説明

工票作成プログラム、工票作成システム

【課題】工票の入力が簡単であり、作業者の負担を軽減できる工票作成プログラム、工票作成システムを提供する。
【解決手段】管理プログラム41は、管理サーバ30に、封筒排出検出部15の稼働情報の出力に基づいて、封入機10の稼働状況を判定する稼働状況判定処理S7と、判定した稼働状況に基づいて、勤務時間内の経過時間及び稼働状況を対応付けて表示することにより、封入機10の非運転時間を、視認可能な態様で工票画面70aに表示する稼働状況表示処理S9と、各非運転時間の非運転理由を、作業者に対して、封入機操作部12で入力操作するように促す入力指示表示を、工票画面70aに表示する入力指示画面表示処理S31,S111と、非運転時間と、入力された非運転理由とを対応付けて非運転時間・理由記憶部43−1bに記憶させる非運転理由記憶処理(S33,S113)とを実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインで作成する工票の工票作成プログラム、工票作成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ラインの作業工票を記録する製造情報管理システムがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のシステムは、生産が停止した場合等の工票の入力が面倒であり、逐次入力できない場合があった。このため、生産が停止した場合等から、ある程度時間が経過してから工票に入力することがあった。そのため、作業者間で記入内容にバラツキがあり、管理者が、生産状況を正確に分析できない場合があった。また、工票の入力が、作業者の負担になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−280713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、工票の入力が簡単であり、作業者の負担を軽減できる工票作成プログラム、工票作成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
・第1の発明は、工程が進行しているが否かを示す稼働情報を出力する稼働情報出力手段(15,15−1〜15−10)と、工票画面(70a)を出力する工票表示手段(13,13−1〜13−10)と、作業者が前記工票画面に入力する操作部(12,12−1〜12−10)とを備える生産部(10,10−1〜10−10)と、前記生産部を管理する管理部(30)とを備える生産システム(1)の前記管理部の工票作成プログラムであって、前記管理部のコンピュータに、前記稼働情報出力手段の稼働情報の出力に基づいて、前記生産部の稼働状況を判定する稼働状況判定処理(S7)と、判定した前記稼働状況に基づいて、勤務時間内の経過時間及び前記稼働状況を対応付けて表示することにより、前記生産部の非運転時間を、視認可能な態様で前記工票画面に表示する稼働状況表示処理(S9)と、前記各非運転時間の非運転理由を、前記作業者に対して、前記操作部で入力操作するように促す入力指示表示を、前記工票画面に表示する入力指示画面表示処理(S31,S111)と、前記非運転時間と、入力された前記非運転理由とを対応付けて記憶部(43−1b)に記憶させる非運転理由記憶処理(S33,S113)と、を実行させるための工票作成プログラムである。
・第2の発明は、第1の発明の工票作成プログラムにおいて、前記入力指示画面表示処理(S31,S111)は、前記非運転時間に対応した表示領域(M1,M2)が選択操作された場合に、選択された前記表示領域に対応した前記非運転理由の入力を促す表示(M1a,M2b)をすること、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第3の発明は、第2の発明の工票作成プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記工票画面(70a)に、複数の前記非運転理由を、前記非運転理由の内容に応じて分類した非運転項目(72c)を表示する非運転項目表示処理をさせ、前記入力指示画面表示処理(S31,S111)は、前記非運転項目が選択操作された場合に、選択された前記非運転項目内に分類された前記非運転理由の入力を促すこと、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明の工票作成プログラムにおいて、前記コンピュータ(30)に、前記記憶部(42,42−1〜42−10)の情報に基づいて、前記非運転時間毎に総非運転時間を算出して、前記工票画面に表示する総非運転時間表示処理(S12)を実行させること、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明の工票作成プログラムにおいて、前記稼働状況判定処理(S7)は、前記稼働情報出力手段(15,15−1〜15−10)の稼働情報の出力に基づいて、規定時間幅内での検出頻度を算出し、前記検出頻度と規定判定値との比較結果に応じて、前記規定時間幅に対応する前記経過時間の前記稼働状況を判定すること、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明の工票作成プログラムにおいて、前記生産部(10,10−1〜10−10)は、複数の工程を、前記勤務時間を複数の時間帯に分けて生産するものであり、前記非運転理由記憶処理(S33,S113)は、前記非運転理由を前記各時間帯の前記工程毎に前記記憶部(43−1b,43−2b・・・)に記憶させること、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明の工票作成プログラムにおいて、前記コンピュータ(30)を、現時刻よりも後の未来時間の前記非運転時間、前記非運転理由の入力を受け付けて、前記記憶部に記憶する未来時間入力処理(S2)と、前記未来時間が到達した場合に、前記稼働情報出力手段(15,15−1〜15−10)の出力に基づいて運転状態と判定したときには、記憶していた前記非運転時間、前記非運転理由を取り消す非運転理由取り消し処理とを実行させること、を特徴とする工票作成プログラムである。
・第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明の工票作成プログラムにおいて、前記管理部(30)は、複数の前記生産部(10,10−1〜10−10)が接続されており、前記各生産部をそれぞれ管理し、前記コンピュータ(30)を、前記各生産部のそれぞれに対して、前記稼働状況判定処理(S7)から前記非運転理由記憶処理(S33,S113)までの処理を実行させること、を特徴とする工票作成プログラムである。
【0007】
・第9の発明は、工程が進行しているが否かを示す稼働情報を出力する稼働情報出力手段(15,15−1〜15−10)と、工票画面(70a)を出力する工票表示手段(13,13−1〜13−10)と、作業者が前記工票画面に入力する操作部(12,12−1〜12−10)とを備える生産部と、前記生産部を管理する管理部(12,12−1〜12−10)とを備える生産システムム(1)の工票作成システムであって、前記管理部(30)は、工票作成を制御する前記管理制御部(50)を備え、前記管理制御部は、前記稼働情報出力手段の稼働情報の出力に基づいて、前記生産部の稼働状況を判定する稼働状況判定処理(S7)と、判定した前記稼働状況に基づいて、勤務時間内の経過時間及び前記稼働状況を対応付けて表示することにより、前記生産部の非運転時間を、視認可能な態様で前記工票画面に表示する稼働状況表示処理(S9)と、前記各非運転時間の非運転理由を、前記作業者に対して、前記操作部で入力操作するように促す入力指示表示を、前記工票画面に表示する入力指示画面表示処理(S31,S111)と、前記非運転時間と、入力された前記非運転理由とを対応付けて記憶部(43−1b)に記憶させる非運転理由記憶処理(S33,S113)とを実行すること、を特徴とする工票作成システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
・第1、第9の発明は、生産部の運転状況を判定し、非運転時間を視認可能な態様で工票画面に表示して、各非運転時間の非運転理由を入力するように作業者に促す。このため、作業者は、既に表示されている非運転時間に対応するように非運転理由を入力すればよいので、工票画面の入力が簡単である。
また、工票画面の入力が簡単であるので、作業者は、生産しながらでも逐次入力できるため、非運転理由を正確に記入できる。このため、作業者間での非運転理由の記入のバラツキを減らすことができる。さらに、管理者は、このバラツキが減ることにより、非運転理由を正確に分析できる。
さらに、非運転時間と、非運理由とを対応付けて記憶するので、勤務時間終了時等に印字等すれば、容易に工票を作成できる。このため、工票作成の作業者の負担を軽減できる。
・第2の発明は、非運転時間に対応した表示領域が選択されると、その表示領域に対応した非運転理由の入力を促すので、作業者は、選択した非運転時間に対応した非運転理由の記入を、例えば記入場所を間違えることなく、正確に記入できる。
・第3の発明は、工票画面の非運転項目が選択された場合に、選択された非運転項目内に分類された非運転理由の入力を促す入力指示表示を表示するので、非運転理由の内容に応じて分類して入力でき、また、非運転理由を項目毎に把握しやすく表示できる。
・第4の発明は、各非運転理由の総非運転時間を算出して表示するので、勤務時間内の総非運転時間の把握が容易である。
・第5の発明は、運転状況判定処理として、運転情報出力手段の運転情報の出力に基づいて、規定時間幅内での検出頻度を算出し、検出頻度と規定判定値との比較結果に応じて、規定時間幅に対応する経過時間の運転状況を判定する。これにより、規定時間幅で所定の数量が生産される場合に運転時間と判定でき(又は所定の数量が生産されない場合に非運転時間と判定でき)、運転状況を簡略して、分かりやすく表示できる。
・第6の発明は、複数の工程毎に非運転理由を、記憶部に記憶させるので、管理者は、工程毎の非運転理由を正確に分析できる。
・第7の発明は、未来時間の非運転理由(例えば昼休み等)を、予め入力できるため便利である。また、未来時間が予定とは異なり実際には運転状態であった場合には、入力されていた非運転時間、非運転理由を取り消すので、修正操作が不要であり便利である。
・第8の発明は、複数の生産部のそれぞれに対して、運転状況判定処理から非運転理由記憶処理の処理を行うので、複数の生産部の工票を一括して管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の生産システム1の構成を説明する図である。
【図2】実施形態の生産システム1のブロック図である。
【図3】実施形態の入力前の工票画面70aを示す図である。
【図4】実施形態の入力後の工票画面70aを示す図である。
【図5】実施形態の入力後の稼働状況表示部72を拡大して示す図である。
【図6】実施形態の工票作成処理のフローチャートである。
【図7】実施形態の非運転入力処理のフローチャートである。
【図8】実施形態の未来時間の非運転理由の入力方法を説明する図である。
【図9】実施形態の非運転理由の入力方法を説明する図である。
【図10】実施形態の勤務終了時の工程番号の入力方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態の生産システム1の構成を説明する図である。
図2は、実施形態の生産システム1のブロック図である。
最初に、生産システム1(工票作成システム)の概略を説明する。
生産システム1は、工場内の生産ラインと、生産ラインを管理する装置、中央サーバ60等から構成されるシステムである。生産ラインは、12時間毎に作業者が交代する1日2勤務体制のラインである。生産システム1は、10台の封入機10(生産部)が管理サーバ30に接続されて構成される。管理サーバ30は、各封入機10をそれぞれ管理するようになっている。
【0011】
中央サーバ60は、受任情報等を記憶する記憶部を備え、管理サーバ30に対して、生産品目の客先からの受任情報を、インターネット等の通信網を利用して送信する。また、中央サーバ60は、生産情報を記憶する記憶部を備え、管理サーバ30から実際の生産情報を受信して記憶できるようになっている。
中央サーバ60は、この工場内に設けられている必要はない。中央サーバ60は、例えば、この工場とは異なる事業所に配置され、他の工場の生産品目や、生産情報等を一括して管理する。
【0012】
図2に示すブロック図について、詳細に説明する。
生産システム1は、1号機から10号機の10台の封入機10(10−1〜10−10)、大型モニタ20、信号中継装置25、工票印刷機26、管理サーバ30を備える。10台の封入機10及び管理サーバ30間は、信号中継装置25を介してLAN(ローカル エリア ネットワーク)等の通信網によって接続されており、情報通信が可能である。同様に、大型モニタ20及び管理サーバ30間は、通信網によって接続されており、情報通信が可能である。
【0013】
封入機10は、空の封筒と封入物とを供給して、封筒内に封入物を封入する装置である。全ての封入機10が同じ品目を生産しても、封入機10間で異なる品目を生産してもよい。各封入機10で生産する品目は、生産ラインの管理者が決定して、管理サーバ30から通信網を介して送信される。
各封入機10には、管理者によって、それぞれ作業者が割り当てられている。1名の作業者当り、1台の封入機10を割り当ててもよく、複数台の封入機10を割り当ててもよい。
実施形態では、生産ラインの管理者は、1台の封入機10が、1回の勤務時間内で、複数の工程で異なる生産品目を生産するように、生産スケジュールを設定している。
【0014】
各封入機10は、作業者による操作及び設定に応じて、封入工程、つまり、封筒及び封入物の供給から、封筒内への封入物の封入、封入済み封筒の排出までの1通りの工程を、それぞれ繰り返して行うようになっている。この1通りの工程が終了すると、1つの封入済み封筒が生産される。つまり、1通りの工程終了は、1つの封入済み封筒が生産されたことを意味する。
【0015】
各封入機10は、封入機端末11(11−1〜11−10)、封筒排出検出部15(15−1〜15−10、稼働情報出力手段)を備える。
封入機端末11は、封入機操作部12(12−1〜12−10)、封入機モニタ13(13−1〜13−10、工票表示手段)を備える。
封入機操作部12は、キーボート、マウス等を備える。封入機操作部12は、各封入機10の作業者が工票画面70aに入力する場合等に用いる。封入機操作部12の入力情報は、管理サーバ30が適宜記憶する。
封入機モニタ13は、液晶表示装置等の表示装置である。封入機モニタ13は、各封入機10の作業者が視認可能な小型のモニタ(例えば20インチ程度)である。封入機モニタ13には、工程の進捗情報や、工票画面70a(図4参照)を表示する。工票画面70aの表示は、封入機操作部12のマウス等で選択できる。選択操作の情報は、管理サーバ30に出力される。
【0016】
封筒排出検出部15は、各封入機10が1つ封入済み封筒を生産して排出する毎に、生産完了信号(稼働情報)を出力する検出部である。封筒排出検出部15は、例えば、光学センサ等である。封筒排出検出部15は、生産完了時に、封入機10本体から排出された封入済み封筒を検出する。つまり、封筒排出検出部15は、正常に工程が進行しているか否かを示す情報である。
各封筒排出検出部15−1〜15−10は、封入機10−1〜10−10毎にそれぞれ異なる信号を出力する。このため、管理サーバ30は、どの封筒排出検出部15から出力された産完了情報かを識別し、どの封入機10で生産完了したかを識別できるようになっている。
【0017】
大型モニタ20は、封入機10の作業者全員が視認な大型(例えば50インチ以上)の表示装置である。大型モニタ20は、例えば、工場の壁等に設置されている。大型モニタ20は、10台の封入機10の進捗情報を表示したりする。
信号中継装置25は、封筒排出検出部15から出力された生産完了信号を、管理サーバ30が処理可能な信号に変換して、管理サーバ30に出力する装置である。
【0018】
工票印刷機26は、工票70を紙に印刷する印刷装置である。工票印刷機26の台数、設置場所は、必要に応じて選択できる。
例えば、工票印刷機26を封入機10近傍に配置した場合には、作業者が、勤務終了後に直ぐに印刷でき、便利である。
一方、工票印刷機26を管理サーバ30近傍に配置した場合には、1台でもよいので、低コストである。なお、印刷した工票70は、作業者が、管理者(係長、課長等の上司等)に対して確認、捺印を依頼することになる。このため、工票印刷機26を管理サーバ30近傍に配置しても、不便はない。
【0019】
管理サーバ30は、封入機10での生産予定の設定、封入機10での進捗情報を管理等する管理装置である。
管理サーバ30は、管理操作部31、管理モニタ32、管理記憶部40、管理制御部50を備える。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、管理サーバ30は、管理記憶部40、管理制御部50を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0020】
管理操作部31は、管理者が操作情報等を入力する操作装置である。管理操作部31は、キーボート、マウス等を備える。
管理モニタ32は、液晶表示装置等の表示装置である。管理モニタ32は、生産ラインの管理者が視認可能な小型のモニタ(例えば20インチ程度)である。
【0021】
管理記憶部40は、管理サーバ30の動作に必要な管理プログラム41や、情報等を記憶したり、情報処理時に必要な一時記憶領域を有するハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。管理記憶部40は、管理プログラム41、生産情報記憶部42−1〜42−10を備える。
管理プログラム41は、工票70に関する処理を行う工票作成プログラム等が組み込まれている。この工票作成プログラムには、工票70を作成するための計算式、各種テーブル情報等を有している。
【0022】
生産情報記憶部42−1〜42−10は、封入機10−1〜10−10毎に生産情報を記憶する記憶部である。ここでは、1号機の封入機10−1〜10−10の生産情報記憶部42−1について説明するが、他の生産情報記憶部42−2〜42−10についても同様である。
生産情報記憶部42−1は、工程記憶部43−1,43−2,・・・、無指定工程記憶部44を備える。
工程記憶部43−1,43−2,・・・は、後述するように、工程番号を第1工程、第2工程・・・と入力されることにより設けられる記憶領域である。ここでは、第1工程記憶部43−1について説明するが、他の工程記憶部43についても同様である。
第1工程記憶部43−1は、1号機の封入機10−1の勤務時間内の経過時間と、第1工程の稼働状況とを対応して記憶する記憶部である。稼働状況とは、封入機10が運転情状態であるか、非運転状態であるかの状況をいう。また、運転時間とは、経過時間のうち封入機10−1が運転状態である時間をいい、非運転時間とは、封入機10−1が非運転状態である時間をいう。詳細は、後述する。
第1工程記憶部43−1は、運転時間記憶部43−1a、非運転時間・理由記憶部43−1bを備える。
【0023】
運転時間記憶部43−1aは、第1工程における運転時間を記憶する記憶領域である。非運転時間・理由記憶部43−1bは、第1工程における非運転時間とその非運転理由とを対応付けて記憶する記憶領域である、非運転理由とは、非運転状態の理由をいう。詳細は、後述する。
無指定工程記憶部44は、工程の入力がない場合、つまり、工程の指定がない場合に、運転時間を記憶し、また、非運転時間とその非運転理由とを対応付けて記憶する記憶部である。
【0024】
管理制御部50は、管理サーバ30を統括的に制御するための制御部であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。管理制御部50は、管理記憶部40に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。管理制御部50は、例えば、生産数量、生産能率等の算出、各モニタへの出力等の制御を行う。
管理制御部50は、稼働状況判定部51、工票制御部52を備える。
稼働状況判定部51は、各封筒排出検出部15−1〜15−10の出力に基づいて、各封入機10−1〜10−10の稼働状況の判定する制御部である。
工票制御部52は、工票70、工票画面70a(図4参照)に関する処理を行う制御部である。
各制御部の処理の詳細は、後述する。
【0025】
工票70について説明する。
図3は、実施形態の入力前の工票画面70aを示す図である。
図4は、実施形態の入力後の工票画面70aを示す図である。
図5は、実施形態の入力後の稼働状況表示部72を拡大して示す図である。
工票画面70aの各情報、画像情報等は、管理プログラム41に組み込まれている。
なお、工票70は、主に、1号機の封入機10−1のものについて説明するが、他の封入機も同様である。
【0026】
工票画面70aは、封入機モニタ13に表示され、工票70の主な入力は、作業者が、生産を進行しながら行う。また、管理者側も、必要に応じて、工票画面70aを管理モニタ32に表示できる。
工票70は、以下の表示領域を有する。
(表題部71)
図3、図4に示すように、表題部71は、工票70の表題を入力する欄である。表題部71は、封入機10−1の号数71a、作業日71b、目標生産数量71c、勤務帯71d、作業者71eの入力欄を備える。これらは、作業者、管理者が封入機操作部12−1又は管理操作部31を用いて入力する。
【0027】
(稼働状況表示部72)
図5に示すように、稼働状況表示部72は、横欄が勤務時間の経過時間に対応している。横欄は、横方向に複数のマスMが配列されている。1つのマスMは、5分間(規定時間幅)に対応している。稼働状況表示部72の縦欄は、以下の表示欄を有する。
・工程番号72a:各工程の時間帯を表す表示領域である。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。
・運転時間72b:マスMの塗り潰されることにより、その時間が運転状態であることを示す。後述するように、塗り潰し作業は、管理制御部50が自動で行う。
・非運転時間72c:マスMが塗り潰されることにより、その時間が非運転状態であることを示す。塗り潰し作業は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。非運転時間72cは、複数の非運転理由を、非運転理由の内容に応じて分類した非運転項目である切替72d、停止72e、休止72fの各表示欄に細分されている。このため、工票画面7aは、非運転理由を項目毎に把握しやすく表示できる。これらの詳細は、以下の通りである。
【0028】
・切替72d:生産品目を切り替えた場合の非運転理由である。切替は、以下の理由にさらに細分されている。
a:基本切替(欄74d−1参照):生産品目を切り替えた場合(図4に示す第2工程から第3工程に変更した場合等)の非運転理由である。
b:区分切替(欄74d−2参照):封筒、同封物(チラシ等)が変更された場合(図4に示す第1工程から第2工程に変更した場合等)の非運転理由である。
【0029】
・停止72e:作業者の技量、封入機10−1の能力等に関連する非運転理由である。停止は、以下の理由にさらに細分されている。
ア:引継(欄74e−1参照):勤務開始時、勤務終了時等の引継のための非運転理由である。
イ:調整(欄74e−2参照):例えば、封入作業進行にともなって、封筒と封入物との微調整等が必要になった場合等の非運転理由である。
ウ:点検・清掃(欄74e−3参照):封筒等の紙詰まり等によって、点検、清掃等が必要になった場合等の非運転理由である。
エ:故障(欄74e−4参照):封入機10−1が故障した場合等の非運転理由である。
【0030】
・休止72f:勤務時間内の作業進行に応じて、作業者の技量、封入機10−1の能力に関わらず、一定時間必要な時間である。休止は、以下の理由にさらに細分されている。
A:帳票待ち(欄74f−1参照):工程番号の変更時等に、封入物の準備が間に合わずこれらを準備する場合等の非運転理由である。
B:資材待ち(欄74f−2参照):封筒、同封物(チラシ等)等の準備が間に合わずこれらを準備する場合等の非運転理由である。
C:休憩(欄74f−3参照):昼休み等の予め定められた休み時間、勤務時間内に適宜取得する休憩時間等である。
なお、勤務時間内に適宜取得する休憩等は、昼休み等とは異なり勤務毎に変動するので、停止時間に組み込むようにしてもよい。
【0031】
このように、工票画面70aは、非運転理由が非運転項目に分類されて、分かりやすく表示(非運転項目表示処理)されているので、作業者は、非運転理由の選択が容易である。
【0032】
・非運転理由72g:上記非運転理由を入力するマスMである。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。
・信号検出頻度72h:生産完了信号の5分当りの検出頻度を、棒グラフで表示するマスMである。縦方向に6分割されており、頻度0〜6/6で表示する。頻度0/6〜6/6は、以下の内容を示す。
頻度0/6:全く運転していない状態
頻度1/6:運転時間が0を超え1分未満
頻度2/6:運転時間が1分以上2分未満
頻度3/6:運転時間が2分以上3分未満
頻度4/6:運転時間が3分以上4分未満
頻度5/6:運転時間が4分以上5分未満
頻度6/6:運転時間が5分間(継続して稼働している状態)
このため、生産システム1は、5分間に所定数量が生産される場合に運転状態と判定でき、上記運転時間72b、非運転時間72cを簡略して、分かりやすく表示できる。
実施形態では、頻度3/6(規定判定値)以上の場合に、つまり、5分間のうち2分以上の間、生産完了信号が検出された場合に、「運転状態」と判定するが、運転時間であるかの規定判定値は、任意に設定することができる。
【0033】
(項目別総時間表示部73)
図3、図4に示すように、以下の表示欄を有する。
・勤務時間73a:1勤務当りの総時間である。実施形態では、既定の12時間である。
・稼働時間73b:稼働時間(=勤務時間−休止時間)である。稼働時間は、休憩時間等を除いた時間であるので、実際に作業可能な最大の時間を示す。
・総運転時間73c:勤務時間内の運転時間の総時間である。
【0034】
(非運転理由・総時間表示部74)
前述した非運転項目、非運転理由毎に、非運転理由の総時間を表示する表示欄である。
非運転項目は、各項目の非運転時間の総時間を表示する各表示欄74d〜74fを備える。
非運転理由は、各非運転理由の総時間を表示する各表示欄74d−1,74d−2,74e−1〜74e−4,74f−1〜74f−3を備える。
【0035】
(生産数量・能率表示部75)
・生産数量75a=B1:生産開始から現時点(集計時)までの生産数量である。
・目標差75b=B2=B0−B1:目標生産数量B0と生産数量B1との差異である。
・達成率75c=B3=B1/B0:目標生産数量B0に対する、生産数量B1の割合である。
なお、上記生産数量は、昼休み等の休憩時間を、勤務時間から減算して算出してもよい。昼休み等は、そもそも生産可能な時間に含まれないからである。
【0036】
・A能率75d=生産数量/運転時間:実際に封入機10が運転していた時間で、時間当りに生産した封入済み封筒の数量である。A能率は、例えば、封入機10が正常に運転している時間の時間当り生産数量を表し、封入機10の性能を表す。
・C能率75e=生産数量/稼働時間:勤務開始から実際に経過した時間で、時間当りに生産した封入済み封筒の数量である。C能率は、例えば、管理者が現時点以降の時間当り生産数量を予測する場合に参照できる。
・運転率75f:運転率=総運転時間73c/稼働時間73bである。
【0037】
(工程内容表示部76)
各工程の基本情報等を示す表示部である。
・受注番号76a:中央サーバ60が受け付けた受注番号である。受注番号は、例えば、管理サーバ30の管理者が、10台の封入機10が1勤務内で処理する予定を考慮しながら、封入機10、作業者を振り分けて入力する。
・得意先名76b、品名76c:受注番号に対応した得意先名、品名を表示する表示欄である。
・点数76d:同封物(チラシ等)の点数である。作業者が、封入機操作部12−1を用いて入力する。
【0038】
・通し番号76e:各作業工程で製造した封筒の通し番号である。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。
・生産通数76f:各作業工程で製造した総生産数量である。
【0039】
・処理枚数76g:各作業工程での封入物の処理枚数である。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。主封入物は、1回の受注において、主となる封入物(宛名等)である。副封入物は、主封入物に添付される封入物(宛名先の明細等)である。
図4に示す例では、第1工程では、主封入物1500枚に対して、副封入物が0枚である。つまり、封筒は、主封入物1枚、副封入物0枚が封入される。これに対して、第2工程では、主封入物1250枚に対して、副封入物が2500枚である。つまり、封筒は、主封入物1枚、副封入物2枚が封入される。
なお、第1工程、第2工程の受注番号は、同じである。これは、1回の受注において、主封入物が同じであり、副封入物が異なるためである。
【0040】
・切替76h:前述した切替の種別「a(基本切替)」、「b(区分切替)」を入力する欄である。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。
例えば、第1工程から第2工程への切替は、副封入物の変更である。このような変更の場合には、「b(区分切替)」と入力する。一方、第2工程から第3工程への切替は、封筒、封入物を全て変更する。このような変更の場合には、「a(基本切替)」と入力する。
・運転時間76i、切替時間76j、停止時間76k:工程番号毎にこれらの時間を表示する表示欄である。このため、管理者は、工程毎、つまり生産品目毎に非運転理由を正確に分析できる。
【0041】
(目標未達成理由記入欄77)
勤務終了時に、作業者が目標未達成理由を入力する欄である。入力は、作業者が封入機操作部12−1を操作して行う。
【0042】
図6は、実施形態の工票作成処理のフローチャートである。
図7は、実施形態の非運転入力処理のフローチャートである。
図8は、実施形態の未来時間の非運転理由の入力方法を説明する図である。
図9は、実施形態の非運転理由の入力方法を説明する図である。
図10は、実施形態の勤務終了時の工程番号の入力方法を説明する図である。
1号機の封入機モニタ13−1が表示する工票70の一部を拡大して示す図である。
なお、以下の説明は、1号機の封入機10−1に関する工票作成処理を主に説明するが、他の封入機の工票作成処理も同様である。
(開始準備)
ステップS(以下単に「S」という)1において、図4に示すように、管理制御部50は、管理操作部31から以下の入力操作を受け付ける。
・各封入機10の封入機の号数71a、作業日71b、目標生産数量71c、勤務帯71d、作業者71e、工程番号順の受注番号76a
上記項目は、管理者が決定して入力するものである。管理制御部50は、入力情報を生産情報記憶部42−1に記憶し、また、工票画面70aに表示する。
なお、管理制御部50は、入力された受注番号76aに対応した得意先名76b、品名76cの情報を中央サーバ60から受け取り、工票画面70aに表示する。
【0043】
S2、S3の処理は、未来時間の非運転理由に関する処理である。
未来時間とは、勤務時間内において、現時刻よりも後の時間をいう。例えば、昼休み等の休憩は、予め決まっている非運転理由である。このような非運転理由は、予め工票70に入力しておいた方が、後の入力作業等が簡単になるので、便利な場合がある。
【0044】
図8(a)に示すように、「12:20〜13:20」に入力する場合を説明する。
休憩は、休止時間に分類されているので、作業者は、非運転項目72cのなかから休止時間を選択し、かつ、休止時間のうち「12:20〜13:20」のマスM1を、封入機操作部12−1で選択する。
S2において、工票制御部52は、封入機操作部12−1によって、マスM1が選択されたか否かを判定する。工票制御部52は、マスM1が選択されたと判定した場合には(S2:YES)、S3に進み、一方、選択されていないと判定した場合には(S2:NO)、S4に進む。
【0045】
S3では、工票制御部52は、図7のS30に進んで、非運転理由入力処理を行う。
(入力指示画面表示処理)
S31において、工票制御部52は、工票画面70aに入力指示表示を行う。
入力指示表示は、非運転理由72hの「12:20〜13:20」の10個のマスM1a(非運転時間に対応した表示領域)を点滅表示して、作業者に入力を促す。点滅表示は、例えば、マスM1aの輝度を切り替える。
【0046】
S32において、工票制御部52は、非運転理由が入力されたか否かを判定する。工票制御部52は、非運転理由が入力されたと判定した場合には(S32:YES)、S33に進み、一方、入力されていないと判定した場合には(S32:NO)、入力されるまで待機する。
この場合、工票制御部52は、非運転項目に対応した非運転理由のみの入力を受け付ける。例えば、非運転項目「休止時間」に対応した非運転理由「A:帳票待ち」、「B:資材待ち」、「C:休憩」の情報のみを受け付ける。これら以外が入力された場合には、誤入力を表す表示、警告音等を出力して、作業者に対して誤入力を報知する。これにより、誤入力を防止できる。
工票制御部52は、非運転理由の入力を受け付けると、マスM1を塗り潰して、入力を確定させる。
【0047】
「C:休憩」は、非運転項目「休止時間」に対応しているので、図8(b)に示すように、作業者は、封入機操作部12−1を操作して、10個のマスM1a内に「C」と入力する。
なお、工票制御部52は、点滅表示されている領域の1つに「C」と入力されたことにより、全て同じ入力できるようにすれば、入力操作を簡単にできる。また、工票制御部52は、「C:休憩」の欄74f−3(図3,4参照)の表記を封入機操作部12−1で選択操作されたことにより、「C」と入力できるようにすれば、入力操作をさらに簡単にできる。
さらに、非運転項目に対応した非運転理由の欄を点滅表示してもよい。例えば、休止時間に対応したマスM1を選択された場合には、これに対応した、「A:帳票待ち、B:資材待ち、C:休憩」の欄74f−1〜74f−3(図3、4参照)の表記を点滅表示してもよい。これにより、誤入力を防止できる。
【0048】
(非運転理由記憶処理)
S33において、工票制御部52は、未来時間の非運転時間、非運転理由の入力を受け付けて、生産情報記憶部42−1に記憶する。この例では、未来時間の経過時間「12:20〜13:20」、非運転項目「休止時間」、非運転理由「C:休憩」を対応付けて記憶する。これら3つの関連付けは、組み合わせを確定できればいずれの形態でもよい。例えば、経過時間と、非運転項目及び非運転理由とを対応付けてもよいし、また、経過時間及び非運転項目を対応付け、これに非運転理由を対応付けもよい。
なお、作業前であるので、未来時間は、実際にどの工程番号に含まれるかが不明である。このため、工票制御部52は、これらを、無指定工程記憶部44に記憶する。
処理が終了すると、工票制御部52は、図6のメイン処理のS4に進む。
【0049】
(工程番号入力、変更処理)
作業者は、作業開始時や、1つの工程が完了し次の工程を開始する時等に、工程番号72aを入力する。作業者は、例えば、前勤務からの引継作業が終了すると最初の工程には第1工程と入力し、また、第1工程が終了すると第2工程と入力する。
なお、1つの工程の終了時には、図4に示す点数76d、通し番号76e、処理枚数76gを、封入機操作部12−1を用いて入力する。工票制御部52は、生産通数76fを、通し番号76eに基づいて算出して表示する。
【0050】
S4において、工票制御部52は、封入機操作部12−1の出力情報に応じて、工程番号の入力、変更があったか否かを判定する。工程番号の入力、変更があったと判定し場合には(S4:YES)、S5に進み、一方、入力、変更がないと判定した場合には(S4:NO)、S4aに進む。
S5において、工票制御部52は、入力された工程番号の工程記憶部43を作成し、この工程記憶部43に、以降の運転時間、非運転時間、非運転理由等の情報を記憶する。
例えば、第1工程記憶部43−1が作成された場合には、以降の運転時間、非運転時間、非運転理由等の情報を第1工程記憶部43−1に記憶する。また、新たに第2工程記憶部43−2が作成された場合には、これら等の情報の記憶先を第1工程記憶部43−1から第2工程記憶部43−2へと変更する。
【0051】
一方、S4aにおいて、工票制御部52は、新たに工程記憶部43を設けることなく、これら等の情報を、従前の工程記憶部43への記憶を継続するか、又は無指定工程記憶部44への記憶を開始する。
例えば、第1工程記憶部43−1が既に作成されている場合には、これら等の情報を、引き続き、第1工程記憶部43−1へ記憶する。一方、工程番号の入力がなく工程記憶部43が1つも作成されていない場合には、これら等の情報を、無指定工程記憶部44へ記憶する。
【0052】
作業者は、工程番号の入力が終了すると、封入機10−1の運転を開始し、実際に封入作業を開始する。
封入機10−1は、封入済み封筒を生産して排出すると、封筒排出検出部15は、生産完了信号を出力する。
S6において、稼働状況判定部51は、この生産完了信号を取得する。稼働状況判定部51は、生産完了信号を識別して、生産完了した封入機10を識別する。
【0053】
(稼働状況判定処理)
S7において、稼働状況判定部51は、封筒排出検出部15から継続して生産完了信号を取得した時間に基づいて、稼働状況を判定する。
ここで、封筒排出検出部15は、運転状態である場合には、封入済み封筒を継続して生産できるので、生産完了信号を継続して出力し、一方、非運転状態の場合には、封入済み封筒を継続して生産できないので、生産完了信号を継続して出力しないことになる。
稼働状況判定部51は、5分間のうち運転状態である時間(生産完了信号を継続して出力する時間)の検出頻度3/6以上の場合に、「運転状態」と判定する。
S7において、稼働状況判定部51は、運転状態と判定した場合には(S7:YES)、S8に進み、一方、運転状態ではない判定した場合(S7:NO)、つまり非運転状態と判定した場合には、S9に進む。
【0054】
例えば、稼働状況判定部51は、図4、図5の例では、以下のように判定する。
(i)勤務時間8:30〜8:40の引継ぎ時間
生産完了信号が出力されない非運転状態であるので、非運転時間と判定する。
(ii)第1工程の8:45〜9:10
検出頻度3/6以上を維持しているので、運転時間であると判定する。
(iii)第1工程の9:10〜9:25
検出頻度3/6未満であるので、非運転時間であると判定する。
(iv)第3工程の12:20〜13:20
この時間は、未来時間の非運転理由「C:休憩」が記憶されていた経過時間である。予定通り、非運転状態であるので、非運転時間と判定する。
なお、前述した未来時間が入力されていても、実際には、運転状態であったときには、運転時間と判定する。
【0055】
(稼働状況記憶処理)
S8において、工票制御部52は、封入機毎、工程毎に稼働状況を記憶する。工票制御部52は、運転時間の情報を対応する記憶領域に記憶する。
工票制御部52は、例えば、図4、図5の例では、以下のように記憶処理をする。
(i)勤務時間8:30〜8:40の引継ぎ時間
非運転時間であるので、いずれの記憶領域にも運転時間と記憶することはない。
(ii)第1工程の8:45〜9:10
時間経過とともに、運転時間を、第1工程記憶部43−1の運転時間記憶部43−1aに順次記憶していく。
(iii)第1工程の9:10〜9:25
(iv)第3工程の12:20〜13:20
この例では、予定通り非運転時間であるので、無指定工程記憶部44の非運転時間、非運転理由に関する情報を、第3工程記憶部43−3に移動し、これらの情報を維持する。
一方、未来時間「12:20〜13:20」の非運転時間、非運転理由が記憶されていても、実際には、運転状態であったときには、工票制御部52は、これらの情報を取り消す(非運転理由取り消し処理)。そして、第3工程記憶部43−3の運転時間記憶部43−3aに、その時間を運転時間と記憶する。
【0056】
(稼働状況表示処理)
S9において、工票制御部52は、判定した稼働状況に基づいて、経過時間及び稼働状況を対応付けて、工票画面70aに表示する。
実施形態では、工票制御部52は、稼働状況を、運転時間のマスMを塗り潰すことによって表示する。一方、運転時間のマスMを空欄にしておくことで、運転時間以外の時間が非運転時間であることを表している。例えば、図9(a)では、9:35以降のマスMが全て空欄であるので、9:35以降が非運転時間であることを表す。
なお、上記(iv)の通り、未来時間「12:20〜13:20」が実際には、運転時間であった場合には、このマスM1,M1a(図8参照)を空欄に変更し、かつ、運転時間のマスM1b(図8参照)を塗り潰す。このため、生産システム1は、未来時間の入力があった場合でも、修正操作が不要である。
【0057】
S10、S11の処理は、経過した経過時間、つまり過去の経過時間の非運転理由に関する処理である。
S10、S11の処理は、前述したS2,S3の未来時間の処理と同様である。
図9(a)は、「9:10〜9:25」が非運転状態となって、9:25以降に、封入機10−1が運転状態となって、運転状態のマスM2bが塗り潰された場面である。
ここでは、「9:10〜9:25」の間非運転項目が「停止」であり、「停止」に対応した非運転理由として「イ:調整」を入力する場合を、説明する。
図9(b)に示すように、作業者は、封入機操作部12−1を操作して、非運転項目の「停止72e」を選択し、かつ、入力したい非運転時間「9:10〜9:25」のマスM2を選択する。
【0058】
S10において、工票制御部52は、操作情報に基づいて、マスM2が選択されたか否かを判定する。工票制御部52は、マスM2が選択されたと判定した場合には(S10:YES)、S11に進み、一方、選択されていないと判定した場合には(S10:NO)、S12進む。
【0059】
(入力指示画面表示処理)
S11では、工票制御部52は、図7のS110に進んで、非運転理由入力処理を行う。
S111において、図9(b)に示すように、工票制御部52は、非運転理由72gの対応するマスM2aを点滅表示して、作業者に非運転理由の入力を促す。
作業者は、封入機操作部12−1を操作して、点滅しているマスM2aに「イ(調整)」と入力する。工票制御部52は、非運転理由の入力を受け付けると、マスM2を塗り潰して、入力を確定させる。
【0060】
なお、S111での作業者の操作は、マスM2を選択し、マスM2aに非運転理由を入力するのみである。このため、封入機10−1が停止して再稼働したときに、作業者は、封入機10−1を操作しながらでも、簡単に入力を行うことができる。
これにより、作業者は、非運転状態が解消した直後に非運転理由を逐次入力できる。このため、勤務終了時に非運転理由を入力する場合に比較すると、正確に入力を行うことができる。このため、生産システム1は、作業者間での非運転理由の入力のバラツキを減らすことができる。
【0061】
(非運転理由記憶処理)
S112において、工票制御部52は、非運転時間、非運転理由の入力を受け付けて、生産情報記憶部42−1に記憶する。
この例では、経過時間「9:10〜9:25」と、非運転項目「休止時間」の非運転理由「イ:調整」とを対応付けて、第1工程記憶部43−1の非運転時間・理由記憶部43−1bに記憶する。
処理が終了すると、工票制御部52は、図6のメイン処理のS12へ進む。
【0062】
(総時間表示処理(総非運転時間表示処理))
S12において、工票制御部52は、生産情報記憶部42−1(各工程記憶部43、無指定工程記憶部44)の情報に基づいて、図4に示すように、総運転時間73c、各非運転項目74d〜74fの総時間、各非運転理由74d−1,74d−2,74e−1〜74d−4,74f−1〜74f−3の総非運転時間を算出し、工票画面70aに表示する。
また、工程番号が指定されている場合には、工票制御部52は、各工程記憶部43の情報に基づいて、運転時間46i、切替時間76j、停止時間76kを算出して表示する。
【0063】
(生産数量算出処理)
S13において、管理制御部50は、S6で取得した生産完了信号に基づいて、図4に示すように、生産数量B1、目標差B2、達成率B3を算出し、また、工票制御部52は、これらの情報を各表示欄75a〜75cに、それぞれ表示する。
これにより、生産システム1は、各作業者に対して、現時点での進捗状況を報知し、例えば、作業を早めるように促すことができる。
【0064】
(A能率、C能率、運転率の算出)
S14において、管理制御部50は、A能率75d、C能率75e、運転率75fを算出し、工票制御部52は、これらの情報を工票画面70aに表示する。
管理者、作業者は、これらを参照して、生産能率を分析できる。
【0065】
S15において、工票制御部52は、現時刻を確認して、勤務時間が終了したか否かを判定する。工票制御部52は、勤務時間が終了したと判定した場合には(S15:YES)、S16に進み、一方、勤務時間が終了していないと判定した場合には(S15:NO)、S2からの処理を繰り返す。
【0066】
S16において、工票制御部52は、その他の欄(目標未達成理由記入欄77、通し番号76e等)、工票70の工程番号の入力、修正を受け付ける。
作業者は、例えば、以下のような場合に工程番号の入力、修正を行う。
(1)図10に示すように工程番号を入力しないで作業した場合
この場合には、運転時間72bと、非運転時間72c及びその非運転理由の情報は、無指定工程記憶部44に記憶されている。この場合には、作業者は、作業終了後に、対応する経過時間の領域をドラッグして、工程番号を入力する。
第1工程を入力する場合を説明する。
作業者は、対応する経過時間「8:45〜9:40」の領域72iをドラッグして、第1工程と入力する。
工票制御部52は、操作情報に応じて、第1工程記憶部43−1aを作成する。そして、工票制御部52は、無指定工程記憶部44に記憶されている情報のうち、「8:45〜9:40」の運転時間72b、非運転時間72c及びその非運転理由の情報を、作成した第1工程記憶部43−1aに移動する。
その後、工票制御部52は、第1工程記憶部43−1a内に移動した情報に基づいて、第1工程の運転時間75i、切替時間75j、停止時間75kを算出して、工程内容表示部76に表示する。
なお、S4のように作業中に工程番号を入力するか、S16のように作業終了後に工程番号を入力するかは、作業者が、自分の作業がしやすい方を適宜選択すればよい。
【0067】
(2)工程番号の修正、追加
この場合にも、上記(1)と同様である。作業者は、対応する経過時間の領域をドラッグして、工程番号を入力(上書き)すればよい。
これによって、工票制御部52は、他の工程記憶部43に記憶されていた運転時間等の情報を、新たに作成した工程記憶部43に移動し、その工程の運転時間75i、切替時間75j、停止時間75kを工票画面70aに表示する。
【0068】
作業者は、全ての入力を確認すると、封入機操作部12−1を操作して、工票70をプリントする。
S17において、工票制御部52は、封入機操作部12−1からプリント実行の操作を受け付ける。
【0069】
S18において、工票制御部52は、生産情報記憶部42−1の情報に基づいて、工票70が全て入力されたか否かを判定する。工票制御部52は、全て入力されたと判定した場合には(S18:YES)、S19に進み、一方、全て入力されていないと判定した場合には(S18:NO)、S10からの処理を繰り返す。
【0070】
S19において、工票制御部52は、生産情報記憶部42−1の情報に基づいて、工票70をプリントする。なお、工票70が全て入力された場合にのみプリント指示を受け付けるのは、入力漏れを防止するためである。
S20において、管理制御部50は、一連の処理を終了する。
作業者は、捺印欄78に捺印して、管理者に提出して、勤務を終了する。
【0071】
以上説明したように、実施形態の生産システム1は、工票70の入力が簡単であり、作業者は、封入機10を操作しながら入力できる。これにより、工票70の記入のバラツキが減らすことができ、管理者は、非運転理由等を正確に分析できる。
また、生産システム1は、勤務時間終了時等に印字等すれば、容易に紙等の工票70を印刷できるため、作業者の負担を軽減できる。
さらに、生産システム1は、複数の封入機10のそれぞれに対して、工票作成処理の処理を行うので、複数の封入機10の工票70を一括して管理できる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。
【0073】
(変形形態)
(1)本実施形態において、の例を示したが、これに限定されない。例えば、でもよい。
実施形態では、制御部は、経過時間のうち、運転時間を記録していない時間を、非運転時間と認識するが、これに限定されない。制御部は、運転時間ではないと判定した時間を、非運転時間として、記憶部に順次記憶してもよい。
【0074】
(2)実施形態において、本システムは、封入機が封入済み封筒を生産する例を示したが、これに限定されない。本システムは、封入機に限っているわけではなく、多種の生産機に対応できる。
また、例えば、本システムは、作業者が製品を手作業で組み立てるものでもよい。この場合には、作業者が操作する操作ボタン(稼働情報出力手段)を設け、この操作に応じて生産完了情報(稼働情報)を出力すればよい。
【符号の説明】
【0075】
1 生産システム
10(10−1〜10−10) 封入機
11(11−1〜11−10) 封入機端末
12(12−1〜12−10) 封入機操作部
13(13−1〜13−10) 封入機モニタ
15(15−1〜15−10) 封筒排出検出部
26 工票印刷機
30 管理サーバ
40 管理記憶部
41 管理プログラム
42−1〜42−10 生産情報記憶部
43−1,43−2,・・・ 工程記憶部
43−1a,43−2a,・・・ 運転時間記憶部
43−1b,43−2b,・・・ 非運転時間・理由記憶部
44 無指定工程記憶部
50 管理制御部
51 稼働状況判定部
52 工票制御部
70 工票
70a 工票画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程が進行しているが否かを示す稼働情報を出力する稼働情報出力手段と、工票画面を出力する工票表示手段と、作業者が前記工票画面に入力する操作部とを備える生産部と、
前記生産部を管理する管理部とを備える生産システムの前記管理部の工票作成プログラムであって、
前記管理部のコンピュータに、
前記稼働情報出力手段の稼働情報の出力に基づいて、前記生産部の稼働状況を判定する稼働状況判定処理と、
判定した前記稼働状況に基づいて、勤務時間内の経過時間及び前記稼働状況を対応付けて表示することにより、前記生産部の非運転時間を、視認可能な態様で前記工票画面に表示する稼働状況表示処理と、
前記各非運転時間の非運転理由を、前記作業者に対して、前記操作部で入力操作するように促す入力指示表示を、前記工票画面に表示する入力指示画面表示処理と、
前記非運転時間と、入力された前記非運転理由とを対応付けて記憶部に記憶させる非運転理由記憶処理と、
を実行させるための工票作成プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記入力指示画面表示処理は、前記非運転時間に対応した表示領域が選択操作された場合に、選択された前記表示領域に対応した前記非運転理由の入力を促す表示をすること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記コンピュータに、前記工票画面に、複数の前記非運転理由を、前記非運転理由の内容に応じて分類した複数の非運転項目を表示する非運転項目表示処理をさせ、
前記入力指示画面表示処理は、前記非運転項目が選択操作された場合に、選択された前記非運転項目内に分類された前記非運転理由の入力を促すこと、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記コンピュータに、前記記憶部の情報に基づいて、前記非運転時間毎に総非運転時間を算出して、前記工票画面に表示する総非運転時間表示処理を実行させること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記稼働状況判定処理は、前記稼働情報出力手段の稼働情報の出力に基づいて、規定時間幅内での検出頻度を算出し、前記検出頻度と規定判定値との比較結果に応じて、前記規定時間幅に対応する前記経過時間の前記稼働状況を判定すること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記生産部は、複数の工程を、前記勤務時間を複数の時間帯に分けて生産するものであり、
前記非運転理由記憶処理は、前記非運転理由を前記各時間帯の前記工程毎に前記記憶部に記憶させること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
現時刻よりも後の未来時間の前記非運転時間、前記非運転理由の入力を受け付けて、前記記憶部に記憶する未来時間入力処理と、
前記未来時間が到達した場合に、前記稼働情報出力手段の出力に基づいて運転状態と判定したときには、記憶していた前記非運転時間、前記非運転理由を取り消す非運転理由取り消し処理とを実行させること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の工票作成プログラムにおいて、
前記管理部は、複数の前記生産部が接続されており、前記各生産部をそれぞれ管理し、
前記コンピュータを、前記各生産部のそれぞれに対して、前記稼働状況判定処理から前記非運転理由記憶処理までの処理を実行させること、
を特徴とする工票作成プログラム。
【請求項9】
工程が進行しているが否かを示す稼働情報を出力する稼働情報出力手段と、工票画面を出力する工票表示手段と、作業者が前記工票画面に入力する操作部とを備える生産部と、
前記生産部を管理する管理部とを備える生産システムの工票作成システムであって、
前記管理部は、工票作成を制御する前記管理制御部を備え、
前記管理制御部は、
前記稼働情報出力手段の稼働情報の出力に基づいて、前記生産部の稼働状況を判定する稼働状況判定処理と、
判定した前記稼働状況に基づいて、勤務時間内の経過時間及び前記稼働状況を対応付けて表示することにより、前記生産部の非運転時間を、視認可能な態様で前記工票画面に表示する稼働状況表示処理と、
前記各非運転時間の非運転理由を、前記作業者に対して、前記操作部で入力操作するように促す入力指示表示を、前記工票画面に表示する入力指示画面表示処理と、
前記非運転時間と、入力された前記非運転理由とを対応付けて記憶部に記憶させる非運転理由記憶処理とを実行すること、
を特徴とする工票作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−33349(P2013−33349A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168511(P2011−168511)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】