説明

工具ホルダユニット及び工具マガジン

【課題】合成樹脂製のホルダ本体に対して硬質金属製のリングを取り付けることで製造コストを抑えつつ工具ツールを係合するための係合部材周辺の強度を向上させ、さらには製造効率を向上させることができる工具ホルダユニット、及びそれを備えた工具マガジンを得る。
【解決手段】工具ホルダユニットはホルダ本体20とリングユニット40とを備えている。リングユニット40は、球留めリング41とリテーナ61とを備えている。球留めリング41には内外に貫通する貫通孔51が形成されており、貫通孔51内に工具ツールを係合するための剛球52と、当該剛球52を球留めリング41の内周側に付勢するバネ53とが設けられている。この場合に、貫通孔51の外周側開口51bを塞ぐようにして球留めリング41に対してリテーナ61を装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ホルダユニット及び工具マガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械においては、複数の工具ツールを待機させるための工具マガジンが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。詳細には、工具マガジンには複数の工具ホルダユニットが設けられており、各工具ホルダユニットに工具ツールを保持させることで複数の工具ツールが待機されている。工具ホルダユニットに保持された工具ツールは、自動工具交換装置により工作機械の主軸に装着される。これにより、主軸に所望の工具ツールを装着してワークを順次加工することが可能となっている。
【0003】
ここで、工具ホルダユニットの従来の構成について図8を用いて説明する。工具ホルダユニット100は、筒状のホルダ本体101を有しており、その内部にはシャンク収容孔102と、プルスタッド収容孔103とが連続的に設けられている。工具ツール110の着脱は、シャンク収容孔102の先端開口から行われる。また、ホルダ本体101におけるプルスタッド収容孔103を形成する壁部には、プルスタッド収容孔103に対して放射方向に延び内外に貫通した複数の貫通孔104が設けられており、各貫通孔104には係合部材としてのボール105が挿入されている(図8においては、そのうちの1つを示す)。ボール105は、バネ106によりプルスタッド収容孔103に向けて付勢されている。そして、工具ホルダユニット100内に工具ツール110が挿入されると、工具ツール110に形成された係合部111にボール105が係合されることにより、工具ホルダユニット100内に工具ツール110が保持される。この保持された工具ツール110は、所定の力で引き抜くことでボール105の係合部111との係合が外れ、工具ホルダユニット100から取り外すことができる。
【特許文献1】特開2005−103687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の構成の工具ホルダユニットにおいて、その成型を容易なものとすべく、ホルダ本体を金属により成型するのではなく、合成樹脂により成型する構成が考えられる。しかしながら、合成樹脂は金属に比べて強度が低いため、工具ツールの着脱に際してのボールの変位に応じて受ける力によりボール周辺において割れなどが発生するおそれがある。
【0005】
上記の問題に対処するには、ボールの周辺を硬質金属製とし、その他の部分を合成樹脂製とする構成が考えられる。本構成としては、例えば、ホルダ本体を成型するための金型に予め硬質金属をインサートしそこに合成樹脂を流し込む、所謂、インサート成型を行う構成が想定される。しかしながら、かかる構成では、金型の構造が複雑化してしまい、結果的に製造コストが高くなってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明者は、合成樹脂製のホルダ本体に対して硬質金属製の球留め用のリングを取り付けて固定する構成を考え出した。これにより、金型の構造を複雑化させることなく、ボール周辺における割れなどの発生を抑制することができる。但し、本構成において工具ホルダユニットの製造効率が低下してしまうのは好ましくない。例えば、ホルダ本体及び球留め用のリングのそれぞれに予め内外に貫通する貫通孔を形成しておき、それら貫通孔を連通させてホルダ本体の外側からボール及びバネを挿入する構成とすると、両者の貫通孔の位置合わせを行い、その後、ボール及びバネを配置する必要があるため、工具ホルダユニットの製造効率が低下してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、合成樹脂製のホルダ本体に対して硬質金属製のリングを取り付けることで製造コストを抑えつつ工具ツールを係合するための係合部材周辺の強度を向上させ、さらには製造効率を向上させることができる工具ホルダユニット、及びそれを備えた工具マガジンの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果、より踏み込んだ具体的手段等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
手段1.先端に工具が取り付けられた工具ツール(工具ツール70)の基端側が入り込む収容孔(シャンク収容孔21、プルスタッド収容孔43)と、収容孔の基端側の位置にて同収容孔に対して放射方向に移動する係合部材(剛球52)と、係合部材を前記収容孔側に付勢する付勢部材(バネ53)とを備え、
前記係合部材の係合により前記工具ツールを着脱可能に保持する工具ホルダユニットにおいて、
筒状をなす合成樹脂製のホルダ本体(ホルダ本体20)と、硬質金属製のリング(球留めリング41)とを備え、同一軸線上に位置するように前記ホルダ本体の基端側に前記リングを収容することで両者の内周側により前記収容孔を形成し、
前記リングには前記放射方向に貫通し前記係合部材及び前記付勢部材が配置される貫通孔(貫通孔51)を複数形成するとともに、これら貫通孔の外周側開口(外周側開口51b)を塞ぐ蓋体(リテーナ61)を前記リングに装着することでリングユニット(リングユニット40)を構成し、
同リングユニットを前記ホルダ本体の基端側から挿入して収容するとともに、その収容した位置にてリングユニットをホルダ本体に対して締結する締結手段(六角穴付きボルト47)を設けたことを特徴とする工具ホルダユニット。
【0010】
手段1によれば、工具ホルダユニットに設けられた係合部材は付勢部材により付勢されて収容孔内に一部が突出し、当該係合部材の係合により工具ツールが着脱可能に保持される。かかる場合に、合成樹脂製のホルダ本体に対して硬質金属製のリングが収容されており、当該リングに形成した各貫通孔内に係合部材及び付勢部材を配置した。これにより、工具ツールを着脱する際における係合部材の変位は硬質金属製のリングにより受けられ、ホルダ本体を合成樹脂製とした構成において係合部材の変位によって工具ホルダユニットが破損してしまうことが抑制されている。また、成型したホルダ本体に対してリングを収容する構成であるので、所謂インサート成型をする構成に比べ、製造コストを抑えつつ上記効果を奏することができる。
【0011】
また、貫通孔の外周側開口を塞ぐ蓋体をリングに装着することでリングユニットを構成し、当該リングユニットをホルダ本体の基端側から挿入して収容するとともに、その収容した位置にて締結手段によりホルダ本体に対してリングユニットを締結した。これにより、工具ホルダユニットの組み立てに際しては、ホルダ本体とリングユニットとを各々独立して完成させておき、その完成させたリングユニットをホルダ本体に対して挿入して締結手段によって締結するだけでよい。よって、上記のとおり製造コストを抑えつつ係合部材周辺の強度を向上させた構成において、工具ホルダユニットの製造効率を向上させることができる。
【0012】
さらに、本構成においては係合部材の数や種類を変更する場合、その仕様に応じたリングユニットをホルダ本体に取り付け締結手段によって締結するだけでよく、ホルダ本体の設計変更、すなわちホルダ本体の成型用金型の変更を要しない。よって、かかる工具ホルダユニットの設計変更を容易に行うことができる。
【0013】
手段2.前記蓋体は、前記リングの外周壁(外周壁42a)に沿ったリング状をなし全貫通孔の外周側開口を塞ぐリテーナ(リテーナ61)であることを特徴とする手段1に記載の工具ホルダユニット。
【0014】
手段2によれば、リングに対してリテーナを装着することで、リテーナの内周壁がリングの外周壁に当接し自ずと各貫通孔の外周側開口が塞がれる。また、本構成においてはリテーナの挿入口からリングを挿入することで装着を行うことができ、リテーナは付勢部材の付勢力を受ける構成であるため当該付勢力によってリングに対してリテーナが固定される。以上より、リングユニットを組み立てる場合の作業性が向上され、それに伴って工具ホルダユニットの製造効率を向上させることができる。
【0015】
手段3.前記リング又は前記リテーナの一方には、他方に当接することで前記リテーナに対する前記リングの挿入方向位置を規定するストッパ(延出部65)を形成したことを手段2に記載の工具ホルダユニット。
【0016】
手段3によれば、リングに対するリテーナの装着に際してはストッパによって挿入方向位置が規定される位置までリングを挿入するだけでよく、リングユニットを組み立てる場合の作業性を向上させることができる。
【0017】
手段4.前記収容孔の基端側を段差状に拡径させて同基端側に開放されたリングユニット収容部(リング収容孔31)を形成し、このリングユニット収容部の段差部(第2段差部38)に当接することで前記リングユニットの挿入方向の移動が規制される構成とし、
前記ストッパは、前記リテーナの反挿入口側の端部から内側へ延出するように形成され前記リングの端面(端面42b)に当接する延出部(延出部65)であり、
当該延出部を、前記リングと前記段差部とで挟持したことを特徴とする手段3に記載の工具ホルダユニット。
【0018】
手段4によれば、リングユニットをリングユニット収容部に収容する場合には当該リングユニット収容部の段差部に当接することでリングユニットの挿入方向の移動が規制される。この場合に、ストッパはリテーナにおける反挿入口側の端部に形成された延出部である。つまり、絞り成形によって延出部を形成することでストッパとしての機能を簡素な構成により設けることができる。
【0019】
また、リングユニット収容部の段差部とリングとにより延出部が挟持されるため、リテーナが強固に固定される。これにより、工具ツールの着脱に際してリテーナが外れてしまうことが防止される。また、本構成においてはホルダ本体に対してリングユニットを収容して締結手段により締結するだけでリテーナが強固に固定されるため、固定手段を別途設ける構成に比べ工具ホルダユニットの製造効率を向上させることができる。さらには、ストッパとしての機能を有する延出部により上記固定機能が兼用されるので構成の簡素化を図ることができる。
【0020】
手段5.前記延出部を前記リングの端面のうち外周縁部に当接するよう形成するとともに、その延出部を収容する収容溝(収容溝38a)を前記段差部又は前記リングに形成し、
前記リングの端面のうち前記延出部との当接部分よりも内周側を前記段差部に当接させたことを特徴とする手段4に記載の工具ホルダユニット。
【0021】
手段5によれば、リングユニット収容部の段差部とリングとにより延出部を挟持するようにした構成において、リングの端面がリングユニット収容部の段差部に当接され、ホルダ本体に対してリングユニットを安定した状態で収容することができる。
【0022】
手段6.前記リテーナにおける前記リングに対する挿入口側の端部全域に、除々に拡径となるように外側へ延出したフランジ(フランジ64)を形成したことを特徴とする手段2乃至手段5のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【0023】
リテーナにより付勢部材の付勢力が受けられる構成であるため、リングユニットの組み立てに際してリングの各貫通孔内に付勢部材を設置した時点では各貫通孔の外周側開口から付勢部材の外側端部が飛び出た状態となる。この場合に、手段6によれば、リテーナにフランジが形成されているので、リングに対してリテーナを装着することで付勢部材の外側端部がフランジによって内側へと押される。よって、リングユニットを組み立てる場合の作業性を向上させることができ、これに伴って工具ホルダユニットの製造効率を向上させることができる。
【0024】
なお、「除々に拡径となるように外側へ延出した」構成としては、滑らかにカーブするように外側へ延出させた構成や所定の勾配のテーパ状とした構成が考えられる。
【0025】
手段7.前記リテーナの外周壁(外周壁66)が前記ホルダ本体の内周壁(中径部35)と当接するように前記リテーナを形成したことを特徴とする手段2乃至手段6のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【0026】
手段7によれば、工具ツールの着脱に際して付勢部材からリテーナにかかる付勢力がホルダ本体によっても受けられる。よって、リテーナの破損を防止することができる。また、かかる構成とすることによりリテーナに必要とされる強度が低減され、リテーナの厚み寸法を小さくすることが可能となり、これに伴って工具ホルダユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0027】
手段8.前記リングユニットには前記貫通孔を避けた位置に軸線方向に貫通したリング側締結孔(リング側ボルト孔46)を形成するとともに、前記ホルダ本体には軸線方向に延びる本体側締結孔(本体側ボルト孔33)を形成し、
前記リングユニットと前記ホルダ本体との回転位置決め構造(位置決めピン32、位置決め孔45)を設け、その位置決めにより前記リング側締結孔及び前記本体側締結孔が連通されて前記締結手段に対する締結孔が形成されることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【0028】
手段8によれば、ホルダ本体とリングユニットとの回転位置決め構造が設けられていることにより、ホルダ本体にリングユニットを収容すると自ずと本体側締結孔とリング側締結孔とが連通した状態となり、締結孔の位置合わせを容易に行うことができる。よって、ホルダ本体にリングユニットを収容する場合の作業性を向上させることができ、これに伴って工具ホルダユニットの製造効率を向上させることができる。
【0029】
手段9.複数の工具ホルダユニット(工具ホルダユニット10)を備え、これら各工具ホルダユニットに工具ツールを保持させることにより工作機械の主軸に取り付ける工具ツールを待機させる工具マガジンであって、
前記各工具ホルダユニットを、手段1乃至手段8のいずれかに記載の工具ホルダユニットとしたことを特徴とする工具マガジン。
【0030】
手段9によれば、工具マガジンに設けられたすべての工具ホルダユニットに関して、製造コストを抑えつつ係合部材周辺の強度を向上させることができる。さらに、製造効率の向上が実現されることで製造コストの低減を図ることができる。そして、これに伴って、複数の工具ホルダユニットを備える工具マガジンの製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、発明を具体化した実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は工具ホルダユニット10の分解斜視図、図2は工具ホルダユニット10の平面図、図3は図2のA―A線断面図、図4は図3のB−B線断面図、図5は図3の部分拡大図である。
【0032】
工具ホルダユニット10は工具マガジンに取り付けられている。工具マガジンは、主軸に取り付けられたスライスカッタ,ドリル等の各種工具を用いてワークを加工する工作機械に設けられている。工具マガジンには、多数の工具ホルダユニット10が設置されている。これら工具ホルダユニット10に各種工具を備えた工具ツール70が保持されていることにより、工具マガジンには工具ツール70が多数待機されている。そして、これら待機された工具ツールは自動工具交換装置により主軸との間で自動交換される。
【0033】
工具ホルダユニット10は、上記のとおり工具ツール70を着脱可能に保持するためのものである。工具ツール70は、図3に示すように、基端側にシャンク部71を備えており、シャンク部71にスライスカッタやドリル等の工具が固定されている。シャンク部71は、略円柱状をなし、基端に向けて先細り形状をしている。また、シャンク部71は、工具ツール70を工具ホルダユニット10に着脱する際に使用される把持部72と、シャンク部71の最基端部を形成するプルスタッド73とを備えている。
【0034】
工具ホルダユニット10は、ホルダ本体20と、リングユニット40とを主要構成部品として備えている。ホルダ本体20は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂により略円筒状に形成されている。なお、ホルダ本体20には、その外壁にリブ24が一体形成されており、その強度の向上が図られている。また、ホルダ本体20の外壁には工具マガジンに対する固定部が取り付けられる。但し、かかる固定部をホルダ本体20に一体形成する構成としてもよい。
【0035】
ホルダ本体20には工具ツール70のシャンク部71の大半が収容されるシャンク収容孔21が形成されている。シャンク収容孔21は先端開口23に向けて拡径されるようにテーパ状となっており、先端開口23から工具ツール70のシャンク部71が挿入される。シャンク収容孔21の基端側にはリング収容孔31が形成されている。リング収容孔31はシャンク収容孔21に対して同一軸線上に連通されており、基端側に開放されている。リング収容孔31には、基端開口22から挿入されてリングユニット40が収容されている。
【0036】
リングユニット40は、鉄や銅などの硬質金属により形成された球留めリング41を備えている。球留めリング41は略円筒状に形成されたベース部42を備えており、ベース部42にはシャンク収容孔21に対して同一軸線上にプルスタッド収容孔43が形成されている。プルスタッド収容孔43には工具ツール70のプルスタッド73が収容される。
【0037】
プルスタッド収容孔43には軸線方向の途中位置からシャンク収容孔21側の端部に向けて除々に孔径が大きくなるテーパ部43aが形成されており、当該テーパ部43aにより工具ツール70の挿入作業の容易化が図られている。また、テーパ部43aはプルスタッド収容孔43がシャンク収容孔21に連通する位置まで延びており、この連通箇所はベース部42の一端から突出した環状凸部44の内周側に形成されている。つまり、プルスタッド収容孔43はベース部42と環状凸部44との内周側によって形成されている。
【0038】
ベース部42には、図4に示すように、プルスタッド収容孔43に対して放射方向に延び内外に貫通する貫通孔51が、周方向にみて等間隔(120°)に3つ形成されている。各貫通孔51内には、剛球52と当該剛球52をプルスタッド収容孔43側に向けて付勢するバネ53が配置されている。各剛球52は、各バネ53に付勢されることで、一部がプルスタッド収容孔43内に突出している。この場合に、貫通孔51の内周側開口51aが剛球52の直径よりも若干小さくなっており、剛球52が貫通孔51から抜け出るのが防止されている。また、リングユニット40はリテーナ61を備えており、当該リテーナ61が球留めリング41に対して装着されていることで各貫通孔51の外周側開口51bが塞がれ、剛球52をプルスタッド収容孔43側に向けて付勢するように各貫通孔51内にてバネ53が圧縮状態で保持されている。
【0039】
リテーナ61は、図5に示すように、鉄や銅などの硬質金属によりリング状に形成されており、球留めリング41に対して同一軸線上にある。リテーナ61の内径は球留めリング41におけるベース部42の外径と同一となっており、ベース部42の外周壁42aにリテーナ61の内周壁62が当接し当該内周壁62によって各貫通孔51の外周側開口51bが塞がれている。
【0040】
リテーナ61の挿入口63側の端部にはフランジ64が形成されている。フランジ64は所定の曲率で外側へとカーブさせることで、除々に拡径となるように外側へと延出した円環状となっている。そして、リテーナ61を球留めリング41に装着する際には、各貫通孔51の外周側開口51bから突出しているバネ53の外側端部がフランジ64により内側へと押し込まれる。これにより、リテーナ61の装着に伴ってバネ53を貫通孔51内へ収容することができ、装着作業の容易化が図られている。
【0041】
また、リテーナ61におけるフランジ64が形成された端部とは反対側の端部には、絞り成形により、内側へと延出した円環状の延出部65が形成されている。そして、リテーナ61を球留めリング41に装着する際には、延出部65がベース部42の端面42bに当接することで、それ以上の移動が規制され各貫通孔51の外周側開口51bを塞ぐ位置にてリテーナ61が装着される。これにより、リテーナ61の装着作業の容易化が図られている。
【0042】
ホルダ本体20のリング収容孔31には軸線方向に延びる位置決めピン32が一体形成されており、これに対応させて球留めリング41には軸線方向に貫通する位置決め孔45が形成されている。したがって、位置決めピン32を位置決め孔45に挿通させてリングユニット40をリング収容孔31に収容することで、当該リングユニット40の回転方向が位置決めされている。
【0043】
球留めリング41の外周側にはベース部42を軸線方向に貫通するリング側ボルト孔46が、各貫通孔51を避けるようにして周方向にみて所定間隔に6つ形成されている。また、これらリング側ボルト孔46に対応させてホルダ本体20には軸線方向に延びる有底の本体側ボルト孔33が形成されている。そして、上記のとおりリングユニット40の回転方向が位置決めされていることにより両ボルト孔33,46が連通されており、これら連通された両ボルト孔33,46に対して六角穴付きボルト47が螺着されることでリングユニット40がホルダ本体20に対して締結されている。
【0044】
リングユニット40の上下方向寸法はリング収容孔31の深さ寸法と略同一となっており、さらにリングユニット40はリング収容孔31の形状に対応させて形成されている。詳細には、リング収容孔31は、シャンク収容孔21側から基端開口22に向けて孔径がL1の小径部34、孔径がL2の中径部35、及び孔径がL3の大径部36が形成されるように段差状となっている(L1<L2<L3)。そして、小径部34は球留めリング41における環状凸部44の外周面44aに当接し、小径部34とシャンク収容孔21との境界となる第1段差部37は環状凸部44の先端面44bと当接している。また、中径部35はリテーナ61の外周壁66に当接し、中径部35と小径部34との境界となる第2段差部38は球留めリング41におけるベース部42の環状凸部44側の端面42bと当接している。この場合に、第2段差部38にはその外側端部に円環状の収容溝38aが形成されており、リテーナ61の延出部65は収容溝38aの底部に当接するようにして当該収容溝38a内に収容されている。つまり、延出部65は球留めリング41におけるベース部42と収容溝38aの底部とにより挟持されている。また、大径部36によりリテーナ61に形成されたフランジ64の避け領域が形成されている。
【0045】
次に、工具ホルダユニット10の組み立て作業について説明する。
【0046】
先ず球留めリング41の各貫通孔51内に剛球52とバネ53との組合せを配置する。その後、リテーナ61を球留めリング41に装着する。この際、上記のとおりフランジ64によりバネ53の外側端部が各貫通孔51内に押し込められ、延出部65によりリテーナ61の装着位置が規定される。また、リテーナ61は各バネ53の付勢力を受ける構成であり、かかる付勢力により球留めリング41からリテーナ61が外れないようになっている。
【0047】
その後、球留めリング41にリテーナ61を装着することで完成したリングユニット40をホルダ本体20に装着する。この際、球留めリング41の環状凸部44が第1段差部37に当接し、且つベース部42が第2段差部38に当接するため、リングユニット40の軸線方向が位置決めされる。また、球留めリング41の環状凸部44がホルダ本体20の小径部34に当接し、且つリテーナ61の外周壁66がホルダ本体20の中径部35に当接するため、ホルダ本体20に対して同一軸線上に位置するようにリングユニット40が位置決めされる。さらに、位置決めピン32と位置決め孔45とによりリングユニット40の回転方向が位置決めされ、各ボルト孔33,46が連通する。そして、連通した各ボルト孔33,46に対して六角穴付きボルト47を螺着することでホルダ本体20に対してリングユニット40が締結され、工具ホルダユニット10の組み立てが完了する。
【0048】
次に、工具ホルダユニット10に対する工具ツール70の着脱について説明する。
【0049】
工具ホルダユニット10に工具ツール70を挿入すると、プルスタッド73の先端が各剛球52の突出部分に接触する。そして、所定の力で工具ツール70を押し込むことで、プルスタッド73の先端側傾斜部75によって剛球52が押され、プルスタッド73の係合部74に剛球52が係合された状態となる。これにより、工具ホルダユニット10に工具ツール70が保持される。この場合に、工具ホルダユニット10に工具ツール70を勢いよく差し込んだとしても、プルスタッド73の基端部76が球留めリング41のテーパ部43aに当たり、それ以上の挿し込み方向の移動が規制される。
【0050】
一方、工具ホルダユニット10から工具ツール70を取り外す場合には、所定の力で工具ツール70を引き抜くことで、プルスタッド73の基端側傾斜部77によって剛球52が押され、係合が外れる。これにより、工具ツール70を取り外すことができる。
【0051】
また、工具ツール70の着脱に際しては各剛球52が押されることに伴って各バネ53の外側への付勢力が大きくなる。この場合に、かかる付勢力を受けるリテーナ61が硬質金属製であり、さらにリテーナ61の外周壁66がホルダ本体20の中径部35に当接されているため、工具ツール70の着脱に際しての付勢力の受け強度が十分確保されている。また、リテーナ61の延出部65が球留めリング41とホルダ本体20とにより挟持されていることによりリテーナ61が強固に固定され、工具ツール70の着脱に際してリテーナ61が外れてしまうことを防止することができる。
【0052】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0053】
合成樹脂製のホルダ本体20に対して硬質金属製の球留めリング41が収容されており、当該球留めリング41に形成した各貫通孔51内に剛球52及びバネ53を配置した。これにより、工具ツール70を着脱する際における剛球52の変位は硬質金属製の球留めリング41により受けられるため、ホルダ本体20に割れなどの破損が発生することを抑制することができる。特に、ホルダ本体20が熱可塑性樹脂により形成されているため、剛球52の変位がホルダ本体20により直接受けられると破損が発生し易くなるが、かかる破損の発生を抑制することができる。
【0054】
ちなみに、ホルダ本体20を熱可塑性樹脂により形成することで、出荷時などのように工具ホルダユニット10を搬送する際において工具ホルダユニット10が落下した場合であっても、落下時の衝撃によりホルダ本体20に割れなどが生じることを抑制することができる。つまり、合成樹脂には熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがあるが、熱可塑性樹脂の方が弾性が高く衝撃を吸収し易いからである。また、工具ツール70の着脱時における応力が吸収され易くなる。
【0055】
また、成型したホルダ本体20に対して球留めリング41を収容する構成であるので、ホルダ本体20を成型するための金型の構造が複雑化することを抑制することができる。例えば、所謂、インサート成型を行う構成では、ホルダ本体20を成型するための金型の構造が複雑化してしまうからである。したがって、製造コストを抑えつつ上記効果を奏することができる。
【0056】
以上の構成において、各貫通孔51の外周側開口51bを塞ぐリテーナ61を球留めリング41に装着することでリングユニット40を構成し、当該リングユニット40をホルダ本体20の基端側から挿入して収容するとともに、その収容した位置にて六角穴付きボルト47によりホルダ本体20に対してリングユニット40を締結した。これにより、工具ホルダユニット10の組み立てに際しては、ホルダ本体20とリングユニット40とを各々独立して完成させておき、その完成させたリングユニット40をホルダ本体20に対して挿入して六角穴付きボルト47によって締結するだけでよい。よって、上記のとおり製造コストを抑えつつ剛球52周辺の強度を向上させた構成において、工具ホルダユニット10の製造効率を向上させることができる。そして、これに伴って工具ホルダユニット10の製造コストの低減を図ることができる。
【0057】
また、本構成においては剛球52の数や種類を変更する場合、その仕様に応じたリングユニット40をホルダ本体20に取り付け六角穴付きボルト47によって締結するだけでよく、ホルダ本体20の設計変更、すなわちホルダ本体20の成型用金型の変更を要しない。よって、かかる工具ホルダユニット10の設計変更を容易に行うことができる。なお、六角穴付きボルト47が着脱自在となっているので、製造後においてもリングユニット40を交換するだけで剛球52の数や種類を変更することができる。
【0058】
また、工具マガジンに設けられる工具ホルダユニットをすべて上記工具ホルダユニット10とすることで、各工具ホルダユニット10の製造コストが低減されるのに伴って工具マガジンの製造コストの低減を図ることができる。
【0059】
リテーナ61を球留めリング41の外周壁42aに沿ってリング状に形成した。これにより、球留めリング41に対してリテーナ61を装着することで、リテーナ61の内周壁62が球留めリング41の外周壁42aに当接し自ずと各貫通孔51の外周側開口51bが塞がれる。また、本構成においてはリテーナ61の挿入口63から球留めリング41を挿入することで装着を行うことができ、リテーナ61は各バネ53の付勢力を受ける構成であるため当該付勢力によって球留めリング41に対してリテーナ61が固定される。以上より、リングユニット40を組み立てる場合の作業性が向上され、それに伴って工具ホルダユニット10の製造効率を向上させることができる。
【0060】
リテーナ61にはその一端部に延出部65を形成した。これにより、リングユニット40を組み立てる場合には、延出部65が球留めリング41の端面42bに当接する位置までリテーナ61に対して球留めリング41を挿入すればよく、その作業性を向上させることができる。かかる構成において、ホルダ本体20の第2段差部38と球留めリング41のベース部42とにより延出部65を挟持した。これにより、リテーナ61が強固に固定され、工具ツール70の着脱に際してリテーナ61が外れてしまうことが防止される。また、本構成においてはホルダ本体20に対してリングユニット40を収容して六角穴付きボルト47により締結するだけでリテーナ61が強固に固定されるため、固定手段を別途設ける構成に比べ工具ホルダユニット10の製造効率を向上させることができる。さらには、球留めリング41に対するリテーナ61の装着に際してその移動を規制する延出部65に上記固定機能が兼用されるので構成の簡素化を図ることができる。
【0061】
また、延出部65を第2段差部38に形成した収容溝38aに収容した。これにより、上記のとおり延出部65を挟持するようにした構成において、球留めリング41の端面42bが第2段差部38に当接され、ホルダ本体20に対してリングユニット40を安定した状態で収容することができる。
【0062】
リテーナ61にはその一端部に除々に拡径となるように外側へ延出した一連のフランジ64を形成した。これにより、リテーナ61に対して球留めリング41を挿入していくとフランジ64によってバネ53の外側端部が内側へと押される。よって、リングユニット40を組み立てる場合の作業性を向上させることができ、これに伴って工具ホルダユニット10の製造効率を向上させることができる。
【0063】
リテーナ61の外周壁66をホルダ本体20の中径部35に当接させた。これにより、工具ツール70の着脱に際してバネ53からリテーナ61にかかる付勢力がホルダ本体20によっても受けられる。よって、リテーナ61の破損を防止することができる。また、かかる構成とすることにより、リテーナ61に必要とされる強度が低減され、リテーナ61の厚み寸法を小さくすることが可能となり、これに伴って工具ホルダユニット10の小型化を図ることが可能となる。
【0064】
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0065】
(1)工具ホルダユニット10の構成を変更してもよい。以下に、その第一変更例を図6を用いて説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態とは異なる構成についてのみ説明する。図6は工具ホルダユニット10の第一変更例を示す横断面図である。
【0066】
図6においては、工具ホルダユニット10は上記実施の形態と同様にリングユニット80を備えている。但し、リングユニット80の構成は上記実施の形態におけるリングユニット40と異なっている。詳細には、リングユニット80は硬質金属製の球留めリング81を備えている。球留めリング81の内周側にはプルスタッド収容孔82が形成されている。また、球留めリング81にはプルスタッド収容孔82に対して放射方向に延び内外に貫通する貫通孔83が周方向に等間隔(90°)で4つ形成されている。各貫通孔83内には係合部材としてのプランジャ84が設けられており、さらにプランジャ84をプルスタッド収容孔82側に付勢するバネ85が設けられている。各プランジャ84はその先端がプルスタッド収容孔82内に突出している。
【0067】
この場合に、各プランジャ84は全体として略円柱状をなしているが、基端部84aが大径となっている。これに対応して、各貫通孔83の内側は孔径が小さくなった段差状となっている。そして、各プランジャ84の基端部84aが各貫通孔83の段差部83aに当接していることにより、各プランジャ84の内側への抜けが防止されている。一方、各貫通孔83の外側には外周側開口83bを塞ぐ蓋体86が螺着されている。つまり、本構成ではリテーナ61の代わりに各貫通孔83に対応させて蓋体86が設けられており、この蓋体86により各バネ85が圧縮状態で保持されている(各バネ85の付勢力が受けられている)。以上の構成においても工具ホルダユニット10の組み立てに際しては、球留めリング81に対して蓋体86を螺着することで予めリングユニット80を組み立てておくことができ、工具ホルダユニット10の製造効率を向上させることができる。ちなみに、プランジャ84の変位が球留めリング81により受けられ、プランジャ84周辺の強度が向上されていることは言うまでもない。
【0068】
なお、上記のように係合部材の数、及び種類を上記実施の形態と異ならせた構成において、各貫通孔83の外周側開口83bを蓋体86でなく上記実施の形態におけるリテーナ61により塞ぐ構成としてもよい。この場合、かかる構成のリングユニットをホルダ本体20に取り付けるだけでよく、ホルダ本体20の設計変更を要しない。つまり、ホルダ本体20の成型用金型を変更する必要がない。よって、かかる設計変更を容易に行うことができる。
【0069】
(2)以下に、第二変更例を図7を用いて説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態とは異なる構成についてのみ説明する。図7は工具ホルダユニット10の第二変更例を示す縦断面図である。
【0070】
図7においても、リングユニット90の構成が上記実施の形態におけるリングユニット40と異なっている。詳細には、リングユニット90は上記実施の形態と同様に硬質金属製の球留めリング91とリング状のリテーナ92とを備えているが、リテーナ92には上記実施の形態における延出部65が形成されていない。その代わりに、球留めリング91の反挿入方向側端部に外方へと延出した円環状ストッパ93が設けられている。リテーナ92を球留めリング91に装着する際には、円環状ストッパ93により球留めリング91の挿入方向位置が規定される。また、リングユニット90がホルダ本体20に組み付けられた状態においては、ホルダ本体20におけるリング収容孔31の段差部95と球留めリング91の円環状ストッパ93とによりリテーナ92が挟持される。これにより、リテーナ92が強固に固定される。
【0071】
(3)上記実施の形態では、リテーナ61に形成した延出部65が収容される収容溝38aをホルダ本体20の第2段差部38に形成したが、かかる収容溝を球留めリング41に形成してもよい。
【0072】
(4)上記実施の形態では、延出部65を連続的に形成したが、これに代えて断続的に形成してもよい。
【0073】
(5)上記実施の形態では、リテーナ61のフランジ64を、所定の曲率で外側へとカーブさせることで除々に拡径となるように外側へと延出させたが、これを変更してもよい。例えば、所定の勾配のテーパ状とすることで除々に拡径となるように外側へと延出させてもよい。
【0074】
(6)上記実施の形態では、六角穴付きボルト47によりリングユニット40をホルダ本体20に対して締結したが、かかる締結の構成を変更してもよい。例えば、鋼板を用いてリングユニット40をホルダ本体20に対して締結する構成としてもよい。具体的には、鋼板をホルダ本体20におけるリングユニット40よりも基端側に設け、かかる鋼板とホルダ本体20の壁部とによりリングユニット40を挟持する構成とする。
【0075】
(7)上記実施の形態では、ホルダ本体20に位置決めピン32を形成し、球留めリング41に位置決め孔45を形成したが、これら回転位置決め構造を設けなくてもよい。また、回転位置決め構造の構成を変更してもよい。例えば、ホルダ本体20又はリングユニット40の一方にキーを設け、他方にキー溝を設ける構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】工具ホルダユニットの分解斜視図。
【図2】工具ホルダユニットの平面図。
【図3】図2のA―A線断面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】図3の部分拡大図。
【図6】工具ホルダユニットの別例を示す横断面図である。
【図7】工具ホルダユニットの別例を示す縦断面図である。
【図8】課題を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0077】
10…工具ホルダユニット、20…ホルダ本体、21…シャンク収容孔、31…リングユニット収容部としてのリング収容孔、32…回転位置決め構造を構成する位置決めピン、33…本体側締結孔としての本体側ボルト孔、35…内周壁としての中径部、38…第2段差部、38a…収容溝、40…リングユニット、41…球留めリング、42…ベース部、42a…外周壁、42b…端面、43…プルスタッド収容孔、45…回転位置決め構造を構成する位置決め孔、46…リング側締結孔としてのリング側ボルト孔、47…締結手段としての六角穴付きボルト、51…貫通孔、51b…外周側開口、52…係合部材としての剛球、53…付勢部材としてのバネ、61…蓋体としてのリテーナ、64…フランジ、65…延出部、66…外周壁、70…工具ツール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に工具が取り付けられた工具ツールの基端側が入り込む収容孔と、収容孔の基端側の位置にて同収容孔に対して放射方向に移動する係合部材と、係合部材を前記収容孔側に付勢する付勢部材とを備え、
前記係合部材の係合により前記工具ツールを着脱可能に保持する工具ホルダユニットにおいて、
筒状をなす合成樹脂製のホルダ本体と、硬質金属製のリングとを備え、同一軸線上に位置するように前記ホルダ本体の基端側に前記リングを収容することで両者の内周側により前記収容孔を形成し、
前記リングには前記放射方向に貫通し前記係合部材及び前記付勢部材が配置される貫通孔を複数形成するとともに、これら貫通孔の外周側開口を塞ぐ蓋体を前記リングに装着することでリングユニットを構成し、
同リングユニットを前記ホルダ本体の基端側から挿入して収容するとともに、その収容した位置にてリングユニットをホルダ本体に対して締結する締結手段を設けたことを特徴とする工具ホルダユニット。
【請求項2】
前記蓋体は、前記リングの外周壁に沿ったリング状をなし全貫通孔の外周側開口を塞ぐリテーナであることを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダユニット。
【請求項3】
前記リング又は前記リテーナの一方には、他方に当接することで前記リテーナに対する前記リングの挿入方向位置を規定するストッパを形成したことを請求項2に記載の工具ホルダユニット。
【請求項4】
前記収容孔の基端側を段差状に拡径させて同基端側に開放されたリングユニット収容部を形成し、このリングユニット収容部の段差部に当接することで前記リングユニットの挿入方向の移動が規制される構成とし、
前記ストッパは、前記リテーナの反挿入口側の端部から内側へ延出するように形成され前記リングの端面に当接する延出部であり、
当該延出部を、前記リングと前記段差部とで挟持したことを特徴とする請求項3に記載の工具ホルダユニット。
【請求項5】
前記延出部を前記リングの端面のうち外周縁部に当接するよう形成するとともに、その延出部を収容する収容溝を前記段差部又は前記リングに形成し、
前記リングの端面のうち前記延出部との当接部分よりも内周側を前記段差部に当接させたことを特徴とする請求項4に記載の工具ホルダユニット。
【請求項6】
前記リテーナにおける前記リングに対する挿入口側の端部全域に、除々に拡径となるように外側へ延出したフランジを形成したことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【請求項7】
前記リテーナの外周壁が前記ホルダ本体の内周壁と当接するように前記リテーナを形成したことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【請求項8】
前記リングユニットには前記貫通孔を避けた位置に軸線方向に貫通したリング側締結孔を形成するとともに、前記ホルダ本体には軸線方向に延びる本体側締結孔を形成し、
前記リングユニットと前記ホルダ本体との回転位置決め構造を設け、その位置決めにより前記リング側締結孔及び前記本体側締結孔が連通されて前記締結手段に対する締結孔が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の工具ホルダユニット。
【請求項9】
複数の工具ホルダユニットを備え、これら各工具ホルダユニットに工具ツールを保持させることにより工作機械の主軸に取り付ける工具ツールを待機させる工具マガジンであって、
前記各工具ホルダユニットを、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の工具ホルダユニットとしたことを特徴とする工具マガジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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