工作機械バイトの設計
ドリル加工、ミル(切削)加工、リーマ加工、またはタップ加工するための工具のような、工作機械バイトは、ワーク部(71)とこのワーク部から延在するシャンク(73)とを具備する。このシャンク(73)には、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられる。このような領域を、例えば、減少した直径(74)、軸状または縦方向のスロット(84,114)、減少した横断面のエリア(97)、ボア(94)、環状のノッチまたは溝(63,65)、またはスロットで形成できる。シャンクを以下のような特徴を有するように構成することが好ましい。即ち、上記工作機械バイトの横方向安定性が、機械的トルク強度における等価な減少を上記シャンクの直径における単なる減少によって達成されるような工作機械バイトより大きくなるように、上記シャンクを構成する。技術的には、変形したシャンクの慣性の極モーメント(ねじり力に対する抵抗)が、上記シャンクの直径における単なる減少を有するシャンクの慣性の極モーメントより大きいものである。更に、上記ノッチ、リセス、グルーブ、ボスまたは同等物を、材料(75)で充填することも可能で、これによって、追加の横方向の安定性を、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域に与えることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械バイトに関係する。特に、本発明は、故障制御機構を有する工作機械バイトに関係する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作機械は、機械加工による多種多様のコンポーネント(部材)、特に、金属部材の製造用に利用される。工作機械によって、ドリル(穿孔)加工、タップ加工、リーマ加工、およびミル(切削)加工を含む多数の機能を実行できると共に、工作機械によって実行される機能は、この工作機械自身によって部分的に決められると共に、この工作機械で使用する工作機械バイトの選択によって部分的に決められる。
【0003】
手動式工具、電動式手工具、数値(NC)制御機械、およびコンピュータ数値(CNC)制御機械のような従来の工作機械においては、バイトはドライブ部(駆動部)とワーク部(加工部)とを有し、このドライブ部を工作機械によって保持すると共に、このワーク部を、機械工作すべき部材に接触させる。
【0004】
工作機械バイト上に与えられる大きな機械的なストレスのために、特に、多数回の使用後や、機械加工中の材料に大きな機械的ストレスが与えられる場合には、これらバイトは故障する可能性がある。工作機械バイトの故障は回避できないものである一方、多くの場合、破損したパーツを除去することが困難であると共に、これらパーツ除去によって工作機械の稼動時間が減少するばかりでなく、機械加工中のコンポーネントに対してダメージを与える原因となる。
【0005】
従って、故障の場合において、コンポーネントから迅速且つ容易に移動可能な工作機械バイトを提供できるならば、有利である。更に、一旦故障が起こった場合に、この機械工作バイトを再利用可能ならば有利であり、これによってこのバイトの稼動寿命が延びる。
【0006】
先行技術の刊行物がここで参照される場合には、この引例が、上記刊行物がオーストラリアまたは他の国における技術上の共通の一般的な知識の一部分を構成することを承認するものではないことを明白に理解すべきである。
【0007】
本発明の明細書全体に亘って、用語 ”具備する”およびこれの文法的な同義語は、これの使用の文脈が他の意味を表現するものでない限りにおいては、包含的な意味を有すものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した欠点の内、少なくとも数個を克服できる工作機械バイトを提供すること、または、有益、即ち商業的な選択を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部とこのワーク部から延在するシャンクとを具備し、ここで、シャンクには減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が設けられ、および、この工作機械バイトをこのバイトの横方向の安定性上の効果を最小限にするように配置する。好適には、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域とすることも可能である。また、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域と称することも可能で、ならびにこの逆も可能である。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記シャンクは、前記工作機械バイトの横方向安定性に関する前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域の効果が最小限となるように構成され;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/またはボア(孔)を有する。
【0011】
更に、他の実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性が、機械的トルク強度における同等な減少が前記シャンクの直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きくなるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/またはボアを有する。
【0012】
当業者によれば、用語”ワーク部”は工作機械バイトの一部分の機能および位置を称するものであることを理解するであろう。特に、この用語”ワーク部”は、機械工作すべきコンポーネントと接触するように適合させた工作機械の部分を称する。
【0013】
上記ワーク部に、あらゆる適切な種類の作業を実行する手段を設けることも可能である。例えば、このワーク部に、ドリル工作、タップ工作、リーマ工作、または類似工作用の手段を設けることも可能である。
【0014】
上記シャンクを、あらゆる適切な構造のものとすることも可能である。しかしながら、本発明の一つの有利な実施形態において、上記シャンクはドライブシャフトを具備する。当業者によれば、このドライブシャフトの長さは決定的なものでないと共に、これの形状も決定的なものでなく、このドライブシャフトを実質的に円筒形とすることが好適であることを理解するであろう。
【0015】
上記シャンクに、更に接続手段を設けることもでき、この接続手段によって、工作機械バイトを、工作機械に接続することができるようにする。いくつかの実施例においては、上記接続手段は特定の構造を有する断面を有し、この断面を工作機械中の対応形状の受け部と係合可能にするが、この接続手段をあらゆる適切な形態のものとすることができる。例えば、当業者によれば、あらゆる適切な横断面形状を利用可能であるが、この接続手段は、四角形、または六角形の横断面を有するシャンクの一部分を具備することも可能である。この代わりに、この接続手段は、工作機械中の対応する受け部と係合するようにしたスロット、突起、リセス(凹所)、キー溝、または同等物(または、これら部材の組み合わせ)を具備することもできる。当業者によれば、これら接続手段をシャンク中のあらゆる適切なポイントに位置させることも可能であることを理解するけれども、これら接続手段をワーク部から最も遠い工作機械の端部の処、またはこれに隣接した位置とすることが好ましい。上記シャンクを、機械稼動式デバイス、手動式デバイス、または手持ち式パワーツール、および同等物、またはこれらの組み合わせと接続するように適合できるようにする。
【0016】
工作機械バイトの駆動力が、工作機械によって得られることが好適である。あらゆる適切な力を工作機械によって工作機械バイトに与えられる一方、本発明の有利な実施形態のいくつかにおいては、この工作機械によって回転力を工作機械バイトに提供することを着想する。
【0017】
前述したように、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が工作機械バイトのシャンク中に位置する。この減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、あらゆる適切な構造のものとすることが可能であると共に、減少した機械的強度を工作機械バイトに導入するためのあらゆる適切な方法を利用することも可能である。
【0018】
上述の減少した機械的強度の1個、またはそれ以上の領域の目的は、指定されたポイントまたは領域を有する工作機械バイトを提供することであり、ここでは、工作機械バイト内の機械的ストレスおよび歪が臨界レベルに到達、または超える場合に、この工作機械バイトの故障が発生する可能性がある。例えば、若し、従来の工作機械バイトのワーク部が、機械加工すべきコンポーネント中に捕獲即ち、トラップされるならば、この工作機械バイトの故障がワーク部内で、幾度も起こる。次に、破損したワーク部を、このコンポーネントから除去させる必要があり、このことは、困難であると共に時間の浪費となる。
【0019】
これと対比して、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を有する工作機械バイトを提供することによって、故障の場合に、この工作機械バイトが減少した機械的強度の1個の領域において破損することが保証される。従って、破損した工作機械バイトをこのコンポーネントから迅速且つ容易に除去することが出来ると共に、この工作機械バイトの利用できない期間は、比較的短い期間だけとなる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的強度を有する材料から、この工作機械バイトの残余部に形成することも可能である(例えば、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、更に壊れやすい、または延性を有する材料から、この工作機械バイトの残余部に形成することもできる)。この代わりに、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が、シャンクの残余部に対して異なった横断面形状を有することもできる(例えば、この減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域がシャンクの残余部の円形の横断面と比較して、短形の横断面を有することもできる)。好適には、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域によって、側面方向および/または横方向の機械的強度の最大限の保持が許容され、この結果、最大の工具サービス寿命が得られる。側面方向および/または横方向の強度の保持が最大値化されるが、工作機械バイトの破砕または粉砕が、オーバートルク状態の下では、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域において依然として発生するであろう。しかしながら、この側面方向および/または横方向強度の保持によって、工作機械バイトの偶然的なダメージまたは粉砕を防止し、これらのダメージまたは粉砕は手動的に、または機械によって生成された工作機械バイトの側面方向のモーメント、または曲折が起因として起こる。
【0021】
他の実施形態によれば、本発明は、広義には、ワーク部とこのワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトであり、このシャンクには、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域を設け;および、上記工作機械バイトを以下のように配置する。即ち、上記の工作機械バイトの横方向の安定性が、機械的トルク強度における同等な減少が直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きいものであるように、前記工作機械バイトを配置する。
【0022】
本発明の他の実施形態では、上記の減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域は、シャンクの残余部と比べて減少した横断面積を有するようにすることもできる。これらの実施形態において、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンク中に、1個またはそれ以上のリセス(凹所)、ノッチ、スロット、ボア、ホール(孔)、減少した直径の領域、チャネル、および/または同等物を形成することによって生成することもでき、これによって、上記の減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を生成する。上述したリセス、ノッチ、チャネルおよび/またはそれの同等物を、シャンクの全体の周囲のまわりを連続的且つ延在させることも可能で、または、これら部材に、シャンクの周囲の少なくとも一部分の周りを延在する、1個、またはそれ以上の非連続的なチャネル、ノッチおよび/またはそれの同等物を設けることも可能である。
【0023】
上記工作機械バイトの横方向の安定性に関する効果が最小限となるようにこのバイトを配置するために、多数の技術を採用できた。
【0024】
例えば、上述した減少した機械的強度の領域は、減少した直径を有するシャンクの領域を有する本発明の実施形態では、この減少した機械的強度の領域の横断面積と上記シャンクの横断面積との差分に以下のように材料を充填することも可能である。即ち、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクの他の領域と比較するときに、相関する側面方向および/または横方向の機械的な強度を、機械的なトルク強度に関して増大させるようにする。上記スペース(即ち、シャンクの横断面積と比較される減少した機械強度の領域の横断面積との差)を充填する上記材料は通常、適当な金属材料である。この代わりに、上記スペースを充填する材料を、合金、ポリマー、セラミック、合成物および/または適当な材料選択チャートに従ったあらゆる材料から製造することも可能である。この材料を、モールド、押出し、または類似のプロセスによって上記スペース中に埋め戻すこともできる。また、この材料をスペース内で鋳造または形成することもできる。この代わりに、この材料をカラーおよび/または同等物の形状とすることもできる。若し、この材料がカラーの形状の場合には、このカラーを、シャンク上を通過し、更にスペース中に嵌入出来るように展開することも可能である。この代わりに、若しこの材料をカラーの形状とする場合には、このカラーは収縮可能となる。収縮可能な材料は、熱、冷却、硬化剤、他のタイプの化合物、および/または同等物を与えることによって収縮することも可能である。
【0025】
本発明の他の実施形態においては、上記シャンクに1個またはそれ以上のスロット、スプライン、リセス、チャネル、および/または同等物を設けて、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を形成することもできる(即ち、減少した横断面積のために)。好適にはこれらスロット、スプライン、リセス、チャネルまたは同等物は、シャンクの縦軸に対して実質的に平行な方向に延在する。本発明の有利な一実施形態によれば、これらスロット、スプライン、リセス、チャネル、または同等物を以下のように互いに離間する。即ち、シャンクの残余物の直径に等しい直径を有する領域をこれらスロット、スプライン、リセス、チャネル、または同等物の間に介挿する。この構造によって以下のことが提供される。即ち、工作機械バイトの相対的な側面方向および/または横方向の機械的強度は、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が、シャンクの他の領域と比較、またはシャンク中のみの減少した直径の領域を有する工作機械バイトと比較する時に、機械的トルク強度に関して増大する。
【0026】
一実施形態において、上記シャンクの1つまたはそれ以上の断面を加熱処理して機械的強度を減少させることも可能である。この代わりに、このシャンクの1個またはそれ以上の断面を冷却処理して機械的強度を減少させることも可能である。好適には、このような処理によって、上記の機械的トルク強度と比べて、側面方向および/または横方向の機械的強度の最大限の保持が可能となる。
【0027】
また、本発明の他の実施形態において、このシャンクの1つまたはそれ以上の断面を、半田付け、溶接、溶解溶接、および/または同様な処理を一緒に実行することもでき、これによって上述した減少した機械的な強度の1個またはそれ以上の領域を提供するジョイントが形成される。
【0028】
また、一実施形態においては、上記シャンクに、減少した機械強度の1個またはそれ以上の領域を規定する、1個またはそれ以上のホール(孔)、ボア、または同等物を設けることも可能である。これら1個またはそれ以上のホールによって、減少した横断面積の最大の外径を、シャンクの残余部の直径と同一なものとすることも可能である。この構造によって、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクの他の領域と比較するときに、相対的な側面方向および/または横方向の機械的な強度が、機械的なトルク強度に関して増大するように提供される。通常、これらホールをシャンク中でくり抜くか、またはドリルであける。この代わりに、他の適切な方法を利用して、ホールを有するシャンクを提供できる。好適には、これらホールをシャンクに対して横方向としてその効果を最大値化する。この代わりに、これらホールをシャンクに対して異なった角度で形成することもできる。本発明の好適な一実施形態によれば、これらホールを、シャンクの最大直径を横切ってくり抜く。好適には、これらホールを完全にシャンクを通ってくり抜く。
【0029】
減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、このような方法でチャンク中に導入することによって、工作機械バイトのあらゆる機械的な故障が、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域において発生するようになることが、保証可能となる。しかし乍ら、減少した直径のみを有する工作機械バイトと比較して、上記工作機械バイトの横方向安定性を増大させることによって、この工作機械バイトの有効なサービス寿命を延長することも可能で、他方、この工作機械バイトが、オーバートルクの状態の下で破砕するポイントを制御する手段を、依然として提供するものである。
【0030】
減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクのあらゆる適切なポイントに位置させることも出来る。しかし乍ら、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、以下のことを保証するためにワーク部から十分な距離で配置することも出来る。即ち、故障の場合、破損した工作機械バイトを、機械工作すべきコンポーネントから容易に回収できるように保証するためである。
【0031】
シャンクに、減少した機械的強度の複数領域が設けられた実施形態において、これら領域を同じタイプのものにすることも、互いに異なったタイプのものにすることも可能で、機械的故障の場合、最初に特定の領域が、他の領域の前に故障するようにする。例えば、これら複数個の領域を横断面積を変化させて設けることもでき、最初の故障が最小の横断面を有する領域で起こるようにする。このような方法によって、上記工作機械バイトを減少した機械的強度の全領域が故障するまで再利用可能となる。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態において、工作機械バイトに、複数の接続手段を設けることも出来る。例えば、第1接続手段を、この工作機械バイトのワーク部から最も遠い位置のシャンクの端部に、または隣接して設けることもでき、減少した機械的強度の第1領域を第1接続手段とワーク部との中間に位置させる。第2接続手段を、ワーク部と減少した機械強度の第1領域との中間ポイントに設けることもでき、減少した機械的強度の第2領域を、第2接続手段とワーク部との中間に位置させる。所望に応じて、第3接続手段を、ワーク部と減少した機械的強度の第2領域との中間ポイントにおけるワーク部に、更に近接して設けることもできる。更に、所望に応じて、接続手段を同様な方法で設けることも出来る。この構成の利点としては、ワーク部の上部に減少した機械的強度の領域を設けることは、破損した工作機械バイトを把握できると共に、機械工作すべきコンポーネントから除去できることを意味し、これは、破損したシャンクが、常に、このコンポーネントの上部に突き出ている事実に基づくものである。これに加えて、減少した機械的強度の領域を多数個設けることは、機械的故障の後に、工作機械バイトを再利用可能であることを意味し、この結果、このバイトの寿命を延ばせる。このことを従来の工作機械バイトでは簡単に実現できない。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、シャンク全体を、ワーク部の機械的強度より弱いものとすることも出来ることを理解するであろう。例えば、シャンク全体が、ワーク部の直径と比べて、減少した直径を有することもできる。この代わりに、シャンク全体が、ワーク部と比べて、減少した機械的トルク強度を有することもできる。
【0034】
他の実施形態によれば、本発明は広義には、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を有する工作機械バイトであり、十分な機械的ストレスが蓄積されると、この工作機械バイトを、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域における、少なくとも一領域で故障するように適合させる。
【0035】
本発明を、工作機械バイトに関連して広範囲に説明したが、当業者によれば、本発明を、バイトの使用が必要な他の項目に関連して使用できることも理解するであろう。例えば、本発明を、手動式手持ちタイプの工具、手持ちタイプのパワーツール、小規模の工業設備、大型のドリル設備、例えば、岩盤ドリル、石油、ガス、鉱物を掘るためのドリル、海洋ドリル、または同等物で利用可能とすることもできる。
【0036】
従って、機械工作すべきコンポーネントには、金属、プラスチック、木材、岩、またはセラミックコンポーネントや、岩盤、地球、海底、および/または同等物を包含することも着想できる。
【0037】
以下の図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図2】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図3】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図4】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図5】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図6】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図7】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図8】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図9】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図10】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図11】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図12】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上述した図面は、本発明の好適な実施形態を表す目的のために提供されているものであり、本発明を、これら図面に示したような特徴のみに限定すべきものと考えないことを理解するものとする。
【0040】
図1には、本発明の第1実施形態による工作機械バイト10が示される。この工作機械バイト10はドリルバイトである。
【0041】
工作機械バイト10は、ワーク部11とシャンク12とを具備し、このワーク部11は、ドリル加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク12を、工作機械、手持ち式ドリル、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0042】
シャンク12は、ドライブシャフト13を具備し、このドライブシャフト13は、このシャフト13内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)14の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ14の直径は、ドライブシャフト13及びワーク部11の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ14が、工作機械バイト10全体における機械的にもっとも弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト10中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト10は、環状ノッチ14において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト10のワーク部11は、ダメージを受けないままであることを意味する。
【0043】
工作機械バイト10の機械的故障が環状ノッチ14で起こるように保証することによって、故障が起こる時に、この故障が、ワーク部分11で起こらないように保証できる。このことは、工作機械バイト10の破損した破片を、ドリル加工すべきコンポーネント(図示せず)から迅速且つ容易に除去可能であると共に、このコンポーネントに対するダメージを最小限のリスクの下で除去可能であることを意味する。
【0044】
図2において、本発明の第2実施形態による工作機械ビット20を示す。この工作機械ビット20は、ミル(切削)バイトである。
【0045】
工作機械バイト20は、ワーク部21とシャンク22とを具備し、このワーク部21は、ミル(切削)加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク22を、工作機械、手持ち式のパワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0046】
シャンク22は、ドライブシャフト23を具備し、このドライブシャフト23は、このシャフト23内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)24の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ24の直径は、ドライブシャフト23及びワーク部21の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ24が、工作機械バイト20全体における機械的に最も弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト20中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト20は、環状ノッチ24において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト20のワーク部21は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部21をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0047】
シャンク22は、更に、工作機械(図示せず)の対応する受け部(図示せず)内において受けるべき接続手段25を具備する。図2で示した本発明の実施形態において、この接続手段25はスロット26を包含しており、このスロット26を、工作機械中の対応するパーツ(バーやその類似物のような)と係合するために適合させる。
【0048】
図3には、本発明の第3実施形態による工作機械バイト30が示される。この工作機械バイト30はリーマ用のバイトである。
【0049】
工作機械バイト30は、ワーク部31とシャンク32とを具備し、このワーク部31は、リーマ加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク32を、工作機械、手持ち式パワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0050】
シャンク32は、ドライブシャフト33を具備し、このドライブシャフト33は、このシャフト33内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)34の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ34の直径は、ドライブシャフト33及びワーク部31の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ34が、工作機械バイト30全体における機械的にもっとも弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト30中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト30は、環状ノッチ34において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト30のワーク部31は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部31をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0051】
図3の工作機械バイト30は、更に、接続手段35を具備し、この接続手段35は、ワーク部31から最も遠いシャンク32の端部に位置する。この接続手段35を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に以下のように接続するように適合させる。即ち、工作機械バイト30を受け部に接続すると共に、使用中に工作機械(図示せず)によって保持するようにする。更に、この工作機械(図示せず)が駆動力を工作機械バイト30に伝達するように適合させる。これは、回転力を工作機械バイト30に分け与えることによって実現する。
【0052】
図4には、本発明の第4実施形態による工作機械バイト40が示される。この工作機械バイト40はタッピングバイト用のバイトである。
【0053】
工作機械バイト40は、ワーク部41とシャンク42とを具備し、このワーク部41は、タップ加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク42を、工作機械、手持ち式パワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0054】
シャンク42は、ドライブシャフト43を具備し、このドライブシャフト43は、このシャフト43内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)44の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ44の直径は、ドライブシャフト43及びワーク部41の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ44が、工作機械バイト40全体における機械的に最も弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト40中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト40は、環状ノッチ44において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト40のワーク部41は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部41をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0055】
図4の工作機械バイト40は、更に、接続手段45を具備し、この接続手段45は、ワーク部41から最も遠いシャンク42の端部に位置する。この接続手段45を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に以下のように接続するように適合させる。即ち、工作機械バイト40を受け部に接続すると共に、使用中に工作機械(図示せず)によって保持するようにする。更に、この工作機械(図示せず)が駆動力を工作機械バイト40に伝達するように適合させる。これは、回転力を工作機械バイト40に分け与えることによって実現する。
【0056】
図5は、本発明の一変形例による工作機械バイト50を示す。この工作機械バイト50は、図1に示したバイトと以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、工作機械バイト50のシャンク51には、ワーク部52と比較して、このシャンク51の全体の長さに沿って減少した直径から成るものである。
【0057】
図6は、本発明の一変形例による工作機械バイト60を示す。この工作機械バイト60は、図3に示したバイトと以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、工作機械バイト60のシャンク61には、第1接続手段62及び第1環状ノッチ63、更に、第2接続手段64および第2環状ノッチ65が設けられる。また、このタイプの構成を図7〜12に示した工作機械に組み込むことも着想でき、ここでは、これらノッチを、減少させた機械トルク強度のエリアで置き換える。
【0058】
本発明のこの実施形態では、第1環状ノッチ64を、第2環状ノッチ65に対して減少した直径のものとし、工作機械バイト60の故障がこの第1環状ノッチ64中で最初に起こるようにすることも出来る。一旦故障が起こると、第1接続手段62を工作機械(図示せず)から釈放することが可能で、次に、第2接続手段64をこの工作機械(図示せず)に接続することができ、この結果、工作機械バイト60の有効寿命が延長する。
【0059】
第2の機械的故障の場合には、この故障は第2環状ノッチ65の位置で起こる。これは、ワーク部66を工作加工中のコンポーネント(図示せず)から、未だ容易且つ迅速に回収可能であることを意味する。
【0060】
図7は、本発明の一変形例による工作機械バイト70を示す。この工作機械バイト70は、図4に示したバイトとは、以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、減少した直径74の領域(また、減少した機械的トルク強度の領域)を材料75で満たすことによって、減少した機械的トルク強度の領域の側面方向および横方向の機械的強度を増大する(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連して横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。横断面A−Aは、減少した直径77と材料75とを示し、この材料75は、シャフト73の直径と、減少した直径74の領域の直径との間の差を満たす。接続手段75を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に接続するために適合させる。
【0061】
図8は、本発明の一変形例による工作機械バイト80を示す。シャフト83は、減少した機械的トルク強度の領域を提供する軸状スロット84を有する。横断面図B−Bは、上述した軸状スロット84の結果として、減少した横断面エリア87を示す。この減少した横断面エリア87は、シャフト83と同じ最大直径を有し、これによって前述の機械的トルク強度と比べて、側面方向および横方向の機械的強度において相対的な増加が得られる(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連した横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。
【0062】
図9は、本発明の一変形例による工作機械バイト90を示す。シャフト93は、減少した機械的トルク強度の領域を提供する2個のボア94を有する。横断面図C−Cは、上述したボア94の結果として、減少した横断面エリア97を示す。この減少した横断面エリア97は、シャフト93と同じ最大直径を有し、これによって前述の機械的トルク強度と比べて、側面方向および横方向の機械的強度において相対的な増加が得られる(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連した横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。
【0063】
図10には、図7に示したような工作機械バイト70に類似した工作機械バイト100が図示されており、ここでの差は、シャフト103は接続手段であると共に、ワーク部101が異なり、この場合、工作機械バイト100はドリルバイトである。
【0064】
図11には、図8に示したような工作機械バイト80に類似した工作機械バイト110が図示されており、ここでの差は、シャフト113は接続手段であると共に、ワーク部111が異なり、この場合、工作機械バイト110はドリルバイトである。
【0065】
図12には、図9に示したような工作機械バイト90に類似した工作機械バイト120が図示されており、ここでの差は、シャフト123は接続手段であると共に、ワーク部121が異なり、この場合、工作機械バイト120はドリルバイトである。
【0066】
本発明によれば、特に記載した変更および変形例以外のものも採用可能であることは、当業者であれば理解するものとする。本発明は、その精神および範囲に含まれる、このような変更および変形例の全部を包含するものと解釈するものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械バイトに関係する。特に、本発明は、故障制御機構を有する工作機械バイトに関係する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作機械は、機械加工による多種多様のコンポーネント(部材)、特に、金属部材の製造用に利用される。工作機械によって、ドリル(穿孔)加工、タップ加工、リーマ加工、およびミル(切削)加工を含む多数の機能を実行できると共に、工作機械によって実行される機能は、この工作機械自身によって部分的に決められると共に、この工作機械で使用する工作機械バイトの選択によって部分的に決められる。
【0003】
手動式工具、電動式手工具、数値(NC)制御機械、およびコンピュータ数値(CNC)制御機械のような従来の工作機械においては、バイトはドライブ部(駆動部)とワーク部(加工部)とを有し、このドライブ部を工作機械によって保持すると共に、このワーク部を、機械工作すべき部材に接触させる。
【0004】
工作機械バイト上に与えられる大きな機械的なストレスのために、特に、多数回の使用後や、機械加工中の材料に大きな機械的ストレスが与えられる場合には、これらバイトは故障する可能性がある。工作機械バイトの故障は回避できないものである一方、多くの場合、破損したパーツを除去することが困難であると共に、これらパーツ除去によって工作機械の稼動時間が減少するばかりでなく、機械加工中のコンポーネントに対してダメージを与える原因となる。
【0005】
従って、故障の場合において、コンポーネントから迅速且つ容易に移動可能な工作機械バイトを提供できるならば、有利である。更に、一旦故障が起こった場合に、この機械工作バイトを再利用可能ならば有利であり、これによってこのバイトの稼動寿命が延びる。
【0006】
先行技術の刊行物がここで参照される場合には、この引例が、上記刊行物がオーストラリアまたは他の国における技術上の共通の一般的な知識の一部分を構成することを承認するものではないことを明白に理解すべきである。
【0007】
本発明の明細書全体に亘って、用語 ”具備する”およびこれの文法的な同義語は、これの使用の文脈が他の意味を表現するものでない限りにおいては、包含的な意味を有すものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した欠点の内、少なくとも数個を克服できる工作機械バイトを提供すること、または、有益、即ち商業的な選択を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部とこのワーク部から延在するシャンクとを具備し、ここで、シャンクには減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が設けられ、および、この工作機械バイトをこのバイトの横方向の安定性上の効果を最小限にするように配置する。好適には、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域とすることも可能である。また、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域と称することも可能で、ならびにこの逆も可能である。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記シャンクは、前記工作機械バイトの横方向安定性に関する前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域の効果が最小限となるように構成され;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/またはボア(孔)を有する。
【0011】
更に、他の実施形態によれば、広義には、本発明は以下のような工作機械バイトの範疇にあり、この工作機械バイトは、ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性が、機械的トルク強度における同等な減少が前記シャンクの直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きくなるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/またはボアを有する。
【0012】
当業者によれば、用語”ワーク部”は工作機械バイトの一部分の機能および位置を称するものであることを理解するであろう。特に、この用語”ワーク部”は、機械工作すべきコンポーネントと接触するように適合させた工作機械の部分を称する。
【0013】
上記ワーク部に、あらゆる適切な種類の作業を実行する手段を設けることも可能である。例えば、このワーク部に、ドリル工作、タップ工作、リーマ工作、または類似工作用の手段を設けることも可能である。
【0014】
上記シャンクを、あらゆる適切な構造のものとすることも可能である。しかしながら、本発明の一つの有利な実施形態において、上記シャンクはドライブシャフトを具備する。当業者によれば、このドライブシャフトの長さは決定的なものでないと共に、これの形状も決定的なものでなく、このドライブシャフトを実質的に円筒形とすることが好適であることを理解するであろう。
【0015】
上記シャンクに、更に接続手段を設けることもでき、この接続手段によって、工作機械バイトを、工作機械に接続することができるようにする。いくつかの実施例においては、上記接続手段は特定の構造を有する断面を有し、この断面を工作機械中の対応形状の受け部と係合可能にするが、この接続手段をあらゆる適切な形態のものとすることができる。例えば、当業者によれば、あらゆる適切な横断面形状を利用可能であるが、この接続手段は、四角形、または六角形の横断面を有するシャンクの一部分を具備することも可能である。この代わりに、この接続手段は、工作機械中の対応する受け部と係合するようにしたスロット、突起、リセス(凹所)、キー溝、または同等物(または、これら部材の組み合わせ)を具備することもできる。当業者によれば、これら接続手段をシャンク中のあらゆる適切なポイントに位置させることも可能であることを理解するけれども、これら接続手段をワーク部から最も遠い工作機械の端部の処、またはこれに隣接した位置とすることが好ましい。上記シャンクを、機械稼動式デバイス、手動式デバイス、または手持ち式パワーツール、および同等物、またはこれらの組み合わせと接続するように適合できるようにする。
【0016】
工作機械バイトの駆動力が、工作機械によって得られることが好適である。あらゆる適切な力を工作機械によって工作機械バイトに与えられる一方、本発明の有利な実施形態のいくつかにおいては、この工作機械によって回転力を工作機械バイトに提供することを着想する。
【0017】
前述したように、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が工作機械バイトのシャンク中に位置する。この減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、あらゆる適切な構造のものとすることが可能であると共に、減少した機械的強度を工作機械バイトに導入するためのあらゆる適切な方法を利用することも可能である。
【0018】
上述の減少した機械的強度の1個、またはそれ以上の領域の目的は、指定されたポイントまたは領域を有する工作機械バイトを提供することであり、ここでは、工作機械バイト内の機械的ストレスおよび歪が臨界レベルに到達、または超える場合に、この工作機械バイトの故障が発生する可能性がある。例えば、若し、従来の工作機械バイトのワーク部が、機械加工すべきコンポーネント中に捕獲即ち、トラップされるならば、この工作機械バイトの故障がワーク部内で、幾度も起こる。次に、破損したワーク部を、このコンポーネントから除去させる必要があり、このことは、困難であると共に時間の浪費となる。
【0019】
これと対比して、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を有する工作機械バイトを提供することによって、故障の場合に、この工作機械バイトが減少した機械的強度の1個の領域において破損することが保証される。従って、破損した工作機械バイトをこのコンポーネントから迅速且つ容易に除去することが出来ると共に、この工作機械バイトの利用できない期間は、比較的短い期間だけとなる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、減少した機械的強度を有する材料から、この工作機械バイトの残余部に形成することも可能である(例えば、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、更に壊れやすい、または延性を有する材料から、この工作機械バイトの残余部に形成することもできる)。この代わりに、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が、シャンクの残余部に対して異なった横断面形状を有することもできる(例えば、この減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域がシャンクの残余部の円形の横断面と比較して、短形の横断面を有することもできる)。好適には、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域によって、側面方向および/または横方向の機械的強度の最大限の保持が許容され、この結果、最大の工具サービス寿命が得られる。側面方向および/または横方向の強度の保持が最大値化されるが、工作機械バイトの破砕または粉砕が、オーバートルク状態の下では、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域において依然として発生するであろう。しかしながら、この側面方向および/または横方向強度の保持によって、工作機械バイトの偶然的なダメージまたは粉砕を防止し、これらのダメージまたは粉砕は手動的に、または機械によって生成された工作機械バイトの側面方向のモーメント、または曲折が起因として起こる。
【0021】
他の実施形態によれば、本発明は、広義には、ワーク部とこのワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトであり、このシャンクには、減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域を設け;および、上記工作機械バイトを以下のように配置する。即ち、上記の工作機械バイトの横方向の安定性が、機械的トルク強度における同等な減少が直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きいものであるように、前記工作機械バイトを配置する。
【0022】
本発明の他の実施形態では、上記の減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域は、シャンクの残余部と比べて減少した横断面積を有するようにすることもできる。これらの実施形態において、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンク中に、1個またはそれ以上のリセス(凹所)、ノッチ、スロット、ボア、ホール(孔)、減少した直径の領域、チャネル、および/または同等物を形成することによって生成することもでき、これによって、上記の減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を生成する。上述したリセス、ノッチ、チャネルおよび/またはそれの同等物を、シャンクの全体の周囲のまわりを連続的且つ延在させることも可能で、または、これら部材に、シャンクの周囲の少なくとも一部分の周りを延在する、1個、またはそれ以上の非連続的なチャネル、ノッチおよび/またはそれの同等物を設けることも可能である。
【0023】
上記工作機械バイトの横方向の安定性に関する効果が最小限となるようにこのバイトを配置するために、多数の技術を採用できた。
【0024】
例えば、上述した減少した機械的強度の領域は、減少した直径を有するシャンクの領域を有する本発明の実施形態では、この減少した機械的強度の領域の横断面積と上記シャンクの横断面積との差分に以下のように材料を充填することも可能である。即ち、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクの他の領域と比較するときに、相関する側面方向および/または横方向の機械的な強度を、機械的なトルク強度に関して増大させるようにする。上記スペース(即ち、シャンクの横断面積と比較される減少した機械強度の領域の横断面積との差)を充填する上記材料は通常、適当な金属材料である。この代わりに、上記スペースを充填する材料を、合金、ポリマー、セラミック、合成物および/または適当な材料選択チャートに従ったあらゆる材料から製造することも可能である。この材料を、モールド、押出し、または類似のプロセスによって上記スペース中に埋め戻すこともできる。また、この材料をスペース内で鋳造または形成することもできる。この代わりに、この材料をカラーおよび/または同等物の形状とすることもできる。若し、この材料がカラーの形状の場合には、このカラーを、シャンク上を通過し、更にスペース中に嵌入出来るように展開することも可能である。この代わりに、若しこの材料をカラーの形状とする場合には、このカラーは収縮可能となる。収縮可能な材料は、熱、冷却、硬化剤、他のタイプの化合物、および/または同等物を与えることによって収縮することも可能である。
【0025】
本発明の他の実施形態においては、上記シャンクに1個またはそれ以上のスロット、スプライン、リセス、チャネル、および/または同等物を設けて、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を形成することもできる(即ち、減少した横断面積のために)。好適にはこれらスロット、スプライン、リセス、チャネルまたは同等物は、シャンクの縦軸に対して実質的に平行な方向に延在する。本発明の有利な一実施形態によれば、これらスロット、スプライン、リセス、チャネル、または同等物を以下のように互いに離間する。即ち、シャンクの残余物の直径に等しい直径を有する領域をこれらスロット、スプライン、リセス、チャネル、または同等物の間に介挿する。この構造によって以下のことが提供される。即ち、工作機械バイトの相対的な側面方向および/または横方向の機械的強度は、上記減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域が、シャンクの他の領域と比較、またはシャンク中のみの減少した直径の領域を有する工作機械バイトと比較する時に、機械的トルク強度に関して増大する。
【0026】
一実施形態において、上記シャンクの1つまたはそれ以上の断面を加熱処理して機械的強度を減少させることも可能である。この代わりに、このシャンクの1個またはそれ以上の断面を冷却処理して機械的強度を減少させることも可能である。好適には、このような処理によって、上記の機械的トルク強度と比べて、側面方向および/または横方向の機械的強度の最大限の保持が可能となる。
【0027】
また、本発明の他の実施形態において、このシャンクの1つまたはそれ以上の断面を、半田付け、溶接、溶解溶接、および/または同様な処理を一緒に実行することもでき、これによって上述した減少した機械的な強度の1個またはそれ以上の領域を提供するジョイントが形成される。
【0028】
また、一実施形態においては、上記シャンクに、減少した機械強度の1個またはそれ以上の領域を規定する、1個またはそれ以上のホール(孔)、ボア、または同等物を設けることも可能である。これら1個またはそれ以上のホールによって、減少した横断面積の最大の外径を、シャンクの残余部の直径と同一なものとすることも可能である。この構造によって、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクの他の領域と比較するときに、相対的な側面方向および/または横方向の機械的な強度が、機械的なトルク強度に関して増大するように提供される。通常、これらホールをシャンク中でくり抜くか、またはドリルであける。この代わりに、他の適切な方法を利用して、ホールを有するシャンクを提供できる。好適には、これらホールをシャンクに対して横方向としてその効果を最大値化する。この代わりに、これらホールをシャンクに対して異なった角度で形成することもできる。本発明の好適な一実施形態によれば、これらホールを、シャンクの最大直径を横切ってくり抜く。好適には、これらホールを完全にシャンクを通ってくり抜く。
【0029】
減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、このような方法でチャンク中に導入することによって、工作機械バイトのあらゆる機械的な故障が、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域において発生するようになることが、保証可能となる。しかし乍ら、減少した直径のみを有する工作機械バイトと比較して、上記工作機械バイトの横方向安定性を増大させることによって、この工作機械バイトの有効なサービス寿命を延長することも可能で、他方、この工作機械バイトが、オーバートルクの状態の下で破砕するポイントを制御する手段を、依然として提供するものである。
【0030】
減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域をシャンクのあらゆる適切なポイントに位置させることも出来る。しかし乍ら、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を、以下のことを保証するためにワーク部から十分な距離で配置することも出来る。即ち、故障の場合、破損した工作機械バイトを、機械工作すべきコンポーネントから容易に回収できるように保証するためである。
【0031】
シャンクに、減少した機械的強度の複数領域が設けられた実施形態において、これら領域を同じタイプのものにすることも、互いに異なったタイプのものにすることも可能で、機械的故障の場合、最初に特定の領域が、他の領域の前に故障するようにする。例えば、これら複数個の領域を横断面積を変化させて設けることもでき、最初の故障が最小の横断面を有する領域で起こるようにする。このような方法によって、上記工作機械バイトを減少した機械的強度の全領域が故障するまで再利用可能となる。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態において、工作機械バイトに、複数の接続手段を設けることも出来る。例えば、第1接続手段を、この工作機械バイトのワーク部から最も遠い位置のシャンクの端部に、または隣接して設けることもでき、減少した機械的強度の第1領域を第1接続手段とワーク部との中間に位置させる。第2接続手段を、ワーク部と減少した機械強度の第1領域との中間ポイントに設けることもでき、減少した機械的強度の第2領域を、第2接続手段とワーク部との中間に位置させる。所望に応じて、第3接続手段を、ワーク部と減少した機械的強度の第2領域との中間ポイントにおけるワーク部に、更に近接して設けることもできる。更に、所望に応じて、接続手段を同様な方法で設けることも出来る。この構成の利点としては、ワーク部の上部に減少した機械的強度の領域を設けることは、破損した工作機械バイトを把握できると共に、機械工作すべきコンポーネントから除去できることを意味し、これは、破損したシャンクが、常に、このコンポーネントの上部に突き出ている事実に基づくものである。これに加えて、減少した機械的強度の領域を多数個設けることは、機械的故障の後に、工作機械バイトを再利用可能であることを意味し、この結果、このバイトの寿命を延ばせる。このことを従来の工作機械バイトでは簡単に実現できない。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、シャンク全体を、ワーク部の機械的強度より弱いものとすることも出来ることを理解するであろう。例えば、シャンク全体が、ワーク部の直径と比べて、減少した直径を有することもできる。この代わりに、シャンク全体が、ワーク部と比べて、減少した機械的トルク強度を有することもできる。
【0034】
他の実施形態によれば、本発明は広義には、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域を有する工作機械バイトであり、十分な機械的ストレスが蓄積されると、この工作機械バイトを、減少した機械的強度の1個またはそれ以上の領域における、少なくとも一領域で故障するように適合させる。
【0035】
本発明を、工作機械バイトに関連して広範囲に説明したが、当業者によれば、本発明を、バイトの使用が必要な他の項目に関連して使用できることも理解するであろう。例えば、本発明を、手動式手持ちタイプの工具、手持ちタイプのパワーツール、小規模の工業設備、大型のドリル設備、例えば、岩盤ドリル、石油、ガス、鉱物を掘るためのドリル、海洋ドリル、または同等物で利用可能とすることもできる。
【0036】
従って、機械工作すべきコンポーネントには、金属、プラスチック、木材、岩、またはセラミックコンポーネントや、岩盤、地球、海底、および/または同等物を包含することも着想できる。
【0037】
以下の図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図2】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図3】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図4】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図5】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図6】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図を示す。
【図7】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図8】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図9】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図10】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図11】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【図12】本発明の一実施形態による工作機械バイトの平面図および横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上述した図面は、本発明の好適な実施形態を表す目的のために提供されているものであり、本発明を、これら図面に示したような特徴のみに限定すべきものと考えないことを理解するものとする。
【0040】
図1には、本発明の第1実施形態による工作機械バイト10が示される。この工作機械バイト10はドリルバイトである。
【0041】
工作機械バイト10は、ワーク部11とシャンク12とを具備し、このワーク部11は、ドリル加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク12を、工作機械、手持ち式ドリル、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0042】
シャンク12は、ドライブシャフト13を具備し、このドライブシャフト13は、このシャフト13内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)14の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ14の直径は、ドライブシャフト13及びワーク部11の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ14が、工作機械バイト10全体における機械的にもっとも弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト10中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト10は、環状ノッチ14において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト10のワーク部11は、ダメージを受けないままであることを意味する。
【0043】
工作機械バイト10の機械的故障が環状ノッチ14で起こるように保証することによって、故障が起こる時に、この故障が、ワーク部分11で起こらないように保証できる。このことは、工作機械バイト10の破損した破片を、ドリル加工すべきコンポーネント(図示せず)から迅速且つ容易に除去可能であると共に、このコンポーネントに対するダメージを最小限のリスクの下で除去可能であることを意味する。
【0044】
図2において、本発明の第2実施形態による工作機械ビット20を示す。この工作機械ビット20は、ミル(切削)バイトである。
【0045】
工作機械バイト20は、ワーク部21とシャンク22とを具備し、このワーク部21は、ミル(切削)加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク22を、工作機械、手持ち式のパワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0046】
シャンク22は、ドライブシャフト23を具備し、このドライブシャフト23は、このシャフト23内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)24の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ24の直径は、ドライブシャフト23及びワーク部21の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ24が、工作機械バイト20全体における機械的に最も弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト20中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト20は、環状ノッチ24において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト20のワーク部21は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部21をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0047】
シャンク22は、更に、工作機械(図示せず)の対応する受け部(図示せず)内において受けるべき接続手段25を具備する。図2で示した本発明の実施形態において、この接続手段25はスロット26を包含しており、このスロット26を、工作機械中の対応するパーツ(バーやその類似物のような)と係合するために適合させる。
【0048】
図3には、本発明の第3実施形態による工作機械バイト30が示される。この工作機械バイト30はリーマ用のバイトである。
【0049】
工作機械バイト30は、ワーク部31とシャンク32とを具備し、このワーク部31は、リーマ加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク32を、工作機械、手持ち式パワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0050】
シャンク32は、ドライブシャフト33を具備し、このドライブシャフト33は、このシャフト33内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)34の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ34の直径は、ドライブシャフト33及びワーク部31の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ34が、工作機械バイト30全体における機械的にもっとも弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト30中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト30は、環状ノッチ34において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト30のワーク部31は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部31をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0051】
図3の工作機械バイト30は、更に、接続手段35を具備し、この接続手段35は、ワーク部31から最も遠いシャンク32の端部に位置する。この接続手段35を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に以下のように接続するように適合させる。即ち、工作機械バイト30を受け部に接続すると共に、使用中に工作機械(図示せず)によって保持するようにする。更に、この工作機械(図示せず)が駆動力を工作機械バイト30に伝達するように適合させる。これは、回転力を工作機械バイト30に分け与えることによって実現する。
【0052】
図4には、本発明の第4実施形態による工作機械バイト40が示される。この工作機械バイト40はタッピングバイト用のバイトである。
【0053】
工作機械バイト40は、ワーク部41とシャンク42とを具備し、このワーク部41は、タップ加工すべきコンポーネント(部材、図示せず)に接触するようにし、およびこのシャンク42を、工作機械、手持ち式パワーツール、または同類のもの(図示せず)との接続のために適合させる。
【0054】
シャンク42は、ドライブシャフト43を具備し、このドライブシャフト43は、このシャフト43内に切り込まれ、または形成された環状のノッチ(切り込み)44の形状で、その中で減少した機械的強度のエリアを有する。この環状ノッチ44の直径は、ドライブシャフト43及びワーク部41の直径より小さいものであり、これは、環状ノッチ44が、工作機械バイト40全体における機械的に最も弱いポイントであることを意味する。従って工作機械バイト40中に臨界レベルを超えた機械的ストレスが発生した場合に、この工作機械バイト40は、環状ノッチ44において、故障(破損、粉砕等によって)する可能性があり、このことは、工作機械バイト40のワーク部41は、ダメージを受けないままであると共に、このワーク部41をコンポーネントから迅速且つ容易に除去できることを意味する。
【0055】
図4の工作機械バイト40は、更に、接続手段45を具備し、この接続手段45は、ワーク部41から最も遠いシャンク42の端部に位置する。この接続手段45を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に以下のように接続するように適合させる。即ち、工作機械バイト40を受け部に接続すると共に、使用中に工作機械(図示せず)によって保持するようにする。更に、この工作機械(図示せず)が駆動力を工作機械バイト40に伝達するように適合させる。これは、回転力を工作機械バイト40に分け与えることによって実現する。
【0056】
図5は、本発明の一変形例による工作機械バイト50を示す。この工作機械バイト50は、図1に示したバイトと以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、工作機械バイト50のシャンク51には、ワーク部52と比較して、このシャンク51の全体の長さに沿って減少した直径から成るものである。
【0057】
図6は、本発明の一変形例による工作機械バイト60を示す。この工作機械バイト60は、図3に示したバイトと以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、工作機械バイト60のシャンク61には、第1接続手段62及び第1環状ノッチ63、更に、第2接続手段64および第2環状ノッチ65が設けられる。また、このタイプの構成を図7〜12に示した工作機械に組み込むことも着想でき、ここでは、これらノッチを、減少させた機械トルク強度のエリアで置き換える。
【0058】
本発明のこの実施形態では、第1環状ノッチ64を、第2環状ノッチ65に対して減少した直径のものとし、工作機械バイト60の故障がこの第1環状ノッチ64中で最初に起こるようにすることも出来る。一旦故障が起こると、第1接続手段62を工作機械(図示せず)から釈放することが可能で、次に、第2接続手段64をこの工作機械(図示せず)に接続することができ、この結果、工作機械バイト60の有効寿命が延長する。
【0059】
第2の機械的故障の場合には、この故障は第2環状ノッチ65の位置で起こる。これは、ワーク部66を工作加工中のコンポーネント(図示せず)から、未だ容易且つ迅速に回収可能であることを意味する。
【0060】
図7は、本発明の一変形例による工作機械バイト70を示す。この工作機械バイト70は、図4に示したバイトとは、以下を除いて実質的に同一なものである。即ち、減少した直径74の領域(また、減少した機械的トルク強度の領域)を材料75で満たすことによって、減少した機械的トルク強度の領域の側面方向および横方向の機械的強度を増大する(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連して横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。横断面A−Aは、減少した直径77と材料75とを示し、この材料75は、シャフト73の直径と、減少した直径74の領域の直径との間の差を満たす。接続手段75を、工作機械(図示せず)中の受け部(図示せず)に接続するために適合させる。
【0061】
図8は、本発明の一変形例による工作機械バイト80を示す。シャフト83は、減少した機械的トルク強度の領域を提供する軸状スロット84を有する。横断面図B−Bは、上述した軸状スロット84の結果として、減少した横断面エリア87を示す。この減少した横断面エリア87は、シャフト83と同じ最大直径を有し、これによって前述の機械的トルク強度と比べて、側面方向および横方向の機械的強度において相対的な増加が得られる(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連した横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。
【0062】
図9は、本発明の一変形例による工作機械バイト90を示す。シャフト93は、減少した機械的トルク強度の領域を提供する2個のボア94を有する。横断面図C−Cは、上述したボア94の結果として、減少した横断面エリア97を示す。この減少した横断面エリア97は、シャフト93と同じ最大直径を有し、これによって前述の機械的トルク強度と比べて、側面方向および横方向の機械的強度において相対的な増加が得られる(換言すれば、減少した機械的トルク強度に関連した横方向の安定性に対する影響を最小限にする)。
【0063】
図10には、図7に示したような工作機械バイト70に類似した工作機械バイト100が図示されており、ここでの差は、シャフト103は接続手段であると共に、ワーク部101が異なり、この場合、工作機械バイト100はドリルバイトである。
【0064】
図11には、図8に示したような工作機械バイト80に類似した工作機械バイト110が図示されており、ここでの差は、シャフト113は接続手段であると共に、ワーク部111が異なり、この場合、工作機械バイト110はドリルバイトである。
【0065】
図12には、図9に示したような工作機械バイト90に類似した工作機械バイト120が図示されており、ここでの差は、シャフト123は接続手段であると共に、ワーク部121が異なり、この場合、工作機械バイト120はドリルバイトである。
【0066】
本発明によれば、特に記載した変更および変形例以外のものも採用可能であることは、当業者であれば理解するものとする。本発明は、その精神および範囲に含まれる、このような変更および変形例の全部を包含するものと解釈するものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性に関する前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域の効果が最小限となるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを有する工作機械バイト。
【請求項2】
前記シャンクは、ドライブシャフトを具備した、請求項1に記載の工作機械バイト。
【請求項3】
前記シャンクを、機械稼動式デバイス、手動式デバイス、または手持ち式パワーツールとの接続のために適合させた、請求項1または2記載の工作機械バイト。
【請求項4】
前記1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを、前記シャンクの軸に対して、縦方向に設けた、請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項5】
前記1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを、材料で充填し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対する追加の横方向の安定性を提供する、請求項1〜4のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項6】
前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域は、材料で満たされたノッチを有し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対して、追加の横方向の安定性を提供する、請求項1記載の工作機械バイト。
【請求項7】
前記ノッチが、前記シャンクの周囲に延在する単一の環状のノッチである、請求項6記載の工作機械バイト。
【請求項8】
前記工作機械バイトは、1個またはそれ以上の接続手段を具備し、前記接続手段を、前記工作機械バイトを工作機械に接続するために適合させた、請求項1〜7のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項9】
第1接続手段が、前記ワーク部から最も遠い前記工作機械バイトの端部に位置、または隣接して位置し;および減少した機械的トルク強度の第1領域が、前記第1接続手段および前記ワーク部との中間に位置する、請求項8記載の工作機械バイト。
【請求項10】
第2接続手段が、前記減少した機械的トルク強度の第1領域と、前記ワーク部との中間に位置する、請求項9記載の工作機械バイト。
【請求項11】
前記ワーク部を、機械工作すべきコンポーネントと接触するように適合した、請求項1〜10のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項12】
前記工作機械バイトを、機械加工すべきコンポーネントをドリル加工、ミル(切削)加工、リーマ加工、またはタッピング加工するために適合するようにした、請求項1〜11のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項13】
前記機械加工すべきコンポーネントには、金属、プラスチック、木材、石またはセラミックコンポーネント、岩盤、地球、海底、および/または同類物を包含する、請求項11または12の工作機械バイト。
【請求項14】
多くの機械的トルクストレスが蓄積されると、前記工作機械バイトが、前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域の中の少なくとも1つの領域において、故障するように適合した、請求項1〜13のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項15】
ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性が、機械的トルク強度における同等の減少が前記シャンクの直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きくなるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを有する工作機械バイト。
【請求項16】
前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域は、材料で満たされたノッチを有し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対して、追加の横方向の安定性を提供する、請求項15記載の工作機械バイト。
【請求項1】
ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトにおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性に関する前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域の効果が最小限となるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを有する工作機械バイト。
【請求項2】
前記シャンクは、ドライブシャフトを具備した、請求項1に記載の工作機械バイト。
【請求項3】
前記シャンクを、機械稼動式デバイス、手動式デバイス、または手持ち式パワーツールとの接続のために適合させた、請求項1または2記載の工作機械バイト。
【請求項4】
前記1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを、前記シャンクの軸に対して、縦方向に設けた、請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項5】
前記1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを、材料で充填し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対する追加の横方向の安定性を提供する、請求項1〜4のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項6】
前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域は、材料で満たされたノッチを有し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対して、追加の横方向の安定性を提供する、請求項1記載の工作機械バイト。
【請求項7】
前記ノッチが、前記シャンクの周囲に延在する単一の環状のノッチである、請求項6記載の工作機械バイト。
【請求項8】
前記工作機械バイトは、1個またはそれ以上の接続手段を具備し、前記接続手段を、前記工作機械バイトを工作機械に接続するために適合させた、請求項1〜7のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項9】
第1接続手段が、前記ワーク部から最も遠い前記工作機械バイトの端部に位置、または隣接して位置し;および減少した機械的トルク強度の第1領域が、前記第1接続手段および前記ワーク部との中間に位置する、請求項8記載の工作機械バイト。
【請求項10】
第2接続手段が、前記減少した機械的トルク強度の第1領域と、前記ワーク部との中間に位置する、請求項9記載の工作機械バイト。
【請求項11】
前記ワーク部を、機械工作すべきコンポーネントと接触するように適合した、請求項1〜10のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項12】
前記工作機械バイトを、機械加工すべきコンポーネントをドリル加工、ミル(切削)加工、リーマ加工、またはタッピング加工するために適合するようにした、請求項1〜11のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項13】
前記機械加工すべきコンポーネントには、金属、プラスチック、木材、石またはセラミックコンポーネント、岩盤、地球、海底、および/または同類物を包含する、請求項11または12の工作機械バイト。
【請求項14】
多くの機械的トルクストレスが蓄積されると、前記工作機械バイトが、前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域の中の少なくとも1つの領域において、故障するように適合した、請求項1〜13のいずれかに記載の工作機械バイト。
【請求項15】
ワーク部と、前記ワーク部から延在するシャンクとを具備した工作機械バイトおいて、前記シャンクには、減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域が設けられ;前記工作機械バイトの横方向安定性が、機械的トルク強度における同等の減少が前記シャンクの直径における減少によって達成されるような工作機械バイトより大きくなるように、前記シャンクを構成し;ならびに前記減少した機械的トルク強度の1個、またはそれ以上の領域は、1個、またはそれ以上のノッチ、スロット、リセス(凹所)、チャネル、および/または少なくとも2個のボアを有する工作機械バイト。
【請求項16】
前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域は、材料で満たされたノッチを有し、これによって前記減少した機械的トルク強度の1個またはそれ以上の領域に対して、追加の横方向の安定性を提供する、請求項15記載の工作機械バイト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−510730(P2013−510730A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538139(P2012−538139)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001498
【国際公開番号】WO2011/057328
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512123581)
【出願人】(512123570)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001498
【国際公開番号】WO2011/057328
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512123581)
【出願人】(512123570)
【Fターム(参考)】
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