説明

巨大分子複合体の検出および分析の方法

本発明は、巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の検出および/または分析のための方法を提供し、該方法は(a)巨大分子複合体および/または巨大分子を含有する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって巨大分子複合体および/または巨大分子を精製または分離し;(b)工程(a)において精製または分離する巨大分子複合体および/または巨大分子を、吸着力によって二次元(Z−軸)で多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、キャリヤーは、多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(a)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:(c)工程(b)の移動後に巨大分子複合体および/または巨大分子をキャリヤー上に固定化し;そして(d)工程(c)の固定化後にキャリヤー上の巨大分子複合体および/または巨大分子の構造を評価するとの工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の検出および/または分析のための方法に関し、該方法は、(a)該巨大分子複合体および/または巨大分子を含有する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該巨大分子複合体および/または巨大分子を精製または分離し;(b)工程(a)において精製または分離する該巨大分子複合体および/または巨大分子を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(a)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし(positioning):(c)工程(b)の移動後に、該巨大分子複合体および/または巨大分子を該キャリヤー上に固定化し;そして、(d)工程(c)の固定化後に、該キャリヤー上の該巨大分子複合体および/または巨大分子の構造を評価する、との工程を含む。
【0002】
その上、本発明は、被験者が疾患に苦しんでいるかまたは疾患に罹り易い傾向であるかどうかを分析するための方法に関し、該疾患は、タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしと相関し、ここで、該方法は、(a)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体の存在および場合によりその構造を評価し(これは、(aa)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を含有すると推定する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を精製または分離し;(ab)工程(aa)において精製または分離する該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(aa)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:(ac)工程2(ab)の移動後に、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を該キャリヤー上に固定化することによる);そして、(b)該キャリヤー上の該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしまたはその構造と、疾患による該被験者の苦痛または疾患に罹り易い傾向とを相関させる、との工程を含む。
【0003】
本発明はまた、本発明の方法を実施するためのデバイスにも関する。
【背景技術】
【0004】
本明細書中、多数の文書を引用する。製造マニュアルを含むこれらの文書の開示内容は、本明細書の一部を構成する。
【0005】
多数の生化学的な要求について、更なる分析のためにある分子を該分子の混合物から分離することができることが所望される。このことは例えば、細胞エキスからのタンパク質または他の生体分子の精製;混入物からの合成化学品の精製または化学的混合物の分離を含む。更に、分子の分離はまた、分子の混合物の成分についての構造分析および同定にとっても重要である。特に、プロテオミクスの科学の成長は、分子の同定、および細胞プロテオーム(すなわち、ある細胞によってある時期に産生されるタンパク質の全て)内で巨大分子複合体を形成する相互作用性分子のより大きなアセンブリを必要とする。従って、様々なサイズ、機能、活性、立体配座、および溶解度を有するタンパク質の大きな組の定量的な分析を可能とする一般的な方法が必要とされる。何百から何千のタンパク質および巨大分子複合体を合理的な実験時間内で平行して分析しなければいけないという、薬理学的な研究において要求される要件のため、問題は一層より困難であると考えられる。
【0006】
慣習的に、該分離または精製は、いくつかの異なる方法、例えば沈降および透析の技術[Englard, S.らによる, (1990);Pohl, T.による, (1990)]、クロマトグラフィー法[Hagel, L.による, (1989); Stellwagen, E.による, (1990); Cutler, P.による, (1996)]、およびゲル電気泳動[Rickwood, D.らによる, (1990); Hames, B. D.による, (1998)](これは、それらの電荷/質量の比率によって支配されるそれらの移動度に従って分子の分離の使用を可能とする)によって達成されている。電気泳動は広く使用されており、通常、多孔質マトリックス(例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル)中で行なわれる。分子は、それらの移動度に相対的に電場を一次元で作用させることによって分離されることが多い。次いで、分離に使用される電場からの向きとは異なる電場を一次元で作用させることによって、第2の分離工程を実施することも可能である。従って、ゲル電気泳動は、分子の混合物を分離するための高分解能技術である。
【0007】
更なる分析工程は、染色方法(例えば、クーマシーブルー、銀、臭化エチジウムの染色法)によるかまたは蛍光化合物を用いることによる特定のバンドの局在化および同定、並びに該バンドの位置を、プローブに平行に操作する標準マーカーと比較することによって、各質量の質量/電荷の決定を含む。また、自動蛍光効果および光の吸収を用いて、特異的なバンドを局在化しそして同定することもできる。この方法は、未変性および非変性(SDS)ゲルを用いて行なうことができる。
【0008】
通常、分画しそして精製する分子は、マス分光学または異なるブロッティング技術(例えば、サザン[Southern, E.による, (1975)]、ノーザンブロット、および抗体を用いる特異的なプロービング(probing)(ウェスタンブロット))によって研究されそして確認されている。更なる研究(特に、構造研究)のための必要条件は、該既に分画したプローブの該多孔質マトリックス(各ランニングゲル)からの抽出または分離である。該特異的なバンドの小刀を用いる切除、ブロッティング、または該ゲル分子のシェイクアウト(shaking out)は、標準的な技術でありそして共通に使用されている。様々な公知のブロッティング法が存在し、例えば、拡散移動、キャピラリー移動、熱促進性対流移動(heat-accelerated convectional transfer)、真空ブロッティング移動、およびエレクトロエルーション[Jeno, P.らによる, (1996)]を含む。タンパク質について最も共通して使用される移動方法は、その速度および移動の効率の理由で、エレクトロエルーションまたは電気泳動的な移動を含む。この方法は、タンパク質をゲルからマトリックスまで移動するために、タンパク質の電気泳動的な移動度を使用する。タンパク質の電気泳動的な移動は、タンパク質含有ゲルを、ニトロセルロースまたは他の適当なタンパク質結合支持体の一片と直接的に接触させて置き、そして伝導液中に浸した2個の電極間でこのものを「サンドイッチする」ことを含む。電場の作用後に、該タンパク質は、ポリアクリルアミドゲルから、膜の表面上(ここに、該タンパク質は密に結合する)にまで移動する。従って、タンパク質の収量のほとんどは膜と結合し、そして緩衝溶液中で再溶解するのが困難である。これら技術の全ては、固体のキャリヤー物質(例えば、セルロース紙、または多孔質膜(ここに、該分離プローブが沈着する))を使用する。
【0009】
電気泳動フィルターブロッティング方法に概念的に似ていてそして電子顕微鏡法を使用しようとする技術はJett & Bearによる, 1993中に開示されており、そしてこのものはEasomらの1989による初期のアプローチから派生する。これらの刊行物において、電子顕微鏡グリッドは、その表面上での分子の吸着および該電子顕微鏡中での検査に適当なキャリヤーとして使用される。この方法は、「スナップショットブロッティング(snapshot blotting)」と記載され、そしてこのものはいくつかの実験工程(例えば、該分子の臭化エチジウムまたはYOYO−1(Molecular Probe製)による前染色)、特別なグリッド製造方法、またはある量のグリセロール(5〜10容量%)(これは、該ゲル上への試料のロード前に加えなければいけない)を含む。マウントしそして該ゲル中に挿入する前に、該グリッドをそれらの親水性を増大するために処理し、そしてそれらを負に荷電させるためにスペルミジン緩衝液中に浸漬する。電気泳動ゲルは、該電気泳動装置からそのものを取り出すことによって操作し、そして該バンドを視覚化するために該トランスイルミネーター上に置く。垂直方向の切り込みは、サンプリングする各ゲルバンドの真ん中にメスを用いて手動で設置し、次いで該ゲルを該ゲルボックスに戻し、そして5秒間電気泳動する。第2工程において、該ゲルを該トランスイルミネーターに戻し、そして該グリッドを、該グリッドの炭素側が陰極に面した該ゲルの上部の表面に右角度で該切り込み中に挿入する。該グリッドの設置後に、該ゲルを該ゲルボックスに数回戻し、そして80Vで5秒間電気泳動し、そして電力を止めて更に5分間該ゲル中に置く。次いで、該グリッドを該ゲルから取り出し、標準的な様式でネガティブ染色によって固定し、次いで更に透過型電子顕微鏡法で検査する。
【0010】
実験学的に全てのこれらの工程は手によって行ない、それらは労働集約型であり、そしてユーザーエラーの傾向がある。該グリッドを該ゲル中に挿入する際には、分離用媒質の電気泳動的な性質の有意な変化が存在し、これにより、分解能の低下が生じる。また、該プロセスは、空気による運搬プロセスの間での脱水および該グリッドの表面上での固定プロセス、による該タンパク質の変性を受け易い。該試料のあり得る混入は、分離ゲルの残りが該グリッドに固着されそして電子ビームに曝露されると電子顕微鏡中で化学的なおよび物理学的な変化を受ける、という事実から生じる。該変化は例えば、分析する該試料の融解、凝集、および荷電性質に影響を及ぼし得る。このことにより、該電子顕微鏡写真の質が低下し、そして該タンパク質の定量および構造の分析が困難となる。
【0011】
記載する通り、上記の技術および方法は、巨大分子複合体の簡便で且つ信頼できる検出および構造分析に関する(特に、その後の画像処理技術への応用に関する)大きな欠点を示す。先行技術は、取り扱いが容易でありそして労働集約型の作業を必要としない方法を開示さえもしていない。従って、本発明の根底にある技術的な問題は、該方法を供しなければならなかった。
【0012】
該技術的な問題への解決は、特許請求の範囲内に特徴付けられる実施態様を供することによって達成される。
【発明の開示】
【0013】
(発明の概要)
従って、本発明は、巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の検出および/または分析のための方法に関し、該方法は、(a)該巨大分子複合体および/または巨大分子を含有する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該巨大分子複合体および/または巨大分子を精製または分離し;(b)工程(a)において精製または分離する該巨大分子複合体および/または巨大分子を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(a)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:(c)工程(b)の移動後に、該巨大分子複合体および/または巨大分子を該キャリヤー上に固定化し;そして、(d)工程(c)の固定化後に、該キャリヤー上の該巨大分子複合体および/または巨大分子の構造を評価する、との工程を含む。
【0014】
(発明の詳細な記載)
本発明と関連して使用する用語「該キャリヤーは多孔質マトリックスの表面と接触する」とは、巨大分子複合体が、構造的な情報のいずれの損失もなく、該多孔質マトリックスから該キャリヤーに移動しまたは拡散し得る、ことを意味する。このことは通常、液体層が該多孔質マトリックスの表面と該キャリヤーの表面との間で形成される場合に達成される。該液体層は、該キャリヤーが該多孔質マトリックスの表面上に位置する場合に直ぐに発生し得て、あるいは別に該液体を使用することによって形成され得る。
【0015】
本明細書に記載する用語「巨大分子複合体」とは、サブユニットから構成されるいずれかの集合を意味する。該サブユニットは通常、該巨大分子複合体の最小単位であり、そして該巨大分子複合体の特徴的な構造または性質の要因である。該サブユニットは例えば、タンパク質単量体、DNA−もしくはRNA−巨大分子、または無機巨大分子が挙げられる。
【0016】
本明細書中において使用する用語「多孔質マトリックス」とは、他の物質についての浸透性を特徴とする、有機または無機の媒質を意味する。
【0017】
本発明と関連する用語「分離力」とは、巨大分子複合体または巨大分子をその荷電性質から生じる電場中に曝露する力を意味する。
【0018】
本発明と関連する用語「吸着力」とは、該キャリヤー上での巨大分子複合体の沈着に関与する力を意味する。これらの力としては、ファンデルワールス力、共有結合力、水素結合、双極子−双極子相互作用、親水性および疎水性の効果を含む。
【0019】
本明細書中に記載する用語「キャリヤー」とは、巨大分子複合体および/または巨大分子の吸着を可能としそして例えば電子顕微鏡法に適当な画像処理の性質を供する基質を含む、いずれかの手段を意味する。
【0020】
上記および他の用語において概説する通り、本発明は、容易に取り扱うことができる巨大分子複合体の検出および分析のための非常に信頼できそして再現可能な方法によって、記載する技術的な問題を解決する。特に上記する通り、先行技術の方法はブロッティング技術を頼りにしており、ここでは、巨大分子複合体(特に、タンパク質およびタンパク質複合体)は、エレクトロエルーション、または該タンパク質の電気泳動の移動度に基づく電気泳動的な移動の助けで、ブロッティング膜上の多孔質マトリックス(例えば、ゲル)から移動する。ブロッティング膜上に移動した後に該巨大分子複合体は、例えば緩衝液中に再溶解され、その後に、直接的な画像処理法に適当なキャリヤー(例えば、電子顕微鏡グリッド)上に移動することが必要である。この方法は、最後には、試料の変性を引き起こし、および/または物質の損失を生じる。驚くべきことに、本発明者は、該キャリアーを該多孔質マトリックスの表面に平行に置く場合には、巨大分子複合体は効率よく且つ該キャリヤー上への有意な損失を伴うことなく移動することを見出した。固定化後に、該巨大分子複合体を直接的に分析し得る。その上、該巨大分子複合体の未変性構造は保存され、そして該方法は非常に信頼でき且つ再現可能である。電気泳動的な移動工程または溶出工程は該分離する巨大分子複合体を該多孔質マトリックスから該キャリヤー上に移動する必要がないので、上記の発見は特に驚くべきことである。上記の通り、先行技術においては、該分離する巨大分子複合体は、該多孔質マトリックスから切断され、ブロッティング膜上にブロットされ、あるいは該多孔質マトリックスからシェイクアウトされ、その後に、それらは、キャリヤー上に移動され、固定され、そしてその後に分析され得る。本発明の方法は、上で説明する工程なしに効率よく実施することができ、従って、該実際の使用はより早く、速く、および安価ともなる。更に上で説明する通り、先行技術においては、グリッドを垂直な切り込み中に該ゲルの表面に対して右角度で置き、その後に該グリッド上にタンパク質を移動することが可能である、ことがよく知られる。この「スナップショットブロッティング」技術は、該グリッドのスペルミジン緩衝液を用いる前処理を必要とし、その上、該ゲルを、バンドを視覚化し得るために該電気泳動装置から取り出さなければならず、次いで、該切り込みを設置し、次いで該ゲルを該ゲルボックスに戻し、そして該タンパク質を該電子顕微鏡グリッド上に移動させるために80Vで5秒間電気泳動しなければならない。該グリッドを該ゲルの切り込み上に置き、そして固定前に電気泳動工程を実施することにより、続く透過型電子顕微鏡における該タンパク質の構造分析において多数の欠点を生じ、これにより、分解能の低下、および分離ゲルの残り(これは、該グリッドに固着する)からの混入の可能性を生じる。
【0021】
本発明に従って得られる最も出くわす結果は、上記の欠点が、予期しない発見(キャリヤー(例えば、電子顕微鏡グリッド)を、多孔質マトリックスの表面に平行に接触させて置くことができ、そして移動はいずれの別の電気泳動の移動工程を使用することなく達成し得ること)によって克服し得るとの証明であった。本発明の方法において有効である該キャリヤーの位置決め(すなわち、該多孔質マトリックスの表面に平行であり、そして該分離力の方向に平行であること)により、該巨大分子複合体の構造の高い質の表示を得ることは、特に予期せず且つ驚くことである。
【0022】
実験的には、キャリヤー(例えば、商業的に入手可能な電子顕微鏡グリッド)を、該多孔質マトリックスのスポット(ここでは、該巨大分子複合体は染色または自己蛍光によって前もって同定する)上に置く。この同定法は、該ゲルの画像を調製することによってユーザーによって行なわれ、あるいは適当なコンピュータソフトウェアを用いて実施することもできる。該キャリヤーを該多孔質マトリックスの表面に平行に配向し、従って、該キャリヤーと該マトリックス表面の間の密な接触を可能とする。1滴の適当な緩衝液(通常、未変性条件を保存するために、該分離する分子の同じpH範囲である)を場合により、該キャリヤー上に使用することができ、そして該キャリヤーおよび該マトリックス表面の間で分配する。該巨大分子複合体および/または巨大分子は、該キャリヤー表面(これは、薄層またはフィルムによって覆われており、該分子の沈着を可能とし、そして同時に電子ビームのために透明である)の方に動く。電子顕微鏡の分野において使用されそしてまた本発明においても使用される上記の薄層のための典型的な物質は、薄いカーボン層(これは、場合により穴を有し得る)である。
【0023】
通常、該キャリヤーを、30〜90秒後に該多孔質マトリックスの表面から除く。場合により、該キャリヤー表面上に沈着する分子の収率を改善するために、該ゲル表面をピンセットまたは剃刀様デバイスを用いて穿刺することによって、該表面上をラフ化し得る。その方法において、該ゲルの内側の多量の巨大分子複合体は該キャリヤー表面に曝露され、そして吸着され得る。吸着分子の量を増大する別の可能性は、該キャリヤーおよび該多孔質マトリックスの間に更に電場を作用することである。このことを行なうことによって、更なる電気的な力を作用し、これにより、該キャリヤー表面上での分子の輸送および沈着が増大する。該表面に化学物質を適用することによって、該キャリヤー表面に吸着する分子の量を増大することも可能であり、これにより、該巨大分子複合体にとっての特異的な結合ドメインを供する。このことは、例えば疎水性または親水性の極性または非極性の基を取り込むことによって達成し得る。従って、具体的な分子および分子配置の目的に合わせた固定化を得ることができる。また、該キャリヤー表面の形態学を、結合性質を改善するために適合させ得る[Eckerskorn, Ch.らによる, (1993)]。連続性の箔を使用する代わりに、穴あき(holey)カーボン箔を、該キャリヤー表面に適用し得る。この場合に、該溶解分子を有する緩衝溶液は、同時に該穴あきカーボンフィルム中の該グリッドおよび該穴あき領域を覆う。標準的な寒冷固定方法の後に、該緩衝溶液は該穴あきカーボン箔の穴中にアモルファス状の氷を形成し、従って、該分子の構造を固定化する。該天然の構造(特に、巨大分子複合体およびタンパク質)は、この様式においてほとんど完全なままで保存される。このアモルファス状の氷はまた電子ビームによって透過され、そして該巨大分子複合体の画像処理のために使用し得る。全てのこれらの工程は、標準的な構成要素(例えば、制御コンピュータ、マイクロフルイディク(micro fluidic)システム、キャリヤーの取り扱いのためのロボットデバイス、およびスキャニングデバイス)を用いる自動化システムによって容易に行なうことができる。該キャリヤー上での該巨大分子複合体の調製後に、固定(fixation)または固定化(immobilization)を自動化デバイス中で行ない得る。氷に包埋した試料の貯蔵のために、標準的な液体窒素ジュワーが通常使用される。
【0024】
本発明はまた、被験者が疾患に苦しんでいるかまたは疾患に罹り易い傾向であるかどうかを分析するための方法に関し、該疾患は、タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしと相関し、ここで、該方法は、(a)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体の存在および場合によりその構造を評価し(これは、(aa)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を含有すると推定する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を精製または分離し;(ab)工程(aa)において精製または分離する該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(aa)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:(ac)工程2(ab)の移動後に、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を該キャリヤー上に固定化することによる);そして、(b)該キャリヤー上の該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしまたはその構造と、疾患による該被験者の苦痛または疾患に罹り易い傾向とを相関させる、との工程を含む。
【0025】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該被験者はヒトである。
【0026】
本発明の上記の有利な実施態様は、特に関心が持たれる。本発明の方法は、タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしと相関する疾患の分析に使用し得る。従って、広範囲の疾患(例えば、タンパク質の品質管理(protein quality control)の多機能化(malfunctioning)(プロテアソームまたはシャペロン)に関連する疾患、タンパク質凝集物の存在を特徴とする神経変性疾患)を検出しそして分析することが可能である。該タンパク質、ウイルス、細菌、真菌、および/またはプリオンの関連複合体は、いずれかのヒトの体液、血液、尿、便、唾液から単離し得る。該様式において、本発明はまた、薬理学的な研究における薬物スクリーニングのために使用し得る。
【0027】
本発明の別の好ましい実施態様において、該方法は更に、工程1(a)または工程2(aa)の後、および工程1(b)または工程2(ab)の前に、工程(a’)を含み、該工程においては、第2の分離力を、工程1(a)において精製もしくは分離する該巨大分子複合体および/または巨大分子、または工程2(aa)において精製もしくは分離する該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体に3次元(Y−軸)で作用する。
【0028】
本発明のより好ましい実施態様において、該第2の分離力のベクトルは、工程1(a)または工程2(aa)の分離力のベクトルに対して1度から180度の間の範囲の角度を示す。
【0029】
本発明と関連する用語「ベクトル」とは、作用する分離力の向きを記載する。
【0030】
該ベクトルは90℃の角度を示すことが好ましい。
【0031】
第2の分離力を作用することによって、タンパク質および/または巨大分子複合体の混合物を、大きさおよび構造に依存して更に分離することが可能である。従って、複雑な巨大分子の混合物の「十分に調整した」分離を企図することが可能である。
【0032】
本発明の別の好ましい実施態様において、該分離力は電場または重力によって発生する。
【0033】
本発明の更に別の好ましい実施態様において、工程1(a)または工程2(aa)の後、および工程1(b)または工程2(ab)の前に、該多孔質マトリックスを染色しおよび/または走査する。
【0034】
関心ある該巨大分子複合体を同定するために、該キャリヤー上に移動する前に、該多孔質マトリックス(特に、ゲル)を染色することが可能である。該染色方法は、当該分野において知られる標準的なプロトコール(例えば、臭化エチジウム染色法および銀染色法)に従って実施する[Wray, W.らによる, (1981);Merril, C.らによる, (1981);Williams, L. R.による, (2001)]。
【0035】
別法として、該多孔質マトリックスはまた、該タンパク質試料の内在性の蛍光物理学的な性質を使用して、染色法を使用しないで走査し得る。
【0036】
通常、本発明の方法において、図1に示しそして実施例1.2および1.3に記載する通り、該染色法は、該ゲルの関心ある領域に隣接するゲル部分(これは、該巨大分子複合体についてのバンドを含む)において実施することが好ましい。
【0037】
本発明の別の好ましい実施態様において、該多孔質マトリックスの表面はラフ化する。
【0038】
実施例1.4においても示す通り、本発明のこの有利な実施態様は、関心ある巨大分子の該キャリヤー上へのより効率的な移動を可能とする。この点において、該多孔質マトリックス(特に、ゲル)は、関心あるバンド上でピンセットを用いて穿刺されて、該ゲルの表面を拡大し、従って、巨大分子の高濃度を有するより深いゲル層が該多孔質マトリックスの表面に曝露される。
【0039】
本発明の更なる好ましい実施態様において、該多孔質マトリックスの表面と接触する該キャリヤーは緩衝液媒質によって包囲される。
【0040】
実施例1.6において概説する通り、該キャリヤーを該多孔質マトリックス上に位置決めした後に、ランニング緩衝媒質の1滴を該キャリヤー上に加えることができる。本発明のこの実施態様は、該キャリヤー表面上への該巨大分子の拡散促進性の運動を可能とするのに特に有用である。このことは、該多孔質マトリックスを包囲するチャンバーまたは該多孔質マトリックスそのものの中の湿度により、該キャリヤーおよび該多孔質マトリックスの表面の間に液体層を形成することが許容されない場合には特に重要である。
【0041】
本発明の別の好ましい実施態様において、工程1(b)または工程2(ab)における移動は電場によって実施され、ここで、該電場のベクトルは二次元(Z−軸)に向く。
【0042】
該Z−軸は、分離力(X−軸)のベクトル、および該キャリヤーまたはゲルの表面、に垂直に配向されることが好ましい。
【0043】
更に電場を作用することによって、該キャリヤー上への関心ある該巨大分子の移動は促進され得て、そして移動する試料の収率は増大し得る。従って、該ゲルは、伝導物質(すなわち、金属プレート)に適用され、そして電気回路の陰極と連結する。該キャリヤーは、該回路の陽極と連結する。この様式において、電場が形成され、その結果、該巨大分子複合体を該キャリヤーの方向に引き付ける(ここで、それらは吸着される)電気学的な力を生じる。該エレクトロエルーションの概念とは対照的に、該キャリヤーは、電極としておよび同時に該試料の沈着表面として使用される。
【0044】
本発明の別の好ましい実施態様において、該多孔質マトリックスはゲルまたはナノコンポジットである。
【0045】
本発明と関連する用語「ナノコンポジット」とは、直径1〜1000nmの成分粒子を有し、あるいは同じ範囲の厚さの層またはフィラメントを有する、物理学な物質を意味する。
【0046】
本発明と関連して使用し得る多孔性マトリックスは、セラミック、金属(例えば、アルミニウム)、プラスチック、およびセルロースなどの物質である。
【0047】
本発明のより好ましい実施態様において、ゲルはポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルである。
【0048】
本発明の方法において、ポリアクリルアミドゲル(電気泳動的な分離における標準品であり、そして広範囲の試料についての分離能力を供する)を使用することが好ましい。
【0049】
本発明の別のより好ましい実施態様において、ゲルは勾配ゲルである。
【0050】
本発明の最も好ましい実施態様において、該勾配は、0.01%(w/v)〜50%(w/v)の範囲、より好ましくは0.5%(w/v)〜40%(w/v)の範囲、一層より好ましくは1%(w/v)〜8%(w/v)の範囲である。
【0051】
本発明の更に別の好ましい実施態様において、該キャリヤーは電子顕微鏡グリッドである。
【0052】
本発明のより好ましい実施態様において、該電子顕微鏡グリッドは電子透過層または穴あき箔によって覆われている。
【0053】
本発明に関連する用語「電子透過層(electron transmitting layer)」とは、試料についての基質表面として作用し且つ同時に電子ビームのために透明である、薄いフィルム(典型的には3〜30nm)を意味する。荷電効果を防止するために、該フィルムは伝導性である。
【0054】
本発明において使用される電子透過層は、カーボン箔であることが好ましい。該穴あき(holey)箔は、穴あきカーボン箔であることが好ましい。
【0055】
本発明の別の好ましい実施態様において、該巨大分子複合体は、タンパク質複合体、ウイルス粒子、真性細菌、古細菌、有機および無機の化学的化合物からなる群から選ばれる。
【0056】
本発明の好ましい実施態様において、該タンパク質複合体は未変性タンパク質複合体である。
【0057】
各工程(特に、該巨大分子複合体の分離、移動、および固定化)は、非変性条件下で行ない得る。従って、該複合体の未変性の構造は保存される。
【0058】
本発明の別の好ましい実施態様において、工程1(c)または工程2(ac)における該固定化は寒冷固定である。該巨大分子の構造はネガティブ染色プロトコールよりもより保存されるので、寒冷固定は特に有利である[Dubochet, J.らによる, (1982)]。
【0059】
本発明の更に別の好ましい実施態様において、工程1(c)または工程2(ac)における該固定化は重原子塩を用いるネガティブ染色である。
【0060】
本発明と関連して使用し得る重原子塩は、酢酸ウラニル、ギ酸ウラニル、リンタングステン酸、またはモリブデン酸アンモニウムを含む。しかしながら、電子顕微鏡の分野において広く使用される酢酸ウラニルを本発明において使用することが好ましい[Harris, J. R.らによる, (1991)]。
【0061】
本発明の別の好ましい実施態様において、工程1(d)における該巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の評価、あるいは工程2(a)における該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体の存在および場合によりその構造の評価は、光学的な手法によって達成する。
【0062】
本発明と関連して使用する用語「光学的な手法」とは、該巨大分子の画像処理のために使用し得るいずれかの手段または方法を含む。これらは、電子顕微鏡法、光学顕微鏡、または走査型プローブ顕微鏡の技術(例えば、原子間力顕微鏡法、または走査型近接場光学顕微鏡)を含む。
【0063】
本発明のより好ましい実施態様において、該光学的な手法は電子顕微鏡法または光学顕微鏡法である。
【0064】
本発明の方法を実施するために、該電子顕微鏡は、関心ある巨大分子および巨大分子複合体を画像処理するのに特に好ましい。オングストロームからナノメートルの範囲の電子顕微鏡の分解能は、疾患と相関する広範囲の巨大分子複合体、特にタンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体をも3次元で分析するのに有用である。
【0065】
本発明の方法はまた、画像処理のための光学顕微鏡技術を使用することによっても実施し得る。光透明キャリヤー(すなわち、スライドガラス)を使用して、該試料は、構造を数100nm〜数ミクロンの範囲で解像する標準的な光顕微鏡によって、あるいは構造を数10nmで解像する進歩したスーパー分解能装置を用いることによって、検査し得る。別の蛍光標識を該試料に適用し、そして標準的な蛍光顕微鏡において画像処理し得る。
【0066】
本発明の好ましい実施態様において、該方法はハイスループット方法である。
【0067】
本発明はまた、本発明に定義する通り巨大分子複合体および/または巨大分子の検出および/またはその構造の分析のための、あるいは本発明に定義する通り被験者が疾患に苦しんでいるかまたは疾患に罹り易い傾向であるかどうかの分析のための、デバイスまたはロボットに関し、ここで、該デバイスまたはロボットは、(a)ゲルロードデバイス;(b)ゲルトランスポーター;(c)グリッドクランプデバイス、位置決めシステム、ゲルスキャナー、および場合によりゲルラフ化ツールを有するグリッドブロッティングロボット;(d)固定デバイス;(e)貯蔵デバイス;および、(f)コンピュータ制御ユニット、を含む。
【0068】
本明細書中に引用する文書は、本明細書の一部を構成する。
【実施例】
【0069】
該実施例は、本発明を例示する。
(実施例1)
実施例1は、本発明を実施するための1つの可能な様式を例示する。これはまた、図1中に示す。
【0070】
1.非変性(未変性)条件でのゲル電気泳動の操作
分析する該巨大分子複合体の電気泳動(例えば、図4に示すもの)は、緩衝液システム(これは、未変性タンパク質の立体配座、サブユニット相互作用、および生物学的な活性を維持する)を用いる、非変性(未変性)条件下で行なう[Maurer, H.による, (1971); Laemmli, U. K.による, (1970)]。未変性電気泳動の間、タンパク質は、質量比に対するそれらの電荷に基づいて分離する。全てのゲル電気泳動の工程は、インビトロゲン(Invitrogen)(Carlsbad, USA)で入手可能な装置を用いて行なう。ゲルを分離するポリアクリルアミド(NuPAGE Novex(登録商標)、トリス−酢酸ゲル、範囲:3〜8%、1mmの厚さ)を、(XCell SureLock)ミニ−セル中で、定電圧が150Vで2.30時間、電流が18mA/ゲル(開始点)〜7mA/ゲル(終点)で操作する。ランニング緩衝液として、脱イオン水(900mL)を有する10X トリス−グリシン未変性ランニング緩衝液(100mL)を使用する。複数のレーンにおいて、同じ試料(ここでは、巨大分子タンパク質)を該ゲルにロードして、更なる同定を可能とする(以下の工程3を参照)。該同定の工程を改善するために(3を参照)、1レーンはマーカー(HMW電気泳動キャリブレーションキット17-0445、Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway, USA)(これは、一定の質量/電荷の比率の観点で製造主によって十分に確認されており、該ゲル上で特定のバンドを形成する)をロードする。
【0071】
2.ゲルの染色
該タンパク質バンドの視覚化のために、該ゲルを半分に切断する。ある部を湿った組織中で保存し、そして更なる使用のために4℃の冷蔵庫中に貯蔵する。該他方の部は、インビトロゲン(Carlsbad, USA)で入手可能なSilverXpress(登録商標)銀染色キットを用いて、タンパク質バンド上での銀イオンの金属性銀への化学的な還元に基づいて、銀染色する。
【0072】
3.スポットの同定
該精製または分離する巨大分子複合体を含む該ゲル上のスポットの同定のための例を、図3に示す。
【0073】
関心あるバンドを同定するために、該ゲルの染色部分を非染色ゲルに隣接して位置決めし、そして頂上部に注意深く整列する。非染色ゲルに対する該染色バンドの位置を外挿することによって、関心ある領域、それぞれ巨大分子を運ぶバンドを位置付ける。比較および配向のために、更なる情報を、マーカーレーン(これは、十分に画定された質量/電荷の比率を有する十分に画定されたバンドを示す)から得ることができる。
【0074】
4.ゲルのラフ化
該バンドの位置の同定後に、該ゲルを、関心あるバンドにおいてピンセットを用いて穿刺して、これらの位置での該表面を拡大する。この様式において、該ゲルの上層を廃棄し、そして高濃度の巨大分子を有するより深いゲル層を該ゲルの表面に曝露する。破壊の深さはグリッドの高さの半分であり、典型的には0.5mmであり、該側面のサイズは該グリッドの直径であり、典型的には3mmである。
【0075】
5.キャリヤーの設置
それぞれ穴あきカーボンフィルム(Quantifoil Micro ToolsGmbH, Jena, Germany or Pacific GridTech, San Diego, USAで商業的に入手可能である)を有する、カーボンフィルムでカバーされた銅グリッド(これは、Plano GmbH, Wetzlar, Germanyで商業的に入手可能である)を、ピンセットを用いて、特定の工程3で同定されたバンド上に中心に置く。該グリッドを、カーボンフィルムのいずれの破壊を防止するために、その境界で注意深く取り扱い、そして該ゲルの表面に平行に、および該分離力の方向に平行に配向する。図2は、該グリッドがどのように該ゲル上に配向するかを図式的に示す。
【0076】
6.ブロッティング液体の添加
該グリッドの位置決め後に、緩衝液体の更なる1滴を該グリッドに加えて、該ゲルおよび該グリッド表面の間の拡散媒質を供する。従って、ランニング緩衝溶液(10μL)を、ピペットを用いて該グリッドに加える。該溶液は該ゲルを取り囲み、そして該グリッド表面上の該カーボン層への該巨大分子の移動を可能とする。ここで、該タンパク質は吸着する。約60秒のインキュベーション時間を使用する。
【0077】
7.キャリヤーの収集
その後に、該グリッドをピンセットを用いて注意深く取り出す。
【0078】
8.ネガティブ染色および氷包埋による固定化
電子顕微鏡キャリヤー上の該巨大分子複合体(例えば、図4に示すもの)の固定化は、2つの異なる技術−ネガティブ染色法および寒冷固定法によって行なう[Harris, J. R.らによる, (1991);Dubochet, J.らによる, (1982)]。該巨大分子複合体の吸着後の通常のネガティブ染色について、洗浄工程は、脱イオン水の2滴を用いて行ない、その後に、重金属の2滴を用いてコントラストを増大する。第2の製造技術−寒冷固定法を使用することによって、該試料を素早く冷蔵する。ブロッティングによって過剰量の液体を除去する後に、電子顕微鏡グリッド上の溶液の薄層を得る。次いで、該グリッドを液体エタン中にプランジ(plung)する。10Ks−1以上の凍結速度で、該水性懸濁液を、結晶性氷をバイパスして直接的にガラス質層に変換する。従って、該凍結グリッドは、巨大分子がほとんど自然の凍結した水和環境中に包埋された薄い水層を有する。凍結後に、グリッドを液体窒素温度で長時間、保つことができる。次いで、これらの構造的に保存された凍結−水和の試料を、液体窒素または液体ヘリウムの温度で電子顕微鏡中で画像処理する。
【0079】
(実施例2)
図5および6と関連する実施例2は、本発明の方法をどのように自動化プロセス(ロボットによって制御する)中で使用し得るかという1つの可能性を例示する。
【0080】
ロボットの操作
本発明の方法は、自動化様式において実施する装置のために使用し得る。図5aを参照する通り、ゲルロードデバイス(1)をコンピュータ制御ユニット(12)と連結し、そしてゲルキャリヤー(8)に位置するゲル(2)を連続的に、該グリッドブロッティングロボット(6)へ運搬する。1個の実際に処理するゲルを、該グリッドブロッティングロボット(6)の内側のゲルスキャナー(9)上に置く。該ゲルをその位置に動かした後に、該ゲルを、該コンピュータ制御ユニット(12)によって自動的に作動するゲルスキャナーによって走査する。この方法は図6に詳細に示されており、ここで、該スキャニングデバイス(2)は該コンピュータ制御(4)と結合し、そして電気泳動マトリックス(1)の画像を送達する。関心あるバンドを同定することができ、そして該ゲルの画像の座標を位置決めシステム(3)の座標(それぞれ、図5に示す位置決めシステム(5))に移すことによって位置付けることができる。該位置決めシステム(5)を用いて、該ゲルラフ化ツール(4b)(これは、該方法によって調査されるバンド位置上にピンセット様に形成する)を動かす。該ゲルを、該ゲルのより深い層を曝露させる様式で該ゲルラフ化ツール(4b)によってラフ化する。該ゲルラフ化ツール(4b)を引っ込めた後に、該位置決めシステム(5)は、グリッドクランプデバイス(4)を該グリッド貯蔵ユニット(7)上に動かし、そして1グリッドを摘み取る(pick)。その後に、該グリッドを、コンピュータ制御様式で、該ゲル上の選択した位置(それぞれ、関心あるバンド)へ該位置決めシステム(5)によって動かし、そして本発明の方法によって記載する通り、該ゲルの表面に平行に静かに置く。次の工程において、場合により、ランニング緩衝溶液の1滴を、該位置決めシステム(5)によって方向付けられるマイクロフルイディク(microfluidic)デバイス(3)(これは、コンピュータ制御ユニット(12)によって制御される)を用いて、該ゲル上に位置付けられる該グリッドに加える。インキュベート時間が60秒後に、該グリッドを該グリッドクランプデバイスによって摘み取り、該位置決めシステム(5)によって動かし、そしてグリッドキャリヤー(11)に移す。そこから、該グリッド(それぞれ、複数回処理するグリッドである)を固定デバイス(13)(ここで、該グリッドは更に、該試料のネガティブ染色または寒冷固定によって処理する)に移す。次の工程において、該固定グリッドを、該試料の短期間または長期間の貯蔵のために、貯蔵デバイス(14)に動かす。
【0081】
(文献)
ブロット法:
サザン:
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ニトロセルロース:
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ナイロン:
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PVDF(ポリジフッ化ビニリデン):
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グラスファイバー/ポリブレン:
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【0082】
ゲル染色:
銀染色およびクーマシー染色:
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【0083】
エレクトロエルーション:
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真空−透析:
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【0084】
ゲル電気泳動:
Laemmli, U. K.による, (1970): Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophage T4. Nature 227, 680-685。
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【0085】
沈降:
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【0086】
クロマトグラフィー法:
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【0087】
固定化:
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【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の実験方法を実施する1可能性のフローダイヤグラムを示す図面である。
【図2】図2は、1滴の緩衝溶液によって覆われた分離用ゲル上の該電子顕微鏡キャリヤーの可能な装備の例示を示す図面である。
【図3】図3は、電気泳動の未変性ゲル(これは、2個の異なるタンパク質P1およびP2を複数のレーンにロードする)の写真を示す図面である。タンパク質P1を該ゲルの左半分にロードし、P2を該ゲルの右半分にロードする。該隣接部分(flank)は、分子量が20kDaから669kDaの間の範囲のマーカーをロードする。領域AおよびCを染色し、そして領域Bは該ゲルの非染色範囲である。上から下への矢印は異なるレーンでの該ゲルの進行方向を示し、左から右の矢印はタンパク質P1のバンドを示し、右から左の矢印はタンパク質P2のバンドを示す。該暗い円は、非染色領域B中の該タンパク質P1およびP2のブロッティングのために、該ゲルの表面上に本発明に従って位置付けるグリッドである。該グリッドの位置決めは、該ゲルの染色部分中に隣接して位置付ける、それぞれP1またはP2の位置から導く。
【図4】図4は、本発明に従って分離しそして分析する、生物学的な巨大分子の2例(プロテアソームおよびAAA-ATPase VAT)の電子顕微鏡写真を示す図面である。図4Aは、ネガティブ染色プロテアソームの電子顕微鏡写真を示す。図4Bは、支持体として穴あきカーボンフィルムグリッドを用いて、ガラス質氷中に包埋する寒冷固定条件下での同じタンパク質を示す。図4Cは、ネガティブ染色VAT複合体の電子顕微鏡写真を示す。図4Dは、穴あきカーボンフィルムグリッドを用いて、ガラス質氷中に包埋する寒冷固定条件下での同じタンパク質を示す。
【図5】図5は、多数の試料およびグリッドを取り扱うことができる本発明のプロセスの可能な自動化装備の例示を示す図面である。
【図6】図6は、該ゲル中での該分離する巨大分子複合体の位置の同定のための可能なデバイスの例示を示す図面である。次いで、該グリッドを、コンピュータによって制御されたxyz−位置決めシステムの助けで本発明に従って該同定する位置上に置く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の検出および/または分析のための方法であって、該方法は、
(a)該巨大分子複合体および/または巨大分子を含有する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該巨大分子複合体および/または巨大分子を精製または分離し;
(b)工程(a)において精製または分離する該巨大分子複合体および/または巨大分子を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(a)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:
(c)工程(b)の移動後に、該巨大分子複合体および/または巨大分子を該キャリヤー上に固定化し;そして、
(d)工程(c)の固定化後に、該キャリヤー上の該巨大分子複合体および/または巨大分子の構造を評価する、
との工程を含む、該方法。
【請求項2】
被験者が疾患に苦しんでいるかまたは疾患に罹り易い傾向であるかどうかを分析するための方法であって、該疾患は、タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしと相関し、ここで、該方法は、
(a)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体の存在および場合によりその構造を評価し(これは、
(aa)該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を含有すると推定する試料から、多孔質マトリックス中で分離力を一次元(X−軸)で作用することによって、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を精製または分離し;
(ab)工程(aa)において精製または分離する該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を、吸着力によって二次元(Z−軸)で該多孔質マトリックスからキャリヤーに移し、ここで、該キャリヤーは、該多孔質マトリックスの表面と接触し、そして該マトリックスの表面に平行且つ工程(aa)において作用する分離力の方向と平行に位置決めし:
(ac)工程2(ab)の移動後に、該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体を該キャリヤー上に固定化することによる);そして、
(b)該キャリヤー上の該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体のあるなしまたはその構造と、疾患による該被験者の苦痛または疾患に罹り易い傾向とを相関させる、
との工程を含む、該方法。
【請求項3】
被験者はヒトである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程1(a)または工程2(aa)の後、および工程1(b)または工程2(ab)の前に、工程(a’)を含み、該工程において、
第2の分離力を、工程1(a)において精製もしくは分離する該巨大分子複合体および/または巨大分子、または工程2(aa)において精製もしくは分離する該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体に3次元(Y−軸)で作用する、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
該第2分離力のベクトルは、工程1(a)または工程2(aa)の分離力のベクトルに対して1度から180度の間の範囲の角度を示す、請求項4記載の方法。
【請求項6】
該分離力は電場または重力によって発生する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
工程1(a)または工程2(aa)の後、および工程1(b)または工程2(ab)の前に、該多孔質マトリックスを染色しおよび/または走査する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
該多孔質マトリックスの表面はラフ化する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
該多孔質マトリックスの表面と接触する該キャリヤーは緩衝液媒質によって包囲される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
工程1(b)または工程2(ab)における移動は電場によって実施され、ここで、該電場のベクトルは二次元(Z−軸)に向く、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
該多孔質マトリックスはゲルまたはナノコンポジットである、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ゲルはポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ゲルは勾配ゲルである、請求項11または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該勾配は、0.01%(w/v)〜50%(w/v)の範囲、好ましくは0.5%(w/v)〜40%(w/v)の範囲、より好ましくは1%(w/v)〜8%(w/v)の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該キャリヤーは電子顕微鏡グリッドである、請求項1〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
該電子顕微鏡グリッドは電子透過層または穴あき箔によって覆われている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該巨大分子複合体は、タンパク質複合体、ウイルス粒子、真性細菌、古細菌、有機および無機の化学的化合物からなる群から選ばれる、請求項1および4〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
該タンパク質複合体は未変性タンパク質複合体である、請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
工程1(c)または工程2(ac)における該固定化は寒冷固定である、請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
工程1(c)または工程2(ac)における該固定化は重原子塩を用いるネガティブ染色である、請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
工程1(d)における該巨大分子複合体および/または巨大分子の構造の評価、あるいは工程2(a)における該タンパク質複合体、および/またはウイルス複合体、および/または細菌複合体、および/または真菌複合体、および/またはプリオン関連複合体の存在および場合によりその構造の評価は、光学的な手法によって達成する、請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
該光学的な手法は電子顕微鏡法または光学顕微鏡法である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該方法はハイスループット法である、請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
請求項1および4〜23のいずれか1つに記載の巨大分子複合体および/または巨大分子の検出および/またはその構造の分析のための、あるいは請求項2〜16および18〜23のいずれか1つに記載の被験者が疾患に苦しんでいるかまたは疾患に罹り易い傾向であるかどうかの分析のための、デバイスまたはロボットであって、ここで、該デバイスは、
(a)ゲルロードデバイス;
(b)ゲルトランスポーター;
(c)グリッドクランプデバイス、位置決めシステム、ゲルスキャナー、および場合によりゲルラフ化ツールを有するグリッドブロッティングロボット;
(d)固定デバイス;
(e)貯蔵デバイス;および、
(f)コンピュータ制御ユニット、
を含む、該デバイスまたはロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−534950(P2007−534950A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509973(P2007−509973)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004600
【国際公開番号】WO2005/106447
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(390040420)マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ (54)
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V.
【Fターム(参考)】