屋根構造及び防水プレート
【課題】簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けること。
【解決手段】傾斜配置された野地板22と、野地板22の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材23と、屋根材23のうちの特定の屋根材23の上に設けられた支持台30と、特定の屋根材23の上側の屋根材23から下側の屋根材23とに渡って設けられ、支持台30を覆う防水プレート40と、支持台30上に防水プレート40を挟んで設けられ、太陽電池パネル100を着脱自在に取り付けるための取付基台50とを備えている。
【解決手段】傾斜配置された野地板22と、野地板22の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材23と、屋根材23のうちの特定の屋根材23の上に設けられた支持台30と、特定の屋根材23の上側の屋根材23から下側の屋根材23とに渡って設けられ、支持台30を覆う防水プレート40と、支持台30上に防水プレート40を挟んで設けられ、太陽電池パネル100を着脱自在に取り付けるための取付基台50とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネル等の屋根配置設備を取り付けるための屋根構造及び防水プレートに関し、特に防水性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の屋根に、太陽電池パネルや温水器等の屋根配置設備を配置することがある。太陽電池パネルの場合は、屋根に固定した取付基台に、強風等でも飛ばされることがないように強固に取り付ける必要がある。取付基台は、例えばスレート瓦のような屋根材に取付孔を設け、取付孔に通した釘材を垂木まで打ち込み、屋根材の上に固定する。そして、固定した取付基台を用いて太陽電池パネルを取り付け、さらに防水用の充填材(ブチルテープやコーキング材)を取付孔に充填して塞いだり、取付孔の上を防水シートで覆って屋根の防水処理を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7782号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した屋根構造では、次のような問題があった。すなわち、充填材による防水処理を全ての取付孔に施すことになるために、材料コスト及び作業コストが増大するという問題があった。また、防水シートは施工は簡単であり、無風時の雨には効果的である。しかし、強風を伴った雨では防水シートと屋根材の隙間から浸入して釘から野地板側に雨水が漏れる虞があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることができる屋根構造及び防水プレートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の屋根構造及び防水プレートは次のように構成されている。
【0007】
屋根配置設備を取り付けるための屋根構造において、傾斜配置された野地板と、この野地板の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材と、これら屋根材のうちの特定の屋根材の上に設けられた支持台と、前記特定の屋根材の上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って設けられ、前記支持台を覆う防水プレートと、前記支持台上に防水プレートを挟んで設けられ、前記屋根配置設備を着脱自在に取り付けるための取付基台とを備えている。
【0008】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成された中段のプレートと、前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆うと共に、下縁を下方に折曲して形成された上段のプレートと、前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に折曲して形成された下段のプレートとを具備し、前記上段のプレートの下縁は、前記中段のプレートの上縁より下方に配置され、前記下段のプレートの上縁は、前記中段のプレートの下縁より上方に配置されている。
【0009】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆う中段のプレートと、前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆う上段のプレートと、前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆う下段のプレートとを具備し、前記上段・中段・下段のプレートは一体に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る防水プレートを介して太陽電池パネルが取り付けられた屋根構造を示す斜視図。
【図2】同屋根構造の要部を示す断面図。
【図3】同屋根構造に組み込まれた支持台と防水プレートとの位置関係を示す斜視図。
【図4】同防水プレートの第1の変形例を示す側面図。
【図5】同防水プレートの第2の変形例を示す側面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る防水プレートを介して太陽電池パネルが取り付けられた屋根構造の要部を示す断面図。
【図7】同防水プレートの要部を示す側面図。
【図8】同防水プレートを示す斜視図。
【図9A】本第3の実施形態にかかる防水プレートを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図。
【図9B】同屋根構造の防水プレートと支持台との位置関係を示す縦断面図。
【図10】本第4の実施形態にかかる防水プレートを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係る防水プレート40を介して太陽電池パネル(屋根配置設備)100が取り付けられた屋根構造を示す斜視図、図2は屋根構造10の要部を示す断面図、図3は屋根構造10に組み込まれた支持台30と防水プレート40との位置関係を示す斜視図である。なお、野地板22を貫通する方向を上下方向、棟側を前方、軒先側を後方として説明する。
【0013】
屋根構造10は、屋根構造材20と、この屋根構造材20の上部に支持台30、防水プレート40及び取付基台50を介して設けられた太陽電池パネル(屋根設備)100とを備えている。
【0014】
屋根構造材20は、垂木21と、この垂木21上に傾斜配置された野地板22と、この野地板22上に防水シート等を挟んで葺かれた屋根材23とを備えている。なお、ここでは説明に際して図2に示す中央の屋根材23を中段の屋根材23と称し、その上に重なる屋根材23を上段の屋根材23、中段の屋根材23の下に重なる屋根材23を下段の屋根材23として説明する。
【0015】
屋根材23は、図2に示すように、平板状に形成され、野地板22の傾斜に沿って後方から順次屋根材23の一部を上に重ねながらビス23aにより取り付けられている。ビス23aは、例えば中段の屋根材(特定の屋根材)23を貫いて固定してあり、その中段の屋根材23の下段の屋根材23の前縁がビス23aの側面に当接している。またビス23aは、上段の屋根材23で上面が覆われている。中段の屋根材23の上には、下側から支持台30、防水プレート40、取付基台50の順で積層配置されている。これら支持台30、防水プレート40、取付基台50は、屋根材23に形成された取付孔23bを通したボルト(緊結材)23cで垂木21と野地板22に固定されている。
【0016】
支持台30は、金属板等により形成されており、平板状の基板31とこの基板31の中央部に形成された凸部32とを備えている。基板31の前端縁31aが上方に折曲されており、屋根材23の下縁に対向配置されている。基板31の後端縁31bが下方に折曲されており、屋根材23の下縁に対向配置されている。なお、基板31の前端縁31a及び後端縁31bの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。
【0017】
凸部32は、横断面がほぼ半円形で縦長に形成された3つの突出部33から形成されている。3つの突出部33は、前後に沿ってほぼ平行に形成されている。各突出部33は、それらの頂部34が図2に示すように、後方が低くなるよう所定の角度で均一に形成されている。
【0018】
突出部33の頂部の角度は、屋根材23と垂木21や野地板22等屋根構造材との傾斜角度の差と等しい値となっている。さらに中央に設けられた突出部33には、頂部34に締結孔34aが2箇所形成してある。締結孔34aは、支持台30を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0019】
防水プレート40は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材41,42,43とを有している。
【0020】
プレート材(上段のプレート)41は、平板状の基板41aと、この基板41aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)41bとを備えている。後端縁41bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0021】
プレート材(中段のプレート)42は、平板状の基板42aと、この基板42aの中央部に形成された凸部42bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)42cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)42dとを備えている。前端縁42c及び後端縁42dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部42bは、図3に示すように、前述した3つの突出部33を覆う形状に形成されている。
【0022】
凸部42bの頂部42eの角度は、屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部42eに締結孔42fが2箇所形成してある。締結孔42fは、防水プレート40を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0023】
プレート材(下段のプレート)43は、平板状の基板43aと、この基板43aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)43bとを備えている。前端縁43bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0024】
プレート材41は、後端縁41bは、プレート材42の前端縁42cより下方に配置され、プレート材43の前端縁43bは、プレート材42の後端縁42dより上方に配置されている。すなわち、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41〜43の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0025】
取付基台50は、基板51と取付片52を有するアルミニウム材等からなる押し出し成形品であり、長手方向にほぼ同一の断面を有している。基板51は、平板状に形成されている。また基板51には、取付孔23bに対応した締結孔51aが形成されている。基板51上には取付片52が設けられている。取付片52は逆L字状の2枚の縦片で、互いに平行で、上面に間隙53が長手方向に均一に形成されている。間隙53は、ラック付きボルト102aのねじ部が通り、頭部が通過しない間隔を有している。
【0026】
太陽電池パネル100は、パネル本体101とパネル本体101を取付基台50に取り付けるためのラック102とを備えている。
【0027】
次に、太陽電池パネル100の屋根構造材20への取り付け方法について説明する。最初に、屋根材23をその一部を重ねながらビス23aで野地板22上に止めつける。屋根材23の所定位置に、取付孔23bをドリル等であける。取付孔23bは、基本的には垂木21の上部とし、垂木21に沿って2箇所に形成する。取付孔23bを形成したなら、支持台30を中段の屋根材23上に載置する。
【0028】
そして、プレート材43を下段の屋根材23上に配置し、プレート材42を中段の屋根材23上に配置し、プレート材41を上段の屋根材23上に配置する。この時、各前後端縁については、上述したように組み合わせる。
【0029】
次に防水プレート40の上に取付基台50を載せ、取付基台50に形成されている締結孔51aにボルト23cを通す。さらに、ボルト23cは、防水プレート40の凸部42bに形成された締結孔42fを貫通させ、さらに、支持台30の頂部34の締結孔34aを貫通させ、屋根材23に形成された取付孔23bを通して、野地板22及び垂木21にねじ込む。
【0030】
このように構成された屋根構造10においては、支持台30及び取付基台50を介して、太陽電池パネル100が野地板22上に取り付けられると共に、雨天時には、前方の屋根材23から流れ落ちた雨水が防水プレート40に案内されて、後方の屋根材23へ流れる。このとき、支持台30が設けられた屋根材23の上下1枚ずつの屋根材23に対応して防水プレート40が設けられているため、屋根材23同士の隙間から雨水が浸入したりすることがない。また、防水プレート40を構成する各プレート材41〜43において、プレート材41の後端縁41bがプレート材42の前端縁42cより下方に配置され、プレート材43の前端縁43bは、プレート材42の後端縁42dより上方に配置されているため、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41〜43の隙間から野地板22側に滴下することはない。したがって、防水を確実に行うことができる。
【0031】
なお、ボルト23cは防水プレート40の凸部42b、支持台30の頂部34をそれぞれ貫通しており、ボルト23cに沿って雨水が浸み込むことも防止することができる。
【0032】
上述したように、本実施の形態に係る屋根構造10によれば、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることが可能となる。
【0033】
図4は第1の変形例に係る防水プレート40Aを示す側面図である。防水プレート40Aは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材41A,42A,43Aとを有している。なお、本変形例において、上述した防水プレート40と同一機能部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
プレート材(上段のプレート)41Aは、平板状の基板41aと、この基板41aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)41bとを備えている。
【0035】
プレート材(中段のプレート)42Aは、平板状の基板42aと、この基板42aの中央部に形成された凸部42bと、基板41aの前端に上方に折曲し、さらに前方に折曲したZ型端部42gと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)42dとを備えている。
【0036】
プレート材(下段のプレート)43Aは、平板状の基板43aと、この基板43aの前端に上方に折曲し、さらに前方に折曲したZ型端部43cとを備えている。
【0037】
本変形例においても、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41A〜43Aの間の隙間から野地板22側に滴下することはなく、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。さらに、Z型端部を有することで、屋根材23の後端に係合させることができ、プレート材41A〜43Aの位置決めを確実に行うことができる。
【0038】
図5は第2の変形例に係る防水プレート40Bを示す側面図である。防水プレート40Bは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部44,45,46とを有している。プレート部(上段のプレート)44は、平板状の基板44aと、この基板44aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)44bとを備えている。後端縁45の折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0039】
プレート部(中段のプレート)45は、平板状の基板45aと、この基板45aの中央部に形成された凸部45bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)45cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)45dとを備えている。前端縁45c及び後端縁42dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部45bは、前述した3つの突出部33を覆う形状に形成されている。
【0040】
凸部45bの頂部45eの角度は、屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部45eに締結孔45fが2箇所形成してある。締結孔45fは、防水プレート40Bを屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0041】
プレート部(下段のプレート)46は、平板状の基板46aと、この基板46aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)46bとを備えている。前端縁46bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0042】
プレート部44は後端縁44bとプレート部45の前端縁45cとが接合され、プレート部46の前端縁46bとプレート部45の後端縁45dとが接合されている。すなわち、防水プレート40Bは一枚の板金であるため、上方から流れ落ちる雨水がプレート部44〜46の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0043】
本変形例においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0044】
図6は本発明の第2の実施形態に係る防水プレート70を介して太陽電池パネル(屋根配置設備)100が取り付けられた屋根構造の要部を示す断面図、図7は防水プレート70のプレート板72を示す側面図、図8は防水プレート70を示す斜視図である。
【0045】
なお、これらの図において、図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
屋根構造10は、屋根構造材20と、この屋根構造材20の上部に支持台を兼ねた防水プレート70及び取付基台50を介して設けられた太陽電池パネル(屋根設備)100とを備えている。
【0047】
防水プレート70は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材71,72,73とを有している。
【0048】
プレート材(上段のプレート)71は、平板状の基板71aと、この基板71aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)71bとを備えている。後端縁71bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0049】
プレート材(中段のプレート)72は、平板状の基板72aと、この基板72aの中央部に形成された凸部72bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)72cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)72dとを備えている。前端縁72c及び後端縁72dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部72bは、図8に示すように、横断面がほぼ半円形で縦長に形成された3つの突出部72eから形成されている。3つの突出部72eは、前後に沿ってほぼ平行に形成されている。各突出部72eは、それらの頂部72fが屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部72fには締結孔72gが2箇所形成してある。締結孔72gは、防水プレート70を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0050】
プレート材(下段のプレート)73は、平板状の基板73aと、この基板73aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)73bとを備えている。前端縁73bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0051】
プレート材71は、後端縁71bは、プレート材72の前端縁72cより下方に配置され、プレート材73の前端縁73bは、プレート材72の後端縁72dより上方に配置されている。すなわち、上方から流れ落ちる雨水がプレート材71〜73の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0052】
本実施の形態においても、上方から流れ落ちる雨水がプレート材71〜73の間の隙間から野地板22側に滴下することはなく、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。なお、本実施の形態においても、プレート材71〜73を一体化してもよく、また、前端縁をZ型端部としてもよい。
【0053】
図9Aは本第3の実施形態にかかる防水プレート80を介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図、図9Bは防水プレート80と支持台85との位置関係を示す縦断面図である。なお、これらの図において、図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
防水プレート80は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部81,82,83とを有している。プレート部(上段のプレート)81は、平板状の基板81aと、この基板81aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)81bとを備えている。後端縁81bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0055】
プレート部(中段のプレート)82は、平板状の基板82aと、この基板82aの中央部に形成された凸部82bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)82cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)82dとを備えている。前端縁82c及び後端縁82dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部82bの下部には、支持台85が設けられており、支持台85からボルト86が凸部82bを貫通して上方に突出している。ボルト86は、太陽電池パネル等を支持する取付基台(不図示)が取り付け可能となっている。凸部82bにはボルト86の外周面に密着し、雨水の入り込む隙間を埋めるカラー82baが形成されている。
【0056】
プレート部(下段のプレート)83は、平板状の基板83aと、この基板83aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)83bとを備えている。前端縁83bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0057】
プレート部81は後端縁81bとプレート部82の前端縁82cとが接合され、プレート部83の前端縁83bとプレート部82の後端縁82dとが接合されている。すなわち、防水プレート80は一枚の板金であるため、上方から流れ落ちる雨水がプレート部81〜83の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0058】
本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0059】
なお、防水プレート80は、上述した防水プレート40のように3枚のプレート材を組み合わせて構成してもよい。
【0060】
図10は本第4の実施形態にかかる防水プレート80Aを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図である。なお、この図において、図9Aと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
防水プレート80Aは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部81,82A,83とを有している。
【0062】
プレート部(中段のプレート)82Aは、平板状の基板82aと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)82cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)82dとを備えている。なお、基板82aの中央には、支持プレート87が溶接されている。支持プレート87からボルト88が上方に突出している。ボルト88は、太陽電池パネル等を支持する取付基台(不図示)が取り付け可能となっている。
【0063】
本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0064】
なお、防水プレート80Aは、上述した防水プレート40のように3枚のプレート材を組み合わせて構成してもよい。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10…屋根構造、20…屋根構造材、22…野地板、23…屋根材、30…支持台、40…防水プレート、41,42,43…プレート材、50…取付基台、51…基板、52…取付片、100…太陽電池パネル、40A…防水プレート、41A,42A,43A…プレート材、40B…防水プレート、44,45,46…プレート部、70…防水プレート、71,72,73…プレート材、80…防水プレート、81,82,83…プレート部、80A…防水プレート、81,82A,83…プレート部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネル等の屋根配置設備を取り付けるための屋根構造及び防水プレートに関し、特に防水性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の屋根に、太陽電池パネルや温水器等の屋根配置設備を配置することがある。太陽電池パネルの場合は、屋根に固定した取付基台に、強風等でも飛ばされることがないように強固に取り付ける必要がある。取付基台は、例えばスレート瓦のような屋根材に取付孔を設け、取付孔に通した釘材を垂木まで打ち込み、屋根材の上に固定する。そして、固定した取付基台を用いて太陽電池パネルを取り付け、さらに防水用の充填材(ブチルテープやコーキング材)を取付孔に充填して塞いだり、取付孔の上を防水シートで覆って屋根の防水処理を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7782号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した屋根構造では、次のような問題があった。すなわち、充填材による防水処理を全ての取付孔に施すことになるために、材料コスト及び作業コストが増大するという問題があった。また、防水シートは施工は簡単であり、無風時の雨には効果的である。しかし、強風を伴った雨では防水シートと屋根材の隙間から浸入して釘から野地板側に雨水が漏れる虞があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることができる屋根構造及び防水プレートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の屋根構造及び防水プレートは次のように構成されている。
【0007】
屋根配置設備を取り付けるための屋根構造において、傾斜配置された野地板と、この野地板の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材と、これら屋根材のうちの特定の屋根材の上に設けられた支持台と、前記特定の屋根材の上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って設けられ、前記支持台を覆う防水プレートと、前記支持台上に防水プレートを挟んで設けられ、前記屋根配置設備を着脱自在に取り付けるための取付基台とを備えている。
【0008】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成された中段のプレートと、前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆うと共に、下縁を下方に折曲して形成された上段のプレートと、前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に折曲して形成された下段のプレートとを具備し、前記上段のプレートの下縁は、前記中段のプレートの上縁より下方に配置され、前記下段のプレートの上縁は、前記中段のプレートの下縁より上方に配置されている。
【0009】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆う中段のプレートと、前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆う上段のプレートと、前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆う下段のプレートとを具備し、前記上段・中段・下段のプレートは一体に形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る防水プレートを介して太陽電池パネルが取り付けられた屋根構造を示す斜視図。
【図2】同屋根構造の要部を示す断面図。
【図3】同屋根構造に組み込まれた支持台と防水プレートとの位置関係を示す斜視図。
【図4】同防水プレートの第1の変形例を示す側面図。
【図5】同防水プレートの第2の変形例を示す側面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る防水プレートを介して太陽電池パネルが取り付けられた屋根構造の要部を示す断面図。
【図7】同防水プレートの要部を示す側面図。
【図8】同防水プレートを示す斜視図。
【図9A】本第3の実施形態にかかる防水プレートを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図。
【図9B】同屋根構造の防水プレートと支持台との位置関係を示す縦断面図。
【図10】本第4の実施形態にかかる防水プレートを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係る防水プレート40を介して太陽電池パネル(屋根配置設備)100が取り付けられた屋根構造を示す斜視図、図2は屋根構造10の要部を示す断面図、図3は屋根構造10に組み込まれた支持台30と防水プレート40との位置関係を示す斜視図である。なお、野地板22を貫通する方向を上下方向、棟側を前方、軒先側を後方として説明する。
【0013】
屋根構造10は、屋根構造材20と、この屋根構造材20の上部に支持台30、防水プレート40及び取付基台50を介して設けられた太陽電池パネル(屋根設備)100とを備えている。
【0014】
屋根構造材20は、垂木21と、この垂木21上に傾斜配置された野地板22と、この野地板22上に防水シート等を挟んで葺かれた屋根材23とを備えている。なお、ここでは説明に際して図2に示す中央の屋根材23を中段の屋根材23と称し、その上に重なる屋根材23を上段の屋根材23、中段の屋根材23の下に重なる屋根材23を下段の屋根材23として説明する。
【0015】
屋根材23は、図2に示すように、平板状に形成され、野地板22の傾斜に沿って後方から順次屋根材23の一部を上に重ねながらビス23aにより取り付けられている。ビス23aは、例えば中段の屋根材(特定の屋根材)23を貫いて固定してあり、その中段の屋根材23の下段の屋根材23の前縁がビス23aの側面に当接している。またビス23aは、上段の屋根材23で上面が覆われている。中段の屋根材23の上には、下側から支持台30、防水プレート40、取付基台50の順で積層配置されている。これら支持台30、防水プレート40、取付基台50は、屋根材23に形成された取付孔23bを通したボルト(緊結材)23cで垂木21と野地板22に固定されている。
【0016】
支持台30は、金属板等により形成されており、平板状の基板31とこの基板31の中央部に形成された凸部32とを備えている。基板31の前端縁31aが上方に折曲されており、屋根材23の下縁に対向配置されている。基板31の後端縁31bが下方に折曲されており、屋根材23の下縁に対向配置されている。なお、基板31の前端縁31a及び後端縁31bの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。
【0017】
凸部32は、横断面がほぼ半円形で縦長に形成された3つの突出部33から形成されている。3つの突出部33は、前後に沿ってほぼ平行に形成されている。各突出部33は、それらの頂部34が図2に示すように、後方が低くなるよう所定の角度で均一に形成されている。
【0018】
突出部33の頂部の角度は、屋根材23と垂木21や野地板22等屋根構造材との傾斜角度の差と等しい値となっている。さらに中央に設けられた突出部33には、頂部34に締結孔34aが2箇所形成してある。締結孔34aは、支持台30を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0019】
防水プレート40は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材41,42,43とを有している。
【0020】
プレート材(上段のプレート)41は、平板状の基板41aと、この基板41aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)41bとを備えている。後端縁41bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0021】
プレート材(中段のプレート)42は、平板状の基板42aと、この基板42aの中央部に形成された凸部42bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)42cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)42dとを備えている。前端縁42c及び後端縁42dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部42bは、図3に示すように、前述した3つの突出部33を覆う形状に形成されている。
【0022】
凸部42bの頂部42eの角度は、屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部42eに締結孔42fが2箇所形成してある。締結孔42fは、防水プレート40を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0023】
プレート材(下段のプレート)43は、平板状の基板43aと、この基板43aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)43bとを備えている。前端縁43bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0024】
プレート材41は、後端縁41bは、プレート材42の前端縁42cより下方に配置され、プレート材43の前端縁43bは、プレート材42の後端縁42dより上方に配置されている。すなわち、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41〜43の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0025】
取付基台50は、基板51と取付片52を有するアルミニウム材等からなる押し出し成形品であり、長手方向にほぼ同一の断面を有している。基板51は、平板状に形成されている。また基板51には、取付孔23bに対応した締結孔51aが形成されている。基板51上には取付片52が設けられている。取付片52は逆L字状の2枚の縦片で、互いに平行で、上面に間隙53が長手方向に均一に形成されている。間隙53は、ラック付きボルト102aのねじ部が通り、頭部が通過しない間隔を有している。
【0026】
太陽電池パネル100は、パネル本体101とパネル本体101を取付基台50に取り付けるためのラック102とを備えている。
【0027】
次に、太陽電池パネル100の屋根構造材20への取り付け方法について説明する。最初に、屋根材23をその一部を重ねながらビス23aで野地板22上に止めつける。屋根材23の所定位置に、取付孔23bをドリル等であける。取付孔23bは、基本的には垂木21の上部とし、垂木21に沿って2箇所に形成する。取付孔23bを形成したなら、支持台30を中段の屋根材23上に載置する。
【0028】
そして、プレート材43を下段の屋根材23上に配置し、プレート材42を中段の屋根材23上に配置し、プレート材41を上段の屋根材23上に配置する。この時、各前後端縁については、上述したように組み合わせる。
【0029】
次に防水プレート40の上に取付基台50を載せ、取付基台50に形成されている締結孔51aにボルト23cを通す。さらに、ボルト23cは、防水プレート40の凸部42bに形成された締結孔42fを貫通させ、さらに、支持台30の頂部34の締結孔34aを貫通させ、屋根材23に形成された取付孔23bを通して、野地板22及び垂木21にねじ込む。
【0030】
このように構成された屋根構造10においては、支持台30及び取付基台50を介して、太陽電池パネル100が野地板22上に取り付けられると共に、雨天時には、前方の屋根材23から流れ落ちた雨水が防水プレート40に案内されて、後方の屋根材23へ流れる。このとき、支持台30が設けられた屋根材23の上下1枚ずつの屋根材23に対応して防水プレート40が設けられているため、屋根材23同士の隙間から雨水が浸入したりすることがない。また、防水プレート40を構成する各プレート材41〜43において、プレート材41の後端縁41bがプレート材42の前端縁42cより下方に配置され、プレート材43の前端縁43bは、プレート材42の後端縁42dより上方に配置されているため、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41〜43の隙間から野地板22側に滴下することはない。したがって、防水を確実に行うことができる。
【0031】
なお、ボルト23cは防水プレート40の凸部42b、支持台30の頂部34をそれぞれ貫通しており、ボルト23cに沿って雨水が浸み込むことも防止することができる。
【0032】
上述したように、本実施の形態に係る屋根構造10によれば、簡単な施工で確実な防水処理を行うことができるとともに、確実に屋根配置設備を取り付けることが可能となる。
【0033】
図4は第1の変形例に係る防水プレート40Aを示す側面図である。防水プレート40Aは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材41A,42A,43Aとを有している。なお、本変形例において、上述した防水プレート40と同一機能部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
プレート材(上段のプレート)41Aは、平板状の基板41aと、この基板41aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)41bとを備えている。
【0035】
プレート材(中段のプレート)42Aは、平板状の基板42aと、この基板42aの中央部に形成された凸部42bと、基板41aの前端に上方に折曲し、さらに前方に折曲したZ型端部42gと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)42dとを備えている。
【0036】
プレート材(下段のプレート)43Aは、平板状の基板43aと、この基板43aの前端に上方に折曲し、さらに前方に折曲したZ型端部43cとを備えている。
【0037】
本変形例においても、上方から流れ落ちる雨水がプレート材41A〜43Aの間の隙間から野地板22側に滴下することはなく、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。さらに、Z型端部を有することで、屋根材23の後端に係合させることができ、プレート材41A〜43Aの位置決めを確実に行うことができる。
【0038】
図5は第2の変形例に係る防水プレート40Bを示す側面図である。防水プレート40Bは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部44,45,46とを有している。プレート部(上段のプレート)44は、平板状の基板44aと、この基板44aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)44bとを備えている。後端縁45の折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0039】
プレート部(中段のプレート)45は、平板状の基板45aと、この基板45aの中央部に形成された凸部45bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)45cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)45dとを備えている。前端縁45c及び後端縁42dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部45bは、前述した3つの突出部33を覆う形状に形成されている。
【0040】
凸部45bの頂部45eの角度は、屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部45eに締結孔45fが2箇所形成してある。締結孔45fは、防水プレート40Bを屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0041】
プレート部(下段のプレート)46は、平板状の基板46aと、この基板46aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)46bとを備えている。前端縁46bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0042】
プレート部44は後端縁44bとプレート部45の前端縁45cとが接合され、プレート部46の前端縁46bとプレート部45の後端縁45dとが接合されている。すなわち、防水プレート40Bは一枚の板金であるため、上方から流れ落ちる雨水がプレート部44〜46の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0043】
本変形例においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0044】
図6は本発明の第2の実施形態に係る防水プレート70を介して太陽電池パネル(屋根配置設備)100が取り付けられた屋根構造の要部を示す断面図、図7は防水プレート70のプレート板72を示す側面図、図8は防水プレート70を示す斜視図である。
【0045】
なお、これらの図において、図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
屋根構造10は、屋根構造材20と、この屋根構造材20の上部に支持台を兼ねた防水プレート70及び取付基台50を介して設けられた太陽電池パネル(屋根設備)100とを備えている。
【0047】
防水プレート70は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート材71,72,73とを有している。
【0048】
プレート材(上段のプレート)71は、平板状の基板71aと、この基板71aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)71bとを備えている。後端縁71bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0049】
プレート材(中段のプレート)72は、平板状の基板72aと、この基板72aの中央部に形成された凸部72bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)72cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)72dとを備えている。前端縁72c及び後端縁72dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部72bは、図8に示すように、横断面がほぼ半円形で縦長に形成された3つの突出部72eから形成されている。3つの突出部72eは、前後に沿ってほぼ平行に形成されている。各突出部72eは、それらの頂部72fが屋根材23と垂木21や野地板22との傾斜角度の差と等しい値となっている。頂部72fには締結孔72gが2箇所形成してある。締結孔72gは、防水プレート70を屋根材23の所定の位置に配置すると、屋根材23に設けられた取付孔23bに対応する位置に形成されている。
【0050】
プレート材(下段のプレート)73は、平板状の基板73aと、この基板73aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)73bとを備えている。前端縁73bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0051】
プレート材71は、後端縁71bは、プレート材72の前端縁72cより下方に配置され、プレート材73の前端縁73bは、プレート材72の後端縁72dより上方に配置されている。すなわち、上方から流れ落ちる雨水がプレート材71〜73の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0052】
本実施の形態においても、上方から流れ落ちる雨水がプレート材71〜73の間の隙間から野地板22側に滴下することはなく、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。なお、本実施の形態においても、プレート材71〜73を一体化してもよく、また、前端縁をZ型端部としてもよい。
【0053】
図9Aは本第3の実施形態にかかる防水プレート80を介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図、図9Bは防水プレート80と支持台85との位置関係を示す縦断面図である。なお、これらの図において、図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
防水プレート80は、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部81,82,83とを有している。プレート部(上段のプレート)81は、平板状の基板81aと、この基板81aの後端に下方に折曲して形成された後端縁(下縁)81bとを備えている。後端縁81bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0055】
プレート部(中段のプレート)82は、平板状の基板82aと、この基板82aの中央部に形成された凸部82bと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)82cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)82dとを備えている。前端縁82c及び後端縁82dの折曲幅は、ほぼ屋根材23の厚みに等しい。凸部82bの下部には、支持台85が設けられており、支持台85からボルト86が凸部82bを貫通して上方に突出している。ボルト86は、太陽電池パネル等を支持する取付基台(不図示)が取り付け可能となっている。凸部82bにはボルト86の外周面に密着し、雨水の入り込む隙間を埋めるカラー82baが形成されている。
【0056】
プレート部(下段のプレート)83は、平板状の基板83aと、この基板83aの前端に上方に折曲して形成された前端縁(上縁)83bとを備えている。前端縁83bの折曲幅は屋根材23の厚みに等しい。
【0057】
プレート部81は後端縁81bとプレート部82の前端縁82cとが接合され、プレート部83の前端縁83bとプレート部82の後端縁82dとが接合されている。すなわち、防水プレート80は一枚の板金であるため、上方から流れ落ちる雨水がプレート部81〜83の間の隙間から野地板22側に滴下することはない。
【0058】
本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0059】
なお、防水プレート80は、上述した防水プレート40のように3枚のプレート材を組み合わせて構成してもよい。
【0060】
図10は本第4の実施形態にかかる防水プレート80Aを介して太陽電池パネルを取り付けるための屋根構造の要部を示す斜視図である。なお、この図において、図9Aと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
防水プレート80Aは、例えば合成樹脂からなる平板状の部材であり、前方から後方にかけてプレート部81,82A,83とを有している。
【0062】
プレート部(中段のプレート)82Aは、平板状の基板82aと、前端に設けられ上方に折曲された前端縁(上縁)82cと、後端に設けられ下方に折曲された後端縁(下縁)82dとを備えている。なお、基板82aの中央には、支持プレート87が溶接されている。支持プレート87からボルト88が上方に突出している。ボルト88は、太陽電池パネル等を支持する取付基台(不図示)が取り付け可能となっている。
【0063】
本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様の防水効果が得られる。
【0064】
なお、防水プレート80Aは、上述した防水プレート40のように3枚のプレート材を組み合わせて構成してもよい。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10…屋根構造、20…屋根構造材、22…野地板、23…屋根材、30…支持台、40…防水プレート、41,42,43…プレート材、50…取付基台、51…基板、52…取付片、100…太陽電池パネル、40A…防水プレート、41A,42A,43A…プレート材、40B…防水プレート、44,45,46…プレート部、70…防水プレート、71,72,73…プレート材、80…防水プレート、81,82,83…プレート部、80A…防水プレート、81,82A,83…プレート部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根配置設備を取り付けるための屋根構造において、
傾斜配置された野地板と、
この野地板の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材と、
これら屋根材のうちの特定の屋根材の上に設けられた支持台と、
前記特定の屋根材の上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って設けられ、前記支持台を覆う防水プレートと、
前記支持台上に防水プレートを挟んで設けられ、前記屋根配置設備を着脱自在に取り付けるための取付基台とを備えていることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
前記防水プレートは、上段・中段・下段の3枚のプレートを備え、
上段のプレートは、下縁を下方に折曲して形成され、
中段のプレートは、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成され、
下段のプレートは、上縁を上方に折曲して形成され、
上段のプレートの下縁は、中段の上縁より下方に配置され、
下段のプレートの上縁は、中段の下縁より上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記防水プレートは、上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って1枚のプレートで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記支持台は、前記防水プレートと一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項5】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、
前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成された中段のプレートと、
前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆うと共に、下縁を下方に折曲して形成された上段のプレートと、
前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に折曲して形成された下段のプレートとを具備し、
前記上段のプレートの下縁は、前記中段のプレートの上縁より下方に配置され、
前記下段のプレートの上縁は、前記中段のプレートの下縁より上方に配置されていることを特徴とする防水プレート。
【請求項6】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、
前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆う中段のプレートと、
前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆う上段のプレートと、
前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆う下段のプレートとを具備し、
前記上段・中段・下段のプレートは一体に形成されていることを特徴とする防水プレート。
【請求項7】
前記支持台は、前記中段のプレートと一体形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の防水プレート。
【請求項1】
屋根配置設備を取り付けるための屋根構造において、
傾斜配置された野地板と、
この野地板の上面に複数配置され、一の上側部に他の下側部を重ねて葺いた屋根材と、
これら屋根材のうちの特定の屋根材の上に設けられた支持台と、
前記特定の屋根材の上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って設けられ、前記支持台を覆う防水プレートと、
前記支持台上に防水プレートを挟んで設けられ、前記屋根配置設備を着脱自在に取り付けるための取付基台とを備えていることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
前記防水プレートは、上段・中段・下段の3枚のプレートを備え、
上段のプレートは、下縁を下方に折曲して形成され、
中段のプレートは、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成され、
下段のプレートは、上縁を上方に折曲して形成され、
上段のプレートの下縁は、中段の上縁より下方に配置され、
下段のプレートの上縁は、中段の下縁より上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記防水プレートは、上側の屋根材から下側の屋根材とに渡って1枚のプレートで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記支持台は、前記防水プレートと一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項5】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、
前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に、下縁を下方に折曲して形成された中段のプレートと、
前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆うと共に、下縁を下方に折曲して形成された上段のプレートと、
前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆うと共に、上縁を上方に折曲して形成された下段のプレートとを具備し、
前記上段のプレートの下縁は、前記中段のプレートの上縁より下方に配置され、
前記下段のプレートの上縁は、前記中段のプレートの下縁より上方に配置されていることを特徴とする防水プレート。
【請求項6】
傾斜配置された野地板上に一部を重ねて上下方向に複数配置された屋根材を覆う防水プレートにおいて、
前記屋根材のうち、支持台が設けられた特定の屋根材を覆う中段のプレートと、
前記特定の屋根材の上側の屋根材を覆う上段のプレートと、
前記特定の屋根材の下側の屋根材を覆う下段のプレートとを具備し、
前記上段・中段・下段のプレートは一体に形成されていることを特徴とする防水プレート。
【請求項7】
前記支持台は、前記中段のプレートと一体形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の防水プレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2013−68005(P2013−68005A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207554(P2011−207554)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(503341996)エバー株式会社 (36)
【出願人】(595031731)株式会社神清 (37)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]