説明

屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置

【課題】屋根または石綿資材の表面に布を密着させて、屋根を補強したり石綿資材を封じ込める作業を容易にする。
【解決手段】
支持枠10を後ろに引き出し、前車輪7、7及び後車輪14、14をストッパで固定する(図7)。押さえつけボール13…を中央から両端に向かって順に押さえつけていく(図8)。支持板11a、11b、11cを順番に前にスライドさせて、押さえつけ輪12…で布6を順次押さえていく。装置後方の布6に上層樹脂を塗布する(図10)。後車輪14、14にストッパをかけ、前車輪14、14のストッパを解除して、支持フレーム1、1を石綿資材の屋根Rに沿って移動させる、所定長さの布6が繰り出される(図11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設屋根を補強したり改修する装置に関し、特に既に建造されて年月が経過して劣化した屋根を補強したり改修したりする補強装置に関し、また、本発明は、石綿資材の封じ込め装置に関し、特に既に建造されて年月が経過して劣化した既設の石綿資材の封じ込めを行う封じ込め装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物を取り壊して、新たに建造物を新築すると、膨大な建築廃材が出る。近年、このような建築廃材を出さないようにすることが、環境対策上強く求められている。また、屋根だけを新たに建造しなおしても、やはり膨大な建築廃材が出る。また、新たな建造中は、当然のことながら当該建造物を使用することができず不便であった。特に、石綿(アスベスト)屋根資材は、人体に非常に有害であり、石綿粒子が人間の肺の中に入ると肺ガンを起こす危険も指摘されている。このような石綿屋根資材は年月が経過するにしたがって劣化し、表面から石綿粒子が飛散する危険があった。
【0003】
これを解決するため以下の特許文献に示す従来技術が存在する。しかし、これは塗料だけで封じ込めるものであり、強度的及び耐久性に問題があった。従来の特許文献は以下の通りであり、これを参照されたい。
【0004】
【特許文献1】特開平6−49391公報
【特許文献2】特開平7−3951公報
【特許文献3】特願2004−288307
【特許文献4】特願2004−4457
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、このような建築廃材が出ず、改修中も当該建造物を使用することができるようにすることにあり、さらには有害な石綿(アスベスト)を封じ込めて、石綿粒子の飛散を防止することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、繊維製の布を蓄積する蓄積部より繰り出される布の一部を、補強する屋根の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを屋根に沿って移動しながら行う繰り出し部と、 この繰り出された布を補強する屋根の表面に押さえつけて屋根の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を屋根に沿って行う押さえつけ部とを備え、 上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら屋根に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら屋根に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて屋根に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにした。
【0007】
また、本発明は、繊維製の布を蓄積する蓄積部より繰り出される布の一部を、石綿を封じ込める被封じ込め体の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを被封じ込め体に沿って移動しながら行う繰り出し部と、 この繰り出された布を被封じ込め体の表面に押さえつけて被封じ込め体の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を被封じ込め体に沿って行う押さえつけ部とを備え、 上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら被封じ込め体に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら被封じ込め体に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて被封じ込め体に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、既設の屋根をそのまま使って、当該屋根の防水性及び強度を向上させることができ、建築廃材も出ず、既設の屋根を除去しないから、屋根改修中も当該建造物を使用することができる。また、既設の石綿資材を封じ込めて、石綿粒子の飛散を防止することができる。さらに、当該石綿資材の防水性及び強度を向上させることができ、石綿資材の石綿を封じ込めたまま、石綿資材を使用することができ、石綿資材を廃棄する必要もなくなる等の効果を奏する。そしてこのような効果を達成する作業を簡単なものとし、作業効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
既設屋根の石綿資材Rの表面に上層樹脂3または下層樹脂1を塗布して、石綿(アスベスト)を封じ込め、さらに表層樹脂4を塗布する。網2を敷いた方が強度は向上するが、網2はなくてもよい。下層樹脂1または表層樹脂4の塗布も場合によって省略可能である。以下の実施例は、石綿資材の屋根の例である。
【実施例】
【0010】
(1)屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置
図1乃至図4は屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置(以下「改修装置)という)を示す。この図で後述する布6が巻回されている側を前側、後述する押さえつけ輪12…及び押さえつけボール13…が設けられている側を後側とする。
【0011】
支持フレーム1は改修装置の両端に一対設けられており、この指示フレーム1、1は、中央が山形に突出していて、両端が「L」字状に前後内側に折り曲げられている。このうち後方の「L」字状の先端は「L」字状に折れ曲がることによって前方へ水平に突出し、この先端には前車輪7が回転可能に支持されている。
【0012】
上記山形の支持フレーム1、1の左右内側には支持板2、2が溶接などで固定されている。これら支持板2、2の間には、蓄積軸3、繰り出し軸4、5が回転可能に支持されている。蓄積軸3には繊維製の布6が巻回されて蓄積されている。この布6は先端から順次引き出され、上記繰り出し軸4、5に架け渡されて、支持フレーム1、1間の装置下面に供給される。
【0013】
この蓄積軸3より繰り出される布6の先端(一部)は、補強する石綿資材の屋根Rの表面に突出したボルトに固定され、この固定箇所から所定長さの布6が上記蓄積軸3より繰り出される。この繰り出しは石綿資材の屋根Rに沿って移動しながら行われる。
【0014】
上記支持フレーム1、1の前方の「L」字状の先端は、上記前車輪7より高い位置で「L」字状に折れ曲がることによって後方へ水平に突出し、スライド支持部8、8となっている。このスライド支持部8、8と平行にもう1つのスライド支持部9、9が、上記支持フレーム1、1から後方へ水平に突出している。
【0015】
これらスライド支持部8、8、9、9に挟まれるようにして方形枠状の支持枠10が前後にスライド可能に支持されている。この支持枠10の後方上面には3本の支持板11a、11b、11cが左右にわたって掛け渡され、支持枠10上を前後にスライド可能となっている。
【0016】
この3本の支持板11a、11b、11cのうち一番前の支持板11aの中央位置、2番目の支持板11bの中央から左右に離間した位置、3番目の支持板11cの中央から左右にさらに離間した位置の合計5つの位置には、押さえつけ車輪12…が下方に突出している。
【0017】
上記支持枠10の後方上面には支持板11dが左右にわたって掛け渡されている。この支持板11dの中央には5つの押さえつけボール13…が等間隔に下方に突出している。この5つの押さえつけ輪12…及び押さえつけボール13…は、上記繰り出された布6を石綿資材の屋根Rの表面に押さえつけて当該石綿資材の屋根Rの表面に沿って当該布を密着させ、この密着を当該屋根Rに沿って移動しながら行う。
【0018】
この5つの押さえつけ輪12…及び押さえつけボール13…は、バネ付勢によって出没量が調整可能となっており、しかもこの調整された出没位置で固定可能となっていて、石綿資材の屋根Rの山と谷の深さに応じた位置に位置決め可能となっている。上記支持枠10の後方の2つの角には後車輪14、14が下方に突出されている。
【0019】
この後車輪14、14及び上記前車輪7、7にはストッパ(回転禁止機構)が付いており、装置が停止するときなどには後車輪14、14及び前車輪7、7が回転しないように固定される。なお押さえつけボール13…の下端のボールは球体であるが、回転可能であってもよいし、回転不能であってもよい。
【0020】
(2)改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)
図5乃至図11は、石綿資材の屋根Rの改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の手順を示す。
(図5)まず、事前に、石綿資材の屋根Rの表面を清掃し、この清掃された石綿資材の屋根Rの表面に防水性の下層樹脂を塗布して硬化乾燥させておく。ここで、本改修装置を石綿資材の屋根Rの上に設置し、改修装置の後方を屋根の尾根に向かって移動させる。なお、この下層樹脂が硬化乾燥する前に、この塗布された下層樹脂の上に上記布6が敷かれてもよい。また、上記清掃は省略されてもよい。
【0021】
(図6)次いで、蓄積軸3から布の先端を引き出し、繰り出し軸4、5を掛け渡してくぐり抜け、押さえつけ輪12…、押さえつけボール13…の下をくぐらせて、所定長さの布6を引き出す。
【0022】
この布6には、後述する用に多数の穴17が開けられており、この穴17は、上記石綿資材の屋根R上に布6が敷かれるときに、この石綿資材の屋根Rの表面/上面から突出している突起物Sが挿通/貫通する。これにより、屋根Rの改修作業で屋根Rの突起物Sが障害になることがなくなり、改修屋根の強度が突起物Sのところで低下してしまうことがなくなる。
【0023】
こうして、繰り出される布6の一部は、石綿資材の屋根Rの一部に固定され、この固定箇所から所定長さの布6が繰り出され、この繰り出しが石綿資材の屋根Rに沿って移動しながら行われる。
【0024】
(図7)次に、支持枠10を支持フレーム1、1からスライドさせて最大限後方へ引き出し、石綿資材の屋根Rに沿って支持枠10を後方へ移動させ、前車輪7、7及び後車輪14、14を動かないようにストッパで固定する。
【0025】
これにより、本改修装置の自然落下によって布6が伸びたち縮んだりするのが防止される。このような回転禁止と繰り出し部または押さえつけ部を備えた本改修装置の重みによって、布6が皺がないように押さえつけられ密着される。
【0026】
(図8)次いで、押さえつけボール13…を中央から両端に向かって順に押さえつけていく。これにより、布6が石綿資材の屋根Rの山と谷に沿って密着される。この場合、押さえつけ輪12…も同様に布6を石綿資材の屋根Rの表面に沿って密着させる。
【0027】
石綿資材の屋根Rは、幅方向に山と谷とが繰り返され、長手方向にこれらの山と谷とが延びる形状をしている。押さえつけボール13…及び上記押さえつけ輪12…はこの谷に沿って上記布6押さえつけて密着させ、これにより当該布6は上記山にも密着される。
【0028】
また、押さえつけボール13…は中央(中側)から両端(外側)に向かって順に布6を押さえつけていくので、布6が幅方向に沿っても皺がよったり伸縮したりすることがなくなる。
【0029】
ここで、押さえつけボール13…及び後車輪14、14より後方の布6、つまり石綿資材の屋根Rの尾根側の布6に上層樹脂を塗布する。この上層樹脂は布6に含浸可能な防水性で液体であり、上層樹脂が当該布6の下面の石綿資材の屋根Rの表面に達するまで含浸される。この上層樹脂が乾燥すると布6が硬化され、石綿資材の屋根Rの強度が向上されて補強されるとともに、上層樹脂が含浸した布6が石綿資材の屋根Rに接着され石綿資材が封じ込められる。
【0030】
(図9)次に、支持板11aを支持フレーム1、1に向かって前方へスライドさせて、押さえつけ輪12…で布6を押さえていく。これにより、布6の中央が石綿資材の屋根Rの谷に沿って押さえつけられ密着される。続いて、支持板11bを支持フレーム1、1に向かって前方へスライドさせて、押さえつけ輪12…で布6を押さえていく。これにより、布6の中央の両側が石綿資材の屋根Rの谷に沿って押さえつけられ密着される。さらに続いて、支持板11cを支持フレーム1、1に向かって前方へスライドさせて、押さえつけ輪12…で布6を押さえていく。これにより、布6の中央の両側の更に両側が石綿資材の屋根Rの谷に沿って押さえつけられ密着される。
【0031】
こうして、押さえつけ輪12…は、布6の中央を押さえ付けながら移動して、当該布6の中央を上記石綿資材の屋根Rに対して密着させ、次いで当該布6の中央の両側を押さえ付けながら移動して、当該布6の中央の両側を上記石綿資材の屋根Rに対して密着させ、布6を中央から両側に向かって順次密着させることになる。これにより、布6が中央から順次石綿資材の屋根Rに密着されていき、布6に皺が寄ったり弛みが生じたり無理に引き延ばされたり破損したりすることがなくなる。
【0032】
なお、石綿資材の屋根Rの波が大きく、布6があてがう山が3条しかなければ、支持板11cのスライドは行われない。また、布6があてがう山が5条を越えれば、支持板11a〜11c及び押さえつけ輪12…はさらに増やされる。
【0033】
ここで押さえつけ部は、上記押さえつけ輪12…と押さえつけボール13…との複数組設けられていることになる。そして、押さえつけボール13…が布6を石綿資材の屋根Rに対して押さえつけている間、他方の押さえつけ輪12…は布6を押さえ付けながら移動して、当該布6を上記石綿資材の屋根Rに対して密着させる。
【0034】
これにより、布6に皺があっても引き延ばされ、布6の皺や弛みがない状態にされる。このとき、押さえつけ輪12…の出没量はバネ付勢によって変化するので、石綿資材の屋根Rの表面に凹凸などがあっても、布6が無理に引き延ばされたり破損したりしてしまうことがない。なお、石綿資材の屋根Rの山と谷の数が多ければ、これに応じて押さえつけ輪12…及び押さえつけボール13…の数も増やされる。
【0035】
そして、後車輪14、14のストッパ固定を解除し、引き出した支持枠10を押し戻し、支持枠10をスライドさせて支持フレーム1、1内に押し戻す。このとき、押さえつけボール13…は解除されるが、解除しないで布6を石綿資材の屋根Rの表面に押さえつけて密着させながら移動してもよい。
【0036】
これにより、本改修装置の移動に伴って布6が屋根Rの表面に押さえつけられて密着させられていくこともできる。このとき、押さえつけボール13…の出没量はバネ付勢によって変化するので、石綿資材の屋根Rの表面に凹凸などがあっても、布6が破損してしまうことがない。
【0037】
(図10)次いで、上記図7と同様に、押さえつけボール13…及び後車輪14、14より後方の布6、つまり改修装置後方の石綿資材の屋根Rの尾根側の布6に上層樹脂を塗布する。この上層樹脂が乾燥すると布6が硬化され、石綿資材の屋根Rの強度が向上されて補強されるとともに、上層樹脂が含浸した布6が石綿資材の屋根Rに接着され石綿資材が封じ込められる。
【0038】
(図11)次に、後車輪14、14にストッパをかけて回転しないようにし、前車輪14、14のストッパを解除して、支持フレーム1、1を石綿資材の屋根Rに沿って前方に移動させる。これにより、支持フレーム1から支持枠10がスライドして引き出され、所定長さの布6が繰り出され、この繰り出しが石綿資材の屋根Rに沿って移動しながら行われる。
【0039】
これは、上記図7と同じ状態となる。この後、上記図7から図11までの作業が繰り返される。蓄積軸3、繰り出し軸4、5、布6などの繰り出し部は、支持枠10、押さえつけ輪12、押さえつけボール13などの押さえつけ部から遠ざかるように、布6を繰り出しながら石綿資材の屋根Rに沿って移動し、押さえつけ部は繰り出し部に近づくように布6を押さえつけながら石綿資材の屋根Rに沿って移動し、これらが繰り返されていく。
【0040】
そして、この押さえつけられて石綿資材の屋根Rに密着させられた布6の上に、布6に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布されていく。また上述のように、布6は、石綿資材の屋根Rの高い箇所から低い箇所へ向けて、順次繰り出され押しつけられ密着されていくことになる。
【0041】
(3)下層樹脂、上層樹脂及び表層樹脂
上記上層樹脂は、布6の下面の上記石綿資材の屋根Rの表面に達するまで浸透される。この上層樹脂が硬化・乾燥すると、上記布6が硬化されて改修石綿資材の屋根Rの強度が向上・補強される。さらに、上層樹脂によって布6が上記石綿資材の屋根Rに接着され、これによりさらに石綿資材の屋根Rの強度が向上する。
【0042】
上記上層樹脂を塗り終わった後、表層樹脂が場合によって塗布される。この表層樹脂は、石綿資材の屋根Rの全面に下層樹脂、布6及び上層樹脂が塗布された後に行われもよい。 上記上層樹脂の塗布量または下層樹脂及び上層樹脂の塗布量は、布6の厚みと同じ、またはこの厚み未満もしくはこの厚みの数分の1となる量、またはこの厚みを越えるもしくはこの厚みの数倍となる量だけ塗布される。
【0043】
布6に十分にまたはある程度染み渡って十分にまたはある程度浸透される量だけ、上層樹脂または下層樹脂及び上層樹脂が塗布される。上層樹脂または下層樹脂及び上層樹脂の塗布体積は、布6の体積に対して、同じ乃至同じ未満になる。
【0044】
上記表層樹脂は、上記上層樹脂とは混合しない。これは表層樹脂が上層樹脂とは材質が異なることによる。例えば一方が水性、他方が油性である。このほか、上層樹脂と表層樹脂とが同じ油性または同じ水性といった同じ性質または同じ材質であっても、上層樹脂が硬化・乾燥した後に、表層樹脂が塗布されれば両者は混合しない。なお表層樹脂または下層樹脂は塗布しないことも可能である。これらの下層樹脂、上層樹脂及び表層樹脂は、エアーガン、刷毛塗りまたはローラ塗りによって塗布される。
【0045】
上記下層樹脂、上層樹脂及び表層樹脂の材質は、熱硬化性若しくは熱可塑性であり、または無発泡性または発泡性であり、防水性である。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和/飽和アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタンなどのほか、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、ポリカーボネード、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、これらの混合物などであるが、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が望ましく、不飽和ポリエステル樹脂がより望ましい。また、オルソ系、イソフタル酸系、ビスフェノール系いずれでもよい。具体的製品としてはユピカ4183APT、ユピカ4183PT(日本ユピカ株式会社製品)がよい。
【0046】
(4)布6
図12は、上記布6の形状を示す。この布6の具体的製品としてはユピカマットのTシリーズ、MCタイプ(日本ユピカ株式会社製品)がよい。布6の上面/表面には、所定間隔毎に複数の線(ライン)18が縦方向または横方向に描かれている。この線18に沿って、所定間隔毎に複数の穴17が打ち抜きなどによって開けられている。
【0047】
この穴17は、上記屋根R上に布6が敷かれるときに、上記屋根Rの表面/上面から突出している突起物Sが挿通/貫通する。これにより、石綿資材の屋根Rの改修作業で屋根Rの突起物Sが障害になったり、改修屋根の強度が突起物Sのところで低下してしまうことがなくなる。
【0048】
上記線18は水性ペンまたは油性ペンで描かれたり、予め印刷されたり、布6と色の異なる太糸が縫いつけられたり織り込まれたり、種々の手法で形成される。この線18は、縦のみの平行線であるが、縦及び横の平行線/方眼線/碁盤目線であってもよい。この線18は点線、破線、間隔の大きい点などでのような形状でもよいし、なくてもよい。
【0049】
上記線18は、場合によって、石綿スレートなどの屋根Rの傾斜と直交する方向または石綿資材の屋根Rの波の進行方向(上記横方向である。以下同じ)にも形成される。横方向の線18の本数及び間隔は上記縦方向の線と同じである。
【0050】
このような線18の間隔は、上記石綿資材の屋根Rの突起物Sの間隔と同じかまたは間隔より狭くなり、線18の数は突起物Sのライン数より多くなる。これにより、種々の間隔の突起物Sに最適な線18を選択できる。この線18は場合によって省略可能である。
【0051】
上記突起物Sは、ボルト及びナット、フックボルトの端、チャンネルボルトの端、パイプボルトの端、稲妻金具の端、U型ボルト、J型ボルト、釘、鉄座、フェルト座、パッキン、キャップ、その他の突起物である。この突起物Sが所定長さ以上突出している場合にのみ、上記穴17は形成されてもよく、釘など、所定長さ以上突出していない場合には、穴17は形成されなくてもよい。
【0052】
上記穴17は、プレス打ち抜きなどで形成される。布6が不織布のときは、予め不織布を製造するときに最初から穴17が形成されてもよい。この穴17は、突起物Sの間隔に合わせて、屋根Rの改修現場で形成されてもよい。この穴17は、上記線18に沿って所定間隔ごとに形成されている。横方向の線18があるときは、縦方向の線18と横方向の線18との交点に穴17が形成される。
【0053】
この穴17には外方へ向かって数センチメートルの切れ目が形成されてもよい。この切れ目があれば、突起物Sの太さの変化に対応できる。この穴17の直径は、3〜100mm、望ましくは5〜75mm、より望ましくは10〜50mm、さらに望ましくは20〜30mmである。
【0054】
図13は穴17の別の例を示す。このような穴17は、貫通した透孔ではなく、同心円状の複数の環状ミシン目で形成された仮の穴であってもよい。このような環状ミシン目の穴17は、突起物Sの複数種類の間隔及び大きさ/太さに合わせて、予め複数種類の間隔/大きさ/太さで形成されていてもよい。これにより、改修する屋根の突起物Sに合致する環状ミシン目の穴17のみを現場で選択して開けて貫通させ、屋根Rの改修を行うことができる。
【0055】
上記環状ミシン目の同心円の数は1つでもよいしまたはいくつでもよい。また、このような仮の穴17は、ミシン目以外に、布6の厚さが上記同心円に沿って薄くなったものでもよいし、容易に円状に穴17を形成できたり打ち抜いたり貫通できれば、どんな穴17でもよい。穴17の形状は、方形、多角形、長円、楕円、星形などどのような形状でもよい。上記切れ目も線形、「V」字形、「U」字形など、どのような形状でもよい。
【0056】
上記布6は、織布または不織布の布またはマットであり、クッション性はない。この布6は、ポリエチレンテレフタレート製またはナイロン製などの合成樹脂製、玄武岩繊維、ガラス繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鋼繊維などであり、上記不織布のフィラメント糸がポリエチレンテレフタレートまたはナイロンの合成樹脂で成形されたものである。
【0057】
(5)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、本改修装置によって改修される石綿資材が使われている箇所としては、屋根のほか、ほか、建築物/施設の屋上床面、建築物/施設の天井/床の上面/下面/傾斜面、建築物/施設の垂直面/傾斜面の壁面、水平/垂直/傾斜の地中埋設/地上の土管/管/電柱/鉄柱/柱/塔/門/橋/道路/トンネルといった構造物の外表面/内表面など、どのような場所でもよい。
【0058】
また、本改修装置によって改修される屋根としては、工場の屋根、アーケードの屋根、ビルディングの屋上の床面、ドーム型屋根、スポーツ施設の屋根、公共施設などの大きな施設の屋根、プレハブ工法による住宅の屋根、木造家屋の屋根、鉄筋コンクリート建造物の屋根/屋上床面などといった建築物/施設の屋根の上面または下面(屋根裏)でもよく、これらの屋根はスレート屋根に限られずどのような石綿資材でもよいし、これら屋根等の素材は石綿資材以外の素材が使われてもよい。
【0059】
また、本発明の封じ込め方法によって封じ込められるものは、石綿、石綿スレートのほか、劣化したものの風塵や解体の時の風塵といった、飛散性または非飛散性いずれのものでもよい。封じ込められる面は、屋根や天井などの建築物/施設の上面以外に下面でもよいし、素直面/傾斜面でもよい。
【0060】
垂直面、傾斜面または下面に下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂を塗布するときは、上から下に掛けて塗布していけばよく、布6を敷くとき布6を壁面に仮留めまたはピン留めすればよい。また水平面の下面に下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂を塗布するときは、スプレーガンなどで吹き付け、布6を敷くとき、薄い布6を選択し、下層樹脂の接着性によって、布6を下面に付着させることができる。
【0061】
上記各実施例では、布6を各下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂の中に入れているから、樹脂だけの場合に比べ、下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂と布6とがよく馴染んで、布6は配筋となって強度が向上して耐久性も向上するし、布6が媒体となって下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂が石綿資材によく馴染み、やはり強度が向上して耐久性も向上する。
【0062】
したがって、強度が向上する分、各下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂を薄くして、コストダウンをはかれる。この薄さは例えば0.9kg/m2である。また布6が媒体となって下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂が石綿資材によく馴染んで、下層樹脂、上層樹脂または表層樹脂の石綿資材への付着性が向上する。
【0063】
本改修装置によって改修される屋根は山と谷のある波型でなく、平坦な板状でもよいし、波型の山と谷は曲面状ではなく、「V」字状、「U」字状であってもよい。布6は蓄積軸3にロール状に巻回されるが、ジグザグに折り畳まれていてもよい。この布6は、網状になっていてもよいし、メッシュ状でもよし、織布としては平織り、綾織りなどどのような織り方でもよい。
【0064】
上記布6は石綿資材の屋根Rの高い箇所から低い箇所へ向けて、繰り出され押しつけられ密着されるが、逆に低い箇所から高い箇所へ向けて、繰り出され押しつけられ密着されてもよいし、水平方向に沿って布6が繰り出され押しつけられ密着されてもよい。高い箇所から低い箇所へ向けて作業を行えば、本装置の重みを利用して布を皺なく引き延ばしていくことができる。
【0065】
押さえつけ部は、押さえつけ輪12…、押さえつけボール13…のほか、湾曲した複数の棒または直線上の複数の棒を、石綿資材の屋根Rの表面に順次押さえ付けて行くものでもよい。また波形の石綿資材の屋根Rの幅方向に沿った波形の複数の棒を順次押さえつけてスライドさせるものでもよい。押さえつけボール13…の先端/下端のボールは回転可能なものでもよいし、回転しない固定されたものでもよい。
【0066】
本改修装置で繰り出され押しつけられる布6には、下層樹脂、上層樹脂及び表層樹脂は塗布されず、屋根または石綿資材などの表面を覆うだけでもよい。この場合、布6の下面に接着剤が塗布されたり、両面接着テープが貼り付けられたり、敷かれた布6の上から網で押さえられたりする。
【0067】
(6)他の発明の効果
[1]繊維製の布を蓄積する蓄積部と、 この蓄積部より繰り出される布の一部を、補強する屋根の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを屋根に沿って移動しながら行う繰り出し部と、 この繰り出された布を補強する屋根の表面に押さえつけて屋根の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を屋根に沿って行う押さえつけ部と、であって、 上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら屋根に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら屋根に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて屋根に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにしたことを特徴とする屋根補強装置。これにより、既設の屋根をそのまま使って、当該屋根の防水性及び強度を向上させることができ、建築廃材も出ず、既設の屋根を除去しないから、屋根改修中も当該建造物を使用することができ、このような効果を達成する作業効率を高めることができる。
【0068】
[2]繊維製の布を蓄積する蓄積部と、 この蓄積部より繰り出される布の一部を、石綿を封じ込める被封じ込め体の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを被封じ込め体に沿って移動しながら行う繰り出し部と、 この繰り出された布を被封じ込め体の表面に押さえつけて被封じ込め体の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を被封じ込め体に沿って行う押さえつけ部と、であって、 上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら被封じ込め体に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら被封じ込め体に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて被封じ込め体に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにしたことを特徴とする石綿資材の封じ込め装置。これにより、既設の石綿資材を封じ込めて、石綿粒子の飛散を防止することができ、当該石綿資材の防水性及び強度を向上させることができ、石綿資材の石綿を封じ込めたまま、石綿資材を使用することができ、石綿資材を廃棄する必要もなくなり、このような効果を達成する作業効率を高めることができる。
【0069】
[3]上記屋根または被封じ込め体は、幅方向に山と谷とが繰り返され、長手方向にこれらの山と谷とが山条または谷条に延びる形状をしており、上記押さえつけ部はこの谷に沿って上記布を押さえつけて密着させ、これにより当該布は上記山に密着されることを特徴とする請求項1記載の屋根補強装置または請求項2記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、凹凸のある屋根または被封じ込め体に対しても布を密着させることができる。
【0070】
[4]上記布はロール状に巻回される、またはジグザグに折り畳まれている、さらに穴が開けられている、またさらに網状になっていることを特徴とする請求項1または3記載の屋根補強装置または請求項2または3記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、大量の布を容易に繰り出すことができ、屋根または被封じ込め体に突起物があっても布を容易に密着させることができる。
【0071】
[5]上記布は屋根または被封じ込め体の高い箇所から低い箇所へ向けて、繰り出され押しつけられ密着されることを特徴とする請求項1、3または4記載の屋根補強装置または請求項2、3または4記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、本装置の重みを利用して布を皺なく引き延ばしていくことができる。
【0072】
[6]上記繰り出し部または押さえつけ部の下部には回転及び転動する回転体が設けられ、この回転体には回転禁止機構が設けられ、この回転禁止と繰り出し部または押さえつけ部の重みによって、皺がないように上記布が押さえつけられ密着されることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の屋根補強装置または請求項2、3、4または5記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、不用意に回転体が回転して敷いた布に皺がよってしまうことがなくなり、凹凸のある波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができる。
【0073】
[7]上記押さえつけ部は、布に対して付勢され、布の中側から外側に向かって順次上記布を押さえつけて密着させていき、しかも移動しながら布を押さえつけて密着させていくことを特徴とする請求項1、3、4、5または6記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5または6記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、布全体を傾けたりゆがませたりすることもなく、布の皺や弛みや無理な引き延ばしや破損がなくなり、波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができり、凹凸のある波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができる。
【0074】
[8]上記押さえつけ部は、複数組設けられ、一方の組が上記布を上記屋根または被封じ込め体に対して押さえつけている間、他方の組は上記布を押さえ付けながら移動して、当該布を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させることを特徴とする請求項1、3、4、5、6または7記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6または7記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、布全体を均一に密着させることができ、布全体を傾けたりゆがませたりすることもなく、布の皺や弛みや無理な引き延ばしや破損がなくなり、凹凸のある波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができる。
【0075】
[9]上記押さえつけ部は、上記布の中央を押さえ付けながら移動して、当該布の中央を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させ、次いで当該布の中央の両側を押さえ付けながら移動して、当該布の中央の両側を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させ、布を中央から両側に向かって順次密着させることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7または8記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6、7または8記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、布全体を傾けたりゆがませたりすることもなく、布の皺や弛みや無理な引き延ばしや破損がなくなり、波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができり、凹凸のある波型の屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができる。
【0076】
[10]上記布には複数の穴が形成され、この穴には上記屋根または石綿資材の突起物が挿通されることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、8または9記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6、7、8または9記載の石綿資材の封じ込め装置。これにより、屋根または被封じ込め体に突起物があっても、屋根または被封じ込め体に布を容易に密着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の装置は、屋根または石綿資材の上に、布を皺なく弛み無く無理な引き延ばしなく破損もなく密着させていくことができ、屋根を布で補強したり、石綿資材を布で封じ込める場合の作業を容易で簡単なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置(改修装置)の外観を示す。
【図2】屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置(改修装置)の平面を示す。
【図3】屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置(改修装置)の側面を示す。
【図4】屋根補強装置及び石綿資材の封じ込め装置(改修装置)の正面を示す。
【図5】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図6】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図7】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図8】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図9】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図10】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図11】屋根または石綿資材の改修方法(屋根補強方法/石綿資材の封じ込め方法)の作業を示す。
【図12】布2の平面を示す。
【図13】布2のミシン目の穴7を示す。
【符号の説明】
【0079】
1…支持フレーム、2…支持板
3…蓄積軸、4、5…繰り出し軸、6…布、
7…前車輪、8、9…スライド支持部、10…支持枠
11a、11b、11c、11d…支持板、
12…押さえつけ輪、13…押さえつけボール、
15…穴、16…線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製の布を蓄積する蓄積部と、
この蓄積部より繰り出される布の一部を、補強する屋根の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを屋根に沿って移動しながら行う繰り出し部と、
この繰り出された布を補強する屋根の表面に押さえつけて屋根の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を屋根に沿って行う押さえつけ部と、であって、
上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら屋根に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら屋根に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて屋根に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにしたことを特徴とする屋根補強装置。
【請求項2】
繊維製の布を蓄積する蓄積部と、
この蓄積部より繰り出される布の一部を、石綿を封じ込める被封じ込め体の一部に固定し、この固定箇所から所定長さの布を上記蓄積部より繰り出し、この繰り出しを被封じ込め体に沿って移動しながら行う繰り出し部と、
この繰り出された布を被封じ込め体の表面に押さえつけて被封じ込め体の表面に沿って当該布を密着させ、この密着を被封じ込め体に沿って行う押さえつけ部と、であって、
上記繰り出し部は上記押さえつけ部から遠ざかるように上記布を繰り出しながら被封じ込め体に沿って移動し、上記押さえつけ部は上記繰り出し部に近づくように上記布を押さえつけながら被封じ込め体に沿って移動し、これらを繰り返しながら、この押さえつけられて被封じ込め体に密着させられた布の上に、当該布に含浸可能な防水性で液体の上層樹脂を塗布することができるようにしたことを特徴とする石綿資材の封じ込め装置。
【請求項3】
上記屋根または被封じ込め体は、幅方向に山と谷とが繰り返され、長手方向にこれらの山と谷とが山条または谷条に延びる形状をしており、上記押さえつけ部はこの谷に沿って上記布を押さえつけて密着させ、これにより当該布は上記山に密着されることを特徴とする請求項1記載の屋根補強装置または請求項2記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項4】
上記布はロール状に巻回される、またはジグザグに折り畳まれている、さらに穴が開けられている、またさらに網状になっていることを特徴とする請求項1または3記載の屋根補強装置または請求項2または3記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項5】
上記布は屋根または被封じ込め体の高い箇所から低い箇所へ向けて、繰り出され押しつけられ密着されることを特徴とする請求項1、3または4記載の屋根補強装置または請求項2、3または4記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項6】
上記繰り出し部または押さえつけ部の下部には回転及び転動する回転体が設けられ、この回転体には回転禁止機構が設けられ、この回転禁止と繰り出し部または押さえつけ部の重みによって、皺がないように上記布が押さえつけられ密着されることを特徴とする請求項1、3、4または5記載の屋根補強装置または請求項2、3、4または5記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項7】
上記押さえつけ部は、布に対して付勢され、布の中側から外側に向かって順次上記布を押さえつけて密着させていき、しかも移動しながら布を押さえつけて密着させていくことを特徴とする請求項1、3、4、5または6記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5または6記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項8】
上記押さえつけ部は、複数組設けられ、一方の組が上記布を上記屋根または被封じ込め体に対して押さえつけている間、他方の組は上記布を押さえ付けながら移動して、当該布を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させることを特徴とする請求項1、3、4、5、6または7記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6または7記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項9】
上記押さえつけ部は、上記布の中央を押さえ付けながら移動して、当該布の中央を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させ、次いで当該布の中央の両側を押さえ付けながら移動して、当該布の中央の両側を上記屋根または被封じ込め体に対して密着させ、布を中央から両側に向かって順次密着させることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7または8記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6、7または8記載の石綿資材の封じ込め装置。
【請求項10】
上記布には複数の穴が形成され、この穴には上記屋根または石綿資材の突起物が挿通されることを特徴とする請求項1、3、4、5、6、7、8または9記載の屋根補強装置または請求項2、3、4、5、6、7、8または9記載の石綿資材の封じ込め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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