説明

工作機械の移動体の移動を制御する制御装置、制御装置を有する工作機械及び移動体の移動方法

【課題】 移動体の移動距離が短い場合に、より簡易に移動時間の短縮を図ることができる移動体の移動方法、そのための制御装置及びその制御装置を備えた工作機械を提供する。
【解決手段】 移動体の移動すべき距離が判断基準距離未満である場合、例えばG00指令のような早送り指令に従うと移動体移動速度が最大早送り速度に達しない場合は、プログラム上はG00であっても実際にはG01指令のようなステップ状送り指令に基づく移動に自動的に切替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の移動体の移動を制御する制御装置、その制御装置を有する工作機械及びその移動体の移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械による被切削物への切削等の加工においては、その加工の準備動作、加工終了後の退避動作として移動体すなわち切削工具を備えた刃物台や工具軸又は被加工物を早送り動作で移動させることが一般的である。図2(a)〜(c)は、本発明に係る移動体の移動方法を適用可能な機械加工の一例を示す図である。同図は、ドリルによる孔加工を示す概略図であり、ドリル10がワーク12に対して接離を繰り返しながら所定寸法の孔加工をする。より詳細に説明すると、ドリル10は先ず工具待機位置よりワーク12の直近の加工接近位置まで早送り動作にて接近移動し(図2(a))、次に切削送り動作にて孔加工を行い(図2(b))、所定深さまで加工し終えたら早送り動作にて退避移動して前記工具待機位置に戻る(図2(c))。その際に、加工する孔の深さが深いためにドリルを複数回繰り返し接離させて孔加工を行う必要がある場合や、被加工物に対するドリルの刃先の相対位置を変化させながら被加工物の同一面に複数箇所の孔加工を行う場合は、被加工物と干渉しない範囲の最も近い位置である前記加工待機位置と所定の加工位置との間の移動距離が極力短くなるように、この動作が繰り返される。
【0003】
例えば上述の孔加工の場合、作業者が作成入力する加工プログラムは、移動体(例えばドリルを保持した刃物台又は工具軸)を駆動させるサーボ軸を制御するためのプログラムであり、移動体の位置決めのための位置決め指令コード(一般的には早送り指令)G00及び直線補間コード(一般的には切削送り指令)G01(いずれもJIS規格に規定され、NC制御装置メーカーにおいてもG00=早送り指令(位置決め)、G01=切削送り指令(直線補間)として使用している)を用いて記述したブロックを含む。早送り指令コードG00は、移動体例えばドリルを保持した刃物台を所定位置に早送りする指令であるが、この早送り動作においては、図3(a)に示すように、移動体を予め定めた加速時定数T0にて加速し、最大送り速度F0に到達したら所定時間にわたって定速移動を行い、予め定めた減速時定数T0′にて減速させて所定位置に停止させる。一般にT0とT0′は等しい。
【0004】
移動体の移動すべき距離がある長さ以下である場合は、例えば、前述した被加工物と干渉しない範囲の最も近い位置である前記加工待機位置と所定の加工位置との間の移動距離を極力短くするように繰り返し移動するときには、例えば図3(b)の実線に示すように、移動体が最大送り速度F0に達する前に減速される。この場合の移動時間を短縮するために、例えば特許文献1には、加減速の時定数を短くする早送り制御方法が開示されている。この制御方法は、移動時間を短縮するための最適時定数を演算して書替え、図3(b)の一点鎖線に示すような台形の移動形態を行うものである。
【0005】
【特許文献1】特開平7−134608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、移動距離が短いために移動体の移動速度を加速中すなわち最大速度に達する前に減速せざるを得ない場合は、サーボ軸の最大送り速度をいかに高く設定しようと、それとは無関係に加減速時定数のみで移動時間が決定されるので、G00指令に従う限りは移動時間をさらに短縮することはできない。従ってこの場合に移動時間を短縮するためには、G00指令による制御とは別のより小さい時定数でのサーボ軸制御に切替える必要があるが、移動体の移動距離によって上述のG00指令と他の指令とを作業者側で使い分けることは実際には難しい。何故なら、従来は作業者が単純にG00指令を入力すれば済んでいたことを、時定数の小さい他の加工プログラムを作成して移動体の移動距離に基づいてその新たな指令及びG00指令のいずれかを選択することは、制御系全体を複雑にして作業者に非常に大きな負荷を強いることになるだけでなく、誤動作の要因ともなり兼ねないからである。
【0007】
また特許文献1に記載の早送り制御方法は、移動体の移動距離に応じて早送りの時定数を算出し、パラメータ時定数を書替えることにより移動体の移動制御を行うものであるが、この場合も新たなプログラムを導入することで制御が複雑となる。
【0008】
そこで本発明は、移動体の移動距離が、G00のような指令コードに従った場合には移動体の速度が最大送り速度に到達しないような短い距離の場合に、より簡易に移動時間の短縮を図ることができる移動体の移動方法、そのための移動制御装置及びその制御装置を備えた工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、移動体と、該移動体を移動させて位置決めを行う駆動装置とを有する工作機械に対し、加工プログラムに基づいて前記駆動装置を、早送り制御を含めた位置決め制御する制御装置であって、前記駆動装置の予め定めた早送り加減速時定数及び早送り最大送り速度を含む早送り移動形態、並びに予め定めた加減速時定数が前記早送り時定数よりも短い短時間又はゼロに設定した最大送り速度を含むステップ状送り移動形態を記憶する記憶部と、前記加工プログラムが、前記早送り移動形態にて前記移動体を移動させる早送り指令を含む場合に、前記早送り指令による前記移動体の移動距離を求める演算部と、前記駆動装置が前記早送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、前記早送り指令を、前記ステップ状送り移動形態にて前記移動体を移動させるステップ状送り指令で動作を行うために自動的に読替え又は書替え、前記駆動装置が前記早送り指令ではなく前記ステップ状送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、を択一的に選択して前記駆動装置を制御する制御部と、を有することを特徴とする、制御装置を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記制御部は、前記移動距離が前記演算部により求められる判断基準距離未満である場合に前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替え、該判断基準距離は、該判断基準距離にわたる前記移動体の移動時間が、前記早送り指令による場合と前記ステップ状送り指令による場合とで等しくなるような距離である、制御装置を提供する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の制御装置において、前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替えて前記移動体を駆動制御させるための前記加工プログラムを、該加工プログラムの一順の実行毎にクリアして次回の前記加工プログラムの開始時に再度読替え又は書替えて実行するか、前記加工プログラムが選択されている間は前記制御装置内部で一時的に保管し、他の加工プログラムが選択された時点でクリアするか、又は、前記読替え又は書替えた内容を前記加工プログラムにそのまま書替えるか、のいずれかを選択して実行する、制御装置を提供する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置を備えた工作機械を提供する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、移動体と、入力されたプログラムに基づいて前記移動体を移動させて位置決めを行う駆動装置とを有する工作機械における前記移動体の移動方法であって、前記駆動装置の予め定めた早送り加減速時定数及び早送り最大送り速度を含む早送り移動形態、並びに予め定めた加減速時定数が前記早送り時定数よりも短い短時間又はゼロに設定した最大送り速度を含むステップ状送り移動形態を記憶することと、前記プログラムが、前記早送り移動形態にて前記移動体を移動させる早送り指令を含む場合に、前記早送り指令による前記移動体の移動距離を求めることと、前記駆動装置が前記早送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、前記早送り指令を、前記ステップ状送り移動形態にて前記移動体を移動させるステップ状送り指令に自動的に書き換え、前記駆動装置が前記早送り指令ではなく前記ステップ状送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、を択一的に選択して前記駆動装置を制御することと、を有することを特徴とする、移動方法を提供する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の移動方法において、前記制御部は、前記移動距離が判断基準距離未満である場合に前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替え、該判断基準距離は、該判断基準距離にわたる前記移動体の移動時間が、前記早送り指令による場合と前記ステップ状送り指令による場合とで等しくなるような距離である、移動方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動体の移動距離がある距離より短い場合にも、加工プログラムの作成において特別な演算や確認をすることなく従来通りの記述でよく、制御装置側で移動体の移動時間を最適化する、移動体の移動方法、移動体の移動を制御する制御装置及びその制御装置を搭載した工作機械が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
下記プログラムは、NC工作機械において本発明に係る移動体の移動方法を含む加工プログラムの一例として、ドリルによる孔加工を行うためのプログラムである。
指令1 G00 Z−0.5 (位置決め)
指令2 G01 Z12.0 F0.03 (ドリル加工)
指令3 G00 Z−0.5 (戻り)
指令4 G00 Z11.0 (位置決め)
指令5 G01 Z24.0 F0.03 (ドリル加工)
指令6 G00 Z−0.5 (戻り)
この加工プログラム自体は従来のものと同様である。すなわちプログラム作成者は従来通りのプログラム加工手順に従って、加工前にワークの近くまで工具を接近させるとき又は加工後にワークから切削工具を離間させるときは早送り指令G00を入力し、ワークに切削工具を当接させながら加工を行うときは加工に最適な送り速度の切削送り指令G01の入力を行えばよい。
【0017】
上記プログラムに従った場合の移動体の移動速度と時間との関係を図1(a)に示す。さらに比較のために、同一プログラムに従った従来の移動方法による移動体の移動速度と時間との関係を図1(b)に示す。図1(a)が図1(b)と異なる点は、加工プログラムの指令3及び指令4に相当する部分である。図示するように、図1(b)に示す従来の場合は、早送り指令G00に基づいた結果移動体の移動速度が最大に達する前に減速されるのに対し、図1(a)に示す本発明の場合は時定数がゼロ(すなわち移動速度がステップ状に変化する)であるステップ状送り指令すなわち切削送り指令G01に基づく移動を行う。すなわち、本発明の場合は、移動体の移動すべき距離がある判断基準距離未満である場合、より詳細にはG00指令に従う早送り移動形態では移動体移動速度が最大早送り速度に達しない場合は、プログラム上はG00であっても実際にはG01指令に従うステップ状移動形態に基づく移動制御が行われる。ステップ状送り指令の代わりに、時定数がG00における加減速時定数より短い短時間に設定された他の指令を用いてもよい。このことにより、指令3及び指令4の所要時間すなわち移動体の移動時間を短縮することができる。この理由は後述する。
【0018】
次にG00指令及びG01指令のいずれを選択するかを判定する基準となる移動体の判断基準距離Lについて説明する。
先ずG00指令に関し、最大送り速度をF0、加減速時定数をT0とする。本発明の対象になるのは、G00指令に従えば移動体の移動速度が図3(b)の実線のようになる場合であるから、そのときの移動時間をT(但しT/2<T0)、移動時間Tの間での最大送り速度をF0′とすると、この場合の移動体の移動距離L0
0=F0′×T/2 ・・(1)
で表される。ここで
0′=F0×T/2T0 ・・(2)
であるから、(1)式及び(2)式から以下の(3)式が導かれる。
0=F0×T2/4T0 ・・(3)
【0019】
一方、移動体がG01指令に従って移動する場合は、最大送り速度すなわち切削最大送り速度をF1、移動時間をT′とすると、移動距離L1
1=F1×T′ ・・(4)
となる。このとき加減速の時定数はゼロである。
判断基準距離Lは、(3)式及び(4)式においてT=T′の場合であってさらにL0=L1=LとなるときのLとして求められる。すなわち
L=4F12/F0×T0 ・・(5)
となる。
【0020】
(3)式と(4)式との比較から、G00指令の場合は移動時間Tは移動距離L0の平方根に比例するのに対し、G01指令の場合は移動時間T′は移動距離L1に比例することがわかる。従って移動距離が判断基準距離Lより小さい場合は、移動体をG01指令に従って移動させた方が移動時間は短くなる。本発明においては、図1(a)の指令3及び指令4に見られるように、移動体の駆動装置を制御する制御装置の演算部により求められる判断基準距離Lよりもプログラムにより指示された移動距離が短い場合は、制御装置の制御部はG00指令をG01指令に自動的に読替え又は書替える。演算部が行う演算に使用されるG00指令及びG01指令に関する各パラメータ(すなわち加減速時定数及び最大移動速度等)は、制御装置が有する記憶部に予め記憶される。一方プログラムに指示された移動距離が判断基準距離L以上の場合は、制御部は、従来と同様に入力されたプログラム通りにG00指令に基づく移動を行うように駆動装置を制御する。
【0021】
従ってプログラム作成者は、本発明においても、従来通りのプログラム加工手順に従って、加工前にワークの近くまで切削工具を接近させるとき又は加工後にワークから切削工具を離間させるときは早送り指令G00を入力し、ワークに切削工具を当接させながら加工を行うときは加工に最適な送り速度の切削送り指令G01の入力を行えばよい。加工プログラム上はG00指令に従う早送り移動形態であっても、移動距離がLより小さい場合は実際にはG01指令に従うステップ状移動形態に制御装置によって自動的に読替え又は書替えられてプログラムが実行されるので、作業者はそのことを意識することなく実際の移動時間を最小化することができる。
【0022】
一具体例として、上述のF0=20m/分、F1=8m/分及びT0=0.1秒である場合は、(5)式よりL=21mmとなる。またG00指令とG01指令とを切替える判定基準となるこのような判断基準距離Lは、各軸毎に求められ、適当な記憶部すなわちメモリに格納されることが好ましい。
【0023】
本発明による移動方法によって短縮される移動体の移動時間は、図1(a)及び(b)の比較から求めることができる。図示するように、指令3及び指令4における移動時間がそれぞれΔT1及びΔT2だけ短縮され、故に一連の加工プログラムの所要時間はΔT1+ΔT2だけ短縮されることになる。なおΔT1及びΔT2は、上述の式に基づいてG00指令及びG01指令それぞれについて算出可能な移動時間の差として求めることができる。
【0024】
また指令3及び指令4におけるような早送り指令から切削指令すなわちステップ状送り指令への自動的読替え又は書替えは、移動距離が上式によって求められる判断基準距離より短い場合であっても常に行う必要はなく、移動時間の短縮が要求される場合にのみ行えばよい。例えば、製品を連続して加工する自動運転時のみG00指令からG01指令への切替えを行い、一方、移動体(刃物台)へのバイト(切削工具)の交換取付けのような段取り作業中の位置決め早送り指令は移動距離に関係なくそのままG00指令による位置決め早送り動作を行うことが好ましい。
【0025】
なお、加工プログラムに入力されたG00指令を実動作時にG01指令に読替え又は書替えて動作させた場合は、その加工プログラムの扱いについて、
1.加工プログラムをその一順の実行毎にクリアして、その加工プログラムの次回の開始時に再度書替えを行う方法と、
2.加工プログラムが選択されている間は工作機械内部で一時的に保管し、他の加工プログラムが選択された時点でクリアする方法と、
3.読替え又は書替えた内容を加工プログラムにそのまま書替える方法と、
が考えられる。1番目及び2番目の方法は、加工プログラムの作成者には、あくまで自分の作成したプログラムのままで、その後のプログラムの改変等を行う際に支障がないようにしておくためのものである。またプログラムを改変した場合でも、プログラムのスタート毎にプログラムの読込み、早送り移動距離と判断基準となる判断基準距離Lとの比較、読替え(必要であれば)、プログラムの実行という一連の流れを確実に行うためでもある。3番目の方法については、工作機械の誤動作等のトラブルが発生した際に、それが読替え又は書替えに起因するものか否かの判断も行う場合を想定し、加工プログラムの保管できるようにしておくものである。
【0026】
本発明に係る制御装置及び移動方法は主としてサーボ軸送り制御に適用可能であるが、サーボ軸に限らず、パルスモータ等の他の駆動装置にも適用可能であることは容易に理解されよう。すなわち、予め2つの動作モードを用意しておき、一方は最大送り速度が高くかつ加減速を緩やかに(すなわち時定数を大きく)設定し、他方は最大送り速度は前者より低いが加減速を急に(すなわち時定数を小さく又はゼロに)設定することにより、標準の使用方法としては前者を早送り動作、後者を切削送り動作としてプログラミングし、説明したように移動距離が求められた判断基準距離より短いときは早送り動作を切削送り動作に自動的に切替えて動作させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)本発明に係る移動方法に従った場合の移動体の移動速度と時間との関係を示すグラフであり、(b)(a)との比較のために、従来の移動方法に従った場合の移動体の移動速度と時間との関係を示すグラフである。
【図2】(a)一般的なドリル加工を示す概略図であって、加工前にドリルが工具待機位置又は加工接近位置に移動した状態を示す図であり、(b)ドリルがワークを切削している状態を示す図であり、(c)加工後にドリルが加工接近位置又は工具待機位置に戻った状態を示す図である。
【図3】(a)G00指令による移動体の通常の移動形態を示す図であり、(b)(a)に関連し、移動体の移動距離が短い場合を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 ドリル
12 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、該移動体を移動させて位置決めを行う駆動装置とを有する工作機械に対し、加工プログラムに基づいて前記駆動装置を、早送り制御を含めた位置決め制御する制御装置であって、
前記駆動装置の予め定めた早送り加減速時定数及び早送り最大送り速度を含む早送り移動形態、並びに予め定めた加減速時定数が前記早送り時定数よりも短い短時間又はゼロに設定した最大送り速度を含むステップ状送り移動形態を記憶する記憶部と、
前記加工プログラムが、前記早送り移動形態にて前記移動体を移動させる早送り指令を含む場合に、前記早送り指令による前記移動体の移動距離を求める演算部と、
前記駆動装置が前記早送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、前記早送り指令を、前記ステップ状送り移動形態にて前記移動体を移動させるステップ状送り指令で動作を行うために自動的に読替え又は書替え、前記駆動装置が前記早送り指令ではなく前記ステップ状送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、を択一的に選択して前記駆動装置を制御する制御部と、
を有することを特徴とする、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動距離が前記演算部により求められる判断基準距離未満である場合に前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替え、該判断基準距離は、該判断基準距離にわたる前記移動体の移動時間が、前記早送り指令による場合と前記ステップ状送り指令による場合とで等しくなるような距離である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替えて前記移動体を駆動制御させるための前記加工プログラムを、該加工プログラムの一順の実行毎にクリアして次回の前記加工プログラムの開始時に再度読替え又は書替えて実行するか、前記加工プログラムが選択されている間は前記制御装置内部で一時的に保管し、他の加工プログラムが選択された時点でクリアするか、又は、前記読替え又は書替えた内容を前記加工プログラムにそのまま書替えるか、のいずれかを選択して実行する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置を備えた工作機械。
【請求項5】
移動体と、入力されたプログラムに基づいて前記移動体を移動させて位置決めを行う駆動装置とを有する工作機械における前記移動体の移動方法であって、
前記駆動装置の予め定めた早送り加減速時定数及び早送り最大送り速度を含む早送り移動形態、並びに予め定めた加減速時定数が前記早送り時定数よりも短い短時間又はゼロに設定した最大送り速度を含むステップ状送り移動形態を記憶することと、
前記プログラムが、前記早送り移動形態にて前記移動体を移動させる早送り指令を含む場合に、前記早送り指令による前記移動体の移動距離を求めることと、
前記駆動装置が前記早送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、前記早送り指令を、前記ステップ状送り移動形態にて前記移動体を移動させるステップ状送り指令に自動的に書き換え、前記駆動装置が前記早送り指令ではなく前記ステップ状送り指令に基づいて前記移動体を移動させる場合と、を択一的に選択して前記駆動装置を制御することと、
を有することを特徴とする、移動方法。
【請求項6】
前記制御部は、前記移動距離が判断基準距離未満である場合に前記早送り指令を前記ステップ状送り指令に読替え又は書替え、該判断基準距離は、該判断基準距離にわたる前記移動体の移動時間が、前記早送り指令による場合と前記ステップ状送り指令による場合とで等しくなるような距離である、請求項5に記載の移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−85575(P2006−85575A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271661(P2004−271661)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】