説明

巻取ユニット

【課題】トレイ搬送式の糸巻取装置において、当該トレイに対する給糸ボビンの取り付け状態によらず、当該給糸ボビンから適切に糸を解舒することができる構成を提供する。
【解決手段】巻取ユニットは、トレイ保持部51と、糸層センサ36と、トレイ位置調整機構と、を備える。トレイ保持部51は、搬送トレイ19を保持する。糸層センサ36は、搬送トレイ19に載置された給糸ボビン15の位置を検出する。トレイ位置調整機構は、糸層センサ36の出力結果に基づいてトレイ保持部51を操作して、トレイ保持部51に保持された搬送トレイ19の位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送トレイに載って搬送されてくる給糸ボビンから糸を解舒してパッケージを形成する巻取ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
給糸ボビンから糸を解舒するとともに、解舒した糸を巻取ボビンに巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置が知られている。この種の糸巻取装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1は、給糸ボビンからの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備えた構成を開示している。この解舒補助装置は、給糸ボビンの上方に配置された規制部材を備えている。この規制部材は、給糸ボビンの上部に形成されるバルーンに接触して、当該バルーンに適切なテンションを付与することにより、当該給糸ボビンからの糸の解舒を補助するためのものである。
【0004】
また、特許文献1に記載の自動ワインダは、給糸ボビンのチェース部を検出するためのセンサを備えている。そして、チェース部の下降と連動して、規制部材を下降させるように構成されている。これにより、給糸ボビンから糸が解舒されるに従ってバルーンが形成される位置が変化しても、規制部材を追従させることができるので、当該バルーンに対して適切なテンションを付与することができる。
【0005】
また、特許文献1に記載の自動ワインダは、給糸ボビンが装着されたトレイを、適宜のトレイ搬送路に沿って搬送するように構成されている。この構成により、給糸ボビンをボビンセット部へと供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−286608号公報
【特許文献2】実開平6−65371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解舒補助装置によってバルーンに適切なテンションを付与するためには、給糸ボビンと、規制部材と、の位置関係は常に一定であることが好ましい。そこで従来では、特許文献1のように給糸ボビンをトレイに載せて搬送する構成において、解舒される給糸ボビンを載せたトレイを、所定の位置(規制部材の直下の位置)に位置決めするように構成されていた。
【0008】
ところが、自動ワインダにおいては、糸種に応じて様々な形状や内径の給糸ボビンが供給されるため、給糸ボビンの形状や内径によっては、トレイに対して給糸ボビンがまっすぐに取り付けられていない場合がある。このように給糸ボビンが傾いていた場合、給糸ボビンの上方に形成されるバルーンに対して規制部材を適切に接触させることができず、糸の解舒テンションが不安定となってパッケージの品質が低下する場合があった。
【0009】
なお、特許文献2には、搬送トレイのペッグの外周に、ボビンに対して遊嵌状態と圧着状態とで変形可能なボビン固定部材を設けた構成が記載されている。特許文献2は、これにより、安価な設備で確実にトレイに対して垂直にボビンを挿立できるとしている。しかし、特許文献2の構成であっても、給糸ボビンの内径や形状によっては、当該給糸ボビンをボビン固定部材によって適切に固定できない場合があり得る。従って、糸種に応じて様々な形状や内径の給糸ボビンが供給される環境では、特許文献2の構成で芯出しを確実に行うことができない場合があると考えられる。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、トレイ搬送式の糸巻取装置において、当該トレイに対する給糸ボビンの取り付け状態によらず、当該給糸ボビンから適切に糸を解舒することができる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、搬送トレイに載置された給糸ボビンから解舒された糸を巻き上げてパッケージを形成する巻取ユニットの以下の構成が提供される。即ち、この巻取ユニットは、トレイ保持部と、ボビン検出部と、トレイ位置調整機構と、を備える。前記トレイ保持部は、前記搬送トレイを保持する。前記ボビン検出部は、前記搬送トレイに載置された給糸ボビンの位置を検出する。前記トレイ位置調整機構は、前記ボビン検出部の検出結果に基づいて前記トレイ保持部を操作して、前記トレイ保持部に保持された前記搬送トレイの位置を調整する。
【0013】
このように搬送トレイの位置を調整することにより、トレイ搬送タイプの巻取ユニットにおいて給糸ボビンの位置合わせを行うことができる。これにより、給糸ボビンからの糸の解舒テンションが安定し、高速解舒が可能となる。
【0014】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記トレイ位置調整機構は、前記トレイ保持部を駆動する駆動部と、前記ボビン検出部の検出結果に基づいて前記給糸ボビンの解舒側端部の位置を予め設定された目標位置に合わせるように前記駆動部を制御して、前記トレイ保持部を操作する制御部と、を備える。
【0015】
この構成により、給糸ボビンを所定の位置に位置合わせすることができる。従って、当該給糸ボビンの糸を適切に解舒することができる。
【0016】
上記の巻取ユニットにおいて、前記ボビン検出部は、給糸ボビンの解舒側端部を検出することが好ましい。
【0017】
即ち、給糸ボビンの解舒側端部の検出結果に基づいて搬送トレイの位置を調整することにより、前記解舒側端部を目標位置に対して正確に合わせることができる。
【0018】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この巻取ユニットは、前記給糸ボビンからの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備える。前記解舒補助装置は、前記給糸ボビンからの糸の解舒時に発生するバルーンに接触する規制部材を備える。前記目標位置は、前記規制部材の解舒中心を基準として決定される。
【0019】
このように、給糸ボビンの解舒側端部を規制部材に対して位置合わせすることにより、最適なバルーンを形成させることができる。
【0020】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記規制部材は円筒部材からなる。巻取ユニットは、前記ボビン検出部が給糸ボビンを検出した位置から、当該給糸ボビンの解舒側端部の中心が前記円筒部材の軸芯に合致する目標位置まで、当該給糸ボビンを移動させるために必要な前記トレイ保持部の駆動量を記憶可能な記憶部を更に備える。前記制御部は、前記ボビン検出部が給糸ボビンを検出したときの前記搬送トレイの位置と、前記記憶部の記憶内容と、に基づいて、前記給糸ボビンの解舒側端部の位置を前記目標位置に合わせるように前記駆動部を駆動する。
【0021】
このように、給糸ボビンを目標位置に合わせるために必要な搬送トレイの移動量は、予め設定しておくことができる。これにより、簡単な制御で、給糸ボビンの解舒端の位置を正確に目標位置に合わせることができる。
【0022】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記規制部材と前記ボビン検出部は一体的に上下移動可能に構成される。前記ボビン検出部は、前記規制部材の移動位置を決定するために給糸ボビンの糸層を検出する糸層検出部としての機能を兼ねている。
【0023】
このように、1つのセンサーが、ボビンを検出する機能と糸層を検出部する機能を兼ねることにより、コストダウンを達成することができる。
【0024】
上記の巻取ユニットにおいて、前記制御部は、前記給糸ボビンの位置を調整する際に、前記ボビン検出部が給糸ボビンの解舒側端部を検出できない場合、前記ボビン検出部を下方へ移動させることが好ましい。
【0025】
これにより、短いボビンが供給された場合であって、給糸ボビンの解舒側端部の検出が可能となる。
【0026】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記トレイ保持部は、前記搬送トレイに接触して回動することにより、当該搬送トレイを搬送する搬送ガイドと、前記搬送トレイを前記搬送ガイドの逆方向から弾性的に押す弾性支持部と、を備える。前記駆動部は、前記搬送ガイドを駆動する。
【0027】
この構成で、搬送トレイを進める方向への移動は駆動部によって搬送ガイドを駆動することにより行い、当該搬送トレイを戻す方向への移動は弾性支持部の弾性力によって行う。即ち、1つの駆動部によって搬送トレイの位置を前進及び後進の両方向で調整することができる。また、搬送ガイドと弾性支持部とによって搬送トレイを挟み込んでしっかりと固定することができるので、搬送トレイの位置の調整精度を向上させることができる。
【0028】
上記の巻取ユニットにおいて、前記弾性支持部及び前記搬送ガイドの何れか一方は、給糸ボビンの芯管に接触することにより、当該芯管を介して前記搬送トレイを間接的に押すボビン接触部を備えることが好ましい。
【0029】
これにより、給糸ボビンを搬送トレイに対して押し付けることができるので、給糸ボビンを固定して正確な位置合わせを行うことができる。
【0030】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記弾性支持部は、前記搬送トレイ又は前記給糸ボビンの芯管に接触して前記搬送トレイを押す支持アームと、前記支持アームを付勢する付勢部材と、前記支持アームが前記付勢部材によって移動させられる範囲を規制するストッパと、を備える。
【0031】
これにより、搬送トレイを保持するトレイ保持部を、簡単な構成で実現することができる。また、ストッパを設けることで、支持アームが振り切らないようにすることができる。またこれにより、支持アームが搬送トレイの搬送の邪魔になることを防止できる。
【0032】
上記の巻取ユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記駆動部は、前記搬送ガイドを駆動するステッピングモータである。巻取ユニットは、前記搬送ガイドの位置を検出するための位置センサーを備えている。
【0033】
ステッピングモータを駆動源とすることにより、搬送ガイドの駆動の制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る巻取ユニットを備えた自動ワインダの全体的な構成を示す正面図。
【図2】搬送トレイ及びこれに載置された給糸ボビンの側面断面図。
【図3】巻取ユニットの側面図。
【図4】解舒補助装置近傍の斜視図。
【図5】チェース部の下降に追従させて可動部材を下降させる様子を説明する側面図。
【図6】給糸部の平面図。
【図7】搬送トレイ排出時の給糸部の平面図。
【図8】搬送ガイドの様子を示す平面図。
【図9】搬送ガイド及び弾性支持部によって搬送トレイを挟み込んでいる様子を示す側面図。
【図10】芯出し制御を行う前の様子を示す側面図。
【図11】芯出し制御において、糸層センサが給糸ボビンによって遮られたときの様子を示す側面図。
【図12】芯出し制御において、ボビン検出位置の給糸ボビンを示す側面図。
【図13】芯出し制御において、目標位置の給糸ボビンを示す側面図。
【図14】短い給糸ボビンが搬送トレイに載置されている様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態に係る自動ワインダについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の自動ワインダ10の概略的な構成を示す正面図である。
【0036】
図1に示すように、自動ワインダ10は、並べて配置された複数の巻取ユニット11と、機台制御装置12と、給糸ボビン供給装置13と、玉揚装置14と、を主に備えている。
【0037】
機台制御装置12は、各巻取ユニット11と通信可能に構成されている。自動ワインダ10のオペレータは、機台制御装置12を適宜操作することにより、複数の巻取ユニット11を一括して管理することができる。
【0038】
それぞれの巻取ユニット11は、給糸ボビン15から糸を解舒し、解舒された糸16を綾振りしながら巻取ボビンに巻き取るように構成されている。糸16が巻き取られた状態の巻取ボビンは、パッケージ18と呼ばれる。
【0039】
給糸ボビン供給装置13と各巻取ユニット11との間には、ベルトコンベア等によって構成された給糸ボビン搬送機構(図略)が配設されている。この給糸ボビン搬送機構は、給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19(図2)を各巻取ユニット11まで搬送することができるように構成されている。
【0040】
搬送トレイ19は、ペッグ部19aと、ボビン載置部19bと、ベース部19cと、から構成されている。ペッグ部19aは、図2に示すように、略垂直方向に突出する略円筒形状ないし略円錘形状に形成される。このペッグ部19aの外形は、給糸ボビン15の芯管15aの内側に挿入できる程度の径とされている。ボビン載置部19bは、ペッグ部19aと軸線を一致させた略円柱形状とされ、その上面は略水平となっている。また、ボビン載置部19bの外径は、給糸ボビン15の芯管15aの外形よりも大きく設定してある。これにより、図2に示すように、給糸ボビン15の芯管15aにペッグ部19aを挿入して、当該給糸ボビン15を搬送トレイ19上に略直立状態で載置することができる。また、ベース部19cは、ボビン載置部19bと軸線を一致させた略円柱形状とされ、その外形はボビン載置部19bよりも更に大きく設定されている。
【0041】
前記給糸ボビン供給装置13は、給糸ボビン15を一本ずつ搬送トレイ19の上に載置したうえで、前記給糸ボビン搬送機構に送り出すように構成されている。この構成で、給糸ボビン15を各巻取ユニット11まで供給することができる。
【0042】
玉揚装置14は、各巻取ユニット11においてパッケージ18が満巻(規定量の糸が巻き取られた状態)となった際に、当該巻取ユニット11の位置まで走行し、前記満巻パッケージを取り外すとともに、空の巻取ボビンをセットするように構成されている。前記給糸ボビン供給装置13と玉揚装置14の動作は、機台制御装置12によって制御されている。
【0043】
次に、図3を参照して巻取ユニット11の構成について説明する。
【0044】
各巻取ユニット11は、給糸部20と、巻取部21と、を備えている。
【0045】
給糸部20は、搬送トレイ19に載せられた給糸ボビン15を所定の位置で保持するように構成されている。これにより、給糸ボビン15から糸16を適切に解舒することができる。
【0046】
巻取部21は、クレードル23と、巻取ドラム17と、を備えている。
【0047】
クレードル23は一対のベアリングセンタを有しており、このベアリングセンタで巻取ボビン22を挟み込むことにより、当該巻取ボビン22(又はパッケージ18)を回転自在に支持するように構成されている。クレードル23は、支持しているパッケージ18の外周を巻取ドラム17の外周に接触させることができるように構成されている。
【0048】
巻取ドラム17は、パッケージ18の表面で糸16をトラバースさせるとともに前記パッケージ18を回転させるためのものである。巻取ドラム17は、図略の駆動源(電動モータなど)によって回転駆動される。パッケージ18の外周を巻取ドラム17に接触させた状態で、当該巻取ドラム17を回転駆動することにより、パッケージ18を従動回転させることができる。また、この巻取ドラム17の外周面には螺旋状の綾振溝(図略)が形成されている。給糸ボビン15から解舒された糸16は、前記綾振溝によって一定の幅でトラバース(綾振り)されながらパッケージ18表面に巻き取られる。これにより、一定の巻幅を有するパッケージ18を形成することができる。
【0049】
また、各巻取ユニット11は、給糸部20と巻取部21との間の糸走行経路中に、給糸部20側から順に、解舒補助装置24と、張力付与装置25と、糸継装置26と、糸品質測定器27と、を配置した構成となっている。また、各巻取ユニット11は、当該巻取ユニット11が備えている各構成を制御するためのユニット制御部39を備えている。このユニット制御部39は、前記機台制御装置12と通信可能に構成されている。なお、以後の説明において、糸16の走行方向の上流側及び下流側を単に「上流側」及び「下流側」と称する場合がある。
【0050】
解舒補助装置24は、給糸ボビン15の芯管に被さることが可能な規制部材28を備えている。規制部材28は、略筒状に構成されており、給糸ボビン15の糸層上部に形成されたバルーンに接触するように配置されている。なお、バルーンとは、給糸ボビン15から解舒される糸16が遠心力に振り回されている部分を言う。このバルーンに対して規制部材28を接触させることにより、当該バルーンの部分の糸16に対してテンションを付与し、糸16が過度に振り回されることを防止する。これにより、当該糸16を給糸ボビン15から適切に解舒することができる。
【0051】
張力付与装置25は、走行する糸16に所定のテンションを付与するものである。本実施形態において、張力付与装置25は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のもので構成されている。可動側の櫛歯は、櫛歯同士が噛み合わせ状態となるように付勢されている。噛み合わせ状態の櫛歯の間を屈曲させながら糸16を通過させることにより、当該糸16に対して適度なテンションを付与してパッケージ18の品質を高めることができる。ただし、張力付与装置25は上記ゲート式のものに限らず、例えばディスク式のものを採用することができる。
【0052】
糸継装置26は、給糸ボビン15とパッケージ18との間の糸16が何らかの理由により分断状態となったときに、給糸ボビン15側の下糸と、パッケージ18側の上糸と、を糸継ぎするものである。本実施形態において、糸継装置26は、圧縮空気により発生させた旋回空気流によって糸端同士を撚り合わせるスプライサ装置として構成されている。ただし、糸継装置26は上記スプライサ装置に限らず、例えば機械式のノッタ等を採用することができる。
【0053】
糸品質測定器27は、糸16の太さを適宜のセンサで監視するように構成されている。また糸品質測定器27の近傍には、当該糸品質測定器27が糸太さの異常を検出したときに直ちに糸16を切断するための図略のカッタが付設されている。
【0054】
糸継装置26の下側及び上側には、給糸ボビン15側の糸(下糸)を捕捉して案内する下糸捕捉パイプ29と、パッケージ18側の糸(上糸)を捕捉して案内する上糸捕捉パイプ30と、が設けられている。下糸捕捉パイプ29の先端には吸引口31が形成され、上糸捕捉パイプ30の先端にはサクションマウス32が備えられている。2つの捕捉パイプ29,30には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口31及びサクションマウス32に吸引流を作用させることができる。
【0055】
この構成で、給糸ボビン15とパッケージ18との間で糸が分断状態となったときには、下糸捕捉パイプ29によって給糸ボビン側の糸を捕捉して糸継装置に導入するとともに、上糸案内パイプによってパッケージ側の糸を捕捉して糸継装置に導入する。この状態で糸継装置26を駆動することで、上糸と下糸を糸継ぎし、給糸ボビン15とパッケージ18との間で糸16を連続状態とする。これにより、パッケージ18への糸16の巻取りを再開することができる。
【0056】
次に、図4を参照して、解舒補助装置24について詳しく説明する。解舒補助装置24の前記規制部材28は、固定部材28aと、可動部材28bと、から構成されている。
【0057】
固定部材28aは、適宜の部材を介して、巻取ユニット11の本体フレームに対して固定されている。固定部材28aは略筒状に構成されている。一方の可動部材28bも略筒状に構成されており、固定部材28aの外側を覆うように、固定部材28aと軸線を一致させて配置されている。固定部材28a及び可動部材28bの中心軸線は、略鉛直となるように配置されている。なお、以下の説明において、筒状に構成された固定部材28a及び可動部材28bの中心軸線(解舒中心)の延長線を、仮想線70とする。
【0058】
解舒補助装置24は、可動部材28bを、その軸線に沿って略鉛直方向に移動させるための図略の昇降機構を備えている。この昇降機構の動作は、前記ユニット制御部39によって制御されている。
【0059】
また、解舒補助装置24は、可動部材28bと一体的に移動するセンサ保持部材35を備えている。このセンサ保持部材35には、給糸ボビン15の糸層の上端面(以下、チェース部と呼ぶ)を検出するための糸層センサ36が固定されている。この糸層センサ36は、投光部36aと受光部36bとを有する透過式のフォトセンサとして構成されている。即ち、この投光部36aと受光部36bとの間がチェース部によって遮られたときに、当該チェース部を検出する。この糸層センサ36の検出結果は、前記ユニット制御部39に送られる。
【0060】
糸巻取中において、ユニット制御部39は、糸層センサ36によってチェース部が検出できる位置まで可動部材28b(及びセンサ保持部材35)を下降させるように制御を行う。これにより、図5に示すように、給糸ボビン15からの糸16が解舒されることによるチェース部の下降(給糸ボビン15の糸の減少)に追従させて、可動部材28b(及びセンサ保持部材35)を下降させていくことができる。これにより、チェース部と可動部材28bとの位置関係を常に一定にすることができるので、バルーンに対して付与するテンションを一定に保ち、給糸ボビン15から糸16を適切に解舒することができる。
【0061】
次に、給糸部20の構成について説明する。給糸部20は、前記ボビン搬送経路を搬送される搬送トレイ19を巻取ユニット11に取り込んで、所定の位置で保持するように構成されている。
【0062】
図6に示すように、ボビン搬送経路は、給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19を各巻取ユニット11まで搬送する供給コンベア40と、各巻取ユニット11から排出された搬送トレイ19を回収する回収コンベア41と、から構成されている。なお、供給コンベア40は巻取ユニット11の背面側に、回収コンベア41は巻取ユニット11の正面側に、それぞれ配設されている。
【0063】
給糸部20は、通路パネル42と、ターンテーブル43と、搬送ガイド44と、を主に備えている。
【0064】
この通路パネル42は、略水平に設けられるとともに、供給コンベア40及び回収コンベア41の搬送面よりも上方に配置されている。また、通路パネル42には、供給コンベア40と回収コンベア41とを接続するトレイ通路45が形成されている。このトレイ通路45は、ボビン載置部19bの外径とほぼ同じ幅を有する細長い間隙として形成されている。
【0065】
供給コンベア40を搬送される搬送トレイ19は、トレイ通路45に順次取り込まれる。トレイ通路45に取り込まれた搬送トレイ19のボビン載置部19bは、トレイ通路45に嵌まりこむようにして案内される(図6参照)。これにより、搬送トレイ19が、トレイ通路45に沿って搬送される。なお、以下の説明で、搬送トレイ19がトレイ通路45を供給コンベア40から回収コンベア41に向けて搬送される方向を、搬送方向と呼ぶ。本実施形態において、搬送方向は、装置の略前後方向(図6の略上下方向)である。
【0066】
トレイ通路45の入口部分において、通路パネル42の下方には、ターンテーブル43が配置されている。このターンテーブル43は、図8に示すように円板状に形成されており、その上面は略水平となっている。ターンテーブル43は、カム機構48及びワンウェイクラッチ49を介してステッピングモータ(駆動部)47の駆動力により一方向(図6の反時計回り方向)に回転駆動されるように構成されている。トレイ通路45に取り込まれた搬送トレイ19は、ターンテーブル43の上に乗せられて、当該ターンテーブル43の回転により、トレイ通路45を下流側に向けて搬送される。なお、前記ステッピングモータ47は、モータ制御部50によって制御されている。このモータ制御部50は、前述のユニット制御部39と通信可能に構成されている。
【0067】
トレイ通路45の途中には、ターンテーブル43によって搬送される搬送トレイ19を堰き止める搬送ガイド44が配置されている。
【0068】
具体的には、この搬送ガイド44は、トレイ通路45を搬送される搬送トレイ19のベース部19cに対して接触する係止部44aを有している。ターンテーブル43によって搬送される搬送トレイ19に対して、搬送方向下流側から係止部44aを当接させることにより、搬送トレイ19を堰き止める構成である。搬送ガイド44の係止部44aによって搬送トレイ19が堰き止められている様子を、図6に示す。
【0069】
本実施形態の巻取ユニット11において、給糸部20は、トレイ保持部51を有している。トレイ保持部51は、図3に示すように、巻取ユニット11によって糸が解舒される給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19を保持するように構成されている。図6に示すように、トレイ保持部51が搬送トレイ19を保持する位置は、搬送ガイド44が搬送トレイ19を堰き止めている位置よりも搬送方向下流側である。トレイ保持部51が適切な位置で搬送トレイ19を保持することにより、当該搬送トレイ19に載せられている給糸ボビン15から、糸16を適切に解舒することができる。なお、トレイ保持部51の詳しい構成については後述する。
【0070】
トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19上の給糸ボビン15から糸16が解舒されて、当該給糸ボビン15が空(給糸ボビン15に糸が巻かれていない状態)になったときには、給糸部20は、空の給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19の排出と、新しい給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19の繰り入れを行う。
【0071】
具体的には、以下のとおりである。前記搬送ガイド44は、カム機構48を介して、ステッピングモータ47の駆動力により図6の時計回り及び反時計回り方向に回動可能に構成されている。トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19上の給糸ボビン15が空になったことが検出されると、ユニット制御部39は、ボビン交換信号をモータ制御部50に送信する。ボビン交換信号を受信したモータ制御部50は、ステッピングモータ47を適宜制御することにより、カム機構48を介して搬送ガイド44を図6の状態から時計回りに回動させる。
【0072】
これにより、図7に示すように、トレイ保持部51がそれまで保持していた搬送トレイ19が開放されるとともに、当該搬送トレイ19を、搬送ガイド44に形成された押し出し部44bによって回収コンベア41に向けて押し出す。回収コンベア41に押し出された搬送トレイ19は、当該回収コンベア41によって搬送され、給糸ボビン供給装置13に回収される。またこれと同時に、搬送ガイド44の係止部44aによって堰き止められていた搬送トレイ19が、1つ、搬送方向下流側に取り込まれる。
【0073】
続いてモータ制御部50は、ステッピングモータ47を適宜制御することにより、カム機構48を介して搬送ガイド44を図7の状態から反時計回りに回動させる。これにより、搬送ガイド44の位置が図6の状態に戻るので、取り込んだ新しい搬送トレイ19をトレイ保持部51によって保持するとともに、これよりも搬送方向上流側の搬送トレイ19を係止部44aによって再び堰き止めることができる。
【0074】
以上のように、給糸部20は、搬送ガイド44の回転により、搬送トレイ19の取り込み、搬送トレイ19の排出、及び搬送トレイ19の保持を行うように構成されている。
【0075】
次に、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
【0076】
まず、図5に示すように、搬送トレイ19に対して給糸ボビン15が直立した状態で載置されている場合を考える。従来の巻取ユニットにおいては、このように給糸ボビン15が直立していることを前提としていたので、給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19を、規制部材28の直下位置(より正確には、仮想線70と、搬送トレイ19のペッグ部19aの軸線と、が一致した位置)で保持するように構成されていた。このときの搬送トレイ19の位置(図5の位置)を、搬送トレイ19の基準位置と呼ぶ。基準位置で搬送トレイ19を保持することにより、当該搬送トレイ19に載置されている給糸ボビン15の軸線を、仮想線70(規制部材28の中心軸線)に一致させることができる。
【0077】
これにより、当該給糸ボビン15の上方に形成されるバルーンに対して、規制部材28を適切に接触させることができるので、当該給糸ボビン15からの糸の解舒を適切に行うことができる。特に、給糸ボビン15の軸線と仮想線70とが一致している図4の状態であれば、当該給糸ボビン15の位置(特に給糸ボビン15の先端位置)は一定であるから、当該給糸ボビン15のチェース部を糸層センサ36によって安定して検出することができる。従って、チェース部の下降に追従させて可動部材28bを適切に下降させていくことができるので、バルーンに対する規制部材28の被さり具合は常に一定となり、当該バルーンに対して安定したテンションを付与することができる。
【0078】
ところが、巻取ユニット11には様々な形状や内径の給糸ボビンが供給されるため、例えば図10に示すように、搬送トレイ19に対して給糸ボビン15がまっすぐに刺さっていない場合があり得る。従って、実際には、搬送トレイ19を基準位置で保持したとしても、当該搬送トレイ19に載っている給糸ボビン15の位置、特に給糸ボビン15の先端(解舒側端部)15bの位置は一定とならなかった。
【0079】
このように給糸ボビン15の位置が一定とならない場合、当該給糸ボビン15のチェース部の位置を糸層センサ36によって安定して検出することができず、結果として給糸ボビン15に対する規制部材28の被さり具合が安定しない。この結果、給糸ボビン15の上方に形成されるバルーンに対して規制部材28を適切に接触させることができず、当該バルーンに適切なテンションを付与することができないという問題があったのである。
【0080】
そこで本実施形態の巻取ユニット11は、給糸部20が保持する搬送トレイ19の位置を調整することができるように構成したものである。
【0081】
以下、具体的に説明する。前述のように、本実施形態の給糸部20は、給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19を保持するトレイ保持部51を備えている。トレイ保持部51は、前述の搬送ガイド44と、弾性支持部52と、によって搬送トレイ19を挟み込んで保持する構成である。
【0082】
図6及び図9に示すように、搬送ガイド44には、搬送トレイ19のボビン載置部19bの周面に対して、搬送方向上流側から接触するトレイ接触部53が設けられている。このトレイ接触部53は、板金から構成されている。図9に示すように、このトレイ接触部53は、搬送トレイ19に接触する部分において折り曲げられ、板金の端面が搬送トレイ19側を向かないように構成されている。これにより、板金の端面が搬送トレイ19に接触しないので、当該搬送トレイ19が傷付くことを防止できる。
【0083】
図6に示すように、弾性支持部52は、支軸54を中心に回動可能に構成された支持アーム57を備えている。また、前記支軸54には、図略の付勢部材が配置されており、支持アーム57を図6の時計回り方向に付勢している。なお、支持アーム57が前記付勢部材の付勢力によって無制限に回動することを阻止するために、当該支持アーム57に接触するストッパ55が通路パネル42上に配置されている。ストッパ55によって支持アーム57の回動を阻止している様子は、図7に示されている。なお、このようにストッパ55で支持アーム57を適宜の位置に係止しておくことにより、搬送トレイ19の搬送が支持アーム57によって邪魔されることを防止できる。
【0084】
支持アーム57は、その側面が、搬送トレイ19のボビン載置部19bの周面に対して搬送方向下流側から接触できるように配置されている。また、支持アーム57は上記のように時計回りに付勢されているので、当該支持アーム57の側面によって、搬送トレイ19のボビン載置部19bの周面を搬送方向下流側から弾性的に押すことができる。一方図9に示すように、支持アーム57とは反対側(搬送方向上流側)から、搬送ガイド44のトレイ接触部53がボビン載置部19bに接触している。従って、本実施形態のトレイ保持部51は、弾性支持部52のボビン接触部56と、支持アーム57の側面と、によって搬送トレイ19を弾性的に挟み込んで保持する構成である。
【0085】
また、支持アーム57の先端の上面には、ボビン接触部56が取り付けられている。このボビン接触部56は、支持アーム57の側面が搬送トレイ19のボビン載置部19bに接触したときに、当該搬送トレイ19に載置された給糸ボビン15の下端部(より正確には、ボビンの芯管15aの下端部の外周)に接触できるように配置されている。ボビン接触部56が給糸ボビン15の芯管15aの下端部に接触している様子は、例えば図9等に示されている。このボビン接触部56の給糸ボビン15に接触する部分は、比較的軟らかい素材(具体的にはプラスチック)から構成されている。これにより、ボビン接触部56が接触した給糸ボビン15が傷付くことを防止できる。
【0086】
支持アーム57は時計回りに付勢されているので、当該支持アーム57に取り付けられているボビン接触部56は、給糸ボビン15を搬送方向下流側から弾性的に押すことができる。一方で前述のように、ボビン接触部56が押す方向とは反対側(搬送方向上流側)から、搬送ガイド44のトレイ接触部53が搬送トレイ19に接触している。この結果、図9に示すように、給糸ボビン15は、ボビン接触部56によって押されることにより、搬送トレイ19のペッグ部19aに押し付けられる。このように、ボビン接触部56によって給糸ボビン15を搬送トレイ19に対して押し付けることにより、給糸ボビン15の姿勢を固定できるので、ボビンの芯出し制御(後述)の最中に給糸ボビン15の姿勢が変化してしまうことをより確実に防止できる。
【0087】
上記の構成において、弾性支持部52のボビン接触部56は、搬送トレイ19のペッグ部19aを、給糸ボビン15を介して間接的に押しているともいえる。従って、本実施形態のトレイ保持部51は、弾性支持部52のボビン接触部56と、搬送ガイド44のトレイ接触部53と、によって搬送トレイ19を間接的に挟み込んで保持する構成であるとも言うことができる。このように、本実施形態の弾性支持部52においては、支持アーム57に加えて、ボビン接触部56も搬送トレイ19を保持する機能を有している。これにより、搬送トレイ19を確実に保持することが可能となり、搬送トレイ19が傾いてしまうことを防止できる。
【0088】
なお図6に示すように、搬送ガイド44のトレイ接触部53と、弾性支持部52の支持アーム57及びボビン接触部56は、平面視で略ハ字状(V字状)に配置されている。これにより、トレイ接触部53と、支持アーム57及びボビン接触部56と、によって挟み込まれている搬送トレイ19は、前記ハ字(V字)の広がる方向に付勢される結果、トレイ通路45の縁部45aに押し付けられる。これにより、トレイ保持部51で保持される搬送トレイ19は、トレイ接触部53と、支持アーム57(及びボビン接触部56)と、トレイ通路45の縁部45aと、の三点で支持されることになる。このように、搬送トレイ19を三点支持することで、当該搬送トレイ19を安定して保持することができる。
【0089】
ここで前述のように、搬送ガイド44は、ステッピングモータを制御することにより、時計回り又は反時計回りに回動させることが可能である。そこで、図6の状態から搬送ガイド44を時計回りで若干回動させた場合を考える。この場合、搬送ガイド44のトレイ接触部53は、搬送方向上流側に若干移動する。一方、弾性支持部52のボビン接触部56は、搬送方向下流側から弾性的に搬送トレイ19を押している。この結果、トレイ保持部51が保持している前記搬送トレイ19は、弾性支持部52に押されて搬送方向上流側に向けて移動する。
【0090】
次に、図6の状態から搬送ガイド44を反時計回りで若干回動させた場合を考える。この場合、搬送ガイド44のトレイ接触部53は、搬送トレイ19の搬送方向下流側に若干移動する。このとき、搬送トレイ19は、トレイ接触部53によって搬送方向下流側に向けて押されることになる。このとき、搬送トレイ19は、弾性支持部52のボビン接触部56を押しのけるようにしながら、搬送方向下流側に移動することができる。
【0091】
このように、本実施形態では、搬送ガイド44を回動させることにより、トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19を、搬送方向上流側又は下流側に向けて移動させることができる。即ち、搬送ガイド44の回動角を調整することにより、トレイ保持部51が搬送トレイ19を保持する位置を調整することができる。搬送ガイド44の回動角は、モータ制御部50がステッピングモータ47を制御することにより、カム機構48を介して調整することができる。従って、モータ制御部50、ステッピングモータ47、及びカム機構48は、トレイ位置調整機構58を構成していると言うことができる。
【0092】
次に、上記のように構成されたトレイ保持部51及びトレイ位置調整機構58による給糸ボビン15の芯出し制御について詳しく説明する。
【0093】
前述のように、給糸ボビン15が搬送トレイ19に対して斜めに刺さっている場合(例えば図10のような場合)があるので、仮に搬送トレイ19を基準位置(規制部材28の直下の位置)で保持したとしても、規制部材28に対する給糸ボビン15の位置(特に、給糸ボビン15の先端15bの位置)を一定とすることはできない。
【0094】
そこでトレイ位置調整機構58は、給糸ボビン15の先端15bの中心が、規制部材28の軸線を通る仮想線70に一致した状態(図13の状態)となるように搬送トレイ19を移動させるボビン芯出し制御を行うように構成されている。ここで、給糸ボビン15の先端15bの中心が規制部材28の軸線を通る仮想線に一致したときの給糸ボビン15の位置(図13の位置)を、目標位置とする。従って、本実施形態の芯出し制御とは、搬送トレイ19に載置されている給糸ボビン15を、目標位置に合わせる制御である。
【0095】
即ち、仮に給糸ボビン15が搬送トレイ19に斜めに刺さっていたとしても、当該給糸ボビン15の先端15bを仮想線70に一致させることができれば(給糸ボビン15を目標位置に合わせることができれば)、給糸ボビン15の先端15bと規制部材28との位置関係は一定となる。従って、芯出し制御を行うことにより、給糸ボビン15の傾きによらず、当該給糸ボビン15から解舒される糸16に対して規制部材28を適切に接触させることができる。
【0096】
以下、芯出し制御について具体的に説明する。この芯出し制御は、空になった給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19を排出するとともに、新しい給糸ボビン15を載せた搬送トレイ19をトレイ保持部51が取り込んだときに行われる。
【0097】
まず、トレイ位置調整機構58は、トレイ保持部51を駆動することにより、当該トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19(新しい給糸ボビン15が載った搬送トレイ19)を一方向へ移動させる。このとき搬送トレイ19を移動させる方向は、給糸ボビン15が糸層センサ36に近づく方向である。例えば本実施形態では、図10等に示すように、仮想線70からみて装置正面側(図10の右側)に糸層センサ36が配置されている。従って本実施形態では、トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19を、基準位置から装置正面側に向けて移動させる。より具体的には、モータ制御部50が、ステッピングモータ47を適宜制御することにより、搬送ガイド44を図6の反時計回りに回動させ、搬送トレイ19を搬送方向下流側に向けて(装置略正面側に向けて)移動させる。
【0098】
搬送トレイ19を装置正面側に向けて移動させていくと、ある時点で、糸層センサ36の投光部と受光部との間が給糸ボビン15の先端15bによって遮られる(図11の状態)。即ち、糸層センサ36によって給糸ボビン15の先端15bが検出される。
【0099】
糸層センサ36によって給糸ボビン15の先端15bが検出された場合、トレイ位置調整機構58は、トレイ保持部51を駆動することにより、当該トレイ保持部51が保持している搬送トレイ19を、先ほどとは逆方向に移動させる。具体的には、モータ制御部50が、ステッピングモータ47を適宜制御することにより搬送ガイド44を図6の時計回に回動させて、搬送トレイ19を搬送方向上流側に向けて(装置略背面側に向けて)移動させる。このとき、モータ制御部50は、搬送ガイド44を反時計回りに回動させたときよりも遅い速度で、当該搬送ガイド44を時計回りに回動させる。即ち、トレイ位置調整機構58は、搬送トレイ19を背面側に向けてゆっくりと移動させる。
【0100】
搬送トレイ19を図11の状態から装置背面側に移動させていくと、ある時点で、糸層センサ36の投光部と受光部との間が給糸ボビン15の先端15bによって遮られなくなる(図12の状態)。給糸ボビン15の先端15bが糸層センサ36から外れたときの給糸ボビン15の位置を、ボビン検出位置とする。トレイ位置調整機構58が搬送トレイ19をゆっくりと移動させているので、給糸ボビン15の先端が糸層センサ36から外れる位置(ボビン検出位置)を精度良く検出することができる。このように、糸層センサ36によって給糸ボビン15の位置を検出することができるのて、糸層センサ36はボビン検出部としての機能を兼ねているといえる。
【0101】
ここで、糸層センサ36の位置は既知であるから、ボビン検出位置における給糸ボビン15の先端15bの位置は一定である。従って、ボビン検出位置から給糸ボビン15を定距離だけ移動させることにより、当該給糸ボビン15を目標位置に合わせることができる。
【0102】
本実施形態において、モータ制御部50は、ボビン検出位置の給糸ボビン15を目標位置まで移動させるために必要な搬送ガイド44の回動角(搬送ガイド44を回動させる角度)を記憶する記憶部59を備えている。上記芯出し制御において、給糸ボビン15の先端15bが糸層センサ36から外れたことが検出されると(図12の状態)、トレイ位置調整機構58のモータ制御部50は、ボビン検出位置における搬送ガイド44の位置から、記憶部59に記憶されている回動角だけ、当該搬送ガイド44を時計回りに回動させる。これにより、搬送トレイ19が図12の状態から背面側に向けて所定距離だけ移動させて、給糸ボビン15を目標位置に合わせることができる(図13の状態)。
【0103】
また、糸層センサ36を移動可能に構成する場合は、その移動位置又は移動後の糸層センサ36の位置と、規制部材28の軸線を通る仮想線70と、の水平距離を入力可能な入力部を設けても良い。入力部に前記水平距離を入力することにより、記憶部に記憶されている回動角を置き換えることが可能である。
【0104】
以上の芯出し制御によれば、搬送トレイ19上の給糸ボビン15がどのように傾いていたとしても、当該給糸ボビン15の先端15bの中心を、規制部材28の軸線を通る仮想線70に対して搬送方向で一致させることができる。これにより、給糸ボビン15の傾きによらず、給糸ボビン15の先端15bと規制部材28との位置関係を一定とすることができるので、当該給糸ボビン15から解舒される糸16に対して規制部材28を適切に接触させ、解舒テンションを一定に保つことができる。また、給糸ボビン15の先端15bと規制部材28とが位置あわせされていることにより、当該給糸ボビン15のチェース部を糸層センサ36によって安定して検出することができる。これにより、チェース部の下降に追従させて可動部材28bを適切に下降させ、解舒テンションを一定に保つことができる。したがって、給糸ボビン15からの糸16の解舒が安定し、高速解舒が可能になる。
【0105】
なお、トレイ位置調整機構58は、ステッピングモータ47の原点位置を定義するための位置センサ60を備えている。この位置センサ60は、搬送ガイド44の回動角が所定の回動角になったことを検出できるように構成されている。位置センサ60は、搬送ガイド44自体に取り付けられていても良いし、例えばカム機構48に取り付けられていても良い。上記の芯出し制御において、モータ制御部50は、位置センサ60からの情報に基づいて、搬送ガイド44の回動角が所定の回動角になったことを検出すると、そのときのステッピングモータ47の回転位置を原点として定義し、その原点を基準として当該ステッピングモータ47を制御するように構成されている。また、ステッピングモータ47の回転位置を検出可能なエンコーダ方式の位置センサにより、搬送ガイド44の回動角の実測値を検出し、当該回動角に基づいて当該搬送ガイド44を駆動しても良い。この場合、搬送ガイド44の回動角を正確に制御できるので、搬送トレイ19を目標位置に正確に合わせることができる。また、本実施形態では、搬送ガイド44の駆動源にステッピングモータを採用しているので、搬送ガイド44の回動角の細かい制御が容易となっている。
【0106】
ところで、搬送トレイ19にはさまざまな形状の給糸ボビン15が載せられるので、想定されているよりも短い給糸ボビンが載っている場合がある。上記芯出し制御において、例えば図14に示すように、給糸ボビン15の先端15bが糸層センサ36よりも低い位置にある場合、糸層センサ36によって給糸ボビン15を検出することができない。
【0107】
そこで、上記芯出し制御において、給糸ボビン15が糸層センサ36によって検出されるべき位置まで搬送トレイ19を移動させても、糸層センサ36が給糸ボビン15を検出しなかった場合、ユニット制御部39は、糸層センサ36(及び可動部材28b)を一定距離だけ下降させるように制御を行う。糸層センサ36が下降すると、トレイ位置調整機構58は、上記芯出し制御を再び行う。この制御によれば、短い給糸ボビン15が搬送トレイ19に載っている場合であっても、当該給糸ボビン15を糸層センサ36によって確実に検出することができる。
【0108】
以上で説明したように、本実施形態の巻取ユニット11は、トレイ保持部51と、糸層センサ36と、トレイ位置調整機構58と、を備える。トレイ保持部51は、搬送トレイ19を保持する。糸層センサ36は、搬送トレイ19に載置された給糸ボビン15の位置を検出する。トレイ位置調整機構58は、糸層センサ36の検出結果に基づいてトレイ保持部51を操作して、トレイ保持部51に保持された搬送トレイ19の位置を調整する。
【0109】
このように搬送トレイ19の位置を調整することにより、トレイ搬送タイプの巻取ユニット11において給糸ボビン15の位置合わせを行うことができる。これにより、給糸ボビン15からの糸16の解舒テンションが安定し、高速解舒が可能となる。
【0110】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、トレイ位置調整機構58は、トレイ保持部51を駆動するステッピングモータ47と、糸層センサ36の検出結果に基づいて、給糸ボビン15の解舒側端部の位置を予め設定された目標位置に合わせるようにステッピングモータ47を制御して、トレイ保持部51を操作するモータ制御部50と、を備える。
【0111】
この構成により、給糸ボビン15を所定の位置に位置合わせすることができる。従って、当該給糸ボビン15の糸16を適切に解舒することができる。
【0112】
また本実施形態の巻取ユニット11において、糸層センサ36は、給糸ボビン15の解舒側端部(先端15b)を検出している。
【0113】
即ち、給糸ボビン15の解舒側端部の検出結果に基づいて搬送トレイ19の位置を調整することにより、前記解舒側端部を目標位置に対して正確に合わせることができる。
【0114】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、この巻取ユニット11は、給糸ボビン15からの糸16の解舒を補助する解舒補助装置24を備える。解舒補助装置24は、給糸ボビン15からの糸16の解舒時に発生するバルーンに接触する規制部材28を備える。前記目標位置は、規制部材28の解舒中心を基準として決定される。
【0115】
このように、給糸ボビン15の解舒側端部を規制部材28に対して位置合わせすることにより、最適なバルーンを形成させることができる。
【0116】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、規制部材28は円筒部材からなる。巻取ユニット11は、糸層センサ36が給糸ボビン15を検出した位置から、当該給糸ボビン15の解舒側端部の中心が前記円筒部材の軸芯に合致する目標位置まで、当該給糸ボビン15を移動させるために必要なトレイ保持部51の駆動量(具体的には、搬送ガイド44の回動角)を記憶可能な記憶部59を更に備える。モータ制御部50は、糸層センサ36による給糸ボビン15を検出したときの搬送トレイ19の位置と、記憶部59の記憶内容と、に基づいて、給糸ボビン15の解舒側端部の位置を前記目標位置に合わせるようにステッピングモータ47を駆動する。
【0117】
このように、給糸ボビン15を目標位置に合わせるために必要な搬送トレイ19の移動量は、予め設定しておくことができる。これにより、簡単な制御で、給糸ボビン15の解舒端の位置を正確に目標位置に合わせることができる。
【0118】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、規制部材28と糸層センサ36は一体的に上下移動可能に構成される。糸層センサ36は、規制部材28の移動位置を決定するために給糸ボビン15の糸層(チェース部)を検出する。
【0119】
このように、1つのセンサーが、ボビンを検出する機能と糸層を検出部する機能を兼ねることにより、コストダウンを達成することができる。
【0120】
また本実施形態の巻取ユニット11において、ユニット制御部39は、給糸ボビン15の位置を調整する際に、糸層センサ36が給糸ボビン15の解舒側端部を検出できない場合、糸層センサ36を下方へ移動させる。
【0121】
これにより、短い給糸ボビンが供給された場合であって、給糸ボビンの解舒側端部の検出が可能となる。
【0122】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、トレイ保持部51は、搬送トレイ19に接触して回動することにより、当該搬送トレイ19を搬送する搬送ガイド44と、搬送トレイ19を搬送ガイド44の逆方向から弾性的に押す弾性支持部52と、を備える。ステッピングモータ47は、搬送ガイド44を駆動する。
【0123】
この構成で、搬送トレイ19の下流側への移動はステッピングモータ47によって搬送ガイド44を駆動することにより行い、当該搬送トレイ19の上流側への移動は弾性支持部52の弾性力によって行う。即ち、1つのステッピングモータ47によって搬送トレイ19の位置を前進及び後進の両方向で調整することができる。また、搬送ガイド44と弾性支持部52とによって搬送トレイ19を挟み込んでしっかりと固定することができるので、搬送トレイ19の位置の調整精度を向上させることができる。
【0124】
また本実施形態の巻取ユニット11において、弾性支持部52は、給糸ボビン15の芯管15aに接触することにより、当該芯管15aを介して前記搬送トレイ19を間接的に押すボビン接触部56を備えている。
【0125】
これにより、給糸ボビン15を搬送トレイ19に対して押し付けることができるので、給糸ボビン15を固定して正確な位置合わせを行うことができる。
【0126】
また本実施形態の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、弾性支持部52は、搬送トレイ19又は給糸ボビン15の芯管15aに接触して前記搬送トレイ19を押す支持アーム57と、支持アーム57を付勢する付勢部材と、支持アーム57が前記付勢部材によって移動させられる範囲を規制するストッパ55と、を備える。
【0127】
これにより、搬送トレイ19を保持するトレイ保持部を簡単な構成で実現することができる。また、ストッパ55を設けることで、支持アーム57が振り切らないようにすることができる。またこれにより、支持アーム57が搬送トレイ19の搬送の邪魔になることを防止できる。
【0128】
上記の巻取ユニット11は、以下のように構成されている。即ち、搬送ガイド44は、ステッピングモータ47によって駆動される。巻取ユニット11は、搬送ガイド44の位置を検出するための位置センサ60を備えている。
【0129】
ステッピングモータを駆動源とすることにより、搬送ガイドの駆動の制御を容易に行うことができる。
【0130】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0131】
上記実施形態のトレイ保持部51において、弾性支持部52は、支持アーム57を搬送トレイ19に、ボビン接触部56を給糸ボビン15の芯管に、それぞれ接触させる構成とした。しかしこれに代えて、ボビン接触部56が給糸ボビン15の芯管に接触したときに、支持アーム57の側面が搬送トレイ19に接触しないように構成することもできる。即ち、弾性支持部52が搬送トレイ19に対して直接的に接触しない構成であっても良い。この場合であっても、弾性支持部52のボビン接触部56は、搬送トレイ19を、給糸ボビン15の芯管を介して間接的に押すことができる。これにより、弾性支持部52と搬送ガイド44とによって、搬送トレイ19を(間接的に)挟み込んで保持することができる。
【0132】
なお、支持アーム57とボビン接触部56は別体とする必要はなく、支持アーム57とボビン接触部56が一体的に形成されていても良い。
【0133】
また、弾性支持部52を給糸ボビン15に接触させる構成に代えて、搬送ガイド44を給糸ボビン15に接触させる構成であっても良い。即ち、搬送ガイド44がボビン接触部56を備える構成であっても良い。
【0134】
もっとも、搬送ガイド44と弾性支持部52の両方を搬送トレイ19に対して直接接触させるとともに、ボビン接触部56を省略した構成であっても良い。ただし、この場合は、給糸ボビン15を搬送トレイ19のペッグ部19aに押し付けて当該給糸ボビン15を固定するというボビン接触部56の効果を得ることはできない。このため、ボビン接触部56を省略した場合は、何らかの別の手段によって給糸ボビン15が搬送トレイ19に固定されていることが好ましい。例えば、特許文献2のように、搬送トレイがボビン固定部材を備えた構成を採用することができる。
【0135】
トレイ保持部51を駆動するための構成は、上記のものに限らない。例えば、カム機構を介してステッピングモータによって駆動する構成に換えて、ギアによって駆動する構成としても良い。また、トレイ保持部51の駆動源は、ステッピングモータに限らず、適宜のサーボモータでも良い。
【0136】
モータ制御部50は、ユニット制御部39の機能の一部として構成することもできる。また、モータ制御部50が記憶部59を備える構成に換えて、ユニット制御部39が記憶部59を備える構成とすることもできる。
【0137】
上記実施形態では、糸層センサ36は仮想線70よりも装置正面側に配置されているが、仮想線70よりも装置背面側に配置される構成であってもよい。また、芯出し制御中に給糸ボビン15を検出するためのセンサ(ボビン検出部)を、糸層センサ36とは別に設けても良い。
【0138】
上記の実施形態において、芯出し制御は、トレイ保持部51が新しい給糸ボビン15を取り込んだときに行うものとして説明した。しかしこれに限らず、必要に応じて任意のタイミングで芯出し制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0139】
11 巻取ユニット
15 給糸ボビン
19 搬送トレイ
36 糸層センサ36(ボビン検出部)
44 搬送ガイド
47 ステッピングモータ(駆動部)
51 トレイ保持部
52 弾性支持部
58 トレイ位置調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送トレイに載置された給糸ボビンから解舒された糸を巻き上げてパッケージを形成する巻取ユニットであって、
前記搬送トレイを保持するトレイ保持部と、
前記搬送トレイに載置された給糸ボビンの位置を検出するボビン検出部と、
前記ボビン検出部の検出結果に基づいて前記トレイ保持部を操作して、前記トレイ保持部に保持された前記搬送トレイの位置を調整するトレイ位置調整機構と、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取ユニットであって、
前記トレイ位置調整機構は、
前記トレイ保持部を駆動する駆動部と、
前記ボビン検出部の検出結果に基づいて前記給糸ボビンの解舒側端部の位置を予め設定された目標位置に合わせるように前記駆動部を制御して、前記トレイ保持部を操作する制御部と、
を備えていることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取ユニットであって、
前記ボビン検出部は、給糸ボビンの解舒側端部を検出することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の巻取ユニットであって、
前記給糸ボビンからの糸の解舒を補助する解舒補助装置を備え、
前記解舒補助装置は、前記給糸ボビンからの糸の解舒時に発生するバルーンに接触する規制部材を備え、
前記目標位置は、前記規制部材の解舒中心を基準として決定されることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の巻取ユニットであって、
前記規制部材は円筒部材からなり、
前記ボビン検出部が給糸ボビンを検出した位置から、当該給糸ボビンの解舒側端部の中心が前記円筒部材の軸芯に合致する目標位置まで、当該給糸ボビンを移動させるために必要な前記トレイ保持部の駆動量を記憶可能な記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記ボビン検出部が給糸ボビンを検出したときの前記搬送トレイの位置と、前記記憶部の記憶内容と、に基づいて、前記給糸ボビンの解舒側端部の位置を前記目標位置に合わせるように前記駆動部を駆動することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の巻取ユニットであって、
前記規制部材と前記ボビン検出部は一体的に上下移動可能に構成され、
前記ボビン検出部は、前記規制部材の移動位置を決定するために給糸ボビンの糸層を検出する糸層検出部としての機能を兼ねていることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の巻取ユニットであって、
前記制御部は、前記給糸ボビンの位置を調整する際に、前記ボビン検出部が給糸ボビンの解舒側端部を検出できない場合、前記ボビン検出部を下方へ移動させることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項8】
請求項2から7までの何れか一項に記載の巻取ユニットであって、
前記トレイ保持部は、
搬送トレイに接触して回動することにより、当該搬送トレイを搬送する搬送ガイドと、
前記搬送トレイを前記搬送ガイドの逆方向から弾性的に押す弾性支持部と、
を備え、
前記駆動部は、前記搬送ガイドを駆動することを特徴とする巻取ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の巻取ユニットであって、
前記弾性支持部及び前記搬送ガイドの何れか一方は、給糸ボビンの芯管に接触することにより、当該芯管を介して前記搬送トレイを間接的に押すボビン接触部を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の巻取ユニットであって、
前記弾性支持部は、
前記搬送トレイ又は前記給糸ボビンの芯管に接触して前記搬送トレイを支持する支持アームと、
前記支持アームを付勢する付勢部材と、
前記支持アームが前記付勢部材によって移動させられる範囲を規制するストッパと、
を備えることを特徴とする巻取ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の巻取ユニットであって、
前記駆動部は、前記搬送ガイドを駆動するステッピングモータであって、
前記搬送ガイドの位置を検出するための位置センサーを備えていることを特徴とする巻取ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−56767(P2013−56767A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197702(P2011−197702)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】