説明

差込みプラグ

【課題】栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の被覆位置が変位するのを防止することができる差込みプラグを提供する。
【解決手段】差込みプラグ1は、栓刃4の根元部4cに形成された一対の各切欠き部4d,4dを含む該栓刃4の根元部4c外面に、絶縁性及び耐熱性を有する熱可塑性樹脂製の絶縁部材5を栓刃4の長さ方向と直交する断面の全周に被覆している。電線3の各コード3a,3aを各栓刃4…の各導体接続部4b…に接続した後、プラグ本体2を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに挿入される各栓刃4,4の挿入側前端部を除いて、各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分が覆われる状態に熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を一体的にモールド成形している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電源であるコンセントに差し込まれ、電子機器、電気機器、電気器具等に対して電力を供給する際に用いられる差込みプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記差込みプラグとしては、例えばプラグ本体に突出された刃に対するブレードキャップの位置を規制する方法として、ブレードキャップの後端面を、刃に設けた係止段部又は係止凸部に当接して位置決めする。或いは、ブレードキャップ側と刃側との対向面に設けられた凸部及び孔部を互いに嵌合して位置決めする特許文献1の差込みプラグがある。
【0003】
【特許文献1】特許第3377402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記ブレードキャップの後端面を、刃の係止段部又は係止凸部に当接して位置決めする場合、差込みプラグの刃をコンセントの刃受穴から抜き取る際に、刃受穴との接触によりブレードキャップの位置が刃の刃先側へ変位しやすい。また、ブレードキャップ側と刃側との対向面に設けられた凸部及び孔部を互いに嵌合して位置決めする場合、ブレードキャップに対して大きな接触抵抗が付与された際に、凸部と孔部との嵌合が解除されてしまい、ブレードキャップの位置が刃の前後方向へ変位しやすく、刃に対するブレードキャップの位置を規制することができない。
【0005】
この発明は前記問題に鑑み、栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の位置が変位するのを防止することができる差込みプラグの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、コンセントに設けられた栓刃挿入口に挿入される栓刃をプラグ本体の前端側に突設し、該栓刃に接続された電線をプラグ本体の後端側に連設した差込みプラグであって、前記プラグ本体の前端面より前方に突出される栓刃の突出側と、該前端面より後方に埋設される栓刃の埋設側とに跨って根元部を形成し、前記根元部に形成された切欠き部を含む該根元部の外面に、絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂製の絶縁部材を前記栓刃の長さ方向と直交する断面の全周に被覆し、前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の前後両端面を、前記根元部に形成された各切欠き部の前後両端面に当接して、該各切欠き部に係合された位置に規制した差込みプラグであることを特徴とする。
【0007】
この発明の態様として、前記絶縁部材を、前記根元部の両側縁部に形成された一対の各切欠き部を含む前記栓刃の根元部外面に被覆することができる。
【0008】
また、この発明の態様として、前記絶縁部材を、前記根元部の前端側両側縁部に形成された各切欠き部と、該根元部の後端側両側縁部に形成された各切欠き部とに跨って前記栓刃の根元部外面に被覆することができる。
【0009】
また、この発明の態様として、前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材を、前記コンセントに設けられた栓刃挿入口と、該栓刃挿入口に挿入される栓刃との間が閉塞される大きさ及び形状、肉厚に形成することができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材を、前記根元部の前端側から後端側に向けて徐々に高くなる肉厚に形成することができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記根元部に形成された切欠き部の前後両端面と、該切欠き部の前後両端面に当接される前記絶縁部材の前後両端面とを、前記絶縁部材が栓刃の長さ方向と平行する方向へ変位しようとするのを阻止する高さに形成することができる。
【0012】
前記コンセントは、例えば栓刃を挿入するための栓刃挿入口が設けられた単相交流電源、三相交流電源等で構成することができる。
【0013】
また、栓刃は、例えば銅、銅合金等の導電性に優れた金属で構成され、例えば電子機器、電気機器、電気器具等に対して電力を供給する際に用いられるプラグの栓刃、或いは、各種電装品の配線、電気機器内の配線等に用いられる栓刃等で構成することができる。
【0014】
また、プラグ本体は、例えばPVC樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂、或いは、メラミン樹脂、ユリヤ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で構成することができる。
【0015】
また、電線は、例えば銅線、メッキ処理(金、錫等)した銅線等を多数本集束してなる導体の周面全長、又は、所定の線径に形成した一本の導体の周面全長を、例えばPVC樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂混合物、あるいは、クロロプレンゴム、EPゴム、クロロスルホルン化ポリエチレンゴム等のゴム素材よりなる外装部で被覆して構成することができる。或いは、例えば繊維、糸等の絶縁体が巻回された導体の周面全長を、上述のゴム素材で被覆して外装部を形成してもよい。
【0016】
なお、前記電線に代えて、例えば平形、丸形、長円形、単心形等の形状及び構造に形成した電線、或いは、例えば繊維、糸等の絶縁体で被覆した電線を用いてもよい。
【0017】
また、絶縁部材は、例えば変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE)等の絶縁性及び耐熱性を有する熱可塑性樹脂で構成することができる。変性ポリフェニレンエーテル樹脂(以下、変性PPE樹脂と略記する)は、エーテル基(COC)を持った芳香族ポリエーテル樹脂(PPE)を主体に、スチレン系樹脂とのポリマーアロイで変性したものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、差込みプラグのプラグ本体に突出された栓刃をコンセントの栓刃挿入口に差し込む際、或いは、栓刃挿入口から抜き取る際において、栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の被覆位置が長さ方向へ変位するのを防止することができ、プラグ本体の前端面より前方に突出された各栓刃の根元部を絶縁部材により被覆及び保護した状態を維持することができる。これにより、コンセントの栓刃挿入口と、差込みプラグのプラグ本体に突出された栓刃との間にトラッキングが起きるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の被覆位置が変位するのを防止することができるという目的を、栓刃の根元部に形成された切欠き部を含む該根元部の外面に、絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂製の絶縁部材を被覆することで達成した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、電源の一例であるコンセントに差し込まれ、電気機器に対して電力を供給する際に用いられる差込みプラグを示している。
【0021】
図1、図2に於いて、この差込みプラグ1は、商用電源のコンセントA(図6参照)に差し込まれるプラグ本体2と、該プラグ本体2の後端側に接続された電線3とで構成される。また、プラグ本体2の前端面には、コンセントAの前端面に設けられた各栓刃挿入口Aa,Aaに対して挿入される一対の各栓刃4,4を突出している。
【0022】
プラグ本体2は、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに挿入される各栓刃4,4の挿入側前端部を除いて、電線3の各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分が覆われる状態に熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂でモールド成形している(図2参照)。
【0023】
各栓刃4,4は、プラグ本体2の前端面より前方に向けて突出され、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに対して挿入される左右間隔に隔てて平行に突設している。
【0024】
また、プラグ本体2の前端面より前方に突出される栓刃4の挿入側前端部は、コンセントAの栓刃挿入口Aaに設けられたターミナルAbに対して接触が許容される長さに突出している。なお、栓刃4の長さ、幅、厚み、間隔は、JIS規格に基づいた寸法に設定している。
【0025】
また、プラグ本体2の前端面より後方に埋設される栓刃4の埋設側後端部には、コード3aの接続側端部に露出された複数本の各導体3b…が固定される断面U字状の導体固定部4aを形成している(図3参照)。
【0026】
つまり、各導体3b…を一つに束ねたまま導体固定部4aに挿入した後、導体固定部4aの両側縁部を各導体3b…と対向する方向(内側)へ変形させて、全導体3b…を栓刃4の導体固定部4aに対してカシメ固定して通電が許容される状態に接続している(図4参照)。
【0027】
栓刃4の導体固定部4aと後述する根元部4cとの間には、コード3aの各導体3b…がスポット溶接される導体接続部4bを形成している。
【0028】
つまり、電線3を構成するコード3aの各導体3b…と栓刃4の導体接続部4bとの接続箇所を、図示しないスポット溶接装置の各電極で挟持した後、コード3aの各導体3b…と栓刃4の導体接続部4bとを通電が許容される状態にスポット溶接している。
【0029】
プラグ本体2の前端面より前方に突出される栓刃4の突出側と、該前端面より後方に埋設される栓刃4の埋設側とに跨る部分には、絶縁性及び耐熱性を有する熱可塑性樹脂製の絶縁部材5が被覆される根元部4cを形成している。
【0030】
根元部4cは、プラグ本体2の前端面付近(前端面より前方)に突出される栓刃4の突出側外面と、該前端面付近(前端面より後方)に埋設される栓刃4の埋設側外面とに跨って形成している。
【0031】
また、根元部4cの前端側両側縁部には、後述する絶縁部材5が係合される各切欠き部4d,4dを該根元部4cの両側縁部に沿って長さ方向に平行して形成している。
【0032】
つまり、コード3aの各導体3b…を栓刃4の導体固定部4aにカシメ固定し、各導体3b…を栓刃4の導体接続部4bにスポット溶接した後、栓刃4の根元部4c外面に、絶縁性及び耐熱性を有する絶縁部材5を栓刃4の長さ方向と直交する断面の全周に被覆している。
【0033】
栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5は、熱可塑性樹脂の一例である絶縁性及び耐熱性を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m−PPE)によりコンセントAの栓刃挿入口Aaに対して挿入が許容される大きさ及び形状に形成され、栓刃挿入口Aa内部に設けられたターミナルAbまでは達しない長さに形成している。
【0034】
また、絶縁部材5は、栓刃挿入口Aaの内面全体に対して隙間の無い状態に密着される大きさ及び形状、肉厚に形成するとともに、根元部4cの前端側から後端側に向けて徐々に高くなる肉厚に形成している。
【0035】
また、栓刃4の根元部4cに形成された各切欠き部4d,4dの前後両端面と、該各切欠き部4d,4dの前後両端面に当接される絶縁部材4の前後両端面とは、絶縁部材5が栓刃4の長さ方向と平行する方向へ変位しようとするのを阻止する高さに形成している。
【0036】
コンセントAの栓刃挿入口Aaに挿入される栓刃4の挿入側前端部には、平面から見て略丸形状の孔部4eを厚み方向に貫通して形成している。
【0037】
図示実施例は前記の如く構成するものにして、以下、差込みプラグ1の製造方法を説明する。
【0038】
先ず、図示しない打抜き機により導電性に優れた金属板を打抜き加工して、多数の各栓刃4…を同一方向に向けて並列に連設してなる帯状栓刃4A(図3のa参照)を製造する。
【0039】
つまり、栓刃4の埋設側後端部に導体固定部4aを形成し、該導体固定部4aと根元部4cとの間に導体接続部4bを形成する。また、根元部4cの両側縁部に一対の各切欠き部4d,4dを形成する。また、栓刃4の挿入側前端部に略丸形状の孔部4eを形成する。
【0040】
打抜き後において、前記多数の各栓刃4…を並列に連設してなる帯状栓刃4Aを、図示しない射出成形機の一対の各金型間にセットする。
【0041】
この後、栓刃4の根元部4cに形成された一対の各切欠き部4d,4dを含む該栓刃4の根元部4c外面に、絶縁性及び耐熱性を有する熱可塑性樹脂製の絶縁部材5を栓刃4の長さ方向と直交する断面の全周に被覆するとともに、根元部4cの両側縁部に形成された一対の各切欠き部4d,4dを絶縁部材5で埋める(図3のb参照)。
【0042】
栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5は、コンセントAに設けられた栓刃挿入口Aaの内面に対して隙間の無い状態に密着される大きさ及び形状、肉厚に形成するとともに、根元部4cの前端側から後端側に向けて徐々に高くなる肉厚に形成する。
【0043】
被覆後において、図示しない栓刃分離機により多数の各栓刃4…が並列に連設された帯状栓刃4Aを、絶縁部材5が被覆された個々の各栓刃4…に切り離す(図3のc参照)。
【0044】
切り離し後において、各栓刃4…の対向縁部に形成された連設用の各連結片4f…及び各連結片4g…を切除する。すなわち、図示しない切除装置により栓刃4の根元部4cの両側縁部に切り残された各連結片4f,4fと、導体接続部の両側縁部に切り残された各連結片4g,4gを切除する。
【0045】
切除後において、図示しないカシメ機により電線3を構成する各コード3a,3aの各導体3b…を、各栓刃4…の各導体固定部4a…に挿入してカシメ固定した後、図示しないスポット溶接装置により各コード3a,3aの各導体3b…と、各栓刃4…の各導体固定部4a…との接続箇所をスポット溶接する(図4、図5参照)。
【0046】
実施例では、絶縁部材5を、各栓刃4…の各根元部4c…外面に被覆してから(図3のc参照)、電線3の各コード3a,3aを各栓刃4…の各導体接続部4b…に接続するが(図4参照)、絶縁部材5を、電線3の各コード3a,3aを各栓刃4…の各導体接続部4b…に接続してから、絶縁部材5を、各栓刃4…の各根元部4c…外面に被覆してもよい。
【0047】
スポット溶接後において、電線3の各コード3a,3aが接続された各栓刃4,4を、図示しない射出形成機によりモールド成形されるプラグ本体2の前端面より前方に各栓刃4,4が所定長さ突出される状態にセットする。この後、プラグ本体2を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに挿入される各栓刃4,4の挿入側前端部を除いて、各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分が覆われる状態に熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂を一体的にモールド成形して、図1、図2に示すような差込みプラグ1を製造する。
【0048】
前記製造方法で製造された差込みプラグ1を用いて電力を供給する場合、図6に示すように、差込みプラグ1のプラグ本体2に突出された一対の各栓刃4,4を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに挿入する際に、栓刃挿入口Aaとの接触により栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5が該栓刃4の後端側へ移動しようとする。
【0049】
しかし、栓刃4の根元部4cに形成された各切欠き部4d,4dの後端面に、該根元部4cに被覆された絶縁部材5の後端面が当接して、絶縁部材5が栓刃4の後端側へ変位しようとするのを阻止される。
【0050】
また、プラグ本体2に突出された一対の各栓刃4,4を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaから抜き取る際に、栓刃挿入口Aaとの接触により栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5が該栓刃4の前端側へ移動しようとする。
【0051】
しかし、栓刃4の根元部4cに形成された各切欠き部4d,4dの前端面に、該根元部4cに被覆された絶縁部材5の前端面が当接して、絶縁部材5が栓刃4の前端側へ変位しようとするのを阻止される。
【0052】
これにより、栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5を、根元部4cに形成された各切欠き部4d,4dに対して係合された位置に規制することができる。
【0053】
以上のように、差込みプラグ1のプラグ本体2に突出された一対の各栓刃4,4を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに差し込む際、或いは、各栓刃挿入口Aa,Aaから抜き取る際において、栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5の被覆位置が前後方向(栓刃4の長さ方向)へ変位するのを防止することができ、プラグ本体2の前端面に突出された各栓刃4,4の各根元部4c,4cを各絶縁部材5,5により被覆及び保護した状態を維持することができる。これにより、差込みプラグ1のプラグ本体2に突出された一対の各栓刃4,4と、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaとの間にトラッキングが起きるのを防止することができる。
【0054】
また、合成樹脂製のプラグ本体2を、電線3の各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分が覆われる状態にモールド成形する際にも、各栓刃4,4の各根元部4c,4cに被覆された各絶縁部材5,5の被覆位置が前後方向へ変位することがなく、絶縁性及び耐熱性に優れた差込みプラグ1を製造することができる。
【0055】
また、プラグ本体2に突出された各栓刃4,4を、コンセントAの各栓刃挿入口Aa,Aaに挿入して、各栓刃挿入口Aa,Aaに設けられた各ターミナルAb,Abに接触させた際、各栓刃挿入口Aa,Aaの内面に対して、各栓刃4,4の各根元部4c…に被覆された各絶縁部材5,5の外面が隙間の無い状態に密着されるので、各栓刃4,4と各栓刃挿入口Aa,Aaの間に、トラッキングが起きる要因である例えば糸屑、繊維、塵埃、油分、水分等の異物が侵入するのを防止することができる。
【0056】
図7、図8は、絶縁部材5を、栓刃4の根元部4cに形成された前端側両側縁部の各切欠き部4d,4dから、後端側両側縁部の各切欠き部4d1,4d1に跨って被覆した他の例を示している。
【0057】
つまり、絶縁部材5を、栓刃4の根元部4cに形成された前端側両側縁部の各切欠き部4d,4dから、後端側両側縁部の各切欠き部4d1,4d1に跨って被覆しているので、前記実施例のように絶縁部材5を、栓刃4の根元部4cに形成された各切欠き部4d,4dのみに係合するよりも大きな係合力が得られる。
【0058】
これにより、差込みプラグ1をコンセントAに差し込む際、或いは、抜き取る際において、栓刃4の根元部4cに被覆された絶縁部材5に対して大きな接触抵抗が付与されても、絶縁部材5の被覆位置が前後方向へ変位することがなく、変位を阻止しようとする構造的な抵抗が大きいため、前記実施例と略同等又は同等以上の作用及び効果を奏することができる。
【0059】
図9は、熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂の中子6を、電線3の各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分が覆われる状態にモールド成形したその他の例を示している。
【0060】
つまり、プラグ本体2をモールド成形する際に、各コード3a,3aと各栓刃4,4との接続部分に被覆された各中子6,6を保持して位置決めすれば、各栓刃4,4の挿入側前端部及び各栓刃4,4の各根元部4c,4cに被覆された各絶縁部材5,5が、プラグ本体2の前端面より前方に所定長さ突出される状態にモールド成形する作業が正確に行え、成形精度の向上を図ることができる。
【0061】
また、電線3の各コード3a,3aが接続され、各絶縁部材5,5が被覆された各栓刃4,4を、図示しない中子に形成された一対の各差込み孔に差込んで一体的に組み付けてもよい。
【0062】
なお、本発明は、前記実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0063】
例えば筒状に形成された絶縁部材5を栓刃4の根元部4c外面に装着した後、絶縁部材5を熱収縮させて栓刃4の根元部4c外面に被覆してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】絶縁部材を栓刃の根元部に被覆した差込みプラグを示す斜視図。
【図2】プラグ本体をモールド成形した差込みプラグを示す横断平面図。
【図3】絶縁部材を栓刃の根元部に被覆した例を示す工程説明図。
【図4】図3の栓刃に電線を接続した状態を示す平面図。
【図5】図3の絶縁部材が被覆された栓刃と電線との接続状態を示す斜視図。
【図6】差込みプラグをコンセントに差込んだ状態を示す平面図。
【図7】絶縁部材を栓刃の根元部全体に被覆した他の例を示す工程説明図。
【図8】図7の絶縁部材が被覆された栓刃と電線との接続状態を示す斜視図。
【図9】中子を電線と栓刃との接続部分に被覆した例を示す横断平面図。
【符号の説明】
【0065】
A…コンセント
Aa…栓刃挿入口
1…差込みプラグ
2…プラグ本体
3…電線
3a…コード
3b…導体
4…栓刃
4A…帯状栓刃
4a…導体固定部
4b…導体接続部
4c…根元部
4d,4d1…切欠き部
5…絶縁部材
6…中子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントに設けられた栓刃挿入口に挿入される栓刃をプラグ本体の前端側に突設し、該栓刃に接続された電線をプラグ本体の後端側に連設した差込みプラグであって、
前記プラグ本体の前端面より前方に突出される栓刃の突出側と、該前端面より後方に埋設される栓刃の埋設側とに跨って根元部を形成し、
前記根元部に形成された切欠き部を含む該根元部の外面に、絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂製の絶縁部材を前記栓刃の長さ方向と直交する断面の全周に被覆し、
前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材の前後両端面を、前記根元部に形成された各切欠き部の前後両端面に当接して、該各切欠き部に係合された位置に規制したことを特徴とする
差込みプラグ。
【請求項2】
前記絶縁部材を、前記根元部の両側縁部に形成された一対の各切欠き部を含む前記栓刃の根元部外面に被覆したことを特徴とする
請求項1に記載の差込みプラグ。
【請求項3】
前記絶縁部材を、前記根元部の前端側両側縁部に形成された各切欠き部と、該根元部の後端側両側縁部に形成された各切欠き部とに跨って前記栓刃の根元部外面に被覆したことを特徴とする
請求項1に記載の差込みプラグ。
【請求項4】
前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材を、前記コンセントに設けられた栓刃挿入口と、該栓刃挿入口に挿入される栓刃との間が閉塞される大きさ及び形状、肉厚に形成したことを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一つに記載の差込みプラグ。
【請求項5】
前記栓刃の根元部に被覆された絶縁部材を、前記根元部の前端側から後端側に向けて徐々に高くなる肉厚に形成したことを特徴とする
請求項1〜3のいずれか一つに記載の差込みプラグ。
【請求項6】
前記根元部に形成された切欠き部の前後両端面と、該切欠き部の前後両端面に当接される前記絶縁部材の前後両端面とを、前記絶縁部材が栓刃の長さ方向と平行する方向へ変位しようとするのを阻止する高さに形成したことを特徴とする
請求項1〜5のいずれか一つに記載の差込みプラグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−140623(P2009−140623A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312990(P2007−312990)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(391018732)富士電線工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】