説明

巻くことができるドアリーフを有する高速ロールアップドア

【課題】選択的に出入口の開口部を被うため、あるいは工場の安全を図るために用いる工業用ロールアップドアの提供。
【解決手段】そのロールアップドアは、薄板あるいはパネルを含むドアリーフを備える。ドアは、また、選択的にドアを巻き上げあるいは下降させる巻上げベルトとしてのフレキシブルな細長いひも、および端の近くの各薄板の外側表面に沿って走る減衰プロフィール部材を備える。さらに、ドアは、ドアを巻き上げるとき薄板を受け入れ、ドアを下降するとき薄板を自由にする、回転可能ならせん形ディスクを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロールアップドアに関し、詳しくは、ドアの開口部を被うため、薄板あるいはパネルから構成され、巻くことができるドアリーフを有する工業用ロールアップドアを提供する。さらに詳しくは、この発明は、ドアリーフを連続的な層として巻き上げることができる回転シャフトであり、巻上げをコンパクトかつ高速に行うことができ、しかも、騒音および摩耗が少ないものを提供する。
【背景技術】
【0002】
工業用の施設、たとえば、工場、倉庫、ガレージなどにおいては、破片や不要な気候変動から保護するだけでなく、出入口を被うため、あるいは安全を確保して機械類を守るため、ロールアップドアを用いる。一般的に、巻くことができるドアリーフを有する工業用ロールアップドアは、出入口の左右に位置するレールフレーム構成部分、およびその左右のフレーム構成部分の中を動く複数の薄板あるいはパネルから成るドアリーフを含む。ある特定のタイプのドアにおいて、ドアを垂直に取り付けるとき、リフト部材をドアおよび出入口の上方に支持する回転シャフトに取り付ける。ドアを動かすため、回転シャフトは一方向に作動し、シャフト上にドアリーフを巻き上げて出入口を開ける。また、反対方向の回転によって、ドアリーフの巻きが解かれ、出入口を閉じる。垂直方向の動きは一般的であるが、斜めの動きもまた可能である。
【0003】
一般的な工業用ロールアップドアには、操作する上でいくつかの欠点があった。たとえば、充分に堅い平らな薄板は、安全な障壁になるなどの好ましい特性をもつが、コンパクトに巻き上げることができなかった。薄板が堅いことから、薄板の最初の層が回転シャフトの曲がりと同じようにならなかった。リーフが回転シャフトの形にならないことから、ロールアップドアリーフが回転シャフトとリーフとの間にかなりのギャップをもち、非対称の形状になると考えられる。堅いリーフは、シャフトに対し接線の方向をとる。その後の層は下の層と同じようにならず、さらなるギャップを作り出す。シャフトに巻いたとき、元に戻したドア端の姿は、きちんと詰まった対称的でなめらかな円形状というよりも、非対称的な多角形の形状になる。しかも、シャフトに巻かれるその後の層は、充分には支持されていない先の層上に静止し、先の層にかなりの曲げ荷重を加え、ダメージを与える。
【0004】
関連する欠点として、後に続く薄板との間の接触により生じる騒音および摩耗がある。ドアを操作するとき、上げ下げのいずれにおいても、薄板の層は互いに接触し、好ましくない騒音を生じる。騒音に加え、薄板の接触によって、接触面に摩耗を生じるが、それは美観的に好ましくない傷となって現れる。摩耗が引き続き生じると、ドアの安全性を損なうことになる。
【0005】
米国特許第6,883,577号(「’577特許」)は、そのような騒音および摩耗の問題に取り組んだ、一つの解決策を示している。’577特許は、出入口の両端に位置するサイドレールあるいはフレームによる案内によって、出入口の上部から下部へとドアリーフあるいは薄板の幅を大きくするようにしている。回転シャフトは、そのシャフトの中心部分から外側の端に向かって直径が大きくなったらせん状の表面に適合している。外側表面の全体的な形は、段のあるコーン形状である。シャフトがドアを上昇させるように回転するとき、内側に位置する円錐形の表面が、より狭いドアリーフを最初に持ち上げる。それに続いて、シャフトの端により近い位置にある、より大きな径の円錐形の表面が、より広いドアリーフを持ち上げる。回転する表面には、振動を減衰させる材料があり、円形の表面と薄板との間の接触で生じる騒音を減じる。複数の円錐形の表面は、後に続く薄板の層の間の間隔を維持するように形作られ、それによって、接触により生じる騒音およびダメージを防ぐ。
【0006】
この従来技術は、騒音およびダメージの問題に有効に取り組んでいるが、改良を要する他の特性がある。ロールアップドアの左右の端を適切に案内し制御するために、供給するサイドフレームの大きさについて、最も広い薄板だけでなく、最も狭い薄板をも案内するようにしなければならない。薄板の最も狭いものと最も広いものとの両方に適応させるため、いずれかのサイドフレームについて、出入口の上部のより深いレールから下部の深くはないところまで、テーパにするか、あるいはレールを均一な深さにして最も狭い薄板を案内することができるようにしなければならない。そのようなサイドレールは、製造する上で多少費用がかかるか、利用できる出入口の幅が多少小さくなるか、または、それらの両方が問題となる。さらには、回転シャフトがより複雑となり、シャフトの製造コストおよび重量をある程度増し、そして、そのシャフトを駆動するためのモータの大きさを大きくする。さらにまた、今までのドアの薄板は、必然的にいろいろな長さをもつ。これに応えるためには、取替え品としていろいろな長さの薄板が必要である。
【0007】
米国特許第5,307,859号(「’859特許」)は、工業用ロールアップドアの別の例を示し、そこでは、出入口をフレキシブルな透明なシートあるいはカーテンで被い、それらをシャフトに巻いて出入口を開き、また、シャフトから巻き外して出入口をふさぐようにしている。垂直方向の異なる高さ位置に水平な堅い部材を設けることにより、安定性を得ている。その発明によれば、充分な厚さをもつ2つの筋(ストライプ)をカーテン上に形作り、カーテンを上げるとき、それらの筋をそれ自体に巻いている。カーテンを巻き上げるとき、そのカーテンの前面と後面との間の接触が制限され、筋の近くで接触が起こらない。分離によって、カーテンの透明性が長く維持される。カーテンを適用する場合、透明性が要求はされるが、フレキシブルなシートあるいはカーテンのドアは、破れあるいは侵入に対して充分なものではない。
【0008】
この発明は、以上のような今までの技術の欠点を考慮してなされたものであり、巻上げをコンパクトかつ高速に行うことができ、しかも、騒音および摩耗が少なく、さらには、薄板を操作時のダメージから保護することができるロールアップドアを提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0009】
したがって、この発明の第1の目的は、出入口の開口部を選択的に被うための、あるいは警戒(ガード)を行うための工業用ロールアップドアの特定のものを提供することにある。そのロールアップドアは、薄板あるいはパネルを含むドアリーフと、少なくとも2つのフレキシブルなストライプであり、ドアを選択的に上げ下げ(巻き上げ巻き下げ)する巻上げベルトとして機能するものと、らせん形のディスクを伴う回転シャフトであり、ディスクが、ドアを巻き上げるとき薄板を受け入れ、ドアを巻き下げるとき薄板を自由にするものと、各端部で各薄板の外側表面に沿って走行する減衰プロフィール部材とを備える。
【0010】
この発明の他の目的は、薄板の端部に適合する端部分であり、ドアの横方向の各端部で少なくとも1つの巻上げベルトに連結するようになったものを備える工業用ロールアップドアを提供することにある。好ましくは、1あるいは2以上の薄板に対する端部分がウィンドアンカーを含み、風力に耐えるようになっている。
【0011】
この発明の他の目的は、隣接する薄板の端部を少なくとも部分的にピボット回転するように構成した工業用ロールアップドアを提供することにある。
【0012】
この発明の他の目的は、隣接する薄板の少なくとも1つの端が少なくとも部分的に弾力性の部材を受け入れる構成になった工業用ロールアップドアを提供することにある。弾力性の部材としては、薄板間の接触を緩和する減衰(ダンパー)装置あるいは手段で良く、それによって、騒音を緩和しダメージの発生を防ぐことができる。また、弾力性の部材は、弾力性のヒンジでも良く、少なくとも部分的に密閉し、隣接する薄板を柔軟に結合することができる。
【0013】
この発明の他の実施形態は、全体として平らなC形状の弓形の断面であり、回転シャフトに向かって内側に凹んだ表面を伴う凹凸面をもつように曲がった細長い薄板から構成される工業用ロールアップドアである。平らなC形状については、なめらかな輪郭にするか、または、曲がりのあるあるいは直線的なセグメントを複数連結して平らなC形状を形作る。薄板は、堅いもの、あるいはそれを貫通して伸びる窓状の開口をもつものにする。それは、通風のため、あるいは可視するためからである。窓状の開口の片面あるいは両面を、透明あるいは半透明の材料で被い、通風あるいは可視性を制限することができる。
【0014】
全体として平らなC形状の弓形の断面をもつ細長い薄板を備える、この発明の工業用ロールアップドアにおいて、その断面は、巻き上げた時にコンパクトな形態になるものを選ぶ。
【0015】
この発明の他の実施形態のロールアップドアは、細長い薄板の構成材料として、実質的に堅くて曲がらない材料、たとえば金属、木材あるいはプラスチックを用いる。薄板は、透明あるいは半透明にすることができる。
【0016】
この発明の他の実施形態のロールアップドアにおいて、細長い薄板の長さは互いに等しいか、あるいは実質的に等しい。
【0017】
以下の詳しい説明は、例を示すものであり、この発明をそれに限定するわけではない。この発明の詳細について、図面を参照しながらさらに詳しく説明しよう。図面には、対応する構成部分には、同じ符号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明のロールアップドアの一例を示す部分的な正面図であり、ドアは閉じており、明りょうにするため、薄板とらせん形のディスクとの接触を外して示す。
【図2】この発明の一実施例のドアの回転シャフトの軸線に沿う部分的な断面図であり、ロールアップドアの一端(他端は面対称)の完全に巻き上げた状態(つまり、格納した状態)を示す。
【図3】この発明の一実施例によるらせん形ディスクの側面図である。
【図4a】この発明の一実施例によるドアの一部を示す側断面図であり、一般的に形作った薄板はドア閉じ位置にある。
【図4b】この発明の一実施例によるドアの一部を示す側断面図であり、2つの薄板をディスクに巻き上げた状態を示す。
【図4c】この発明の一実施例によるドアの一部を示す側断面図であり、数個の薄板をディスクに巻き上げ、1層目の最上部が2層になった状態を示す。
【図5a】この発明の一実施例によるドアの一部を示す斜視図である。
【図5b】図5aのものの断面図である。
【図6】この発明の一実施例による薄板の端部部分を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明について、その好適な実施例を示す図面を参照しながら、より詳しく説明しよう。しかし、この発明は、多くのいろいろな形態で具体的に実施することができ、ここに述べる図示の実施例に限定されるわけではない。むしろ、これらの図示の実施例は、発明の内容を全体的に述べることにより、この発明の技術的範囲を充分に伝えるようにしている。
【0020】
以下の説明において、図を通して、同様あるいは対応する構成部分には、同じ符号を付けている。さらに、工業用ロールアップドアを描くとき、出入口を選択的にふさぐ形態にしている。それは、説明の便宜からだけである。当業者であれば、そのようなドアを多くの使用に供することができることを理解するであろう。たとえば、限定するわけではないが、たとえば、室内の出入口の被い、外部の出入口の被い、あるいはまた、たとえば機械類の周りなどの危ない領域を安全に防御するために用いることができる。
【0021】
この発明は、出入口あるいはドアの開口部を選択にふさいだり開いたりするための、または、安全な防御あるいは保護を得るためのロールアップドアに関する。そのドアは、薄板あるいはパネルを含むドアリーフを備える。それらの薄板あるいはパネルは、出入口の幅にわたるように一般的に水平に配置され、両端には、端部部品があり、それら端部部品によって、出入口の左右の両側に位置する垂直なサイドレールあるいはガイドの中を走行するようになっている。ドアは垂直に動き、出入口を開閉するが、斜めに動くようにすることもできる。それぞれの薄板の端部分が端部部品を受け入れるようになっている。端部部品のそれぞれが巻上げベルトに着脱可能に取り付けられ、それによって、端部部品が薄板のそれぞれの端部を他の薄板とは独立に支持する。そこで、個々の薄板は、ドア全体を取り除いたり取り外すことなく、部分的に閉じた状態で取り外して取り替えることができる。
【0022】
出入口を開くときには、一般的に出入口の上方に位置する回転シャフト上に薄板を巻くことによって、開口部からドアを開けば良い。薄板は、ギャップあるいは中断することがほとんどなく、シャフト上にスムーズにかつ有効に巻かれる。薄板同士の接触によって生じる騒音については、隣接する薄板層間にギャップを生む薄板の少なくとも一表面に減衰プロフィール部材を配置することによって、減衰あるいは弱めることができる。
【0023】
この発明のロールアップドアの第1実施例について、図1を参照しながら示す。図1は、この発明の一実施例のドアの正面の部分的な図である。図を見ると、多数の薄板あるいはパネル11がすべてシャフトの下方にあり、出入口の開口部を閉じている。明りょうにするため、回転シャフト1に取り付けたらせん形のディスク2上には、薄板を何も示していない。また、図から分かるように、出入口の左右の両側にサイドレール20があり、出入口の幅を定め、細長い孔あるいは軌道の内部に端部部品5を受け入れるようになっている。一部を切り取って示す図部分から、ドアの第1端のサイドレールが端部部品5および巻上げベルト6を邪魔していないことが分かる。ドアの第2端についても、サイドレール上に示す端部部品5および巻上げベルト6に対して同様の構成である。駆動装置22は、シャフトに対して回転力あるいは回転トルクを与え、第1の方向ではドアを巻き上げ、第2の方向ではドアを巻き下げる。
【0024】
図2は、回転シャフト1の軸線に沿う部分的な断面図であり、この発明の一実施例のドアを完全に巻き上げた状態を示している。図には、奥行き寸法dの細長い薄板11a〜11fをシャフト1上のらせん形のディスク2に連続的に巻き上げた状態を示す。図3に示すように、らせん形のディスク2の外径は、大体360°の回転にわたってR1からR2へとなめらかに変化している。ディスク2の外周には、減衰プロフィール部材(減衰外側部材)3を取り付けてある。
【0025】
図4aに示すように、ドアを完全に開けるとき、シャフト1に一番近い薄板11aおよび一般的には最上部の薄板11が、ディスク2の表面12に隣接する部分に載る。薄板11aは巻上げベルト6に取り付けられており、らせん形のディスク2に順繰りにしっかりと載っていく。その点、図4aおよび4b、ならびにこれからの詳しい説明から分かるであろう。図4a〜4cの薄板の断面図は概略的に示すものである。端部部品を入れてない図5aおよび5bが、完全な薄板を示している。
【0026】
図4aおよび4bにさらに示すように、一番上の薄板の外側表面に減衰プロフィール部材(減衰外側部材)4を取り付けてある。薄板11aは、公知の手法で着脱自在に固定する。限定するわけではないが、その手法として、たとえば、機械的な手段あるいは接着剤などを用いる。減衰プロフィール部材4は、図4aおよび4bに示すように、ドアを降ろした位置にして、外側表面14上に連続した長さにするとき、引き続くすべての薄板11上、端部部分18に載る。減衰プロフィール部材4については、複数のセグメントを連結して連続した長さをもたせることができるし、あるいは、一つの連続した長さのもので構成することができる。薄板11fには、図2に示すように、外側表面に減衰プロフィール部材4がない。これは、最初の薄板11aから最後の薄板11fまで巻き上げたドアの取り巻き距離が、ドアの巻きを解放したとき、つまり、ドアによって出入口を完全にふさいだときにおける、同じ2つの薄板の間の直線距離を超過するという当然の結果である。ドアが巻き上がるとき、減衰プロフィール部材4は薄板11の外側表面14上を走行する。それによって、直線距離よりも長い道を動いて行く。そこで、ドアを完全に巻いたとき、その減衰プロフィール部材4は終端の薄板11fまで到達しない。減衰プロフィール部材4とドアの薄板11とが相対的に動くようにするため、そしてまた、減衰プロフィール部材4を決まった場所に位置させるため、図4aおよび4bに示すように、補正ベルトあるいは部材9を用いることによって、ドアリーフの一番下の薄板に減衰プロフィール部材4の下端を取り付ける。補正ベルト9は、たとえばスプリングあるいはラバースプリングのような弾力性の部材であり、第1の位置と第2の位置との間に及ぶことができる。それによって、巻きを解放したときのドアリーフの直線長さとドアを巻き上げたときの取り巻き距離との違いを補正する。
【0027】
図3および図4bに示すように、らせん形ディスク径R2は径R1よりも大きいが、その寸法の差は、らせん形ディスク2上の減衰プロフィール部材3の厚さ、薄板上の減衰プロフィール部材4の厚さ、および1つの薄板11の厚さtの合計にほぼ等しい。そのような構成により、図4cに示すように、ディスク2上の薄板11の第1の層がなめらかな曲線を形作り、それに続く薄板の各層は、先行する層の減衰プロフィール部材4の上に最小限の不連続性をもってなめらかに載る。図5bに一番良く示すように、薄板11は全体として平らなC形状の弓形の断面であり、凹状の内側表面13と凸状の外側表面14とを一般的にもつ。薄板の断面は、薄板11の引き続く層がディスク2上に巻かれ、なめらかな巻き表面およびコンパクトな巻き上げドアリーフを呈するだけでなく、ディスク2の形に大体合致するように選ぶ。
【0028】
薄板の形状は、巻き上げたドアリーフの径をコンパクトにするだけでなく、薄板の剛性、堅さおよび美感の上で些細なものではなく、重要なものである。その点、薄板は、平らな中央部分21ならびに、その中央部分21から曲がって離れ、孔あるいは溝21を作る下部部分15および上部部分16を備える。
【0029】
ドア開口の高さ、らせん形ディスクの形状、および薄板の断面や数との間には、幾何学的な関係がある。たとえば、図に示す例では、被うべき出入口の高さが3mであり、薄板の高さは100mmである。らせん形ディスク2は、第1の巻きの層で8.5の薄板11を受け入れるようになっている。各層は、引き続いて巻かれる層の径がより大きくなり、結果的に、各層上により多くの薄板が存在するようになる。図に示した形態では、ドアを完全に巻き上げるために、らせん形ディスクの3周が必要である。
【0030】
図1および図2に示すように、そしてまた、公知のように、薄板11のそれぞれの端部部分18に、端部部品5の第1の端部を固定する。また、端部部品5の第2の端部は、図6に示すように、巻上げベルト6の中間部分に取外し可能にしっかりと取り付ける。取付け部材19あるいは手段として、たとえば、ネジ締め具、リベット、取外し可能なステープルなど、公知のいろいろなものを適用することができる。それらは、端部部品5を巻上げベルト6にしっかりと取り付けることができ、しかも、取外しが可能であり、損傷したり摩耗した部品を交換できるものである。図6には、あくまで例示のために、1つの取付け部材19を示す。当業者であれば、それらの取付け部材の1つあるいは2つ以上を用いることができることを明らかに理解するであろう。
【0031】
図4a、4bおよび4cに一般的に示すように、巻上げベルト6は、一端がらせん形ディスク2、または、らせん形ディスク2に取り付けた機械部品あるいはリンクに固定されている。そこで、その巻上げベルトは、ディスクが2つの方向の一方の方向に回転するとき、ディスク2の表面と大体同じ距離だけ変位する。一方の方向の回転において、端部部品5を伴う巻上げベルト6は、巻き上げられ上昇し、ディスク2に薄板を巻き、出入口を開く。他方の第2の方向の回転において、ベルト6は巻上げ状態から解放され、薄板11を自由にし、出入口の開口部を被う。図4aが示すものにおいて、時計回りに回転すると、薄板11をらせん形ディスク2に巻き、出入口を開き、また、反時計回りに回転すると、薄板11を降下して出入口を閉じる。
【0032】
各薄板11は端部部品5で巻上げベルト6に固定されているので、他の薄板に対するある薄板の位置は、巻上げベルト6によって定まる。隣り合う薄板間に機械的な結合は不要であり、それによって、各薄板は自身の重みを支えるだけである。したがって、薄板11はそれぞれ端部部品5によって個々に支持されることになり、損傷あるいは摩耗したりした薄板は、端部部品5と巻上げベルト6との間の取付け部材19を分離することにより、ドアから容易に取り除くことができる。ドアリーフの下の部分の薄板を取り外すことなく、個々の薄板をドアから取り外すことができる。ある場合には、1または2以上の薄板11を欠いた状態でドアの操作に問題を生じることなくドアを使用することができる。
【0033】
この発明の典型的な一実施例において、隣接する薄板の下部部分15および上部部分16の少なくとも一部を回転するように構成する。下部部分15と上部部分16とを結合することにより、安全性を高めることができ、ドアの外側14および内側13表面に直交する力に耐え、ドアの破損を防ぐことができる。また、別の実施例において、下部部分15と上部部分16の少なくとも一方に、弾力性のあるインサートを入れる構成にすることにより、使用時、薄板11の隣接する部分が互いに接触することを避け、したがって、騒音をさらに低減することができる。
【0034】
図4a、4b、5aおよび5bは、典型的な実施例であり、隣接する薄板の下部部分15および上部部分16が受け溝8を伴う構成であり、その受け溝には公知の方法で弾力性のヒンジ部材17を受け入れる。有利なことには、弾力性のヒンジ部材17は、充分な柔軟性があり、ドアを開閉するとき薄板を曲げることができる。挿入するとき、弾力性のヒンジ部材17は、それぞれの受け溝の中にするりと入れるというよりも、ばね作用で押されるか引かれてぴったりとはまる。弾力性のヒンジ部材17は、受け溝8に入れる中央部分と、上部部分および下部部分とにおいて、柔軟性あるいは柔らかさが異なる。溝の形状のために、上部および下部の材料をより堅くし、それにより、ドアリーフが動くときにそれらの部分の部材がしっかりと受け溝8の中に入っているようにすることが必要である。したがって、取替えのとき、サイドガイドから薄板を取り外したり、ドアを分離する必要はない。さらに、そのようなフレキシブルなヒンジによって、組み合う薄板が損傷したとき、1つの薄板全体を取り替えなければならないというより、それら組み合う薄板を取り替えることができるという点で有利である。ヒンジ部材17については、連続的な構成とすることにより、隣接する薄板間を密閉することができる。ヒンジ部材17の密閉作用により、騒音、風、蒸気などの伝達を制限することができる。他の実施例では、隣接する下部および上部の部分15,16の少なくとも一部に沿って、ヒンジ部材17が妨害することにより、隣接する薄板11同士が接触することを防ぎ、騒音を低減する。ヒンジ部材17は、隣接する薄板11の下部および上部の部分15,16間に、フレキシブルな結合を少なくとも部分的に形成する。図に示す例では、薄板の下部および上部の部分15,16、ならびに弾力性のヒンジ部材17は、ちょうど2つが相補的な構成である。当業者であれば、他の多くの適切な構成にすることができるであろう。
【0035】
薄板の内側および外側表面13,14は、図1に示すように孔のない完全なものにすることができるし、図5aに示すようにそれらの表面13,14を貫通する1または2以上の開口(窓)を設け、通風あるいは可視性をもたせることができる。一実施例において、開口10上に透明な材料(図示せず)を配置し、通風は縮小するが、照明と可視性を与えている。他の実施例においては、薄板11を光を最大に透過する透明な材料、または、着色あるいは処理した明るい材料で作る。別の実施例では、薄板11を、それに限定されるわけではないが、木、金属あるいはプラスチックを含む充分に堅い材料から作り上げる。さらに他の実施例では、薄板11を弾力性のあるフレキシブルな材料、また、用途に応じて透明あるいは不透明な材料で作り上げる。
【0036】
薄板11の連続する層を、回転シャフト1によってらせん形ディスク2上に巻くとき、図2に示すように、先に巻いた層が支持することになる。減衰プロフィール部材4が、連続する層となった薄板11の間にスペースを作る。図2に示すように、薄板11の端部部分18は、シャフト1の端に互いに整列する。回転シャフト1の反対側の端は、図に示すものと面対象であり、薄板11の端部部分18がまた一列になる。各薄板11は等しい長さであり、サイドレール20が単一の深さを保つ。その深さは、サイドレール20と端部部品5との間に必要な重なり量で決まる。また、必要な場合には、図1に示すように、サイドレールが部分的に薄板11の端部部分18に重なり合う。薄板の長さを単一にすることによって、交換部材を少なくし、製造コストを減らすことができる。図1に部分的に切り欠いて示すように、端部部品5は、出入口の各側のサイドレール20中の軌道まで伸びている。サイドレール20は、端部部品5および巻上げベルト6を受け入れるに足るだけの充分な深さをもち、防護および安全を高めている。ドアの後側には、図示しないが、減衰プロフィール部材4が薄板の端部分18に沿って垂直に走っている。しかし、減衰プロフィール部材4は、また、サイドレール20の内部を被うようにするのが良い。他の用途において必要なことは、端部部品5をサイドレールの内部に保持することだけである。さらに他の用途において、サイドレールとドアとの間の重なりを大きくすることが求められる。また、別の用途では、図2に示すように、薄板の各端に1または2以上のウインドアンカーを設け、強い風でドアが押され位置を変えないようにすることが必要である。その点、今までと同じである。
【0037】
この発明の好適な実施例およびその変形例について詳しく説明した。しかし、この発明は、それらに限定されるわけではない。当業者は、上に説明したことを変形することができるが、その変形はこの発明の考え方を示すクレームの内容を越えることはない。
【符号の説明】
【0038】
1 回転シャフト
2 らせん形ディスク
3,4 減衰プロフィール部材
5 端部部品
6 巻上げベルト
8 受け溝
9 補正ベルト
10 開口
11,11a〜11f 薄板
13 内側表面
14 外側表面
15 下部部分
16 上部部分
18 端部部分
19 取付け部材
20 サイドレール
21 中央部分
22 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側のサイドレールおよび出入口の上部近くのドア幅にわたる交差部分に適合し、出入口を閉じあるいは開くための工業用ロールアップドアであり、次の各構成を備える工業用ロールアップドア。
・細長い剛性のある多数の薄板を含み、各薄板が左の端部部分、右の端部部分、上部部分、下部部分、内側表面および外側表面を有するドアリーフ。
・前記薄板の各端部部分上の少なくとも1つのフレキシブルな巻上げベルト。
・各薄板の端部部分に適合し、前記巻上げベルトの中間部分を取り付ける端部部品。
・上部薄板の各端部部分に固定され、多数の薄板の端部部分の外側表面上に位置する、連続するフレキシブルな減衰プロフィール部材。
・らせん形の部材を伴う回転可能なシャフトであり、そのシャフトが第1の方向に回転するとき前記薄板を連続する層形態で受け入れ、そのシャフトが第2の方向に回転するとき前記薄板を解放する回転シャフト。
【請求項2】
隣接する薄板の下部部分および上部部分の少なくとも一部を互いに回転するように構成した、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項3】
隣接する薄板の下部部分および上部部分の少なくとも一方の少なくとも一部に、弾力性の部材を入れるように構成した、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項4】
隣接する薄板の下部部分および上部部分の少なくとも一部に、弾力性のヒンジ部材を入れ、薄板間をフレキシブルに結合するように構成した、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項5】
前記薄板は全体として平らなC形状の弓形の断面をもつ、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項6】
薄板には、表側の表面および裏側の表面を貫通する複数の開口がある、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項7】
前記開口の少なくとも一方の側に透明な材料を被う、請求項6の工業用ロールアップドア。
【請求項8】
前記薄板は、それに限定されるわけではないが、木、金属あるいはプラスチックを含む堅い材料から作る、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項9】
前記薄板は、長さが等しい、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項10】
1あるいは2以上の薄板、またはその薄板の一部が透明である、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項11】
1あるいは2以上の薄板は、ウインドアンカーを伴う端部部品を含む、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項12】
第1の位置と第2の位置との間に伸びる補正部材を用いることによって、フレキシブルな減衰プロフィール部材をドアリーフの下部に取り付ける、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項13】
前記補正部材は、スプリングのような弾力性の部材である、請求項12の工業用ロールアップドア。
【請求項14】
前記らせん形の部材および薄板は、シャフトの第1の方向の回転に応じて、ぴったりと接触する、請求項1の工業用ロールアップドア。
【請求項15】
前記薄板は、シャフトの第1の方向の回転に応じて、連続する層になってぴったりと接触する、請求項1の工業用ロールアップドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−522981(P2011−522981A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512432(P2011−512432)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066139
【国際公開番号】WO2009/148460
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】