屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法
【課題】焼成の際に突起部の粘土塊集合面に沿ってひびが入るの防止し、製品の歩留まりを向上させることが可能な屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】上側金型31のプレス面33aには屋根瓦用成型品に係合フック13を成型させるための第1の凹所を形成し、下側金型32のプレス面35aには粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍に配置される溝を成型するための突条B1を形成する。プレス時において荒地30がキャビティS内で延展されると上側プレス面33a側では流動する粘土は第1の凹所内に充填され、同時に下側プレス面35a側では突条B1が荒地30に食い込んで溝が成型される。その結果、成型される係合フック13は成型品を焼成してもひびが入りにくくなる。
【解決手段】上側金型31のプレス面33aには屋根瓦用成型品に係合フック13を成型させるための第1の凹所を形成し、下側金型32のプレス面35aには粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍に配置される溝を成型するための突条B1を形成する。プレス時において荒地30がキャビティS内で延展されると上側プレス面33a側では流動する粘土は第1の凹所内に充填され、同時に下側プレス面35a側では突条B1が荒地30に食い込んで溝が成型される。その結果、成型される係合フック13は成型品を焼成してもひびが入りにくくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の屋根仕上げに使用される各種屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に屋根瓦は荒地(素地)と呼ばれる方形平板の粘土板を金型に挟んでプレス成型をすることで所望の形状の成型品を得るようになっている。このような荒地による屋根瓦製造技術の一例として特許文献1を示す。この特許文献1でもわかるように、屋根瓦用成型においては概ね瓦の外形形状に類似した荒地をプレスして粘土を金型のキャビティ内で延展させることで屋根瓦として備えなければならない段差部分や掛止部等の凹凸したパーツ部分を一体成型するわけである。成型した瓦は定法に従って乾燥、釉薬の塗布、再乾燥、焼成等の工程を経て選別され製品となる。
【特許文献1】特開平11−291232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、粘土は可塑性を有するものではあるが、屋根瓦用の粘土の水分含量は通常20%前後に調整するためプレスした際の粘土の流動性はあまりよくない。また、元々荒地は瓦の外形に近似した形状であるため、プレス時におけるストローク量は比較的小さく、上下金型のプレス面が荒地に接してから数mm程度のわずかなストローク量(プレス量)に過ぎない。
そのため、屋根瓦の成型品の特に上記のパーツ部分(特に大きく突起するようなパーツ部分)では次のような状態が確認されている。
1)パーツ部分の粘土密度は本体部分に比べて若干小さくなる。
2)パーツ部分を構成するためのキャビティ内の凹所部分への粘土の流入量が十分ではなく若干変形が残留する場合がある。
3)同凹所部分には複数の方向から粘土が流入してくるが、それらは粘土塊としてそれぞれまとまっており他の粘土塊とは混ざりにくい。図12(a)及び(b)に示すように粘土の凹所部分への進出(ここでは上昇している)に伴って凹所内部に粘土塊P,Q同士が背中合わせに密着してその界面に一種の境界面(以下、この境界面を粘土塊集合面とする)が形成されることとなる。
そして、これらのことが原因となって屋根瓦用成型品100を焼成した際に図12(c)に示すように粘土塊集合面に沿ってひび101が入ってしまうケースが散見された。ひびが入った瓦は不良品として廃棄されるのでひびの有無は製品の歩留まりに大きく影響を与えることとなっていた。また、わずかなひびであればそのまま製品として出荷することも可能ではあるが、外観が劣ることとなってしまう。
本発明はこのような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、焼成の際に突起部の粘土塊集合面に沿ってひびが入るの防止し、製品の歩留まりを向上させることが可能な屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために第1の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成するとともに、前記第2の金型の第2のプレス面には同屋根瓦用成型品に凹部を成型するための周辺の基準面に対して突起した突起体を形成し、同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同第2のプレス面側では同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことをその要旨とする。
また、第2の手段では第1の手段に加え、プレス状態において前記第2のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所外方に配置された流路に面して配置されていることをその要旨とする。
また、第3の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成し、同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことをその要旨とする。また、第4の手段では第3の手段に加え、プレス状態において前記第1のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所外方に配置された流路に面して配置されていることをその要旨とする。
【0005】
また、第5の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことをその要旨とする。
また、第6の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことをその要旨とする。
また、第7の手段では第5又は6の手段に加え、前記凹部は前記突起部の配置位置よりも外方に複数配置されているようにしたことをその要旨とする。
また、第8の手段では第5〜7のいずれかの手段に加え、前記複数の凹部は左右対称となる位置であって同突起部の粘土塊集合面から略等距離離間した位置に配置されていることをその要旨とする。
また、第9の手段では第5〜第8のいずれかの手段に加え、前記凹部は前記突起部の幅に長さが略一致する溝形状であることをその要旨とする。
また、第10の手段では第9の手段に加え、前記溝形状の凹部は前記突起部に隣接する縁部と交叉する方向に延設されていることをその要旨とする。
また、第11の手段では第5〜第10のいずれかの手段に加え、屋根瓦は屋根瓦用成型品を焼成して得られることをその要旨とする。
【0006】
上記第1の手段のような構成では、第1及び第2の金型の間に配置された粘土板は第1及び第2のプレス面によってプレスされ、延展されてキャビティ内に充満する。第1のプレス面に形成された凹所はプレス前は空隙とされ粘土は充填されていないが、粘土板がプレスされることでこの空隙内に粘土塊として流入されることとなる。プレス動作に伴って、つまり凹所内への粘土塊の流入に伴って同時に第2のプレス面に形成された突起体が粘土板に食い込むこととなる。突起体は粘土塊集合面を避けながらもその近傍位置に配置されているため、凹所に流入する粘土塊はこの突起体付近では一旦突起体を回り込むように流れることとなる。つまり、粘土塊は粘土塊集合面に至る前に従来のように速やかに凹所内を末端方向に向かって流動するのではなく他の粘土塊と衝突する方向に分散されることとなるため粘土塊集合面が生成されにくくなってこの面での剥離性が抑制されることとなる。
【0007】
このような方法で成型された屋根瓦用成型品は表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部が形成されるとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部が形成されることとなる。このような屋根瓦用成型品を焼成すると粘土塊集合面の剥離性が抑制されているためひびが入りにくくなって製品歩留まりが向上する。ここに「基準面」とはひびを防止するために本発明が実行された突起部の同突起部に対して段違いに低い周囲の面をいうものである。突起部は表面(化粧面側)のみならず裏面側に突起する場合も含む。
【0008】
ここに、上記成型品は第2のプレス面に形成した突起部は第1のプレス面に形成した凹部の外方に配置された流路に面して配置されることが好ましい。つまり、粘土塊は複数の方向から空隙内に進入してくるので各粘土塊に対応すべく流入方向毎に凹部が形成されていること(つまり、第2のプレス面に形成された突起部の食い込み)が粘土塊集合面の剥離性の抑制のためには好ましい。そのため、成型される屋根瓦用成型品としてはその凹部が突起部を間に配置位置よりも外方に複数配置されることが好ましい。但し、単一の凹部であることを排除するものではない。そして、このような凹部は粘土塊集合面から略等距離離間した対称位置に配置されていることが好ましく、更に凹部は突起部の幅に略一致する溝形状であることが好ましい。その溝形状の凹部は前記突起部に隣接する縁部と交叉する方向に延設されていることが更に好ましい。
【0009】
また、上記第3の手段のような構成では、第1及び第2の金型の間に配置された粘土板は第1及び第2のプレス面によってプレスされ、延展されてキャビティ内に充満する。第1のプレス面に形成された凹所はプレス前は空隙とされ粘土は充填されていないが、粘土板がプレスされることでこの空隙内に粘土塊として流入されることとなる。プレス動作に伴って、つまり凹所内への粘土塊の流入に伴って同時に同じ第1のプレス面に形成された突起体が粘土板に食い込むこととなる。突起体は粘土塊集合面を避けながらもその近傍位置に配置されているため、凹所に流入する粘土塊はこの突起体付近では一旦突起体を回り込むように流れることとなる。つまり、粘土塊は粘土塊集合面に至る前に従来のように速やかに凹所内を末端方向に向かって流動するのではなく他の粘土塊と衝突する方向に分散されることとなるため粘土塊集合面が生成されにくくなってこの面での剥離性が抑制されることとなる。
【0010】
このような方法で成型された屋根瓦用成型品は表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部が形成されるとともに、同突起部の形成側側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部が形成されることとなる。このような屋根瓦用成型品を焼成すると粘土塊集合面の剥離性が抑制されているためひびが入りにくくなって製品歩留まりが向上する。ここに「基準面」とはひびを防止するために本発明が実行された突起部の同突起部に対して段違いに低い周囲の面をいうものである。突起部は表面(化粧面側)のみならず裏面側に突起する場合も含む。
この場合の成型品では突起部は第1のプレス面に形成した凹部の外方に配置された流路に面して配置されることが好ましい。つまり、粘土塊は複数の方向から空隙内に進入してくるので各粘土塊に対応すべく流入方向毎に凹部が形成されていること(つまり、第1のプレス面に形成された突起部の食い込み)が粘土塊集合面の剥離性の抑制のためには好ましい。そのため、成型される屋根瓦用成型品としてはその凹部が突起部を間に配置位置よりも外方に複数配置されることが好ましい。但し、単一の凹部であることを排除するものではない。そして、このような凹部は粘土塊集合面から略等距離離間した対称位置に配置されていることが好ましく、更に凹部は突起部の幅に略一致する溝形状であることが好ましい。その溝形状の凹部は前記突起部の縁部と交叉する方向に延設されていることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記各請求項の発明によれば、成型された屋根瓦用成型品を焼成する際に突起部分にひびが入りにくくなるため、製品の見栄えがよく、なおかつ製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。尚、以下の説明において左右と言う場合は焼成した製品としての屋根瓦を葺いた状態における桁行き方向をいうものとする。また、屋根の流れ方向における軒側を前又は下とし、棟側を後又は上とするものとする。
図1〜図4に示すように、屋根瓦用成型品としての本実施例の平瓦用成型品1は平面略長方形形状をなした粘土製の板体とされている。平瓦用成型品1は大きく分けて瓦本体3と瓦本体3の左右両側に張り出し形成された衿側及び桟側の側縁部4,5の3つの部分から構成されている。このような左右方向の構成とは別に平瓦用成型品1の棟側を向いた後端寄りが尻側とされ軒側を向いた先端寄りが頭側とされている。尻及び頭は平瓦用成型品1において画一的に区切られるものではないが、本実施例では上位の屋根瓦1が下位の屋根瓦1とオーバーラップする図1におけるP部分付近を尻部7とし、このP部分とオーバーラップするQ部分付近を頭部8とする。頭部8側は先端ほど下垂するように湾曲状に成型されている。
【0013】
瓦本体3は衿側及び桟側の側縁部4,5に挟持された平面長方形形状の外観を呈する一定の肉厚に形成された板体とされ、図1及び図3等に示すように、瓦本体3の左右方向中央位置には尻部7近傍から頭部8最先端にかけて瓦本体3に対して上方に凸状に隆起した凸状部9が形成されている。すなわち瓦本体3のベース面Bに対して凸状部9の上面b1は一段高い位置に配置されることとなる(図3参照)。凸状部9は裏面から見た場合には表面側に隆起した分だけ凹んで構成されている。凸状部9は平瓦用成型品1の強度アップを図るとともに焼成後の平瓦を屋根に葺き上げた際に下位の平瓦のオーバーラップした側縁部4,5が納まる空間を構成する。瓦本体3の衿側の側縁部4との境界部分には前後に延びる堤部10が上方に盛り上がるように形成されている。
尻部7側の最後端位置には左右方向に沿って瓦本体3に対して段違となるよう隆起した段差部11が形成されている。段差部11の後方には左右一対の三角形形状の尻剣部14が下方に向かって突出形成されている。
図1図4及び図5等に示すように、段差部11の上面の尻側後端縁12に面した位置であって左右方向の中央位置から僅かに衿側の側縁部4に寄った位置には突起部としての係合フック13が形成されている。係合フック13は立ち上げ部13aとフック部13bから構成されている。係合フック13は前後方向が同幅に構成されるとともに立ち上げ部13aでは左右方向において基部側が肉厚とされ上部寄りほど徐々に薄肉となるようにテーパ状に構成されている。フック部13bはその先端方向が衿側の側縁部4の方向に指向して段差部11の上面に対して略水平となるように延出されている。
【0014】
係合フック13の形成されている段差部11上の厚みmは基準となる周囲の厚みMよりも薄肉に形成されている。つまり、図5〜図8に示すように、係合フック13の裏面側には凹部15が形成されている。凹部15は尻側後端縁12方向のみが開放された三方から包囲された略方形の形状とされている。凹部15の前後長さは係合フック13の幅と略一致されている。凹部15の左右両縁にはそれぞれ前後方向に延びる同幅の第1の溝16が尻側後端縁12に対して直交して延出されている。図6に示すように、第1の溝16は係合フック13の中心線(つまり略粘土塊集合面)Oから等距離に配置されている。段差部11には左右一対の透孔17が形成されている。透孔17は屋根瓦として葺く際に釘を桟木に打ち込んで固定するための孔となる。
段差部11には尻剣部14を成型するために瓦本体3のベース面Bとの間がスペース的に幅狭に構成された尾根部21が形成されている。尾根部21の左右両端寄りにはそれぞれ前後方向に延びる同幅の第2の溝22が尾根部21を構成する壁面の延出方向に対して直交して延出されている。
【0015】
衿側の側縁部4は瓦本体3の一方の側縁において前後に延びる長尺の長方形形状の板片とされ、その上面b2は瓦本体3のベース面Bよりも若干低い位置に配置される(図3参照)。側縁部4の上端縁から側縁にかけて同側縁部4を包囲する包囲壁18が一体形成されており、前記瓦本体3側の堤部10との間で三方が包囲された樋が構成される。
桟側の側縁部5は瓦本体3の他方の側縁において前後に延びる長尺の長方形形状の板片とされている。桟側の側縁部5は前記凸状部9と略同等の幅とされている。同側縁部5は衿側の側縁部4の上面にオーバーラップして配置されるため本実施例では前記凸状部9と同程度の位置に配置される。すなわち瓦本体3のベース面Bに対して桟側の側縁部5の上面b3は一段高い位置に配置されることとなる(図3参照)。
図2に示すように、桟側の側縁部5の裏面側であって先端寄りの最深部、すなわち桟側の側縁部5裏面に面した瓦本体3の側壁19には係合部としての横長の係合凹部20が形成されている。
【0016】
次にこのように構成される平瓦用成型品1の成型方法の一例について説明する。本実施例では特に段差部11の成型状況を一例として図示して説明する。
図9及び図10に示すように、平瓦用成型品1は一定の厚みに平面方形形状に成型された荒地30をプレス装置内の上下の金型31,32の間に配置しプレスすることで得られる。
上側金型31は金型本体33を備えている。金型本体33の底面には上型プレス面33aが形成されている。金型本体33の前後には上型側側板34(本実施例では金型31,32内部を目視させるため手前側の側板は図示を省略している)が取着されている。
下側金型32は金型本体35を備えている。金型本体35の上面には下型プレス面35aが形成されている。金型本体35の左右には下型側側板37が取着されている。上型プレス面33aは平瓦用成型品1の表面を成型し、下型プレス面35aは裏面を成型する。
すなわち、上側金型31が下降して所定の位置で停止することで両金型31,32及び上下側板34,37によって密封されたキャビティSが形成される。そして、そのキャビティS内高さが荒地30の厚みよりも低いことから荒地30はプレス面33a,35aによってプレスされキャビティS内面形状に応じて延展して変形し所望の平瓦用成型品1に成型されることとなる。尚、本実施例では上側金型31を駆動するためのプレス装置の駆動機構や荒地30をセットするための搬入機構等の説明は省略する。また、図9及び図10においては平瓦用成型品1の段差部11部分を成型する場合を図示説明する。
【0017】
両プレス面33a、35aには段差部11を構成するための凹凸が形成されている。具体的には本実施例では上型プレス面33aには段差部11上面となる基準面A0の他に係合フック13用の第1の凹所A1、堤部10用の第2の凹所A2、尻剣部14用の第1の突部A3、衿側の側縁部4及び包囲壁18用の第2の突部A4、桟側の側縁部5用の第1の押圧部A5、尾根部21の第2の溝22用の一対の突条A6等が形成されている。下型プレス面35aには裏面となる基準面B0の他に係合フック13の左右に配置される第1の溝16用の一対の突条B1、両突条B1の間の第2の押圧部B2,堤部10用の第1の突部B3、尻剣部14用の第3の凹所B4、衿側の側縁部4底部用の第2の凹所B5、桟側の側縁部5用の第3の押圧部B6等が形成されている。
上側金型31が下降していき、まず第1の突部A3や第2の突部A4のような下方に突起した部分が荒地30に当接して荒地30の延展が開始される。尚、プレスに伴って図示しない吸引バルブからキャビティS内の脱気処理が同時に行われる。延展された粘土はキャビティS内の内部形状に従って流動して平瓦用成型品1を成型する。
【0018】
ここに、概ね荒地30が屈曲されたりわずかに凹凸となる程度の部分、具体的には段差部11や側縁部4,5や尻剣部14等のパーツ部分であればプレスによって延展された粘土は当該パーツ部分を成型するキャビティS内に空隙に十分回るため一般にはこれらパーツ部分にひびの問題は生じない。
ところが、特に係合フック13のような局部的に大きく突起したパーツ部分を成型する場合では上記のように図12(c)のように焼成した際にその下面にひびが生じやすくなる。尾根部21も同様に焼成した際にその上面にひびが生じやすくなる。
しかしながら、本実施例では成型された平瓦用成型品1を焼成しても係合フック13及び尾根部21ともにそのようなひびが入りにくい構造となっている。その理由について係合フック13の場合を例に説明する。
図11(a)に示すように、キャビティS内のちょうどこの係合フック13が成型される箇所では両側から第1の凹所A1内に粘土塊P,Qが押し寄せてくることとなる。そのため、両者の界面には粘土塊集合面が形成されることとなる。
ここに、第1の凹所A1に至るその左右の通路(係合フック13の左右の段差部11となる部分)に対して左右の突条B1位置では上下幅が狭くなっている。そのため、この狭窄した通路部分を通過する際には速度が若干速くなる。更に、突条B1に近い粘土は図11(b)に示すように上昇せずに一旦突条B1を巻き込むように下方側に向かって流れることとなる。そのため、粘土塊P,Qは比較的明瞭な粘土塊集合面を形成せず従来に較べて強く密着した状態で係合フック13を成型することとなる。係合フック13についてこのように成型された平瓦用成型品1では焼成しても図12(c)のように係合フック13の下面側(裏側)にひびが入りにくくなる。また、尾根部21でも係合フック13と同様の作用によってその上面にひびが入りにくくなる。
【0019】
このように構成することで上記実施例では次のような効果が奏される。
(1)従来のような成型方法で成型された瓦用成型品を焼成すると図12(c)のように裏側に粘土塊集合面に沿ってひびが入りやすくなってしまうところ、上記のように成型時に突条A6,B1を荒地30に食い込ませるようにしているため、明瞭な粘土塊集合面が生成されにくくなり粘土塊同士の密着性がよくなるためひびが入りにくくなる。その結果、焼成した製品の見栄えがよく、歩留まりも向上する。
(2)プレスの際に粘土が係合フック13を成型する空隙に流入する際に狭い流路を通過することとなるため当該箇所での通過速度を速めることとなり、特に突条B1寄りを通過する粘土は他の粘土塊と強く衝突してよりしっかりと密着することとなる。
【0020】
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記各実施例では係合フック13におけるひびを防止する一例を説明したが、係合フック13以外の突起部のひびを防止するために本発明を適用するようにしてももちろん構わない。
・溝16の形状や数、更に位置については上記実施例に限定されるものではない。つまり、金型32の金型本体35の突条A6,B1の形状や数、更に位置も上記に限定されるものではない。
その他本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更した態様で実施することは自由である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例の屋根瓦用成型品の斜視図。
【図2】同じ成型品の側面図。
【図3】図2のA−A線における縦断面図。
【図4】同じ成型品の背面図。
【図5】同じ成型品の背面方向からの部分拡大斜視図。
【図6】図7のB−B線と直交する方向における係合フック周辺の部分横断面図。
【図7】図4のB−B線における係合フック周辺の部分縦断面図。
【図8】同じ成型品の係合フック周辺の部分底面図。
【図9】プレス装置内の上下金型の間に荒地を配置した状態であってプレスする前の状態を説明する概略説明図。
【図10】プレス装置内の上下金型によって荒地をプレスした状態を説明する概略説明図。
【図11】(a)はキャビティ内の係合フック用の空隙内に粘土塊が流入する状態を説明する説明図、(b)は同じく空隙内に粘土が充填された状態を説明する説明図、(c)は成型された係合フック周辺の背面図。
【図12】(a)は従来のキャビティ内の係合フック用の空隙内に粘土塊が流入する状態を説明する説明図、(b)は同じく空隙内に粘土が充填された状態を説明する説明図、(c)は従来の製法で成型された係合フック周辺の背面図(ひびが入った状態)。
【符号の説明】
【0022】
1…屋根瓦用成型品、13…突起部としての係合フック、16,22…凹部としての溝、30…粘土板としての荒地、31…第1の金型としての上側金型、32…第2の金型としての下側金型、33a…第1のプレス面としての上型プレス面、35a…第2のプレス面としての下型プレス面、A1…凹所としての第1の凹所、A6,B1…突起体としての突条。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の屋根仕上げに使用される各種屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に屋根瓦は荒地(素地)と呼ばれる方形平板の粘土板を金型に挟んでプレス成型をすることで所望の形状の成型品を得るようになっている。このような荒地による屋根瓦製造技術の一例として特許文献1を示す。この特許文献1でもわかるように、屋根瓦用成型においては概ね瓦の外形形状に類似した荒地をプレスして粘土を金型のキャビティ内で延展させることで屋根瓦として備えなければならない段差部分や掛止部等の凹凸したパーツ部分を一体成型するわけである。成型した瓦は定法に従って乾燥、釉薬の塗布、再乾燥、焼成等の工程を経て選別され製品となる。
【特許文献1】特開平11−291232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、粘土は可塑性を有するものではあるが、屋根瓦用の粘土の水分含量は通常20%前後に調整するためプレスした際の粘土の流動性はあまりよくない。また、元々荒地は瓦の外形に近似した形状であるため、プレス時におけるストローク量は比較的小さく、上下金型のプレス面が荒地に接してから数mm程度のわずかなストローク量(プレス量)に過ぎない。
そのため、屋根瓦の成型品の特に上記のパーツ部分(特に大きく突起するようなパーツ部分)では次のような状態が確認されている。
1)パーツ部分の粘土密度は本体部分に比べて若干小さくなる。
2)パーツ部分を構成するためのキャビティ内の凹所部分への粘土の流入量が十分ではなく若干変形が残留する場合がある。
3)同凹所部分には複数の方向から粘土が流入してくるが、それらは粘土塊としてそれぞれまとまっており他の粘土塊とは混ざりにくい。図12(a)及び(b)に示すように粘土の凹所部分への進出(ここでは上昇している)に伴って凹所内部に粘土塊P,Q同士が背中合わせに密着してその界面に一種の境界面(以下、この境界面を粘土塊集合面とする)が形成されることとなる。
そして、これらのことが原因となって屋根瓦用成型品100を焼成した際に図12(c)に示すように粘土塊集合面に沿ってひび101が入ってしまうケースが散見された。ひびが入った瓦は不良品として廃棄されるのでひびの有無は製品の歩留まりに大きく影響を与えることとなっていた。また、わずかなひびであればそのまま製品として出荷することも可能ではあるが、外観が劣ることとなってしまう。
本発明はこのような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、焼成の際に突起部の粘土塊集合面に沿ってひびが入るの防止し、製品の歩留まりを向上させることが可能な屋根瓦、屋根瓦用成型品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために第1の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成するとともに、前記第2の金型の第2のプレス面には同屋根瓦用成型品に凹部を成型するための周辺の基準面に対して突起した突起体を形成し、同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同第2のプレス面側では同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことをその要旨とする。
また、第2の手段では第1の手段に加え、プレス状態において前記第2のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所外方に配置された流路に面して配置されていることをその要旨とする。
また、第3の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成し、同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことをその要旨とする。また、第4の手段では第3の手段に加え、プレス状態において前記第1のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所外方に配置された流路に面して配置されていることをその要旨とする。
【0005】
また、第5の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことをその要旨とする。
また、第6の手段では、平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことをその要旨とする。
また、第7の手段では第5又は6の手段に加え、前記凹部は前記突起部の配置位置よりも外方に複数配置されているようにしたことをその要旨とする。
また、第8の手段では第5〜7のいずれかの手段に加え、前記複数の凹部は左右対称となる位置であって同突起部の粘土塊集合面から略等距離離間した位置に配置されていることをその要旨とする。
また、第9の手段では第5〜第8のいずれかの手段に加え、前記凹部は前記突起部の幅に長さが略一致する溝形状であることをその要旨とする。
また、第10の手段では第9の手段に加え、前記溝形状の凹部は前記突起部に隣接する縁部と交叉する方向に延設されていることをその要旨とする。
また、第11の手段では第5〜第10のいずれかの手段に加え、屋根瓦は屋根瓦用成型品を焼成して得られることをその要旨とする。
【0006】
上記第1の手段のような構成では、第1及び第2の金型の間に配置された粘土板は第1及び第2のプレス面によってプレスされ、延展されてキャビティ内に充満する。第1のプレス面に形成された凹所はプレス前は空隙とされ粘土は充填されていないが、粘土板がプレスされることでこの空隙内に粘土塊として流入されることとなる。プレス動作に伴って、つまり凹所内への粘土塊の流入に伴って同時に第2のプレス面に形成された突起体が粘土板に食い込むこととなる。突起体は粘土塊集合面を避けながらもその近傍位置に配置されているため、凹所に流入する粘土塊はこの突起体付近では一旦突起体を回り込むように流れることとなる。つまり、粘土塊は粘土塊集合面に至る前に従来のように速やかに凹所内を末端方向に向かって流動するのではなく他の粘土塊と衝突する方向に分散されることとなるため粘土塊集合面が生成されにくくなってこの面での剥離性が抑制されることとなる。
【0007】
このような方法で成型された屋根瓦用成型品は表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部が形成されるとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部が形成されることとなる。このような屋根瓦用成型品を焼成すると粘土塊集合面の剥離性が抑制されているためひびが入りにくくなって製品歩留まりが向上する。ここに「基準面」とはひびを防止するために本発明が実行された突起部の同突起部に対して段違いに低い周囲の面をいうものである。突起部は表面(化粧面側)のみならず裏面側に突起する場合も含む。
【0008】
ここに、上記成型品は第2のプレス面に形成した突起部は第1のプレス面に形成した凹部の外方に配置された流路に面して配置されることが好ましい。つまり、粘土塊は複数の方向から空隙内に進入してくるので各粘土塊に対応すべく流入方向毎に凹部が形成されていること(つまり、第2のプレス面に形成された突起部の食い込み)が粘土塊集合面の剥離性の抑制のためには好ましい。そのため、成型される屋根瓦用成型品としてはその凹部が突起部を間に配置位置よりも外方に複数配置されることが好ましい。但し、単一の凹部であることを排除するものではない。そして、このような凹部は粘土塊集合面から略等距離離間した対称位置に配置されていることが好ましく、更に凹部は突起部の幅に略一致する溝形状であることが好ましい。その溝形状の凹部は前記突起部に隣接する縁部と交叉する方向に延設されていることが更に好ましい。
【0009】
また、上記第3の手段のような構成では、第1及び第2の金型の間に配置された粘土板は第1及び第2のプレス面によってプレスされ、延展されてキャビティ内に充満する。第1のプレス面に形成された凹所はプレス前は空隙とされ粘土は充填されていないが、粘土板がプレスされることでこの空隙内に粘土塊として流入されることとなる。プレス動作に伴って、つまり凹所内への粘土塊の流入に伴って同時に同じ第1のプレス面に形成された突起体が粘土板に食い込むこととなる。突起体は粘土塊集合面を避けながらもその近傍位置に配置されているため、凹所に流入する粘土塊はこの突起体付近では一旦突起体を回り込むように流れることとなる。つまり、粘土塊は粘土塊集合面に至る前に従来のように速やかに凹所内を末端方向に向かって流動するのではなく他の粘土塊と衝突する方向に分散されることとなるため粘土塊集合面が生成されにくくなってこの面での剥離性が抑制されることとなる。
【0010】
このような方法で成型された屋根瓦用成型品は表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部が形成されるとともに、同突起部の形成側側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部が形成されることとなる。このような屋根瓦用成型品を焼成すると粘土塊集合面の剥離性が抑制されているためひびが入りにくくなって製品歩留まりが向上する。ここに「基準面」とはひびを防止するために本発明が実行された突起部の同突起部に対して段違いに低い周囲の面をいうものである。突起部は表面(化粧面側)のみならず裏面側に突起する場合も含む。
この場合の成型品では突起部は第1のプレス面に形成した凹部の外方に配置された流路に面して配置されることが好ましい。つまり、粘土塊は複数の方向から空隙内に進入してくるので各粘土塊に対応すべく流入方向毎に凹部が形成されていること(つまり、第1のプレス面に形成された突起部の食い込み)が粘土塊集合面の剥離性の抑制のためには好ましい。そのため、成型される屋根瓦用成型品としてはその凹部が突起部を間に配置位置よりも外方に複数配置されることが好ましい。但し、単一の凹部であることを排除するものではない。そして、このような凹部は粘土塊集合面から略等距離離間した対称位置に配置されていることが好ましく、更に凹部は突起部の幅に略一致する溝形状であることが好ましい。その溝形状の凹部は前記突起部の縁部と交叉する方向に延設されていることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記各請求項の発明によれば、成型された屋根瓦用成型品を焼成する際に突起部分にひびが入りにくくなるため、製品の見栄えがよく、なおかつ製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。尚、以下の説明において左右と言う場合は焼成した製品としての屋根瓦を葺いた状態における桁行き方向をいうものとする。また、屋根の流れ方向における軒側を前又は下とし、棟側を後又は上とするものとする。
図1〜図4に示すように、屋根瓦用成型品としての本実施例の平瓦用成型品1は平面略長方形形状をなした粘土製の板体とされている。平瓦用成型品1は大きく分けて瓦本体3と瓦本体3の左右両側に張り出し形成された衿側及び桟側の側縁部4,5の3つの部分から構成されている。このような左右方向の構成とは別に平瓦用成型品1の棟側を向いた後端寄りが尻側とされ軒側を向いた先端寄りが頭側とされている。尻及び頭は平瓦用成型品1において画一的に区切られるものではないが、本実施例では上位の屋根瓦1が下位の屋根瓦1とオーバーラップする図1におけるP部分付近を尻部7とし、このP部分とオーバーラップするQ部分付近を頭部8とする。頭部8側は先端ほど下垂するように湾曲状に成型されている。
【0013】
瓦本体3は衿側及び桟側の側縁部4,5に挟持された平面長方形形状の外観を呈する一定の肉厚に形成された板体とされ、図1及び図3等に示すように、瓦本体3の左右方向中央位置には尻部7近傍から頭部8最先端にかけて瓦本体3に対して上方に凸状に隆起した凸状部9が形成されている。すなわち瓦本体3のベース面Bに対して凸状部9の上面b1は一段高い位置に配置されることとなる(図3参照)。凸状部9は裏面から見た場合には表面側に隆起した分だけ凹んで構成されている。凸状部9は平瓦用成型品1の強度アップを図るとともに焼成後の平瓦を屋根に葺き上げた際に下位の平瓦のオーバーラップした側縁部4,5が納まる空間を構成する。瓦本体3の衿側の側縁部4との境界部分には前後に延びる堤部10が上方に盛り上がるように形成されている。
尻部7側の最後端位置には左右方向に沿って瓦本体3に対して段違となるよう隆起した段差部11が形成されている。段差部11の後方には左右一対の三角形形状の尻剣部14が下方に向かって突出形成されている。
図1図4及び図5等に示すように、段差部11の上面の尻側後端縁12に面した位置であって左右方向の中央位置から僅かに衿側の側縁部4に寄った位置には突起部としての係合フック13が形成されている。係合フック13は立ち上げ部13aとフック部13bから構成されている。係合フック13は前後方向が同幅に構成されるとともに立ち上げ部13aでは左右方向において基部側が肉厚とされ上部寄りほど徐々に薄肉となるようにテーパ状に構成されている。フック部13bはその先端方向が衿側の側縁部4の方向に指向して段差部11の上面に対して略水平となるように延出されている。
【0014】
係合フック13の形成されている段差部11上の厚みmは基準となる周囲の厚みMよりも薄肉に形成されている。つまり、図5〜図8に示すように、係合フック13の裏面側には凹部15が形成されている。凹部15は尻側後端縁12方向のみが開放された三方から包囲された略方形の形状とされている。凹部15の前後長さは係合フック13の幅と略一致されている。凹部15の左右両縁にはそれぞれ前後方向に延びる同幅の第1の溝16が尻側後端縁12に対して直交して延出されている。図6に示すように、第1の溝16は係合フック13の中心線(つまり略粘土塊集合面)Oから等距離に配置されている。段差部11には左右一対の透孔17が形成されている。透孔17は屋根瓦として葺く際に釘を桟木に打ち込んで固定するための孔となる。
段差部11には尻剣部14を成型するために瓦本体3のベース面Bとの間がスペース的に幅狭に構成された尾根部21が形成されている。尾根部21の左右両端寄りにはそれぞれ前後方向に延びる同幅の第2の溝22が尾根部21を構成する壁面の延出方向に対して直交して延出されている。
【0015】
衿側の側縁部4は瓦本体3の一方の側縁において前後に延びる長尺の長方形形状の板片とされ、その上面b2は瓦本体3のベース面Bよりも若干低い位置に配置される(図3参照)。側縁部4の上端縁から側縁にかけて同側縁部4を包囲する包囲壁18が一体形成されており、前記瓦本体3側の堤部10との間で三方が包囲された樋が構成される。
桟側の側縁部5は瓦本体3の他方の側縁において前後に延びる長尺の長方形形状の板片とされている。桟側の側縁部5は前記凸状部9と略同等の幅とされている。同側縁部5は衿側の側縁部4の上面にオーバーラップして配置されるため本実施例では前記凸状部9と同程度の位置に配置される。すなわち瓦本体3のベース面Bに対して桟側の側縁部5の上面b3は一段高い位置に配置されることとなる(図3参照)。
図2に示すように、桟側の側縁部5の裏面側であって先端寄りの最深部、すなわち桟側の側縁部5裏面に面した瓦本体3の側壁19には係合部としての横長の係合凹部20が形成されている。
【0016】
次にこのように構成される平瓦用成型品1の成型方法の一例について説明する。本実施例では特に段差部11の成型状況を一例として図示して説明する。
図9及び図10に示すように、平瓦用成型品1は一定の厚みに平面方形形状に成型された荒地30をプレス装置内の上下の金型31,32の間に配置しプレスすることで得られる。
上側金型31は金型本体33を備えている。金型本体33の底面には上型プレス面33aが形成されている。金型本体33の前後には上型側側板34(本実施例では金型31,32内部を目視させるため手前側の側板は図示を省略している)が取着されている。
下側金型32は金型本体35を備えている。金型本体35の上面には下型プレス面35aが形成されている。金型本体35の左右には下型側側板37が取着されている。上型プレス面33aは平瓦用成型品1の表面を成型し、下型プレス面35aは裏面を成型する。
すなわち、上側金型31が下降して所定の位置で停止することで両金型31,32及び上下側板34,37によって密封されたキャビティSが形成される。そして、そのキャビティS内高さが荒地30の厚みよりも低いことから荒地30はプレス面33a,35aによってプレスされキャビティS内面形状に応じて延展して変形し所望の平瓦用成型品1に成型されることとなる。尚、本実施例では上側金型31を駆動するためのプレス装置の駆動機構や荒地30をセットするための搬入機構等の説明は省略する。また、図9及び図10においては平瓦用成型品1の段差部11部分を成型する場合を図示説明する。
【0017】
両プレス面33a、35aには段差部11を構成するための凹凸が形成されている。具体的には本実施例では上型プレス面33aには段差部11上面となる基準面A0の他に係合フック13用の第1の凹所A1、堤部10用の第2の凹所A2、尻剣部14用の第1の突部A3、衿側の側縁部4及び包囲壁18用の第2の突部A4、桟側の側縁部5用の第1の押圧部A5、尾根部21の第2の溝22用の一対の突条A6等が形成されている。下型プレス面35aには裏面となる基準面B0の他に係合フック13の左右に配置される第1の溝16用の一対の突条B1、両突条B1の間の第2の押圧部B2,堤部10用の第1の突部B3、尻剣部14用の第3の凹所B4、衿側の側縁部4底部用の第2の凹所B5、桟側の側縁部5用の第3の押圧部B6等が形成されている。
上側金型31が下降していき、まず第1の突部A3や第2の突部A4のような下方に突起した部分が荒地30に当接して荒地30の延展が開始される。尚、プレスに伴って図示しない吸引バルブからキャビティS内の脱気処理が同時に行われる。延展された粘土はキャビティS内の内部形状に従って流動して平瓦用成型品1を成型する。
【0018】
ここに、概ね荒地30が屈曲されたりわずかに凹凸となる程度の部分、具体的には段差部11や側縁部4,5や尻剣部14等のパーツ部分であればプレスによって延展された粘土は当該パーツ部分を成型するキャビティS内に空隙に十分回るため一般にはこれらパーツ部分にひびの問題は生じない。
ところが、特に係合フック13のような局部的に大きく突起したパーツ部分を成型する場合では上記のように図12(c)のように焼成した際にその下面にひびが生じやすくなる。尾根部21も同様に焼成した際にその上面にひびが生じやすくなる。
しかしながら、本実施例では成型された平瓦用成型品1を焼成しても係合フック13及び尾根部21ともにそのようなひびが入りにくい構造となっている。その理由について係合フック13の場合を例に説明する。
図11(a)に示すように、キャビティS内のちょうどこの係合フック13が成型される箇所では両側から第1の凹所A1内に粘土塊P,Qが押し寄せてくることとなる。そのため、両者の界面には粘土塊集合面が形成されることとなる。
ここに、第1の凹所A1に至るその左右の通路(係合フック13の左右の段差部11となる部分)に対して左右の突条B1位置では上下幅が狭くなっている。そのため、この狭窄した通路部分を通過する際には速度が若干速くなる。更に、突条B1に近い粘土は図11(b)に示すように上昇せずに一旦突条B1を巻き込むように下方側に向かって流れることとなる。そのため、粘土塊P,Qは比較的明瞭な粘土塊集合面を形成せず従来に較べて強く密着した状態で係合フック13を成型することとなる。係合フック13についてこのように成型された平瓦用成型品1では焼成しても図12(c)のように係合フック13の下面側(裏側)にひびが入りにくくなる。また、尾根部21でも係合フック13と同様の作用によってその上面にひびが入りにくくなる。
【0019】
このように構成することで上記実施例では次のような効果が奏される。
(1)従来のような成型方法で成型された瓦用成型品を焼成すると図12(c)のように裏側に粘土塊集合面に沿ってひびが入りやすくなってしまうところ、上記のように成型時に突条A6,B1を荒地30に食い込ませるようにしているため、明瞭な粘土塊集合面が生成されにくくなり粘土塊同士の密着性がよくなるためひびが入りにくくなる。その結果、焼成した製品の見栄えがよく、歩留まりも向上する。
(2)プレスの際に粘土が係合フック13を成型する空隙に流入する際に狭い流路を通過することとなるため当該箇所での通過速度を速めることとなり、特に突条B1寄りを通過する粘土は他の粘土塊と強く衝突してよりしっかりと密着することとなる。
【0020】
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記各実施例では係合フック13におけるひびを防止する一例を説明したが、係合フック13以外の突起部のひびを防止するために本発明を適用するようにしてももちろん構わない。
・溝16の形状や数、更に位置については上記実施例に限定されるものではない。つまり、金型32の金型本体35の突条A6,B1の形状や数、更に位置も上記に限定されるものではない。
その他本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更した態様で実施することは自由である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例の屋根瓦用成型品の斜視図。
【図2】同じ成型品の側面図。
【図3】図2のA−A線における縦断面図。
【図4】同じ成型品の背面図。
【図5】同じ成型品の背面方向からの部分拡大斜視図。
【図6】図7のB−B線と直交する方向における係合フック周辺の部分横断面図。
【図7】図4のB−B線における係合フック周辺の部分縦断面図。
【図8】同じ成型品の係合フック周辺の部分底面図。
【図9】プレス装置内の上下金型の間に荒地を配置した状態であってプレスする前の状態を説明する概略説明図。
【図10】プレス装置内の上下金型によって荒地をプレスした状態を説明する概略説明図。
【図11】(a)はキャビティ内の係合フック用の空隙内に粘土塊が流入する状態を説明する説明図、(b)は同じく空隙内に粘土が充填された状態を説明する説明図、(c)は成型された係合フック周辺の背面図。
【図12】(a)は従来のキャビティ内の係合フック用の空隙内に粘土塊が流入する状態を説明する説明図、(b)は同じく空隙内に粘土が充填された状態を説明する説明図、(c)は従来の製法で成型された係合フック周辺の背面図(ひびが入った状態)。
【符号の説明】
【0022】
1…屋根瓦用成型品、13…突起部としての係合フック、16,22…凹部としての溝、30…粘土板としての荒地、31…第1の金型としての上側金型、32…第2の金型としての下側金型、33a…第1のプレス面としての上型プレス面、35a…第2のプレス面としての下型プレス面、A1…凹所としての第1の凹所、A6,B1…突起体としての突条。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、
前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成するとともに、前記第2の金型の第2のプレス面には同屋根瓦用成型品に凹部を成型するための周辺の基準面に対して突起した突起体を形成し、
同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、
同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同第2のプレス面側では同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことを特徴とする屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項2】
プレス状態において前記第2のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所の外方に配置された流路に面して配置されていることを特徴とする請求項1の記載の屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項3】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、
前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成し、
同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、
同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことを特徴とする屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項4】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、
表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことを特徴とする屋根瓦用成型品。
【請求項5】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、
表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことを特徴とする屋根瓦用成型品。
【請求項6】
前記凹部は前記突起部の配置位置よりも外方に複数配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の屋根瓦用成型品。
【請求項7】
前記複数の凹部は左右対称となる位置であって同突起部の粘土塊集合面から略等距離離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の屋根瓦用成型品。
【請求項8】
請求項4〜請求項7の屋根瓦用成型品を焼成して得られることを特徴とする屋根瓦。
【請求項1】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、
前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成するとともに、前記第2の金型の第2のプレス面には同屋根瓦用成型品に凹部を成型するための周辺の基準面に対して突起した突起体を形成し、
同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、
同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同第2のプレス面側では同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことを特徴とする屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項2】
プレス状態において前記第2のプレス面に形成した突起体は前記第1のプレス面に形成した凹所の外方に配置された流路に面して配置されていることを特徴とする請求項1の記載の屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項3】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工して所望の形状の屋根瓦用成型品を製造する屋根瓦用成型品の製造方法であって、
前記第1の金型の第1のプレス面には前記屋根瓦用成型品に突起部を成型させるための周辺の基準面に対して窪んだ凹所を形成し、
同第1及び第2の金型の間に前記粘土板を配置し、同第1及び第2の金型の相対的な接近に伴って同第1及び第2のプレス面によって同粘土板をプレスして延展させ、
同プレス作用に伴って第1のプレス面側では流動する粘土を同凹所内に充填させていくと同時に同凹所内への粘土の充填に伴って形成される粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置で突起体を同粘土板に食い込ませるようにしたことを特徴とする屋根瓦用成型品の製造方法。
【請求項4】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、
表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面とは異なる面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことを特徴とする屋根瓦用成型品。
【請求項5】
平板状の粘土板を第1及び第2の金型によってプレス加工することで所望の形状に成型される屋根瓦用成型品において、
表裏いずれかの面側にその周囲の基準面から外方に突起する突起部を形成するとともに、同突起部の形成側面側であって同突起部の粘土塊集合面を避けた同粘土塊集合面の近傍位置に凹部を形成したことを特徴とする屋根瓦用成型品。
【請求項6】
前記凹部は前記突起部の配置位置よりも外方に複数配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の屋根瓦用成型品。
【請求項7】
前記複数の凹部は左右対称となる位置であって同突起部の粘土塊集合面から略等距離離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の屋根瓦用成型品。
【請求項8】
請求項4〜請求項7の屋根瓦用成型品を焼成して得られることを特徴とする屋根瓦。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−168452(P2008−168452A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1430(P2007−1430)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000141738)株式会社宮園製作所 (10)
【出願人】(392005470)新東株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000141738)株式会社宮園製作所 (10)
【出願人】(392005470)新東株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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