説明

工程図作成方法及び工程図作成支援システム

【課題】設計情報から、工程を設定して工程図を作成するまでを正確に行う。
【解決手段】工程図作成方法は、テーピング仕様ごとに含まれる複数の作業対象を特定した仕様マトリックスを準備する出図ステップS1と、仕様マトリックスを用いて、作業対象ごとに工程に関する情報を設定することによって、少なくとも作業対象、テーピング仕様及び工程に関する情報を含む工程設定データを作成する工程設定ステップS2と、3Dデータで構成された仮想作業ステーションを用いて、工程設定データに基づいて、各作業対象の作業性を検証すると共に、作業要領を示す要領図を検証結果に基づいて作成する机上検証ステップS3と、机上検証ステップS3におけるテーピング仕様、作業対象及び工程に関する情報並びに要領図を用いて工程図を作成する工程図作成ステップS4とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被作業ワークに対して複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成方法及び工程図作成支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工程を指示するための情報の作成する方法及びその作成を支援する作成支援システムが知られている。例えば、特許文献1には、作業機の塗装色を決定して塗装指示情報を作成する作成支援システムが開示されている。この作成支援システムでは、作業機の塗装対象部位を表す図柄を表示し、塗装対象部位を指定させ、指定された塗装対象部位の塗装色を選択させ、選択された塗装色で塗装対象部位に色づけして表示し、それに加えて、指定された塗装対象部位及び選択された塗装色を記憶するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−086031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、設計情報に基づいて工程設定し、その作業性を検証して、工程図を作成する際には、設計情報の内容を正確に工程図に反映させる必要がある。しかしながら、設計情報から工程図が作成されるまでの間には、設計情報の準備、工程設定、作業性検証、工程図作成等のいくつかのステップがある。このように複数のステップが存在すると、各ステップ間の情報の受け渡しが適切に行われなかったり、設計図に変更が生じた場合に変更点が工程図まで正確に伝達されなかったり、何れかのステップのみで作業に変更が加えられたりして、設計情報の内容を正確に工程図に反映させることが難しいという問題がある。特に、各ステップの作業者が異なる場合には、このような問題が重要になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設計情報から、工程を設定して工程図を作成するまでを正確に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成方法が対象である。そして、前記作業仕様ごとに含まれる複数の前記作業対象を特定した仕様情報を準備する準備ステップと、前記仕様情報を用いて、前記作業対象ごとに工程に関する情報を設定することによって、少なくとも前記作業対象、作業仕様及び工程に関する情報を含む設定データを作成する設定ステップと、前記設定データを用いて工程図を作成する作成ステップとを含むものとする。
【0007】
前記の構成の場合、まず準備ステップにおいて、作業仕様ごとに作業対象がまとめられた仕様情報が準備されるため、複数の作業対象が存在する場合であっても、各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかを容易に認識することができる。この仕様情報は、設計情報の一部である。また、複数の作業対象が作業仕様ごとにまとめられているため、作業対象及び作業仕様に変更があったときには、変更の前後で仕様情報を比較することで、変更点を容易に認識することができる。さらに、複数の作業対象が作業仕様ごとにまとめられているため、各作業対象が複数の作業仕様間で共通のものなのか、作業仕様ごとに個別のものなのかを容易に認識することができる。作業対象が共通か個別かがわかれば、その後に続く、工程設定や作業性検証を簡略化することができる。
【0008】
そして、設定ステップにおいて、この仕様情報に基づいて作業対象ごとに工程に関する情報が設定されるため、仕様情報に含まれる全ての作業対象に対して工程に関する情報を漏れなく設定することができる。また、設定データは仕様情報に基づいて作成されるため、設定データにおいても、各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかが明確である。
【0009】
作成ステップにおいては、前記設定データを用いて工程図を作成する。設定データを用いているので、準備ステップにおける仕様情報を工程図に正確に反映することができる。
【0010】
前記仕様情報に変更があるときには、前記準備ステップ、設定ステップ及び作成ステップが繰り返され、前記設定ステップでは、前記仕様情報に変更点があるときには、新旧の前記設定データにおける前記作業対象及び作業仕様の変更点を抽出することが好ましい。
【0011】
前記の構成によれば、仕様情報に変更があったときに、設定ステップにおいて、作業対象及び作業仕様の変更点が抽出されるため、仕様情報の変更に応じて工程を漏れなく変更することができる。
【0012】
また、前記設定ステップの後に、3Dデータで構成された仮想作業ステーションを用いて、前記設定データに基づいて、各作業対象の作業性を検証すると共に、作業要領を示す要領図を検証結果に基づいて作成する検証ステップをさらに含み、前記作成ステップでは、前記検証ステップにおける前記作業仕様、作業対象及び工程に関する情報並びに要領図を用いて工程図を作成するようにしてもよい。
【0013】
前記の構成の場合、検証ステップにおいては、前記設定データに基づいて、作業性の検証を行うため、設定ステップで設定された全ての作業対象について漏れなく検証を行うことができる。設定データは、仕様情報に基づいて作成されているため、作業仕様に含まれる全ての作業対象について検証が行われることになる。ここで、実際の作業では、通常は、被作業ワークに対して異なる作業仕様の作業が同時に行われることはないので、複数の作業対象の作業性の検証を一度に行う場合には、それらが同じ作業仕様に含まれるものであることが好ましい。前記の構成では、設定データの各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかが明確であるため、同じ作業仕様に含まれる複数の作業対象の作業性の検証を容易に行うことができる。また、検証ステップにおいては、作業性の検証時に、どのように作業すれば適切に作業できるかということを検証するため、この検証により判別した作業要領を要領図として作成しておく。この要領図は、工程図の作成に必要な図である。検証ステップでは、まさに作業要領を検証しているということもできるので、この際に要領図を作成することが効率的である。
【0014】
作成ステップにおいては、検証ステップにおける作業仕様、作業対象及び工程に関する情報、並びに要領図を用いて工程図を作成する。これら作業仕様、作業対象及び工程に関する情報は、仕様情報に基づいて設定ステップを経て作成されたものであるので、実質的には、設定データを用いて工程図を作成しているといえる。これにより、準備ステップにおける仕様情報を工程図に正確に反映することができる。また、検証ステップで作成された要領図を用いて工程図を作成するため、検証ステップにおける検証結果を反映した要領図を工程図に添付することができると共に、要領図を作業仕様、作業対象及び工程に関する情報と容易に関連付けることができる。
【0015】
また、前記検証ステップでは、前記仕様情報に含まれない作業対象を追加し、該作業対象に工程に関する情報を設定するようにしてもよい。
【0016】
こうすることで、仕様情報に基づいては設定されない作業対象も含めて作業性を検証することができる。これにより、より現場に近い状況で作業性の検証を行うことができ、作業性の確度を向上させることができる。
【0017】
さらに、前記設定ステップでは、前記作業対象に設定可能な前記工程に関する情報を保存した工程図マスタから、前記作業対象ごとに設定する前記工程に関する情報を選択しており、前記検証ステップでは、検証結果に基づいて、前記工程図マスタを修正するようにしてもよい。
【0018】
前記の構成の場合、作業対象への工程に関する情報の設定は、工程図マスタを基準に行われる。工程図マスタは、作業対象に設定可能な工程に関する情報を保存したものであるが、検証ステップの結果、又は、現実に作業を進めていく上で、作業対象に設定可能な工程に関する情報が変更になる場合がある。例えば、もともと、或る作業ステーションには、その当時の作業性のもと、所定の要素作業が割り当てられていた場合に、検証ステップの検証結果によると、該要素作業を別の作業ステーションで行うことが好ましいと判断される場合もある。そのような場合には、単に検証ステップにおいて工程設定データを変更するのではなくて、工程図マスタを変更する。こうすることで、工程に関する情報の設定の基準となる工程図マスタを随時更新していくことができ、それ以降、更新された工程図マスタを用いて設定ステップ等を実施することができる。
【0019】
前記作業は、自動車車体の塗装に関する作業であってもよい。
【0020】
また、別の本発明は、被作業ワークに対して複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成支援システムが対象である。そして、ユーザからの入力及びユーザへの出力が可能なクライアントと、前記作業対象に設定可能な工程に関する情報を列挙した工程図マスタを保存する記憶手段と、前記クライアントから入力された情報に基づいて所定の処理を行うサーバとを備え、前記サーバは、前記クライアントから前記作業仕様ごとに含まれる複数の前記作業対象を特定した仕様情報の入力があると、該作業対象及び作業仕様を用いて設定データを生成すると共に、該設定データにおける該作業対象に設定可能な工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記クライアントに出力し、前記クライアントから該設定可能な工程に関する情報の何れかを選択する入力があると、選択された該工程に関する情報を前記作業対象に設定し、少なくとも前記作業対象、作業仕様及び工程に関する情報を含む設定データを作成して前記記憶手段に保存し、前記クライアントから前記工程図を作成する旨の入力があると、前記設定データを前記記憶手段から読み出して工程図を作成するものとする。
【0021】
前記の構成の場合、作業仕様ごとに作業対象がまとめられた仕様情報が入力されるため、複数の作業対象が存在する場合であっても、各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかを容易に認識することができる。この仕様情報は、設計情報の一部である。また、複数の作業対象が作業仕様ごとにまとめられているため、作業対象及び作業仕様に変更があったときには、変更の前後で仕様情報を比較することで、変更点を容易に認識することができる。さらに、複数の作業対象が作業仕様ごとにまとめられているため、各作業対象が複数の作業仕様間で共通のものなのか、作業仕様ごとに個別のものなのかを容易に認識することができる。作業対象が共通か個別かがわかれば、その後に続く、工程設定や作業性検証を簡略化することができる。
【0022】
そして、この仕様情報に基づいて作業対象ごとに工程に関する情報が設定されるため、仕様情報に含まれる全ての作業対象に対して工程に関する情報を漏れなく設定することができる。また、設定データは仕様情報に基づいて作成されるため、設定データにおいても、各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかが明確である。
【0023】
そして、前記設定データを用いて工程図を作成する。設定データを用いているので、仕様情報を工程図に正確に反映することができる。
【0024】
また、前記サーバは、前記クライアントから前記仕様情報の入力を受けて前記設定データを生成する際に、前記記憶手段に過去の前記設定データが保存されている場合には、新旧の前記設定データにおける前記作業対象及び作業仕様の変更点を抽出することが好ましい。
【0025】
前記の構成によれば、仕様情報に変更があったときに、作業対象及び作業仕様の変更点が抽出されるため、仕様情報の変更に応じて工程を漏れなく変更することができる。
【0026】
さらに、前記記憶手段は、3Dデータで構成された仮想作業ステーションを保存しており、前記サーバは、前記設定データを作成して前記記憶手段に保存した後に前記クライアントから前記設定データの作業性の検証を行う旨の入力があると、該設定データに応じた前記仮想作業ステーションを前記記憶手段から読み出して前記クライアントに出力し、該設定データの作業性の検証を実行可能とすると共に、検証に基づいて前記クライアントにより作成された要領図を該設定データと関連付けて前記記憶手段に保存し、前記クライアントから前記工程図を作成する旨の入力があると、前記検証に用いた前記作業仕様、作業対象及び工程に関する情報並びに要領図を前記記憶手段から読み出して工程図を作成するようにしてもよい。
【0027】
前記の構成の場合、前記設定データに基づいて、作業性の検証を行うため、工程設定された全ての作業対象について漏れなく検証を行うことができる。設定データは、仕様情報に基づいて作成されているため、作業仕様に含まれる全ての作業対象について検証が行われることになる。ここで、実際の作業では、通常は、被作業ワークに対して異なる作業仕様の作業が同時に行われることはないので、複数の作業対象の作業性の検証を一度に行う場合には、それらが同じ作業仕様に含まれるものであることが好ましい。前記の構成では、設定データの各作業対象がどの作業仕様に含まれるのかが明確であるため、同じ作業仕様に含まれる複数の作業対象の作業性の検証を容易に行うことができる。また、作業性の検証時に、どのように作業すれば適切に作業できるかということを検証するため、この検証により判別した作業要領から容易に要領図を作成することができる。そこで、この検証時に要領図を作成し、記憶手段に保存しておく。これにより、後の工程図の作成に便利である。
【0028】
そして、検証に用いた作業仕様、作業対象、工程に関する情報及び要領図を記憶手段から読み出して工程図を作成する。これら作業仕様、作業対象及び工程に関する情報は、仕様情報に基づいて作成されたものであるので、仕様情報を工程図に正確に反映することができる。また、検証時に作成された要領図を用いて工程図を作成するため、検証結果を反映した要領図を工程図に添付することができると共に、要領図を作業仕様、作業対象及び工程に関する情報と容易に関連付けることができる。
【0029】
さらに、前記サーバは、前記設定データの作業性の検証を実行可能とする際に、前記仕様情報には含まれない作業対象である非設計作業対象を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記設定データに追加し、該非設計作業対象に設定可能な工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記クライアントに出力し、前記クライアントから該設定可能な工程に関する情報の何れかを選択する入力があると、選択された該工程に関する情報を該非設計作業対象に設定して、該非設計作業対象の作業性の検証も実行可能とすることが好ましい。
【0030】
こうすることで、仕様情報に基づいては設定されない作業対象も含めて作業性を検証することができる。これにより、より現場に近い状況で作業性の検証を行うことができ、作業性の確度を向上させることができる。
【0031】
さらにまた、前記サーバは、前記作業性の検証に用いられた前記作業対象及び工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタと比較し、変更点がある場合には、該変更点を前記クライアントに出力するものであってもよい。
【0032】
前記工程図マスタは、作業対象に設定可能な工程に関する情報を保存したものであるが、検証の結果、又は、現実に作業を進めていく上で、作業対象に設定可能な工程に関する情報が変更になる場合がある。例えば、もともと、或る作業ステーションには、その当時の作業性のもと、所定の要素作業が割り当てられていた場合に、検証結果によると、該要素作業を別の作業ステーションで行うことが好ましいと判断される場合もある。そのような場合には、単に検証時に工程設定データを変更するのではなくて、工程図マスタを変更することが好ましい。そこで、変更点をクライアントに出力することによって、ユーザに工程図マスタの変更を促すことができる。こうすることで、工程に関する情報の設定の基準となる工程図マスタを随時更新していくことができ、それ以降、更新された工程図マスタを用いて工程の設定等を実施することができる。
【0033】
また、前記作業は、自動車車体の塗装に関する作業であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、作業仕様ごとに作業対象がまとめられた仕様情報を基準として、工程設定データの作成、該工程設定データの作業性の検証、及び検証結果に基づく工程図の作成が行われるため、設計情報から、工程を設定して工程図を作成するまでを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】工程図作成支援システムのブロック図である。
【図2】工程図作成方法のフローチャートである。
【図3】ボディシェルの3Dデータを示す図である。
【図4】作業仕様図を示す図である。
【図5】作業仕様図の階層構造を示す図である。
【図6】作業仕様図をテキスト出力したテキストデータを示す図である。
【図7】仕様マトリックスを示す図である。
【図8】変更点を表示した設計データを示す図である。
【図9】データ生成ステップのフローチャートである。
【図10】工程設定データを示す図である。
【図11】工程設定ステップのフローチャートである。
【図12】机上検証ステップのフローチャートである。
【図13】机上検証で用いられるプロセスツリーである。
【図14】仮想作業ステーションを示す図である。
【図15】要領図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図1に、例示的な実施形態に係る工程図作成支援システムのブロック図を示す。工程図作成支援システム100(以下、システム100ともいう)は、設計情報から、工程を設定して、その作業性を検証し、工程図を作成することを支援するシステムである。
【0038】
システム100は、図1に示すように、工程図サーバ1と、机上検証サーバ5と、図面サーバ8と、工程図サーバ1に接続された工程図データベース2と、机上検証サーバ5にに接続された机上検証データベース6と、図面サーバ8に接続された図面データベース9と、工程図サーバ1及び図面サーバ8に接続された複数の工程図クライアント3,3,…と、工程図サーバ1に接続された複数の配布先の工程図クライアント4,4,…と、工程図サーバ1、机上検証サーバ5及び図面サーバ8に接続された複数の机上検証クライアント7,7,…とを備えている。工程図サーバ1、机上検証サーバ5及び図面サーバ8が、サーバを構成する。工程図データベース2、机上検証データベース6、図面データベース9及び工程図サーバ1が、記憶手段を構成する。工程図クライアント3,4、机上検証クライアント7が、クライアントを構成する。
【0039】
工程図は、作業要領を示す要領図と、文字情報(表を含む)とで構成され、各作業の作業の作業内容及び要領を説明するためのものである。詳しくは、文字情報には、その作業を行う「工場」、「プロジェクト」(例えば、車種名)、工場における「ライン」、「工程」、ラインにおける「作業ステーション」、「作業」、被作業ワークにおける「作業部位」、車種仕様を識別するためのインデックスである「追番」、「ページ」、全車に対して適用があるのか、特定の車種に対して適用があるのかを示す「適用」、「要素作業」、作業に要する「標準時間」、品質を保証するために管理すべき「管理項目」(テーピングの例であれば、穴が完全に塞がっていること等)、管理項目を実現するために点検すべき「点検項目」(テーピングの例では特になし。シーリングの例では、シーラガンの吐出量等)、「使用機器」(シーリングの例では、シーラガンの種類)、「仕様材料」(テーピングの例では、テープの種類)、その他、作業に必要な文字情報が含まれる。工程は、最も上位的な概念で表された作業名であって、例えば、「テーピング」等である。作業は、中位的な概念で表された作業名であって、例えば、「テーピング(フロア下)」等である。要素作業は、下位的な概念で表された具体的な作業名であって、例えば、「テープ切り貼り付け」等である。文字情報は、表の形式又は文章の形式で表示される。要領図には、2D図と3D−PDFと動画とが含まれる。本明細書では、要領図には、動画も含む。プロジェクト、工場、ライン、工程、作業、作業部位及び追番(作業ステーションを含む場合もある。)が工程図キーとして設定されている。この工程図キーが同じ要素作業は、1枚の工程図でまとめて指示される。
【0040】
工程図クライアント3は、工程設定者が操作するクライアントであって、例えば、パーソナルコンピュータで構成されている。工程図クライアント3は、工程設定者からの入力操作を工程図サーバ1に送信すると共に、工程図サーバ1からの出力データを表示する。工程図データベース2には、工程を設定し、工程図を作成するために必要なデータが格納されている。また、工程図データベース2には、各工場で実施される全ての作業及び要素作業のリストである工程図マスタが格納されている。工程図サーバ1は、工程図クライアント3,3,…からの入力を受け付け、該入力に応じて工程図データベース2のデータの読み込み、加工及び保存を行い、これにより、工程設定者が工程を設定し、工程図を作成することを支援する。
【0041】
机上検証クライアント7は、机上検証者(工程設定者と同じ場合もあり得る。)が操作するクライアントであって、例えば、パーソナルコンピュータで構成されている。机上検証クライアント7は、机上検証者からの入力操作を机上検証サーバ5に送信すると共に、机上検証サーバ5からの出力データを表示する。机上検証データベース6には、机上検証を行うためのデータが格納されている。また、机上検証データベース6には、各工場、各ライン、各作業ステーションごとの3Dの設備データ(使用できる作業設備等)及び作業者データ(作業者の人間モデル等)並びに図面データベース9から読み込んで机上検証ツールで扱える形式に変換したボディデータ及び作業対象データが格納されている。机上検証サーバ5は、机上検証クライアント7,7,…からの入力を受け付け、該入力に応じて机上検証データベース6のデータの読み込み、加工及び保存を行い、これにより、机上検証者が工程の机上検証を行うことを支援する。
【0042】
図面データベース9には、被作業ワークの3Dデータや後述する仕様マトリックスが格納されている。
【0043】
このシステム100によって支援される工程図作成方法は、図2に示すように、設計情報を出図する出図ステップS1と、設計情報に基づいて工程を設定する工程設定ステップS2と、設定された工程の作業性を検証する机上検証ステップS3と、検証結果に基づいて工程図を作成する工程図作成ステップS4とを含む。この工程図作成方法について、自動車の塗装工程における車体のテーピング作業を例に説明する。テーピング作業は、車体に形成された基準穴や電着塗装用の穴等の、最終的な製品にとって不要な穴をテープで塞ぐ作業である。
【0044】
<出図ステップ>
まず、設計者が3D−CADにより、被作業ワークの3Dデータを作成すると共に、その被作業ワークに作業対象が配置された作業仕様図を作成する。テーピングの例で説明すると、設計者は、図3に示すような、被作業ワークとしてのボディシェルの3Dデータ10を作成(設計)する。次に、設計者は、3Dのボディシェルの上にテーピング仕様ごとにその仕様に含まれるテープを配置していく。こうして、テーピングが配置された作業仕様図11が作成される。図中の●印は、ボディシェルの表面に配置されるテープを表し、図中の▲印は、ボディシェルの裏面に配置されるテープを表す。作業仕様図11には、複数のテーピング仕様(例えば、「テーピング仕様A」、「テーピング仕様B」、「テーピング仕様C」、…)が含まれている。このテーピング仕様は、車種仕様ごとのテーピングデータを一まとめにしたものである。車種仕様とは、或る車種における仕様であって、例えば、国内仕様、対米仕様、対EC仕様、四駆仕様、二駆仕様等がある。つまり、車種仕様ごとに何れかのテーピング仕様が対応する。各テーピング仕様には、複数のテーピングデータが含まれている。テーピングデータは、ボディのどの位置にテープを貼るのかを示すデータであって、テーピングを識別するためのラベル(例えば、「テープA」、「テープB」、…)と、3D−CADデータの座標系における配置情報(例えば、XYZ座標)とを含んでいる。以下の例では、配置情報として座標のみを有する場合について説明するが、座標の他に角度等を含んでいてもよい。つまり、作業仕様図は、図5に示すような階層構造を有している。詳しくは、作業仕様図のタイトル「図面A」の下に、「テーピング仕様A」、「テーピング仕様B」、「テーピング仕様C」、…が繋がっている。そして、各「テーピング仕様」の下には、それに含まれる「テープA」、「テープB」、「テープC」、…が繋がっている。各「テープ」の下には、そのラベルと座標情報が含まれている。
【0045】
次に、作業仕様図の階層構造とテーピングの配置情報とを、図6に示すように、テキスト形式で外部出力する。
【0046】
その後、テキスト形式のデータを、図7に示すような表形式のデータに変換する。この変換は、例えば、Excelのマクロ機能により実行される。この表形式のデータは、作業対象である複数のテープの存否をテーピング仕様ごとに表にまとめたものであり、「仕様マトリックス」という。仕様マトリックスにおいて、右上には、テーピング仕様のタイトルが列方向に記載されている。最も下側の行には、テープのラベルが記載されている。そして、各テーピング仕様に対応する行には、当該テーピング仕様に含まれるテープの存否が表示されている。具体的には、含まれるテープに対応するセルに○印が記載されている。例えば、テーピング仕様Aは、テープA,B,Cを含むが、テープDを含まない。テーピング仕様Bは、テープB,Dを含むが、テープA,Cを含まない。
【0047】
仕様マトリックスにおいて、テーピング仕様に含まれるテープの有無の行の下の行には、対応するテープが車体の左右の何れかに有るのかが表示されている。表中の「LH」の行に○印がある場合には、そのテープは車体の左側に設けられており、表中の「RH」の行に○印がある場合には、そのテープは車体の右側に設けられている。また、左右識別用の行の下には、穴径を記載する行が設けられている。つまり、対応するテープで塞ぐべき穴の径が記載されている。さらに、穴径の行の下には、通し番号を表示する行が設けられている。通し番号は、テープごとに設定されている。さらにまた、通し番号の下には、該当するテープの座標が記載される行が設けられている。尚、仕様マトリックスの右下の領域には、図面番号が記載される。このように、仕様マトリックスは、作業仕様図からマクロ機能等(プログラムでも可能)を用いて自動的に生成される。ただし、「穴径」は自動的には入力されず、後から手入力する。この仕様マトリックスが仕様情報を構成する。テーピングの例では、テーピング仕様が作業仕様に相当し、各テープが作業対象に相当する。ただし、車体の左右に存在するテープは、それぞれのテープが1つの作業対象を構成する。
【0048】
このように構成された仕様マトリックスと、図面の表紙と、3D−CADデータの作業仕様図とで出図される。図面の表紙には、図面番号や改暦(版数)が記載されている。ここで、図面が新たに出図されるごとに、改暦が増えていく。これら仕様マトリックスと、図面の表紙と、3D−CADデータの作業仕様図は、図面データベース9に保存される。この出図ステップが準備ステップに相当する。
【0049】
<工程設定ステップ>
次に、工程設定ステップについて説明する。工程設定ステップは、仕様マトリックスを取り込んで、仕様マトリックスに含まれる作業対象に工程を設定して、工程設定データを作成するステップである。工程設定ステップは、仕様マトリックスから設計データを生成する設計データ生成ステップと、設計データから工程設定データを生成し、工程設定データの各作業対象に工程を設定する工程設定データ作成ステップとを有する。この工程設定ステップが設定ステップに相当し、工程設定データが設定データに相当する。
【0050】
=設計データ生成ステップ=
まず、仕様マトリックスから、工程設定に用いるためにデータ化する範囲を選択する。具体的には、工程設定者は、工程図クライアント3を操作して、図面サーバ8を介して図面データベース9から所望の仕様マトリックスを工程図クライアント3に読み込む。工程設定者は、工程図クライアント3上で、Excelのマクロ機能等を用いて、仕様マトリックス中のデータのうちデータ化するものの範囲を設定する。このとき、各テープが、仕様マトリックス中の「通し番号」と「L/R」とを組み合わせた識別番号で表され、1つの作業対象として設定される。すなわち、「L01」、「L02」、…、「R01」、「R02」、…という作業対象が設定される。そして、作業対象ごとに、テーピング仕様における存否、穴径、座標等を1レコードとして、データベースに取り込むことができる設計データ(CSVファイル)を作成する。設計データは、工程図サーバ1に保存される。こうして、仕様マトリックスから、工程図サーバ1における工程設定に利用可能な設計データが作成される。
【0051】
次に、作成された設計データを取り込み、設計データが変更されていないかを確認して、工程図データベース2に登録する。具体的には、工程図クライアント3を介して工程設定者から設計データ取り込みの入力があると、工程図サーバ1は、指定された設計データを工程図サーバ1から読み込んで、工程図クライアント3に新データとして表示すると共に、工程図データベース2から、版数が最新の設計データを読み出して、旧データとして表示する。そして、工程図クライアント3から変更点確認の入力があると、工程図サーバ1は、両設計データを比較し、新旧の設計データの変更点を確認して、その変更状態を工程図クライアント3に表示させる。その一例を、図8に示す。変更状態としては、属性値やテーピング仕様に変更がある「変更」と、識別番号、即ち、作業対象が追加される「追加」と、識別番号、即ち、作業対象が廃止される「廃止」とがある。図8の例は、版数が1つ前の設計データでは穴径がすべて空欄であったのに対し、最新の設計データでは、「R01」と「L01」の穴径が入力されていた場合を示している。そして、工程図クライアント3から登録の入力があると、工程図サーバ1は、変更状態の情報を設計データを、それまでの最新版数に1を足した版数(即ち、新たな最新版数)の設計データとして、工程図データベース2に保存する。こうして、変更状態の情報を含んだ設計データが工程図データベース2に(上書き)保存される。
【0052】
=工程設定データ作成ステップ=
次に、設計データに対応する工程設定データを作成する。工程設定データ作成ステップは、工程設定データを生成するデータ生成ステップと、工程設定データに工程を設定する工程設定ステップとを有する。
【0053】
工程設定データは、プロジェクト、工程、図面番号、工場ごとに作成される。工程設定データでは、作業対象(識別番号)ごとに、「穴径」、「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」、「追番」、「ページ」、「適用」、「テーピング仕様」などの作業情報が含まれ得る。
【0054】
−工程設定データのデータ生成ステップ−
図9にデータ生成ステップのフローチャートを示す。データ生成ステップでは、新たな設計データが作成されたときに、それに対応する工程設定データを生成する。まず、ステップSa1において、工程図クライアント3は、工程設定者に所定の入力画面を示して、プロジェクト、工程、図面番号及び工場の入力を促す。工程設定者から、プロジェクト、工程、図面番号及び工場の入力があると、工程図クライアント3は、それらの情報を工程図サーバ1に送信する。工程図サーバ1は、プロジェクト、工程、図面番号及び工場の情報が入力されると、工程図データベース2の中から、それらの入力情報に対応する設計データを検索し、取得する。
【0055】
続いて、ステップSa2において、工程図サーバ1は、工程図データベース2の中から、入力されたプロジェクト、タイプ、図面番号及び工場に対応する工程設定データを検索し、該工程設定データが存在するか否かを確認する。対応する工程設定データが存在する(YES)ときにはステップSa3に進む一方、対応する工程設定データが存在しない(NO)ときにはステップSa5に進む。
【0056】
ステップSa5では、工程図サーバ1から工程図クライアント3へ、設計データの版数に対応する版数の工程設定データが存在しない旨が送信される。工程図クライアント3は、工程設定データを作成するか否かの確認を工程設定者に促す画面を表示する。工程設定者から工程図クライアント3を介して工程設定データを作成する旨の入力があった(YES)ときには、ステップSa6へ進む一方、工程設定データを作成しない旨の入力があった(NO)ときには、ステップSa8へ進む。ステップSa8では、フローを終了する。
【0057】
ステップSa6では、工程図サーバ1は、設計データの版数に対応する版数の工程設定データを生成する。通常、工程設定データが存在しない場合は、設計データだけが作成されて工程設定データが作成されてないときであるので、設計データの版数は0である。そのため、版数が0の工程設定データが生成される。版数が0の工程設定データは、工程の内容が未だ設定されていないため、設計データから取得される「識別番号」、「穴径」及び「テーピング仕様」の情報のみからなる。
【0058】
ステップSa7では、工程図サーバ1は、工程設定データの変更状態を該工程設定データにセットする。版数が0の工程設定データは、比較すべき既存の工程設定データが無いため、全て新規のデータとなる。ステップSa7の詳しい内容については、後述する。
【0059】
その後、ステップSa4へ進む。ステップSa4では、工程図サーバ1は、工程図クライアント3に、図10において「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」、「追番」、「ページ」、「適用」を空欄にしたような工程設定データを表示させる。版数が0の工程設定データは、「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」、「追番」、「ページ」、「適用」が設定されていないため、これらの列が空欄である。
【0060】
一方、工程設定データが存在する場合には、ステップSa3において、工程図サーバ1は、取得した設計データの版数と、工程設定データの版数とを比較し、設計データの版数の方が工程設定データの版数よりも大きいか否かを判定する。そして、設計データの版数の方が大きい(YES)ときには、設計データよりも工程設定データが古いということで、ステップSa5へ進む。一方、設計データの版数が工程設定データの版数以下(通常は、設計データの版数を工程設定データの版数が同じ)(NO)のときには、設計データと同じ版数の工程設定データが既に存在するということで、ステップSa4へ進む。ステップSa4では、工程図サーバ1は、工程図クライアント3に既存の工程設定データを表示させる。
【0061】
ステップSa5では、上述の通り、工程設定者に、工程設定データを作成するか否かを確認する。
【0062】
ステップSa6では、工程図サーバ1は、最新の工程設定データをコピーして、新しい設計データにおける変更点をが反映した、最新の版数に1を足した版数の工程設定データを生成する。例えば、設計データにおいて作業対象が追加されていた場合には、工程設定データにおいても当該作業対象が追加される。また、設計データにおいてテーピング仕様が追加されていた場合には、工程設定データにおいても当該テーピング仕様が追加される。さらに、設計データにおいて内容変更(例えば、穴径の変更・記入)があった場合には、工程設定データにおいても当該内容が変更される。さらにまた、設計データにおいて作業対象や車種仕様が廃止されていた場合には、工程設定データにおいても当該作業対象又は車種仕様が廃止される。
【0063】
次に、ステップSa7において、工程図サーバ1は、工程設定データに、上記追加、内容変更及び廃止という変更状態を登録する。
【0064】
続いて、ステップSa4において、工程図サーバ1は、工程図クライアント3に、図10に示すような新たな工程設定データを表示させる。通常、既存の工程設定データは、後述の工程設定により、「作業部位」等の作業情報が既に入力されている。新たな工程設定データでは、変更がないレコードは直前の工程設定データの内容がそのままコピーされる。そのため、版数が1以上の工程設定データは、変更がないレコードについては、この時点で「作業部位」等の作業情報が存在する。また、工程図クライアント3は、工程設定データに登録された変更状態に基づいて、工程設定データにおける変更箇所を変更状態がわかるように色分けして表示する。例えば、追加は赤色、内容変更はオレンジ色、廃止は灰色により色分けする。尚、図10では、ハッチングにより区別している。これにより、工程設定データの変更点の視認性が向上する。
【0065】
−工程設定ステップ−
続いて、新たな工程設定データの作業対象ごとに具体的に工程を設定する。ここで、版数が0の工程設定データについては、工程が未だ設定されていないので、全ての作業対象について工程を設定する。一方、版数が1以上の工程設定データについては、変更点がある作業対象について工程を設定する。ここでは、図10に示す、版数が1以上の工程設定データの工程設定について説明する。図11に、工程設定ステップのフローチャートを示す。
【0066】
まず、ステップSb1において、工程図サーバ1は、工程図クライアント3に、図10に示す、工程図項目設定用の画面を表示させる。この画面には、図10と同じ表示形式の工程設定データと、工程図項目を入力するための入力ボックスとが表示される。入力項目としては、「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」、「追番」、「ページ」、「適用」がある。「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」は、それぞれ標準化され、工程図データベース2の工程図マスタに登録されている。つまり、工程図サーバ1は、これらの項目について、設定可能なリストを工程図マスタから読み込み、コンボボックス等の表示形式で工程図クライアント3に表示させる。工程設定者は、工程図クライアント3を介して工程設定データの中から工程を設定する作業対象を選択する。例えば、新たに追加された作業対象を選択する。
【0067】
次に、ステップSb2において、工程設定者は、「作業」、「要素作業」、「作業ステーション」、「適用」の設定内容をコンボボックスから選択し、「追番」、「ページ」を入力する。続いて、ステップSb3において、「適用」が「ブロード」か否かを判定する。「適用」が「ブロード」のとき(YES)のときには、ステップSb4へ進んで、ブロード情報を設定する。一方、「適用」が「ブロード」ではない、即ち、「全車」のときには、ステップSb5へ進む。ブロード情報は、車両と共にラインを流れる情報板(ブロードキャストと称する)を介して工場の作業者に対して周知させる情報である。
【0068】
そして、ステップSb5において、工程設定者が工程図クライアント3を介して「登録」ボタンを押すことにより、工程図サーバ1は、ステップSb6において整合性のチェックを行う。整合性のチェックは、「作業部位」、「作業」、「要素作業」、「追番」が同じにもかかわらず、「ページ」が異なるとか、「適用」が「全車」であるのに、ブロード情報がされているとかの不整合をチェックする。整合性がとれていない(NO)ときは、工程図サーバ1は、ステップSb6において工程図データベース2に格納されているエラーリストを読み出し、工程図クライアント3に表示させる。エラーリストが表示されると、工程設定者は、ステップSb1に戻って、作業対象の選択からやり直す。一方、整合性がとれていた(YES)ときには、工程図サーバ1は、新たな工程設定データを工程図データベース2に保存する。このとき、新たな工程設定データには、通常、最新版の設計データと同じ版数が付される。こうして、工程設定データが作成される。
【0069】
続いて、工程図クライアント3は、工程設定者の操作により、工程設定データを机上検証ツールに読み込み可能なデータに出力するための出力画面を表示する。工程図クライアント3は、工程設定者にプロジェクト及び工場情報の入力を促す。工程設定者がこれらの情報を入力すると、工程図クライアント3は、それらの情報を工程図サーバ1へ送信する。工程図サーバ1は、プロジェクト及び工場情報をキーとして、工程図データベース2から最新版の工程設定データを検索し、検索した工程設定データを工程図クライアント3に表示させる。工程設定者が画面上の出力ボタンを押すことによって、工程設定データが、机上検証ツールに読み込み可能な投入データに書き換えられる。この投入データは、工程図サーバ1に保存される。
【0070】
<机上検証ステップ>
続いて、机上検証ステップについて説明する。図12に机上検証ステップのフローチャートを示す。机上検証ステップは、机上検証ツールを用いて行われる。机上検証ツールは、例えば、市販のeM−Planner(シーメンスPLM製)である。この机上検証ステップが検証ステップに相当する。
【0071】
机上検証ツールは、工場の作業ステーションの構成情報と、そこで行われる作業情報を階層構造を有するプロセスツリーとして管理している。工場の作業ステーションの構成情報は、工場、ライン、工程、作業ステーションの構成で定義される。作業情報は、作業、作業部位、追番、要素作業、作業対象の構成で定義される。工程設定データ(投入データ)とプロセスツリーとは、同一のプロジェクト、工場、作業ステーション、作業、作業部位、追番、要素作業、作業対象をキー項目としている。
【0072】
机上検証者が机上検証クライアント7を介して机上検証ツールを起動する(ステップSc1)と、机上検証サーバ5は、机上検証データベース6から既存の最新版のプロセスツリーを検索し、読み込む。ここで、机上検証データベース6にプロセスツリーが存在しない場合には、工程図データベース2の工程図マスタのデータを用いてプロセスツリーを生成する。机上検証サーバ5は、机上検証クライアント7に、このプロセスツリーを表示させる(ステップSc2)。
【0073】
次に、ステップSc3において、机上検証者は、机上検証クライアント7を介して、投入データ(工程設定データ)を入力する。机上検証者からの投入データの入力があると、机上検証サーバ5は、机上検証データベース6から該当する投入データを読み込む。机上検証サーバ5は、上記キー項目ごとに、工程設定データとプロセスツリーとを比較し(ステップSc4)、変更状態を確認する。そして、机上検証サーバ5は、変更状態をセットして(ステップSc5)、図13に示すようにプロセスツリーを更新して表示する(ステップSc6)。セットされる状態としては、例えば、「OK」、「更」、「新」、「要確認」がある。「OK」は、該当する項目がプロセスツリーにも工程設定データにも存在し、内容にも変更がない状態を表す。「更」は、該当する項目がプロセスツリーにも工程設定データにも存在するが、内容が変更されている状態を表す。「新」は、該当する項目が工程設定データのみに存在し、プロセスツリーには存在しない状態、例えば、新設された状態を表す。「要確認」は、該当する項目がプロセスツリーにのみ存在し、工程設定データには存在しない状態、例えば、廃止された状態を表す。
【0074】
次に、机上検証者は、設計情報で指示されない作業の工程を設定する。すなわち、工程設定データは、出図された設計情報に基づくものであるため、設計情報で指示される作業しか設定されていない。しかしながら、自動車の製造工程においては、設計情報で指示される作業(以下、「設計作業」という)だけでなく、例えば、清掃や、ドアを開ける等の設計図面で指示されない作業(以下、「非設計作業」という)がある。プロセスツリーでは、設計作業だけでなく、非設計作業も管理している。設計作業については、出図ステップ及び工程設定ステップで設定されたものがプロセスツリーに反映されているので、机上検証ツールでは編集できない。つまり、設計作業については、出図ステップ及び工程設定ステップを経なければ、編集できないようになっている。こうすることで、設計作業が様々なステップで編集されることにより各ステップにおける設計作業が統一されないことを防止することができる。一方、非設計作業は、机上検証ツールを用いて設定される。この非設計作業が非設計作業対象に相当する。
【0075】
まず、机上検証者は、作業が設計作業か非設計作業かを確認する(ステップSc7)。図11に示すプロセスツリーにおいて、項目を選択すると、それが設計作業である(YES)場合には、机上検証サーバ5は、選択された項目の属性値を編集不能な状態で机上検証クライアント7に表示させる。一方、それが非設計作業である(NO)場合には、ステップSc8へ進み、机上検証サーバ5は、選択された項目の属性値を入力可能なボックスを机上検証クライアント7に表示させ、机上検証者に属性値の入力を促す。入力可能な属性値は、例えば、「ページ」、「追番」、「適用」である。机上検証者がこの入力ボックスに必要な情報を入力することによって、非設計作業の作業情報が設定及び登録される。また、ステップSc9において、必要に応じて、非設計作業を追加・削除等の編集を行う。
【0076】
こうして、非設計作業がプロセスツリーに設定されると、プロセスツリーでの工程設定を確定する。このプロセスツリーは、机上検証データベース6に保存される。
【0077】
続いて、ステップSc10において、机上検証を実施する。机上検証は、3Dデータを用いて行う。詳しくは、机上検証サーバ5は、机上検証者に選択された作業ステーションに対応する設備データ、人間データ、ボディデータ、作業対象データ(テーピングの例では、図3に相当するテーピング仕様のデータ)を机上検証データベース6から読み込む。机上検証サーバ5は、読み込んだデータを合成して、3Dの仮想作業ステーションを構成する。図14に、仮想作業ステーションの一例を示す。仮想作業ステーション200には、2人の作業者モデル210,210と、車体モデル220と、設備である搬送装置モデル230と、作業対象であるテープモデル240が含まれている。机上検証者は、机上検証クライアント7を介して、仮想作業ステーション内の作業者モデル210,210を動かしたり、仮想作業ステーションを回転させたり、拡大/縮小させたりすることができる。机上検証者は、作業者モデル210に仮想作業ステーション内でテープモデル240の要素作業を実行させ、作業性を検証する。
【0078】
検証の結果、作業性向上及び/又は品質保証の上で特定の作業要領にて要素作業を実施させるべきであると判断されたものについては、ステップSc11において、該作業要領を示す3D−PDFファイルや動画ファイルを作成する。詳しくは、机上検証者は、図面サーバ8を介して図面データベース9から車体の3Dデータを読み出す。そして、3D−PDFファイルにキャプチャーし、必要であれば、3D−PDFに情報を追加する。または、検証に用いた仮想作業ステーションを用いて3D−PDFや動画を作成する。要領図の一例を図15に示す。図15の要領図では、車体とテープとが図示されている。これら3D−PDFファイルや動画ファイルは、工程図サーバ1に保存される。そして、ステップSc12において、プロセスツリーの該当する追番にこれらのファイル名が登録され、机上検証データベース6に保存される。検証の結果、作業不能の場合には、設計担当者に内容をフィードバックする。
【0079】
次に、机上検証者は、机上検証クライアント7を介して、工程図で指示する工程設定内容をプロセスツリーから出力する。プロセスツリー中の任意の単位(例えば、作業ステーション)で、その工程設定内容を工程図作成用に出力する。このとき重複する工程図キーが存在しないかチェックする。重複がある場合には、エラーメッセージを表示して、修正を促す。重複がなければ、工程設定内容を出力する。出力されたデータ(以下、検証データという)は、工程図サーバ1に保存される。
【0080】
<工程図作成ステップ>
続いて、工程図作成ステップについて説明する。工程図作成ステップは、机上検証後のプロセスツリーと、そのときに作成された要領図とを用いて工程図を作成するステップである。工程図作成ステップは、プロセスツリーの工程設定内容を取り込む検証結果データ取込ステップと、取り込んだ工程設定内容に基づいて工程図を生成する工程図生成ステップと、生成した工程図の内容を編集する工程図編集ステップと、作成された工程図の整合性を確認する整合性確認ステップと、整合性を確認後の工程図の承認を行う承認ステップとを有する。この工程図作成ステップが作成ステップに相当する。
【0081】
=検証結果データ取込ステップ=
まず、プロセスツリーの工程設定内容と机上検証結果を取り込む。工程設定者の工程図クライアント3の操作により、工程図サーバ1は、工程図サーバ1の中から指定された検証データを読み込み、そのリストを工程図クライアント3に表示させる。工程設定者は、工程図クライアント3を操作して、リストの中から取り込む検証データを選択する。
【0082】
工程図サーバ1は、取り込んだ検証データと、工程図データベース2に保存された工程図マスタとを比較する。工程設定者は、検証データに工程図マスタに存在しないレコードが存在する場合には、例えば、作業ステーションと作業との新しい組み合わせが発生しているなど、工程図マスタを更新する必要があるのか、あるいは、プロセスツリーが間違っているのかを検証する。前者の場合は、システム管理者を介して工程図データベース2の工程図マスタを修正して更新する。後者の場合は、机上検証ツールでプロセスツリーを修正して、検証データを再出力する。
【0083】
それに加えて、工程図サーバ1は、取り込んだ検証データと、工程図データベース2に保存された工程設定データとを比較する。検証データと工程設定データとで作業に相違がある場合には、工程設定データが優先されるため、工程設定者は、机上検証ツールでプロセスツリーを修正して、検証データを再出力する。
【0084】
検証データと、工程図マスタ及び工程設定データとの整合性がとれた場合には、検証データを取り込む。
【0085】
=工程図生成ステップ=
次に、取り込んだ検証データに基づいて工程図を生成する。工程図データベース2には、予め、工程図マスタをコピーして作成された、工程図データが保存されている。取り込んだ検証データに含まれる工程図キーごとに、工程図データベース2の中から工程図キーに対応する工程図データの最新版のレコードを抜き出す。工程図マスタから作成されたままの状態の工程図データがある場合には、工程設定者の入力に応じて、工程図サーバ1は、検証データのページ、適用、要素作業、リンクファイル名(3D−PDFファイルや動画ファイルのファイル名)を工程図データにセットして、新たな工程図データを生成し、工程図データベース2に保存する。
【0086】
=工程図編集ステップ=
続いて、生成された工程図データについて、必要な項目を設定する。つまり、工程図データのうち、検証データからでは設定されない管理項目や点検項目等の項目を設定する。
【0087】
こうして、作成された工程図データを出力すると、各作業の要領を説明するための文字情報と、2D図、3D−PDFや動画等の図面とで構成された工程図が出力される。
【0088】
=整合性確認ステップ=
次に、工程設計者からの入力に応じて、工程図サーバ1は、工程図データ内での整合性(例えば、適用が全車であるのに、ブロード情報が設定されていないか等)をチェックすると共に、工程図データと工程設定データとを対比して、工程設定データで設定された内容が工程図に適切に反映されているかをチェックする。
【0089】
=承認ステップ=
こうして作成された工程図は、複数の担当者により承認される。詳しくは、権限を有するユーザが、工程図クライアント3を介してログインし、工程図データベース2中の工程図データを読み出し、権限に応じた処理を行う。処理情報が登録された工程図データは、工程図データベース2に保存される。権限の下流側の担当者から上流側の担当者へ、順次、処理され、最終的に工程図が承認される。工程図が承認されると、配布が可能となる。
【0090】
工程図が配布可能となると、ユーザは、それぞれの権限に応じて、工程図を閲覧することができるようになる。すなわち、ユーザは、配布先の工程図クライアント4を介して、工程図データベース2内を検索し、所望の工程図を閲覧することができる。
【0091】
したがって、本実施形態によれば、仕様マトリックスを基準にして、順次、工程が設定され、作業性が検証され、工程図が作成される。これら工程設定、作業性検証及び工程図作成が、仕様マトリックスで実質的に繋がっているため、仕様マトリックスの変更が工程図まで正確に伝達される。特に、各工程の作業者が異なる場合であっても、仕様マトリックスの情報を正確に伝えて工程図を作成することができる。
【0092】
詳しくは、テーピング仕様ごとにテープがまとめられた仕様マトリックスが準備されるため、複数のテープが存在する場合であっても、各テープがどのテーピング仕様に含まれるのかを容易に認識することができる。
【0093】
また、複数のテープがテーピング仕様ごとにまとめられているため、テープ及びテーピング仕様に変更があったときには、変更点を容易に認識することができる。
【0094】
さらに、複数のテープがテーピング仕様ごとにまとめられているため、各テープが複数のテーピング仕様間で共通のものなのか、テーピング仕様ごとに個別のものなのかを容易に認識することができる。テープが共通か個別かがわかれば、その後に続く、工程設定や机上検証を簡略化することができる。
【0095】
そして、この仕様マトリックスに基づいて作業対象ごとに工程が設定されるため、仕様マトリックスに含まれる全ての作業対象に対して工程を漏れなく設定することができる。また、設定データは、仕様マトリックスに基づいて作成された設計データに基づいて作成されるため、間接的に仕様マトリックスに基づいて作成される。そのため、設定データにおいても、各作業対象がどのテーピング仕様に含まれるのかが明確である。
【0096】
また、机上検証においては、前記設定データに基づいて、作業性の検証を行うため、工程設定ステップで設定された全ての作業対象について漏れなく検証を行うことができる。工程設定ステップは、仕様マトリックスに基づいて作成されているため、テーピング仕様に含まれる全ての作業対象について検証が行われることになる。また、設定データの各作業対象がどのテーピング仕様に含まれるのかが明確であるため、同じテーピング仕様に含まれる複数の作業対象の作業性の検証を容易に行うことができる。
【0097】
また、机上検証においては、作業性の検証時に、どのように作業すれば適切に作業できるかということを検証するため、この検証により判別した作業要領を要領図として作成しておくと効率的である。
【0098】
工程図作成ステップにおいては、検証データにおけるテーピング仕様、作業対象及び工程に関する情報、並びに要領図を用いて工程図を作成する。これらテーピング仕様、作業対象及び工程に関する情報は、仕様マトリックスに基づいて工程設定を経て作成されたものであり、間接的に仕様マトリックスに基づいて作成されている。そのため、仕様マトリックスの情報を工程図に正確に反映することができる。また、机上検証で作成された要領図を用いて工程図を作成するため、机上検証における検証結果を反映した要領図を工程図に添付することができる。また、作成された要領図を、机上検証を行った作業対象及びテーピング仕様等と関連付けて保存しているため、工程図を作成するときに必要な要領図を容易に読み込むことができる。
【0099】
さらに、仕様マトリックスに変更があったときに、工程設定において、作業対象及びテーピング仕様の変更点が変更状態として抽出されるため、仕様マトリックスの変更に応じて工程を漏れなく設定、変更することができる。
【0100】
また、机上検証時には、非設計作業の工程も設定して作業性を検証するため、より現場に近い状況で作業性の検証を行うことができ、作業性の確度を向上させることができる。
【0101】
さらに、机上検証の結果、工程図マスタに修正が必要なときには、工程図マスタを随時更新していくことができ、それ以降、更新された工程図マスタを用いて工程設定や机上検証等を実施することができる。
【0102】
前記実施形態では、テーピングの例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、樹脂製の部品で穴を塞ぐグロメット作業や、シーリングで隙間を塞ぐシーリング作業や、防錆用の塗装を行うアンダーコート等の工程図作成に適用してもよい。
【0103】
また、前記実施形態では、サーバ、データベース、及びクライアントのそれぞれは、機能に応じて複数に別れていたが、これに限られるものではない。1つのサーバ、1つのデータベース、1種類のクライアントで工程図作成支援システムを構成してもよい。
【0104】
さらに、前記実施形態では、工程設定データからプロセスツリーを生成し、プロセスツリーを用いて机上検証を行い、工程に修正が必要な場合は、プロセスツリーを修正し、その後、プロセスツリーから検証データを作成し、該検証データを用いて工程図を作成している。つまり、実質的には工程設定データではあるが、それが形を変えた検証データから工程図が作成されている。しかし、これに限られるものではない。例えば、工程図データベース2に保存されている工程設定データを用いて工程図が作成されるように構成してもよい。この場合、机上検証の結果は、工程図データベース2に保存されている工程設定データを修正することによって、工程設定データに直接反映される。すなわち、実質的に、工程設定データに基づいて工程図が作成される構成であれば、任意の構成を採用することができる。
【0105】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上説明したように、本発明は、被作業ワークに対して複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成方法及び工程図作成支援システムについて有用である。
【符号の説明】
【0107】
100 工程図作成支援システム
200 仮想作業ステーション
1 工程図サーバ(サーバ、記憶手段)
2 工程図データベース(記憶手段)
3 工程図クライアント(クライアント)
4 工程図クライアント(クライアント)
5 机上検証サーバ(サーバ)
6 机上検証データベース(記憶手段)
7 机上検証クライアント(クライアント)
8 図面サーバ(サーバ)
9 図面データベース(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被作業ワークに対して複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成方法であって、
前記作業仕様ごとに含まれる複数の前記作業対象を特定した仕様情報を準備する準備ステップと、
前記仕様情報を用いて、前記作業対象ごとに工程に関する情報を設定することによって、少なくとも前記作業対象、作業仕様及び工程に関する情報を含む設定データを作成する設定ステップと、
前記設定データを用いて工程図を作成する作成ステップとを含むことを特徴とする工程図作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の工程図作成方法において、
前記仕様情報に変更があるときには、前記準備ステップ、設定ステップ及び作成ステップが繰り返され、
前記設定ステップでは、前記仕様情報に変更点があるときには、新旧の前記設定データにおける前記作業対象及び作業仕様の変更点を抽出することを特徴とする工程図作成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の工程図作成方法において、
前記設定ステップの後に、3Dデータで構成された仮想作業ステーションを用いて、前記設定データに基づいて、各作業対象の作業性を検証すると共に、作業要領を示す要領図を検証結果に基づいて作成する検証ステップをさらに含み、
前記作成ステップでは、前記検証ステップにおける前記作業仕様、作業対象及び工程に関する情報並びに要領図を用いて工程図を作成することを特徴とする工程図作成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の工程図作成方法において、
前記検証ステップでは、前記仕様情報に含まれない作業対象を追加し、該作業対象に工程に関する情報を設定することを特徴とする工程図作成方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の工程図作成方法において、
前記設定ステップでは、前記作業対象に設定可能な前記工程に関する情報を保存した工程図マスタから、前記作業対象ごとに設定する前記工程に関する情報を選択しており、
前記検証ステップでは、検証結果に基づいて、前記工程図マスタを修正することを特徴とする工程図作成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の工程図作成方法において、
前記作業は、自動車車体の塗装に関する作業であることを特徴とする工程図作成方法。
【請求項7】
被作業ワークに対して複数の作業仕様を有し且つ該作業仕様ごとに複数の作業対象を含む作業の工程図を作成するための工程図作成支援システムであって、
ユーザからの入力及びユーザへの出力が可能なクライアントと、
前記作業対象に設定可能な工程に関する情報を列挙した工程図マスタを保存する記憶手段と、
前記クライアントから入力された情報に基づいて所定の処理を行うサーバとを備え、
前記サーバは、
前記クライアントから前記作業仕様ごとに含まれる複数の前記作業対象を特定した仕様情報の入力があると、該作業対象及び作業仕様を用いて設定データを生成すると共に、該設定データにおける該作業対象に設定可能な工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記クライアントに出力し、
前記クライアントから該設定可能な工程に関する情報の何れかを選択する入力があると、選択された該工程に関する情報を前記作業対象に設定し、少なくとも前記作業対象、作業仕様及び工程に関する情報を含む設定データを作成して前記記憶手段に保存し、
前記クライアントから前記工程図を作成する旨の入力があると、前記設定データを前記記憶手段から読み出して工程図を作成することを特徴とする工程図作成支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の工程図作成支援システムにおいて、
前記サーバは、前記クライアントから前記仕様情報の入力を受けて前記設定データを生成する際に、前記記憶手段に過去の前記設定データが保存されている場合には、新旧の前記設定データにおける前記作業対象及び作業仕様の変更点を抽出することを特徴とする工程図作成支援システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の工程図作成支援システムにおいて、
前記記憶手段は、3Dデータで構成された仮想作業ステーションを保存しており、
前記サーバは、
前記設定データを作成して前記記憶手段に保存した後に前記クライアントから前記設定データの作業性の検証を行う旨の入力があると、該設定データに応じた前記仮想作業ステーションを前記記憶手段から読み出して前記クライアントに出力し、該設定データの作業性の検証を実行可能とすると共に、検証に基づいて前記クライアントにより作成された要領図を該設定データと関連付けて前記記憶手段に保存し、
前記クライアントから前記工程図を作成する旨の入力があると、前記検証に用いた前記作業仕様、作業対象及び工程に関する情報並びに要領図を前記記憶手段から読み出して工程図を作成することを特徴とする工程図作成支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の工程図作成支援システムにおいて、
前記サーバは、前記設定データの作業性の検証を実行可能とする際に、前記仕様情報には含まれない作業対象である非設計作業対象を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記設定データに追加し、該非設計作業対象に設定可能な工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタから読み出して前記クライアントに出力し、前記クライアントから該設定可能な工程に関する情報の何れかを選択する入力があると、選択された該工程に関する情報を該非設計作業対象に設定して、該非設計作業対象の作業性の検証も実行可能とすることを特徴とする工程図作成支援システム。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の工程図作成支援システムにおいて、
前記サーバは、前記作業性の検証に用いられた前記作業対象及び工程に関する情報を前記記憶手段の工程図マスタと比較し、変更点がある場合には、該変更点を前記クライアントに出力することを特徴とする工程図作成支援システム。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れか1つに記載の工程図作成支援システムにおいて、
前記作業は、自動車車体の塗装に関する作業であることを特徴とする工程図作成支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−93831(P2012−93831A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238557(P2010−238557)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】