説明

工具交換装置

【課題】大重量の工具を人的作業により迅速、容易に工作機械の主軸から交換できる工具交換装置を提供する。
【解決手段】工具パレット10を移動して主軸50と工具支持部材19とを連結すると工具を主軸50から工具支持部材19を介して工具パレット10に移載できる。アーム17を回動して新品工具が保持される工具支持部材19と主軸50とを同軸化後、連結すると新品工具を工具支持部材19から主軸50に移載できる。また、主軸50と工具支持部材19とを延長軸を介して連結して延長軸と工具支持部材19上を進退できる工具支持スライダ18に工具を支持させると主軸50と工具支持部材19との間の工具移載ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削や研削する工作機械の主軸への工具交換を人的作業により容易に行うことができる工具交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切削や研削する工作機械の主軸への工具交換を人的作業により容易に行うことができる工具交換装置は本願出願人が出願した工具交換装置(特願2011−64946号)がある。
【0003】
ここでは、(1)工具パレット案内テーブルに隣接され前記工具パレット案内テーブル上の工具パレットが往来自在とされて工具パレットを収容可能とされると共に工具パレットの転倒防止手段が備えられた工具パレット待機テーブルを有すので、工具パレット運搬台車で運んできた2台の工具パレットを前記待機テーブルに移載後は工具パレット運搬台車を工具パレット案内テーブルから離反できる。これにより、作業性の良い作業スペースを確保できるという利点がある。また、待機テーブルを利用して主軸に存する工具を外す工具パレットの動線と新品の工具を主軸に装着する工具パレットの動線の干渉を避けることができる。これにより、迅速に工具交換ができるという利点がある。
【0004】
(2)工作機械の主軸の工具支持軸と工具パレットの工具支持手段との間に着脱自在に連結される延長軸を備え該延長軸を介して工具が交換されるようになっているので、
保護カバー内部に存する工作機械構成部材の関係から工具パレットの保護カバー内部への進入が制約される場合でも延長軸を介して工作機械の主軸と工具パレットの工具支持部材とを連結できる。これにより、工具(砥石)が延長軸を介して主軸と工具支持部材との間を移載できるという利点がる。
【0005】
しかしながら、次のような欠点がある。
前記(1)項に対しては、工具パレット待機テーブル上の工具パレットの動線が長くなるので工具交換時間が長くなる。また、工具パレット待機テーブルの運搬・取付け・取外し作業が煩雑であると共にその費用が生じる。また、工具パレット待機テーブルの価格が高い。
(2)項に対しては、交換工具(工具保持具と該工具保持具に保持された工具がセットで交換される場合を含む)にテーパ孔の小径側と円筒孔とが連通されテーパ孔の最小径より円筒孔の内径の方が大きい孔が形成され、主軸先端部のテーパ軸に前記テーパ孔を密着させて工具を主軸に取付ける構成の場合、前記テーパ孔の小径側と円筒孔との連通部に形成されるエッジ部が延長軸及び工具支持部材に線接触して摺接するので工具姿勢が不安定になり工具の移載作業がしにくくなる。
また、前記エッジ部及び前記エッジ部と摺接される延長軸及び工具支持部材表面が速やかに摩耗する。
【特許文献1】 特願2011−64946号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような背景のもとになされたもので、主軸及び被加工物取付用テーブルを覆う保護カバーに設けられた開口部を介して位置決めされて着脱自在に配設され、交換工具の中空部形状に対しても汎用性に優れ、大重量の工具を人的作業により迅速、容易に工作機械の主軸から交換できる工具交換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
請求項1に示す工具交換装置は、開口部を有し該開口部を開閉可能な扉を備える保護カバーによって工具が取付けられる主軸と被加工物が取付けられるテーブルが覆われる工作機械において、車輪が備えられたベースの上方に延出される支柱に回動自在に取付けられるアームに回動軸を介して適宜離間して突設され前記主軸に取付けられる工具を直接又は介在物を介して保持可能な前記主軸と軸が平行な一対の工具支持部材を備えた工具パレットと、前記主軸近傍の保護カバーを含む工作機械構成固定物に位置決めされて着脱自在とされ前記工具パレットに保持される工具の中心軸を前記主軸の軸芯と工具交換可能に同軸化可能に前記工具パレットを案内可能な案内手段を備え該案内手段に沿って前記工具パレットが進退自在とされる工具パレット案内テーブルと、前記工具パレット案内テーブルに設けられ前記工具パレット案内テーブル上を進退する前記工具パレットの転倒を防止する転倒防止手段と、前記工具パレットを載置可能な天板と前記工具パレット転倒防止手段と床面を走行可能な車輪とを備え前記工具パレット案内テーブルに前記天板を接続して前記工具パレットが前記工具パレット案内テーブルと前記天板との間を往来可能とされる工具パレット運搬台車とを備えたものである。
【0009】
請求項2に示す工具交換装置は、請求項1の工具交換装置において、工具パレットが車輪が備えられたベースの上方に延出される支柱から直接又は介在物を介して前記主軸と平行に延出される工具支持部材に進退自在に取付けられ前記主軸に取付けられる工具又は工具保持具に刻設され前記主軸の軸芯と同軸の軸芯を有する孔に嵌合されて前記工具又は工具保持具を移送可能に支持可能な工具支持スライダを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
1、工具パレットに2個の工具が保持できるようにされアームの回転により主軸からの工具外しと主軸への新品工具装着が選択的にできる。
これにより、1台の工具パレットで工具交換ができる。
また、アームを所要量回動させるだけで工具支持部材に支持される工具の軸芯と該工具が取付けられるべき主軸の軸芯とが同軸化されるので迅速、容易に工具交換ができる。
2、工具支持部材に進退自在に装着される工具支持スライダに工作機械の主軸に取付けられる工具を支持できる。
これにより、工作機械の主軸先端に工具パレットに備えられた工具支持部材先端を当接すると工具支持スライダを介して主軸と工具パレット間の工具移載が迅速、容易にできる。特には、主軸の軸芯と同軸とされる工具に貫通された最小径の孔の円筒面が短くても工具支持スライダに工具を確実に支持させることができるので迅速、容易に工具交換ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0011】
本例の特徴とするところは、工具パレット10に備えられる介在物としてのアーム17の形状をクランク状にして隣接する工具端面を略同一平面上に配設し工具交換時に作業者側への突出物を無くして作業性の向上を図ると共に工具パレット10の保護カバー内部への進入が制約され主軸と工具支持部材19とを直接連結できない場合の対応として延長軸30を介して主軸と工具支持部材19とを連結し、工具を支持可能な工具支持スライダ18を延長軸30及び工具支持部材19に進退自在に配設した点にある。
【0012】
図1、2を用いて本発明に係る工具交換装置について説明する。
図1において、53は回動自在とされ先端部がテーパ軸とされる先端にめねじ部が形成される主軸50のテーパ軸と砥石T1を挟持する工具保持具52に形成されたテーパ孔52aとが嵌合され前記めねじ部にボルト51のおねじ部を螺合させることによりボルト51の頭部が工具保持具52を押圧することにより工具としての砥石が主軸50に取付けられる研削盤。
なお、工具保持具52の主軸側端面には工具保持具52の軸芯を中心とする断面円形の穴が刻設され、該穴の底面に同芯とされ内径が漸減されるテーパ孔52aが刻設されてテーパ孔52aの小径側と対向する端面に刻設されテーパ孔52aの最小径より直径が大きい同芯の円筒孔52bとが連通される構成とされ砥石を両端フランジで挟持するようになっている。
【0013】
20は研削盤53の保護カバー53aの開口縁部上面に突設される一対の位置決めブロック53b、53bとの間に着脱自在に嵌合されると共に位置決め溝23に保護カバー53aの開口縁部が嵌合されて所定位置に着脱自在に取付けられる工具パレット案内テーブル。
1は車輪が備えられて研削盤53に近接離反自在とされ位置決め機構によって研削盤53の所定位置に位置決めされて装着された工具パレット案内テーブル20の一側端面所定位置に接続可能とされる天板3を備えた工具パレット運搬台車である。
工具パレット運搬台車1に設けられた上下動可能(構造図省略)な天板3上には一対の断面L字状の転倒防止部材2,2が離間されて取付けられ車輪が取付けられた工具パレット10が一対の転倒防止部材2,2に案内されて進退自在に載置されている。
【0014】
前記工具パレット案内テーブル20には工具パレット10が走行可能な平坦な上面22が備えられ、該上面22上には一対の断面L字状の転倒防止部材21,21が離間されて取付けられ転倒防止部材21,21と上面22とで形成される中空部を工具パレット10が案内されて進退動可能とされている。
【0015】
工具パレット10はフランジ12が形成される段付きのベース11の下面に4個の球状車輪(例えば商品名「フリーベア」等)9が取付けられて平板上を自在な方向に移動可能とされている。
一方、ベース11の上面には支柱13が上方に向かって延出され上端面に刻設される穴にラジアルボールベアリング14が装着されアーム17から下方に延出される段付きの回動軸16の小径軸がスラストベアリング15を介してラジアルボールベアリング14に嵌合されて介在物とされるアーム17が回動軸16を中心に回動自在とされている。
アーム17の両先端部には回動軸16から等距離離間されて主軸50と軸が平行とされる一対の工具支持部材19,19が延出されている。工具支持部材19は断面円形とされ先端部に小径部19aが延出されている。
そして、中空孔を備えたフランジ付き円筒状の工具支持スライダ18がフランジをアーム17に対向させて中空孔に工具支持部材19が挿通され進退自在とされている。該工具支持スライダ18はポリアミド樹脂から成り、外径は工具保持具52に刻設される円筒孔52bの内径と対応する寸法とされている。これにより、工具支持部材19上を摺動する工具支持スライダ18の摩擦抵抗が減り大重量の工具を載せた工具支持スライダの操作力を小さくできる効果がある。
【0016】
なお、工具支持部材と工具支持スライダとの減摩手段として工具支持スライダにポリアミド樹脂を利用したがこれに限るものではない。工具支持スライダの中空部にストロークベアリングを装着させて該ベアリングに内蔵されるボールの転動により工具支持スライダが工具支持部材上を進退する構成にするとさらに減摩されるので好ましい。
要するに、工具支持部材上を進退する工具支持スライダの摩擦抵抗を減じる手段であればどのような手段でもよいのである。
【0017】
30は断面円形とされ外径が工具支持部材19と同寸法とされる円柱の一側端面に主軸50の先端に刻設される雌ねじに螺合可能なおねじ30aが突設される一方、対向する端面には工具支持部材19の先端から突出される小径部19aが嵌合可能な穴30bが刻設される延長軸である。
【0018】
以上の構成においてその作用を説明する。
まず、保護カバー開口部の扉を開けて開口部を開放させて砥石T1を主軸から外せる環境作りのためボルト51を主軸50から外す等の準備作業をする。
次いで、人的作業により工具パレット案内テーブル20を研削盤53の保護カバー53aの開口縁部上面に突設される一対の位置決めブロック53b、53bとの間に嵌合させると共に下面に形成された位置決め溝23に保護カバー53aの開口縁部を嵌合させて脚部24を開いて先端を床面に接地させる。
これにより、工具パレット案内テーブル20の上面22が主軸50の軸線と平行とされると共に転倒防止部材21,21に案内されて進退動する工具パレット10に設けられた工具支持部材19の軸線が主軸50の軸線と工具交換可能に同軸化される。
【0019】
次いで、該工具パレット案内テーブル20に工具パレット運搬台車1(天板3の上面は上面22の上面と同じ高さに調整されている)を近接させて図示しない位置決め手段を介して接続させる。
続いて、工具パレット10を人力で押して工具パレット運搬台車1から工具パレット案内テーブルに移動させる。この際、工具パレット10のベース11の側面が転倒防止部材21によって摺接・案内されると共に工具パレット10が上面22上にあることにより工具パレット10に保持される工具の軸芯と主軸50の軸芯とが同軸化される。
【0020】
続いて、工具パレット運搬台車1を工具パレット案内テーブル20から離反させて図3−(a)に示すように、延長軸30の雄ねじ部30aを主軸50の先端に刻設される雌ねじに螺合させて主軸50に延長軸30を取付ける。
次いで、工具パレット10を手で押して保護カバー53aの内側に向けて移動させると工具支持部材19の先端に形成される小径部19aが延長軸30に刻設される穴30bに嵌合されて延長軸30の端面と工具支持部材19の大径部先端とが同軸化されて当接される。
次いで、工具支持スライダ18を手で押してフランジ面が工具保持具52の端面に当接するまで工具支持スライダ18を工具保持具52に刻設される円筒孔52bに挿入させる。
次いで、被交換砥石T1または工具保持具52を手で掴んで主軸50から離反する方向に引くと工具保持具52が主軸50から離脱されて延長軸30、工具支持部材19に案内される工具支持スライダ18に工具保持具52を介して保持される被交換砥石T1が主軸50から延長軸30を介して工具支持部材19に移り工具パレット10に移載される。
さらに工具支持スライダ18を移動させて工具支持スライダ18のフランジをアーム17に当接させる。
【0021】
次いで、回動軸16を中心としてアーム17を回転させる際に砥石T1又はT2が延長軸30と干渉しない位置まで工具パレット案内テーブル20上の工具パレット10を手で引いて移動させる。
次いで、図示しないロックピンをアーム17から外してアーム17を180度回転させて図示しないロックピンをアーム17に係合させると交換用新品砥石T2が保持される工具支持部材19の軸芯と主軸50の軸芯が延長軸30の軸芯を介して同軸化される。
【0022】
続いて、工具パレット10を手で押して主軸50に接近させていくと、前述同様に工具支持部材19の先端に形成される小径部19aが延長軸30に刻設される穴30bに嵌合されて延長軸30の端面と工具支持部材19の大径部先端とが同軸化されて当接される。(図3−(b)
次いで、工具支持スライダ18を手で押していくと前述同様に工具支持部材19、延長軸30に案内されて新品砥石T2が保持された工具保持具52が主軸50に接近し、ついには工具保持具52に刻設されたテーパ孔52aに主軸50の先端部テーパ軸が嵌合される。
次いで、片手で砥石T2又は工具保持具52を主軸50に押付ながらもう一方の片手で工具支持スライダ18を掴み円筒孔52bから抜脱させて工具支持スライダ18を工具支持部材19上に移動させる。
次いで、工具パレット10の支柱13を手で掴んで工具パレット10を主軸50から離反する方向に移動させる。
これにより、工具支持部材19が延長軸30から離間される。
次いで、延長軸30を主軸50から外してボルト51を主軸50の雌ねじに螺合させて工具保持具52を主軸50に取付ける。
【0023】
次に、再び工具パレット運搬台車1を前述同様に位置決めして工具パレット案内テーブル20に接続させて、工具パレット10を手で押して工具パレット案内テーブル20から工具パレット運搬台車1に移動させる。
次いで、工具パレット運搬台車1を工具パレット案内テーブル20から離反させた後、工具パレット案内テーブル20を人力により研削盤53から離反させて所定の場所に保管して次回の砥石交換作業に備えると共に工具パレット運搬台車1を所定の場所に移動させて所定の道具を使って工具パレット10が保持する研削盤53から外された砥石T1を外して新しい砥石に交換して次回の砥石交換作業に備える。
なお、外した延長軸30は工具パレット運搬台車1の所定場所に保管すると好都合である。
【0024】
なお、本例では、工具パレット10に2個の工具が保持できるようにされアーム17の回転により主軸からの工具外しと主軸への新品工具装着を可能にする工具パレット10と工具支持スライダ18による工具搬送の組合せとしたが、これに限るものではない。すなわち、特願2011−64946号に示すように、主軸と工具とが平行軸を介して接続される場合は主軸から延長軸を介して直接工具支持部材に移載してもよいが図5に示すように工具支持スライダ180を使用することもできる。
この場合、工具支持部材の外径を統一し工具支持スライダの外径を種々工具の内径に対応させると工具パレットを汎用化できる。
【0025】
また、特願2011−64946号に示される1台の工具パレットに1個の工具が保持されて2台の工具パレットのローテーションにより工具交換する方法において、主軸と工具とがテーパ軸を介して接続される場合や主軸の軸芯と同軸とされる工具に貫通された最小径の孔の円筒面が短い場合でも工具支持部材上を進退する工具支持スライダ18を利用して工具移載・工具交換ができる出来ることは言うまでもない。
【0026】
なお、本実施例では工具パレット10の工具切替え用回動軸を垂直軸としたが、本例に限定されるものではない。
すなわち、図4に示すように、回動軸60を水平軸とし該軸から放射状に延出される回動自在の一対のアーム70,70にそれぞれ回動軸60から等距離離れて工具支持部材19、19を配設しても同様の作用と効果がある。
要するに、工具パレットに備えられた回動自在のアームに工具支持部材を介して2個の工具を支持可能にしアームを所要量回転させることで主軸と工具パレット上の工具支持部材に支持される工具との軸芯を工具交換可能に同軸化できる構成であれば回動軸は水平でも垂直でもよい。
なお、本図では、アーム70とアーム70の為す角度は180度であるが砥石同士が干渉しない範囲で鋭角にアームを延出させてもよい。これにより、工具間距離を小さくできるので工具交換の時間をさらに短縮できる効果がある。
また、ここでは、上方の工具支持部材19に新品砥石T2が保持される一方、下方の工具支持部材19は主軸から外される工具を保持できるようにされている。
【0027】
また、工具(砥石)の厚さが薄ければ、図5に示すように、支柱131の上端に回動軸61を垂直に立設し該軸61を介して支柱131にアーム71を回動自在に取付け、アーム71から主軸と平行に延出され回動軸61を介して対向される一対の工具支持部材190,190を備える構成にしても同様の作用と効果がある。
この際は工具の厚さが薄いほど工具の着脱作業性の悪さが減少する。
なお、ここでは、右方の工具支持部材190に新品砥石T22が保持される一方、左方の工具支持部材190は主軸から外される工具を保持できるようにされている。
【0028】
また、本実施例では、工具パレット10の保護カバー内部への進入が制約され主軸50と工具支持部材19とを直接連結できない例を示したが工具パレット10の保護カバー内部への進入が制約を受けない場合は主軸50と工具支持部材19とを直接連結できるので延長軸30を省略することができる。この際は主軸先端に刻設される雌ねじ穴の内径に対応する外径に形成された小径部19aとする。これにより、主軸と工具支持部材とが確実に同軸化できるので工具交換がスムースにできる。
【0029】
また、本実施例では、軸が水平な主軸を引用したが軸が垂直な主軸にも利用できることは言うまでもない。この際は、工具支持部材の軸を主軸と平行に垂直にして小径部19aを主軸先端に対向させて主軸先端に刻設される雌ねじ穴に挿入可能に配設すればよい。
【0030】
また、本実施例では工具パレット10の移動時における減摩手段として球状車輪9を用いたが、本例に限定されるものではない。
すなわち、転動可能とされる車輪を備えた構成でもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
大重量の正面フライスや研削砥石が使用される工作機械や研削盤等の工具交換に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 本発明の実施例を示す要部側面図である。
【0033】
【図2】 図1のA矢視図である。
【0034】
【図3】 本発明の工具交換装置の作用を示す平面視説明図である。
【0035】
【図4】 本発明の工具パレットの他の実施例を示す要部断面図である。
【0036】
【図5】 本発明の工具パレットのさらに他の実施例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 工具パレット運搬台車
2 転倒防止部材
3 天板
9 球状車輪
10 工具パレット
11 ベース
12 フランジ
13 支柱
14 ラジアルボールベアリング
15 スラストベアリング
16 回動軸
17 アーム
18 工具支持スライダ
19 工具支持部材
20 工具パレット案内テーブル
21 転倒防止部材
22 上面(走行板の)
23 位置決め溝
30 延長軸
50 主軸
51 ボルト
52 工具保持具
53 研削盤
53a 保護カバー
53b 位置決めブロック
T1 被交換砥石
T2 新品砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し該開口部を開閉可能な扉を備える保護カバーによって工具が取付けられる主軸と被加工物が取付けられるテーブルが覆われる工作機械において、
車輪が備えられたベースの上方に延出される支柱に回動自在に取付けられるアームに回動軸を介して適宜離間して突設され前記主軸に取付けられる工具を直接又は介在物を介して保持可能な前記主軸と軸が平行な一対の工具支持部材を備えた工具パレットと
前記主軸近傍の保護カバーを含む工作機械構成固定物に位置決めされて着脱自在とされ前記工具パレットに保持される工具の中心軸を前記主軸の軸芯と工具交換可能に同軸化可能に前記工具パレットを案内可能な案内手段を備え該案内手段に沿って前記工具パレットが進退自在とされる工具パレット案内テーブルと
前記工具パレット案内テーブルに設けられ前記工具パレット案内テーブル上を進退する前記工具パレットの転倒を防止する転倒防止手段と
前記工具パレットを載置可能な天板と前記工具パレット転倒防止手段と床面を走行可能な車輪とを備え前記工具パレット案内テーブルに前記天板を接続して前記工具パレットが前記工具パレット案内テーブルと前記天板との間を往来可能とされる工具パレット運搬台車と
を備えたことを特徴とする工具交換装置
【請求項2】
請求項1の工具交換装置において、工具パレットが
車輪が備えられたベースの上方に延出される支柱から直接又は介在物を介して前記主軸と平行に延出される工具支持部材に進退自在に取付けられ
前記主軸に取付けられる工具又は工具保持具に刻設され前記主軸の軸芯と同軸の軸芯を有する孔に嵌合されて工具又は工具保持具を移送可能に支持可能な工具支持スライダを備えたことを特徴とする工具交換装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232397(P2012−232397A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112861(P2011−112861)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(597008120)ワシノ機工株式會社 (7)
【Fターム(参考)】