説明

局所適用化粧品組成物又は医薬品組成物

局所的に塗布されるべき化粧品又は医薬品組成物であって、親水性外相と、少なくとも一つの化粧品及び/又は医薬品有効成分と、有効成分用の少なくとも一つのキャリヤ物質とを有している。キャリヤ物質はここでは、サンドイッチのように互いに上下に配置された少なくとも二つのラメラ二重膜層からなる構造体を形成し、互いに平行に並んだ隣り合う二重膜層の間には、一層の内相がそれぞれ配置される。有効成分は二重膜層内及び内相の層内に分布され、それぞれ有効成分の全濃度に対して、内相の層は2重量%から98重量%の濃度で有効成分を含有し、二重膜層は98重量%から2重量%の濃度で有効成分を含有し、及び、外相は全く又は殆んど有効成分を有しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の導入節(おいて部分)の特性を有する、局所的に適用されるべき化粧品組成物又は医薬品組成物に関連している。
【背景技術】
【0002】
局所的に適用されるべき化粧品組成物又は医薬品組成物は、様々な成分を有し且つ広く用いられていることで知られている。ここにほんの例を挙げると、典型的なオイル・イン・ウォーターエマルジョン、又はウォーター・イン・オイルエマルジョン、ゲル、軟膏、又はローションが述べられ、上述した公知の組成物に共通して、それらの課題は、局所的適用が生じる必要があった後一定時間、特定の化粧品又は医薬品有効性を保持するように配合するということである。
【0003】
局所的に適用されるべき化粧品組成物又は医薬品組成物であって、親水性外相と、少なくとも一つの化粧品及び/又は医薬品有効成分と、有効成分のために少なくとも一つのキャリヤ物質とを有し、更に、少なくとも一つのキャリヤ物質がサンドイッチのように上下に配列された少なくとも二つのラメラ二重膜層が存在しているような構造体を形成して存在するような、組成物が特許文献1に最初に述べられている。しかしながら本願と同一の出願人によるこのドイツ特許出願は、主な焦点として、親水性相が水であること、更に公知の組成物が、必須成分としてメチルグリシン、ジメチルグリシン、及び/又はメチルメチオニンを含有しなければならないことを強調している。特許文献1は、公知の組成物内でどのように医薬品有効成分が分布しているのかを未解決のままにしている。そのような説明は、同様に本願の出願人から派生している特許文献2にも見られない、というのは化粧品組成物に向けられたこの出願が、同様に主な焦点として、公知の組成物内に特にメチルグリシン、ジメチルグリシン及び/又はメチルメチオニンが含有されなければならないという事実を言及しているからである。
【0004】
この先行技術文献に加え以前出願されたが未だに公開されていない、同様に本願の出願人から派生する特許文献3であり、この出願では、局所的に適用されるべき乳児又は幼児用の組成物が以前記載され、ここで記載された公知の組成物は特に有効成分、つまり親水性液体中では殆んど溶解しない抗炎症性有効成分を有しているような文献に対して言及する。以前に出願し引き続き出願される特許文献3では、この親水性液体中では殆んど溶解しない抗炎症性有効成分が、ラメラ二重膜層を形成する材料中に均一に分散(分布)され、それによって二重膜層を取り囲んでいる親水性液体は抗炎症性有効成分を含んでいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 102 13 304 A
【特許文献2】DE 101 08 097 A
【特許文献3】DE 10 2006 015 544
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Bioelectrochemistry of Membranes」、 D. Walz, J. Teissie and G. Milazzo編, 2004年 Birkhaeuser 出版 Basel/Switzerland、特に「第3章、脂質」、著者:Alfrad Blume、第61〜152頁(更なる参考文献つき)
【非特許文献2】「Handbook of Thermal Analysis and Calorimetry」、第4巻:Macromelecules to Man.、R.B. Kemp著、1999年 Elsevier Press B. V.、アムステルダム、第109〜173頁(更なる参考文献つき)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
局所適用すべき化粧品組成物又は医薬品組成物であって、高い保存安定性を考慮に入れながら、特に著しいそれぞれ化粧品有効性又は医薬品有効性を有している組成物をもたらすという課題に本発明は基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明にしたがい、特許請求項1の特徴構成を備えた局所適用すべき化粧品組成物又は医薬品組成物によって解決される。
【0009】
局所適用すべき、新規な化粧品組成物又は医薬品組成物であって、以下に本発明組成物としてのみ省略した形でも記載される組成物は、親水性外相を有し、且つ少なくとも一つの化粧品有効成分及び/又は医薬品有効成分を更に含有している。また本発明組成物は、有効成分のために少なくとも一つのキャリヤ物質を含んでおり、当該キャリヤ物質は、サンドイッチのように上下に配列された、少なくとも二つのラメラ二重膜層を有するような構造体を形成する。本発明組成物内において互いに平行に並んだ隣り合う二重膜層間には、一層の内相がそれぞれ配置される。特許文献3とは異なり、本発明組成物中では、有効成分は二重膜層内と内相の層内に分布され、内相の層は、各々本発明組成物内に存在する全有効成分濃度に対し重量で2%から重量で98%までの濃度範囲で有効成分を含有し、且つ二重膜層は、重量で98%から重量で2%までの濃度範囲で有効成分を含有する、他方で外相、即ち今話題にしている構造体を外側から取り囲む相は、有効成分を全く又は殆んど含有していない。本発明組成物は全く又は殆んど外相に有効成分を含有しないという、前に表した説明は、とりわけ今話題にしているラメラ構造体を取り囲み且つ包埋しているように見え、且つ隣り合う二重膜層間に専ら配置された内相の層とは異なる外相には、本発明組成物中の全有効成分濃度に対し最大で5%の有効成分を検出できることを特に意味している。
【0010】
本発明組成物は利用の範囲を有している。したがって第1に、上述したような特殊な構造体のために本発明組成物は層の形で皮膚表面に吸収され、及び/又は層の形で細胞間脂質層内にはめ込まれる、その結果既に専らそこから、最適な進入のための、したがって各有効成分によって決まる有効成分の迅速な浸透に対しても理想的な条件が存在するのである。特に本発明組成物は、細胞間脂質とのその構造的類似性のせいで細胞間脂質の空隙に自身をはめ込むことに適しており、それによってここでは細胞間脂質と構造的に類似な本発明組成物との間で親密な接触が生じ、つぎには上述した有効成分の進入と浸透を加速し、それによって高い化粧品有効性及び/又は医薬品有効性を確立する。本発明組成物内では親水性二重膜層内と、隣り合う二重膜間に配置された内相の層内との両方に有効成分が分布されるという事実により、本発明組成物の適用(塗布)中に、本発明組成物の今話題にしている構造体から有効成分が皮膚表面に進入するや否や、この構造体内において連続的且つ動的な新しい均衡の回復が生じる。
【0011】
したがって、有効成分の連続的に安定した流れが、組成物から治療対象皮膚の領域内に生じ、その結果、安定した進入のせいで、本発明組成物の特に高い化粧品有効性及び/又は医薬品有効性が説明できるようになる。上述したこの有効成分の安定した進入は、局所的のみならずシステム的にも作用するかかる医薬品有効成分に対し、安定した進入の結果として安定した浸透も結果として生じるという事実の理由として考えられ、これにより上述した本発明組成物の構造体の内にはめ込まれた(包埋された)浸透性有効成分が長い期間に渡って、したがって例えば2時間から18時間の間安定した濃度で全身に有効となる。上述した、本発明組成物の構造体と表面脂肪の構造体、及び特に細胞間脂質の構造体との類似性のために、本発明組成物は、細胞間脂質内の構造的欠陥を埋め合わせ且つそこでは充填物質のように作用することが可能であり、これにより、かかる空隙はこのようにして本発明組成物によって修復され、したがって皮膚は再度健康な組織に転換され、このようにしてそれは完全な保護機能を実行することが可能となる。
【0012】
これによって皮膚はこれら空隙において高い程度まで乾燥を防ぎ、バクテリア、ウィルス、又はアレルゲンが空隙に入り込むのを防ぎ、及び適用可能であれば、そこから皮膚のより深い層内への侵入、したがって炎症性の、表面で皮膚刺激又は皮膚炎症を引き起こす原因となるものを防ぎ、そしてそれによって、全体で見て本発明組成物の高い化粧品有効性が説明できるようになる。これに加えて、本発明組成物は上述したようにダメージを与えられた皮膚の治療に対してのみに使われ得るのではなく、その特殊な構造体のために本発明組成物は、実際の皮膚ダメージの前にも、つまりそれによる保護機能として使用することが可能であり、このようにして皮膚は全くダメージすら受けない。そのような皮膚保護物は攻撃的な外部干渉から健康な皮膚を特に保護する。例えば著しい光照射、攻撃的な媒体、食塩水、環境病毒又は石鹸のような、乳化剤含有及び頻繁な塗布のせいで表面脂質、特に細胞間脂質に傷をつける攻撃的な外部干渉は、本発明組成物によって効果的に弱められる、というのは、その構造体及び上述した有効成分の分布の結果、本発明組成物は、皮膚の表面脂質層と抜群に親和するからである。
【0013】
皮膚保護の分野における本発明組成物の高い化粧品有効性がこれに起因している、というのは特に、本発明組成物が、親油性有効成分と撥油性有効成分の両方を同時に有することが可能であり、且つ親油性二重層と内相の内側に一定量の割合で本発明組成物の導入を可能にするからである。本発明組成物において、外相は全く又は殆んど有効成分を有していないという事実にもかからわず、本発明組成物は高い保存安定性を有している、というのは、ここで有効成分は二重膜層と内相の層との間に分布しており、そこでは擬似カプセル化されているからである、その結果、このようにして包埋された有効成分は、温度上昇及び/又は酸化攻撃によってもたらされる特に経時変化作用に関して有効に保護される。上述した本発明組成物の利点は、高い治癒効果だけでなく、化粧品及び医薬品分野における本発明組成物の高い予防効果も説明している。
【0014】
上述した本発明組成物の特殊な構造体を実際に示すために、ここでは測定及び実証手段として恐らく存在するものは、先ず、層構造体に関する初期情報を入手可能にする走査型電子顕微鏡撮影である。このために、特に検査すべき構造体は凍結割断処理を必要とする。この後、一般的には凍結割断エッチングが、白金/カーボン物質を蒸発することによる次のコーティングによって生じる。かかる調製品が検査されて、電子顕微鏡上に表示される。さらに、特に上述し且つ図中にも表した本発明組成物の本質的な特徴構成であるラメラ構造体に関するさらに詳しい情報は、例えば非特許文献1、2に詳細に記載しているように、等温滴定型熱量測定(ITC)、赤外分光法、及び/又は、示差走査熱量分析(DSC)によって可能となる。
【0015】
本発明組成物に関連して、それは局所的に塗布されることを上述した。この場合には、外皮膚といかなる種類の粘膜の両方にこれを塗布し得ることを意味することが理解される。
【0016】
本発明組成物の第1の更なる発展は、ここでは全有効成分濃度に対して各々、15重量%から85重量%の濃度範囲で、好ましくは25重量%から75重量%の濃度範囲で内相が有効成分を含有し、且つ、二重膜層が85重量%から15重量%の濃度範囲で、好ましくは75重量%から25重量%の濃度範囲で有効成分を含有するという規定を設けている。本発明組成物のこの更なる発展は、導入部で記載した本発明組成物と比較して、ここでは有効成分が両相に、つまり内相と二重膜層とに組織的に相当の濃度で分布しているという規定を設けており、その結果、したがって両相は導入部で記載した、有効成分の進入に寄与し、このようにしてこれが組織的に作用する限り、有効成分の進入も影響を受けて最適化される。
【0017】
基本的に本発明組成物においては、内相中の有効成分の濃度と二重膜層中の作用成分の濃度とが理想的であるという可能性が存在する。しかしながら、ここでは内相中と二重膜層中の有効成分の濃度が互いに異なっていれば特に有利である、というのは、これによって有効成分の進入スピードに作用するという可能性が生み出されるからである。
【0018】
本発明組成物において既に述べたように、少なくとも二つの二重膜層であってその間に配置された一層の内相を備えた二重膜層から成る特殊な構造体を取り囲む外相は、全有効成分濃度に対して最大5重量%までの濃度の有効成分を有している。しかしながら、作用成分の全濃度に対して、外相が最大3重量%までの濃度の有効成分、特に2重量%から1重量%の濃度の有効成分、好ましくは1重量%から0重量%の濃度の有効成分を含有していれば特に有利である、というのは、外相中の有効成分濃度が減少するほど、有効成分の進入の再現精度と、有効成分が組織的に作用する限りそれによってその浸透も組織的に影響され得る。さらに本発明組成物のこの更なる発展では、特に外相内に含まれる有効成分が悪影響を受け、ひいては本発明組成物の保存安定性に影響を与える有効成分の分解が著しく減少するということを確保する。
【0019】
本発明組成物の他の発展は、当該疎水性有効成分が主に存在し、二重膜層内側で、全有効成分濃度に対し好ましくは少なくとも70重量%、特に少なくとも80重量%の疎水性有効成分を当該組成物が含有するという規定をここでは設けている。好ましくは、疎水性有効成分が、全有効成分濃度に対して80重量%から90重量%の濃度で二重膜層内側に包埋され、本発明組成物の特殊な構造体の一構成要素である二重膜層内にそのように包埋することによって、有効成分が、経時変化及び/又は環境の影響に対して特に良好に保護されるということを、本発明組成物のかかる発展が可能にする。
【0020】
本発明組成物中にもたらされた、全有効成分濃度に対して80重量%から90重量%の濃度で疎水性有効成分が包埋されるという、特にこの発展によって、内相は、外相が有効成分を含まない範囲での本発明組成物内の全有効成分濃度に対して、20重量%から10重量%の最大有効成分濃度を有することになる。本発明組成物のかかる実施形態の塗布中、二重膜層から出て表面脂質及び/又は細胞間脂質内への有効成分の移送が次に生じ、その結果同時に、本発明組成物の二重膜層から出て移送される有効成分の部分は、次に内相を通って二重膜層内に運ばれる。これは或る期間に渡って、二重膜層内側で有効成分濃度を一定に保つということを導き、その結果二重膜層から上述した皮膚脂質内への有効成分移送速度を一定に保つのである。
【0021】
他の、特に適した本発明組成物の実施形態は、ここでは親水性有効成分が含有され、当該親水性有効成分が主に存在しており、内相内での全有効成分濃度に対して、好ましくは少なくとも70重量%、特に80重量%から90重量%の濃度範囲であるという規定を設けている。この展開も、疎水性有効成分に対して上述したように、皮膚への有効成分の安定した移動速度を或る期間内保障することを可能とする。
【0022】
上述した、本発明組成物内での二重膜層と内相の層との間の有効成分分布は、有効成分が本発明組成物によって特徴づけられた構造体内側に包埋されるべき有効成分に最初に向けられており、このために作用成分と二重膜層及び内相の材料との間の分子間相互作用に加え、各有効成分の性質も決め手となる。例えば有効成分が親油性及び親水性特性を同じ量有しているとするならば、内相が親水性である範囲では、そのような有効成分は、好ましくは50重量%が二重膜層内に、且つ50重量%が内相内に包埋されるであろう、ここではこれらの濃度データは、本発明組成物内の全有効成分濃度に対してである。二重膜層を形成する材料の親油性の変化によって、及び内相を形成する材料の親水性の変化によって、この前記分布均衡は移行され得、その結果、二重膜層を形成する材料内の有効成分濃度増加、及び内相の層を形成する材料内の有効成分濃度減少が、更にこの逆が、自然に生じる。
【0023】
本発明組成物内における二重膜層と内相の層との間の有効成分分布に影響する更なる可能性が、ここでは有効成分が、親油性化合物(アンカー基、固定基)によって二重膜層へ又は内へ固定化又は組成物内へ包埋されるという規定を設けている。特に有効成分に対する親油性化合物の化学量論比の変化によって、及び各有効成分に対する親油性化合物の選択と調整によって、又は二重膜層を形成している材料の選択と調整によって、親油性化合物は包埋され、このようにして二重膜層内に固定され、これによって固定された有効成分は、二重膜層と内相の層間の境界層に選択的に配置することが可能となり、親油性化合物が二重膜層内に包埋され且つこれによって固定される有効成分が内相内に配置されれば特に好ましい。
【0024】
有効成分が親油性化合物によって固定されるという、本発明組成物の上記実施形態において、当該親油性化合物が、好ましくは親水性有効成分及び/又は両親媒性有効成分である有効成分が、分子間相互作用によって、特に水素結合又はファンデルワールス力によって親油性化合物に固定されるようにもたらすのが好ましい。このようにして固定される有効成分は次に、本発明組成物のこの実施形態の塗布において遅れるようにしてのみ放出され、その結果本発明組成物のこの展開は良好な持続性放出効果を有することになる。
【0025】
そのような化合物(アンカー基)によって親水性及び/又は両親媒性有効成分が上記のようにして二重膜層に固定される場合には、当該化合物はこれを目的として、一方では各有効成分が化合物(アンカー基)に結合する反応基を依然として有するように、他方では上述した包埋及び/又はこの化合物の二重膜層内及び/又は上への吸着をもたらすために或る親油性を依然として有するように存在する。したがって適切な化合物は特に有機両親媒性物質、又は同様の反応中心を有する有機物質であり、それゆえ、直線状又は環状(モノ−及び多環式、ホモ−及びヘテロ環式)であってもよい全ての長鎖炭化水素化合物であって、付加的にハロゲン基、ヒドロキシ基、酸基、エステル基、酸アミド基、アミノ基、イミノ基、酸イミド基、及び/又は他の極性基を備えられた長鎖炭化水素化合物であることが好ましい。特に群としてここで述べるべきものは、好ましくは飽和及び/又は不飽和C−C24−モノ−ビス トリペプチド、アルカノールアミド、特にC14−C24脂肪酸の、(飽和及び不飽和)C10−C24脂肪酸の、C10−C24脂肪酸塩の、C10−C24−脂肪族アルコール及び/又はC10−C24−脂肪酸エステルのエタノールアミンである。
【0026】
基本的に本発明組成物には、内相の材料と外相の材料とが異なってはいるが、本発明組成物の特により長い保存安定性の観点から、内相と外相は材料に関して類似であることが好ましいという傾向がある。特に外相の材料として、従って好ましくは内相の材料としても各々液体が選択され、ここで液体という用語はあらゆる液体系を含んでおり、その粘度は特に低粘度と高粘度の間で変化し、したがって実際の液体の粘度だけでなくゲル様調剤の粘度、特にオレオゲル(Oleogele)及び泡も含んでいる。
【0027】
内相及び外相が各々液体である上記本発明の実施形態の更なる展開において、この実施形態の変更は、この液体が各々水であるという規定を設ける。ここでこの水という用語は蒸留水、脱イオン水、又は浸透性純水だけでなく全ての水系も含んでおり、これによって例えばバッファ系又は塩水溶液、又は水に加えて水と相溶性の生理学的に無害な有機溶剤も含有する水系も含む。
【0028】
繰り返し述べたように、本発明組成物は局所的に作用する有効成分及び/又は組織的に作用する有効成分を有しており、局所的に作用する有効成分の選択によって、有効成分の進入能力に係る本発明組成物について上述した記載、及び組織的に作用する有効成分の選択によって、有効成分の進入及び浸透に係る上述した記載は考慮に入れることができる。
【0029】
本発明組成物が医薬品有効成分を有する場合には、特にポリドカノール、ベンゾカイン及び/又はリドカインのような、鎮痛剤、抗リューマチ剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗縮瞳剤、抗炎症剤、温泉療法剤、副腎皮質ホルモン作用成分、抗敗血剤、血液循環増加作用成分、鎮静剤、麻酔剤、鎮痙剤、傷治療薬、抗掻痒剤、特にスフィンゴシン−1−フォスフェート、ジスラノール、及び/又はベコカルシジオール(Becocalcidiol)のような抗乾癬剤、特にベンゾイルパーオキサイド、ドキシサイクリン(Doxicyclin)、及び/又はビタミンA酸のような抗座瘡薬、特にメトロニダゾール及び/又はビタミンKのような抗酒さ剤、特にアシクロビールのような抗疱疹剤、特にブフェキサマック及び/又はリドカインのような痔核剤、特にヘパリン類似物質、及び/又はセイヨウトチイキ抽出物のような静脈性治療薬、特にタクロリムス及び/又はピメクロリムス(Pimecrolimus)のような免疫調節剤、特に5−フルオロラシル(5-Fluororacil)及び/又はシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤のような皮膚癌治療剤から成る群から選択された、各単独で又は混合物の医薬品有効成分が好ましい。ここで、各医薬品有効成分は、その治療課題に従って選択され、本発明組成物はその局所的塗布によって解かれ、上記に列挙した好ましい有効成分は、互いに相溶している限り混合物として塗布することも可能である。特に、医薬品有効成分を含有する本発明組成物のかかる展開の利点は、当該組成物中に各々存在する有効成分が皮膚刺激、又は皮膚炎症をもたらすことが知られている場合であっても、本発明組成物の局所的塗布によってそのような皮膚刺激や皮膚炎症が回避される点である。
【0030】
特に組織的に作用する適切な鎮痛剤は、非オピオイド鎮痛剤であって、好ましくは、特にアセチルサリチル酸、サリチル酸のアミド、サルサラート、ベノリラート及びジフニサルのようなそれ自体公知のサリチル酸誘導体と、特にパラセタモール、フェナセチンのようなアニリン誘導体と、特にメフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸のようなアントラニル酸誘導体と、アザプロパゾン、及びヘテロアリール−及びアリール酢酸のようなピラゾール誘導体と、アリールプロピオン酸との群から選択される。
【0031】
抗縮瞳剤に関する医薬品有効成分として特に述べるべきものは、特にフェンチコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、フルトリマゾールのような、局所的に塗布されるべきアゾール誘導体と、特にナイスタチンのようなポリエンと、特にシクロピロクスのようなシクロプリオキスオラミン(Cicloprioxolamin)と、特にナフチフィン、テルビナフィンのようなアリルアミンと、及び/又は、特にアモロルフィンのようなモルフォリンである。
【0032】
副腎皮質ホルモン作用成分に関して特に述べるべきものは、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、グルココルチコイドと、及び、トリアムシロノンアセトニドのようなそれらの誘導体と、及び、特に局所的塗布によって局所的有効性を有する他のコルチゾン誘導体である。
【0033】
さらに本発明組成物の適用分野によっては、医薬品有効成分として抗炎症性有効成分、したがって特にブフェキサマク、カモミール抽出物、アメリカマンサク抽出物、タンニン、ビサボロール、アンモニウムビツミノスルホネート(Ammoniumbituminosulfonat)又はアラントインと、特にメトトレキサート、シクロスポリン、ライノイド(Reinoide)、好ましくはイソトレチノイン、アシトレチノイン、又はタザロテンのような免疫抑制剤と、又は、特にクリンダマイシン、テトラサイクリンのような抗感染症剤と、又は、特にクロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、8−ヒドロキシキノリン、エタクリジン、ヘキセチジン、塩化アクリフラビニウム、塩化ベンゾキソニウム、ビブロカトール、デカリニウム塩、アゼライン酸、レゾルシン、トリクロサン、ファルネソール、ジグリセリンモノカプリネート(Diglycerinmonocaprinat)のような消毒剤と、銀コロイドと、特にクエン酸銀、硝酸銀、及び/又は塩化銀のような銀塩と、又はゲンタマイシンと、又はウィルス抑制剤とを含むことが可能であり、勿論、本発明組成物は上述した有効成分の幾つかを有することも可能である。
【0034】
前に列挙した医薬品有効成分に加え、又は前に列挙した医薬品有効成分の代わりに、本発明組成物の特に適した実施形態は、ここでは本発明組成物が少なくとも一つの化粧品有効成分、つまり、油、脂肪、ワックス、酸化防止剤、ペプチド、プロテイン(たんぱく質)、アミノ酸、アミノ酸誘導体、光保護フィルタ、日焼け剤、ビタミン、プロビタミン、フルーツ酸、保湿剤、植物の部分及び植物抽出物、尿素、グルカン、グルカン誘導体、有機金属化合物、及び無機金属化合物からなる群から選択された少なくとも一つの化粧品有効成分を含有するという規定を設けている。
【0035】
特に化粧品組成物において時々日焼け止めフィルタとしても設計される光保護フィルタは、PABA及び誘導体(=PEG-25、PABA)、オクチルジメチルPABA、ホモサレート、オキシベンゾンBEMT、p−メトキシ桂皮酸エステル、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−9、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルへキシルベンゾエート、ドロメトリゾールトリシロキサン、4−メチルベンジリデンカンファー、3−ベンジリデンカンファー、オクチルサリシレート、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルメトキシシンナマート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸ジナトリウム(Disodium Phenyl Dibenzimidazole Tetrasulfonate)、及びテレフタリリデンジカンファースルホン酸からなる群から、好ましくは選択される。
【0036】
酸化防止剤として、特に本発明組成物中に単一物質として又は混合物として存在するものは、特にビタミンA、及び/又はビタミンC、トコフェロール、カルシニン、リポ酸、マレイン酸リポゾル(Liposol Maleate)、カロテノイド、リコピンのようなビタミンと、特にトマトから分離したIBR-TCLC、又は藻から分離したIBR-CLCのような無色カロテノイドと、例えばエピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、及び/又はエピカテキン−3−ガラートのようなポリフェノールと、カフェイン酸、カフェイン酸エステル、ローズマリー酸と、好ましくは茶、ワイン、コーヒー、カカオ、ルイボスから分離されたフラボノイド、ココア又はグレープシード抽出物、したがって特にフラバノール、フラバノン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、レスベラトロール、シリマリン、アスパラチン、エラグ酸、クルクミン誘導体、ジヒドロケルセチン、N.D.G.A.、ルチン、テトラヒドロクルクミノイド、テトラヒドロジフェルロイルメタン、テトラヒドロジメトキシジフェルロイルメタン、テトラヒドロビスジメトキシジフェルロイルメタン、グルタチオン、コエンザイムq10、L−カルノシン、N−アセチルシステイン、フィチン酸、フラルグルシトールと、キレート剤、したがって特にチオクト酸、及び/又はEDTA,BHA、BHT、SOD、4−チアゾリジノンキネチンとである。さらに本発明組成物は、特に植物の、植物の部分の、果物の、ローズマリーの皮及び/又は種子の抽出によって製造される植物成分、ホップ、生姜、オウシュウトウヒ抽出物と、及び、特にヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール及びセコイソラリシレシノールのような、そこから分離されたリグナンリード物質と、オウシュウトウヒ抽出物、カイガンショウ、ピクノジェノール、(登録商標)Uniprotect PT-3、(登録商標)ユニリペアT-43(製造者:Induchem)、バクチオール(Bakuchiol)、コーヒーノキ、ケルクスインフェクトリア、茶の木、オリーブ(Olea europea)、ローズマリー、アルテミシアアンベリフロリス(Artemisia Umbellifloris)、フサフジウツギ、セイヨウウスユキソウ、又は藻の抽出によって製造される植物成分も有することが可能である。
【0037】
好ましいペプチドは、ペンタペプチド、特にヘキサペプチド−2及び/又はヘキサペプチド−9のようなヘキサペプチド、ヘプタペプチド、銅ペプチド、TGAベータ族の成長因子、MPCミルクペプチド、MTPミルクペプチド、特に(登録商標)Pal−KTTKS(製造者:Sederma)及び/又は(登録商標)Pal−VGVAPG(製造者:Sederma)のようなパルミトイルオリゴペプチド/細胞外基質分解産物、アセチルヘキサペプチド−3、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルトリペプチド−5、(登録商標)Serilesine(=ラミニン、製造者:Lipotec)、(登録商標)Lipeptide(=オリゴペプチド、製造者:Lipotec)、トリペプチド10−シトルリン、(登録商標)Aldenine(製造者:Lipotec)、(登録商標)Myoxinol(製造者:Cognis)、トリペプチド−1、トリペプチド−3、ヘキサペプチド−9、ヘキサペプチド−2、オリゴペプチド−6、ジペプチド−4、デカペプチド−2、(登録商標)Phytoquintescine(製造者:Vincience)、グルタチオン、サイトカイン、大豆オリゴペプチド、ポリガンマグルタミン酸を含む群から好ましくは選択される。
【0038】
好ましいプロテインは、コラーゲン、コラーゲン誘導体、アンタルクチシン(Antarcticin)(=グリコプロテイン、製造者:Lipotec)、ケラチン、加水分解した小麦プロテイン、大豆プロテイン、好ましくは加水分解した及び/又は抽出された大豆プロテイン、エラスチン及びライスブランプロテインから成る群から選択される。
【0039】
特に適したアミノ酸又はその誘導体は、リシン、アラニン、セリン、グリシン、アルギニン、グルタミン酸、ヒスチジン、バリン、システイン及び/又はアミノグアジン(Aminoguadin)であり、このアミノ酸又は各々の誘導体が特に保湿剤としても本発明組成物中に含まれる。さらに保湿剤は、好ましくは、カプリリルグリコール、ウロカニン酸、クレアチン、グルコサミン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸エクトイン、トレハロース、ラクトビオン酸、タウリン、キシリチルグルコシド無水キシリトール(製造者:Seppic)、特にオプンティア抽出物のようなアクアポリン3−合成刺激薬、乳酸、ピロリドンカルボン酸、特にグルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、のようなアルファヒドロキシ酸又はベータヒドロキシ酸、それらの誘導体及び/又はそれらの塩を含む。
【0040】
本発明組成物中にとりわけ化粧品有効成分として含有するオイルに関しては、特にタネツケバナ(Cuckoo flower)オイル、アボカドオイル、ココナッツオイル、ホホバオイル、コムギの胚種子油、マカデミアナッツオイル、杏仁油、麻実油、亜麻仁油、ごま油、ひまわり油、落花生油、ローズマリーオイル、カモミールオイル、セージオイル、キンセンカオイル、ラベンダーオイル、セント・ジョーンズ・ワートオイル、メリッサオイル、沙棘(sallow thorn)油、ギョリュウバイ(tea tree)油、セダー油、ヒノキ油、マツヨイグサ油、アカスグリ種子油、ルリチシャ油、バラの実油、大豆油、魚油、アーモンドオイル、オリーブオイル、パーム油、紅花油、モリンガ種子油、ひまし油、甘扁桃油、コーン油、キャノーラ油、アルガンオイル、アマランス種子油、及び/又はこれらオイル成分が挙げられる。これらオイル成分という語へ分類するものは、特に、均一で標準化された構造体であること、それらの飽和度、及び/又は二重結合数によって規定したようなオイル分留である。
【0041】
本発明組成物中に化粧品用途のために化粧品有効成分として含有される、オイル又は各オイル成分の濃度は、各用途分野により、すぐに使える組成物に対して特に0.5重量%と40重量%の間で変化する。
【0042】
前に挙げた、本発明組成物の実施形態中に化粧品有効成分として含有する有機及び無機金属化合物に属するものは、特にナトリウム−、カリウム−、マグネシウム−、カルシウム−及び亜鉛の塩であり、ここで好ましくは、フッ化物アニオン、フッ化物、硫酸塩、リン酸塩、2−アミノエチルリン酸、グリコール酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、特にモノメチル及び/又はモノエチルフマル酸塩、酒石酸塩であり、各々単独か混合物である。さらに用途分野に応じて、本発明組成物は天然海塩を化粧品有効成分として含有することが可能である。さらに本発明組成物中に各々無機又は有機化合物として、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムアルミニウム珪酸塩、ステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸マグネシウム、滑石、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、ヘキサシアノ鉄酸鉄、ビスマス酸塩化物、酸化アルミニウム、アルミノシリケート又は酸化ケイ素があり得、日焼け剤として、化粧品認可された着色剤、及び/又は、特にジヒドロキシアセトン及び/又はエリスルロースのような日焼け促進剤が挙げられる。
【0043】
上述した保湿剤の代わりに又はそれに加えて、本発明組成物の他の展開は、化粧品有効成分として、好ましくはグリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、及び/又はグリセリンのような特に生理的適合可能なポリオール、及び/又は、特にイノシトール、ソルビトール、マンニトール、プラチナイト、マルトデキストリン、デキストリン、シクロデキストリン、グルコース、フルクトース、ラクトース、マンノース、ガラクトース(glactose)、デシレングリコール、及び/又はオクタンジオールのようなサッカリドを含む保湿剤を含有する。本発明組成物中に化粧品有効成分として含有される特に好ましい保湿剤は、尿素と尿素誘導体である。
【0044】
既に上記で挙げたオイル又は各オイル成分に加え、さらに脂肪とワックスが化粧品有効成分として挙げられる、こうして特にライスブランワックス、リシノール酸の、12−ヒドロキシステアリン酸の、及び/又は11−ヒドロキシパルミチン酸のモノ−、ジ−、トリ−及び/又はポリグリセリド、リシノール酸オクチルドデシルエステル、12−ヒドロキシステアリン酸オクチルエステル、蜜蝋、木蝋、カルナバワックス、パルミチン酸セチル、ココアバター、シアバター、スクアラン、コレステリン、コレステリル硫酸、フィトステロール、及び/又はラノリン、特にラノリンアルコール又は誘導体が挙げられる。植物種子、ペシロニュウロンインディカム(Peciloneuron indicum)のワックス及びオイルも好ましく、特に少なくとも20重量%のリグノセリン酸、及び加えて、Degussa社の(登録商標)Skinmimics、及びFancor社の(登録商標)Meadowestolideで提供されるような、合成及び天然の皮膚脂質を含有しているようなものが好ましい。また用途分野に応じて、本発明組成物中の化粧品有効成分として、ビタミン及び/又はプロビタミンが含有され得る、特にビタミンA、ビタミンB複合体、ビタミンC、ビタミンE及びビタミンD、及び/又は、ビタミンA酸、酢酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンC、酢酸ビタミンE、パルミチン酸ビタミンE、及び/又はリノール酸ビタミンEのようなそれらの誘導体、アルファカルシドール、カルシトリオール、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、トランスカルシフェジオール、カルシプロトリオール、カルシフェジオール、ビタミンD、β−カロテン、パンテノール、パントテン酸、ビオチン、又は、特にリドカイン、ベンゾカイン、ポリドカノール、尿素水溶液、イソプレナリン、コルタミトン(Cortamiton)、キニソカインのような鎮痒表面麻酔薬、特にメクロジン、セチリジン、プロメタジン、ジフェンヒドラミン、クロフェノキサミン(Clophenoxamin)、ドキシラミン、フェニラミン、デクスクロルフェニラミン、バミピン、クレマスチン、ジメチデン(Dimetiden)、メブヒドロリン、ロラタジン、オキサトミド、テルフェナジン、及び/又はアステミゾールも含有され得る。グルカン誘導体に関し、特にカルボキシメチルグルカン又はカルボキシエチルグルカンが挙げられる。
【0045】
特に適切な、特に鎮静化粧品有効成分を有する本発明組成物の更なる展開は、次の規定、つまり、この有効成分は、勿論有効混合成分にもなり得るが、シアバター、セラミド、特にセラミド−1、セラミド−3、セラミド−6、及び/又はセラミド−7、クプアスバター、スクアラン、及び/又はトリグリセリド、特に中間鎖の、飽和C−C24−トリグリセリドから成る群から選択されるという規定を設けている。本発明組成物の更なる展開は、特に皮膚の細胞間脂質を強化、成長させ、且つ増加するため、及び、酸コートと皮質量を増加することに適しており、これによって皮膚保護の増加をもたらす。
【0046】
特に感染した皮膚の炎症又は疾患箇所、例えば湿疹、好ましくは1度及び2度の熱傷、褥瘡、又は膿瘍を本発明組成物で治療するために、又は、そのような疾患から皮膚を効果的に保護するために、本発明組成物の更なる展開が以下の規定、つまり、ここでは上述した有効成分の代替として又は加えて、特に上述した化粧品有効成分、つまり、少なくとも一つの抗炎症性有効成分が含有され、当該有効成分は、ウルソル酸、大豆ステロール、18−ベータ−グリチルレチン酸、ガンマオリザノール、フェルラ酸、アベナントラミドと上述した抗炎症性有効成分の誘導体から成る群から選択される、という規定を設けている。
【0047】
特にそのような本発明組成物の実施形態において、有効成分はすぐに使える組成物に対して、0.001重量%から35重量%の濃度で、好ましくは0.1重量%から15重量%の濃度で存在しており、これら濃度データは、上述した及び以下に列挙する化粧品有効成分と好ましくは解釈される。医薬品として用いられ、且つ導入部で述べた化粧品有効成分を含有し、且つ上記で列挙した抗炎症性有効成分を含有する本発明組成物のかかる展開は、すぐに使える組成物に対して、特に0.01重量%から5重量%の、好ましくは0.1重量%から2.5重量%の範囲で変化する有効成分濃度を有する。
【0048】
化粧品有効成分として上記に挙げた全ての植物性オイル、又は植物性抽出物は、相応する植物部分、したがって特に、これら植物部分が乾燥して粉砕される限り、特に粉末にされる限り、根、種子又は花によって置き換えることもできる。
【0049】
好ましいさらなる化粧品有効成分に属するものは、当該成分の少なくとも一つが本発明組成物内に含有されなければならず、上述したペプチド及びプロテイン、したがって特にゲラニルゲラニオール及びナイアシンアミドのような金属プロテイナーゼ阻害剤、老化抑制剤、特にレチノール、レチノール誘導体、イースト抽出物、パンテノール、アラントインのような皮膚再生促進物質、特にT4エンドヌクレアーゼV酵素、及び例えば(登録商標)Zonase(製造者:Wasser Bio Technologie)の他の酵素のようなDNA修復促進物質、好ましくはカルシウム化合物、特にパントテン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、及びその混合物、ベータシトステロール硫酸ナトリウム、グリチルレチン酸化合物、ビサボロールのようなさらなるバリヤ補助有効成分、不凍たんぱく質、したがって例えば(登録商標)AAGP(製造者:Protokinetix)、キトサンのような抗刺激剤、例えばアルブチンのような皮膚美白剤、特にカフェインのような抗脂肪沈着有効成分、例えばパンテノール、尿素、ヘパリン及び/又は特殊な植物性抽出物のような痣治療のための有効成分、例えば水和塩化アルミニウム(aluminium chlorohydrate)、水和塩化アルミニウムジルコニウム(aluminium-zirconium chlorohydrate)、香料のような脱臭/発汗剤、例えばグルコン酸クロルヘキシジンのような口腔ケア剤、特にフィナステリド、アミネキシル、ケトコナゾールのような毛髪治療剤、例えば尿素、及び/又はサリチル酸のようなフットケア剤、例えばアラントイン及び/又はパンテノールのようなハンドケア剤及び/又はベビーケア剤、例えばエフロールニチンのような不所望な体毛を減じる又は成長を遅らせるための薬剤、シェーブエイド、不潔で脂ぎった皮膚及びそれに関連した随伴症状の治療用有効成分、特にサリチル酸及び/又は(登録商標)Acnacidol(製造者:Vincience)のような抗生剤作用及び/又は皮脂阻害有効成分に基礎を置く「老化防止」有効成分である。
【0050】
さらに特に適切な本発明組成物の実施形態は、ここでは少なくとも一つの有効成分として、イカリジン、チョウジ油、シトロネラール、シダーウッドオイル、ラベルオイル(Laveloel)、シナモンオイル、ペルメトリン、及びクロタミトンからなる群から選択されるような有効成分を有している、という規定を設けている。本発明組成物のこれら実施形態は、ここでは虫刺され、特にブヨ、ノミ、シラミ、及び/又はマダニによる刺(咬)傷に注目して用いられる。
【0051】
基本的に、本発明組成物は、外相と及び特に水と共に形成するキャリヤ物質として、上述した特殊な構造体を含有しており、上記キャリヤ物質は親水性と疎水性分子部分とを同時に有しているということを表示すべきである。特に上記キャリヤ物質が好ましくはここでは述べられるべきであり、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、及び好ましくは蒸留した中間鎖モノグリセリド、スフィンゴ脂質、ホスファチジルコリン、ホスホリン脂質、脂肪族アルコール、脂肪酸及び上記化合物の誘導体から成る群から選択され、ここで脂肪酸及び脂肪族アルコールは、好ましくはC−C24−飽和直鎖状炭素鎖を有している。
【0052】
しかしながら、本発明組成物中に、前に何度も記載した特殊な構造体を形成することが可能であるキャリヤ物質として、少なくとも一つの水素化レシチン及び/又は水素化ホスホリン脂質、及び特に水素化ホスファチジルコリンが含有されれば特に最適である。実際ここでは、上記水素化ホルホリン脂質及び特に水素化ホスファチジルコリンが、一方では本発明組成物を特定し且つ特徴づけるこれら特殊な構造体の外相を高度に形成し、他方では、皮膚の細胞間脂質内に及び特に角質層の細胞間脂質内へ進入すること、及び前に繰り返し記載したようにこの細胞間脂質層の増加又は育成それぞれを助けることに素晴らしく適しているということを立証することができた。さらに、水素化レシチン及び特に水素化ホスファチジルコリンは、一方では化学物質、特に酸化攻撃に対する耐性を有し、他方では高い物理的安定性、これによって著しく大きな保存安定性を有するという、特に安定な組成物を形成するという更なる利点を有するのである。したがってこの構造体内に包埋された有効成分は、分解(変質)に対して非常に効果的に保護される。
【0053】
しかしながら、上記水素化レシチン又は上記水素化ホルホリン脂質、特に上記水素化ホスファチジルコリンのようなものは、全アシル基が専ら又は主に飽和された本発明組成物内に好ましくは備えられ、それによって特に10重量%未満の濃度の、好ましくは5重量%未満の、最も好ましくは1.5重量%未満の不飽和アシル基だけが水素化レシチン、水素化ホルホリン脂質、及び/又は特に水素化ホスファチジルコリン中に存在する。
【0054】
明確化により、ホスホリン脂質という用語は、勿論単なるホスホリン脂質だけでなく、ホスホリン脂質の混合物にも該当するということに注意されたい、ここでホスホリン脂質又はホスホリン脂質混合物はそれぞれ天然又は合成由来であってもよい。同様に、ホスホリン脂質は上記の意味で水素化され得るのみでなく、この水素化ホスホリン脂質の代わりに合成ホスホリン脂質が用いられ、そのアシル基が上記の意味で全て又は主に飽和されている、ということも自明である。
【0055】
キャリヤ物質として、少なくとも60重量%、及び好ましくは70重量%から95重量%の水素化ホスファチジルコリンを有する水素化ホスホリン脂質を含有する本発明組成物のそのような更なる展開によって、より広い範囲で上記利点を有するのである、ここでこの濃度データは、すぐに使える組成物中のキャリヤ物質として含有される水素化ホスホリン脂質の濃度である。
【0056】
特に本発明組成物に対して構造体を形成する、本発明組成物中に含有されるキャリヤ物質の濃度に関して、この濃度は、本発明組成物が塗布されることを目的としており、且つそれが含有する有効成分へ向けられているということを一般的に表示すべきである。さらにキャリヤ物質の濃度は、各選択されたキャリヤ物質の化学的性質に無駆られており、それに加えて二重膜層の濃度が、本発明組成物内に含まれるべきである。特に、少なくとも一つのキャリヤ物質が本発明組成物中に、すぐに使える組成物に対して、0.5重量%から30重量%の濃度で、好ましくは0.7重量%から5重量%の濃度で存在する。
【0057】
特に、上記水素化ホスホリン脂質、水素化ホスファチジルコリン又は水素化レシチンの各々、又は同様の飽和アシル基を有する、合成によって同様に作り出されたホスホリン脂質が、30℃より高い及び70℃より低い相転移温度を有する場合には、そのようなキャリヤ物質の使用によって、特に、導入部で詳細に記載した所望の特殊な構造体を単に有する本発明組成物のかかる実施形態がもたらされ得る。相転移温度とは、ここでは、キャリヤ物質の結晶系が、キャリヤ物質の液体系に移行する温度を指しており、多くの場合この温度は実際個々の温度を表すのではなく、むしろ温度範囲として特徴づけられる。したがって例えば、大豆から分離され、且つ93±3重量%のホスファチジルコリン濃度と、ステアリン酸の重量で85%及びパルミチン酸の重量で14%によって構成されるアシル基を有する、特に好ましい水素化ホスファチジルコリンの相転移温度は、54℃から58℃の間に存在し、特に56℃である。
【0058】
既に述べたように、本発明組成物の特に好ましい実施形態は、後者が内相及び外相として水を有するという規定を設けている。用途に応じて、水の濃度は、すぐに使える組成物の重量に対して、本発明組成物中で5重量%から90重量%の間で変化し、これら濃度は、内相及び/又は外相を形成する他の液体にも好ましくは当てはまる。
【0059】
対象とした用途分野及び選択したキャリヤ物質と使用される有効成分に応じて、有利な本発明組成物の更なる展開が、後者が少なくとも一つのアルコール、特に多価アルコールを有し、勿論そのようなアルコールは、いかなる皮膚刺激を生じない又は著しく穏やかな皮膚刺激のみを生じるアルコールとしてここでは選択される、という規定を設ける。
【0060】
ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、フェニルエチルアルコール、デシレングリコール(Decylen Glykol)、グリセリン、又は上記アルコールの混合物が、特に適切なアルコールであることが証明された、したがってそれによってこれらアルコール、特に上記したペンチレングリコール、カプリリルグリコール及びグリセリンの3つの混合物が本発明組成物中に含有される。
【0061】
本発明組成物の更なる有利な展開は、後者が、上記有効成分に加えて、又はその代替として、少なくとも一つのN−アシルアルカノールアミン、好ましくはN−アシルエタノールアミンも含有するという規定を設けており、ここでこのN−アシルアルカノールアミンは、抗炎症特性を有することで知られている。N−アシルアルカノールアミン、特にN−アシルエタノールアミンの濃度は、ここではすぐに使用できる組成物の重量に対してそれぞれ、0.01重量%から10重量%の間、好ましくは0.1重量%から3重量%の間で変化する。
【0062】
特にN−アシルアルカノールアミンがC−C24アシル基、好ましくは直鎖状飽和及び/又は不飽和C−C24アシル基を有している場合には、本発明組成物のそのような更なる展開によって、著しく生じる炎症性皮膚刺激又は皮膚疾患は特に良好に治療可能であり、特に皮膚刺激、皮膚炎、発疹、及び皮膚の炎症感覚(ヒリヒリする感覚)も少量の塗布後に早くも除去され得る。
【0063】
特に、N−アシルアルカノールアミンを含有する本発明組成物の上記実施形態において、このN−アシルアルカノールアミンは、N−アセチルエタノールアミン、N−オレオイルエタノールアミン、N−リノレノイルエタノールアミン、N−ココイルエタノールアミン、及びN−パルミトイルエタノールアミンから成る群から選択され、ここでこれら上記した個々のエタノールアミンは、個々の物質として及び幾つかのエタノールアミンの混合物としての両方で用いられる。同様にして、本発明組成物はN−アシルアルカノールアミンとしてN−アシル−2−ヒドロキシプロピルアミンを有しており、このN−アシル−2−ヒドロキシプロピルアミンは、特にアシル基として、ココナッツオイル及び/又はパームオイルの脂肪酸を含有している。前に挙げたN−アシルアルカノールアミンは、補足的に皮膚の湿分を増加させ、さらに満足のいく値で安定させる。
【0064】
用途の各性質に応じて、つまり本発明組成物が例えばクリーム、軟膏、ジェル、ローション、又は浴槽添加剤のいずれで用いられるかということに応じて、本発明組成物の実施形態は配合され、したがって少なくとも一つの防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、及び/又はゲル化剤を含有しており、これら防腐剤及び酸化防止剤の濃度は、他の添加剤として以下に補足的に要約して示されるが、すぐに使用できる組成物に対して、特に0重量%から10重量%の間で変化する。
【0065】
本発明組成物の好ましい実施形態において増粘剤又はゲル化剤が存在する場合には、ここでゲル化剤又は増粘剤として、天然の及び/又は合成のコロイド、及び/又は、天然の及び/又は合成の親水コロイドを選択して加えるが、ここで本発明組成物が天然及び合成の増粘剤の混合物、又は天然及び合成のゲル化剤の混合物をそれぞれ含有することがとても容易に可能である。これらコロイド又は親水コロイドの濃度は、それぞれすぐに使用可能な組成物に対して0.1重量%から5重量%の間でそれぞれ通常変化する。
【0066】
適切なゲル化剤又は増粘剤の例としてそれぞれ、特にそれ自身公知のスターチエーテル、スターチエステル、セルロースエーテル、又はセルロースエステル、又はその他、アクリル酸の誘導体、及び/又はアクリル酸塩の誘導体、特にオリゴマー及びポリマーアクリル酸、又はオリゴマー及びポリマーアクリル酸塩、又はそれらの誘導体が挙げられる。
【0067】
本発明組成物の好ましい実施形態は、キャリヤ物質としてそれぞれ、0.5重量%から7重量%の水素化ホスファチジルコリンと、0.01重量%から5重量%の有効成分と、親水性液体として5重量%から96重量%を有しており、次にこれら好ましい実施形態は補足的に0.5重量%から10重量%のクプアスバターと、0.5重量%から15重量%のシアバターと、0.001重量%から3重量%のセラミド、好ましくはセラミド−1、セラミド−3、セラミド−6、及び/又はセラミド−7と、0.1重量%から5重量%のコロイド又は親水コロイドと、2重量%から42重量%の上記オイル、及び/又は上記オイル成分、及び0重量%から10重量%の他の添加剤を含有する。
【0068】
本発明組成物が有するpH−値について、ここでpH−値は、4.0から7.6の間、特に4.8から7.2の間で好ましくは変化するものから選択されることを特に表示すべきである。
【0069】
前に既に何度も指摘したように、本発明組成物の必須条件は、後者が上述した特殊な構造体を有していること、及び上記で数量化したようにさらに少なくとも一つの有効成分が二重膜層と内相の層との間に分布(分散)されることである。特に本発明組成物が10重量%から95重量%の、好ましくは30重量%から95重量%の二重膜層を含有する場合には、ここで前に示した濃度は本発明組成物中に含有されるキャリヤ物質の重量を示しているが、かかる展開は特に高い程度の前記した本発明組成物の利点を有する。
【0070】
本発明組成物は、各二重膜層4nmから20nmの厚み、特に4nmから8nmの厚みを有する構造体を含有することを表示すべきであり、さらに隣り合う二重膜層間に配置された内相の層厚みは、2nmから10nmの間で好ましくは変化する。
【0071】
既に前で繰り返し述べたように、本発明組成物はいかなる適切な形態、例えばクリーム、軟膏、ゲル、ローション、又は浴槽添加剤のいずれでも塗布可能である。
【0072】
しかしながら、本発明組成物がクリーム様又はゲル様組成物として存在し、且つ20℃で2.000mPasから40.000mPas、好ましくは12.000mPasから25.000mPasの粘度を有していれば特に適切である。
【0073】
本発明組成物の特に適切な展開は、ここでは当該組成物が、2から15のラメラ二重膜層をサンドイッチ様に上下に配置したものを有する構造体を含有するという規定を設けている。
【0074】
本願に於いて繰り返し用いている「及び/又は」という語は、リストの個々の要素を個々にも代替にも組み合わせられるという両方を包含しており、したがってこれら要素がそれぞれ「及び」又は「又は」によって選択的に組み合わせられるものとして理解すべきである。さらに単数で用いられている語は勿論複数も含んでいる。
【0075】
本発明組成物の有利なさらなる展開は、従属請求項に示している。
【0076】
本発明組成物は、図面と組み合わせた4つの実施例を用いて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】前記特殊な構造体の第1実施例の図である。
【図2】前記特殊な構造体の第2実施例の図である。
【図3】前記特殊な構造体の第3実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1〜3において、同一構成要素には同一の参照番号が付されている。
【0079】
図1〜3は、本発明組成物中に生じ且つ当該組成物にとって必須な構造体の、様々な実施形態を表している。
【0080】
図1〜3中に図式で示している全構造体は、共通して平坦な第1二重膜層1と平坦な第2二重膜層2とを有しており、二重膜層1及び2は、サンドイッチのようにして内相3の平坦層を取り囲んでいる。
【0081】
各二重膜層1又は2は、キャリヤ物質の二つの層A及びBで構成され、それぞれ二つの層A又はB内部にはキャリヤ物質の個々の分子が並んでおり、それによって各二重膜層1又は2の上層Aの外側親水性基4はそれぞれ、各構造体を完全に取り囲む外側親水層の方へ外側に向かって並び、一方で下層Bの内側親水性基5は、内相3の層の方へ内側に向く。これによって、各層A又はB内において、各二重膜層1又は2の親水性基6は互いに向かい合って配列する。したがって図1〜3中に示した構造体中では、外側親水性基4だけが外相と接触するようになっており、一方で各二重膜層1又は2の内側親水性基5は専ら内相3の層と接触するようになっている。
【0082】
参照番号7は、それぞれ黒くかかれた有効成分分子、又は黒くかかれた有効成分凝集体を示しており、当該有効成分分子は有効成分凝集体とは異なっており、有効成分凝集体は、有効成分分子の結合体を表しており、以下に有効成分7として省略する。
【0083】
図1〜3に係る図面は互いに異なっており、有効成分7が層1〜3の間に異なって分布している。
【0084】
図1では、有効成分7の大部分の量がそれぞれ二重膜層1又は2中に分布し、且つ、そこにおいて疎水性基6間に包埋され、一方で内相3の層は比較的低濃度の有効成分7を有している。主に疎水性有効成分を含有する上記組成物が、特にそのような構造体を有する。
【0085】
図2では、有効成分7の大部分の量が内相3の層内に包埋され、一方でぞれぞれの二重膜層1又は2は、疎水性基6の間に、好ましくは親水性基4および5のすぐ近くに包埋された比較的低濃度の有効成分7を有している。主に親水性有効成分を含有する上記組成物が、特にそのような構造体を有する。
【0086】
図3は内相3が比較的低濃度の有効成分7を含有しているような構造体を図示している。さらに図3は、同様にそれぞれ分子又は凝集体が関係するそのような有効成分8を図に示しており、当該有効成分は、図3中で黒くて曲がった線9のように図示した親水性化合物によってそれぞれ各二重膜層1又は2内に固定される。主に親水性有効成分を含有する上記組成物が特にそのような構造体を有し、ここでこの有効成分の一部は、親油性化合物と有効成分との間の分子間相互作用形成によって、親油性化合物(固定基、アンカー基)に転化され、一方で残りの部分はしたがって非転化有効成分7を含有している。転化の程度は、有効成分と親油性化合物の化学量論比の調整によって決定することが可能である。この可能性は、親水性有効成分たけでなく、両親媒性有効成分にも存在する。
【実施例1】
【0087】
実施例A:有効成分としてレチノールを含有する濃縮物の製造
【0088】
有効成分としてレチノールを含有する濃縮物を以下の成分から製造した。
相成分1:
6重量% ホスファチジルコリン
3重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
3重量% グリセリン
5重量% ペンチレングリコール
相成分2:
10重量% レチノール
相成分3:
73重量% 水
【0089】
相成分1を均一に撹拌しながら80℃まで加熱した。次に相成分3を75℃まで加熱した。80℃で相成分2を相成分1に加え、共に均一に撹拌した。次に相成分3を、共に撹拌した相成分1及び2の成分に加え、その結果、全相成分を互いに混合したものを、ホモジナイザー(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで均質化した。このようにして作成したプレエマルションを、以下の条件下、つまり、800barにおいて2−5サイクルで高圧ホモジナイザーによって微細分散した。微細分散した混合物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した後、(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで二分間、再度均質化を実施した。
【0090】
化粧品において、連続的に酸化分解プロセスを受けるレチノールは安定化させるのが難しい有効成分であると考えられている。酸化防止剤の添加、リポソーム内又はシクロデキストリン内にカプセル化することのような、古典的な安定化手法がその限界に対して何度も発案されている、というのは、所望の有効成分濃度に達することも出来ず、必要な安定性も有しないからである。
【0091】
比較試験において、驚くことに上記組成物によってレチノール安定性の明瞭な増加を確立することができた。
【0092】
この試験のために、上記濃度のレチノールを含有するリポソーム製剤を上述した濃度と比較した。
【0093】
このために各サンプルをストレスパラメータとして光照射(1.4mW/cm2で20分以上)した。光照射は、赤外線エネルギーを吸収するために用いられる、水充填カバーを備えた石英ガラス室(製造者:Heraeus Quarzglas GmbH)内で行った。光照射中に各サンプル中の溶媒の蒸発を防ぐためにこれは必要であった。光照射後に残っているレチノール濃度測定を、高圧液体クロマトグラフィー(RP−18カラム、メタノール、n−ヘキサン72:78(vol./vol.)混合物からなる移動相)によって分離し、次に324nm、292nm、及び276nmでUV吸収を検出することによって実施した。光照射は各サンプルに対して3回実施し、このようにして再現性を担保した。
【0094】
リポソーム製剤は、ほんの30%のレチノール安定性を可能にし、その結果光照射によって当初のレチノールの70重量%を分解した、一方で濃縮物の光照射語のレチノール濃度は70%であり、その結果当初に用いた有効成分レチノールのうちほんの30%だけを分解した。
【実施例2】
【0095】
実施例B:有効成分としてボスウェリアを含有する濃縮物の製造
【0096】
相成分1:
7.5重量% 水素化ホスファチジルコリン
3重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
3重量% グリセリン
5重量% ヘキシレングリコール
3重量% メドウフォーム油(Meadow Foam Seed Oil)
5重量% ボスウェリア・セラータ抽出物
相成分2:
73.5重量% 水
【0097】
相成分1を均一に撹拌しながら85℃まで加熱した。同様に85℃まで加熱してこの温度にある相成分2を次に相成分1に加え、以後混合した相を均一に撹拌し、(登録商標)Ultra Turraxによって24,000r/minで均質化した。作成したプレエマルションを、高圧ホモジナイザーによって750bar4−6サイクルで微細分散した。35℃まで冷却後、微細分散物は(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで二分間、再度均質化した。このようにして作成した濃縮物を撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0098】
その抗炎症特性のために、ボスウェリア・セラータ抽出物は、化粧品及び医薬品産業にとって有効成分として大いに関心がある。しかしながらそのレジン様特性のために、ボスウェリア・セラータ抽出物は安定化させるのが困難な分子であると考えられている、というのは、それはエマルション形成を著しく阻害し、その結果、化粧品又は医薬品製品中において少ない濃度でのみ用いられるからである。
【0099】
リストに挙げた濃度の指定した有効成分を有する上記濃縮物を、有効成分の濃度において上記濃縮物と同一の従来のボスウェリア・セラータ抽出物エマルションと比較する試験によって、上記濃縮物だけが、有効成分に対して安定且つ高く濃縮した存在形態をもたらすということを確立できた。
【0100】
肉眼及び顕微鏡分析(顕微鏡:Olympus CH2 Model CHT)によって、従来のエマルションと共に保存後に生じる典型的な不安定化現象が、当該濃縮物に関して生じなかったということを立証した。特に従来のエマルションとは対照的に、当該濃縮物は、続いて起こる明らかに発見可能なオイル分離を伴ういかなる肉眼的分解(相分離)も示さなかった。さらに上記濃縮物と従来のエマルションの両方を、その中に含まれる結晶構造及び粒径成長について、400倍に顕微鏡拡大して検査した。ここでは、従来のエマルションについて、製造後最初の3日以内に(23±2℃で保存)、明らかな粒径成長と、脂質液体粒子形状内でのアモルファスへの形態変化と、肉眼的にも確証できる初期相分離の明らかなサインとして専門家の間で認められる、非対象構造体が生じたということを証明した。
【0101】
これとは対照的に、濃縮物については、肉眼的にも顕微鏡的にも変化が認められず、当該濃縮物は安定に存在し、且つ何ヶ月も超過してすら変化しなかった。
【実施例3】
【0102】
実施例C:有効成分としてプロリンを含有する濃縮物の製造
【0103】
相成分1:
6重量% 水素化ホスファチジルコリン
7重量% ホホバオイル
3重量% グリセリン
5重量% ペンチレングリコール
3重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
相成分2:
15重量% プロリン
相成分3:
61重量% 水
【0104】
相成分1を均一に撹拌しながら80℃まで加熱した。80℃で相成分2を混合した相成分1に加えて、均一に撹拌した。以後、75℃まで加熱した相成分3を、共に混合した相成分1及び2の成分へ加え、(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minでこれを均質化した。このようにして作成したプレエマルションを、高圧ホモジナイザーによって800barで2−5サイクル微細分散した。均一に撹拌しながら30℃まで冷却した後、このようにして作成した混合物を、(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで二分間微細分散した。
【0105】
この実施例において、プロリンは浸透圧保護剤のためのモデル物質として用いられている。
【0106】
一方では同一濃度のプロリンを含有した従来のオイル・イン・ウォーターエマルションを含み、他方では上述した濃縮物含むものの試験において、各製品の塗布後の皮膚上層内に存在するプロリン濃度を比較によって決定した。
【0107】
各サンプルの塗布後、且つ60分間の停滞時間の経過後に、その同一皮膚領域から剥離手法による10の粘着テープの剥ぎ取りを実施した。比較試験用に、同一寸法の皮膚領域を、同一量の濃縮物又はオイル・イン・ウォーターエマルションでそれぞれ処理するという手当てを行った。同一の粘着テープストリップをそれぞれ1mlメタノールで抽出した。プロリンの濃度を、高圧液体クロマトグラフィー(CROWNPAK CR (+) カラム、HCLO4溶液からなる移動相、プレカラム DABS-CLによる誘導体化(CrestPak C18S カラム、移動相:H2O中4%のDMFと共に8mMりん酸二水素ナトリウム二水和物、280nmでのUV吸収検出))によって決定した、ここで全ての値は三回定量として確証した。
【0108】
その結果、濃縮物の塗布後の皮膚内で定量したプロリン濃度は、オイル・イン・ウォーターエマルジョンの塗布後測定したプロリン濃度よりも50%高かったということを記そう。
【実施例4】
【0109】
実施例D:有効成分としてパルミトイルペンタペプチド−3を含有する濃縮物の製造
【0110】
相成分1:
8重量% 水素化ホスファチジルコリン
11重量% パルミチン酸イソプロピル
3重量% グリセリン
10重量% エタノール
相成分2:
0.3重量% パルミトイルペンタペプチド−3
相成分3:
67.7重量% 水
【0111】
相成分1を均一に撹拌しながら80℃まで加熱した。80℃で相成分2を相成分1に加えて均一に撹拌した。75℃まで加熱した相成分3を相成分1及び2に加えて、(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで均質化した。製造したプレエマルションを高圧ホモジナイザーによって800barで2−5サイクル微細分散し、次に均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。これには次に(登録商標)Ultra Turraxによって20,000r/minで2分間さらに均質化が続いた。
【0112】
何年もの間、パルミトイルペンタペプチド−3は、皮膚科/化粧品の興味の中心にある。銅ペプチドと同様に、パルミトイルペンタペプチドは、コラーゲンとフィブロネクチンの形成によって、皮膚のより深い層内の傷治癒プロセスを誘発する。それによって皮膚老化を活発に妨害し、且つ傷治癒プロセスを活発に助ける、その効果はほんの4から6週間の期間内でしばしば生じる。
【0113】
上記方法にしたがい、上記濃縮物を従来の製剤と比較することによって試験した、ここでは上記試験条件を適用した。この後、当該濃縮物の塗布によるパルミトイルペンタペプチド−3の進入量は、従来の製剤と比較して40%高いことを確証した。
【0114】
実施例A〜Dにしたがって製造した濃縮物は、5〜50重量%濃度の比で、95〜50重量%の添加剤、したがって例えば水、増粘剤、ヒドロゲル、又は更なる化粧品有効成分で希釈することによってすぐに使える製品へ加工することができる。
【実施例5】
【0115】
実施例E:有効成分、ヘキサペプチド−9を有する最終製剤の製造
【0116】
相成分1:
2重量% 水素化ホスファチジルコリン
1重量% ヘキサペプチド−9
0.8重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
1.5重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
1重量% スクアラン
相成分2:
1重量% グリセリン
1.3重量% ペンチレングリコール
19重量% 水
相成分3:
25重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% キサンタンガム
相成分4:
3.5重量% ペンチレングリコール
0.35重量% ヒドロキシエチルセルロース
100.0重量%まで水
【0117】
相成分1を全有効成分が溶解形態で存在するまで均一に撹拌しながら85℃まで加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら85℃まで加熱した。次に相成分2を相成分1に加えて少し撹拌し、その後(登録商標)Ultra Turraxにて24,000r/minで均質化した。
【0118】
ここで結果として得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーによって5−7サイクル、圧力600barで微細分散した。作成した分散物(分散系)を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0119】
相成分3及び相成分4をそれぞれ別の容器内で均一に撹拌しながら30℃まで加熱した。次に相成分4を相成分3に加え、それから(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて均質化した。作成した分散物をわずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。相成分1及び2からの高粘度分散物を次に加えた。その後、混合物を(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて、均一な構造体が生じるまで30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は直接的に使用可能であった。
【実施例6】
【0120】
実施例F:UVBフィルターオクトクリレン、及びUVBフィルターブチルメトキシジベンゾイルメタンを有する最終製剤の製造
【0121】
相成分1:
2.10重量% 水素化ホスファチジルコリン
3.00重量% オクトクリレン
2.50重量% ブチルメトキシジベンゾイルメタン
相成分2:
1.00重量% グリセリン
1.30重量% ペンチレングリコール
18.00重量% 水
0.10重量% カプリリルグリコール
相成分3:
22.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% キサンタンガム
相成分4:
3.50重量% ペンチレングリコール
0.35重量% ヒドロキシエチルセルロース
100重量%まで水
【0122】
相成分1を、すべての成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら85℃まで加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら85℃まで加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、その後、均質な混合物が生成するまで(登録商標)Ultra Turraxにて24,000r/minで撹拌した。これによって結果として得たプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて6−8サイクル、圧力800barで微細分散した。作成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0123】
相成分3及び相成分4を別の容器内で均一に撹拌しながら30℃まで加熱した。次に相成分4を相成分3に加え、均質な混合物が生成するまで(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)で撹拌した。わずかに撹拌しながら、作成した分散物を30℃まで冷却した。次に相成分1及び2由来の高粘度分散物を加えた。つぎに当該混合物を、均一な構造体となるまで(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は直接使用可能であった。
【実施例7】
【0124】
実施例G:ヘルペス治療用有効成分ヒペリシンを有する最終製剤の製造
【0125】
相成分1:
1.50重量% 水素化ホスファチジルコリン
0.05重量% ヒペリシン
3.00重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
0.25重量% スクアラン
相成分2:
1.00重量% グリセリン
3.00重量% エタノール
19.00重量% 水
相成分3:
10.00重量% オリーブの樹オイル(Olea europeae oil)
14.00重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
相成分4:
10.00重量% エタノール
8.00重量% ソルビトール
0.25重量% ヒドロキシエチルセルロース
100重量%まで水
相成分5:
0.20 アロマバニラ
【0126】
相成分1を、全成分が溶解した形態となるまで均一に撹拌しながら85℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら85℃に加熱した。その後、均質な相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて24,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて5−7サイクル、圧力600barで微細分散した。生成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0127】
相成分3及び4を、別々の容器内で均一に撹拌しながら50℃に加熱した。次に相成分4を相成分3に加えた後、(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて均質化した。わずかに撹拌しながら、生成した分散物を30℃まで冷却した。その後、相成分5を上記混合物に加え、芳香剤が均一に作用するまで(登録商標)Ultra Turrax(10,000r/min)にて再度少し均質化した。相成分1及び2由来の高粘度分散物を次に加えた。その後、当該混合物を、均一な構造体となるまで(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて均質化した。このようにして製造した最終製剤は直接使用可能であった。
【実施例8】
【0128】
実施例H:鼻粘膜乾燥症の治療用有効成分パンテニルトリアセテートを有する最終製剤の製造
【0129】
相成分1:
1.50重量% 水素化ホスファチジルコリン
1.00重量% パンテニルトリアセテート
0.80重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
1.50重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.20重量% スクアラン
相成分2:
1.00重量% グリセリン
1.30重量% ペンチレングリコール
17.00重量% 水
相成分3:
10.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
8.00重量% シアーバターノキ(Butyrospermum Parkii)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% キサンタンガム
相成分4:
3.50重量% ペンチレングリコール
0.30重量% ヒアルロン酸ナトリウム
100重量%まで水
【0130】
相成分1を、全有効成分が溶解した形態となるまで均一に撹拌しながら85℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら85℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加えてわずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて24,000r/minで均質化した。この結果として生じたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて2−4サイクル、圧力700barで微細分散した。生成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0131】
相成分3及び4を、それぞれ別の容器内で均一に撹拌しながら50℃まで加熱した。次に相成分4を相成分3に加えた後、(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて均質化した。生成した分散物を、わずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。その後、相成分1及び2由来の高粘度分散物を加えた。当該混合物は次に、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turraxにて30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は、直接使用可能であった。
【実施例9】
【0132】
実施例I:有効成分オクトクリレンを有する濃縮物の製造
【0133】
相成分1:
6.00重量% 水素化ホスファチジルコリン
20.00重量% オクトクリレン
1.00重量% スクアラン
相成分2:
4.00重量% グリセリン
5.00重量% ペンチレングリコール
100重量%まで水
【0134】
相成分1を、全成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加えてわずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて15,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて5−6サイクル、圧力800barで微細分散した。生成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0135】
このようにして製造した濃縮物は、同様に希釈、好ましくは水、親水コロイド、及び/又はアルコールで希釈することによって容易に、すぐに使用できる最終製剤に転換することができ、の最終製剤は、それぞれ光保護剤又は紫外線保護剤として用いることが可能である。
【実施例10】
【0136】
実施例J:光保護剤として用いるための、有効成分オクトクリレンを有する最終製剤の製造
【0137】
相成分1:
1.50重量% 水素化ホスファチジルコリン
5.00重量% オクトクリレン
0.25重量% スクアラン
相成分2:
1.00重量% グリセリン
1.25重量% ペンチレングリコール
16.00重量% 水
相成分3:
15.00重量% C12−15アルキルベンゾエート
8.00重量% 酸化チタン
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% キサンタンガム
相成分4:
3.90重量% ペンチレングリコール
100重量%まで水
【0138】
相成分1を、全成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて15,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて5−6サイクル、圧力800barで微細分散した。生成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0139】
相成分3及び4を、それぞれ別の容器内で均一に撹拌しながら30℃まで加熱した。次に相成分4を相成分3に加えた後、(登録商標)Ultra Turrax(10,000r/min)で均質化した。生成した分散物を、わずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。相成分1及び2由来の高粘度分散物を次に加えた。その後、当該混合物を、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)によって30℃で均質化した。こうして製造した最終製剤は直接使用可能であった。
【0140】
(比較実施例A)
光保護係数(LPF)の比較測定を実行可能にするために、実施例Jで記載したような同一濃度の同一有効成分を有する従来の組成物を作成した。ここで従来の組成物は以下の成分を有していた。
【0141】
相成分1:
1.50重量% PEG−20ステアリン酸
5.00重量% オクトクリレン
0.25重量% スクアラン
1.00重量% グリセリン
15.00重量% C12−15アルキルベンゾエート
8.00重量% 酸化チタン
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
相成分2:
0.10重量% キサンタンガム
4.15重量% ペンチレングリコール
100.0重量%まで水
【0142】
相成分1を、全有効成分が溶解形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて15,000r/minで均質化した。生成した分散物を、わずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。その後、当該混合物を、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(15,000r/min)にて30℃で均質化した。
【実施例11】
【0143】
実施例K:マダニに備えて使用するための、有効成分イカリジンを有する最終製剤の製造
【0144】
相成分1:
3.00重量% 水素化ホスファチジルコリン
10.00重量% イカリジン
相成分2:
1.80重量% ペンチレングリコール
19.00重量% 水
相成分3:
5.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% デヒドロキサンタンガム
相成分4:
3.50重量% ペンチレングリコール
100.0重量%まで水
【0145】
相成分1を、全成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌した後、(登録商標)Ultra Turraxにて18,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて2−3サイクル、圧力600barで微細分散した。生成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0146】
相成分3及び4をそれぞれ別の容器内で均一に撹拌しながら30℃に加熱した。次に相成分4を相成分3に加え、(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて均質化した。生成した分散物をわずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。その後、相成分1及び2由来の高粘度分散物を加えた。次に当該混合物を、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(11,000r/min)にて30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は、直接使用可能であった。
【0147】
(比較例B)
マダニに対して、実施例Kに係る上記組成物の効果の比較測定を実施可能にするために、実施例Kと同様の、同一有効成分を同一濃度で有する従来の組成物を作成した。
【0148】
相成分1:
3.00重量% ポリグリセリル−3ポリリセノレート(polyglyceryl-3 polyricenoleate)
10.00重量% イカリジン
5.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.10重量% デヒドロキサンタンガム
相成分2:
5.00重量% ペンチレングリコール
100.0重量%まで水
【0149】
この従来のクリーム様組成物の製造のために、相成分1を、全成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌後、(登録商標)Ultra Turraxにて18,000r/minで均質化した。生成した分散物は、わずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。次に当該混合物を、均一なクリーム様構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)にて30℃で均質化した。
【実施例12】
【0150】
実施例L:シラミに備えて用いるための、有効成分ペルメトリンを有する最終製剤の製造
【0151】
相成分1:
2.00重量% 水素化ホスファチジルコリン
0.40重量% ペルメトリン
相成分2:
1.80重量% ペンチレングリコール
19.00重量% 水
相成分3:
5.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.06重量% カルボマー
0.06重量% カルボマーナトリウム
0.05重量% デヒドロキサンタンガム
相成分4:
3.50重量% ペンチレングリコール
100.0重量%まで水
【0152】
相成分1を、全成分が溶解する形態で存在するまで均一に撹拌しながら80℃に加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら80℃に加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌後、(登録商標)Ultra Turraxにて9,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションを、高圧ホモジナイザーにて3−5サイクル、圧力800barで微細分散した。得られた分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0153】
相成分3及び4を別々の容器内で均一に撹拌しながら30℃に加熱した。次に相成分4を相成分3に加え、(登録商標)Ultra Turrax(9,000r/min)にて均質化した。作成した分散物をわずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。その後、相成分1及び2由来の高粘度分散物を加えた。その後、当該混合物を、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(9,000r/min)にて30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は、直接使用可能であった。
【実施例13】
【0154】
実施例M:酒さに備えて用いるための、有効成分ビタミンKを有する最終製剤の製造
【0155】
相成分1:
1.50重量% 水素化ホスファチジルコリン
5.00重量% ビタミンK
0.20重量% スクアラン
0.10重量% ライスブランワックス
1.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.25重量% フェニルエチルアルコール
相成分2:
18.00重量% 水
相成分3:
5.00重量% カプリル/カプリントリグリセリド(caprylic/capric triglyceride)
0.10重量% カルボマー
0.10重量% カルボマーナトリウム
0.20重量% ヒドロエチルセルロース
相成分4:
3.50重量% ペンチレングリコール
100.0重量%まで水
【0156】
相成分1を、全成分が溶解した形態で存在するまで均一に撹拌しながら75℃まで加熱した。同様にして、相成分2を別の容器内で撹拌しながら75℃まで加熱した。次に相成分2を相成分1に加え、わずかに撹拌後、(登録商標)Ultra Turraxにて15,000r/minで均質化した。この結果得られたプレエマルションうぃ、高圧ホモジナイザーにて3−4サイクル、圧力800barで微細分散した。作成した分散物を均一に撹拌しながら30℃まで冷却した。
【0157】
相成分3及び4をそれぞれ別の容器内で均一に撹拌しながら30℃に加熱した。次に相成分4を相成分3に加えた後、(登録商標)Ultra Turrax(12,000r/min)で均質化した。作成した分散物をわずかに撹拌しながら30℃まで冷却した。その後、相成分1及び2由来の高粘度分散物を加えた。次に当該混合物を、均一な構造体が存在するまで(登録商標)Ultra Turrax(10,000r/min)にて30℃で均質化した。このようにして製造した最終製剤は、直接使用可能であった。
【0158】
(ヘルペスの場合における、実施例Gに記載した最終製剤の効果の立証)
不規則に特に口唇及び鼻の下の範囲内において生じるヘルペス感染に少なくとも2年間罹った25歳から55歳の10被験者(女性6、男性4)を、ヘルペス感染のピークレベルにおいて実施例Gに係る最終製剤で治療した。全員が、一方では極度のかゆみ、他方では痛みを患った。
【0159】
第1の連続試験において、被験者を、実施例Gと同一濃度の有効成分ヒペリシンを含有する従来の軟膏で治療した。従来の軟膏の、毎日の塗布回数は被験者自身が決定した。
【0160】
塗布の前に、塗布2日後に、4日後に、及び8日後に、ヘルペス感染の広がり、及びそれに関連した付随症状の広がりを測定して、被験者評価が特筆した。この基準として以下の分類を用いた。
【0161】
0=ヘルペスの検出不可能な症例
1=依然としてヘルペスの検出が可能な症例
2=わずかにヘルペスの検出が可能な症例
3=中程度のヘルペスの症例
4=強烈なヘルペスの症例
5=非常に強烈なヘルペスの症例
【0162】
さらに、ヘルペスの急性症例の治癒するまでの時間が数日内に検出されると、この場合には少なくとも基準1が与えられた。
【0163】
この第1の連続試験の結果を以下の表1に再現した。
【表1】

【0164】
上記で選択した被験者を次に、彼らがヘルペスの急性症例に再度罹った際に第2の連続試験を行った。ここでは、第1の連続試験と第2の連続試験の時間を、被験者に応じて3ヶ月から9ヶ月に変えた。
【0165】
第2の連続試験では、被験者を実施例Gで明記した組成物で治療し、その際、実施例Gに係る組成物の毎日の塗布回数は被験者自身に決定させた。
【0166】
この第2の連続試験の評価は、第1の連続試験の評価と同様に行い、以下の表2に再現した。ここでは、第1の連続試験の被験者番号は、第2の連続試験の被験者番号と同一であることに注目すべきである。
【表2】

【0167】
上に再現した二つの表の比較は、従来の軟膏と比較して実施例Gに係る組成物の優位性が明らかに証明する。特に、被験者全員が、特に数回の塗布後すでにかゆみ及び痛みが明瞭に和らいだと一致して報告しており、これは従来の軟膏では無かった症例である。
【0168】
(実施例Jに係る組成物の光保護係数の決定)
COLIPA光保護係数試験手法を、光保護係数を決定するために用いた。この手法は、確定した、公知の出力を有する人工紫外(UV)光源を必要とする実験室手法である。それを実施すると、選択した被験者の幾つかの小さな領域に、段階的な一連の遅延したUV紅斑反応を誘発する。
【0169】
被験者達は検査実験室に、少なくとも2回居なければならない。一回目の機会には、彼らを所望のUV線量に曝し、二回目の機会には、紫外線防止製品によってもたらされた紅斑反応の遅延を、類似の試験構成によって評価する。UV線量の段階的な増加によって、最大値でUV暴露後約24時間にいたる、異なる程度の皮膚紅斑(表面近くの血管拡張の結果として赤みを帯びる)が作り出される。保護していない皮膚タイプII及びIIIに紅斑をもたらす暴露時間は、フィッツパトリック(Fitzpatrick)にしたがい一般的に約2分間である。はっきり認識できる紅斑の領域を作り出す最低線量は、最小紅斑線量又はMEDである。保護していない皮膚に対するMED(MEDu、ここでuはUnprotectedを表す)及び、紫外線保護剤塗布後のMED(すなわち保護した皮膚に対するMED=MEDp、ここでpはProtectedを表す)が、同一被験者において同時に決定される。MEDu及びMEDpは、訓練した評価者によって視覚的に、又はカロリメータによって機械的に評価することが可能である。同一被験者において、ここでは同時に幾つかの製剤を試験することが可能である。MEDuに対するMEDpの比に基づいて、各被験者に対する製剤の光保護係数が計算される。一つの製剤を、少なくとも10人の被験者に試験しなければならない。平均光保護係数に対する信頼限界は、平均値以内±20%である、つまり、平均光保護係数が10であれば、算出した信頼限界はそれぞれ8以上又は12以下にあるべきである。これが当てはまらない場合には、統計的基準に合致するまで更なる被験者に試験を実施しなければならなく、20人の被験者が用いられた。一つの製剤の平均光保護係数は、全被験者の結果から計算する。
【0170】
COLIPA光保護係数試験手法は、さらに紫外線保護剤の試験表面への塗布と分布に対する標準手法を記載している、というのは試験のこの局面が、実験誤差の実質的な源と同一だからである。全試験において試験製剤の期待する光保護係数に応じて、COLIPAにしたがい、類似の高い又は低い光保護係数を有する基準製剤を用いるべきである。
【0171】
試験領域の実験が、肩甲骨の線の下から腰の高さまでの範囲で被験者に実施された。各被験者の背中上の日焦げ(sunburn)、日焼け(suntan)、痣、皮膚外傷、及び不規則な色素沈着の証明が判定された。試験者の意見の中に、リストに挙げた人工的きずのうちの一つでも著しく存在する場合には、その被験者は実験から除外した。実験を20人の被験者に実施した。
【0172】
(フィッツパトリック(Fitzpatrick)にしたがう皮膚タイプの分類)
皮膚タイプは以下のようにして分類される。
皮膚タイプI 日焼け:なし、日焦げ:常時
皮膚タイプII 日焼け:わずか、日焦げ:常時
皮膚タイプIII 日焼け:中程度、日焦げ:稀
【0173】
UV源として、Solar Light社の601−300マルチポイントシミュレータ(Multiport Simulator)には、キセノンアーク灯のスペクトルが、特殊フィルタを通って紅斑有効範囲に表示され(COLIPAスペクトル)て、皮膚上に適用された。当該シミュレータには、異なる照射線量を同時に発することのできる、6つの照射場が備えられている。個々の時間制御した、又は出力制御した閉鎖機構を介して、異なるUV線量が施され、このようにして「光目盛(light graduation)」が決定され得る。LPFは製品場(例えば紫外線クリーム)と空場(保護していない皮膚)の測定によって決定される。照射は、着座しているものと寝ているものの両方に、回転可能な線出力によって実行され得る。
【0174】
UV照射に対する各被験者の先天性の反応度を証明するために、一連のUV照射が、実際の試験の24時間前に実施される。各照射場は直径1cmである。時間間隔は、幾何級数として選択され、照射継続時間は各場について25%だけ延ばされた。照射した領域は、UV暴露16−24時間後に評価され、MEDu(保護していない皮膚のMED)が決定された。MED(最小紅斑線量)が、光保護係数試験(LPF試験)に対して適用されるべき線量の指標として用いられる。MEDは、弱いが鮮明な境界を有する明らかに識別できる赤みを作り出すために必要な照射エネルギーとして定義される。この試験の照射線量は、時間の経過順に検出された。
【0175】
実施例Jに係る組成物に対するLPFは、被験者(n=20)の背中における明確な位置で、実施例Aに係る組成物のLPFと比較することによって決定された。位置の決定は以下のようにして実施された。
− 全試験領域の標識付け
− 各試験領域を35cmで標識付け
比較すべき上記2サンプルに対してそれぞれである。
【0176】
各組成物(実施例J又は比較例A)が、2mg/cm±0.02の量で各試験場上に塗布された。塗布後、UV照射前の作用時間として約15分の間隔で待機した。
【0177】
作用時間が過ぎると、最初に被験者背中上の保護していない領域が照射された。次に、各組成物で処置した領域上に試験が繰り返された。
【0178】
同様の試験が第2試験領域に、製品塗布2時間後に繰り返された。当該試験領域は、一連の異なる強度のUV照射ユニットで処理される。実際の暴露時間は、試験者の前に決定したMEDと、製品の推定したLPFによって選択される。より具体的には、MEDは製品の推定したLPFと掛け合わされ、この結果から暴露時間を得る。25%の幾何級数がUV線量として選択される。照射完了後、試験場位置が標識される。各被験者はさらなるUV照射に対して保護するために、全試験領域を覆うように求められる。
【0179】
処理され且つ光照射された試験場の評価は、UV暴露20−24時間後に訓練した者によって実施された。
【0180】
実施例Jに係る組成物、及び比較実施例Aに係る組成物に対する、個々の及び平均化したLPF値を以下の表3に示した。
【表3】

【0181】
実施した測定に関連して、実施例Jに係る組成物の高い光保護係数が、120分の作用時間後ですらまだ存在したということも述べるべきである。これは、比較実施例Aに係る組成物にはなかったケースである。このことから、実施例Jに係る組成物の特殊な構造体のために、後者は角質層内で安定に存在していたということが結論付けられ得る。これは、比較実施例Aに係る組成物にはなかったケースである。ここで、LPFは13.7から9.8に大きく減少した。
【0182】
(マダニ混入の防止を目的とした実施例Kに記載の、最終製剤の効果の立証)
【0183】
比較実施例Bに係る従来の組成物と比較した、実施例Kに係る組成物の効果を試験するために、生きたブタ属の家畜ブタ(2 1/2歳)に麻酔したものを、その左側及び右側をそれぞれ完全に剃毛した。ブタの二つの側は、背に沿った3cm幅の両面粘着テープによって互いに境界を定められ、このようにしてブタの一方の側から、ブタのもう一方の側へのマダニの移動は防ぐことができる。ブタの両側における残りの縁にも、同様にこの粘着テープが施された。
【0184】
直立位置に、麻酔したブタを位置固定した後、実施例Kに係る組成物をブタの一方の側に(試験領域約500cm)、比較実施例Bに係る組成物がブタのもう一方の側(試験領域約500cm)にそれぞれ1g/10cmの濃度で塗布し、試験領域に渡って均一にこすりつけた。10分間の作用時間の後、ブタの各側には、同一の発現段階及び同一数のマダニ(それぞれ20匹のマダニ)を入植した。
【0185】
入植して4時間後にブタの各側におけるマダニの数を確かめた。何匹のマダニが自身で固く付着しているのかということと、何匹のマダニがブタの各側に咬傷無くまだ入植しているのかということに対して、ここでは鑑別を行った。くわえて、移動して粘着ストリップ内に固定されたマダニを数えた。さらに、マダニが4時間後にいまだ存命であるかどうかを顕微鏡で検査した。
【0186】
この調査結果を次の表4に再現した。
【表4】

【0187】
上に再現した表の比較は、比較実施例Bに係る従来の組成物と比較した、実施例Kに係る組成物の優位性を明らかに証明している。特に、たった8匹のマダニが自身で皮膚内に入り込んだこと、及び、実質的により多い数のマダニの死骸が発見され得たという事実は、実施例Kに係る組成物が非常に有効であることを証明しているのである。
【0188】
実施例A〜Mにおいて用いられた水素化ホスファチジルコリンに関して、これら実施例は93±3重量%の水素化ホスファチジルコリン濃度を有しており、且つ、アシル基が85重量%のステアリン酸、及び14重量%のパルミチン酸から成るということを示すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的に塗布する化粧品又は医薬品組成物であって、上記組成物は
親水性の外相と、
少なくとも一つの化粧品及び/又は医薬品有効成分と、及び、
有効成分のために少なくとも一つのキャリヤ物質とを有しており、
上記キャリヤ物質は、サンドイッチのように互いに上下に配置された少なくとも二つのラメラ二重膜層からなる構造体を形成しており、
互いに平行に並んだ隣り合う二重膜層の間には、一層の内相がそれぞれ配置された、組成物において、
上記有効成分は、二重膜層内と内相の層内とに分布され、
有効成分の全濃度に対しそれぞれ、
上記内相の層は、上記有効成分を2重量%から98重量%の濃度範囲で含有し、且つ、
上記二重膜層は、上記有効成分を98重量%から2重量%の濃度範囲で含有していること、及び、
上記外相は、全く又は殆んど全く有効成分を含まないことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
有効成分の全濃度に対しそれぞれ、
内相は、有効成分を15重量%から85重量%の濃度範囲で、好ましくは25重量%から75重量%の濃度範囲で含有し、且つ、
二重膜層は、有効成分を85重量%から15重量%の濃度範囲で、好ましくは75重量%から25重量%の濃度範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
内相内と二重膜層内の有効成分の濃度が異なっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
有効成分の全濃度に対し、
外相は、有効成分を多くても5重量%の濃度範囲で有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
有効成分の全濃度に対し、
外相は、有効成分を0重量%から2重量%の濃度範囲で有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が疎水性有効成分を含有していること、及び、
上記有効成分が主に、好ましくは、有効成分の全濃度に対して少なくとも70重量%の上記有効成分が二重膜層内に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
二重膜層内において、疎水性有効成分が、有効成分の全濃度に対して80重量%から90重量%の濃度で包埋されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が親水性有効成分を含有していること、及び、
上記有効成分が主に、好ましくは、有効成分の全濃度に対して少なくとも70重量%の上記有効成分が内相内に配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
内相内において、親水性有効成分が、有効成分の全濃度に対して80重量%から90重量%の濃度で包埋されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
有効成分が、二重膜層上の又は二重膜層内の親油性化合物によって組成物内に固定されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
親油性化合物が二重膜層内に包埋されること、及び、
これによって固定される有効成分が内相内に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
親油性化合物が有効成分を、分子間相互作用によって、特に水素結合又はファンデルワールス力によって固定することを特徴とする、請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
内相と外相が同一であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
内相、及び/又は外相が液体であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
内相及び外相が、それぞれ液体、特に水であることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、有効成分として少なくとも一つの局所的に又は組織的に作用する有効成分を含有していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
有効成分が医薬品有効成分であり、且つ、
鎮痛剤、抗リューマチ剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗縮瞳剤、抗炎症剤、温泉療法剤、副腎皮質ホルモン作用成分、抗敗血剤、血液循環増加作用成分、鎮静剤、麻酔剤、鎮痙剤、及び傷治療薬からなる群から、それぞれ単独で又は混合物で選択されることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
有効成分が化粧品有効成分であり、且つ、
油、脂肪、ワックス、酸化防止剤、ペプチド、プロテイン、アミノ酸、アミノ酸誘導体、光保護フィルタ、日焼け剤、ビタミン、プロビタミン、フルーツ酸、保湿剤、植物の部分及び植物抽出物、尿素、グルカン、グルカン誘導体、有機金属化合物、及び無機金属化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
組成物がオイルとして、タネツケバナオイル、アボカドオイル、ココナッツオイル、ホホバオイル、コムギの胚種子油、マカデミアナッツオイル、杏仁油、麻実油、亜麻仁油、ごま油、ひまわり油、落花生油、ローズマリーオイル、カモミールオイル、セージオイル、キンセンカオイル、ラベンダーオイル、セント・ジョーンズ・ワートオイル、メリッサオイル、沙棘油、ギョリュウバイ油、セダー油、ヒノキ油、マツヨイグサ油、アカスグリ種子油、ルリチシャ油、バラの実油、大豆油、魚油、アーモンドオイル、オリーブオイル、及び/又はこれらオイル成分を有していることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
オイル、又はオイル成分が、すぐに使用可能な組成物に対し0.5重量%から40重量%の濃度で組成物中に存在することを特徴とする、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
組成物が鎮静化粧品有効成分として、シアバター、セラミド、特にセラミド−3、クプアスバター、スクアラン、及び/又はトリグリセリド、特に中間鎖の、飽和C−C24−トリグリセリドを含有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物が、ウルソル酸、大豆ステロール、18−ベータ−グリチルレチン酸、ガンマオリザノール、フェルラ酸、アベナントラミド、及び上記有効成分の誘導体からなる群から選択された、抗炎症性有効成分を含有していることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、すぐに使用可能な組成物に対し0.01重量%から35重量%の濃度で、好ましくは0.1重量%から15重量%の濃度で有効成分を有することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
組成物中に含有されるキャリヤ物質が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、好ましくは蒸留した中間鎖モノグリセリド、スフィンゴ脂質、ホスファチジルコリン、ホスホリン脂質、脂肪族アルコール、脂肪酸及び上記化合物の誘導体から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
組成物がキャリヤ物質として、水素化ホスホリン脂質、特に水素化ホスファチジルコリンを含有していることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
水素化ホスホリン脂質が、少なくとも60重量%の水素化ホスファチジルコリンを有していることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
組成物が、すぐに使用可能な組成物に対し0.5重量%から30重量%の濃度で、好ましくは0.7重量%から10重量%の濃度でキャリヤ物質を有していることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
水素化ホスホリン脂質が、30℃より高い且つ70℃より低い相転移温度を有していることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が外相及び内相を有しており、外相及び内相の全濃度が、すぐに使用可能な組成物の重量に対して5重量%から90重量%であることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、少なくとも一つのアルコール、特に多価アルコールをさらに含有することを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
組成物がアルコールとして、フェニルエチルアルコール、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、デシレングリコール、及び/又はグリセリンを有することを特徴とする、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
組成物が、すぐに使用可能な組成物に対し0.01重量%から10重量%の濃度で、好ましくは0.1重量%から3重量%の濃度でN−アシルエタノールアミンを有することを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
N−アシルエタノールアミンのアシル基が、C−C24−アシル基であることを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
N−アシルエタノールアミンが、N−アセチルエタノールアミン、N−オレオイルエタノールアミン、N−リノレノイルエタノールアミン、N−ココイルエタノールアミン、及びN−パルミトイルエタノールアミンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項32又は33に記載の組成物。
【請求項35】
組成物が、少なくとも一つの防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、及び/又はゲル化剤をさらに有することを特徴とする、請求項1〜34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
組成物が、それぞれ増粘剤又はゲル化剤として、天然コロイド又は天然親水コロイド、及び/又は、合成コロイド又は合成親水コロイドを有していることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
組成物が、
0.5重量%から7重量%の水素化ホスファチジルコリン、
0.5重量%から10重量%のクプアスバター、
0.5重量%から15重量%のシアバター、
0.001重量%から3重量%のセラミド、
0.1重量%から5重量%のコロイド又は親水コロイド、
2重量%から42重量%のオイル又はオイル成分、
0.01重量%から5重量%の有効成分、
0重量%から10重量%の他の添加剤、及び、
5重量%から96重量%の水をそれぞれ有することを特徴とする、請求項1〜36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
組成物が、局所的に塗布可能な組成物として製剤されること、及び、
20℃で2.000mPasから40.000mPasの粘度、好ましくは12.000mPasから25.000mPasの粘度を有することを特徴とする、請求項1〜37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
組成物が、4.0から7.6のpH−値を有することを特徴とする、請求項1〜38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
組成物が、組成物中に含有されるキャリヤ物質の重量に対し、10重量%から95重量%の濃度で、好ましくは30重量%から95重量%の濃度で二重膜層を有することを特徴とする、請求項1〜39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
組成物が、サンドイッチのように互いに上下に配列した2から15のラメラ二重膜層からなる構造体を含有していることを特徴とする、請求項1〜40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
個々の二重膜がそれぞれ、4nmから20nmの厚み、好ましくは4nmから8nmの厚みを有することを特徴とする、請求項1〜41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
隣り合った二重膜層の間に配置された内相の層が、2nmから10nmの厚みを有することを特徴とする、請求項1〜42のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−540574(P2010−540574A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527320(P2010−527320)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001609
【国際公開番号】WO2009/043341
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502290510)クース ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】