説明

屋外構造体

【課題】部材断面を共通化して製造コストを抑制しつつ必要に応じて屋根全体の面積を拡大することができる屋外構造体を提供すること。
【解決手段】カバー部材20の先端部が他方の側枠12B上方に離れて設けられ、他方の側枠12Bとの間に止水材22が設けられているので、屋根体7A,7B間で荷重や変形が伝達されず、単独の屋根体7における荷重状態と同一の荷重が作用して部材応力も同一にできるため、各々の屋根体7A,7Bの各部材の断面を、単独の屋根体7における各部材と共通化することができ、製造や組立、在庫管理が容易になって製造コストを抑制することができる。そして、カバー部材20で一方および他方の屋根面材6A,6Bの離隔部分を覆ったことで、この離隔部分からの雨の浸入を防止しつつ屋根面積を拡大することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外構造体に関し、詳しくは、支柱および屋根面材を有して自立する屋根体を備えた屋外構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に設けられるカーポートやテラス、サンルーム、アプローチ等の屋外構造体であって、支柱および屋根面材を有したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された屋外構造体であるカーポートは、2本の支柱と梁とを有した門形のフレームを前後に設置し、これら前後のフレームに1組2枚の屋根面材(屋根体)を支持するとともに、1組の屋根面材同士を連結部で連結した構造を備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−76260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の屋外構造体において、屋根全体の面積を拡大する場合には、門形のフレームの支柱間隔を拡げ、屋根面材の枚数を増加させる方法が一般的である。しかし、このように屋根面材の枚数を増加させた場合には、屋根面材の重量や風圧力などが大きくなりフレームに作用する荷重が増加するため、フレームを構成する支柱や梁の断面性能を向上させる必要がある。このため、共通仕様で設計されたカーポートなどのシリーズにおいて、屋根の面積によって部材の断面が異なることとなり、各部材の製造や組立、在庫管理などの手間が増大し、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
一方、従来のカーポートのように自立した屋外構造体を複数組併設して屋根全体の面積を拡大する方法が考えられる。しかし、併設した屋外構造体の屋根面材同士を特許文献1に記載の連結部のような構造で連結すると、屋外構造体同士で荷重が伝達されるため、単体の屋外構造体における荷重状態と異なる応力が各部に発生する可能性がある。このため、単体の屋外構造体と複数連結した屋外構造体とで部材の断面が異なり、前述のような手間が増大してしまう。あるいは、単体の屋外構造体と複数連結した屋外構造体とで、予測される最大の応力に基づいて部材断面を共通化することも考えられるが、この場合でも部材断面に無駄が多くなり、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、部材断面を共通化して製造コストを抑制しつつ必要に応じて屋根全体の面積を拡大することができる屋外構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の屋外構造体は、支柱および屋根面材を有して自立する屋根体を少なくとも一対備え、これら一対の屋根体同士が互いに隣り合って設けられた屋外構造体であって、前記隣り合う屋根体の各々における屋根面材同士は、互いに所定間隔離れて設けられるとともに、この離隔位置において対向する各々の端縁部材を有して構成され、前記屋根面材の離隔位置には、前記対向する端縁部材のうちの一方に設けられて他方と離れてかつ重なって位置するカバー部と、このカバー部と前記他方の端縁部材との間に設けられて弾性変形可能な止水材とが設けられていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、少なくとも一対の屋根体を隣り合わせて設置するとともに、屋根面材の離隔位置にて対向する端縁部材間にカバー部を設けたことで、単独の屋根体に対して略整数倍の大きさに屋根面を拡大することができる。そして、隣り合った一方の屋根面材における端縁部材に設けたカバー部を他方の屋根面材における端縁部材に重なる位置に設けるとともに、カバー部と他方の端縁部材との間に止水材が設けられることで、屋根面材の離隔位置から雨水が吹き込むのを防止することができ、複数の屋根体に渡って連続した屋根面を構成することができる。さらに、カバー部と他方の端縁部材とが離れて設けられるとともに、これらの間に弾性変形可能な止水材が設けられることで、一対の屋根体における一方から他方への荷重の伝達が阻止され、つまり風などによって一方の屋根体が変形した場合でも他方の屋根体に衝突することなく、カバー部と他方の端縁部材との間の相対変位や止水材の弾性変形によって屋根体の変形を吸収することができる。従って、各々の屋根体の各部材においては、単独の屋根体における荷重状態と同一の荷重が作用して部材応力も同一となるため、単独の屋根体に用いる部材と断面を共通化することができ、製造や組立、在庫管理が容易になって製造コストを抑制することができる。
【0008】
この際、本発明の屋外構造体では、前記カバー部は、前記一方の端縁部材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材は、前記一方の端縁部材の長手方向に沿って複数カ所に固定されるピース状のブラケットを介して固定され、このブラケットは、前記端縁部材の側面に沿った側面部と、この側面部の上端部に連続して他方の端縁部材に向かって延びる延出部とを有して形成され、この延出部に前記カバー部材が固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、ピース状のブラケットを介してカバー部材を固定することで、屋根体の大きさや荷重条件等に応じて必要な数のブラケットを準備すればよく、その使用材料を節約することができる。さらに、端縁部材が曲線状に形成されていた場合でも、ブラケットを曲げ加工する必要がなく、端縁部材に沿った適宜な位置にブラケットを固定するだけでカバー部材を支持することができる。また、ブラケットが側面部および延出部を有して構成されることで、端縁部材から離れた延出部にカバー部材を固定することで、固定作業を容易に実施することができる。
【0009】
さらに、本発明の屋外構造体では、前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部と、この上面部の下側に突出した固定部とを有して形成されるとともに、前記ブラケットの延出部を下方から貫通する固着具を前記固定部に固着することで当該ブラケットに固定された構成が採用できる。
また、本発明の屋外構造体では、前記ブラケットの延出部には、上方に突出した固着部が形成され、前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部を有して形成されるとともに、この上面部を上方から貫通する固着具を前記ブラケットの固着部に固着することで当該ブラケットに固定された構成を採用してもよい。
これらの構成によれば、一対の屋根体を構築してから一方の端縁部材にブラケットを固定し、屋根体の上方からカバー部材を設置してブラケットに固定することができる。そして、ブラケットの延出部を下方から貫通する固着具をカバー部材の固定部に固着する構成によれば、屋根面材の下側から固定作業を実施することができ、高所作業を回避して作業性を向上させることができる。一方、カバー部材の上面部を上方から貫通する固着具をブラケットの固着部に固着する構成によれば、屋根面材の上側からの固定作業となるものの、対向する端縁部材同士の間隔寸法が小さく下側からの作業が難しい場合などでも、固定作業を容易に実施することができる。
【0010】
一方、本発明の屋外構造体では、前記一方および他方の端縁部材の上面には、当該端縁部材の長手方向に沿った長尺状の桟材がそれぞれ固定され、前記カバー部は、前記一方の桟材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材と他方の桟材との間に前記止水材が設けられていてもよい。
このような構成によれば、長尺状の桟材を一方および他方の端縁部材に固定し、これらの桟材に跨ってカバー部材を設置することで、屋根面よりも上方に立ち上がった位置にカバー部材が設けられることとなり、止水性能を向上させることができる。また、端縁部材が直線状に形成された場合に長尺状の桟材を用いることが好適であり、端縁部材の略全長に沿って桟材を取り付けることで、カバー部材の取付精度を向上させることができる。なお、端縁部材が曲線状に形成された場合であっても、その曲線に応じた曲げ加工を桟材に施すことで、長尺状の桟材を用いることが可能である。
【0011】
この際、本発明の屋外構造体では、前記カバー部材は、前記一方および他方の桟材に跨って設けられる上面部を有して形成され、前記止水材は、前記他方の桟材の上面に固定されて前記カバー部材の上面部の下面に当接可能に設けられ、前記カバー部材の上面部は、前記止水材との当接位置を超えて他方側に所定長さだけ延びて形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、他方の端縁部材に取り付けた桟材の止水材位置よりもカバー部材の上面部先端を長く延ばしたことで、止水材位置への雨がかりを防止して止水性能を向上させることができる。そして、上面部先端を延ばす所定長さとしては、地震や風などの水平外力が作用した際に屋根体同士に生じうる最大相対変位よりも長く設定しておくことが好ましく、このように上面部の長さを設定しておくことで、水平外力が作用した場合でもカバー部材の上面部と止水材との当接状態を維持することができ、カバー部材と他方の桟材とがずれたり、カバー部材と止水材との接触が外れたりすることが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1を示す正面側から見た断面図である。図2は、カーポート1を示す側面図である。図3は、カーポート1の要部を拡大して示す縦断面図である。図4は、カーポート1の要部を拡大して示す分解斜視図である。
図1および図2において、カーポート1は、屋外に設けられる駐車スペースの上方を覆うものであって、地中に埋設した基礎2から立設された複数の支柱3と、1組の支柱3の上端間を連結する支持梁4と、支柱3および支持梁4を門形に接合した支持フレーム5の上側に支持される屋根面材6とを備えて構成されている。そして、図2に示すように、カーポート1は、2組の支持フレーム5と、これら2組の支持フレーム5に渡って連続形成された屋根面材6とで構成された屋根体7を、車両が出入りする方向(図2の左右方向)に沿って一対(2つ)並設して構成されている。これら一対の屋根体7のうち、一方(図2の左側)の屋根体7Aにおける屋根面材6Aと、他方(図2の右側)の屋根体7Bにおける屋根面材6Bとが、互いに所定間隔離れた状態で隣り合って設置されている。
【0014】
屋根面材6は、2組の支持フレーム5に渡って支柱3の上端部に固定される一対の主桁11と、これら一対の主桁11の先端同士を連結して架設される側枠(端縁部材)12と、一対の主桁11の途中位置同士を連結して架設される複数(6本)の母屋13と、これらの母屋13間あるいは母屋13と側枠12との間に架設される複数の垂木14と、この垂木14の上側に沿って主桁11、側枠12および母屋13に支持されるパネル材15とを備えて構成されている。ここで、主桁11、側枠12、母屋13および垂木14は、それぞれアルミ形材製であって、主桁11および垂木14は、全体直線状かつ長尺に形成され、側枠12および母屋13は、曲げ加工により全体アーチ状に形成されている。また、パネル材15は、樹脂製の半透明板材であって、側枠12および母屋13に沿ったアーチ状に曲げて取り付けられている。また、主桁11には、その長手方向に沿って図示しない樋が形成されており、この樋で集めた雨水を排水する縦樋16が主桁11の端部に接続され、この縦樋16が支柱3に沿って地面近傍まで延びて設けられている。
【0015】
一方の屋根体7Aと他方の屋根体7Bとの離隔部分には、図3に示すように、屋根面材6A,6Bにおける互いに対向する側枠12のうち、一方の側枠12Aに固定されて他方の側枠12Bに向かって延びるカバー部材(カバー部)20が設けられている。このカバー部材20は、その基端部が一方の側枠12Aにブラケット21を介して固定されるとともに、その先端部が他方の側枠12Bの上方に離れて位置し、先端部と側枠12Bとの間に弾性変形可能な止水材22が設けられている。また、カバー部材20は、側枠12の略全長に沿って配置され、側枠12と同様に曲げ加工によって全体アーチ状に形成されている。このようなカバー部材20で一方および他方の屋根面材6A,6Bの離隔部分を覆ったことで、この離隔部分からの雨の浸入が防止でき、カーポート1全体の屋根面積が一方および他方の屋根体7A,7Bを連続させた大きさとなり、つまり個々の屋根体7A,7Bの略2倍の屋根面積を有したカーポート1が構成されることとなる。
【0016】
側枠12は、図3および図4に示すように、屋根面材6の側面を構成する側枠本体121と、この側枠本体121から屋根面材6の内方側に延びてパネル材15の下面を支持する支持片部122と、この支持片部122の上側に対向して取り付けられてパネル材15の上面を支持する押え部材123とを有して構成されている。側枠本体121は、全体中空状に形成されて、曲面状の側枠側面部124と、直線状の側枠背面部125と、押え部材123よりも上方に立ち上がり側枠側面部124の上端に連続する側枠立上部126とを有して形成されている。そして、押え部材123は、側枠本体121における支持片部122の基端部にビス止め固定され、これらの支持片部122および押え部材123の先端部には止水材が取り付けられている。これらの支持片部122と押え部材123とに挟持されることで、パネル材15の側端縁が側枠12に保持されるようになっている。
【0017】
ブラケット21は、金属板材から折り曲げ加工されたピース状の部材であって、側枠12の側枠側面部124に沿って曲面状に形成された側面部211と、この側面部211の下端部に連続して立ち上がり側枠背面部125に沿って延びる背面部212と、側面部211の上端部に連続して他方の側枠12Bに向かって延びる延出部213とを有して形成されている。このブラケット21の上側には、金属板材から折り曲げ加工されたピース状の副ブラケット23が固定されるようになっており、副ブラケット23は、ブラケット21の延出部213上面に沿う固定片部231と、側枠12Aの側枠立上部126に係合する係合片部232とを有して形成されている。これらのブラケット21および副ブラケット23は、側枠12Aに沿った複数箇所に適宜な間隔で設けられ、ブラケット21の延出部213に固定することでカバー部材20が側枠12Aに支持されるようになっている。
【0018】
ブラケット21および副ブラケット23の取付手順としては、先ず一方の側枠12Aの下方からブラケット21を当てがい、その側面部211と背面部212との間に側枠側面部124および側枠背面部125を挿入した状態で、背面部212を貫通するビス214を側枠背面部125に螺合してブラケット21を側枠12Aに固定する。次に、一方の側枠12Aの上方から副ブラケット23の係合片部232を側枠立上部126に引っ掛けた状態で、ブラケット21の延出部213を貫通するビス215を固定片部231に螺合し、係合片部232を側枠立上部126に係合させることで、ブラケット21および副ブラケット23の取り付けが完了する。以上のように、ブラケット21および副ブラケット23を固定するビス214,215は、いずれも屋根面材6の下方から締め付けることができ、脚立等の軽微な設備を用いて複数箇所における取付作業を連続的に実施できるようになっている。また、側枠12Aの上部において、副ブラケット23の係合片部232を側枠立上部126に係合させ、ビス等を用いないことで、側枠12Aの押え部材123などにビス孔が形成されず、止水性能を損ねることなくブラケット21および副ブラケット23が固定できるようになっている。
【0019】
一方、カバー部材20は、全体略コ字形断面を有したアルミ形材製であって、一方および他方の側枠12A,12Bに跨って設けられる上面部201と、この上面部201の両側端縁から下方に延びる第1および第2の側面部202,203と、上面部201の中間位置から下側に突出した固定部204とを有して形成されている。第1側面部202の先端部には、側枠12Aの側枠立上部126と副ブラケット23の係合片部232とに当接する止水材205が取り付けられ、第2側面部203の先端部には、他方の側枠12Bの押え部材123上面に当接する前記止水材22が取り付けられている。固定部204は、上面部201から垂下した2つの垂下片部206と、これらの垂下片部206に渡って上面部201と略平行に延びる固定片部207とを有して形成されている。一方、前記ブラケット21の延出部213には、側枠12Aの長手方向に沿って長く形成された2つの長孔216が設けられ、これらの長孔216を下方から貫通するビス(固着具)217を固定部204の固定片部207に固着することで、カバー部材20がブラケット21に固定されている。
【0020】
以上のカーポート1では、一方の屋根体7Aと他方の屋根体7Bとが互いに接合されておらず、カバー部材20の先端側の第2側面部203が他方の側枠12B上方に離れて設けられるとともに、他方の側枠12Bに当接する止水材22を介してカバー部材20と他方の側枠12Bとの隙間が覆われている。従って、一方および他方の各屋根体7A,7Bにおいて、自重や積載荷重、積雪荷重等の鉛直荷重は、各々の屋根面材6A,6Bや支持フレーム5で支持され、一方から他方または他方から一方へ荷重が伝達されないようになっている。さらに、カーポート1に地震や風などの外力が作用した場合に、一方および他方の屋根体7A,7Bがそれぞれ独立して外力に抵抗し、一方から他方または他方から一方へ荷重が伝達されないようになっている。そして、地震や風などの外力によって一方および他方の屋根体7A,7Bが変形した場合でも、側枠12A,12B同士が衝突することなく、かつカバー部材20が他方の側枠12Bに当接せず、止水材22が弾性変形したり止水材22と他方の側枠12Bとが摺接したりすることで、屋根体7A,7B間の相対変位が吸収できるように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態において、カバー部材20およびブラケット21の構造としては、前述のものに限らず、以下の図5に示す構造を適用してもよい。
図5は、第1実施形態の変形例に係るカーポート1の要部を拡大して示す縦断面図である。
図5において、ブラケット21Aの延出部213には、上方に突出して開口した2列の固着部218が形成されている。一方、カバー部材20Aにおいて、上面部201の下面には前記固定部204が形成されておらず、固着部218に対応した位置にビス孔208が設けられている。また、止水材22は、カバー部材20Aの第2側面部203ではなく、上面部201の下面に取り付けられている。このようなカバー部材20Aとブラケット21Aとは、ビス孔208を上方から貫通するビス(固着具)219を固着部218に固着することで、互いに固定されるようになっている。なお、ビス219とビス孔208との間には、図示しないシール材が設けられており、ビス孔208からの漏水が防止できるようになっている。
【0022】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、一方および他方の各屋根体7A,7Bがそれぞれ自立して構成されるとともに、屋根体7A,7B間で荷重や変形が伝達されないようになっているので、単独の屋根体7における荷重状態と同一の荷重が作用して部材応力も同一となるため、各々の屋根体7A,7Bの各部材(支柱3、支持梁4、屋根面材6)の断面を、単独の屋根体7における各部材と共通化することができ、製造や組立、在庫管理が容易になって製造コストを抑制することができる。
【0023】
(2)さらに、カバー部材20,20Aがピース状のブラケット21,21Aを介して側枠12Aに固定されるので、側枠12Aが曲線状に形成されていた場合でも、ブラケット21,21Aを適宜な間隔で固定するだけでカバー部材20,20Aを支持することができる。また、ブラケット21,21Aの側面部211と背面部212との間に側枠12Aを挿入し、背面部212を側枠背面部125にビス止め固定したことで、ブラケット21,21Aの固定強度が確保できる。さらに、副ブラケット23の係合片部232を側枠立上部126に係合させたことで、ブラケット21,21Aの固定強度を高めることができる。また、ブラケット21,21Aの延出部213にカバー部材20,20Aを固定することで、固定作業を容易に実施することができる。
【0024】
(3)また、図3、図4に示すように、ブラケット21の延出部213を下方から貫通するビス217をカバー部材20の固定部204に固着する構成によれば、屋根面材6Aの下側から固定作業を実施することができ、高所作業を回避して作業性を向上させることができる。一方、図5に示すように、カバー部材20Aの上面部201を上方から貫通するビス219をブラケット21Aの固着部218に固着する構成によれば、屋根面材6の上側からの固定作業となるものの、対向する側枠12A,12B同士の間隔寸法が小さく下側からの作業が難しい場合などでも、固定作業を容易に実施することができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図6は、第2実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1Aを示す側面図である。図7は、カーポート1Aを示す正面図である。図8は、カーポート1Aの要部を拡大して示す縦断面図である。図9は、カーポート1Aの要部を拡大して示す分解斜視図である。
本実施形態のカーポート1Aは、前記第1実施形態のカーポート1と比較して、主に屋根面材6の構成と、その離隔部分の構造とが相違するものであり、以下、相違点について詳しく説明する。
【0026】
図6および図7において、カーポート1Aにおける屋根体7は、支柱3および支持梁4を門形に接合した3組の支持フレーム5と、これら3組の支持フレーム5に渡って連続形成された屋根面材6とで構成され、車両が出入りする方向(図6の左右方向)に直交する方向に沿って一対(2つ)の屋根体7A,7Bが並設されている。そして、一方(図7の左側)の屋根体7Aにおける屋根面材6Aと、他方(図7の右側)の屋根体7Bにおける屋根面材6Bとが、互いに所定間隔離れた状態で隣り合って設置されている。屋根面材6は、車両が出入りする側であり水上側の前枠31と、後方側であり水下側の後枠32と、前枠31および後枠32の先端同士を連結して架設される側枠(端縁部材)33と、これらの前枠31、後枠32および側枠33で囲まれた内部に支持される折板34(図8)とを備えて構成されている。側枠33は、全体直線状かつ長尺に形成されて前枠31から後枠32に向かって下がり勾配の傾斜を有して設置されるとともに、それぞれアルミ形材製の側枠本体331と、折板受け材332と、側枠カバー333と、内部カバー334とを有して構成されている。
【0027】
一方の屋根体7Aと他方の屋根体7Bとの離隔部分には、図8に示すように、屋根面材6A,6Bにおける互いに対向する側枠33のうち、一方の側枠33Aに固定されて他方の側枠33Bに向かって延びるカバー部材(カバー部)40が設けられている。このカバー部材40は、その基端部が一方の側枠33Aに桟材41を介して固定されとともに、その先端部と他方の側枠33Bの桟材42との間に弾性変形可能な止水材43が設けられている。また、カバー部材40および桟材41,42は、側枠33の略全長に沿って配置され、側枠33と同様に全体直線状に形成されている。このようなカバー部材40で一方および他方の屋根面材6A,6Bの離隔部分を覆ったことで、この離隔部分からの雨の浸入が防止でき、カーポート1A全体の屋根面積が一方および他方の屋根体7A,7Bを連続させた大きさとなり、つまり個々の屋根体7A,7Bの略2倍の屋根面積を有したカーポート1Aが構成されることとなる。
【0028】
桟材41,42は、図8および図9に示すように、断面矩形中空状の桟材本体411,421と、この桟材本体411,421の下端部から延びて側枠本体331の上面を覆う延出片412,422とを有して形成されている。そして、桟材41,42は、側枠本体331の上面に突設されるとともに延出片412,422を貫通するボルト413と、延出片412,422の上方からボルト413に螺合するナット414,424とで側枠本体331に固定されている。また、ナット414,424には、止水キャップ415,425が取り付けられ、ボルト413の挿通孔からの雨水の浸入が防止できるようになっている。さらに、桟材41,42の長手方向端縁には、桟材本体411,421の小口を塞ぐ小口キャップ416が取り付けられている。また、カバー部材40は、一方の桟材41と他方の桟材42とに跨って直線状に延びる上面部401を有して構成され、この上面部401を上方から貫通するビス402によって桟材41の上面に固定されている。また、他方の桟材42の上面に取り付けた止水材43は、カバー部材40の上面部の下面に当接して設けられ、カバー部材40の先端側は、止水材43との当接位置を超えて他方側に延長されている。
【0029】
このような本実施形態によれば、前記(1)の効果に加えて以下のような効果が得られる。
(4)すなわち、長尺状の桟材41,42を一方および他方の側枠33A,33Bの上面に固定し、これらの桟材41,42に跨ってカバー部材40を設置することで、屋根面よりも上方に立ち上がった位置にカバー部材40が設けられ、止水性能を向上させることができる。また、直線状に形成された側枠33A,33Bの略全長に沿って桟材41,42を取り付けることで、カバー部材40の取付精度を向上させることができる。
【0030】
(5)さらに、他方の桟材42の止水材43よりもカバー部材40の上面部401先端を長く延ばしたことで、止水材43位置への雨がかりを防止して止水性能を向上させることができる。そして、カバー部材40の上面部401先端を延長しておくことで、地震や風などの水平外力が作用して屋根体7A,7B間に相対変位が生じた場合でも、カバー部材40の上面部401と止水材43との当接状態を維持することができる。すなわち、屋根体7A,7B同士が離れる方向に相対変形が生じたとしても、この変形をカバー部材40の延長部分で吸収することができ、カバー部材40の先端部が他方の桟材42から外れることが防止できる。
【0031】
〔第3実施形態〕
図10は、第3実施形態に係る屋外構造体であるカーポート1Bを示す側面図である。
本実施形態のカーポート1Bは、前記第1および第2実施形態のカーポート1,1Aと比較して、主に屋根面材の位置およびカバー部の構成が相違するものであり、以下、相違点について詳しく説明する。
図10において、カーポート1Bにおける屋根体7において、一方(図10の左側)の屋根体7Aにおける屋根面材6Aと、他方(図10の右側)の屋根体7Bにおける屋根面材6Bとは、互いに上下に離れた状態で端部同士が重なり合って設置されている。すなわち、一方の屋根面材6Aは、他方の屋根面材6Bよりも上方に設けられ、一方の側枠(端縁部材)33Aと、他方の側枠33B(端縁部材)とが平面的に重なって設けられている。そして、一方の側枠33Aの下面には、下方に突出したカバー部50が一体的に形成され、このカバー部50の下側に弾性変形可能な止水材51が取り付けられるとともに、この止水材51が他方の側枠33B上面に当接して設けられている。
【0032】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、カーポート1,1Aについて説明したが、本発明の屋外構造体としては、カーポート1,1Aに限らず、屋外に設置されるテラスやサンルーム、アプローチ等の屋根として利用されるものであってもよい。
また、前記実施形態では、2つの屋根体7を併設して屋外構造体を構成したが、並設する屋根体の数としては、2つに限らず、3つ以上であってもよい。さらに、複数の屋根体の並設方向としては、前記実施形態のように一方方向に限らず、二方向つまり前後左右に屋根体7を併設して屋外構造体を構成してもよい。
また、前記実施形態では、一方および他方の屋根体7A,7Bの隣接部上方に重なってカバー部材20,20A,40を設けたが、これに限らず、一方および他方の屋根面材6A,6Bの下側にカバー部材を設けてもよい。さらに、カバー部としては、前記第1および第2実施形態のようなカバー部材20,20A,40で構成されたものに限らず、前記第3実施形態のカバー部50のように一方の端縁部材と一体形成されたものでもよく、さらには一方の端縁部材の一部または全部でカバー部が構成されていてもよい。
【0033】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る屋外構造体を示す断面図である。
【図2】前記屋外構造体を示す側面図である。
【図3】前記屋外構造体の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】前記屋外構造体の要部を拡大して示す分解斜視図である。
【図5】前記屋外構造体の変形例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る屋外構造体を示す側面図である。
【図7】前記屋外構造体を示す正面図である。
【図8】前記屋外構造体の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図9】前記屋外構造体の要部を拡大して示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る屋外構造体を示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1,1A,1B…カーポート(屋外構造体)、3…支柱、6,6A,6B…屋根面材、7,7A,7B…屋根体、12,12A,12B…側枠(端縁部材)、20,20A…カバー部材(カバー部)、21,21A…ブラケット、22…止水材、33,33A,33B…側枠(端縁部材)、40…カバー部材、41,42…桟材、43…止水材、50…カバー部、51…止水材、201…上面部、204…固定部、211…側面部、212…背面部、213…延出部、217,219…ビス(固着具)、218…固着部、401…上面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱および屋根面材を有して自立する屋根体を少なくとも一対備え、これら一対の屋根体同士が互いに隣り合って設けられた屋外構造体であって、
前記隣り合う屋根体の各々における屋根面材同士は、互いに所定間隔離れて設けられるとともに、この離隔位置において対向する各々の端縁部材を有して構成され、
前記屋根面材の離隔位置には、前記対向する端縁部材のうちの一方に設けられて他方と離れてかつ重なって位置するカバー部と、このカバー部と前記他方の端縁部材との間に設けられて弾性変形可能な止水材とが設けられている屋外構造体。
【請求項2】
前記カバー部は、前記一方の端縁部材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材は、前記一方の端縁部材の長手方向に沿って複数カ所に固定されるピース状のブラケットを介して固定され、このブラケットは、前記端縁部材の側面に沿った側面部と、この側面部の上端部に連続して他方の端縁部材に向かって延びる延出部とを有して形成され、この延出部に前記カバー部材が固定されている請求項1に記載の屋外構造体。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部と、この上面部の下側に突出した固定部とを有して形成されるとともに、前記ブラケットの延出部を下方から貫通する固着具を前記固定部に固着することで当該ブラケットに固定されている請求項2に記載の屋外構造体。
【請求項4】
前記ブラケットの延出部には、上方に突出した固着部が形成され、前記カバー部材は、前記一方および他方の端縁部材に跨って設けられる上面部を有して形成されるとともに、この上面部を上方から貫通する固着具を前記ブラケットの固着部に固着することで当該ブラケットに固定されている請求項2に記載の屋外構造体。
【請求項5】
前記一方および他方の端縁部材の上面には、当該端縁部材の長手方向に沿った長尺状の桟材がそれぞれ固定され、前記カバー部は、前記一方の桟材に固定されるカバー部材で構成され、このカバー部材と他方の桟材との間に前記止水材が設けられている請求項1に記載の屋外構造体。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記一方および他方の桟材に跨って設けられる上面部を有して形成され、前記止水材は、前記他方の桟材の上面に固定されて前記カバー部材の上面部の下面に当接可能に設けられ、
前記カバー部材の上面部は、前記止水材との当接位置を超えて他方側に所定長さだけ延びて形成されている請求項5に記載の屋外構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−203688(P2009−203688A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46103(P2008−46103)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】