説明

嵌合構造

【課題】従来の技術で行われる仮固定では、筐体内のスペースが逼迫されるという問題があった。部品同士の嵌合構造をより省スペースに行う必要がある。
【解決手段】第一の部材3と第二の部材4を嵌合させる嵌合構造であって、第一の部材3は、外壁および内壁を有する第一の側面と、第一の上面と、を備え第二の部材4は、第一の側面9と平行な第二の側面11と、第二の上面7と、第一の側面9の外壁と第二の側面11が近接して、第一の上面5と第二の上面7が重なった際に、内壁と略近接する係止片12と、を備える嵌合構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は嵌合構造に関する。より詳しくは、二種類の部品を仮固定することが可能な嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器等の筐体における外部構造が複雑化している。
【0003】
複雑な外部構造を実現する為に、内部構造も様々な構造の実現が求められる。
【0004】
一般的な電子機器等の筐体は、筐体のメインフレームと、部品を取り付ける為のサブフレームを有する。メインフレームにサブフレームを固定することによって、電子機器に様々な部品を備えさせることを実現している。
【0005】
メインフレームとサブフレームは一般的にネジで固定される。筐体全体としての強度を確保するためである。
【0006】
メインフレームとサブフレームをネジで固定する前に、メインフレームとサブフレームの仮固定を行うことが多い。仮固定とはネジ等を用いない嵌合構造等によって部品同士を固定することである。メインフレームとサブフレームが構造的にネジ止めし難い場合は特に仮固定が行われる。また、作業者の作業性向上を目的として仮固定が行われることがある。
【0007】
メインフレームとサブフレームを仮固定する構造の一例を示す。例えば特許文献1には、
メインフレームの面上に形成された切り起こしに、サブフレームに形成された穴を懸架することによって仮固定を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平1−11576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら前記従来の技術のようにすると、切り起こしによってメインフレームの厚みが増加する。
【0010】
近年、電子機器の小型化、薄型化が進んでいる。すると、メインフレームの厚み方向にクリアランスを確保することが難しい場合がある。このような場合は従来の技術を採用することができない。
【0011】
つまり、従来の技術で行われる仮固定では、筐体内のスペースが逼迫されるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、部品同士の嵌合構造をより省スペースに行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の嵌合構造は、第一の部材と第二の部材を嵌合させる嵌合構造であって、前記第一の部材は、外壁および内壁を有する第一の側面と、第一の上面とを備え、前記第二の部材は、前記第一の側面と平行な第二の側面と、第二の上面と、前記第一の側面と前記第二の側面が近接して、前記第一の上面と前記第二の上面が重なった際に、前記内壁と略近接する係止片と、を備える嵌合構造とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明の嵌合構造によれば、第一の側面を第二の側面と係止片とで挟持することができるので、狭い箇所での部品の固定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1にかかる嵌合構造を有する表示装置の背面斜視図
【図2】実施の形態1にかかる嵌合構造を有する表示装置の背面カバーを外した状態での背面斜視図
【図3】実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材との嵌合構造を示す拡大図
【図4】実施の形態1にかかる第一の部材の三面図
【図5】実施の形態1にかかる第二の部材の正面図
【図6】実施の形態1にかかる第一の部材を第二の部材に嵌合させる様子を表した図
【図7】実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材が嵌合した際の垂直方向断面図
【図8】実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材が嵌合した際の透過図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、実施の形態1について説明する。
【0017】
<構造の説明>
以下、図面を参照しながら、実施の形態1にかかる嵌合構造について説明する。
【0018】
図1は、実施の形態1にかかる嵌合構造を有する表示装置の背面斜視図である。
【0019】
表示装置1は、映像を表示する装置である。表示装置1は前面に映像を表示する表示パネル(図示しない)を有する。表示装置1は第一の部材をフレームとして有する。第一の部材については後ほど説明する。側面操作部2は、表示装置1を操作するスイッチ群が配置される箇所である。側面操作部2は多数のスイッチと、スイッチパネルとを有する。スイッチパネルは後述する第二の部材を介して第一の部材に固定される。
【0020】
図2は、実施の形態1にかかる嵌合構造を有する表示装置の背面カバーを外した状態での背面斜視図である。
【0021】
図2に示されるように、表示装置1の内面には第一の部材3がフレームとして存在する。第一の部材3は金属材質のフレームである。第一の部材3は表示装置1の左側面を補強するフレームとしての役割を有する。なお、本実施の形態は本発明の嵌合構造を実施するための一形態を表したものであるから、第一の部材はフレームである必要も金属材質である必要もない。
【0022】
また、図2に示されるように、第一の部材3には第二の部材4が固定されている。第二の部材4は図1における側面操作部2を表示装置1に接続させる為の部材である。具体的に側面操作部2が表示装置1に接続される構造を説明すると次のようになる。まず、第一の部材3が表示装置1の表示パネルに接続される。次いで、第二の部材4が第一の部材3に接続される。次いで、側面操作部2のスイッチ、およびスイッチパネルが第二の部材4に固定される。なお、第二の部材4も材質は金属であるが、特に材質はこれに限定されない。
【0023】
第一の部材3と第二の部材4との嵌合構造について図3を用いて外観を説明する。図3は、実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材との嵌合構造を示す拡大図である。図3に示されるように、第一の部材3と第二の部材4とは2箇所の嵌合によって接続されている。本実施の形態では説明の簡略のため2箇所の嵌合のうちの1箇所についてのみ説明する。第一の部材3は第一の上面5を有する。第一の上面5には第一の穴6が形成されている。第二の部材4は第二の上面7を有する。第一の上面5と第二の上面7とは略平行である。第二の上面7には第二の穴8が形成されている。第一の部材3と第二の部材4とが嵌合された際、第一の上面5と第二の上面7とが重なる。第一の上面5と第二の上面7が重なった際、第一の穴6と第二の穴8とは重なる。第一の穴6と第二の穴8は共に同じ径を有するネジ穴である。第一の穴6と第二の穴8とを貫通するネジ穴によって、第一の部材3と第二の部材4とは固定される。本実施の形態で説明する嵌合構造は、ネジによる固定に先立って行われる仮固定の為の嵌合構造である。第一の部材3と第二の部材4とが仮固定された状態では、ネジによる固定が無くても、外力が加わらない限り、第一の部材3と第二の部材4とが離脱するおそれはない。
【0024】
図4を用いて第一の部材3について更に詳細に説明する。図4は実施の形態1にかかる第一の部材の三面図である。図4(a)は垂直方向断面図である。図4(b)は上面図である。図4(c)は側面図である。図4(a)に示されるように、第一の部材3は中空構造を有する。また、図4(a)に示されるように、第一の部材3は角が略直角なU字形状を有する。また、図4(c)に示されるように、第一の部材3において、第一の上面5は、第一の部材3の他の上面である第三の上面10より低い位置に形成されている。
【0025】
図5を用いて第二の部材4について更に詳細に説明する。図5は実施の形態1にかかる第二の部材の正面図である。図5に示されるように、第二の部材4は第二の側面11を有する。また、図5に示されるように、第二の部材4は係止片12を有する。第二の側面11と係止片12とは互いに直交する平面と略平行である。第二の側面11と係止片12の縁との間には隙間が形成されている。第二の部材4は第二の側面11における係止片12の存在しない側に重心を有する。また、詳細は後述するが、係止片12は第一の側面9の外壁と第二の側面11が近接して、第一の上面5と第二の上面7とが重なった際に、第一の側面9の内壁に近接する。
【0026】
<作用効果の説明>
以上説明した嵌合構造を用いて、第一の部材3と第二の部材4を仮止めする際の作用と効果について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図6および図7を用いて、第一の部材3と第二の部材4とを仮止めする方法を説明する。図6は実施の形態1にかかる第一の部材を第二の部材に嵌合させる様子を表した図である。図7は実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材が嵌合した際の垂直方向断面図である。図6中の矢印は第二の部材4を第一の部材3に嵌合させる際の挿入方向を示す。図7に示されるように、第二の部材4は第一の部材3に挿入されて次のような位置関係で固定される。すなわち、まず、第一の上面5と第二の上面7とが重なっている。また、図示しないが、第一の穴6と第二の穴8とが重なっている。また、第一の側面9の外壁と第二の側面11が近接する。そして、係止片12が第一の側面9の内壁に近接する。
【0028】
図8は、実施の形態1にかかる第一の部材と第二の部材が嵌合した際の透過図である。図8に示したように第二の上面7の一部は第三の上面10の下部に位置する。このような位置に第二の上面7を配置するには、第一の上面5の上で第二の上面7を、第三の上面10の下部にスライドさせればよい。
【0029】
図7に示した状態で、第一の部材3と第二の部材4とは仮止めされている。第二の上面7が第一の上面5の上に置かれた状態で、第一の側面9が第二の側面11と係止片12とに嵌合されるからである。すなわち、第二の部材4が、第一の部材3との接点を軸に回転した場合、第二の側面11及び係止片12が第一の側面9に対して互いに対向する力を及ぼすことになる。よって、第二の部材4がどちらの方向に回転しても、第二の部材4は第一の部材3から離脱しない。
【0030】
また、本実施の形態のように、第一の穴6と第二の穴8をネジ穴とすると更なる効果を奏する。つまり、図7に示したようにネジ13を用いて第一の部材3と第二の部材4とを直接締結することができるようになる。第一の穴6と第二の穴8とをネジ穴にすることは本発明の実施に必須ではない。第一の穴6と第二の穴8とをネジ穴にせずとも、ネジ穴を表示装置1側に形成すれば、第一の部材3と第二の部材4と表示装置1とを共締めすることができる。
【0031】
また、本実施の形態のように、第二の上面7の一部が、第三の上面10の下部に位置するようにすると更なる効果を奏する。つまり、第二の部材4に垂直上方への力が加わった際も、第二の部材4が第一の部材3から離脱しなくなる。
【0032】
また、本実施の形態のように、第一の部材3と第二の部材4を金属で形成するのが本発明には好適である。なぜなら、本発明は弾性変形を用いず部材同士を嵌合することができるからである。
【0033】
また、本実施の形態のように、第二の部材4が第二の側面11における係止片12の存在しない側に重心を有すると、更なる効果を奏する。このようにすると、図7に示したように、第一の部材3と第二の部材4とを仮固定した際に、常に左下方向へのモーメントがかかる。つまり、第二の部材4の自重を利用して、第一の部材3と第二の部材4との嵌合に一定のストレスを掛け続けることができる。
【0034】
また、上述のように、第二の部材4が第二の側面11における係止片12の存在しない側に重心を有した場合は、第二の側面11と第一の側面9との間に緩衝性のガスケットを設けてもよい。このようにすると、第一の部材3と第二の部材4との嵌合は維持しつつ、第二の部材4の自重により第一の部材3へ過度のストレスがかかることを防止することができる。
【0035】
また、本実施の形態のように、第一の部材3は表示装置1のような電子機器の枠に使用するフレームの一部とするのが好適である。本発明によれば狭い箇所での部品の固定が可能なので、スペースに限りのある電子機器筐体端部での部品同士の固定を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の嵌合構造を利用する一例としては、実施の形態1のように表示装置の側面操作部とフレームを接続する為の嵌合構造が挙げられる。
【符号の説明】
【0037】
1 表示装置
2 側面操作部
3 第一の部材
4 第二の部材
5 第一の上面
6 第一の穴
7 第二の上面
8 第二の穴
9 第一の側面
10 第三の上面
11 第二の側面
12 係止片
13 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部材と第二の部材を嵌合させる嵌合構造であって、
前記第一の部材は、
外壁および内壁を有する第一の側面と、
第一の上面と、
を備え
前記第二の部材は、
前記第一の側面と平行な第二の側面と、
第二の上面と、
前記第一の側面の外壁と前記第二の側面が近接して、前記第一の上面と前記第二の上面が重なった際に、前記内壁と略近接する係止片と、
を備える嵌合構造。
【請求項2】
前記第一の上面には第一の穴が形成され、
前記第二の上面には第二の穴が形成され、
前記第一の穴および第二の穴はネジ穴であり、ネジによって互いに締結される、
請求項1記載の嵌合構造。
【請求項3】
前記第一の部材は前記第一の上面と段差を有する第三の上面を有し、
前記第二の上面の一部は、前記第三の上面の下部に位置する、
請求項1記載の嵌合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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