屋根パネルおよび屋根断熱構造
【課題】本発明は、通気性が高く、その上、断熱性が高い屋根パネルおよび屋根断熱構造を提供することを課題とする。
【解決手段】野地面材2の下面に複数条の通気路4と垂木嵌合溝5,5aを貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材3の複数枚を接着し、該断熱材3を連続させた屋根パネル1を、屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5,5aに嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材3の通気路4を外気に開放するとともに、該屋根パネル1相互の接続部において該断熱材3を連続させた屋根断熱構造を提供する。
【解決手段】野地面材2の下面に複数条の通気路4と垂木嵌合溝5,5aを貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材3の複数枚を接着し、該断熱材3を連続させた屋根パネル1を、屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5,5aに嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材3の通気路4を外気に開放するとともに、該屋根パネル1相互の接続部において該断熱材3を連続させた屋根断熱構造を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根パネルおよび該屋根パネルを使用した屋根断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通気性の高い屋根構造として、野地面材の下面に複数条の通気路を貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材の複数枚を垂木嵌合溝を介して接着した屋根パネルを、屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、軒先と棟部において該屋根パネルの断熱材の通気路を外気に開放した通気性屋根下地構造が一般に提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−116191号公報(第3−5頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の構成では、屋根構造の通気性は非常に高いものの、屋根パネルの断熱材が不連続であるため、屋根構造の断熱性が若干低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、野地面材2の下面に複数条の通気路4と垂木嵌合溝5,5aを貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材3の複数枚を接着し、該断熱材3を連続させた屋根パネル1を提供するものである。
該通気路4は該断熱材3の上面に貫設され、該垂木嵌合溝5,5aは該断熱材3の下面に貫設されることが望ましい。
また本発明では、上記の屋根パネル1を屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5,5aに嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材3の通気路4を外気に開放するとともに、該屋根パネル1相互の接続部において該断熱材3を連続させた屋根断熱構造が提供される。
そして、構築される屋根19に寄棟部19Aまたは本谷部19Bが存在する場合、この部分で左右の屋根パネル1の断熱材3をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネル1の断熱材3を断熱部材20A,20Bを介して連続させるとともに、該断熱部材20A,20Bの下面を左右の垂木6間に介在する隅木21または谷木24の上面に当接させ、更に、該断熱材3の通気路4と断熱部材20A,20Bの通気路23A,23Bとを連通させたことが望ましい。
また、少なくとも該屋根パネル1相互の接続部において、該屋根パネル1の断熱材3と垂木6との接合面にはシール材7が介在していることが望ましい。
更に、該垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面は軒先部において壁断熱材9の上端に当接させ、該断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成される隙間にはシール材10aを充填し、棟部にあっては左右の屋根パネル1の隙間には該屋根パネル1の断熱材3の通気路4を閉塞しないようにして10bを充填したことが望ましい。
また更に、該シール材10a,10bは軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材であることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の屋根パネル1を使用した屋根断熱構造では、屋根パネル1の断熱材3が連続しており、断熱材3が不連続となる箇所がないため、屋根構造の断熱性が大幅に向上する。その上、該断熱材3には通気路4が設けられており、該通気路4が軒先と棟部において外気に開放されているので、屋根19の厚さを厚くすることなく屋根19の通気性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図15に示す一実施例によって説明する。
図1および図2に示すように、屋根パネル1は、野地面材2と、該野地面材2の下面に接着剤によって接着されている断熱材3とからなる。本実施例では、該断熱材3の材料として、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体等のプラスチック発泡体が用いられている。
【0008】
該断熱材3の上面には6条の通気路4が貫設されており、該断熱材3の下面には中央部および両端部において垂木嵌合溝5,5aが貫設されている。ここで、該両端部の垂木嵌合溝5aの幅は、該中央部の垂木嵌合溝5の幅の1/2に設定されている。また、該通気路4の間隔は、該中央部の垂木嵌合溝5を形成する余地を考慮して、中央部において広く設定されている。
なお、該断熱材3の通気路4と垂木嵌合溝5,5aは、該断熱材3の成形時に一体的に形成してもよく、該断熱材3の成形後に切削加工等によって形成してもよい。
【0009】
このようにして、図2に示す屋根パネル1が作成されるが、それ以外、屋根パネル1は、図3に示すように、上記の断熱材3を中央で半分に切断した形状の分割断熱材3aを二つ使用して、野地面材2の下面において二つの分割断熱材3aを相互に接合して作成してもよい。
【0010】
そして、図4に示すように、該屋根パネル1を屋根骨格の垂木6上に被着して、該垂木6を屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5に嵌合する。このとき、該屋根パネル1の横方向の相互接続部においては、該断熱材3を連続させて断熱構造の連続性が断たれるのを防止するとともに、該断熱材3と該垂木6との間にシール材7を介在させて水密性を確保している。
【0011】
図5に示すように、該垂木6は下側において軒桁8a、母屋8b、棟木8cによって支持されている。そして、軒先部においては、該屋根パネル1の断熱材3の通気路4の軒先側端は、外気に開放されている。
また、該断熱材3の下面は壁断熱材9の上端と当接しており、該屋根パネル1の断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成されている隙間には、軟質ポリウレタン発泡体、軟質ポリ塩化ビニル発泡体、合成ゴムスポンジ等の軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材10aが充填されている。こうして、屋根パネル1の断熱材3と壁断熱材9との接合部において、断熱構造の連続性が断たれるのを防止している。
更に、棟部においても、左右の屋根パネル1の接合部の隙間には、上記と同様の断熱性シール材10bが充填されており、断熱構造の連続性が断たれるのを防止している。しかし、この場合には、該断熱性シール材10a,10bは該屋根パネル1の通気路4を閉塞しないようにされており、棟に沿って左右の屋根パネル1の間に形成される横通気路11に、該屋根パネル1の各通気路4の棟側端が開放されるようにされている。
【0012】
該屋根パネル1の野地面材2の上面には、屋根材12が葺設されている。そして、棟部においては、笠木13を介して水切り板14が被覆されており、該水切り板14と屋根材12との間にはシール材15が充填されている。図6に示すように、棟部の所定箇所には、棟換気部材16が被着されており、屋根19の横通気路11が該棟換気部材16を介して外気に開放されるようにされている。
図7に示すように、該棟換気部材16は、笠形の水切り板17と、該水切り板17の下面両側に接着される通気性ブロック18とからなり、該通気性ブロック18には、例えばハニカム状に多数の連通孔が設けられている。なお、本実施例では、該棟換気部材16の材料として、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックが使用されている。
【0013】
上記の屋根19においては、軒先側の換気は、屋根パネル1の通気路4の軒先側端が直接外気に開放していることによって行われ、一方、棟側の換気は、屋根パネル1の通気路4が横通気路11に開放され、該横通気路11が該棟換気部材16を介して外気に開放されることによって行われる。
【0014】
ところで、屋根19には、図8に示すように、両端が内側に傾斜している寄棟部19Aが形成されている場合がある。この場合には、図9に示す寄棟部用の断熱部材20Aを使用する。
図9に示すように、該寄棟部用の断熱部材20Aの下面の形状は、隅木21の上面の形状に沿った形状とされており、該断熱部材20Aの下面は該隅木21の上面に全面的に当接するようにされている。また、該寄棟部用の断熱部材20Aの上面には、野地面材2の端部を支持するための三個の支持ブロック22Aが突設されているとともに、図10において矢印で示すように屋根パネル1の断熱材3の通気路4と連通する通気路23Aが設けられている。
【0015】
そして、寄棟部19Aの屋根構造を構築する場合には、図10および図11に示すように、寄棟部19Aにおいて左右の屋根パネル1の断熱材3の寄棟側端部を切除し、その間に該寄棟部用の断熱部材20Aを載置した隅木21が嵌合された状態とする。
このとき、該左右の屋根パネル1の断熱材3の寄棟側端部は該断熱部材20Aの両側面にそれぞれ当接し、該左右の屋根パネル1の断熱材3が該寄棟部用の断熱部材20Aを介して連続した状態となる。
また、屋根パネル1の断熱材3の通気路4の下端位置と寄棟部用の断熱部材20Aの通気路23Aの下端位置とは一致しており、該断熱材3の通気路4と該断熱部材20Aの通気路23Aとが連通された状態となって、図10において矢印で示すように屋根19の通気性が確保されている。
更に、寄棟部19Aにおいては、左右の屋根パネル1の野地面材2が間隙を介して相対するようにされており、寄棟部19Aに形成される通気路11Aは屋根19の横通気路11に開放されている。
なお、隅木21とその両側の屋根パネル1の断熱材3の接触部下端は断熱性シール材10Aによってシールして、断熱性が確保されている。また、寄棟部19Aにおいては、笠形の水切り板14Aがシール材15Aを介して被着されている。
【0016】
また、屋根19には、図12に示すように、中央から直角に屋根19が分岐し、中央の屋根19と分岐した屋根19との間に本谷部19Bが形成されている場合がある。この場合には、図13に示す本谷部用の断熱部材20Bを使用する。
図13に示すように、該本谷部用の断熱部材20Bの下面の形状は、谷木24の上面の形状に沿った形状とされており、該断熱部材20Bの下面は該谷木24の上面に全面的に当接するようにされている。また、該本谷部用の断熱部材20Bの上面には、野地面材2の端部を支持するための三個の支持ブロック22Bが突設されているとともに、図14において矢印で示すように屋根パネル1の断熱材3の通気路4と連通する通気路23Bが設けられている。
【0017】
そして、本谷部19Bの屋根構造を構築する場合には、図14および図15に示すように、本谷部19Bにおいて左右の屋根パネル1の断熱材3の本谷側端部を切除し、その間に該本谷部用の断熱部材20Bを載置した谷木24が嵌合された状態とする。
このとき、該左右の屋根パネル1の断熱材3の本谷側端部は該断熱部材20Bの両側面にそれぞれ当接し、該左右の屋根パネル1の断熱材3が該本谷部用の断熱部材20Bを介して連続した状態となる。
また、屋根パネル1の断熱材3の通気路4の下端位置と本谷部用の断熱部材20Bの通気路23Bの下端位置とは一致しており、該断熱材3の通気路4と該断熱部材20Bの通気路23Bとが連通された状態となって、図14において矢印で示すように屋根19の通気性が確保されている。
更に、本谷部19Bにおいては、左右の屋根パネル1の野地面材2が間隙を介して相対するようにされており、本谷部19Bに形成される通気路11Bは外気に開放されている。
なお、谷木24とその両側の屋根パネル1の断熱材3の接触部下端は断熱性シール材10Bによってシールして、断熱性が確保されている。また、本谷部19Bにおいては、逆笠形の水切り板14Bがシール材15Bを介して被着されている。
【0018】
上記の屋根パネル1を使用した屋根断熱構造では、屋根パネル1の断熱材3が連続しており、断熱材3が不連続となる箇所がないため、屋根構造の断熱性が大幅に向上する。
その上、該断熱材3には通気路4が設けられており、該通気路4が軒先と棟部において外気に開放されているので、屋根19の厚さを厚くすることなく屋根19の通気性が確保される。
【0019】
そして、構築される屋根19に寄棟部19Aまたは本谷部19Bが存在する場合、この部分で左右の屋根パネル1の断熱材3をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネル1の断熱材3を断熱部材20A,20Bを介して連続させるとともに、該断熱部材20A,20Bの下面を左右の垂木6間に介在する隅木21または谷木24の上面に当接させ、更に、該断熱材3の通気路4と断熱部材20A,20Bの通気路23A,23Bとを連通させることによって、屋根構造の通気性と断熱性を確保することができる。
【0020】
また、少なくとも該屋根パネル1相互の接続部において、該屋根パネル1の断熱材3と垂木6との接合面にシール材7が介在しているので、屋根構造の水密性が確保される。
【0021】
更に、該垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面が軒先部において壁断熱材9の上端に当接し、該断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成される隙間にはシール材10aが充填され、棟部にあっては左右の屋根パネル1の隙間に該屋根パネル1の断熱材3の通気路4を閉塞しないようにしてシール材10bが充填されているので、屋根構造の水密性が確保される。
【0022】
このとき、該シール材10a,10bが軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材であるので、屋根構造の断熱性が更に向上する。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、本実施例では、断熱材3の上面に通気路4を形成するものとして説明したが、本実施例以外、特に図示しないが、断熱材3の中間に通気路4を穿設してもよい。しかし、断熱材3の上面に通気路4を形成したほうが、加工が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、通気性が高く、その上、断熱性が高い屋根パネルおよび屋根断熱構造として、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】断熱材および野地面材の部分斜視図である。
【図2】野地面材に断熱材を接着した状態を示す断面図である。
【図3】野地面材に分割断熱材を接着した状態を示す断面図である。
【図4】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態を示す部分側断面図である。
【図5】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態を示す部分正断面図である。
【図6】棟部の正断面図である。
【図7】棟換気部材の正面図である。
【図8】寄棟部を有する屋根の説明図である。
【図9】寄棟部用の断熱部材の斜視図である。
【図10】寄棟部の通気の様子を示す部分斜視図である。
【図11】図8におけるA−A断面図である。
【図12】本谷部を有する屋根の説明図である。
【図13】本谷部用の断熱部材の斜視図である。
【図14】本谷部の通気の様子を示す部分斜視図である。
【図15】図12におけるB−B断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 屋根パネル
2 野地面材
3 断熱材
4 通気路
5,5a 垂木嵌合溝
6 垂木
9 壁断熱材
10a,10b シール材(断熱性シール材)
19 屋根
19A 寄棟部
19B 本谷部
20A,20B 断熱部材
21 隅木
23A,23B 通気路
24 谷木
【技術分野】
【0001】
本発明は屋根パネルおよび該屋根パネルを使用した屋根断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通気性の高い屋根構造として、野地面材の下面に複数条の通気路を貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材の複数枚を垂木嵌合溝を介して接着した屋根パネルを、屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、軒先と棟部において該屋根パネルの断熱材の通気路を外気に開放した通気性屋根下地構造が一般に提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−116191号公報(第3−5頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の構成では、屋根構造の通気性は非常に高いものの、屋根パネルの断熱材が不連続であるため、屋根構造の断熱性が若干低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、野地面材2の下面に複数条の通気路4と垂木嵌合溝5,5aを貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材3の複数枚を接着し、該断熱材3を連続させた屋根パネル1を提供するものである。
該通気路4は該断熱材3の上面に貫設され、該垂木嵌合溝5,5aは該断熱材3の下面に貫設されることが望ましい。
また本発明では、上記の屋根パネル1を屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5,5aに嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材3の通気路4を外気に開放するとともに、該屋根パネル1相互の接続部において該断熱材3を連続させた屋根断熱構造が提供される。
そして、構築される屋根19に寄棟部19Aまたは本谷部19Bが存在する場合、この部分で左右の屋根パネル1の断熱材3をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネル1の断熱材3を断熱部材20A,20Bを介して連続させるとともに、該断熱部材20A,20Bの下面を左右の垂木6間に介在する隅木21または谷木24の上面に当接させ、更に、該断熱材3の通気路4と断熱部材20A,20Bの通気路23A,23Bとを連通させたことが望ましい。
また、少なくとも該屋根パネル1相互の接続部において、該屋根パネル1の断熱材3と垂木6との接合面にはシール材7が介在していることが望ましい。
更に、該垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面は軒先部において壁断熱材9の上端に当接させ、該断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成される隙間にはシール材10aを充填し、棟部にあっては左右の屋根パネル1の隙間には該屋根パネル1の断熱材3の通気路4を閉塞しないようにして10bを充填したことが望ましい。
また更に、該シール材10a,10bは軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材であることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の屋根パネル1を使用した屋根断熱構造では、屋根パネル1の断熱材3が連続しており、断熱材3が不連続となる箇所がないため、屋根構造の断熱性が大幅に向上する。その上、該断熱材3には通気路4が設けられており、該通気路4が軒先と棟部において外気に開放されているので、屋根19の厚さを厚くすることなく屋根19の通気性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図1〜図15に示す一実施例によって説明する。
図1および図2に示すように、屋根パネル1は、野地面材2と、該野地面材2の下面に接着剤によって接着されている断熱材3とからなる。本実施例では、該断熱材3の材料として、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、フェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体等のプラスチック発泡体が用いられている。
【0008】
該断熱材3の上面には6条の通気路4が貫設されており、該断熱材3の下面には中央部および両端部において垂木嵌合溝5,5aが貫設されている。ここで、該両端部の垂木嵌合溝5aの幅は、該中央部の垂木嵌合溝5の幅の1/2に設定されている。また、該通気路4の間隔は、該中央部の垂木嵌合溝5を形成する余地を考慮して、中央部において広く設定されている。
なお、該断熱材3の通気路4と垂木嵌合溝5,5aは、該断熱材3の成形時に一体的に形成してもよく、該断熱材3の成形後に切削加工等によって形成してもよい。
【0009】
このようにして、図2に示す屋根パネル1が作成されるが、それ以外、屋根パネル1は、図3に示すように、上記の断熱材3を中央で半分に切断した形状の分割断熱材3aを二つ使用して、野地面材2の下面において二つの分割断熱材3aを相互に接合して作成してもよい。
【0010】
そして、図4に示すように、該屋根パネル1を屋根骨格の垂木6上に被着して、該垂木6を屋根パネル1の断熱材3の垂木嵌合溝5に嵌合する。このとき、該屋根パネル1の横方向の相互接続部においては、該断熱材3を連続させて断熱構造の連続性が断たれるのを防止するとともに、該断熱材3と該垂木6との間にシール材7を介在させて水密性を確保している。
【0011】
図5に示すように、該垂木6は下側において軒桁8a、母屋8b、棟木8cによって支持されている。そして、軒先部においては、該屋根パネル1の断熱材3の通気路4の軒先側端は、外気に開放されている。
また、該断熱材3の下面は壁断熱材9の上端と当接しており、該屋根パネル1の断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成されている隙間には、軟質ポリウレタン発泡体、軟質ポリ塩化ビニル発泡体、合成ゴムスポンジ等の軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材10aが充填されている。こうして、屋根パネル1の断熱材3と壁断熱材9との接合部において、断熱構造の連続性が断たれるのを防止している。
更に、棟部においても、左右の屋根パネル1の接合部の隙間には、上記と同様の断熱性シール材10bが充填されており、断熱構造の連続性が断たれるのを防止している。しかし、この場合には、該断熱性シール材10a,10bは該屋根パネル1の通気路4を閉塞しないようにされており、棟に沿って左右の屋根パネル1の間に形成される横通気路11に、該屋根パネル1の各通気路4の棟側端が開放されるようにされている。
【0012】
該屋根パネル1の野地面材2の上面には、屋根材12が葺設されている。そして、棟部においては、笠木13を介して水切り板14が被覆されており、該水切り板14と屋根材12との間にはシール材15が充填されている。図6に示すように、棟部の所定箇所には、棟換気部材16が被着されており、屋根19の横通気路11が該棟換気部材16を介して外気に開放されるようにされている。
図7に示すように、該棟換気部材16は、笠形の水切り板17と、該水切り板17の下面両側に接着される通気性ブロック18とからなり、該通気性ブロック18には、例えばハニカム状に多数の連通孔が設けられている。なお、本実施例では、該棟換気部材16の材料として、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックが使用されている。
【0013】
上記の屋根19においては、軒先側の換気は、屋根パネル1の通気路4の軒先側端が直接外気に開放していることによって行われ、一方、棟側の換気は、屋根パネル1の通気路4が横通気路11に開放され、該横通気路11が該棟換気部材16を介して外気に開放されることによって行われる。
【0014】
ところで、屋根19には、図8に示すように、両端が内側に傾斜している寄棟部19Aが形成されている場合がある。この場合には、図9に示す寄棟部用の断熱部材20Aを使用する。
図9に示すように、該寄棟部用の断熱部材20Aの下面の形状は、隅木21の上面の形状に沿った形状とされており、該断熱部材20Aの下面は該隅木21の上面に全面的に当接するようにされている。また、該寄棟部用の断熱部材20Aの上面には、野地面材2の端部を支持するための三個の支持ブロック22Aが突設されているとともに、図10において矢印で示すように屋根パネル1の断熱材3の通気路4と連通する通気路23Aが設けられている。
【0015】
そして、寄棟部19Aの屋根構造を構築する場合には、図10および図11に示すように、寄棟部19Aにおいて左右の屋根パネル1の断熱材3の寄棟側端部を切除し、その間に該寄棟部用の断熱部材20Aを載置した隅木21が嵌合された状態とする。
このとき、該左右の屋根パネル1の断熱材3の寄棟側端部は該断熱部材20Aの両側面にそれぞれ当接し、該左右の屋根パネル1の断熱材3が該寄棟部用の断熱部材20Aを介して連続した状態となる。
また、屋根パネル1の断熱材3の通気路4の下端位置と寄棟部用の断熱部材20Aの通気路23Aの下端位置とは一致しており、該断熱材3の通気路4と該断熱部材20Aの通気路23Aとが連通された状態となって、図10において矢印で示すように屋根19の通気性が確保されている。
更に、寄棟部19Aにおいては、左右の屋根パネル1の野地面材2が間隙を介して相対するようにされており、寄棟部19Aに形成される通気路11Aは屋根19の横通気路11に開放されている。
なお、隅木21とその両側の屋根パネル1の断熱材3の接触部下端は断熱性シール材10Aによってシールして、断熱性が確保されている。また、寄棟部19Aにおいては、笠形の水切り板14Aがシール材15Aを介して被着されている。
【0016】
また、屋根19には、図12に示すように、中央から直角に屋根19が分岐し、中央の屋根19と分岐した屋根19との間に本谷部19Bが形成されている場合がある。この場合には、図13に示す本谷部用の断熱部材20Bを使用する。
図13に示すように、該本谷部用の断熱部材20Bの下面の形状は、谷木24の上面の形状に沿った形状とされており、該断熱部材20Bの下面は該谷木24の上面に全面的に当接するようにされている。また、該本谷部用の断熱部材20Bの上面には、野地面材2の端部を支持するための三個の支持ブロック22Bが突設されているとともに、図14において矢印で示すように屋根パネル1の断熱材3の通気路4と連通する通気路23Bが設けられている。
【0017】
そして、本谷部19Bの屋根構造を構築する場合には、図14および図15に示すように、本谷部19Bにおいて左右の屋根パネル1の断熱材3の本谷側端部を切除し、その間に該本谷部用の断熱部材20Bを載置した谷木24が嵌合された状態とする。
このとき、該左右の屋根パネル1の断熱材3の本谷側端部は該断熱部材20Bの両側面にそれぞれ当接し、該左右の屋根パネル1の断熱材3が該本谷部用の断熱部材20Bを介して連続した状態となる。
また、屋根パネル1の断熱材3の通気路4の下端位置と本谷部用の断熱部材20Bの通気路23Bの下端位置とは一致しており、該断熱材3の通気路4と該断熱部材20Bの通気路23Bとが連通された状態となって、図14において矢印で示すように屋根19の通気性が確保されている。
更に、本谷部19Bにおいては、左右の屋根パネル1の野地面材2が間隙を介して相対するようにされており、本谷部19Bに形成される通気路11Bは外気に開放されている。
なお、谷木24とその両側の屋根パネル1の断熱材3の接触部下端は断熱性シール材10Bによってシールして、断熱性が確保されている。また、本谷部19Bにおいては、逆笠形の水切り板14Bがシール材15Bを介して被着されている。
【0018】
上記の屋根パネル1を使用した屋根断熱構造では、屋根パネル1の断熱材3が連続しており、断熱材3が不連続となる箇所がないため、屋根構造の断熱性が大幅に向上する。
その上、該断熱材3には通気路4が設けられており、該通気路4が軒先と棟部において外気に開放されているので、屋根19の厚さを厚くすることなく屋根19の通気性が確保される。
【0019】
そして、構築される屋根19に寄棟部19Aまたは本谷部19Bが存在する場合、この部分で左右の屋根パネル1の断熱材3をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネル1の断熱材3を断熱部材20A,20Bを介して連続させるとともに、該断熱部材20A,20Bの下面を左右の垂木6間に介在する隅木21または谷木24の上面に当接させ、更に、該断熱材3の通気路4と断熱部材20A,20Bの通気路23A,23Bとを連通させることによって、屋根構造の通気性と断熱性を確保することができる。
【0020】
また、少なくとも該屋根パネル1相互の接続部において、該屋根パネル1の断熱材3と垂木6との接合面にシール材7が介在しているので、屋根構造の水密性が確保される。
【0021】
更に、該垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面が軒先部において壁断熱材9の上端に当接し、該断熱材3の下面と該壁断熱材9の上端との間に形成される隙間にはシール材10aが充填され、棟部にあっては左右の屋根パネル1の隙間に該屋根パネル1の断熱材3の通気路4を閉塞しないようにしてシール材10bが充填されているので、屋根構造の水密性が確保される。
【0022】
このとき、該シール材10a,10bが軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材であるので、屋根構造の断熱性が更に向上する。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、本実施例では、断熱材3の上面に通気路4を形成するものとして説明したが、本実施例以外、特に図示しないが、断熱材3の中間に通気路4を穿設してもよい。しかし、断熱材3の上面に通気路4を形成したほうが、加工が容易である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、通気性が高く、その上、断熱性が高い屋根パネルおよび屋根断熱構造として、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】断熱材および野地面材の部分斜視図である。
【図2】野地面材に断熱材を接着した状態を示す断面図である。
【図3】野地面材に分割断熱材を接着した状態を示す断面図である。
【図4】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態を示す部分側断面図である。
【図5】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態を示す部分正断面図である。
【図6】棟部の正断面図である。
【図7】棟換気部材の正面図である。
【図8】寄棟部を有する屋根の説明図である。
【図9】寄棟部用の断熱部材の斜視図である。
【図10】寄棟部の通気の様子を示す部分斜視図である。
【図11】図8におけるA−A断面図である。
【図12】本谷部を有する屋根の説明図である。
【図13】本谷部用の断熱部材の斜視図である。
【図14】本谷部の通気の様子を示す部分斜視図である。
【図15】図12におけるB−B断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 屋根パネル
2 野地面材
3 断熱材
4 通気路
5,5a 垂木嵌合溝
6 垂木
9 壁断熱材
10a,10b シール材(断熱性シール材)
19 屋根
19A 寄棟部
19B 本谷部
20A,20B 断熱部材
21 隅木
23A,23B 通気路
24 谷木
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地面材の下面に複数条の通気路と垂木嵌合溝を貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材の複数枚を接着し、該断熱材を連続させたことを特徴とする屋根パネル。
【請求項2】
該通気路は該断熱材の上面に貫設され、該垂木嵌合溝は該断熱材の下面に貫設される請求項1に記載の屋根パネル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の屋根パネルを屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材の通気路を外気に開放するとともに、該屋根パネル相互の接続部において該断熱材を連続させたことを特徴とする屋根断熱構造。
【請求項4】
構築される屋根に寄棟部または本谷部が存在する場合、この部分で左右の屋根パネルの断熱材をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネルの断熱材を断熱部材を介して連続させるとともに、該断熱部材の下面を左右の垂木間に介在する隅木または谷木の上面に当接させ、更に、該断熱材の通気路と断熱部材の通気路とを連通させた請求項3に記載の屋根断熱構造。
【請求項5】
少なくとも該屋根パネル相互の接続部において、該屋根パネルの断熱材と垂木との接合面にはシール材が介在している請求項3または請求項4に記載の屋根断熱構造。
【請求項6】
該垂木上に被着された屋根パネルの断熱材の下面は軒先部において壁断熱材の上端に当接させ、該断熱材の下面と該壁断熱材の上端との間に形成される隙間にはシール材を充填し、棟部にあっては左右の屋根パネルの隙間には該屋根パネルの断熱材の通気路を閉塞しないようにしてシール材を充填した請求項4または請求項5に記載の屋根断熱構造。
【請求項7】
該シール材は軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材である請求項6に記載の屋根断熱構造。
【請求項1】
野地面材の下面に複数条の通気路と垂木嵌合溝を貫設したプラスチック発泡体からなる断熱材の複数枚を接着し、該断熱材を連続させたことを特徴とする屋根パネル。
【請求項2】
該通気路は該断熱材の上面に貫設され、該垂木嵌合溝は該断熱材の下面に貫設される請求項1に記載の屋根パネル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の屋根パネルを屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、軒先と棟部とにおいて該断熱材の通気路を外気に開放するとともに、該屋根パネル相互の接続部において該断熱材を連続させたことを特徴とする屋根断熱構造。
【請求項4】
構築される屋根に寄棟部または本谷部が存在する場合、この部分で左右の屋根パネルの断熱材をそれぞれ切除し、該左右の屋根パネルの断熱材を断熱部材を介して連続させるとともに、該断熱部材の下面を左右の垂木間に介在する隅木または谷木の上面に当接させ、更に、該断熱材の通気路と断熱部材の通気路とを連通させた請求項3に記載の屋根断熱構造。
【請求項5】
少なくとも該屋根パネル相互の接続部において、該屋根パネルの断熱材と垂木との接合面にはシール材が介在している請求項3または請求項4に記載の屋根断熱構造。
【請求項6】
該垂木上に被着された屋根パネルの断熱材の下面は軒先部において壁断熱材の上端に当接させ、該断熱材の下面と該壁断熱材の上端との間に形成される隙間にはシール材を充填し、棟部にあっては左右の屋根パネルの隙間には該屋根パネルの断熱材の通気路を閉塞しないようにしてシール材を充填した請求項4または請求項5に記載の屋根断熱構造。
【請求項7】
該シール材は軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材である請求項6に記載の屋根断熱構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−233594(P2006−233594A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50149(P2005−50149)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000104548)キッコーナ株式会社 (10)
【出願人】(000213253)サーラ住宅株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000104548)キッコーナ株式会社 (10)
【出願人】(000213253)サーラ住宅株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]