説明

岸壁クレーン

【課題】脚構造物と、前記脚構造物から上方に延伸したマストと、前記脚構造物に設置したブームと、前記ブームに沿って移動する荷役装置を有する岸壁クレーンにおいて、制振性能の向上を実現し、且つクレーン全体の重量増加を抑えた岸壁クレーンを提供する。
【解決手段】脚構造物2と、脚構造物2から上方に延伸したマスト4と、脚構造物2に設置したブームと、ブームに沿って移動する荷役装置8を有する岸壁クレーン1において、クレーン1が、脚構造物2に対して水平方向にスライド可能なスライド式ブーム3と、スライド式ブーム3を脚構造物2に固定する水平方向固定装置を有しており、地震発生時に、水平方向固定装置を解除し、スライド式ブーム3を脚構造物2に対してスライド自在に制御する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾や内陸地のコンテナターミナルなどで、コンテナの荷役に使用される岸壁クレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾や内陸地等のコンテナターミナルでは、岸壁クレーンや門型クレーンによって、船舶、鉄道及びトレーラ間のコンテナの荷役を行っている。この岸壁クレーンの地震対策として、制振構造を採用したクレーンが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6に制振構造を採用した岸壁クレーン1Xを示す。このクレーン1Xは、海側脚21X及び陸側脚22Xで構成する脚構造物2Xと、脚構造物2Xで支持するブーム41及びガーダ42を有している。また、ガーダ42上に、制振装置43を有している。この制振装置43は、機械室7Xと、機械室7Xの下面に設置した車輪45と、機械室7Xとガーダ42の間に設置した減衰機構44を有している。この機械室7Xは、ガーダ42上を海陸方向(図6左右方向)に移動できるように構成している。なお、8は荷役装置(トロリ)、23は走行装置、33は岸壁を示している。また、x軸方向は海陸方向(クレーンの横行方向)を、y軸は岸壁に沿った方向(クレーンの走行方向)を、z軸は鉛直方向を示している。
【0004】
次に、このクレーン1Xによる荷役作業について説明する。クレーン1Xは、コンテナ船30に搭載したコンテナ31をトロリ8で吊上げ、岸壁33で待機しているトレーラ32に搭載する荷役作業を行っている。又はクレーン1Xは、コンテナ31をトレーラ32からコンテナ船30に積み込む荷役作業を行っている。また、この荷役作業において、クレーン1Xは、岸壁33に沿って(図6の紙面奥又は手前方向に)走行装置23で移動し、荷下ろしあるいは積み込みの位置を変更しながら荷役作業を行っている。荷役作業が完了し、コンテナ船30が離岸する際、クレーン1Xのブーム41は、上方に跳ね上げられ(図6矢印参照)休止状態となる。このブーム41の跳ね上げは、コンテナ船30が接岸又は離岸する際に、コンテナ船30の船橋等とブーム41の干渉を避けるために行っている。
【0005】
次に、このクレーン1Xの地震発生時の動作について説明する。地震発生時には、機械室7Xを固定していたせん断ピン等が破断し、制振装置43が作動する。制振装置43は、機械室7Xがクレーン1Xに対して揺動自在となるように構成している。この機械室7Xは、クレーン1Xの振動と逆位相で、海陸方向xに振動する。
【0006】
更に、機械室7Xとクレーン1Xの間に設置した減衰機構44(例えばバネ機構とダンパー機構の組み合わせ)により、機械室7Xとクレーン1Xの相対運動を減衰するように構成している。つまり、機械室7Xを制振マス(制振用おもり)として利用できるように構成している。
【0007】
なお、制振装置は、現在、超高層ビル等で利用されている技術であり、建築物の屋上等に数十から数百トンのウエイト(制振マス)を揺動自在に設置して構成している。地震発生時には、ビルの振動が一端を固定し(地表面側)、他方を開放した(天側)梁と同様の振動モードとなる。そのため、ビルとは異なる振動数を有する制振マスの存在により、ビルの振動を軽減することができる。
【0008】
制振装置43を有するクレーン1Xは、上記の構成により、海陸方向(x軸方向)の振
動を抑制及び減衰することができる。なお、岸壁に沿った方向(y軸方向)の振動は、走行装置23に設置した金属製の車輪が、金属製レール上を転動又は摺動するため、吸収することができる。つまり、岸壁クレーンは、海陸方向(x軸方向)及び岸壁に沿った方向(y軸方向)の2方向に対して振動を抑制及び減衰することができる。
【0009】
しかしながら、上記の岸壁クレーンはいくつかの問題点を有している。第1に、大規模地震に対して十分な制振効果を得ることが困難であるという問題を有している。これは、制振マスである機械室の重量が、クレーン全体の重量に対して小さいためである。制振効果は、制振マスの重量及び振幅距離の影響を受ける。そのため、例えば全重量が約1200tのクレーンに対して、重量が約100tの制振マス(機械室)では、十分な制振効果を得ることができない。また、機械室は、トロリ等に向けて荷役用ワイヤロープを繰り出しているため、十分な振幅距離を確保することができない。
【0010】
特に、平成18年5月の港湾法改正により、岸壁及びクレーンの耐震性評価基準が変更され、場所によってはクレーンの吸収すべき海陸方向の水平方向変形量が、従来の±300mm程度から±1000mm程度に拡大された。上記のクレーンでは、この±1000mm程度の水平方向変形を吸収することができない。
【0011】
第2に、制振性能を向上するために、制振マスの重量を増加することが困難であるという問題を有している。岸壁クレーンは、岸壁の強度との関係から、可能な限り軽量とすることが求められている。そのため、制振マスの重量を増加することは、現実的には困難である。
【0012】
第3に、制振マス(機械室)を設置するガーダがたわんでしまうという問題を有している(図6矢印参照)。このたわみを防止するために、ガーダに補強部材を設置することが必要となり、クレーン全体の重量が増加してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−242062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、脚構造物と、前記脚構造物から上方に延伸したマストと、前記脚構造物に設置したブームと、前記ブームに沿って移動する荷役装置(トロリ)を有する岸壁クレーンにおいて、制振性能の向上を実現し、且つクレーン全体の重量増加を抑えた岸壁クレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係る岸壁クレーンは、脚構造物と、前記脚構造物から上方に延伸したマストと、前記脚構造物に設置したブームと、前記ブームに沿って移動する荷役装置を有する岸壁クレーンにおいて、前記クレーンが、前記脚構造物に対して水平方向にスライド可能なスライド式ブームと、前記スライド式ブームを前記脚構造物に固定する水平方向固定装置を有しており、地震発生時に、前記水平方向固定装置を解除し、前記スライド式ブームを前記脚構造物に対してスライド自在に制御する構成を有することを特徴とする。
【0016】
この構成により、岸壁クレーンの制振性能を向上することができる。これは、約1200tのクレーンに対して、約300tのスライド式ブームを制振マスとして利用することができるためである。また、クレーン全体の重量を増加することなく、制振マスの重量の増加を実現することができる。これは、従来クレーンに搭載されているブーム及びガーダを、スライド式ブームとして制振マスに利用したためである。加えて、クレーンを軽量化することができる。これは、従来のブーム跳ね上げ構造が不要となり、クレーンの風荷重が低減されるからである。
【0017】
上記の岸壁クレーンにおいて、前記クレーンが、前記マストと前記スライド式ブームを連結する懸吊部材を有しており、前記懸吊部材を、多関節リンクで構成したことを特徴とする。この構成により、懸吊部材は、地震発生時のスライド式ブームのスライドを阻害せず、スライド式ブームを懸吊することができる。
【0018】
上記の岸壁クレーンにおいて、前記クレーンが、荷役用ワイヤロープを巻きつけたドラムと、前記ドラムを載置した機械室を有しており、前記機械室を前記脚構造物上に配置したことを特徴とする。この構成により、ガーダのたわみを防止することができ、クレーンの軽量化を実現することができる。これは、ガーダ(及びブーム)に設置していた、たわみ防止の補強部材の量を減らすことができるためである。
【0019】
上記の岸壁クレーンにおいて、前記機械室の前記ドラムから繰り出した荷役用ワイヤロープを、前記スライド式ブームの陸側に設置した陸側シーブから前記荷役装置、及び前記スライド式ブームの海側に設置した海側シーブを順に介して、前記マスト下部付近に設けたワイヤ固定端に連結したことを特徴とする。この構成により、荷役用ワイヤロープは、荷役作業中に地震が発生した場合であっても、スライド式ブームのスライドを阻害しない。なお、ワイヤ固定端は、マストのいずれの場所にも設置することができるが、望ましくは下部付近とする。また、ワイヤ固定端は、脚構造物等にも設置することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る岸壁クレーンによれば、脚構造物と、前記脚構造物から上方に延伸したマストと、前記脚構造物に設置したブームと、前記ブームに沿って移動する荷役装置を有する岸壁クレーンにおいて、クレーン全体の重量増加を抑えて、且つ制振性能を向上した岸壁クレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンを示した図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンを示した図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンのスライド式ブームを示した図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンのスライド式ブームを示した図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンのワイヤロープ掛けの状態を示した図である。
【図6】従来の制振構造を有した岸壁クレーンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態の岸壁クレーンについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態の岸壁クレーン1の作業状態の概略図を示す。岸壁クレーン1は、海側脚21及び陸側脚22を有する脚構造物2と、スライド式ブーム(以下、シャトルブームという)3を有している。このシャトルブーム3は、従来のブーム41及びガーダ42(図6参照)の代替物となる。また、海側脚21の上方に、マスト4を有している。このマスト4とシャトルブーム3の海側を懸吊部材6で連結し、マスト4と陸側脚22を斜材5で連結している。更に、陸側脚22の上方の枠体(図示しない)上に機械室7を設置している。ここで、懸吊部材6は、多関節リンクで構成することが望ましい。また、ワイヤ等で構成してもよい。この懸吊部材6は、シャトルブーム3の重量を支持している。更に、マスト4とシャトルブーム3の陸側を異なる懸吊部材で連結するように構成してもよい。
【0023】
図2に、本発明に係る実施の形態の岸壁クレーン(シャトルブーム式クレーンともいう)1の休止状態の概略図を示す。シャトルブーム3は、海陸方向(図2左右方向)にスライド可能に構成している。この休止状態では、シャトルブーム3とコンテナ船30の干渉を避けるために、シャトルブーム3を陸側(図2左側)にスライドさせる。このシャトルブーム3を休止状態とする場合、懸吊部材6に働いている張力(シャトルブームの荷重)は、シャトルブーム3の移動と共に減少していく。つまり、図2に示す休止状態では、懸吊部材6に張力が働いていない状態である。
【0024】
次に、シャトルブーム3の支持構造について説明する。図3に、シャトルブーム3の支持構造の概略を示す。クレーン1は、脚構造物2の上部に枠体24を有しており、この枠体24内をシャトルブーム3がスライドするように構成している。海側及び陸側の枠体24は、シャトルブーム3を支持するための支持部材14と、ローラ15を有している。この支持部材14は、油圧又は電力等の動力により上下移動するように構成している。なお、支持部材14とローラ15を合わせて、水平方向固定装置25という。
【0025】
次に、シャトルブーム3の移動方法について説明する。図3は、クレーン1が荷役作業等を行っている状態を示している。シャトルブーム3は、支持部材14により支持されており、ローラ15とは接触しない位置に維持されている。なお、休止状態(図2参照)においても、シャトルブーム3は、支持部材14により支持されている。
【0026】
図4に、シャトルブーム3を移動する際の概略を示す。シャトルブーム3を海側又は陸側に移動する際には、支持部材14を下降させる。この支持部材14の下降により、シャトルブーム3がローラ15に支持される状態となる。シャトルブーム3は、このローラ15上を海陸方向(図4左右方向)に移動可能となる。シャトルブーム3の移動は、シャトルブーム3をワイヤ等で牽引するか、又は駆動装置等でローラ15を回転させて実現することができる。
【0027】
また、水平方向固定装置25として、ローラとワイヤを組み合わせて構成してもよい。これは、シャトルブーム3が常にローラ上に載置されている状態とする。そして、脚構造物2の上部に設置したドラムから、シャトルブーム3の海側及び陸側端部にワイヤを繰り出し、連結する。この水平方向固定装置は、海側及び陸側のワイヤに張力をかけた状態で、シャトルブームを任意の場所に固定する。シャトルブームを移動する際は、例えば海側のワイヤを巻き取り、陸側のワイヤを繰り出せば、シャトル式ブームは陸側に移動することができる。
【0028】
次に、地震発生時におけるクレーン1の制御(耐震制御)について説明する。クレーン1は、地震の発生を緊急地震速報、地震計、又はクレーンに設置した加速度計等で検知する。クレーン1は、地震を検知した際に、水平方向固定装置25を解除し、シャトルブーム3をスライド自在とする。具体的には、例えば、支持部材14を降下し、シャトルブーム3がローラ15上で揺動自在となるように制御する(図4参照)。ここで、支持部材14を例えば油圧ダンパーで構成した場合は、通常時はロックバルブで油圧ダンパー内の圧力を加圧状態で保持し、地震発生時はロックバルブを開放して油圧ダンパー内の圧力を低下させる構成にするとよい。同様に支持部材14を電動の駆動装置で構成した場合も、地震発生時に支持部材14の固定を解除し、自重及びシャトルブーム3の重量で降下するように構成するとよい。この地震発生時には、ローラ15は外力により回転自在となるように制御する。
【0029】
また、水平方向固定装置として、ローラとワイヤを組み合わせたものを利用した場合も上記と同様に制御することができる。具体的には、ワイヤを繰り出しているドラムのブレーキを解除し、シャトルブーム3をスライド自在とする。
【0030】
以上の制御により、シャトルブーム3は、クレーン1の脚構造物2から独立して揺動するため、クレーン1の制振マスとして働く。なお、シャトルブーム3と脚構造物2の間に減衰機構を設置してもよい。具体的にはローラ15又はドラム等にバネ機構等の復元力を有する構造を設置する。ここで、制振マスとは、クレーン等の本体とは異なる周期で振動するおもりを指し、このおもりの振動によりクレーン等の本体の振動を減衰する効果を得ることができるものをいう。
【0031】
上記の構成により、以下の作用効果を得ることができる。第1に、大規模地震に対して十分な制振効果を得ることができる。これは、約300tのシャトルブーム3を、制振マスとして利用できるためである。制振マスが、従来の約100tの機械室に比べると約3倍の重量となるため、クレーン1の制振性能を向上することができる。
【0032】
第2に、岸壁クレーンの重量を増加することなく、制振性能を向上することができる。そのため、従来の岸壁に設置している岸壁クレーンに容易に採用することができる。これは、シャトルブーム3を制振マスとして利用する構成により、クレーン全体の重量を従来と同様の約1200tに維持することができるからである。
【0033】
第3に、シャトルブーム3がたわむという問題が発生しない。そのため、シャトルブーム3に補強部材を設置し、クレーン1の重量が増加するということがない。従来のシャトルブームを有するクレーンは、シャトルブーム内に機械室を設置しており、機械室の重量によるシャトルブームのたわみを防止するため、多くの補強部材を設置する必要があった。これに対して、本発明では、機械室7を脚構造物2上に設置している。そのため、シャトルブーム3は、自重と吊り荷重によるたわみを防止する強度があればよい。更に、懸吊部材6により自重と吊り荷重によるシャトルブーム3のたわみを制限できる。
【0034】
第4に、休止状態における風荷重を低減できるため、クレーン1の軽量化を実現することができる。つまり、休止状態のとき、従来のクレーンは、ブームを上方に跳ね上げており、風荷重が大きい構造となっていた。この風荷重に耐えるために、クレーンは多量の補強部材を有しており、その結果、クレーン全体の重量が大きくなっていた。これに対して、シャトルブーム式クレーン1は、ブームを上方に跳ね上げないため、風荷重が小さい構造となる。そのため、クレーンは、補強部材の量を減らすことができ、軽量化を実現することができる。ここで、風荷重は、高さの1/4乗と、受圧面積に比例するため、クレーン等の構造物の高さを低く構成する方が、風荷重を小さくすることができる(JIS B8830参照)。
【0035】
次に、シャトルブーム式クレーン1における荷役用ワイヤロープ掛けに関して説明する。図5に、クレーン1にワイヤロープ9を掛けた状態を示す。クレーン1は、機械室7内に複数系統の荷役用ワイヤロープ9を巻いたドラム11を有している。シャトルブーム3は、海側シーブ12及び陸側シーブ13を有している。機械室7のドラム11から繰り出した荷役用ワイヤロープ9は、陸側シーブ13、トロリ8、海側シーブ12を介して、マスト4下部付近のワイヤ固定端10に連結している。同様に、別系統の荷役用ワイヤロープ9aもマスト4のワイヤ固定端10に連結している。
【0036】
次に、荷役用ワイヤロープ9の動作について説明する。荷役をする際に、ドラム11からワイヤロープ9を送り出すと、トロリ8は降下する。逆に、ドラム11でワイヤロープ
9を巻き取るとトロリ8は上昇する。
【0037】
上記の構成により、制振マスであるシャトルブーム3は、十分な振幅距離(例えば±300〜2000mm)を確保することができる。そのため、クレーン1は高い制振効果を得ることができる。これは、シャトルブーム3の海陸方向の摺動が、荷役用ワイヤロープ9により制約されないためである。つまり、図5に示したロープ掛けの構成であれば、ワイヤロープ9の全長が変化しない場合であっても、シャトルブーム3は海陸方向(図5左右方向)に揺動することができる。特に、地震発生と同時に停電が発生し、ドラム11からワイヤロープ9を送り出すことができないような場合であっても、クレーン1はシャトルブーム3を揺動させ、制振効果を得ることができる。
【0038】
なお、シャトルブーム式クレーン1は、ブームの跳ね上げがないため、高さ制限のあるコンテナターミナルで採用することができる。例えば、空港に隣接するコンテナターミナルで使用することができる。このとき、シャトルブーム式クレーン1は、従来の岸壁クレーンと同程度の重量であるため、特別に強度を高めた岸壁でない場合であっても、設置し、使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 岸壁クレーン、シャトルブーム式クレーン
2 脚構造物
3 スライド式ブーム、シャトルブーム
4 マスト
6 懸吊部材
7 機械室
8 トロリ
9 荷役用ワイヤロープ
10 ワイヤ固定端
11 ドラム
12 海側シーブ
13 陸側シーブ
25 水平方向固定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚構造物と、前記脚構造物から上方に延伸したマストと、前記脚構造物に設置したブームと、前記ブームに沿って移動する荷役装置を有する岸壁クレーンにおいて、
前記クレーンが、前記脚構造物に対して水平方向にスライド可能なスライド式ブームと、前記スライド式ブームを前記脚構造物に固定する水平方向固定装置を有しており、
地震発生時に、前記水平方向固定装置を解除し、前記スライド式ブームを前記脚構造物に対してスライド自在に制御する構成を有することを特徴とする岸壁クレーン。
【請求項2】
前記クレーンが、前記マストと前記スライド式ブームを連結する懸吊部材を有しており、
前記懸吊部材を、多関節リンクで構成したことを特徴とする請求項1に記載の岸壁クレーン。
【請求項3】
前記クレーンが、荷役用ワイヤロープを巻きつけたドラムと、前記ドラムを載置した機械室を有しており、前記機械室を前記脚構造物上に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の岸壁クレーン。
【請求項4】
前記機械室の前記ドラムから繰り出した荷役用ワイヤロープを、前記スライド式ブームの陸側に設置した陸側シーブから前記荷役装置、及び前記スライド式ブームの海側に設置した海側シーブを順に介して、前記マスト下部付近に設けたワイヤ固定端に連結したことを特徴とする請求項3に記載の岸壁クレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71947(P2012−71947A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218506(P2010−218506)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】