説明

層状の複合体止血用装置

本発明は、少なくとも2つの向かい合った主表面領域を有する生体吸収性布地又は不織布基材と、前述の基材の1つの主表面上に積層されている連続性の非多孔質ポリマー系フィルムと、を含む、止血用複合構造体に関する。生体吸収性布地基材は、酸化多糖類であってもよく、及び/又は不織布基材は、生体吸収性の非セルロース由来のポリマーから作製されてもよい。連続性の非多孔質ポリマー系フィルムは、生体吸収性ポリマーであってもよい。本発明は、本明細書に記載の複合構造体を止血装置の必要な創傷部位上に適用することによって止血をもたらす方法であって、フィルム層を有さない基材の主表面は、創傷部位上に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層状の止血用複合構造体に関する。本発明は、1つの面上に連続性の非多孔質ポリマー系フィルムで積層された布地又は不織布基材を含む止血用複合構造体に関する。布地又は不織布基材、及び連続性の非多孔質ポリマー系フィルムの複合構造体は、布地又は不織布基材単体よりも著しく良好な止血性能をもたらす。より具体的には、本発明の止血用複合構造体は、最も小さい嵩高性(低い輪郭)を有し、ポリマーフィルムは低い軟化点、すなわち融点を有し、比較的低い処理温度での積層を可能にする。
【背景技術】
【0002】
出血の制御は、失血を最小限にし、手術後の合併症を低減させ、かつ手術室における手術の時間を短くするために、外科的処置において必須かつ重要である。その生分解性及びその殺菌性、並びに止血特性により、酸化されカルボン酸部分を含有するセルロースは、以下、カルボキシル−酸化セルロースと呼ばれ、神経外科、腹部手術、心臓血管手術、胸部外科、頭部及び頸部手術、骨盤手術、並びに皮膚及び皮下組織処置などの様々な外科処置において局所性止血用創傷包帯として長い間使用されてきた。
【0003】
現在使用されている止血用創傷包帯は、カルボキシル−酸化セルロースを含む編布又は不織布を含む。現在採用されている酸化再生セルロース(ORC)は、反応性カルボン酸基を含むカルボキシル−酸化セルロースであり、これは処理されてセルロース繊維の均一性を高める。かかる止血用創傷包帯の例には、Surgicel(登録商標)吸収性止血材;Surgicel Nu−Knit(登録商標)吸収性止血材、及びSurgicel(登録商標)繊維状吸収性止血材が挙げられ、全てJohnson & Johnson Wound Management Worldwide(Ethicon,Inc.,Somerville,N.J.,Johnson & Johnson Companyの一部門である)から入手可能である。カルボキシル−酸化セルロースを含有する市販の吸収性止血材の他の例には、Becton Dickinson and Company(Morris Plains,New Jersey)からのOxycel(登録商標)吸収性セルロース外科用包帯が挙げられる。上記の酸化セルロース止血材は、止血をもたらすのに効果的な多孔質構造体を有する編布である。それらは良好な引張強度及び圧縮強度を呈し、かつ可撓性であり、よって特定の処置が実施される間、医師が効果的に止血材を適所に配置し、かつ包帯を操作することができる。
【0004】
米国特許出願公開第2006/051398号は、接着防止配合物中のフィルムとして使用するためのポリ(エチレンジグリコラート)(PEDG)の完全に非晶質のコポリマー及びグリコリドについて記載している。この出願は、改良された止血特性を達成するために、止血製品との組合せでこのフィルムを使用することに関しては述べていない。
【0005】
米国特許第6,500,777号は、セルロース布地を備えるセルロースフィルム(フィルム間に挟まれている)を含む接着防止バリアとして使用するためにORC(酸化再生セルロース)多層フィルムを形成し、その後多層フィルムを酸化する方法を記載している。フィルムはORC布地の両面上に配置される。更なる酸化に供されるセルロースフィルムは、連続性の非多孔質ポリマー系フィルムのものではない。更に、この装置の目的用途は接着防止であり、止血における使用に関しては説明していない。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0254091号は、両面を親水性の非合成の生物由来ポリマーフィルムでコーティングされたナノ繊維の電解紡糸層を含む、多層接着剤防止バリアについて記載している。この装置は接着防止を意図している。この参照文献は、ポリマーフィルムの特定の側性について取り上げている止血用途については説明していない。
【0007】
米国特許第7,238,850号は、創傷から血液を吸収することによって出血を止めるための多層多機能止血ツールについて記載しており、これは、創傷面上の透水性内側材料と、創傷面から離れる面上の不透水性の外側材料と、内側材料と外側材料との間のパルプ−コットンが積層された本体と、パルプ−コットンが積層された本体と不透水性外側材料との間の、透水性内側材料及びパルプ−コットンが積層された本体を通過してきた血液を分散するための外皮と、この外皮によって分散される血液を吸収するためのポリマーと、含む、積層体を含む。しかしながら、この参照文献は、非晶質、すなわち低結晶化度の吸収性ポリマーから作製された上部の非多孔性の連続性フィルム層を有することについては説明していない。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0113849号は、非吸収性材料と、第1吸収速度を有する第1吸収性材料と、第1吸収速度よりも速い吸収速度を有する第2吸収性材料と、を含む、人工装具修復装置について記載している。あるいは、非吸収性材料は、第1吸収速度を有する第1吸収性構成要素で封入されている。この装置は非吸収性構成要素を有し、ヘルニア回復処置を目的としており、止血用装置としての使用に関しては説明していない。
【0009】
米国特許出願公開第2006/0257457号は、第1吸収性不織布、第2吸収性織布若しくは編布を含む改良された吸収性多層止血用創傷包帯を作製する方法に関し、これはまた止血剤としてトロンビン及び/又はフィブリノゲンを含む。この参照文献は、非多孔質で連続性のフィルム構成要素を有することについては説明していない。
【0010】
Ethiconに付与された米国特許第7279177(B2)号は、カルボキシル−酸化セルロースから作製され、並びに第1表面と、第1表面と反対側の第2表面と、止血材としての使用に効果的な可撓性、強度、及び多孔性を含む布地と、を含む繊維性布地基材を採用し、第1表面及び第2表面上で、かつ布地にわたって実質的に均一に分散された多孔性のポリマーマトリックスを更に有する止血材創傷包帯に関し、この多孔質のポリマーマトリックスは、生分解性で水溶性、すなわち水膨張性セルロースポリマーから作製され、布地の上及びこれにわたってポリマーマトリックスを分散する前に、布地は約3重量%以上の水溶性オリゴ糖を含有する。この参照文献は、非多孔質で連続性のフィルムを有することについては説明していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
止血を達成する時間を減少させることは、失血を減じ、処置を加速させるために臨床的に非常に意義がある。軽度〜中程度の出血の場合に、市販の既存製品の大半は約4〜8分の時間枠で止血を達成する。これに加えて、多くの製品は、それらが外科的処置中に、特に血液又は他の流体の存在下で皺になり、折り重なるため、理想的な取り扱い特性を有していない。特に腹腔鏡処置での使用により良好な機械的特性を有する止血用装置に対する医療の必要性が残っている。最後に、多層で使用されたときに、一部の製品又は粒子状の形状にあるものは分解する場合があり、又はそれらの部分は適用処置中に移動する場合がある。手術中の失血を低減するために、より速い止血を達成する明らかな医療の必要性、並びに改善された取り扱い性能、及び適用後に定位置に留まる改善された能力に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、1つの面上に連続性の非多孔質のポリマー系フィルムを積層された布地又は不織布基材を含む止血用複合構造体を提供する。布地又は不織布基材、及び連続性の非多孔質ポリマー系フィルムの複合構造体は、ORC又は非ORC基材のみよりも著しく良好な止血能力をもたらす。有利なことに、本発明の装置は、最も小さい嵩高性(低い輪郭)を有するべきであり、ポリマーフィルムは比較的低い処理温度での積層を可能にするために低い軟化点、すなわち融点を有するべきである。更に、連続性の非多孔質ポリマーフィルム構成要素(吸収性又は非吸収性)は更に、組織支持を提供し、創傷治癒の助けとなり、薬物(活性物質)送達キャリアとして機能するなどのように設計されてもよい。
【0013】
本発明は、少なくとも2つの向かい合った主表面領域を有する生体吸収性布地又は不織布基材と、前述の基材の1つの主表面上に積層されている連続性の非多孔質ポリマー系フィルムと、を含む、止血用複合構造体に関する。生体吸収性布地基材は、酸化多糖類であってもよく、及び/又は不織布基材は、生体吸収性の非セルロース由来のポリマーから作製されてもよい。連続性の非多孔質ポリマー系フィルムは、生体吸収性ポリマー、例えばポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)、ポリ(エトキシエチレンジグリコラート−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(b−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、並びにこれらのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーであってもよい。
【0014】
一実施形態では、基材は、酸化再生セルロースを含有し、連続性の非多孔質トップコートフィルムは、ポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)を含むコポリマーである。
【0015】
他の実施形態では、基材の厚さは0.05〜0.75mmであり、基材の密度は0.05〜0.6g/cm3である。他の実施形態では、基材の厚さは約0.05〜2mmである。更に他の実施形態では、基材の厚さは0.05〜0.25g/cm3である。更に他の実施形態では、フィルムは約0.5〜2ミル(0.013〜0.05mm)の範囲の厚さを有する。
【0016】
止血用複合構造体は所望により、生物活性剤、例えば凝血促進酵素、タンパク質及びペプチド、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化因子阻害因子、血小板活性化剤、止血作用を有する合成ペプチド、上記の誘導体、並びにこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される止血剤を含む止血剤などを更に含み得る。一実施形態では、止血剤は、トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンからなる群から選択される。
【0017】
一実施形態では、フィルム層は、完全に非晶質又は半結晶性の吸収性ポリマーであるポリマー材料から作製される。他の実施形態では、フィルム層は、120℃を下回る、より好ましくは110℃未満の融点の温度を有するポリマー材料から作製される。他の実施形態では、フィルム層は、約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー材料から作製される。
【0018】
本発明は、本明細書に記載の複合構造体を止血装置の必要な創傷部位上に適用することによって止血をもたらす方法であって、フィルム層を有さない基材の主表面は、創傷部位上に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された布地基材の上面図の走査電子顕微鏡の画像(50倍)。
【図1b】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(50倍)。
【図1c】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(150倍)。
【図1d】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層されたより密度の高い布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(350倍)。
【図2a】1ミル(0.025mm)のポリマーフィルムで積層された、より密度の高い布地基材の上面図の走査電子顕微鏡の画像(50倍)。
【図2b】1ミル(0.025mm)のポリマーフィルムで積層された、より密度の高い布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(50倍)。
【図2c】1ミル(0.025mm)のポリマーフィルムで積層された、より密度の高い布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(150倍)。
【図2d】1ミル(0.025mm)のポリマーフィルムで積層された、より密度の高い布地基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(350倍)。
【図3a】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された不織布基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(50倍)。
【図3b】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された不織布基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(150倍)。
【図3c】2ミル(0.05mm)のポリマーフィルムで積層された不織布基材の断面図の走査電子顕微鏡の画像(350倍)。
【図4】基材の厚さ及びそれらの対応する密度の関数として、本発明の装置の止血の相関を示すグラフ。グラフ上の数の凡例は、表4に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願者らは、基材として布地又は不織布材料を使用する、以下により詳細に記載されている特定の止血用複合構造体を発見し、ここで布地又は不織布基材は、生体適合性及び生分解性ポリマーから調製される繊維と、連続性の非多孔性ポリマーフィルム層と、を含む。ポリマーフィルム層と反対の基材表面は創傷表面に適用される。以下に記載される複合構造体は、止血材としての使用に適した特性、例えば強度及び可撓性を有する。本発明の止血用複合構造体は、止血を必要とする創傷に適用されたときに、効果的な止血をもたらし、これを維持する。本明細書で使用するとき、効果的な止血は、止血の当業者によって理解されているように、毛管、静脈性、又は細動脈の出血を実行時間内に制御し、及び/又はこれを減少させる能力である。
【0021】
以下に記載の複合構造体は改善された止血をもたらし、止血を達成するための時間の短縮を意味し、これは大きな臨床的意義を有する。本発明は、従来の止血を大いに上回る改善された止血速度を提供する。
【0022】
以下に記載の複合構造体は、外科的適用及び設定により良い取り扱い特性を呈する。多くの布地又は不織布系止血材は、それらが外科手術処置中に、特に血液又は他の流体の存在下で皺になり、折り重なるため、理想的な取り扱い特性を有していない。本発明の基材/フィルム複合体は、かかる挙動を最小限にする。更に、フィルムの存在は布地又は不織布基材系材料の機械的強度及び柔軟性を改善し、腹腔鏡処置で使用するために、それらの適合性を向上させる。腹腔鏡処置では、複合体は、基材又はフィルム構成要素のいずれかを個々にするよりも、より容易にトロカールを通じて押され、体腔内でバネにより開くものと期待されている。
【0023】
以下に記載の複合構造体は、既存の止血装置と比較して外科的処置中に定位置に留まる、より大きな傾向及び/又は性能を呈する。例えば、いくつかの布地系製品は多層で使用されるとき、又は不織布形体のこれらのものは分解する場合があり、あるいはそれらの部分は適用処置中に移動する場合がある。本発明の基材/フィルム複合体の構造は、止血材料の物理的一体性を維持するのに役立ち、よって処置中にそれが時期尚早に崩壊したり、湾曲したり、又は移動することはない。この複合構造体の他の利点は、装置が定位置に縫合され得るということである。
【0024】
本発明の複合構造体装置はまた、更なる外科的機能性(例えば組織の支持を提供する、創傷の治癒を助ける、及び/又は生物活性剤のための送達キャリアとして機能する)のために、フィルム複合体を使用する可能性を提供する。
【0025】
上述のとおり、本発明の止血用複合構造体は、止血用複合構造体の第1創傷接触表面上に布地又は不織布基材を含み、止血用複合構造体の第2表面上で連続性の非多孔質ポリマー系フィルムで積層されている。本明細書で使用するとき、基材は、創傷表面に直接接触している止血用複合構造体の構成要素を指す。本発明に使用される基材は、止血用複合構造体で使用するために必要な形体及び形状、並びに機械的増強を提供する布地/織布又は不織布であってもよい。更に、基材は止血特性を有し、かつ生体吸収性である材料から作製される。
【0026】
本明細書に使用するとき、生体吸収性、「生体分解性」及び「生体吸収性は」、自然に、及び/又は哺乳類の体によって、成分に分解される材料を指し、それは、損傷治癒及び/又は組織再生を有意に妨げず、いかなる有意な代謝障害ももたらさない方法で消費又は排出される。
【0027】
本発明の止血用複合構造体内の布地又は不織布基材を調製するのに有用なポリマーは、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。好ましい繊維は、酸化再生多糖類、具体的には酸化再生セルロースを含む。
【0028】
好ましくは、酸化多糖類は本発明の創傷包帯を調製するのに使用される。より好ましくは、酸化セルロースは本発明の創傷包帯に使用される布地を調製するのに使用される。セルロースは、それぞれが本明細書に定義され、記載されているように、カルボキシル−酸化セルロースであってもよく、又はアルデヒド−酸化セルロースであってもよい。更により好ましくは、酸化再生セルロースは本発明の創傷包帯に使用される布地を調製するのに使用される。再生セルロースは、再生されていないセルロースに比べて、そのより高い均一性のために好ましい。再生セルロース及び再生酸化セルロースの製造方法についての詳細な記載は、米国特許第3,364,200号及び同第5,180,398号に説明されており、その各内容は参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。よって、再生酸化セルロース及びこれを製造する方法は十分に、止血用創傷包帯の当業者の知識範囲内である。
【0029】
従来の止血用の創傷包帯に使用される基材又は布地、例えばSurgicel(登録商標)吸収性止血材;Surgicel Nu−Knit(登録商標)吸収性止血材;及びSurgicel(登録商標)繊維状吸収性止血材(全てJohnson & Johnson Wound Management Worldwide(Ethicon,Inc.,Somerville,N.J.,Johnson & Johnson Companyの一部門である)から入手可能)、並びにBecton Dickinson and Company(Morris Plains,N.J.)からのOxycel(登録商標)吸収性セルロース外科用包帯は全て、本発明による創傷包帯を調製するのに使用され得る。特定の実施形態では、本発明の創傷包帯は、重症な出血の場合に止血をもたらし、これを維持するのに効果的である。本明細書で使用するとき、重症の出血とは、比較的速い速度で、比較的大量の血液が失われる出血の場合を含むことを意味する。重症の出血の例には、動脈穿刺、肝臓切除、肝臓の鈍的外傷、脾臓の鈍的外傷、大動脈瘤、過剰な抗凝固薬療(over-anticoagulation)による患者からの出血、凝結障害、例えば血友病を有する患者からの出血が挙げられるが、これらに限定されない。かかる創傷包帯は、例えば診断又は介入血管内処置に続くケアの従来の基準よりも、患者がより早く歩き回るのを可能にする。
【0030】
本発明に使用されている布地基材は、布地が止血用創傷包帯で使用するのに必要な物理的特性を有するならば、織布又は不織布であってもよい。好ましい織布は、止血用創傷包帯のための形体及び形状を提供する、密度が高く編まれた構造体を有する。かかる布地は、例えば、米国特許第4,626,253号、同第5,002,551号及び同第5,007,916号に記載されており、その内容は参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0031】
不織布基材は、メルトブローン、電解紡糸、ニードルパンチ方法によって製造することができ、それらは好ましくは吸収性ポリマーから作製され得る。より具体的に、吸収性不織布は、セルロース材料由来ではない繊維から構成され、例えば脂肪族ポリエステルポリマー、コポリマー、又はこれらのブレンドを含む。脂肪族ポリエステルは、典型的には乳酸、ラクチド(L−、D−、メソ形、及びD、L混合物を含む)、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、及びトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)を含むがそれらに限定されないモノマーの開環重合において合成される。不織布基材の実施例は、米国特許出願公開第2009/0104276号及び同第2006/0258995号に記載されており、それらの内容は、参照することによりその全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0032】
不織布の製造に既知である他の方法を用いてよく、それらはエアレイイング、湿式形成及びステッチボンディングのような加工が挙げられる。
【0033】
基材の厚さは、約0.05〜2mm、好ましくは0.25〜0.75mmの範囲である。厚さは、従来、繊維産業で一般に、特に不織布で使用されているASTM方法(D1777−64)に従って測定される。基材の布地密度は、約0.05〜0.6g/cm;好ましくは約0.15〜0.5g/cmの範囲である。布地密度は、布地の厚さに対する布地の坪量(base weight)の割合として定義される。坪量は、1cm×1cm平方の片の布地の重量として定義される。
【0034】
同等の物理的特性を生じさせる他の布地構造体は当然、本発明の改善された布地又は不織布基材、及び止血用複合構造体の製造で使用されてもよく、かかる構造体は当業者にとって明らかであろう。
【0035】
上記のとおり、本発明の止血用複合構造体は、第2の、かつ止血用複合構造体の反対の創傷表面の織布又は不織布基材の表面上に積層された連続性の非多孔質ポリマーフィルムを含む。第2の、かつ創傷の反対側の表面上にポリマーフィルムを有することは、更なる機械的バリアを提供し、止血が最初に達成され時点で、創傷から血液が漏れるのを防ぐ。本発明による好ましいポリマーフィルムは、比較的低い融点温度(120℃を下回る、好ましくは110℃未満の)の、完全に非晶質又は半結晶性の吸収性ポリマーであり、低いプロセス温度の使用を可能にし、これは、基材材料が分解せずに保持するのに大いに役立つ。本発明のポリマーフィルムはまた、止血用複合体が、組織若しくは身体の輪郭に対して柔らかく、柔軟で、かつ快適であるために、示差走査熱量測定によって測定されたとき、比較的低い(およそ室温25℃以下)ガラス転移温度を有する必要がある。
【0036】
本発明の創傷包帯内の積層フィルムを調製するのに使用されるポリマーは、好ましくは生体適合性合成吸収性ポリマーである。より好ましくは、本発明のポリマーは完全に非晶質であり(0%結晶化度)、又は低融点半結晶性ポリマーであり、上記の目的のために、プロセスが比較的低い温度で実施されるのを可能にする。これは、ORC系基材が積層プロセスの持続時間に、より高い温度(例えば100℃)で露出されている間分解する可能性があるため重要である。更により好ましくは、ポリマーフィルムは、身体及び組織を良好に覆い、かつこれにぴったりと合わせるために、柔らかく、柔軟で、弾性であるために比較的低いガラス転移温度(例えば室温、又はそれ以下)を有する必要がある。更により好ましくは、ポリマーフィルムは、比較的速く(例えば、約2〜4週間、これはORC系基材の吸収速度よりもわずかに長いが、患者の快適性を助けるため、及び長期の感染の可能性を限定するためには依然として速い)吸収する/加水分解する必要がある。最後に、ポリマーフィルムがORC系基材上に積層された場合、本発明のポリマーフィルムは、複合構造体及び任意に関連のパッケージを減菌するのに十分なレベル(例えば約10〜40kGy)においてγ又は電子ビーム照射処置の際に最低限の分解を呈する必要がある。
【0037】
フィルムの厚さは様々であってもよく、止血の性能に優位な影響を有するようには見えない。それにもかかわらず、フィルムが薄すぎる場合、基材単体に対する複合体構造の機械的強度における改善はわずかである。他方では、フィルム層が厚すぎる場合、複合構造体は硬すぎて取り扱いが難しい。本出願者は、好ましいポリマーフィルムの厚さは0.5〜2ミル(0.013〜0.05mm)(1ミル=インチ/1000)の範囲であるということを見出した。
【0038】
基材を積層するのに使用される好ましいポリマーは、ポリ(エチレンジグリコラート)(PEDG)、ポリ(エトキシエチレンジグリコラート)(PEEDG)、グリコリド、ラクチド、p−ジオキサノン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート及び上記の任意のものの誘導体のポリマー及びコポリマーが挙げられる。かかる吸収性ポリマーの実施例は、米国特許出願公開第2009/0118241号、同第2009/0104276号、同第2008/0103284号、同第2007/0149640(A1)号に教示され、各開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
第1吸収性不織布は、第2織布又は編布に直接又は間接的のいずれかで接着される。例えば、ポリマーフィルムは、熱積層(カレンダー加工)、ニードルパンチング、エンボス加工を介して、又は化学的若しくは熱接着によって吸収性織布又は編布に組み込まれてもよい。より好ましくは、本発明の止血用複合体装置は、例えば基材(ORC又は不織布)の一面をフィルムと接触させ、この基材及びフィルムを、基材の一部がフィルム構成要素に接着されるように加熱することによって作製され得る。
【0040】
より具体的には、本発明の止血用複合体装置は、公称直径8インチ(20.3cm)及び最高170℃までの加熱性能を備える金属ローラーを有する積層システムを使用して調製されてもよい。金属ローラーの回転速度は1分当たり1〜10フィート(1分当たり30〜305cm)と様々であってもよい。積層システムはまた、ジュロ硬度40及び圧力負荷がリニアフット当たり最高150ポンド(リニアセンチメートル当たり22.2ニュートン)までを備える柔らかい面のポリウレタン加圧ローラーを含む。フィルムの一方の面は、第1シリコーン系剥離紙で被覆されてもよく、一方でフィルムのもう一方の面は基材の一方の面と接触して配置されてもよい。第2剥離紙は、構成要素が積層システムのローラーに貼り付くのを防ぐために基材の上面に配置された。第1剥離紙/フィルム/基材/第2剥離紙の構造体は、温度50〜120℃、及び1分当たり1〜2フィート(1分当たり30〜61cm)で動くように設定された金属ローラーを備える積層システムに配置され得る。その一方で、第1剥離紙が加熱された金属ローラーに接触した状態で(これは強制的にフィルム表面の小さな部分が基材内に移動させることができる)、加圧ローラーは、加圧ローラーの面にわたって配置されるリニアインチ当たり70ポンド(リニアセンチメートル当たり122.4ニュートン)の負荷を適用するように設定されてもよい。例えば、図1〜3の様々な止血用複合体のSEM画像を参照のこと。
【0041】
一般に、より高い温度及び/又はより遅いローラー速度は、フィルムが基材内に侵入するのを可能にし、接着をより強いものにする。ORC基材が使用されるとき、金属ローラー温度をできるだけ低く保持してORC構成要素の分解を避けることが重要である。したがって、上記のとおり、低融点及び比較的低いガラス転移温度を備える完全に非晶質又は半結晶性フィルムが、この方法で使用するには好ましい。
【0042】
本発明の特定の実施形態では、止血用複合構造体は、本明細書で以下により詳細に記載されているように、薬及び薬剤を含む止血剤、又は他の生物学的又は治療化合物、部分又は種を更に含み得る。薬剤はポリマーマトリックス内に、並びに布地表面及び/又は布地内に結合されてもよい。薬剤は、それらが体内の血液と接触したとき、創傷包帯から移動しないように結合されるならば、化学的又は物理的手段によって結合されてもよい。止血剤は、織布及び/又はポリマーマトリックスを通じて部分的に、又は均一に分散されてもよい。本発明の一部の実施形態では、止血剤又は他の生物学的若しくは治療用化合物、部分又は種(例えば薬剤)、及び薬剤は、「酸感受性」である場合があり、これは、酸性のpHによって分解される、又は変性される、ないしは別の方法で悪い影響を受けること(例えば従来のカルボン酸−酸化止血用創傷包帯によって提供される場合など、)を意味する。
【0043】
本発明による止血用複合構造体に使用され得る止血剤は、凝血促進酵素、タンパク質及びペプチドを含むがこれに限定されず、天然であっても、遺伝子組換え型であっても、又は合成であってもよく、並びにプロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化因子阻害因子、血小板活性化剤、止血作用を有する合成ペプチド、上記の誘導体、並びにこれらのいずれかの組合せからなる群から選択されてもよい。本発明において使用される好ましい止血剤は、トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンである。
【0044】
本発明のかかる止血用複合構造体は、重症の出血の場合に急速な止血をもたらし、効果的な止血を保持するのに有効な量でトロンビン、フィブリノゲン、又はフィブリンを含むがこれに限定されない止血剤を含む。創傷包帯における止血剤の濃度が低すぎる場合、止血剤は、血液又は血漿との接触で急速な血塊形成を促進する効果的な凝血原活動を提供しない。薬剤は、基材又はフィルム構成要素のいずれかに組み込まれてもよい。
【0045】
本明細書に記載される積層された止血用複合構造体は、気体、液体、又は固体の潜在的な漏れを密封するために、並びに止血をもたらすために主要な創傷閉鎖装置(例えば動脈閉鎖装置、ステープル、及び縫合)に対する添加剤として使用されてもよい。例えば、多層状の包帯が、器官及び組織からの組織又は流体(胆汁、リンパ液、脳脊髄液、胃腸液、間質液、及び尿を含むがこれに限定されない)から空気を密封するために使用されてもよい。本明細書に記載の積層された止血装置は更なる医療用の用途を有し、並びに、組織強化及び補強(すなわち、胃腸又は血管吻合のため)、近接(すなわち、実施するのが難しい吻合接続(すなわち張力下において)のため)、及び張力開放を含むがこれらに限定されない様々な重要な機能のために使用されてもよい。包帯は、上記の事象全てにおいて、自然の組織治癒プロセスを更に促進し、場合によってはこれを強化する。この包帯は、心臓血管、末梢血管、心胸郭、婦人科、神経及び一般手術を含むが、これらに限定されない、多種の手術において内部で使用することが可能である。包帯はまた、医療用装置(例えば、メッシュ、クリップ、及びフィルム)を組織に、組織を組織に、又は医療用装置を医療用装置に取り付けるために使用されてもよい。
【0046】
本発明の止血用複合構造体は、走査電子顕微鏡によって準備された図に一番良く例示されている。実施例は、レーザーを使用して1−cm包帯の区分を切断することによって準備された。第1表面及び反対側の第2表面の両方の顕微鏡写真、並びに断面図が準備され、カーボン塗料を使用して、カーボンスタブに搭載された。試料は金スパッタリングされ、高真空下4KVで走査電子顕微鏡(SEM)によって調査された。異なる基材/ポリマーフィルムの組合せのSEM画像が図1〜3に示されている。
【0047】
以下の実施例は本発明の特定の実施形態を示すが、それらは本発明の範囲を限定するものとしてではなく、発明を十分に説明するのに寄与するものとして解釈すべきである。
【実施例】
【0048】
実施例1:ヒドロキシ末端ポリ(エチレンジグリコラート)(PEDG)の(ポリマーフィルム出発原料の第1段階)合成
コンデンサを備えた噛合するパターン形成されたブレードを有する2つの攪拌反応容器を使用して、ジブチルすずオキシドを触媒として使用しながら、ジグリコール酸及びエチレングリコールの重縮合生成物を調製する。反応器をジグリコール酸7.0kg、エチレングリコール9.7kg、及びジブチルすずオキシド触媒1.30gで充填した後、反応器内の圧力は1Torr(133.3Pa)以下と低く一晩保った。翌日、真空を乾燥窒素/アルゴンで開放する。容器の油温度は170℃に設定され、コンデンサの水は1〜2GPMに設定され、コンデンサの上限/下限の熱は95℃/50℃に設定される。攪拌機は、逆回転で30RPMに設定される。反応器内の温度が150℃に到達したとき、攪拌速度は75RPMに上昇され、正転に切り替えられる。ほぼ全ての水が蒸溜され、及び/又はエチレングリコールの最初のトレースが留出物に現れるまで、反応は170℃で数時間実行される。この時点で、第1窒素/アルゴン段階が完了され、圧力はゆっくりと段階的に完全真空まで下げられ、その一方で、バッチの温度は175〜180℃で維持される。Brookfield溶解物粘度計を使用して、ヒドロキシ末端保護されたポリマーの粘度を定期的に確認し、特定の分子量の最終産物を確保する。真空下で十分な反応時間を費やした後(68時間、最終真空読み取り値150〜200mTorr(20.0〜26.7Pa))、反応は停止され、材料は解析のために送られる。それは約0〜2℃のガラス転移温度を有する、完全に非晶質で、無色の粘稠な液体だった。重量平均分子量は19,000g/モルであり、この樹脂は25℃で0.1g/dLの濃度のHFIPで測定されたとき、0.62dL/gの固有粘度(IV)を呈した。この樹脂は次の共重合段階まで、窒素/アルゴン下で反応器内に保管される。
【0049】
実施例2:(ポリマーフィルム出発原料の第2段階)α,ω−ジヒドロキシポリ(エチレンジグリコラート)ホモポリマーとグリコリドとの共重合、PEDG/Gly
反応器内に残っているヒドロキシ末端ポリ(エチレンジグリコラート)(PEDG)(7.7kg)を、第2段階で、開環重合によってグリコリドモノマーと反応させた(10.3kg)。反応器は、溶解物タンクリザーバを備え、グリコリドモノマーが液体状態で添加できるようにしている。グリコリドを充填する前に、真空を1Torr(133.3Pa)未満に一晩保持し、いずれかの残留水分を取り除く。翌日、樹脂は約150℃まで加熱され、その時点で溶融したグリコリドモノマーは溶融物タンクから攪拌しながら移動された。攪拌器の混合は続けられ(20RPM)、全ての混合が達成されるまでバッチ温度は150℃まで上昇した。その場で、実時間のフーリエ変換近赤外プローブを使用して、触媒、第一スズオクトアート(1.12mLのトルエン溶液、グリコリドと触媒濃度は240,000:1)の添加の前に成分の混合を確実に完了する。温度は次いで210℃まで上昇させ、反応は更に2時間続けられた放出30分前に、真空がゆっくりと引かれ(段階的に)、いずれかの残留物のモノマーを除去する。放出されたコポリマーは完全に非晶質であり、無色でわずかに黄色がかっており、25.5℃のガラス転移温度を有する、重量平均分子量は約35,000g/モルであり、25℃で0.1g/dLの濃度のHFIPで測定されたとき、1.09dL/gの固有粘度が記録された。組成物は、42/58重量のポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)であることがNMRによって確認される。メルト・インデックス測定値は、3700gの負荷を使用してMI=0.152g/10分@150℃であることを明らかにした。
【0050】
放出されたコポリマー樹脂は、研磨段階まで冷凍室に保管された。研磨後、樹脂はport−a−vacs(容量4〜5kg)に配置され、冷蔵庫のキャビンで真空下にて保管された(温度は10℃に設定)。真空下で二週間後、樹脂は更なる処理(押出成形)への準備ができている。
【0051】
実施例3:PEDG/Gly 42/58wt.%コポリマーのフィルム押出成形
実施例2に記載のコポリマーのフィルム押出成形は、ダイギャップ6ミル(0.15mm)を備える6インチ(15.2cm)のダイを使用して、Davis−Standard Extruder(Model KN125,Pawcatuck,CT,USA)上で実施される。押出成形機の温度は、バレルゾーン1での125℃から、バレルゾーン3での150℃までの範囲であり、シートダイ温度は155℃に設定される。押出成形機の圧力(バレル)は2000〜2500psig(13.8〜17.2MPa)に制御される。ネジ回転速度は7.5〜17.9rpmまで変化した。上流、中流、下流のロールは全て周囲条件に保持され、シリコーン系剥離紙が使用されて、押出成形された暖かいフィルムがロールに貼り付くのを防いだ。
【0052】
1ミル及び2ミル(0.025及び0.05mm)の厚さを備える押出成形されたフィルムは、剥離紙間に保持され、真空下で保管される。明記されない限り、止血用複合構造体に使用される1層の基材が存在する。
【0053】
実施例4:ORC基材及びPEDG/Gly 42/58wt%コポリマー複合体を有する止血用複合構造体の調製
厚さ1ミル及び2ミル(0.025mm及び0.05mm)を有する、EDG/Gly 42/58wt.%のコポリマー樹脂から作製されたフィルムは、様々なORC系基材(Surgicel Classic(登録商標)、(実施例4A)及び(4A’;2層)、Surgicel NuKnit(登録商標)、(実施例4B)、Surgicel Fibrillar(登録商標)、(実施例4C)の商標名でEthicon Inc.から入手可能)、並びにORC(実施例4D)から作製された不織布構造体上に、J.J.Jenkins(Matthews,NC,USA)のGodetsの加熱セットを使用して、ニップロール組合せで積層される。50℃〜90℃の範囲の様々なGodetの温度において積層は良好に実施される。完全に非晶質のコポリマーフィルムは、低いプロセス温度の使用を可能にし、これはORC材料が分解されないように保持するのに大いに役立つ。使用されるロール速度は、2ミル(0.05mm)フィルムに関しては概ね1 FPM、及び1ミル(0.025mm)フィルムに関しては2 FPMである。生成された複合体は優れた取り扱い特性を呈し、フィルムの層間剥離は調製された組合せのいずれにも観察されない。図1〜3において示されているSEM画像は布地の表面上で繊維の一部に埋め込まれた(溶融した)フィルムが、非常に強い結合を作っていることを示す。取り扱い特性における最も大きな改善が、2ミル(0.05mm)フィルムを備える実施例4A’で観察されている。第2層の層間剥離又は布地の皺は観察されていない。実施例4Cの場合において、フィルムがそれらを効果的に一緒に保持しているため、布地の個々の部分の崩壊又は破壊は認められなかった。また、濡れた環境の場合、フィルムで積層された面は容易に取り扱うことができ、これはフィルム表面が水分/水の存在に影響を受けにくいからである。積層手順の後、フィルム/ORC基材複合体は、シリコーン剥離紙の間に配置され、更に使用されるまで真空チャンバ内に保管される。
【0054】
実施例5:非ORC基材及びPEDG/Gly 42/58wt%コポリマー複合体を有する止血用複合構造体の調製
PEDG/Gly 42/58フィルムをトップコートとして使用しながら、様々な非ORC基材が積層される。これらの不織布基材は組合せの基材、米国特許出願公開第2006/0258995号に記載のORC布地でニードルパンチされたポリ(グリコリド−コ−ラクチド)(PLGA、グリコリド90/ラクチド10モル/モル)不織布、(実施例5A及び5A’)、ポリ(グリコリド−コ−ラクチド)(PLGA、グリコリド90/ラクチド10モル/モル)不織布(実施例5B)、及び異なる厚さを有する米国特許出願公開第2009/0104276号に記載のメルトブローン不織布25/75 ε−カプロラクトン/グリコリドコポリマー(実施例5C及び5C’)、並びにSurgifoam、吸収性ゼラチンスポンジ(実施例5D)を含む。これらのケース全てにおける積層条件は、上記のとおり実施例4におけるものと同じである。層間剥離のない良好な取り扱いが、非ORC複合材料の全てで観察されている。
【0055】
実施例6:ORC基材及びPDSフィルム複合体を有する止血用複合構造体の調製
厚さ0.8ミル(0.02mm)を有する、未染色のポリ(p−ジオキサノン)PDS樹脂から作製されるフィルムは、様々なORC系基材(商標Surgicel Classic(登録商標)(実施例6A)及び(6A’、2層)、並びにSurgicel NuKnit(登録商標)(実施例6B)でEthicon Inc.から入手可能)上に積層される。積層は120℃のロール温度で良好に実施される。このプロセス温度は、先の実施例(実施例4及び5)で記載されている完全に非晶質のフィルムの場合よりも高く、なぜならばPDSフィルムは約110℃の融点を備える半結晶性材料であるためである。0.8ミル(0.02mm)の未染色のPDSフィルムの積層に使用されるロール速度は2 FPMに保持される。生成された複合体は、特に乾燥条件下で良好な取り扱い特性を呈する。濡れた環境の場合、フィルム面は容易に取り扱うことができ、これはフィルム表面が水分/水の存在に影響を受けにくいからである。しかしながら、濡れた場におけるフィルムの適合性は、PEDG/Gly 42/58フィルムの場合ほど良好ではない。その半結晶性のモルホロジーにより、PDSフィルムは、適用されるとわずかに湾曲する傾向がある。PDSフィルム/ORC複合体は、シリコーン剥離紙の間に配置され、更に使用されるまで真空チャンバ内に保管される。
【0056】
実施例7:ブタ線状切開脾臓モデルを使用した、フィルム/ORC基材及びフィルム/非ORC基材を有する止血用複合構造体の評価
標準的なブタ脾臓モデル上の線状切開(長さ1.5cm、深さ3mm)が使用されて、実施例4〜6に記載のように調製された様々な試験物品の止血データを生成する。各創傷の深さは、適切な深さにおいて一対の針ホルダーにブレードをクランプすることによって一定に保たれる。脾臓の遠位端における第1の創傷は、負の制御として機能し、未処置の創傷の潜在的な出血を実演するために、最低10分間出血させた。第2の創傷は、第1の切開に約1cm近接して作られる。各試験動物当たり、これ及び10〜18の後に続く切開(この数はブタの大きさにより決定される)が試験切開として使用される。
【0057】
切開が作られた後、試験物品(約1.5cm×2.5cm)が、切開の線の上でゲージを使用してわずかな圧力と共に適用され、ストップウォッチが開始された。2分のタンポナーデ時間の終わりに圧力は開放される。ゲージが取り除かれ、創傷は活発な出血のいずれかの兆候について検査される。この手順は約30秒のインターバルが続き、出血(出血(hemorrhage))が完全に停止するまで繰り返される。圧力の最後の開放の時間を、止血が達成された時間として記録する。試験物品それぞれは、大抵の場合、合計3又は4の対応する創傷に適用される。
【0058】
基材が創傷に接触している状態で、及びフィルム面が創傷とは反対側にある状態で、フィルム/ORC及びフィルム/非ORCを有する止血用複合構造体は創傷上に配置される。取り扱い特性で認められた一般的な観察結果、及び手順が完了した後に試験物品が定位置に留まる能力と共に、止血を達成した時間が記録される。ORC上に積層されたフィルムから構成される試験物品上の止血結果の要約が以下の表1に提供される。
【0059】
組合せ基材(ORC布地でニードルパンチされたPLGA不織布)上のフィルム積層されたものから構成される試験物品、5A及び5A’、並びに独占的に非ORC基材上に積層されたものから構成される試験物品(5B、5C、5C’及び5D)の止血結果は表2及び3にそれぞれ示されている。
【表1】

トップコートを有さない止血材と比較したときの止血時間における減少時間。
【表2】

【表3】

【0060】
本発明者らは、単一及び二重層の基材を備えるフィルム/基材複合体が、単一又は二重層の基材、又は2ミル(0.05mm)PEDG/Gly 42/58フィルムが単体で使用された場合よりも、止血を達成するまでに著しく少ない時間を必要とするということを予想外に発見した。表1に示されているように、基材に積層された厚さ1ミル(0.025mm)及び2ミル(0.05mm)のフィルム両方が著しい改善を生み出すように、フィルムの厚さは、止血データに影響しないように思われる。PEDG/Gly 42/58フィルムを異なる吸収性ポリマーフィルム、例えばポリ(p−ジオキサノン)と交換することで、PDSは止血時間において同じ減少を生み出す。
【0061】
止血の改善に加えて、PEDG/Gly 42/58フィルムで積層された基材を有する止血用複合構造体は、単体で使用されたとき、基材又はフィルムと比較してはるかに良好な取り扱い特性、及び定位置に留まる能力を呈する。
【0062】
一方で、はるかに厚いORC基材(例えば実施例4C)上に積層されたPEDG/Gly 42/58フィルムは、基材単体と比較したときに、止血時間において著しい減少は見せず、OCR層の厚さは、本発明の装置の止血性能に重要な役割を果たし得るということを示している。
【0063】
著しく速い止血の傾向はまた、表2に示されるフィルムが積層されたORC/PLGA組合せ基材に関しても観察されている。フィルムを基材のいずれかの面(ORC又はPLGA不織布)上に配置することは比較可能な結果を生み出した。
【0064】
最後に、一連の、布地密度において勾配を有するニードルパンチされたPLGA繊維を含む非ORC基材(積層方法は実施例5におけるものと同一だった)、2つの異なる厚さを有するメルトブローン不織布ε−Cap/Gly 25/75コポリマー、及びSURGIFOAM、吸収性ゼラチンスポンジもまたトップコート積層と共に調査される(表3を参照)。より厚く、より密度の高いメルトブローン不織布ε−Cap/Gly 25/75基材を除き、それらの全ては、トップコートを有さない対応基材よりもより速い止血を示す。
【0065】
実施例8:ORC及び非ORC基材の坪量及び厚さの測定
本発明の複合体を調製するのに使用された様々な基材を特徴付け、これを記載するために、本発明者らはそれらの、平方センチメートル当たりのグラムで表される坪量及び布地の厚さを測定することとした。
【0066】
坪量測定に関して、試料は1cm×1cmの片に切断され、化学天秤によって重さを計測された。厚さは、1.1インチ(2.8cm)のフット(プローブ)直径及び0.6psi(4.1kPa)の圧力で、ASTM方法(「Standard test for thickness of textile materials;Option 1」、D1777)によって測定される。坪量、BW(g/cm)を厚さ、T(cm)で割ることによって、本発明者らは基材の密度の値を入手し、これは積層されたフィルム複合体を特徴づける際の、もう1つの重量なパラメータである。密度に関係なく基材が厚すぎる場合、トップコートフィルムは止血時間に少しの影響も有さないであろう。更に、基材が比較的厚く密度が高い場合、トップコートフィルムの影響はまたごくわずかであろう。布地坪量及び厚さの測定は表4に示されている。
【表4】

【0067】
布地の厚さ対布地の密度のプロットは図4に示されている。有効な止血効果を生み出すことができなかった2つの基材は表4に記載されているように、印の付いた5及び9である。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) a)少なくとも2つの向かい合った主表面領域を有する生体吸収性布地又は不織布基材と、
b)前記基材の1つの主表面上に積層されている連続性の非多孔質ポリマー系フィルムと、を含む、止血用複合構造体。
(2) 前記生体吸収性布地基材は、酸化多糖類である、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(3) 前記不織布基材は、生体吸収性の非セルロース由来のポリマーから作製される、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(4) 前記連続性の非多孔質ポリマー系フィルムは、生体吸収性ポリマーである、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(5) 前記生体吸収性ポリマーは、ポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)(poly(ethylene diglycolate-co-glycolide))、ポリ(エトキシエチレンジグリコラート−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(b−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、並びにこれらのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される、実施態様4に記載の止血用複合構造体。
(6) 前記基材は、酸化再生セルロースを含み、前記連続性の非多孔質トップコートフィルムは、ポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)を含むコポリマーである、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(7) 前記基材の厚さは0.05〜0.75mmであり、前記基材の密度は0.05〜0.6g/cmである、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(8) 前記基材の厚さは約0.05〜2mmであり、前記基材の密度は0.05〜0.25g/cmである、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(9) 生物活性剤を更に含む、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(10) 前記生物活性剤は止血剤である、実施態様9に記載の止血用複合構造体。
【0069】
(11) 前記止血剤は、凝血促進酵素、タンパク質及びペプチド、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化因子阻害因子、血小板活性化剤、止血作用を有する合成ペプチド、上記の誘導体、並びにこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、実施態様10に記載の止血用複合構造体。
(12) 前記止血剤は、トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンからなる群から選択される、実施態様10に記載の止血用複合構造体。
(13) 前記フィルム層は、完全に非晶質又は半結晶性の吸収性ポリマーであるポリマー材料から作製される、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(14) 前記フィルム層は、120℃を下回る、より好ましくは110℃未満の融点温度を有するポリマー材料から作製される、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(15) 前記フィルム層は、約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー材料から作製される、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(16) 前記フィルムは約0.5〜2ミル(0.013〜0.05mm)の範囲の厚さを有する、実施態様1に記載の止血用複合構造体。
(17) 実施態様1に記載の複合構造体を、止血装置の必要な創傷部位上に適用して、止血をもたらす方法であって、前記フィルム層を有さない前記基材の主表面が、前記創傷部位上に適用される、方法。
【図1a−d】

【図2a−d】

【図3a−c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも2つの向かい合った主表面領域を有する生体吸収性布地又は不織布基材と、
b)前記基材の1つの主表面上に積層されている連続性の非多孔質ポリマー系フィルムと、を含む、止血用複合構造体。
【請求項2】
前記生体吸収性布地基材は、酸化多糖類である、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項3】
前記不織布基材は、生体吸収性の非セルロース由来のポリマーから作製される、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項4】
前記連続性の非多孔質ポリマー系フィルムは、生体吸収性ポリマーである、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項5】
前記生体吸収性ポリマーは、ポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)、ポリ(エトキシエチレンジグリコラート−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(b−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレンカーボネート)、ポリ(アミノ酸)、並びにこれらのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される、請求項4に記載の止血用複合構造体。
【請求項6】
前記基材は、酸化再生セルロースを含み、前記連続性の非多孔質トップコートフィルムは、ポリ(エチレンジグリコラート−コ−グリコリド)を含むコポリマーである、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項7】
前記基材の厚さは0.05〜0.75mmであり、前記基材の密度は0.05〜0.6g/cmである、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項8】
前記基材の厚さは約0.05〜2mmであり、前記基材の密度は0.05〜0.25g/cmである、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項9】
生物活性剤を更に含む、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項10】
前記生物活性剤は止血剤である、請求項9に記載の止血用複合構造体。
【請求項11】
前記止血剤は、凝血促進酵素、タンパク質及びペプチド、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化因子阻害因子、血小板活性化剤、止血作用を有する合成ペプチド、上記の誘導体、並びにこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の止血用複合構造体。
【請求項12】
前記止血剤は、トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンからなる群から選択される、請求項10に記載の止血用複合構造体。
【請求項13】
前記フィルム層は、完全に非晶質又は半結晶性の吸収性ポリマーであるポリマー材料から作製される、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項14】
前記フィルム層は、120℃を下回る、より好ましくは110℃未満の融点温度を有するポリマー材料から作製される、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項15】
前記フィルム層は、約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー材料から作製される、請求項1に記載の止血用複合構造体。
【請求項16】
前記フィルムは約0.5〜2ミル(0.013〜0.05mm)の範囲の厚さを有する、請求項1に記載の止血用複合構造体。

【図4】
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【公表番号】特表2013−505109(P2013−505109A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530923(P2012−530923)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/048336
【国際公開番号】WO2011/037760
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】