説明

工事用エレベータ

【課題】大型の資材に対しても構台として利用可能な工事用エレベータを提供する。
【解決手段】施工する建物100に近接して配設し、上下方向に延在するレール部10と、資材を載置する床部20と、レール部10に沿って床部20を昇降する昇降装置50とを備えた工事用エレベータ1において、床部20に着脱可能に設けてあり、床部20の床幅を建物外方へ延長して資材載置面積を拡張する拡床部30を備えた。これにより、資材の載置スペースを広くして大型資材に対しても構台として利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事用エレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的小型で軽量な資材の荷揚げには、工事用エレベータが利用されている。工事用エレベータは、施工する建物に沿って上下方向に延在するレール部と、資材を載置する床部と、レール部に沿って床部を昇降する昇降装置とを備えており、床部に資材を載置して資材を揚重し、そのまま資材を仮置きする構台として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−208155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような工事用エレベータでは、大型で重量のある資材を揚重することができない。そもそも資材を載置するスペースが小さいので、大型の資材を載置することができない。従って、大型の資材は、各階に資材を仮置きするための固定の構台を設置し、この構台上にクレーンを用いて揚重している。
【0005】
しかしながら、各階に構台を設置すると建設コストが掛かるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大型の資材に対しても構台として利用可能な工事用エレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る工事用エレベータは、施工する建物に近接して配設し、上下方向に延在するレール部と、資材を載置する床部と、前記レール部に沿って前記床部を昇降する昇降装置とを備えた工事用エレベータにおいて、前記床部に着脱可能に設けてあり、前記床部の床幅を建物外方へ延長して資材載置面積を拡張する拡床部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る工事用エレベータは、上述した請求項1において、前記床部の建物外方側の端部に設けられ、突状に形成した係合部と、前記拡床部の建物側の端部に設けられ、前記係合部と係合する引掛部と、前記係合部および前記引掛部より下方に位置し、前記床部に前記拡床部を固定する固定部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る工事用エレベータは、上述した請求項1または2において、資材載置領域を囲む手摺部を備え、前記手摺部は、水平方向に伸縮して囲いを開閉可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る工事用エレベータは、上述した請求項1〜3において、資材載置面の端部に配設した箱型の搭乗席部を備え、前記搭乗席部は、資材載置面の端部側に折畳み可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る工事用エレベータは、床部の床幅を建物外方へ延長して資材載置面積を拡張する拡床部を備えているため、資材の載置スペースを広くして荷揚げをする階に停止させることにより、大型の資材に対しても構台として利用することができる。これにより、構台を各階に設置する必要がなくなり、建設コストを低減することができる。更に、拡床部が着脱可能に設けてあるため、小型の資材を揚重する場合には、拡床部を取外して昇降装置にかかる重量負荷を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る工事用エレベータの平面図である。
【図2】図2は、図1に示した工事用エレベータの正面図である。
【図3】図3は、本発明に係る工事用エレベータの拡床部を取外した状態を示す平面図である。
【図4】図4は、図1に示した工事用エレベータの断面図である。
【図5】図5は、図1に示した工事用エレベータの搭乗席部を折畳み、手摺部を開いた状態を示す正面図である。
【図6】図6は、図3に示した工事用エレベータの断面図である。
【図7】図7は、本発明に係る工事用エレベータを用いた資材の荷揚げ方法を示す概念図である。
【図8】図8は、本発明に係る工事用エレベータを用いた資材の荷揚げ方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る工事用エレベータの好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1および図2は、本発明に係る工事用エレベータを示したものである。ここで例示する工事用エレベータ1は、施工する建物100に近接して設置してあり、レール部10と、床部20と、昇降装置50とを備えている。床部20には拡床部30が着脱可能に設けてある。工事用エレベータ1は、床部20に配設された昇降装置50により、床部20と、拡床部30とがレール部10に沿って昇降可能であり、かつ所定の階において停止可能に構成されている。本実施の形態では、工事用エレベータ1として昇降速度が10m/min以下であるロングスパン工事用エレベータを用いている。
【0015】
レール部10は、資材を載置する搬器が昇降するための軌道を構成するものであり、施工する建物100に沿って上下方向に延在している。図1および図2に示すように、レール部10は、施工する建物100の外壁に近接配置された枠組足場110に設けてある。本実施の形態では、上下方向に延在し、所定の間隔を置いて配設された2つの枠組足場の躯体間に、一対のレール部10が対向して設けてある。レール部10には昇降装置50に設けられた歯車と噛合うラック(図示せず)が形成してある。
【0016】
床部20および拡床部30は、資材を仮置きする構台、または人員や資材を運搬する搬器を構成するものであり、外周には資材載置領域を囲む態様で手摺部40が配設してある。更に、床部20および拡床部30によって形成された床面上には、人員が移動する際に搭乗する搭乗席部60が配設してある。
【0017】
床部20は、資材を載置する床面を形成し、資材を仮置きする構台、または人員や資材を運搬する搬器を構成するものである。床部20は、一方のレール部10から他方のレール部10に亘る態様で、施工する建物100の外壁に沿って長尺状に形成してある。図1および図3に示すように、床部20には、拡床部30が着脱可能に設けられている。床部20は、床板21と、床枠部22と、第一係合部(係合部)23と、第一ガイド部24とを備えている。
【0018】
床板21は、床面を形成するものであり、矩形状の平板からなる。床板21は一方のレール部10から他方のレール部10へ亘って長尺状に形成してある。床板21の短手方向の幅は、施工する建物100の外周に形成された枠組足場110の床幅と略同一に形成してある。
【0019】
床枠部22は、床板21を下方から支持するものであり、棒状の部材によって直方体状に形成してある。床枠部22のレール部10側の両側部には昇降装置50が設置されている。昇降装置50は、搬器を昇降させるものであり、図示せぬモータと、歯車とを備えている。モータの駆動により歯車が回転し、レール部10に形成したラックと噛合って床部20をレール部10に沿って昇降可能に構成している。
【0020】
第一係合部23は、拡床部30または手摺部40を装着する部位であり、床部20の建物外方側の端部に突状に形成してある。本実施の形態では、図4に示すように山形鋼によって形成してあり、床部20の建物外方側の上端部において山形鋼の一方の突片を床板21より上方に突出させて突状に形成している。山形鋼の他方の突片は、床板21と床枠部22とによって挟持して床部20に固定してある。第一係合部23は、床部20の建物外方側の上端縁に沿って直線状に延在している。床枠部22を介して第一係合部23の鉛直下側には第一係合部23と並行に第一ガイド部24が設けてある。
【0021】
第一ガイド部24は、拡床部30または手摺部40を装着する部位であり、床部20の建物外方側の端部に配設してある。図4に示すように、第一ガイド部24は床枠部22の下端に配設してあり、下方に向けて突出した態様で形成してある。本実施の形態では、山形鋼によって形成してあり、山形鋼の一方の突片を床枠部22の下端から下方に突出させて形成している。山形鋼の他方の突片は床枠部22の下端部に接合してあり、床枠部22の一部を構成している。第一ガイド部24は床枠部22の下部に第一係合部23と対応して配設してあり、床部20の建物外方側の下端縁に沿って直線状に延在している。
【0022】
図4に示すように、床部20の建物側の上端部において、第一係合部23と対応する位置には、床板21を介して第一係合部23と対称に第二係合部25が形成してある。第二係合部25は第一係合部23と同一形状の山形鋼によって形成してある。
【0023】
図4に示すように、床部20の建物側の下端部において、第一ガイド部24と対応する位置には、床枠部22を介して第一ガイド部24と対称に第二ガイド部26が形成してある。第二ガイド部26は第一ガイド部24と同一形状の山形鋼によって形成してある。
【0024】
拡床部30は、床部20とともに資材を仮置きする構台、または人員や資材を運搬する搬器を構成するものであり、図3に示すように、床部20によって形成された床面の床幅を建物外方に延長して資材の載置面積を拡張するものである。拡床部30は床部20の建物外方側の端部に着脱可能に設けてあり、拡床板31と、拡床枠部32と、引掛部33と、第三係合部34と、第三ガイド部35とを備えている。
【0025】
拡床板31は、床板21とともに床面を形成するものであり、矩形状の平板からなる。拡床板31は施工する建物100の外壁に沿って長尺状に形成してあり、長手方向の幅が床板21の長手方向の幅と略同一となるように形成してある。短手方向の幅は、床板21の短手方向の幅より短く形成してある。
【0026】
拡床枠部32は、拡床板31を下方から支持するものであり、棒状の部材によって直方体状に形成してある。図4に示すように、拡床枠部32において、床部側には、拡床枠部32の一部を構成し、床部20の第一ガイド部24より下方に長く形成され、上下方向に延在した支持枠32aが複数配設してある。
【0027】
引掛部33は、第一係合部23に引掛けて拡床部30を床部20に装着する部位であり、拡床部30の建物側の端部に配設してある。本実施の形態では、図4に示すように山形鋼によって形成してあり、山形鋼の一方の突片を下方に向けて突出させる態様で、山形鋼の他方の突片の端部を拡床部30の建物側の上端部に接合して形成してある。山形鋼の他方の突片は、上面が拡床板31の上面と同一面となるように拡床板31または拡床枠部32に接合してある。引掛部33は、拡床部30の建物側の端縁に沿って直線状に延在している。第一係合部23に引掛部33を上方から引掛けて係合し、第一係合部23および引掛部33より下方の位置において、固定部材70を用いて床枠部22に拡床枠部32を固定することにより床部20に拡床部30を装着している。
【0028】
固定部材70は、床部20に拡床部30を固定するものである。本実施の形態では固定部材70としてUボルトを用いており、床枠部22に拡床枠部32を固定している。具体的には、図4に示すように、床枠部22の一部および第一ガイド部24を構成する山形鋼を内包させてUボルトを拡床枠部32の支持枠32aに取付け、ナットで締結して固定している。固定部材70は複数設けてあり、当該山形鋼に沿って複数個所において固定されている。
【0029】
本実施の形態における工事用エレベータ1では、固定部材70を取外し、第一係合部23と引掛部33との係合を解除することにより、拡床部30を床部20から取外すことが可能である。
【0030】
第三係合部34は、手摺部40を装着する部位であり、拡床部30の建物外方側の端部に突状に形成してある。本実施の形態では、図4に示すように山形鋼によって形成してあり、拡床部30の建物外方側の上端部において山形鋼の一方の突片を上方に突出させて突状に形成している。山形鋼の他方の突片は拡床枠部32に固定してある。第三係合部34は拡床部30の建物外方側の上端縁に沿って直線状に延在している。本実施の形態では、床部20に設けた第一係合部23の突状片と、拡床部30に設けた第三係合部34の突状片とが同一の形状となるように形成してある。拡床枠部32を介して第三係合部34の鉛直下側には第三係合部34と並行に第三ガイド部35が設けてある。
【0031】
第三ガイド部35は、手摺部40を装着する部位であり、拡床部30の建物外方側の端部に配設してある。図4に示すように、第三ガイド部35は拡床枠部32の下端に配設してあり、下方に向けて突出した態様で形成してある。本実施の形態では、山形鋼によって形成してあり、山形鋼の一方の突片を拡床枠部32の下端から下方に突出させて形成している。山形鋼の他方の突片は拡床枠部32の下端部に接合してある。第三ガイド部35は拡床枠部32の下部に第三係合部34と対応して配設してあり、拡床部30の建物外方側の下端縁に沿って直線状に延在している。
【0032】
本実施の形態では、第三係合部34と第一係合部23とが同一形状に形成してあり、第一ガイド部24と第三ガイド部35とが同一形状に形成してある。また、第三係合部34の上端部から第三ガイド部35の下端部までの距離が、第一係合部23の上端部から第一ガイド部24の下端部までの距離と同一になるように形成してある。
【0033】
手摺部40は、積載した資材の落下を防止するものであり、床部20および拡床部30によって形成された資材載置領域を囲む態様で配設してある。図2および図5に示すように、手摺部40は、水平方向に伸縮可能に構成してあり、囲いを開閉可能な扉としても機能している。本実施の形態では、図1に示すように、資材載置領域が施工する建物100の外壁に沿って矩形状に形成してあり、建物側の側辺と、建物外方側の側辺とに手摺部40が夫々配設してある。手摺部40は、図2に示すように、資材載置領域を囲み、蛇腹状に形成されて伸縮可能な伸縮部41と、伸縮部41の下部に設けてあり、手摺部40を床部20または拡床部30に装着する装着部42とからなる。装着部42には資材載置領域の外周に沿って移動可能なローラ43が配設してある。
【0034】
ローラ43は、床部20の第二係合部25または拡床部30の第三係合部34と係合し、第二係合部25または第三係合部34に沿って移動する上部ローラ431と、床部20の第二ガイド部26または拡床部30の第三ガイド部35と係合し、第二ガイド部26または第三ガイド部35に沿って移動する下部ローラ432とからなる。本実施の形態では、図4に示すように、上部ローラ431と第二係合部25、下部ローラ432と第二ガイド部26が夫々係合することにより、手摺部40が床部20に装着されており、第二係合部25および第二ガイド部26によって形成された二本のレール上を上部ローラ431および下部ローラ432が移動可能に構成してある。また、上部ローラ431と第三係合部34、下部ローラ432と第三ガイド部35が夫々係合することにより、手摺部40が拡床部30に装着されており、第三係合部34および第三ガイド部35によって形成された二本のレール上を上部ローラ431および下部ローラ432が移動可能に構成してある。
【0035】
図6に示すように、床部20から拡床部30を取外した場合に、手摺部40を床部20の建物外方側の端部に装着することが可能である。本実施の形態では、上部ローラ431と第一係合部23、下部ローラ432と第一ガイド部24が夫々係合することにより、手摺部40が床部20に装着され、第一係合部23および第一ガイド部24によって形成された二本のレール上を上部ローラ431および下部ローラ432が移動可能に構成してある。
【0036】
装着部42は、伸縮部41が伸長した状態で、伸縮部41の下部に所定の間隔を置いて複数配設してある。ローラ43が移動して隣接する装着部42の間隔が狭くなり、伸縮部41が縮小することにより、囲いを開くことが可能である。これにより、手摺部40が資材載置領域の外周に沿って開閉可能に構成されている。
【0037】
搭乗席部60は、人員が上階または下階に移動する際に搭乗する部位であり、床部20と拡床部30とによって形成された資材載置面(床面)の端部に配設してある。本実施の形態では、資材積載面において一方のレール部側の端部に配設してある。搭乗席部60は、側壁61と、天蓋62とにより箱型に形成してあり、他方のレール部側に位置する一側面が開口してある。この開口面には対向する一方の側壁61aから他方の側壁61bに亘って水平方向に延在する遮断棒63が配設してある。遮断棒63は、一端が一方の側壁61aに回動可能に支持されており、他端が他方の側壁61bに着脱可能に保持されている。
【0038】
図2および図5に示すように、側壁61と天蓋62とは、資材載置面の端部側に折畳み可能に形成してある。具体的には、図1および図2に示すように、側壁61は、資材載置面の端部側に位置して搭乗席部60の領域の一部を形成し、床部20および拡床部30に固定された固定側壁611と、資材載置面の中央部側に搭乗席部60の領域を拡張する態様で、固定側壁611に連接して取り付けられた可動側壁612とからなる。可動側壁612は固定側壁611との連接部を軸として回動可能に取り付けられている。本実施の形態では、可動側壁612が搭乗席部60の内側(図1に示すA方向)に回動可能に設けてある。天蓋62は、固定側壁611によって画成される領域の天井を形成する固定天蓋621と、可動側壁612によって画成される領域の天井を形成する可動天蓋622とからなり、可動天蓋622は固定天蓋621にヒンジ構造によって、固定天蓋621側に回動可能に取り付けられている。具体的には、搭乗席部60の外側(図5に示すB方向)に回動可能に取り付けられている。固定側壁611と固定天蓋621とによって形成された搭乗席部60の領域内には、工事用エレベータ1の昇降操作を行う操作盤64が配設してある。
【0039】
可動側壁612を固定側壁611側へ回転移動し、可動天蓋622を固定天蓋621側へ回転移動させることで、搭乗席部60を縮小し、資材の載置面積を広くすることが可能である。本実施の形態では、搭乗席部60の固定側壁611および固定天蓋621を床部20と拡床部30とによって形成された床面上に配設しているが、床部20によって形成された床面上に固定側壁と固定天蓋とを設けて、可動側壁と可動天蓋とを拡床部30側に拡張可能な構成とすることも可能である。
【0040】
拡床部30を取外して小型の工事用エレベータ1として用いる場合、搭乗席部60を取外して、図3に示すように、床部20によって形成された資材載置面上に設置可能な大きさに形成された小型の搭乗席部600を交換取付することが可能である。
【0041】
次に、上述した工事用エレベータ1を用いた資材の荷揚げ方法について説明する。
【0042】
まず、上述した工事用エレベータ1を用いて内装材等の比較的小型の資材や軽量な資材を荷揚げする場合、拡床部30を取外した状態で、工事用エレベータ1の床部20を地上階に停止させる。図3に示すように、このとき、床部20には小型の搭乗席部600が取付けてあり、床部20の建物外方側の端部には手摺部40が取付けてある。
【0043】
床部20が地上階に停止した状態(図7(a))で、建物外方側の手摺部40を開き、フォークリフト等により床部20の床面上に資材120を積み込む(図7(b))。次に、手摺部40を閉じて、昇降装置50を駆動し、床部20をレール部10に沿って上昇させ、荷揚げする階で停止させる(図7(c))。停止した状態において床部20は、そのまま資材の仮置きをする構台として用いる。その後、建物側の手摺部40を開いて、施工する建物100内へ資材120を搬入する。
【0044】
上述した工事用エレベータ1では、拡床部30が着脱可能に設けてあるため、小型の資材120を揚重する場合には、拡床部30を取外して昇降装置50にかかる重量負荷を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0045】
更に、手摺部40が広い範囲で開くため、各階において施工する建物100へ資材の搬入、搬出を行う荷取り構台として使用する場合にも資材を受け易い。
【0046】
一方、工事用エレベータ1を用いて外装材等の大型の資材や重量のある資材の荷揚げを行う場合、床部20に拡床部30を装着する。このとき、図1に示すように、拡床部30の建物外方側の端部には手摺部40が取付けてあり、床部20および拡床部30によって形成された床面上には搭乗席部60が取付けてある。
【0047】
床部20および拡床部30による資材載置面上に資材が載置されていない状態(図8(a))で、手摺部40を閉じ、昇降装置50を駆動して、床部20および拡床部30をレール部10に沿って上昇させ、荷揚げする階で停止させる(図8(b))。停止した状態で、搭乗席部60を折畳み、資材を載置可能な面積を広くする。次に、クレーンによって資材130を揚重し、床部20および拡床部30によって形成された床面上に資材130を載置し、仮置きする(図8(c))。その後、建物側の手摺部40を開いて、資材130を施工する建物100内へ搬入する。尚、搭乗席部60は、折畳んだ状態で昇降させることも可能である。
【0048】
上述した工事用エレベータ1では、床部20の床幅を建物外方へ延長して資材載置面積を拡張する拡床部30を備えているため、資材の載置スペースを広くして荷揚げをする階に停止させることにより、大型の資材130に対しても構台として利用することができる。これにより、構台を各階に設置する必要がなくなり、建設コストを低減することができる。
【0049】
更に、資材載置面積が拡張されることにより、クレーンによる資材の上方からの荷受けや横方向からの荷受けが容易な荷受け構台として利用することができる。更に、搭乗席部60を折畳み、広いスペースを確保することで、上部または側部から荷取りし易い荷取り構台として利用することができる。更に、手摺部40が広い範囲で開くため、荷取り構台として使用する場合にも資材を受け易い。
【0050】
尚、上述した工事用エレベータ1では、拡床部30を装着した状態で、軽量な資材を載置して昇降することが可能である。つまり、軽量な資材に対しては揚重可能であって、かつ資材を仮置きする構台として利用することができ、載置した状態で昇降不能な重量の重い資材については、拡床部30を装着した状態で、資材を仮置きする構台として利用することができる。
【0051】
本発明にかかる工事用エレベータは、大型の資材や重量のある資材を仮置きする構台として利用可能であるため、構台の設置や盛替えを不要とすることができる。そのため、大規模の現場と比べて、揚重機械や仮設物の設置場所や建設コストが制限される中小現場において特に好適である。
【0052】
尚、本実施の形態では工事用エレベータとしてロングスパン工事用エレベータを用いているが、これに限定されるものではなく、建設現場で仮設される工事用エレベータであればよい。
【符号の説明】
【0053】
1 工事用エレベータ
10 レール部
20 床部
23 第一係合部
30 拡床部
33 引掛部
40 手摺部
50 昇降装置
60 搭乗席部
70 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工する建物に近接して配設し、上下方向に延在するレール部と、
資材を載置する床部と、
前記レール部に沿って前記床部を昇降する昇降装置と
を備えた工事用エレベータにおいて、
前記床部に着脱可能に設けてあり、前記床部の床幅を建物外方へ延長して資材載置面積を拡張する拡床部を備えたことを特徴とする工事用エレベータ。
【請求項2】
前記床部の建物外方側の端部に設けられ、突状に形成した係合部と、
前記拡床部の建物側の端部に設けられ、前記係合部と係合する引掛部と、
前記係合部および前記引掛部より下方に位置し、前記床部に前記拡床部を固定する固定部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の工事用エレベータ。
【請求項3】
資材載置領域を囲む手摺部を備え、前記手摺部は、水平方向に伸縮して囲いを開閉可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の工事用エレベータ。
【請求項4】
資材載置面の端部に配設した箱型の搭乗席部を備え、前記搭乗席部は、資材載置面の端部側に折畳み可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の工事用エレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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