【0052】
別の好ましい実施形態において、過酸化ベンゾイルの粒度は、本発明の組成物中に含まれる前に減少させることができる。粒度のこのような減少は、粉砕工程または微分化工程を含む処理などの処理によって、あるいは溶媒の使用によって実施することができる。
【0053】
本発明の組成物の抗生物質成分は一般に、全組成物の約0.5重量%から約3重量%の量で存在する。さらに、本発明の組成物は、好ましくは、クリンダマイシンについてのラベル表示の少なくとも90%である抗生物質の濃度を有効に維持することができる点で特異である。
【0054】
皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態を治療するのに有用として知られる任意の広範で様々な抗生物質は、本発明の組成物中に含まれ得るものとして企図される。この点で、本発明の組成物に有用な抗生物質の好ましい非限定的な例としては、クリンダマイシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、リンコマイシン、アジスロマイシン、カルボマイシン、クロルテトラサイクリン、クラリスロマイシン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシン、ジョサマイシン、カナマイシン、ロイコマイシン、メオマイシン(meomycin)、メタサイクリン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、プリマイシン、リボスタマイシン、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルファセタミド、スルファベンザミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、トブラマイシン、トロレアンドマイシン、その塩、そのエステル、その誘導体、およびその混合物などがある。クリンダマイシン、エリスロマイシン、およびテトラサイクリン、ならびにその塩または誘導体が、この点で特に好ましい。最も好ましい実施形態において、該抗生物質はクリンダマイシンまたはその塩もしくは誘導体である。
【0055】
この点で、本発明の組成物の抗生物質成分は、好ましくは、クリンダマイシンの医薬品グレードの塩またはエステルである。クリンダマイシンの医薬上許容される塩またはエステルは、望ましい薬理学的活性を有し、かつ生物学的にもその他の点でも望ましくなくないものについて言う。リン酸クリンダマイシン(エステル)および塩酸クリンダマイシン(塩)は、ゲル化剤との相溶性および局所使用の広範な来歴のために、本発明の組成物中に使用することができる好ましい医薬上許容されるクリンダマイシンの塩およびエステルである。
【0056】
本発明の組成物のレチノイド成分は、好ましくはレチノイドの医薬品グレードの塩である。レチノイドの医薬上許容される塩、エステル、または誘導体は、望ましい薬理学的活性を有し、かつ生物学的にも他の点でも望ましくなくないものについて言う。本発明の組成物のレチノイド成分は一般に、全組成物の約0.01重量%から約1.5重量%の量で存在する。特に好ましい実施形態において、レチノイドは、全組成物の約0.01重量%から約0.5重量%の量で存在する。
【0057】
さらに、本発明の組成物は、好ましくは、レチノイドについてのラベル表示の少なくとも90%であるレチノイド濃度を有効に維持することができる点で特異である。
【0058】
別の好ましい実施形態において、レチノイドの粒度は、本発明の組成物中に含まれる前に減少させることができる。粒度のこのような減少は、粉砕工程もしくは微粉化工程を含む処理などの処理によって、または溶媒の使用によって実施することができる。
【0059】
皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態を治療するのに有用であるとして知られる任意の広範な様々なレチノイドが、本発明の組成物中に含まれ得るものとして企図される。この点で、本発明の組成物における有用なレチノイドの好ましい非限定的な例としては、タザロテン、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン、ベキサロテン、アリトレチノイン、ビタミンA、レチノール、レチナール、レチニルパルミタート、レチニルアセタート、エチル 5−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)エチニル)チオフェン−2−カルボキシラート、6−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル)−3−ピリジルメタノール、2−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル)−5−ピリジンカルボキシアルデヒド、その塩、その誘導体、およびその混合物などがある。タザロテン、レチノイン酸、トレチノイン、およびイソトレチノイン、およびその塩もしくは誘導体、特にレチノイン酸、トレチノイン、またはイソトレチノインの塩もしくは誘導体が、この点で特に好ましい。最も好ましい実施形態において、レチノイドはタザロテンである。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明の組成物における過酸化ベンゾイル、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上は、最終組成物中に含まれるようにするために固体または半固体成分にカプセル化されるかまたは取り込まれる。活性成分のこのカプセル化または取り込み化は、レチノイド、抗生物質、および過酸化ベンゾイル成分間の反応を抑制するのに役立つことができ、したがって全体としてこれらの各成分および組成物の保存安定性を促進する。
【0061】
したがって、本発明の主題の好ましい実施形態はさらに、治療を必要とする患者のざ瘡治療のための方法であって、過酸化ベンゾイル、抗生物質、およびレチノイドの組合せを前記患者に投与する段階を含み、前記組合せが、低濃度の、リンコマイシンリン酸スルホキシド、リンコマイシンスルホキシド、クリンダマイシンリン酸スルホキシド、クリンダマイシンスルホキシド、タザロテンスルホキシド、タザロテンスルホン、安息香酸、およびその混合物を含む方法に関する。
【0062】
さらなる好ましい実施形態において、この固体または半固体成分は、ヒトの体温などの哺乳動物の体温位の温度に融点を有する。この点で有用な具体的な固体および半固体成分は、The Merck Index、第13版、Budavariら編、Merck&Co.,Inc.、Rahway、N.J.(2001年);the CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第10版(2004年);および「Inactive Ingedient Guide」、U.S.Food and Drug Administration(FDA)Center for Drug Evaluation and Research(CDER)Office of Management、http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/iig/index.cfmに記載されているものなど(これらは、その内容が参照により本明細書に全体的に組み込まれる)、当業者によく知られている。
【0063】
同様に、好ましい実施形態において、過酸化ベンゾイル、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上は、溶液、懸濁液、または分散液中の最終組成物に存在し得る。この点で、特に好ましい実施形態において、過酸化ベンゾイル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩は懸濁液中にあり、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステルは溶液中にある。
【0064】
いったんすべての成分が混合されると、本明細書における好ましい最終組成物は、約20,000から約1,000,000センチポアズの最終粘度を有する。特に好ましい実施形態において、最終組成物は、約40,000から約500,000センチポアズの最終粘度を有する。初期過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低いこの最終粘度は、本発明の組成物が当該技術分野で既に知られた組成物に比べて、一緒に混合することが容易であり、劣化物が少なく、より大きい均一度を有することを示す。
【0065】
好ましい実施形態において、最終組成物は約3から約8の最終pHを示す。特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は約3.5から約5.5の最終pHを示す。この狭く調整されたpHは、当該技術分野で既に知られたものと比較した、本発明の組成物の進んだ保存安定性に対する原因の1つである。この点で、本発明の好ましい組成物は、上限約25℃までの温度で少なくとも30日間またはそれ以上保存安定性を保持することができる。特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は上限約30℃までの温度で少なくとも30日間保存安定性を保持することができる。別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は上限約25℃までの温度で少なくとも約60日間保存安定性を保持することができる。
【0066】
他の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、15℃以下の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定性を保持することができる。この点で、特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約2℃から約8℃の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定性を保持することができる。とりわけ好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約2℃から約8℃の冷蔵温度で少なくとも6カ月間保存安定性を保持することができる。別のとりわけ好ましい実施形態において、本発明の組成物は、約2℃から約8℃の冷蔵温度で少なくとも12カ月間保存安定性を保持することができる。
【0067】
別の他の実施形態において、本発明の組成物は、約0℃未満、約2℃から約8℃、約8℃から約15℃、約23℃から約27℃、上限約25℃、および約15℃から約30℃のフリーザー条件からなる群から選択される条件下で保存安定性を保持することができる。
【0068】
本発明の好ましい組成物は、過酸化ベンゾイル、抗生物質、およびレチノイドの相対的な不相溶性にもかかわらず、調剤時に配合を必要とせず、保存温度に依存する長期間に渡って安定性を維持する。これは、当該技術分野において現在知られている製剤に対して明らかな利点である。
【0069】
本発明の組成物は、1日当たり1回または1日当たり2回の投与のいずれかのために製剤してもよい。好ましい実施形態において、1日当たり1回の投与は、服用遵守を高めるために、そして皮膚状態の炎症を減少させるのに最も好都合となるように、夕方または夜間である。
【0070】
(医薬上許容される担体)
初期過酸化ベンゾイル含有組成物、ならびに該最終組成物は、溶液、ゲル、クリーム、ローション、懸濁液、乳剤、軟膏、スプレー、泡状物質、ペースト、またはその任意の組合せの形態を取ることができる。液体および香油を含む、当業者に知られている他の美容トリートメント組成物は、本発明の主題の範囲内に入るようにさらに企図される。したがって、本発明の組成物には、所望の特定剤形を提供するために好適な任意の医薬上許容される担体がさらに含まれる。
【0071】
水中油型または油中水型などの乳剤、ならびに局所用製剤のための基剤(ビヒクルまたは担体)は、活性成分の有効性を提供するように、および/または基剤の成分もしくは活性成分によって引き起こされるアレルギー反応および刺激反応(例えば、接触性皮膚炎)を回避するように選択することができる。
【0072】
したがって、本発明の組成物は、乳化剤を場合によってさらに含んでもよい。この点で有用な乳化剤の非限定的な例としては、グリコールエステル、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビトールのエステル、ソルビタン無水物のエステル、カルボン酸コポリマー、グルコースのエステルおよびエーテル、エトキシル化エーテル、エトキシル化アルコール、アルキルホスフェート、ポリオキシエチレン脂肪族エーテルホスフェート、脂肪酸アミド、アシルラクチレート、石鹸、その誘導体、およびその混合物などがある。
【0073】
この点で、本発明の組成物において有用な乳剤の具体的で、非限定的な例としては、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウラート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、ステアレス−2、ステアレス−20、ステアレス−21、セテアレス−20、PPG−2 メチルグルコースエーテルジステアラート、セテス−10、ポリソルベート80、セチルホスフェート、セチルリン酸カリウム、セチルリン酸ジエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、PEG−100ステアラート、トラガカントゴム、ポリ(アシルアミド−b−アクリル酸)、10−30アルキルアクリラート クロスポリマー、その誘導体、およびその混合物などがある。
【0074】
本発明の組成物において有用なクリームはまた、油と水の半固体乳剤であってもよく、皮膚に塗り付ける場合に、容易に塗布することができ、肌になじんで消える(vanish)。
【0075】
本発明の組成物において有用なローションとしては、水またはアルコール基剤中の粉末物質(例えば、カラミン)の懸濁液などの比較的古い定義、および水性乳剤などの現代のローション(例えば、一部のコルチコステロイド)などがある。ローションは適用に都合よく、また冷たく感じるので、急性炎症性病変および滲出性病変を乾燥させるのに役立つ。
【0076】
有用な軟膏は、油性であり、水を(もし含むとしても)殆ど含まず;油っぽく感じるが一般に良好な耐容性を示し;特に水分を補給された皮膚に塗った場合に、潤滑化に用いるのに最適であり;これらは厚いかさぶた、苔癬化した皮膚部分、または堆積鱗屑を有する損傷にとって好ましく、そして浸食された損傷または口の開いた損傷(例えば、鬱血性潰瘍)用のクリームより刺激性が少ないこともある。軟膏中の薬剤は、クリーム中の薬剤よりもしばしばよく効く。
【0077】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ゲルの形態を取ってもよい。この点で、本発明の組成物は、ゲル化剤および/または増粘剤を含み得る。本発明の組成物において有用であり得る好適なゲル化剤および/または増粘剤としては、中性、アニオン性、およびカチオン性ポリマーなどの水性増粘剤、およびその混合物などがある。本発明の組成物において有用であり得る例示的なポリマーとしては、カルボキシポリメチレンなどのカルボキシビニルポリマーなどがある。好ましい増粘剤は、カルボマー、例えば、Noveon Inc.、Cleveland、OHから市販されているようなCarbopol(登録商標)ブランドのCarbopol polymerである。この点で有用な他の例示的なポリマーとしては、ポリスチレン/ミクロスポンジ/Carbopol(登録商標)の混合物として形成されるポリマーなどの親水性/疎水性グラフトコポリマーなどがある。この点で、このような1つのポリマーは、ジメチルアクリルアミド/アクリル酸/ポリスチレンエチルメタクリラート コポリマー、例えば、Polytherapeutics,Inc.、Brigdewater、N.J.から市販されているようなPharmadur(登録商標)コポリマーである。
【0078】
本明細書において有用である好適な増粘剤の他の非限定的な例としては、セルロース系ポリマー(例えば、アラビアゴム(gum arabic、gum acacia)、トラガカントゴム、イナゴマメゴム、グアールガム、ヒドロキシプロピルグアール、キサンタンガム、セルロースガム、スクレロチウムガム、カラギーナンガム、カラヤゴム、セルロースガム、ロジン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、ヒドロキシプロピル スターチホスフェート、ジスターチホスフェート、ジスターチジメチレン尿素、アルミニウムスターチオクテニルスクシネート、マルトデキストリン、デキストラン、ポリアクリルアミド、PEG−150ジステアラート、PEG−150/デシルアルコール/SMDI コポリマー、PEG−150/ステアリルアルコール/SMDI コポリマー、PEG−180/ラウレスー50/TMMG コポリマー、ポリエーテル1、アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸 コポリマー、アクリラート/C10−30アルキルアクリラート クロスポリマー、アクリラート/ベヘネス−25メタクリラート コポリマー、アクリラート/ステアレス−20メタクリラート コポリマー、アクリラート/ステアレス−20 コポリマー、アクリラート/VA クロスポリマー、アクリル酸/アクリロナイトロジェン(acrylonitrogen) コポリマー、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス−25メタクリラート コポリマー、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VP コポリマー、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(および)アクリル酸ナトリウム コポリマー、PVM/MAデカジエン クロスポリマー、アルギン酸、プロピレングリコールアルギネート、ジメチコン、シリカジメチルシリレート、ジメチルアクリルアミド/アクリル酸/ポリスチレンエチルメタクリラート コポリマー、その誘導体、およびその混合物などがある。ポリアクリル酸ポリマーなどの他の一般的な増粘剤および/またはゲル化剤は、本明細書においてさらに有用であり得る。これらの増粘剤および/またはゲル化剤は、最終組成物が取る形態にかかわらず、本発明の組成物に存在する可能性がある。
【0079】
任意の他の非毒性で不活性かつ有効な担体は、本発明の好ましい組成物を製剤するために使用してもよい。ヒトに投与するための他の治療化合物を製剤するために使用されるよく知られた担体は特に、本発明の組成物において有用である。この点で、医薬上許容される担体、賦形剤および希釈剤は、当業者によく知られており、例えば、The Merck Index、第13版、Budavariら編、Merck & Co.,Inc.、Rahway、N.J.(2001年)に記載されているものであり、これは参照により全体的に本明細書に組み込まれる。このように有用な医薬上許容される賦形剤、担体および希釈剤の例としては、蒸留水、生理学的食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス溶液およびDMSOなどがあり、これらは本発明における使用のために好ましいものの中に含まれる。
【0080】
これらのさらなる成分、ならびに有効な製剤および投与手順は当該技術分野においてよく知られており、Goodman and Gillman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Gilmanら編、Pergamon Press(1990年)およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa(1990年)などの標準教科書に記載され、これら双方は参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
【0081】
本発明の好ましい組成物によって使用され得る好ましい賦形剤の例としては、限定されないが、カルボマー、ポリアクリル酸ポリマー、グリセリン、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、アルキルパラベン、精製水、およびその混合物などがある。
【0082】
本発明の局所組成物において場合によって提供され得る他の成分としては、プロピレングリコールなどの保湿剤;アルコールなどの溶媒(僅少(de minimis));二酸化チタン、酸化亜鉛、および炭酸カルシウムなどのサンフィルター;ならびにメチルバラベンおよびプロピルパラベンなどの抗菌保存剤などがある。該局所組成物はまた、水酸化ナトリウムなどの有機塩基または無機塩基を含んでもよく、これは初期成分および最終製品のpHを調整するために使用される。
【0083】
この点で、本明細書において検討される好ましい組成物は、1種以上の皮膚学的に許容される賦形剤の残量をさらに含むことができる。これら組成物において有用な皮膚学的に許容される賦形剤の好ましい非限定的な例は、界面活性剤、保存剤、エモリエント、保湿剤、流動性アルキルアルコール、増粘剤、乳化剤、懸濁化剤、pH調整剤/緩衝剤、キレート剤、サンフィルター、その誘導体、およびその混合物からなる群から選択される。本発明の組成物は、皮膚学的に許容される賦形剤の1つとして抗酸化剤を場合によってさらに含んでもよいが、この点で、抗酸化剤の使用は特に好ましくはない。
【0084】
したがって、任意の界面活性剤、保存剤、エモリエント、保湿剤、流動性アルキルアルコール、増粘剤、乳化剤、懸濁化剤、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、サンフィルター、または局所組成物に有用であるとして当業者に一般に知られている他の皮膚学的に許容される賦形剤は、本明細書において記載される組成物に有用であるとして企図される。さらに、任意の非毒性、不活性、および有効な局所用担体を、本明細書において記載される組成物を製剤するために使用してもよい。ヒトに投与するための他の局所用治療組成物を製剤するために使用されるよく知られた担体は、これらの組成物において有用である。当業者によく知られたこれらの成分の例は、The Merck Index、第13版、Budavariら編、Merck & Co.,Inc.、Rahway、N.J.(2001年);the CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、第10版(2004年);および「Inactive Ingedient Guide」、U.S.Food and Drug Administration(FDA)Center for Drug Evaluation and Research(CDER)Office of Management、http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/iig/index.cfmに記載され、これらの内容は参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
【0085】
重症例において、ざ瘡が乾癬、アトピー性皮膚炎、紅斑性狼瘡、および慢性手皮膚炎などの他の徴候または状態と同時に存在する場合には、密封療法が有用であることがある。通気性のない密封包帯で治療部位を被覆することにより、本発明の組成物の吸収および有効性を増加させることができる。通常、ポリエチレンフィルム(プラスチック家庭用ラップ)をクリームまたは軟膏の上に当てて一晩使用するが、これは密封療法用のローションよりも刺激が少ない傾向がある。プラスチックテープを薬剤で含浸させてもよく、またプラスチックテープは孤立性または難治性の損傷を治療するのに特に都合がよく;小児および(頻度は低いものの)成人は、広範囲部位に対する長期密封療法の後に下垂体および副腎の抑制を経験することがある。
【0086】
他の実施形態において、本発明の主題はさらに、皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所組成物に関し、1)レチノイドもしくは医薬上許容されるその塩、2)過酸化ベンゾイル含有組成物あるいは抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステルのいずれか、および3)医薬上許容される担体の保存安定混合物を含む。好ましい実施形態において、該組成物は、約3から約8の最終pHを示すように製剤される。
【0087】
(さらなる活性成分)
過酸化ベンゾイル、抗生物質、およびレチノイドに加えて、本発明の組成物は皮膚疾患または皮膚状態の局所治療において有用として当業者に容易に知られている他の活性成分をさらに含んでもよい。例示的なさらなる活性成分としては、限定されないが、他のマクロライド系抗生物質、殺菌剤、静菌剤、清浄剤、吸収剤、抗感染症剤、抗炎症剤、アストリンゼント(タンパク質を沈殿させ、皮膚を収斂させ、引き締める乾燥剤)、エモリエント(皮膚軟化剤)、モイスチャライザー、角質溶解剤(軟化させ、緩めて、表皮の扁平上皮細胞の剥離を容易にする薬剤)、およびその混合物などがある。
【0088】
本発明の主題の範囲内として企図される例示的なさらなるマクロライド系抗生物質としては、限定されないが、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リンコマイシン、およびその混合物などがある。マクロライド系抗生物質は、構造および活性において類似している。マクロライド系抗生物質はすべて、容易に吸収され、すべては主に静菌性であり、リボソームの50Sサブユニットに結合し、したがって、細菌のタンパク質合成を阻害する。これらの薬剤は、通常、腸球菌を除く好気性および嫌気性グラム陽性球菌、ならびにグラム陰性嫌気性菌に対して活性であり、本発明の組成物において有用である。
【0089】
本発明の主題の範囲内として企図される例示的な殺菌剤(すなわち、これらは細菌を殺傷する)としては、限定されないが、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、およびポリミキシンなどがある。
【0090】
本発明主題の範囲内として企図される例示的な静菌剤(すなわち、これらは細菌増殖を遅延させる)としては、限定されないが、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、およびスルホンアミドなどがある。しかし、一部の殺菌剤は特定の微生物に対し静菌性であることがあり、また逆も同様であることがよく知られている。これらの薬剤は当該技術分野においてよく知られており、例えば、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、第13版、13節、153章 Anti−bacterial Drugs、2001年に見出すことができ、これは参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
【0091】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、皮膚病、皮膚疾患、または皮膚状態の治療においてそれらの有効性を高めるためにさらなる医薬剤形と組み合わせて使用してもよい。この点で、本発明の組成物は、皮膚疾患の治療に有効であるとして当該技術分野で知られている任意の他の医薬形態および/または医薬剤形をさらに含む投薬計画の一部として投与してもよい。したがって、さらなる活性成分またはさらなる医薬剤形を、本明細書に記載される好ましい組成物と一緒に、直接もしくは間接に、および同時にもしくは逐次的に、のいずれかで患者に適用することができる。
【0092】
この点で1つの実施形態において、本発明の組成物およびさらなる医薬剤形を、同時に患者に投与することができる。他の実施形態において、本発明の組成物およびさらなる医薬剤形の1つを朝に、およびもう1つを夕方に投与することができる。
【0093】
別の好ましい実施形態において、さらなる医薬剤形は、経口医薬剤形であることができる。この点で、本局所用剤形は、経口薬剤の摂取前、同時、または後に患者の標的部位に適用することができる。
【0094】
さらに、該製剤は、通常の石鹸、および肌にやさしい洗浄剤を用いた予備洗浄などの他の補助療法および補助治療と一緒に使用してもよい。しかし、抗菌石鹸および研磨剤入り石鹸は刺激を増加させ、毛包用薬剤(follicular drugs)の使用を困難にするので、ざ瘡などの皮膚疾患を治療する場合には選択が重要である。このような毛包用薬剤としては、局所抗生物質および消毒薬、および病巣内コルチコステロイドを含み得る。
【0095】
浅在性膿疱性ざ瘡において、局所用の過酸化ベンゾイル/抗生物質/レチノイド組成物を毛包用薬剤の1つと併用して使用してもよい。
【0096】
別の併用療法には、アゼライン酸クリーム20%が含まれ、これは抗増殖効果および抗菌効果を有し、面皰性ざ瘡または炎症性ざ瘡に有効であることが知られている。
【0097】
浅在性膿疱性ざ瘡を治療する場合に、OTC薬、様々な硫黄−レゾルシノールの組合せ、および経口抗生物質を含む他の局所用薬剤もまた、本発明の組成物と併用して役立つ可能性もある。
【0098】
(使用の方法)
本発明の主題はまた、治療の必要がある患者に上記局所組成物の1つを皮膚疾患の治療に有効な量で局所的に投与することによって患者の皮膚疾患または皮膚状態を治療するための方法に関する。
【0099】
本方法によって治療できる皮膚疾患または皮膚状態としては、限定されないが、細菌感染症および組織の炎症などがある。細菌感染症は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、およびその組合せによって引き起こされ得る。本発明の組成物によって治療できる例示的な具体的細菌としては、限定されないが、P.acnes、 Strep.pyogenes、 E.coli、 Pseudomonas aeruginosa、 Staph.aureus、およびその組合せなどがある。
【0100】
本発明の組成物によって治療できる例示的で非限定的な具体的皮膚疾患、皮膚病または皮膚状態としては、限定されないが、ざ瘡、膿痂疹、酒さ、乾癬、皮膚炎、二次皮膚感染症、反応性皮膚病、およびその組合せなどがある。本発明の組成物によって治療できる他の具体的皮膚疾患としては、脂漏症、皮膚損傷、アトピー性皮膚炎、および細菌性皮膚感染症などがある。好ましい実施形態において、皮膚疾患または皮膚状態は、本発明の組成物による治療の後に改善する。
【0101】
別の好ましい実施形態において、本発明の主題はさらに、治療が必要な患者のざ瘡治療のための方法であって、冷蔵された、過酸化ベンゾイル、抗生物質、およびレチノイドの組合せを該患者に投与する段階を含む方法に関する。この組合せは、下記に提示されたデータに従って、特有の分解プロファイルを示す。
【0102】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、小児および成人患者の双方の治療のために意図される。この点で、小児患者は通常18歳までである。別の好ましい実施形態において、治療される成人患者は、19歳から85歳である。特に好ましい実施形態において、治療される成人患者は19歳から45歳である。なお別の好ましい実施形態において、治療される患者は19歳から25歳である。
【0103】
(調製工程)
本発明の主題はさらに、過酸化ベンゾイル懸濁液、抗生物質または医薬上許容されるその塩、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体を含む局所用組成物を調製するための工程に関する。
【0104】
本発明の好ましい工程は、様々な段階で実施することができる。好ましい1つの段階は、過酸化ベンゾイル中間体組成物、レチノイド中間体組成物、および抗生物質溶液を別々に調製することを必要とし、これの各々は約15℃から約30℃の温度で調製される。
【0105】
好ましい工程段階において、過酸化ベンゾイル中間体組成物のpHは、約3から約8の最終pHを有する局所用組成物を生成するために十分な条件下でレチノイド中間体組成物および抗生物質溶液と一緒に混合する前に調整してもよい。好ましくは、このように形成される該組成物は、治療期間に保存安定性および有効性を提供するために十分な不活性成分を含む。
【0106】
他の実施形態において、該組成物に存在するレチノイドは、カプセル化または捕捉取り込み化することができる。これは好ましくは、哺乳動物の体温位の温度に融点を有し得る固体または半固体で行われる。さらなる他の実施形態において、過酸化ベンゾイル中間体組成物中に存在する過酸化ベンゾイルもしくは抗生物質溶液中に存在する抗生物質、またはこれら3つの任意の組合せもしくはその任意の混合物のいずれかを、混合する前に固体もしくは半固体物質にカプセル化または取り込み化することができる。このカプセル化または取り込み化の段階は、本発明の局所組成物の保存安定性を促進することができる。
【0107】
さらなる他の実施形態において、過酸化ベンゾイル中間体組成物およびレチノイド中間体組成物は、抗生物質溶液とのこれらの混合前に別々に粉砕することができる。
【0108】
好ましい実施形態において、本工程によって作製される最終組成物は、過酸化ベンゾイル中間体組成物の粘度より低い粘度を有する。
【0109】
本工程は、好ましくは、該組成物が作製されるかまたは製造される時点で、約0.15重量%以下の過酸化ベンゾイル不純物または分解物、約0.01%重量%以下の抗生物質不純物または分解物、および約0.001重量%以下のレチノイド不純物または分解物を有する組成物を生じ得る。
【0110】
これらの工程によって製造される組合せは、室温(例えば、22℃)、および相対湿度すなわち周囲湿度で最低1カ月間安定性を維持することができる。
【0111】
(投与経路/投薬量)
有効であるためには、本方法において使用される組成物のための投与経路および医薬組成物は、直ちに標的部位に作用しなければならない。特に、ざ瘡は、顔、首、背中、耳、および頭皮に影響を与えることが知られている。
【0112】
抗生物質、過酸化ベンゾイル、およびレチノイドについての投薬量レベルは、当該技術分野においてよく知られており、上記状態の治療を最大化するために選択される。任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、様々な要因、例えば、使用される具体的化合物の活性;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性および食事;投与時間;排泄速度;薬剤の組合せ;治療されている特定の疾病の重症度;および投与形態に依存して変化する。通常、in vitro投薬量−効果の結果は、患者投与のための適切な用量について有用な指針を与えることができる。動物モデルにおける研究も参考になる。適切な用量レベルを決定するための考慮事項は、当該技術分野においてよく知られており、本発明の主題のために本明細書において組み込まれる。
【0113】
生物学的利用能、吸収速度定数、見かけの分布容積、非結合分画、全クリアランス、不変化排泄分画、初回通過代謝、除去速度定数、半減期、および平均滞留時間などの薬物動態学的パラメータは、当該技術分野においてよく知られている。
【0114】
1日1回投与による暴露軽減は、多くの薬物動態学的パラメータに影響し、皮膚刺激および炎症ならびに本明細書において検討される他の毒性に関する課題を回避する初期機序を提供する。抗生物質、過酸化ベンゾイル、およびレチノイド組成物の利益/リスク比を計算に入れて、さらなる製剤を調製することができる。これらの化合物の毒性レベルは知られており、Cleocin T(登録商標)およびBenzaClin(登録商標)についてのパッケージ挿入物において言及され、有害事象のレベルはそれらの臨床試験から報告されており、これらのパッケージ挿入物は参照により全体的に本明細書に具体的に組み込まれる。特に、BenzaClin(登録商標)について以下の事象を有することが報告されている:乾燥皮膚(6%)、掻痒(<1%)、皮膚剥離(−)、紅斑(<1%)および日光皮膚炎(−)と報告されたビヒクルに比べて、乾燥皮膚(12%)、掻痒(2%)、皮膚剥離(2%)、紅斑(1%)および日光皮膚炎(1%)であり、すなわちビヒクルのおよそ2倍の副作用数。
【0115】
過酸化ベンゾイルは角質溶解性であり、すなわち皮膚の表面で細胞の軟化および膨潤を引き起こし、これにより皮膚の外層が剥がれ落ち、または容易に除去され得るので、過酸化ベンゾイルへの暴露を減少させることは刺激を軽減させる。適用後に、該過酸化ベンゾイルは安息香酸に転換し、抗菌特性および抗真菌特性を示す。さらに、本製剤の低いpHは、抗菌特性のみならず、皮膚にさらなる角質溶解作用を与えることができる。過酸化ベンゾイルはまた、該製剤内の保存剤として作用することもできる。クリンダマイシンなどの抗生物質は、約6.5より高いpHで分解し得るので、したがって、本明細書において記載されるように、pHがこのレベルより低く維持されることが必要である。本製剤は、これらおよび他の要因を考慮に入れ、感受性、刺激、および/または炎症を軽減するように製造される。
【0116】
本発明の組成物の1日1回量を含む単回投薬キットおよび包装を調製することができる。本明細書における混合物および組成物の単回投与容器、単位投与容器、および1日1回使い捨て容器は、本発明の主題の範囲内として企図される。
【0117】
本発明の組成物は、製品の安定性を高めるために実質的に非反応性の包装中に保存用として製剤してもよい。この新しい保存方法は、以前の紙ベースの包装と比べて製品安定性を増加させる。この点で、好ましい非反応性包装の非限定的な例としては、ガラス包装、成型プラスチック包装または軟質プラスチック包装、単回投与バイアル、アルミニウム包装、錫包装、複合厚紙包装、ラミネート包装、ラミネート小袋、ポンプ、およびその組合せなどがある。この点で有用な複合厚紙包装としては、ワックスコーティングされた厚紙包装などがある。
【0118】
好ましい実施形態において、該組成物は不活性ガスのブランケット下で非反応性包装中に保存することができる。この点で有用な不活性ガスの好ましい非限定的な例としては、窒素ガス、アルゴンガス、およびその混合物などがある。
【0119】
さらに、これらの包装システムの1つを使用することにより、初期過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩のうち任意の2つの組合せが室温で安定であるように、本発明の組成物が保存されることが可能となる。他の好ましい実施形態において、初期過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、およびレチノイドまたは医薬上許容されるその塩の少なくとも2つが冷却保存を必要とする。
【0120】
単一パケット当たりの組成物の量は、約0.1mLから約20.0mL、好ましくは約0.5mLから約5.0mLの範囲、より好ましくは約1mLから約3mLの範囲であってよい。
【0121】
別の他の実施形態において、本発明の組成物は、アプリケーターを使用して投与することができる。この点で有用なアプリケーターの非限定的な例としては、綿撤糸、綿棒、パッド、およびその組合せなどがある。これらの有用なアプリケーターは、この点で有用であるとして当業者に知られている任意の材料から作製することができ、限定されないが、ポリウレタンフォーム、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、木綿、ポリエステル、およびその組合せが含まれる。さらに、本発明の主題は、使用単位として5g未満の局所組成物の包装でこれらの局所組成物のいずれかを提供することをさらに企図する。
【0122】
適用前に予備混合または配合することを必要とせずに長期間の保存を可能とする組成物を製剤する能力がまた、本明細書において企図される。特に、本発明の組成物は、約2週間から約18カ月、好ましくは約3週間から約15カ月、より好ましくは約30日間から約12カ月を含む期間に予想外に保存安定性を保持する。
【0123】
1日1回使い捨て包装はまた、特に十代の患者の薬剤服用遵守を改善することができる。
【0124】
局所用調製物の安定性および有効性は、周囲温度または室温で少なくとも1から18カ月間継続することができる。安定性は、分解が保存温度によって遅延されるので、長期間冷蔵下で維持することができる。この安定性改善により、薬剤師および他の薬剤の調剤者に調剤時にもはや配合を必要としない製品が供される。配合をもはや必要としないので、均質性は製造時点で管理され、これは、投薬および最終的には服用遵守を改善する。
【0125】
有利なことには、最終製品は薬剤師による配合を必要としない。さらに、不純物が製品に入ってこれを汚染する機会が減少した、正確な量の服用遵守が可能である。
【0126】
該組成物を本発明特有のpHに維持することによって、過酸化ベンゾイルが抗生物質およびレチノイドを酸化し、分解する傾向が大きく克服され、本製品は長期間の室温での保存中に安定性を保持する。
【0127】
以下の実施例は、本明細書における好ましい実施形態を例証するものであり、これに本発明の主題を限定するように解釈されるものではない。ポリマー分子量はすべて、平均分子量である。パーセントはすべて、他に特記されない限り、最終送達系または調製された製剤の重量パーセントに基づき、すべての総和は100重量%に等しい。
【実施例】
【0128】
(実施例1)
過酸化ベンゾイル含有組成物、タザロテン含有組成物、およびクリンダマイシン溶液を一緒に混合し、以下の成分を有する最終組成物を調製する。
【表1】

【0129】
(実施例2)
過酸化ベンゾイル含有組成物、タザロテン含有組成物、およびクリンダマイシン溶液を一緒に混合し、以下の成分を有する最終組成物を調製する。
【表2】

【0130】
(実施例3)
過酸化ベンゾイル含有組成物、トレチノイン含有組成物、およびクリンダマイシン溶液を混合し、以下の成分を有する最終組成物を調製する。
【表3】

【0131】
(実施例4)
過酸化ベンゾイル含有組成物、トレチノイン含有組成物、およびクリンダマイシン溶液を混合し、以下の成分を有する最終組成物を調製する。
【表4】

【0132】
(実施例5)
過酸化ベンゾイル含有組成物、アダパレン含有組成物、およびクリンダマイシン溶液を混合し、以下の成分を有する最終組成物を調製する。
【表5】

【0133】
(実施例6)
表1、表2、および表3は、活性成分の安定性を示す。5.54%の過酸化ベンゾイル、0.101%のタザロテン、および1.06%のクリンダマイシンを含む組成物について分析を行った。2週および90日の終わりに測定をした。該組成物を4つの異なる温度、すなわち、6℃、25℃、30℃、および40℃で保存した。過酸化ベンゾイル、タザロテン、およびクリンダマイシンの濃度を各温度で測定した。結果は以下の通りである。
【表6】

【0134】
(実施例7)
表4、表5、および表6は、5.22%の過酸化ベンゾイル、0.103%のタザロテン、および1.06%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0135】
該組成物の2週および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表7】

【0136】
(実施例8)
表16、表17、および表18は、2.15%の過酸化ベンゾイル、0.103%のタザロテン、および1.07%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0137】
該組成物の6カ月分析を実施例4の手順に従って行った。
【表8】

【0138】
(実施例9)
表19、表20、および表21は、2.02%の過酸化ベンゾイル、0.106%のタザロテン、および1.06%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0139】
該組成物の90日および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表9】

【0140】
(実施例10)
表22、表23、および表24は、1.54%の過酸化ベンゾイル、0.105%のタザロテン、および1.04%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0141】
該組成物の90日および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表10】

【0142】
(実施例11)
表7、表8、および表9は、1.01%の過酸化ベンゾイル、0.104%のタザロテン、および1.1%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0143】
該組成物の2週、30日、90日、および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表11】

【0144】
(実施例12)
表10、表11、および表12は、1.02%の過酸化ベンゾイル、0.099%のタザロテン、および1.05%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0145】
該組成物の2週、90日、および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表12】

【0146】
(実施例13)
表13、表14、および表15は、1.04%の過酸化ベンゾイル、0.098%のタザロテン、および1.06%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0147】
該組成物の2週、90日、および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表13】

【0148】
(実施例14)
表25および表26は、0.209%のタザロテンおよび2.13%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0149】
該組成物の4週、90日、および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表14】

【0150】
(実施例15)
表27および表28は、0.109%のタザロテンおよび1.07%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0151】
該組成物の60日および90日の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表15】

【0152】
(実施例16)
表29および表30は、0.105%のタザロテンおよび1.07%のクリンダマイシンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0153】
該組成物の6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表16】

【0154】
(実施例17)
表31および表32は、2.02%の過酸化ベンゾイルおよび0.099%のタザロテンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0155】
該組成物の90日および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表17】

【0156】
(実施例18)
表33および表34は、5.18%の過酸化ベンゾイルおよび0.099%のタザロテンを含む組成物中の活性成分の安定性を示す。
【0157】
該組成物の90日および6カ月の分析を実施例4の手順に従って行った。
【表18】

【0158】
(実施例19)
患者はざ瘡を患っている。本明細書における好ましい組成物は、患者に局所投与される。患者が状態を改善または回復するであろうことが期待される。
【0159】
本発明の主題を上述のように述べてきたが、本発明の主題が様々に変更され得ることは明らかである。このような変更は本発明の精神および範囲から逸脱するとはみなされず、このような変更はすべて、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
約3から約8の最終pHを有し、前記保存安定混合物を得る前の前記過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有する
局所用組成物。
【請求項2】
1日当たり1回または1日当たり2回の投与用に製剤される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1日当たり1回の夜間投与用に製剤される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約3.5から約5.5の最終pHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
溶液、ゲル、クリーム、ローション、懸濁液、乳剤、軟膏、スプレー、泡状物質、ペースト、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
上限約25℃の温度で少なくとも30日間保存安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
約20,000から約1,000,000センチポアズの最終粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約40,000から約500,000センチポアズの最終粘度を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記過酸化ベンゾイル含有組成物が、約25,000から約1,250,000センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記混合物が、約0.1重量%から約10重量%の前記過酸化ベンゾイルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記混合物が、約0.5重量%から約3重量%の前記抗生物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記混合物が、約0.01重量%から約1.5重量%の前記レチノイドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記レチノイドが、タザロテン、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン、ベキサロテン、アリトレチノイン、ビタミンA、レチノール、レチナール、レチニルパルミタート、レチニルアセタート、エチル 5−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)エチニル)チオフェン−2−カルボキシラート、6−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル)−3−ピリジルメタノール、2−(2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル)−5−ピリジンカルボキシアルデヒド、その塩、その誘導体、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記抗生物質が、クリンダマイシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、リンコマイシン、アジスロマイシン、カルボマイシン、クロルテトラサイクリン、クラリスロマイシン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシン、ジョサマイシン、カナマイシン、ロイコマイシン、メオマイシン、メタサイクリン、ミデカマイシン、ミオカマイシン、オレアンドマイシン、オキシテトラサイクリン、プリマイシン、リボスタマイシン、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルファセタミド、スルファベンザミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、トブラマイシン、トロレアンドマイシン、その塩、その誘導体、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
界面活性剤、保存剤、エモリエント、保湿剤、流動アルキルアルコール、増粘剤、乳化剤、懸濁化剤、pH調整剤/緩衝剤、キレート剤、サンフィルター、その誘導体、およびその混合物からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
カルボマー、ポリアクリル酸ポリマー、グリセリン、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、アルキルパラベン、精製水、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびその混合物からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上が、固体または半固体成分にカプセル化されるかまたは取り込まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上が、前記保存安定混合物において、溶液、分散液、または懸濁液中にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記過酸化ベンゾイルおよび前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩が懸濁液中にあり、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩が溶液中にある、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記過酸化ベンゾイルが、処理または溶媒の使用によって減少される粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩のうち任意の2つの組合せが室温で安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の少なくとも2つが冷却保存を必要とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の1つ以上が、固体または半固体成分にカプセル化または取り込み化され、
前記局所用組成物が、約3から約8の最終pHを有する
局所用組成物。
【請求項24】
前記固体または半固体成分が、哺乳動物の体温位の融点を有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記哺乳動物がヒトである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記過酸化ベンゾイル、前記抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、および前記レチノイドまたは医薬上許容されるその塩の成分の各々の濃度を、前記成分の各々についてのラベル表示の少なくとも90%である濃度に維持する
局所用組成物。
【請求項27】
患者の皮膚疾患または皮膚状態を治療するための方法であって、治療を必要とする患者に前記皮膚疾患を治療するのに有効な量の局所用組成物を局所的に投与する段階を含み、
前記組成物が、過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記組成物が、約3から約8の最終pHを有し、前記組成物が、前記保存安定混合物を得る前の過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有する
方法。
【請求項28】
前記皮膚疾患または皮膚状態が、微生物感染症を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記皮膚疾患が、ざ瘡、膿痂疹、酒さ、乾癬、皮膚炎、二次皮膚感染症、反応性皮膚病、およびその組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記局所用組成物が、前記皮膚疾患または皮膚状態を治療するのに有効なさらなる医薬剤形と同時または逐次的のいずれかで投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記局所用組成物の安定性に寄与する約3から約8の最終pHを有する
局所用組成物。
【請求項32】
約0℃未満、約2℃から約8℃、約8℃から約15℃、約23℃から約27℃、上限約25℃、および約15℃から約30℃のフリーザー条件からなる群から選択される条件下で保存安定性を保持する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
皮膚疾患または皮膚状態を治療するための局所用組成物であって、
過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
15℃以下の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定である
局所用組成物。
【請求項34】
約2℃から約8℃の冷蔵温度で少なくとも60日間保存安定である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
患者の皮膚疾患または皮膚状態を治療するための薬物方法の準備における局所用組成物の使用であって、
前記組成物が、過酸化ベンゾイル含有組成物、抗生物質または医薬上許容されるその塩もしくはエステル、レチノイドまたは医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体の保存安定混合物を含み、
前記組成物が、約3から約8の最終pHを有し、前記組成物が、前記保存安定混合物を得る前の過酸化ベンゾイル含有組成物の粘度より低い粘度を有する
局所用組成物の使用。
【請求項36】
前記皮膚疾患または皮膚状態が、微生物感染症を含む、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記皮膚疾患が、ざ瘡、膿痂疹、酒さ、乾癬、皮膚炎、二次皮膚感染症、反応性皮膚病、およびその組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の使用。
【請求項38】
前記局所用組成物が、前記皮膚疾患または皮膚状態を治療するのに有効なさらなる医薬剤形と同時または逐次的のいずれかで投与される、請求項35に記載の使用。

【公表番号】特表2009−500336(P2009−500336A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519564(P2008−519564)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025376
【国際公開番号】WO2007/002831
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(505437103)スティーフェル ラボラトリーズ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】