説明

展性のある対称的な歯冠類

顔−舌方向の対称面及び/又は近位−遠位方向の対称面を備えた、側汎用外形を備えた予備成形済展性歯冠。該予備成形済歯冠はまた、側汎用外形が、例えば左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む。本発明の方法は、歯冠を調節又は成形することによって歯冠を適合させて、側特有な特性をもたらし、次いで硬化性組成物の硬化を行うことを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科的修復において使用される予備成形済歯冠、及び該予備成形済歯冠を使用する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科的修復は、今日の歯科産業において重要な市場である。特に、一時的又は永久的な冠を用いた歯の治療は一般的な処置であり、通常複数回の歯科予約が必要である。多くの場合、施術者は成形済歯冠に依存し、修復される歯の形状の歯冠を提供することによって修復過程を迅速に処理している。
【0003】
今日市場で利用可能な予備成形済冠は、通常金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、合金等)又はポリマー類(例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール等)で製造される。金属冠は、美的外観をもたらすために、さらにカラーコーティングされた歯で覆うこともできる。
【0004】
仮に、予備成形済金属及びポリマーの冠を調整する必要がある場合は、冠用鋏、ヒートレスストーン、又は所望の冠長を得るために冠縁の材料を除去するその他の道具のいずれかを用いて整えることができる。金属冠はまた、縁部を良好に適合させるために頸部を圧着してもよい。しかしながら、隣接歯間距離、冠構造等のような他の冠寸法の修正は、予備成形済歯冠に使用されている材料が施術者による形状調節に適さないため実施されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の予備成形済冠は形状を調節することができなかったため、予備成形済冠は様々な形(並びに様々な大きさ)の歯を覆うために、多くの異なる形状で提供されていた。結果として、従来の予備成形済歯冠においては、提供されている予備成形済冠の大きさ及び形状の総数が非常に多い。一つには、左右の弓に対して異なった予備成形済歯冠が提供される必要性から、予備成形済歯冠の数が多くなっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、顔−舌方向及び/又は近位−遠位方向に対称面を備えた、側汎用外形を有する予備成形済歯冠を提供する。予備成形済歯冠はまた、側汎用外形が、例えば左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得る十分な展性を有する硬化性組成物を含む。
【0007】
本発明は、様々な歯の構造(例えば、切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯)に対応する、異なる外形の予備成形済歯冠を含むことができる。本明細書で論じられているように、側汎用にすることに加えて、少なくとも一部の予備成形済歯冠はまた、上方(上顎)弓又は下方(下顎)弓における使用に適応させるための修正をした上で、又は修正せずに、これらの弓に使用することができる。例えば、より小さい切歯は潜在的に、ある患者の下顎の切歯として、及び他の患者の上顎の切歯として使用することができる。同様に、小臼歯及び大臼歯は潜在的に、予備成形済歯冠の硬化性組成物の展性が十分な場合、上顎弓又は下顎弓に互換的に使用することができる。
【0008】
側汎用臼歯形状(例えば、顔−舌方向に対称面を有する)を備える予備成形済歯冠を提供することの別の潜在的利点は、該予備成形済歯冠を第一、第二もしくは第三大臼歯又は第一もしくは第二小臼歯に使用することができる(必要に応じて多少の調節/成形は行う)点である。これによってさらに、本明細書で論じられているように、施術者が在庫の必要量を減らすことができる。
【0009】
加えて、近位−遠位方向及び/又は顔−舌方向に対称面を有する小臼歯又は大臼歯として使用することを意図する一部の予備成形済歯冠を提供することは有利であり得る。第二対称面によって、このような予備成形済歯冠を複数の場所(例えば上方又は下方弓、異なる大臼歯部位等)での使用に適合させるのがより容易になる。さらに、一部の予備成形済歯冠は、好ましくは、顔−舌面ではなく近位−遠位面についてのみ対称性を示してもよい。
【0010】
しかしながら、場合によっては、上顎弓又は下顎弓のうち一つのみに使用することを目的とした(上顎弓又は下顎のどちらかに使用するためのより一般的な外形と対照的に)、より特異的な側汎用外形を有する本発明の予備成形済歯冠を提供することは有利であり得る。
【0011】
本発明の対称的な予備成形済歯冠は、好ましくは製造者及び施術者に予備成形済歯冠の在庫を有意に減少させる機会を提供し得る。(多少の潜在的形状調節をした上で)左側又は右側部位で使用することができる、対称的な予備成形済歯冠を提供することによって、必要な予備成形済歯冠の数を半減させ得る。一部の予備成形済歯冠が複数の部位(例えば、第一、第二及び第三大臼歯又は第一もしくは第二小臼歯)で使用され得る場合、さらなる在庫の減少が可能であり得る。少なくとも一部の予備成形済歯冠が必要に応じて上方又は下方弓に使用され得る場合、さらなる在庫の減少すら可能であり得る。
【0012】
本発明において予備成形済歯冠の外形を記述するために使用する時、「側汎用(side-generic)」(及びその変化形)は、予備成形済歯冠の外形が、構造的に的確な予備成形済歯冠と関連するであろう左側又は右側特有な構造的特徴の全てを含むわけではないことを意味する。好ましくは、本発明の側汎用外形を有する予備成形済歯冠は、使用する際に、左側特有又は右側特有に調節した外形にするために、少なくとも多少の成形又は調節が必要であろう。
【0013】
本明細書で使用する時、「対称」(及びその変化形)は、予備成形済歯冠の側汎用外形が、必要に応じて冠を右又は左弓に用いることを可能にする平面又は平面類について対称であるという機能的意義において用いられる。しかしながら、予備成形済歯冠は側汎用である、つまりそれらは左又は右側特有ではないため、適切に適合させるためには通常施術者による多少の仕様変更が必要である。本明細書で使用する時、「対称」(及びその変化形)という用語は、平面又は平面類について完全な幾何学的対称であるという意味で用いられるのではなく、つまり完全な幾何学的対称からの多少のずれは許容される。
【0014】
本明細書で使用する時、「自立形(self-supporting)」という用語は、それぞれの冠が寸法安定性であり、かつその予備成形済形状を、自立している時(つまり、包装や容器の支持なしで)室温(つまり、約20℃〜約25℃)において少なくとも約2週間有意に変形することなく維持することを意味する。好ましくは、本発明の予備成形済歯冠は、室温において少なくとも約1ヶ月間、及びさらに好ましくは少なくとも約6ヶ月間、寸法安定性である。好ましくは、本発明の予備成形済歯冠は、室温より高い温度、より好ましくは約40℃までの温度、さらに好ましくは約50℃までの温度、及びさらに好ましくは約60℃までの温度において寸法安定性である。この定義は、任意の反応開始系を活性化する状況にない状態及び重力以外の外力のない状態で適用される。
【0015】
「十分に展性がある」という用語は、自立形予備成形済歯冠が、例えば、患者の口に対して、適度な手動力のもと(つまり、軽く指で圧する程度から歯科用複合器具のような小さな手工具を手動操作する程度の範囲の力)、特別注文の形状にできる、及び左側特有又は右側特有に調節された外形に適合できることを意味する。整形、適合、成形等は、予備成形済歯冠の縁部(必要に応じて整えられてもよい)以外の領域を除去又は材料を追加することなく、予備成形済歯冠の外形を調節することによって実施される。
【0016】
場合によっては、本発明の予備成形済歯冠が本質的に硬化性組成物から成ることが好ましい場合もある。
【0017】
本発明の予備成形済歯冠において使用される硬化性組成物は、例えば40℃以下の温度において所望の「十分な展性」を示し得る。さらに他の例においては、硬化性組成物は例えば15℃〜38℃の温度範囲において「十分な展性」を示し得る。
【0018】
本発明の予備成形済歯冠の硬化性組成物は、「不可逆的に硬化性」であること(これは本明細書で使用する時、組成物がその展性を失うような硬化の後、歯冠の外形を破壊することなく元の展性のある形状に変形させることができないことを意味する)がさらに好ましい場合がある。
【0019】
十分な展性を備えた本発明の予備成形済歯冠を作成するために使用され得る、いくつかの潜在的に好適な硬化性組成物の例としては、例えば、硬化性有機組成物(充填されている又はされていない)、重合可能な歯科用ワックス、硬化されていない状態でワックス様又は粘土様稠度を有する硬化性歯科用組成物等が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の予備成形済歯冠は本質的に非金属材料から成る硬化性組成物で構成されることが好ましい場合がある。
【0020】
本発明の予備成形済歯冠を製造するために使用され得る潜在的に好適な硬化性組成物は、カリム(Karim)らによる「硬化性自立形構造及び方法(HARDENABLE SELF-SUPPORTING STRUCTURES AND METHODS)」と表題された米国特許出願公開第2003/0114553号に記載されているものでもよい。その他の好適な硬化性組成物としては、オックスマン(Oxman)らによる米国特許第5,403,188号、フォルケル(Volkel)らによる第6,057,383号及び、サン(Sun)らによる第6,799,969号に記載されているものが挙げられる。
【0021】
米国特許出願公開第2003/0114553号に記載されている硬化性組成物に対して、硬化(例えば硬化(cure))前の高展性特性(好ましくは室温又は体温以上に加温せずに)及び硬化後の高強度(好ましくは、例えば、少なくとも約25MPaにおける曲げ強度)の独特の組み合わせは、予備成形済歯冠に多くの潜在的利点をもたらす。
【0022】
一様態においては、本発明は切歯、犬歯、小臼歯及び大臼歯から成る群から選択される、自立形側汎用外形を備える予備成形済歯冠を含む歯科用物品を提供し、該自立形側汎用外形は、顔−舌方向に対称面を有し、かつ該予備成形済歯冠は、側汎用外形が左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む。いくつかの実施形態では、側汎用外形はさらに小臼歯及び大臼歯から成る群から選択されてもよく、該側汎用外形はまた近位−遠位方向に対称面を含む。
【0023】
他の様態においては、本発明は、小臼歯及び大臼歯から成る群から選択される自立形側汎用外形を備える予備成形済歯冠を含む歯科用物品を提供し、該側汎用外形は顔−舌方向及び近位−遠位方向の両方に対称面を有し、かつ予備成形済歯冠は、側汎用外形を左側特有又は右側特有に調節された外形に成形し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む。
【0024】
他の様態においては、本発明は歯科用物品セットを提供し、該セットは切歯の自立形側汎用外形を備え、該側汎用外形が顔−舌方向に対称面を有する、1以上の予備成形済歯冠、犬歯の自立形側汎用外形を備え、側汎用外形が顔面一舌方向に対称面を有する、1以上の予備成形済歯冠、小臼歯の自立形側汎用外形を備え、側汎用外形が顔面一舌方向に対称面を有する、1以上の予備成形済歯冠、大臼歯の自立形側汎用外形を備え、側汎用外形が顔面−舌方向に対称面を有する、1以上の予備成形済歯冠、及び歯科用物品セットを含む包装品であって、該予備成形済歯冠セット中の各々の予備成形済歯冠が、側汎用外形が左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む、包装品を含む。いくつかの実施形態では、小臼歯の自立形側汎用外形を備えた、1以上の予備成形済歯冠は、近位−遠位方向の対称面を有する。いくつかの実施形態では、大臼歯の自立形側汎用外形を備えた、1以上の予備成形済歯冠は、近位−遠位方向の対称面を有する。
【0025】
他の様態では、本発明は小臼歯及び大臼歯から成る群から選択される、自立形側汎用外形を備える予備成形済歯冠を含む歯科用物品を提供することができ、該側汎用外形は近位−遠位方向に対称面を有し、かつ該予備成形済歯冠は、該側汎用外形が左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む。
【0026】
さらに別の様態では、本発明は、本発明の予備成形済歯冠を使用する方法を提供することができ、該方法は、例えば、左側特有特徴又は右側特有特徴を含むように冠に硬化性組成物を形成すること、例えば化学放射線に曝露させることによって硬化性組成物を硬化することを含む。
【0027】
本発明の代表的な種々の実施形態に関連して、以下に本発明のこれら及び他の特徴及び利点を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の代表的な実施形態に関する以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面の図が参照され、本発明が実施され得る特定の実施形態が実例として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよく、そして構造的変更が行なわれてもよいことは理解されるであろう。
【0029】
本発明は、顔−舌方向の対称面及び/又は近位−遠位方向の対称面を備えた側汎用外形を有する予備成形済歯冠を提供する。予備成形済歯冠はまた、側汎用外形が、例えば左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む。
【0030】
本発明で論じられているように、それらの側汎用外形を備える予備成形済歯冠の硬化組成物は、好ましくは、口腔内の左側又は右側領域のいずれかに使用するため成形又は調節されてもよい。歯冠は側汎用的外形に成形されているため、予備成形済歯冠の使用は、好ましくは、左側特異的又は右側特異的特徴を包含するため予備成形済歯冠の側汎用的外形を成形又は調節して適合させている間に、施術者による硬化性組成物の多少の成形を必要とする場合がある。最終的な結果は、好ましくは、左側特有又は右側特有に調節された外形を備えた歯冠であり得る。その後歯冠の硬化性組成物の硬化は、好ましくは、口腔内の使用のために調節された外形を固定することができる。
【0031】
一つの代表的な、本発明に基づいた側汎用外形を備えた対称的な予備成形済歯冠10は、図1及び2に図示されている。図1は、顔−舌面FL(これは、図1中に破線として描かれている。)について対称性を有する下顎大臼歯のための予備成形済歯冠10の咬合面図である。図2は、顔−舌面FL(これは、破線として描かれている。)について対称的に描かれている予備成形済歯冠10の顔側側面図である。
【0032】
図1及び図2に見られるように、冠10の側汎用外形は、咬合面図及び顔側側面図の両方において、顔−舌面FLについて対称性を有する。その対称性は、図7及び図8に図示されているような、側特有下顎第一大臼歯と置換するように設計された先行技術40の非対称的外形と異なる場合がある。先行技術40の側特有外形は、いずれの平面についても対称性を示さない。
【0033】
その対称性の欠如に加えて、先行技術40は5つの咬合面板41、42、43、44及び45(図7に見られるように)を含む。それは、本発明の歯冠10上の4つの咬合面板11、12、13及び14とは異なる。本発明に基づいた硬化性予備成形済歯冠は、好ましくは、所望の対称性をもたらすために前述のような構造的一般化又は単純化を示してもよい。
【0034】
例えば、上顎及び/又は下顎の小臼歯又は大臼歯の置換に適応している、本発明の対称的予備成形済歯冠の少なくともいくつかは、構造上正確な歯冠よりも少ない又は多い構造的特徴を含み得ることが好ましい場合がある。
【0035】
例えば、下顎第一大臼歯を置換するための対称的予備成形済歯冠10の使用は、好ましくは、対称的予備成形済歯冠10を調節又は成形して、置換される歯の左側又は右側特有構造により綿密に近づけることを含んでもよい。前述のような調節には、本明細書で論じられているような十分な展性を有する組成物を使用することが可能である。調節された歯冠は、好ましくは、口腔内での使用の際に調節された外形を保持するように、成形後硬化されてもよい。
【0036】
予備成形済歯冠10は、冠10の底部に縁部16を含む。本明細書で論じられているように、調節された外形をもたらすための予備成形済歯冠10の硬化性組成物の成形には、好ましくは、冠10に対する材料の除去又は追加ではない操作を含むが、施術者が、縁部16から材料を除去して、選択された領域における冠の適合性を改善する可能性があることは想定される。
【0037】
口腔の右及び左側に対して汎用である、本発明の予備成形済歯冠を作成するためには、多少の構造の一般化が必要な場合がある。一つの方法としては、口腔内の複数の領域において最も効果があるであろう天然歯構造の要素が選択され得る。一部の例では、ミラーリングに最も効果があるであろう歯構造の半体を選択すること、次いで対称面についてその半体をミラーリングすることを含んでもよい。他の例では、設計者が、機能性、美観等に関して最も優れた歯構造の半体を選択し、次いで対称面についてそれをミラーリングしてもよい。ある大臼歯の咬合面板の例では、仮にミラーリングした場合、外観及び/又は機能性に関して不適格な冠になり得る、いくつかの構造的特徴を除去することが好都合である場合もある。その単純化された形状は、次いで、対称面にミラーリングされ得る。別の方法では、例えば第一及び第二大臼歯のような複数の歯の構造から得られる構造的特徴を組み合わせて、その後対称面にミラーリングされる、混成歯冠半体をつくることも可能である。
【0038】
上述の技術は、口腔内の後方に見られるような、より複雑な構造の歯形状と置換する予備成形済歯冠の開発に有用であるが、臼歯上のより複雑な咬合面板がない場合、切歯及び犬歯用の本発明に基づいた対称的予備成形済歯冠の開発はより容易であり得る。
【0039】
図3及び4は、切歯(好ましくは上顎切歯)を置換するように設計された側汎用外形を備えた対称的予備成形済歯冠20の図である。図3は、顔−舌面FL(該平面は図3及び4の両方において端に(on edge)破線で描かれている。)について対称性を有する予備成形済歯冠20の切縁図である。図4は、顔−舌面FLについてその対称性を図示している予備成形済歯冠20の顔側側面図である。
【0040】
図3及び4の予備成形済歯冠20の対称性は、図9及び10に図示されているような右側上顎中切歯を置換するように設計された先行技術50の非対称的外形とは異なる場合がある。先行技術の領域特異的冠50の外形は、図10に見られるように、顔−舌面FLに対称性を示さない。
【0041】
例えば右側上顎中切歯を置換する対称的予備成形済歯冠20の使用は、好ましくは、対称的予備成形済歯冠20を調節又は成形して、置換される歯の右側特有構造により綿密に近づけること(例えば、歯の遠位側に沿って隆起部54を追加して成形する)を含んでもよい。このような調節には、本明細書で論じられているように、十分な展性を有する硬化性組成物を用いることが可能である。調節された歯冠20の硬化性組成物は、好ましくは、冠20が口腔内で使用される際、側特有に調節された外形を保持するよう成形された後硬化され得る。
【0042】
予備成形済歯冠20は、冠20の底部に縁部26を含む。本明細書で論じられているように、調節された外形をもたらすための予備成形済歯冠20の硬化性組成物の成形には、好ましくは、冠20に対する材料の除去又は追加ではない操作を含むが、施術者が、選択された領域における冠の適合性を改善するために縁部26から材料を除去する可能性があることは想定される。
【0043】
図5及び6は大臼歯を置換するように設計された本発明の対称的予備成形済歯冠30を図示している。図5は、顔−舌面FL及び近位−遠位面MDの両方(該平面は端に(on edge)破線として描かれている)についてその対称性が見られる、予備成形済歯冠30の咬合面図である。歯冠30は、咬合面板31、32、33及び34を含む。図6は、近位−遠位面MDについてその対称性が見られる、予備成形済歯冠30の近位側側面図である。予備成形済歯冠30は、顔−舌面FL又は近位−遠位面MDについて完全な幾何学的対称性を示す訳ではなく、したがって、予備成形済歯冠30は、本明細書で論じられているように、本発明の予備成形済歯冠が、好ましくは、機能的意義において対称性を示す代表的な概念である。
【0044】
例えば下顎大臼歯を置換する対称的予備成形済歯冠30の使用は、好ましくは、対称的予備成形済歯冠30を調節又は成形して、置換される歯の左側又は右側特有構造により綿密に近づけることを含んでもよい。さらに、異なる大臼歯領域(例えば第一、第二、もしくは第三大臼歯領域又は第一もしくは第二小臼歯領域でさえ)のための冠の適合性を改善するために調節されてもよい。このような調節には、本明細書で論じられているような十分な展性を有する硬化性組成物を用いることが可能である。調節された歯冠30の硬化性組成物は、好ましくは、硬化後、冠30が側特有に調節された外形を保持するよう成形された後硬化され得る。
【0045】
予備成形済歯冠30は冠30の底部に縁部36を含む。本明細書で論じられているように、調節された外形をもたらすための予備成形済歯冠30の硬化性組成物の成形には、好ましくは、冠30に対する材料の除去又は追加ではない操作を含むが、施術者が、選択された領域における冠の適合性を改善するために縁部36から材料を除去する可能性があることは想定される。
【0046】
図11は本発明の予備成形済歯冠において提供され得る別の任意の特徴を図示したものである。図11の断面図において、図示されている予備成形済歯冠60は、歯冠60の内部中に成形される腔部62を含む。図11のような断面図は、腔部62の片側上に位置する顔側表面64及び腔部62の反対側上に位置する舌側表面66を含む。
【0047】
冠60の外形は、好ましくは、本明細書で論じられているように対称性を示すが、その対称性は本発明の予備成形済歯冠の内部特徴に存在する必要はない場合がある。図11の冠60において、例えば、腔部62は、好ましくは舌方向に向かって片寄っていてもよい。つまり、腔部62と舌側表面66の間に成形される冠60の舌側壁67は、腔部62と顔側表面64の間に成形される顔側壁65より細くてもよい。
【0048】
片寄った腔部は、舌側の輪郭削りがより容易に及びより構造的にできるようにすることで、調製された歯に対する冠の調節を単純化し得るという点において、いくつかの潜在的利点を提供し得る。例えば、切歯の完全な冠の調製では、歯の舌側よりも顔側の歯の方がより減少する場合が多い。結果として、片寄った腔部に対応する冠は、調製された歯に対してより容易に適合し得る。本発明の歯冠における片寄った腔部の別の潜在的利点は、より太い顔側壁65が仮着用セメント(これは不透明である場合が多い)の被覆力を改善できる場合があることである。調製された歯上の不透明なセメント層の可視性が減少することによって、歯冠の美的外観、特に見えやすい領域における美的外観を改善することができる。
【0049】
本発明の予備成形済歯冠は任意の好適な技術によって製造され得る。自立形予備成形済歯冠を製造するために潜在的に好適な技術のいくつかの例は、例えば、カリム(Karim)らによる「硬化性歯科用物品及びその製造方法(HARDENABLE DENTAL ARTICLE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME)」と表題された国際公開第2005/018484号に記載されているものでもよい。
【0050】
硬化性組成物
本明細書で論じられているように、側汎用外形を備える予備成形済歯冠は、好ましくは、適合過程の間、側汎用外形を備える予備成形済歯冠が、左側特有又は右側特有に調節された外形を形成するのを容易にするのに十分な展性のある硬化性組成物を含む。該組成物は硬化性であるため、好ましくは、調節された外形は保持される。
【0051】
本発明の予備成形済歯冠のための潜在的に有用な硬化性組成物は、例えば、熱硬化性ポリマー類、重合性ワックス類、硬化性有機材料類(充填されている又はされていない)等を含む場合がある。いくつかの潜在的に好適な硬化性組成物は、オックスマン(Oxman)らによる米国特許第5,403,188号、フォルケル(Volkel)らによる第6,057,383号、サン(Sun)らによる第6,799,969号に記載されているものを含んでもよい。
【0052】
本発明の予備成形済歯冠の製造に用いられ得る、他の潜在的に好ましい硬化性組成物は、カリム(Karim)らによる「硬化性自立形構造及び方法(HARDENABLE SELF-SUPPORTING STRUCTURES AND METHODS)」と表題された米国特許出願公開第2003/0114553号に記載されているものでよい。本明細書で論じられているように(及び以下の議論において簡潔に要約されているように)、米国特許出願公開第2003/0114553号の硬化性組成物は、結晶性成分を含む樹脂系、60重量%を超える充填剤系(好ましくは70重量%を超える充填剤系)、及び反応開始剤系を含んでもよく、該硬化性組成物は、好ましくは約15℃〜38℃の温度において(さらに好ましくは、標準的室温及び体温を包含する約20℃〜38℃において、及び最も好ましくは、室温において)側特有に調節された外形を形成するのに十分な展性を示す。本発明の組成物は、本明細書で論じられているように、展性を持たせるために体温を超える温度で(又は、好ましくは約室温でさえ)加熱される必要がないことが望ましい場合がある。
【0053】
一般的に及び好ましくは、米国特許出願公開第2003/0114553号の硬化性組成物中の充填剤系の少なくとも一部は、粒子状充填剤を含む。好ましくは、この及び他の多様な実施形態において、充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は組成物の総重量に対して20%未満の量存在する。
【0054】
結晶性成分は、好ましくは、自立形第一形状(つまり、側汎用外形)の維持に役立つ形態をもたらし得る。この形態は、三次元網目構造(連続的又は不連続な)であり得る、非共有構造を含む。必要に応じて、結晶性成分は、重合及び/又は架橋部位を提供する1以上の反応基を含み得る。このような結晶性成分が存在しない、又は反応基を含まない場合、このような反応部位は、エチレン性不飽和成分のような他の樹脂成分によって提供される。
【0055】
したがって、一部の実施形態では、樹脂系は好ましくは少なくとも一つのエチレン性不飽和成分を含む。好ましいエチレン性不飽和成分類は、モノ−、ジ−、もしくはポリ−アクリレート類及びメタクリレート類、不飽和アミド類、ビニル化合物類(ビニルオキシ化合物類を含む)並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される。このエチレン性不飽和成分は、一部の好ましい実施形態では非晶質であるが、結晶性成分であり得る。
【0056】
結晶性成分はポリエステル類、ポリエーテル類、ポリオレフィン類、ポリチオエーテル類、ポリアリールアルキレン類、ポリシラン類、ポリアミド類、ポリウレタン類又はそれらの組み合わせを含む場合がある。好ましくは、結晶性成分は、一級ヒドロキシ末端基を含有する飽和、直鎖、脂肪族ポリエステルポリオール類を含む。結晶性成分は、任意選択的に、例えば樹状、超分岐、又は星状構造を有する場合がある。
【0057】
結晶性成分は、任意に、結晶性ペンダント部分及び以下の一般式を有する高分子材料(つまり、2以上の繰り返し単位を有し、それによりオリゴマー材料を含む材料)であり得る。
【0058】
【化1】

【0059】
(式中、Rが水素又はC1〜C4アルキル基であり、Xが−−CH2−−、−−C(O)O−−、
−−O−C(O)−−、−−C(O)−NH−−、−−HN−C(O)−−、−−O−−、−−NH−−、−O−C(O)−NH−、−HN−C(O)−O−、−−HN−C(O)−NH−−、又は−−Si(CH32−−であり、mがポリマー中の繰り返し単位の数(好ましくは2以上)であり、かつnは結晶性領域もしくは部位を含有するポリマーを形成するために十分な側鎖長及び配座をもたらすのに十分である。)
結晶性成分を代替する、又は併用する硬化性組成物は、第一形状の維持に役立つ三次元網目構造(連続的又は不連続な)であり得る、非共有構造を含み得る組成物に形態を与えることができる充填剤を含んでもよい。好ましくは、このような充填剤はナノスケール粒子を有し、より好ましくは該充填剤はナノスケール粒子を有する無機材料である。非共有構造の形成を促進するために、無機材料は表面ヒドロキシル基を含むことができる。さらに好ましくは、無機材料はヒュームドシリカを含む。
【0060】
さらに、1以上の界面活性剤の使用もまたこのような非共有構造の形成を促進することができる。潜在的に好ましい組成物は、樹脂系及び反応開始剤系に加えて、結晶性成分もしくはナノスケール粒子状充填剤(好ましくは、ミクロンサイズ粒子状充填剤及びナノスケール粒子状充填剤の両方)を含む充填剤系のどちらか及び界面活性剤、又は結晶性成分及び充填剤系の両方並びに界面活性剤系を含んでもよい。本明細書で使用する時、充填剤系は1以上の充填剤を含み、かつ界面活性剤系は1以上の界面活性剤を含む。
【0061】
本発明の予備成形済歯冠に使用され得る硬化性組成物の別の潜在的実施形態は、樹脂系、少なくともその一部が、平均一次粒度が約50ナノメートル(nm)以下であるナノスケール粒子を有する無機材料である充填剤系、界面活性剤系、及び反応開始剤系を含む、米国特許出願公開第2003/0114553号の硬化性組成物を含み得る。硬化性組成物は、好ましくは、約15℃〜38℃の温度において側特有に調節された外形を形成するのに十分な展性を示す。界面活性剤系及びナノスケールの粒子を備えた実施形態においては、樹脂系が好ましくは少なくとも一つのエチレン性不飽和成分を含む場合があり、かつ充填剤系が50重量%を超える量で存在する。
【0062】
他の潜在的に好ましい実施形態においては、本発明の硬化性組成物は、モノ−、ジ−、もしくはポリ−アクリレート類及びメタクリレート類、不飽和アミド類、ビニル化合物類並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される非晶性成分、並びにポリエステル類、ポリエーテル類、ポリオレフィン類、ポリチオエーテル類、ポリアリールアルキレン類、ポリシラン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、結晶性ペンダント部位及び以下の一般式を有する高分子材料(オリゴマー材料を含む)から成る群から選択される結晶性成分を含む樹脂系を含み得る。
【0063】
【化2】

【0064】
(式中、Rが水素又はC1〜C4アルキル基であり、Xが−−CH2−−、−−C(O)O−−、−−O−C(O)−−、−−C(O)−NH−−、−−HN−C(O)−−、−−O−−、−−NH−−、又は−O−C(O)−NH−、−HN−C(O)−O−、−−HN−C(O)−NH−−、又は−−Si(CH32−−であり、mがポリマー中の繰り返し単位の数(好ましくは2以上)であり、かつnは結晶性領域もしくは部位を含有するポリマーを形成するために十分な側鎖長及び配座をもたらすのに十分である、及びそれらの組み合わせである。)硬化性組成物はさらに60重量%を超える充填剤系及び反応開始剤系を含む。硬化性組成物は、好ましくは、約15℃〜38℃の温度において側特有に調節された外形を形成するのに十分な展性を示す。充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は、好ましくは、該硬化性組成物の総重量に対して、20重量%未満の量存在する。
【0065】
さらにもう一つの潜在的に好ましい実施形態においては、本発明の硬化性組成物は、以下の式の結晶性成分を備える樹脂系、
【0066】
【化3】

【0067】
(式中、各々のQが独立してポリエステルセグメント、ポリアミドセグメント、ポリウレタンセグメント、ポリエーテルセグメント又はそれらの組み合わせを含む。)充填剤系、及び反応開始剤系を含んでもよい。
【0068】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「ある(a)」、「及び(and)」及び「その(the)」は、文脈上、他に明記されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある(a)」又は「その(the)」成分への参照は、1以上の成分及び当業者に周知であるその等価物を含むことができる。
【0069】
本発明で引用された全ての参照及び出版物は、それらの開示全体において、本明細書に参考として明示的に組み込まれる。本発明の代表的な実施形態が論じられ、そして本発明の範囲内で可能ないくつかの変形が参照されている。本発明におけるこれら及び他の変形及び変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかであり、そして本発明が本明細書で明示された代表的な実施形態の組み合わせに限定されないことは理解されるべきである。したがって、本発明は特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図の端に描かれた顔−舌面を備える、下顎大臼歯のための予備成形済歯冠の咬合面図。
【図2】図の端に描かれた顔−舌面を備える、図1の予備成形済歯冠の顔側側面図。
【図3】図の端に描かれた顔−舌面を備える、上顎切歯のための予備成形済歯冠の切縁図。
【図4】図の端に描かれた顔−舌面を備える、図3の予備成形済歯冠の顔側側面図。
【図5】図の端に描かれた顔−舌面及び近位−遠位面を備える、下顎大臼歯のための予備成形済歯冠の咬合面図。
【図6】図の端に描かれた近位−遠位面を備える、図5の予備成形済歯冠の近位側側面図。
【図7】下顎第一大臼歯と置換される形状の、従来の非対称的予備成形済歯冠の咬合面図。
【図8】図7の従来の非対称的予備成形済歯冠の顔側側面図。
【図9】右側上顎中切歯と置換される形状の、従来の非対称的予備成形済歯冠の切縁図。
【図10】図9の従来の非対称的予備成形済歯冠の顔側側面図。
【図11】歯冠内の片寄った腔部を例証するための、顔−舌面に沿って切断された本発明の予備成形済歯冠の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切歯、犬歯、小臼歯、及び大臼歯から成る群から選択される、自立形側汎用外形を備える予備成形済歯冠を含む歯科用物品であって
該側汎用外形が顔−舌方向に対称面を含み、
該予備成形済歯冠が、側汎用外形が左側特有又は右側特有に調整された外形を形成し得るような、十分な展性を有する硬化性組成物を含む歯科用物品。
【請求項2】
側汎用外形がさらに小臼歯及び大臼歯から成る群から選択され、かつ該側汎用外形が近位−遠位方向に対称面を含む、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項3】
予備成形済歯冠が内部腔部を含み、かつ該内部腔部が舌方向又は顔方向に向かって片寄っている、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項4】
硬化性組成物が、15℃〜38℃の温度において左側特有又は右側特有に調節された外形を形成するのに十分な展性を有する、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項5】
硬化性組成物が本質的に非金属材料から成る、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項6】
予備成形済歯冠が本質的に硬化性組成物から成る、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項7】
硬化性組成物が結晶性成分を含む樹脂系、60重量%を超える充填剤系、及び反応開始剤系を含み、該硬化性組成物は約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示すが、ただし充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は該硬化性組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項8】
硬化性組成物が結晶性成分を含む樹脂系、70重量%を超える充填剤系、及び反応開始剤系を含むが、ただし充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は該組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項9】
硬化性組成物が、樹脂系、少なくともその一部が約50ナノメートル以下の平均一次粒径を有するナノスケール粒子を含む無機材料である充填剤系、界面活性剤系、及び反応開始剤系を含む、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項10】
硬化性組成物が、
少なくとも一つのエチレン性不飽和成分及び結晶性成分を含む樹脂系、
60重量%を超える充填剤系、及び
反応開始剤系を含み、
該硬化性組成物が、約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示す、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項11】
硬化性組成物が、
少なくとも一つのエチレン性不飽和成分を含む樹脂系、
少なくともその一部が、約50ナノメートル以下の平均一次粒径を有するナノスケール粒子を含む無機材料である、50重量%を超える充填剤系、
反応開始剤系、及び
界面活性剤系を含む、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項12】
硬化性組成物が、
モノ−、ジ−、もしくはポリ−アクリレート類及びメタクリレート類、不飽和アミド類、ビニル化合物、並びにそれらの組み合わせから成る群から選択される、非晶性成分、
ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリオレフィン類、ポリチオエーテル類、ポリアリールアルキレン類、ポリシラン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、並びに結晶性ペンダント部位及び以下の一般式を有する高分子材料を含む樹脂系、
【化1】

(式中、Rは水素、又はC1〜C4アルキル基であり、Xは−−CH2−−、−−C(O)O−−、−−O−C(O)−−、−−C(O)−NH−−、−−HN−C(O)−−、−−O−−、−−NH−−、−O−C(O)−NH−、−HN−C(O)−O−、−−HN−C(O)−NH−−、又は−−Si(CH32−−であり、
mはポリマーの繰り返し単位の数であり、及び
nは結晶性領域もしくは部位を含有するポリマーを形成するために十分な側鎖長もしくは配座、及びそれらの組み合わせをもたらすのに十分である)
60重量%を超える充填剤系、及び
反応開始剤系を含み、
ここで該硬化剤組成物が約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示すが、ただし充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は該硬化性組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項1に記載の歯科用物品。
【請求項13】
硬化性組成物が、
以下の式の結晶性組成物を含む樹脂系、
【化2】

(式中、Qは独立してポリエステルセグメント、ポリアミドセグメント、ポリウレタンセグメント、ポリエーテルセグメント又はそれらの組み合わせを含む)
充填剤系、及び
反応開始剤系を含む、請求項1記載の歯科用物品。
【請求項14】
小臼歯及び大臼歯から成る群から選択される自立形側汎用外形を備える予備成形済歯冠であって、
側汎用外形が顔−舌方向及び近位−遠位方向の両方に対称面を備え、
該予備成形済歯冠が、側汎用外形が左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む予備成形済歯冠、
を含む歯科用物品。
【請求項15】
側汎用外形が顔−舌方向に対称面を有する、切歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠、
側汎用外形が顔−舌方向に対称面を有する、犬歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠、
側汎用外形が顔−舌方向に対称面を有する、小臼歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠、
側汎用外形が顔−舌方向に対称面を有する、大臼歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠、及び
歯科用物品セットを含有する包装を含み、
予備成形済歯冠セット中の各々の予備成形済歯冠が、側汎用外形が左側特有又は右側特有に調節された外形を形成し得るような十分な展性を有する硬化性組成物を含む、歯科用物品セット。
【請求項16】
小臼歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠が、近位−遠位方向に対称面を有する、請求項15に記載のセット。
【請求項17】
大臼歯の自立形側汎用外形を備えた1以上の予備成形済歯冠が、近位−遠位方向に対称面を有する、請求項15に記載のセット。
【請求項18】
硬化性組成物が、15℃〜38℃の温度において、左側特有又は右側特有に調節された外形を形成するような十分な展性を有する、請求項15に記載のセット。
【請求項19】
硬化性組成物が本質的に非金属材料から成る、請求項15に記載のセット。
【請求項20】
予備成形済歯冠セット中の各々の予備成形済歯冠が、本質的に硬化性組成物から成る、請求項15に記載のセット。
【請求項21】
硬化性組成物が、結晶性成分を含む樹脂系、60重量%を超える充填剤系、及び反応開始剤系を含み、該硬化性組成物が、約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示すが、ただし充填剤が繊維を含む場合、該繊維が該硬化性組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項15に記載のセット。
【請求項22】
硬化性組成物が、結晶性成分を含む樹脂系、70重量%を超える充填剤系、及び反応開始剤系を含むが、ただし充填剤が繊維を含む場合、該繊維が該硬化性組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項15に記載のセット。
【請求項23】
硬化性組成物が、樹脂系、少なくともその一部が約50ナノメートル以下の平均一次粒径を有するナノスケール粒子を含む無機材料である充填剤系、界面活性剤系、及び反応開始剤系を含む、請求項15に記載のセット。
【請求項24】
硬化性組成物が、
少なくとも一つのエチレン性不飽和成分及び結晶性成分を含む樹脂系、
60重量%を超える充填剤系、及び
反応開始剤系を含み、
該硬化性組成物が約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示す、請求項15に記載のセット。
【請求項25】
硬化性組成物が、
少なくとも一つのエチレン性不飽和成分を含む樹脂系、
少なくともその一部が、約50ナノメートル以下の平均一次粒径を有するナノスケール粒子を含む無機材料である、50重量%を超える充填剤系、
反応開始剤系、及び
界面活性剤系を含む、請求項15に記載のセット。
【請求項26】
硬化性組成物が、
モノ−、ジ−、もしくはポリ−アクリレート類及びメタクリレート類、不飽和アミド類、ビニル化合物、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、非晶性成分、
ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリオレフィン類、ポリチオエーテル類、ポリアリールアルキレン類、ポリシラン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、並びに結晶性ペンダント部位及び以下の一般式を有する高分子材料、を含む樹脂系
【化3】

(式中、Rは水素、又はC1〜C4アルキル基であり、Xは−−CH2−−、−−C(O)O−−、−−O−C(O)−−、−−C(O)−NH−−、−−HN−C(O)−−、−−O−−、−−NH−−、−O−C(O)−NH−、−HN−C(O)−O−、−−HN−C(O)−NH−−、又は−−Si(CH32−−であり、
mはポリマー中の繰り返し単位の数であり、及び
nは結晶性領域もしくは部位を含有するポリマーを形成するための側鎖長もしくは配座、及びそれらの組み合わせをもたらすのに十分である)
60重量%を超える充填剤系、及び
反応開始剤系、を含み、
該硬化性組成物が、約15℃〜38℃の温度において十分な展性を示すが、ただし充填剤系が繊維を含む場合、該繊維は該硬化性組成物の総重量に対して20重量%未満の量存在する、請求項15に記載のセット。
【請求項27】
硬化性組成物が、
以下の式の結晶性組成物を含む樹脂系、
【化4】

(式中、各々のQが独立にポリエステルセグメント、ポリアミドセグメント、ポリウレタンセグメント、ポリエーテルセグメント、又はそれらの組み合わせを含む)
充填剤系、及び
反応開始剤系、を含む、請求項15に記載のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−539272(P2008−539272A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509165(P2008−509165)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/016197
【国際公開番号】WO2006/119003
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】