説明

工程紙

【課題】200〜230℃の熱処理工程で使用され、複数回の繰り返し耐久性を有し、収縮やカールが原因となる操業性、品質への悪影響がない工程紙を提供する。
【解決手段】原紙上に剥離層を設けてなる工程紙であり、該工程紙を23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率が、横目方向に1.0%以下、縦目方向に0.5%以下であることを特徴とする工程紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剥離性を有する工程紙に関するものであり、特に200〜230℃の熱処理を伴う工程において使用される工程紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂やセラミックなどのシート状成型物を製造する工程において使用される工程紙とは、支持体として流動性のある原料を保持し、各種処理を施した後、製造物から剥離除去されるものである。そのため剥離性、寸法安定性、表面の平滑性などが要求される。特に熱処理工程を経る場合、熱による寸法変化やカールがあると不具合が生じる。寸法変化のうち、特に収縮はシワ状の表面欠陥を始めとした品質面での問題となる。カールは製品の変形などの品質問題に加え、剥離作業の悪化といった操業性の悪化を招く。
【0003】
従来、このような工程紙としてはポリエチレンラミネート紙をベースにしたもの、グラシン紙をベースにしたものなどが使用されてきた。しかしながら、ポリエチレンラミネート紙の場合、耐熱性に問題が生じることが多く、グラシン紙の場合は吸湿による寸法変化、カール、表面の平滑低下が問題であった。
【0004】
また、本用途の工程紙は一度限りの使い捨てではなく、巻き取るなどして再度使用するのが一般的であり、複数回使用に対する耐久性も必要となる。原紙の無機顔料配合量を高くしたものも提案されているが、強度の低下が避けられないため、再使用時に断紙し易いという欠点があった。逆に寸法安定性の改良を目的に燃焼灰分3%とする工程紙も提案されている(例えば、特許文献1参照)が、熱収縮を抑制する効果は不十分であった。
【特許文献1】特開2005−314859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、200〜230℃の熱処理工程で使用され、複数回の繰り返し耐久性を有し、収縮やカールが原因となる操業性、品質への悪影響がない工程紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下の本発明を見出した。すなわち、原紙上に剥離層を設けてなる工程紙であり、23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率が、横目方向に1.0%以下、縦目方向に0.5%以下であることを特徴とする工程紙である。
【0007】
さらには、23℃、50%雰囲気下および200℃乾燥器で2分間保持した直後のカールが±20mm以下であることを特徴として加えた工程紙である。
【0008】
さらには、原紙の紙面pHが5以上8未満であり、パルプ分としてNBKPを10〜50質量%含む、濾水度CSF300〜500mlの紙料で抄造されることを特徴として加えた工程紙である。
【0009】
さらには、剥離層が水系塗工液を塗布乾燥して設けられ、塗布乾燥工程での原紙の横目方向の収縮率が0.5%以上であることを特徴として加えた工程紙である。
【0010】
さらには、原紙の燃焼灰分が2%以下であることを特徴として加えた工程紙である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の工程紙により、工程紙の収縮による製品の欠陥が抑制される。
【0012】
請求項2記載の工程紙により、工程紙のカールによる製品の欠陥が抑制されることに加え、剥離作業のハンドリングが改善される。
【0013】
請求項3記載の工程紙により、熱処理に加えて吸湿による寸法変化の抑制が得られ、さらに加えて強度に優れ、繰り返し使用に適した工程紙が得られる。
【0014】
請求項4記載の工程紙により、製造コスト面で優れた工程紙が得られる。
【0015】
請求項5記載の工程紙により、さらに強度に優れた、繰り返し使用に適した工程紙が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者は200〜230℃の熱処理工程において工程紙の熱収縮が原因で生じる製品表面のシワ状欠陥を抑制することを検討した。その結果、工程紙を23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率が、横目方向に1.0%以下、縦目方向に0.5%以下であれば、シワ状欠陥がほとんど分からない状態になることを見出した。また、23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率が、横目方向に1.0%以下、縦目方向に0.5%以下となるように調整するには、工程紙の製造過程で予め充分に加熱収縮させておく方法などを単独、または組み合わせることにより達成できることを見出した。
【0017】
紙をベースとした工程紙に水溶性樹脂、エマルジョンなどを塗布または含浸する方法に用いる水溶性樹脂、エマルジョンとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、その他変性PVA、ポリビニルピロリドン、デンプン、酸化デンプンなどの変性デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体または共重合体などのアクリル系重合体エマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体エマルジョンなどが挙げられる。
【0018】
工程紙の製造過程で予め充分に加熱収縮させる条件としては、本発明においては150℃熱風乾燥器に15秒以上保持することで効果が見られた。これは坪量130〜170g/m2の工程紙において確認したものであり、より低坪量のケースではより低熱量の処理で目的が達成される。本発明においては、同処理により横目方向で0.2%以上、さらに好ましくは0.5%以上の熱収縮を生じさせることにより目的を達成している。
【0019】
カールを抑制する方法としては、一般的に用いられるカール矯正方法、すなわち水または水溶性樹脂の塗工、スチームによる矯正などが好ましく用いられる。カールの表現は、水平な台上に置いてシート端が持ち上がる面をプラスカール面、逆面をマイナスカール面と呼ぶ。塗工によるカール矯正は、マイナスカール面に水または水溶性樹脂を塗布、乾燥収縮させて行う。
【0020】
本発明の工程紙は200〜230℃の工程で繰り返し使用することから、熱による強度低下は好ましくない。熱変色については、適度な変色は特に問題とはならず、むしろ熱劣化の目安にもなるくらいである。ただし、あまり著しい変色は欠陥の原因となったり、欠陥検出の妨げとなったりするため好ましくない。これらの理由から使用する原紙としては紙面pHが5以上8未満が好ましい。このpH範囲より高い場合も、低い場合も、熱による強度低下を招くため、好ましくない。
【0021】
使用上必要な強度、寸法安定性を得るために、原紙のパルプ配合としてはNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)を10〜50質量%配合するのが好ましい。この範囲より少ないと引張強度、引裂強度、寸法安定性などが劣る傾向にある。また、この範囲より多いと原紙の地合が悪化する傾向にあり、剥離特性、剥離面質に悪影響を与えるため好ましくない。また、濾水度(CSF)300〜500mlとすることで、寸法安定性、地合をバランスよく得られる。この範囲以上の粗い叩解だと原紙の地合が悪化する傾向のため、剥離特性、剥離面質に悪影響を与えるため好ましくない。この範囲以下の細かい叩解とすると、原紙の伸縮率が大きくなる傾向のため、寸法安定性が悪く、好ましくない。
【0022】
本発明の剥離層としては、特に限定されないが、シリコーン系物質の塗布が好ましく使用できる。シリコーン系塗工としては、一般的な溶剤系、無溶剤系、水性エマルジョン系が挙げられ、いずれも好ましく使用できる。一般的には溶剤系、無溶剤系の方が剥離性能の制御範囲が広いと言われており、適用例も多いが、本発明の用途では水性エマルジョン系を用いて目標品質が得られることから、塗工装置の制約も少なく、環境面でも優れている水系塗工による加工が使用できる。
【0023】
本発明の工程紙に使用する原紙には、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク等の炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、パイオロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類、酸化チタンなどの無機填料や尿素樹脂等の有機顔料を含んでも構わない。しかし、高温下での繰り返し使用での強度の点からは填料含有量が少ない方が好ましく、工程紙の燃焼灰分を2%以下とした場合、特に良好である。
【0024】
本発明の工程紙は、表面の平滑性を向上させる目的でカレンダー処理を施してもよい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0026】
(原紙1)
質量比でLBKP90質量%、NBKP10質量%となるよう混合したパルプを濾水度(CSF)400mlになるよう叩解後、以下の処方に従い、各薬品をパルプスラリーに配合し、紙料スラリーを調製した。
【0027】
(配合1)
アルキルケテンダイマーエマルジョン 対パルプ0.2質量%
カチオン化デンプン 対パルプ0.9質量%
【0028】
上記スラリーを用い、坪量160g/mとなるよう長網抄紙機にて抄造を行った。なお、サイズプレスにおいて以下の処方の薬品を絶乾付着量1.5g/mとなるよう付着させた。
(サイズプレス配合)
PAM系表面紙力剤 1質量部
酸化デンプン 1質量部
水 98質量部
【0029】
こうして原紙1(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0030】
(原紙2)
質量比でLBKP50質量%、NBKP50質量%となるよう混合したパルプを用いた以外、原紙1と同様にして、原紙2(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0031】
(原紙3)
パルプ配合をLBKP100質量%とした以外、原紙1と同様にして、原紙3(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0032】
(原紙4)
質量比でLBKP40質量%、NBKP60質量%となるよう混合したパルプを用いた以外、原紙1と同様にして、原紙4(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0033】
(原紙5)
パルプの濾水度(CSF)を600mlとなるよう叩解した以外、原紙1と同様にして、原紙5(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0034】
(原紙6)
パルプの濾水度(CSF)を300mlとなるよう叩解した以外、原紙1と同様にして、原紙6(燃焼灰分0.5質量%)を得た。
【0035】
(原紙7)
質量比でLBKP90質量%、NBKP10質量%となるよう混合したパルプを濾水度(CSF)400m1になるよう叩解後、以下の処方に従い、各薬品をパルプスラリーに配合し、紙料スラリーを調製した。
【0036】
(配合2)
アルキルケテンダイマーエマルジョン 対パルプ0.2質量%
カチオン化デンプン 対パルプ0.9質量%
軽質炭酸カルシウム 対パルプ3.0質量%
【0037】
上記スラリーを用い坪量160g/mとなるよう長網抄紙機にて抄造を行った。なおサイズプレスにおいて原紙1と同様の薬品を付着させた。こうして原紙7(燃焼灰分2.0質量%)を得た。
【0038】
(原紙8)
質量比でLBKP90質量%、NBKP10質量%となるよう混合したパルプを濾水度(CSF)400m1になるよう叩解後、以下の処方に従い、各薬品をパルプスラリーに配合し、紙料スラリーを調製した。
【0039】
(配合3)
アルキルケテンダイマーエマルジョン 対パルプ0.2質量%
カチオン化デンプン 対パルプ0.9質量%
軽質炭酸カルシウム 対パルプ7.0質量%
【0040】
上記スラリーを用いて坪量160g/mとなるよう長網抄紙機にて抄造を行った。なおサイズプレスにおいて原紙1と同様の薬品を付着させた。こうして原紙8(燃焼灰分5.0質量%)を得た。
【0041】
実施例1
原紙1に以下の塗工液1を絶乾固形分が2.0g/mとなるよう塗布した。
(塗工液1)
水性シリコーンエマルジョン(固形分40%) 5質量部
ポリビニルアルコール水溶液(固形分10%) 100質量部
水 45質量部
【0042】
これを150℃熱風乾燥器に15秒保持して乾燥させた後、さらに逆面に水を塗工、180℃熱風乾燥器で乾燥させてカール矯正を施し、実施例1の工程紙を得た。
【0043】
実施例2
逆面への水塗工によるカール矯正を施さなかった以外、実施例1と同様にして、実施例2の工程紙を得た。
【0044】
実施例3
原紙1に以下の塗工液2を絶乾固形分が2.0g/mとなるよう塗布した。
(塗工液2)
重剥離用シリコーン 10質量部
トルエン 100質量部
【0045】
これを150℃熱風乾燥器に15秒保持して乾燥させた後、さらに逆面に水を塗工、180℃熱風乾燥器で乾燥させてカール矯正を施し、実施例3の工程紙を得た。
【0046】
実施例4
原紙1に実施例1と同じ塗工液1を絶乾固形分が1.0g/mとなるよう塗布した。
【0047】
これを120℃熱風乾燥器に15秒保持して乾燥させた後、さらに逆面に水を塗工、120℃熱風乾燥器で乾燥させてカール矯正を施し、実施例4の工程紙を得た。
【0048】
実施例5
タブサイズプレスにて原紙1にシラノール変性PVAを絶乾固形分が1.5g/mとなるよう含浸させ、120℃熱風乾燥器にて乾燥させた。
【0049】
これに実施例1と同じ塗工液1を絶乾固形分が1.0g/mとなるよう塗布した。
【0050】
それを120℃熱風乾燥器に15秒保持して乾燥させた後、さらに逆面に水を塗工、120℃熱風乾燥器で乾燥させてカール矯正を施し、実施例5の工程紙を得た。
【0051】
実施例6
原紙1の代わりに原紙2を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例6の工程紙を得た。
【0052】
実施例7
原紙1の代わりに原紙3を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例7の工程紙を得た。
【0053】
実施例8
原紙1の代わりに原紙4を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例8の工程紙を得た。
【0054】
実施例9
原紙1の代わりに原紙5を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例9の工程紙を得た。
【0055】
実施例10
原紙1の代わりに原紙6を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例10の工程紙を得た。
【0056】
実施例11
原紙1の代わりに原紙7を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例11の工程紙を得た。
【0057】
実施例12
原紙1の代わりに原紙8を使用した以外、実施例1と同様にして、実施例12の工程紙を得た。
【0058】
比較例1
原紙1に実施例1と同じ塗工液1を絶乾固形分が1.0g/mとなるよう塗布した。
【0059】
これを105℃熱風乾燥器に15秒保持して乾燥させた後、さらに逆面に水を塗工、105℃熱風乾燥器で乾燥させてカール矯正を施し、比較例1の工程紙を得た。
【0060】
以上のようにして得た実施例1〜12、比較例1の工程紙に関して、(1)23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率(横目方向、縦目方向;表中収縮率1と記載)、(2)23℃、相対湿度50%環境下および200℃乾燥器で2分間保持した直後のカール(A4サイズにカットして平らな台上に置き、紙端が台上から反り返った高さmmで表記する。剥離加工面側に反る場合をプラス、逆をマイナスで表す。;表中カールと記載)、(3)塗布乾燥工程での原紙の横目方向の収縮率(100×(原紙巾−加工後巾)/原紙巾;表中収縮率2と記載)を以下に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
各工程紙上に塩ビペーストを塗布、200℃×2分の熱処理により硬化させた。得られた塩ビシートを工程紙から剥離し、その表面状態(面質)を目視にて評価した。
【0063】
実施例1:良好な面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0064】
実施例2:工程紙の収縮に起因する面質ムラが若干見受けられたが、実用上問題無い面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性はカールが強いため好ましくなかった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0065】
実施例3:良好な面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。溶剤系シリコーン塗工のため、コーティング設備に制約があった。
【0066】
実施例4:工程紙の収縮に起因する面質ムラがやや強かったが、実用上問題無い面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0067】
実施例5:工程紙の収縮に起因する面質ムラが若干見受けられたが、実用上問題無い面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性はカールがあるためあまり好ましくなかったが、実用上は問題無かった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0068】
実施例6:原紙地合がやや劣るため、面質がやや悪かったが、実用上は問題無い程度であった。剥離作業は良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0069】
実施例7:良好な面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかったが、強度の低下が見られ、通紙作業中に工程紙が破れやすかった。ただし、実用上問題無い程度であった。
【0070】
実施例8:原紙地合がかなり劣るため、面質が悪めであったが、実用上は問題無い程度であった。剥離作業は良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0071】
実施例9:原紙地合がやや劣るため、面質がやや悪かったが、実用上は問題無い程度であった。剥離作業は良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0072】
実施例10:工程紙の収縮に起因する面質ムラがやや強かったが、実用上問題無い面
質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程
紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0073】
実施例11:良好な面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。
【0074】
実施例12:良好な面質の塩ビシートが得られた。剥離作業性も良好であった。5回繰り返し使用したが、工程紙としての性能の劣化は認められなかった。やや強度の低下が見られたが、実用上問題無い程度であった。
【0075】
比較例1:工程紙の熱収縮に起因するシワ状の欠陥が見られた。その他の項目は実施例1と同等であった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の工程紙は200〜230℃の熱処理工程において収縮、強度低下が少なく、同工程において繰り返しの使用に好ましく使用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙上に剥離層を設けてなる工程紙であり、該工程紙を23℃、相対湿度50%環境下から200℃乾燥器に移して2分間保持した時の収縮率が、横目方向に1.0%以下、縦目方向に0.5%以下であることを特徴とする工程紙。
【請求項2】
該工程紙の23℃、相対湿度50%環境下および200℃乾燥器で2分間保持した直後のカールが±20mm以下であることを特徴とする請求項1記載の工程紙。
【請求項3】
該工程紙に使用する原紙の紙面pHが5以上8未満であり、パルプ分としてNBKPを10〜50質量%含む、濾水度400〜500ml(CSF)の紙料で抄造された原紙であることを特徴とする請求項1または2記載の工程紙。
【請求項4】
該剥離層が水系塗工液を塗布乾燥して設けられ、塗布乾燥工程での原紙の横目方向の収縮率が0.5%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の工程紙。
【請求項5】
該原紙の燃焼灰分が2%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の工程紙。

【公開番号】特開2008−248410(P2008−248410A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88610(P2007−88610)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】