説明

巻取装置及びスクリーン装置

【課題】簡易的な構造によってスクリーンの導出及び巻き取りを行い、同時に精度よく円滑なスクリーンの開閉を実現する技術を提供する。
【解決手段】巻取パイプ60の回動にともない軸受け部50は第2のストッパ44の方向へ移動し、軸受け部50の右側端部である第2の規制面56が、第2のストッパ44の第2の規制面56に当接する。このとき、軸受け部50は、第2のストッパ44により、これ以上右方向に移動できない。すると、モータの電流が多くなり、電流制御部が、その上昇電流を検知すると、モータ制御部がリミッタを作動させ、電流供給を停止しモータを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取装置及びスクリーン装置に係り、特に、駆動力によりスクリーンを導出及び巻取りを行う巻取装置及びその巻取装置を備えたスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンを巻取パイプに取り付け、巻取パイプを回動することによって、スクリーンを導出したり巻き取ったりするスクリーン装置がある。この種のスクリーン装置では、スクリーンの導出のために、手動もしくは駆動装置で巻取パイプが回動される。さらに、駆動装置として、バネ機構などを用いた機械式やモータなどを用いた電動式がある。
【0003】
電動式のスクリーン装置の一形態として、例えば、スクリーンの導出又は巻取をモータの回転軸に取り付けられたエンコーダ等によって制御する技術がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−257711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示するような、エンコーダを用いたスクリーン装置にあっては、当然にエンコーダと、エンコーダへの電力供給やエンコーダからの出力を受け回転量を算出するための装置が必要となり、装置が大型化してしまい、またコスト上昇の要因ともなる。また、エンコーダを用いない場合、例えば、スクリーンの導出先頭の端部が所定の位置に達したときに、センサによって検出する技術もある。しかし、この装置では、センサの取付位置までケーブルを配設する必要があり、外観上好ましくない。また、センサの取付位置を精度よく設定することが難しい。つまり、スクリーンの開閉を精度よく簡易的に行えないことがある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、簡易的な構造によってスクリーンの導出及び巻き取りを行い、同時に精度よく円滑なスクリーンの開閉を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る装置は、スクリーンの巻取装置に関する。この装置は、スクリーンを巻き取るパイプと、前記パイプの端部に取り付けられて前記パイプを支持する支持手段と、前記パイプの他方の端部に取り付けられ、前記パイプを回動する駆動手段を備える巻取装置であって、前記支持手段は、螺刻された支柱と、前記螺刻に回動可能に螺接するとともに、前記パイプの一端の近傍内部に移動範囲が規制されて係合する係合手段と、を備え、前記係合手段は、前記パイプの回動にともなって、前記螺刻に案内されて移動する。
また、前記パイプの回動の量を、前記支柱に施された螺刻によって制御してもよい。
また、前記パイプの回動の始点及び終点を、前記支柱に施されている螺刻の端部により制御してもよい。
また、前記駆動手段は、前記係合手段が前記螺刻の端部に移動し、前記端部によって移動不可能となり、前記駆動手段の電流が所定値を超えたときに、前記駆動手段への電力供給を停止する駆動制御部を有してもよい。
また、前記駆動制御部は、スクリーンを導出するときに前記駆動手段に供給する電力を、スクリーンを巻き取るときに前記駆動手段に供給する電力に対して、1/2以下としてもよい。
本発明に係る別の装置は、スクリーン装置に関する。この装置は、上記の巻取装置と、スクリーンと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スクリーンの導出及び巻取の量を、巻取パイプの一端に取り付けられた支持手段の螺刻によって制御できる。このため、簡易的な構造の巻取装置及びスクリーン装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るスクリーン装置10の概略図を壁11に取り付けられた状態で正面から示した図である。図2はスクリーン装置10のスクリーン12の導出及び巻取を行うために駆動するモータ33を制御する駆動制御部32の機能ブロック図である。
【0010】
スクリーン装置10は、幕体であるスクリーン12と、スクリーン12を導出する及び巻き取る巻取装置20を備える。
【0011】
巻取装置20は、スクリーン12が巻回される巻取パイプ60と、巻取パイプ60の一端に取り付けられ巻取パイプ60を回動する駆動装置30と、巻取パイプ60の他方の一端に取り付けられる巻取制御支持部40とを備える。
【0012】
駆動装置30及び巻取制御支持部40は、それぞれL字状の取付部31,41を備えて壁11に取り付けられる。そして、巻取パイプ60の端部にそれぞれ取り付けられた駆動装置30及び巻取制御支持部40は、巻取パイプ60を支持する。そして、駆動装置30は、モータ33を駆動させ巻取パイプ60を回動することで、巻取パイプ60に取り付けられたスクリーン12を導出又は巻き取る。また、スクリーン12の導出側の端部の一辺には、ウェイトバー14が取り付けられ、このウェイトバー14にかかる重力によって、スクリーン12が張設されている。
【0013】
駆動装置30は、モータ33と、駆動制御部32と、駆動装置30に電力を供給する電源ケーブル39と、を備える。モータ33は、その回転軸を巻取パイプ60の中心軸に係合しており、上述の通り巻取パイプ60を回動する。モータ33の仕様は、例えば、定格電圧12V、定格電力100Wとする。駆動制御部32は、リモコン15を介してユーザの指示を取得し、モータ33を所定方向に回転させる。ここでは便宜的に、スクリーン12を導出する回転方向を「導出回転方向」といい、スクリーン12を巻き取る回転方向を「巻取回転方向」という。モータ33は、一般的なDC(直流)モータであり、スクリーン12の大きさ(重量)や、スクリーン12を導出又は巻き取る速度等に応じた仕様とすればよい。また、モータ制御部35や電流制御部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)等のLSI(大規模集積回路)やメモリ、及びそのメモリに記憶されてそれぞれの機能を実行するプログラムにより実現され、必要に応じて、スクリーン装置10の駆動状態を記憶する記憶領域を有する。なお、後述の第2及び第3の実施形態における、駆動制御部32の各構成要素についても同様である。また、駆動状態とは、例えば、スクリーン12の巻取又は導出状態であるかや、モータ33を完全に巻取り又は導出して停止したか、さらに、途中で停止したかといった状態である。
【0014】
図3は、巻取制御支持部40の構造について説明するための図であり、ここでは理解の容易のために、スクリーン12を取り除き、巻取パイプ60を断面構造とした図を示している。図4は、巻取パイプ60を示す図であり、図4(a)は、開口部分(正面)を示した図であり、図4(b)は長手方向の側面断面図である。さらに、図5は、巻取パイプ60の斜視図である。そして、図6は、図2に示した巻取制御支持部40から、巻取パイプ60を取り除いた状態を示す図であり、さらに図7は、図6から軸受け部50を取り除いた状態を示す図である。また、図8(a)は、軸受け部50の側面図を示す図であり、図8(b)は軸受け部50の正面図(平面図)を示す図である。
【0015】
図示の通り、巻取制御支持部40は、取付部41と、雄ネジ螺刻部49を有する巻取軸42と、巻取パイプ60の内部で巻取パイプ60と係合すると共に巻取軸42の雄ネジ螺刻部49に螺接する軸受け部50とを有する。
【0016】
巻取パイプ60は、例えばアルミニウム合金の円筒形状のパイプであって、図4(a)に示すように、断面視で、巻取パイプ60の内部に、中心方向に向かって所定の高さの係合突部61が上下左右の4箇所に、つまり90度間隔で形成されている。そして、図4(b)及び図5に示すように、係合突部61は、巻取パイプ60の長手方向(図4(b)ではXY方向)に亘って形成されている。
【0017】
例えば図6に示すように、巻取制御支持部40は、取付部41に挿嵌されたボルト46と、ボルトに螺接して取り付けられた軸受け部50と、を有する。このとき、ボルト46の頭部は、取付部41の図示左側に係止するように、ボルト46は挿嵌され、さらに取付部41に固定されている。そして、ボルト46の軸が、巻取軸42として機能する。
【0018】
そして、取付部41を挟んで頭部の対面には、ナットである第1のストッパ43がボルト46の巻取軸42の根本部分に螺着している。さらに、巻取軸42の先端部近傍の所定の位置に、ナットである第2のストッパ44が取り付けられ、固定ネジ45により、固定されている。
【0019】
また、図8に示すように、軸受け部50は、略円筒形状に樹脂材で形成されており、中心には、軸孔52が形成されており、さらに、軸孔52にはタップ加工により螺刻された雌ネジ螺刻部53が形成されている。軸受け部50の外周側面には、断面視で90度間隔で、長手方向(XY方向)に亘って係合溝51が形成されている。また、主に図8(b)に示すように、軸受け部50の外周側面には、断面視で上側の係合溝51と左側の係合溝51の間に、断面視で略長方形で所定の深さの第1の外縁溝部54aが形成されている。同様に、軸孔52を挟んだ対面の、右側の係合溝51と下側の係合溝51との間には、第2の外縁溝部54bが形成されている。
【0020】
そして軸受け部50は、第1のストッパ43と第2のストッパ44の間に配されており、回転しながら、第1のストッパ43と第2のストッパ44の間を移動する。
【0021】
また、係合溝51と巻取パイプ60の係合突部61とが係合して、軸受け部50は巻取パイプ60の内部に係合する。係合突部61と係合溝51とは、巻取パイプ60の内部に取り付けられた状態の軸受け部50が長手方向に円滑に移動でき、かつ、巻取パイプ60の円周方向には固定される大きさに形成されている。そして、巻取パイプ60が回転すると、巻取パイプ60に係合する軸受け部50が巻取軸42の雄ネジ螺刻部49に案内され、回転しながら左右方向に移動する。そして、軸受け部50が第1のストッパ43もしくは第2のストッパ44に当接すると、軸受け部50に係合する巻取パイプ60の回転が拘束され、スクリーン12の導出又は巻き取りが停止する。この動作については、後述する。
【0022】
また、スクリーン12の導出量は、巻取パイプ60の径と、軸受け部50が第1のストッパ43から第2のストッパ44までに移動するときの回転する回数によって決まる。そして、その回転する回数は、雄ネジ螺刻部49において第1のストッパ43から第2のストッパ44までの間に螺刻されているピッチ(またはリード)の数によって決まる。つまり、軸受け部50の回転する回数Nが10回転で、且つ、巻取パイプ60の径Dが50mmである場合、スクリーン12の導出量Lは、
L=πDN≒3.14×50×10=1570mm
となる。したがって、導出量Lの設定は、第2のストッパ44の位置を調整することで行う。
【0023】
以上の構成によるスクリーン装置10の動作について、主に図9〜図12を用いて説明する。
【0024】
図9は、スクリーン12が完全に巻き取られた状態のスクリーン装置10を示しており、このときのスクリーン12の位置を上限位置という。また、図10は、上限位置のときの軸受け部50の位置を示した図である。また、図11は、スクリーン12が完全に導出した状態のスクリーン装置10を示しており、このときのスクリーン12の位置を下限位置という。また、図12は、下限位置のときの軸受け部50の位置を示した図である。
【0025】
図9及び図10の状態では、軸受け部50の左端面である第1の規制面55は、第1のストッパ43の第1のリミット面47に当接している。そして、第1のリミット面47のため、軸受け部50は、これ以上左方向には移動しない。この位置で、モータ33が巻取方向に回転した場合、軸受け部50が移動できないため、一般には、モータ33の電流値は、所定の電流値から上昇し、図2に示した電流制御部36が、その上昇した旨を検知すると、モータ制御部35がリミッタを作動させモータ33を停止させる。なお、上述の、所定の電流値から上昇する電流を「上昇電流」ともいう。予め設定するピーク電流値である電源遮断電流値に達した旨を検知することで、上昇電流が出現した旨を判断してもよく、定常状態でモータ33が回動しているときの電流値が1.0Aの場合、電源遮断電流値を1.5Aに設定する。
【0026】
この様にモータ33の電流が上昇しモータ33が停止する条件として、例えば、図3に示したような、軸受け部50が第1のストッパ43に当接していない位置から、第1のストッパ43方向(X方向)に移動してきたときや、軸受け部50が第1のストッパ43に当接して停止している状況からユーザによりさらに巻取方向への動作指示を受けた場合が想定される。
【0027】
次に、図9及び図10に示した状態で、ユーザがリモコン15を操作してスクリーン12を導出する指示をすると、指示取得部37がその旨の信号を受信しモータ制御部35がモータ33を導出方向(図3ではB方向)に回動させる。すると、モータ33に係止している巻取パイプ60が回動し、さらに巻取パイプ60に係止している軸受け部50が回転する。すると、軸受け部50は巻取軸42に螺接しているため、係合突部61及び雄ネジ螺刻部49に案内され、巻取パイプ60の回転にともなって、図示で右方向に移動する。
【0028】
そして、図12に示すように、軸受け部50の右側端部である第2の規制面56が、第2のストッパ44の第2のリミット面48に当接する。このとき、軸受け部50は、第2のストッパ44により、これ以上右方向に移動できない。すると、上述と同様に、モータ33の電流が上昇し、図2に示した電流制御部36が、その上昇電流を検知すると、モータ制御部35がリミッタを作動させ、電流供給を停止しモータ33を停止させる。
【0029】
したがって、スクリーン12の導出量(下限位置及び上限位置)は、巻取軸42の雄ネジ螺刻部49を移動する軸受け部50の移動量で正確に決定できる。そして、軸受け部50が、第1のストッパ43又は第2のストッパ44に当接したときにモータ33に流れる上昇電流を検知するだけで、スクリーン12の巻取り又は導出が完了したと判断して、モータ33を停止させることができる。すなわち、モータ33を停止させる制御が容易であり、制御のための構成も、簡易的に実現できる。なお、モータ33自体が、所定のピーク電流を検知してその動作を停止させる機能を有する場合、モータ制御部35や電流制御部36の機能はなくてもよく、駆動制御部32は、リモコン15の指示を受けてオンオフ制御するだけでよく、モータ33の駆動制御部32の構成はよりシンプルになる。
【0030】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成で、モータ33に供給する電流を、スクリーン12の導出と巻取の動作で異なる値で制御する。具体的には、モータ33が導出方向に回転するときの電圧を、巻取方向に回転するときの電圧の1/3〜1/2に設定する。
【0031】
モータ33に供給される電流が所定のピーク電流値に達した旨を検知して、モータ33を停止させる場合、モータ33を瞬時に停止することは難しく、1秒程度のタイムラグが生じることがある。特に、一般のモータ33は、その起動時に、一時的に比較的大きな電流が必要とされる。したがって、ある程度の期間、電流が過大に供給されることが必要であり、1秒程度は上昇電流が供給されることがある。
【0032】
その場合、ピーク電流値を超えた電流が供給され、モータ33には過大なトルクが発生する。その結果、第1のストッパ43又は第2のストッパ44の位置において、いわゆるくさび機構が働き、軸受け部50は過大なトルクで締め付けられることになる。特に、スクリーン装置10が大型の場合、風対策として比較的重い(例えば、5〜10kg)ウェイトバーが用いられることがある。その場合、下限位置に達したときに軸受け部50に生じるトルクは、モータ33のトルクに加え、スクリーン12の重量及びウェイトバー14の重量によるトルクが加算される。さらに、スクリーン12を上昇させるとき、つまり、モータ33を巻取方向に回転させるときには、スクリーン12やウェイトバー14の重量によるトルクが、モータ33のトルクからマイナスされる。このため、スクリーン12が下限位置から脱出できないことも想定される。
【0033】
なお、雄ネジ螺刻部49や雌ネジ螺刻部53のピッチを比較的広くとることで、上記のくさび機構による働き(軸受け部50の締めつけトルク)を低減できる。しかし、ピッチを広く設定した場合であっても、さらに対策が必要な場合がある。
【0034】
一般に、スクリーン12を下降させるときには、スクリーン12及びウェイトバー14の重量により、ほとんどモータ33のトルクを必要としない。そこで、スクリーン12を導出して下降させるときに、モータ33に印加する電圧を、スクリーン12を上昇させるときの1/2〜1/3に低減する。以下、スクリーン12を導出して下降させているときに、モータ33に印加する電圧を下降電圧といい、スクリーン12を巻取り上昇させているときに、モータ33に印加しする電圧を上昇電圧といい、さらに、スクリーン12を下限位置又は上限位置から脱出させるときに印加する電圧を脱出電圧という。
【0035】
なお、スクリーン12を上限位置から脱出させるときに、つまり。軸受け部50を第1のストッパ43から離間させるときには、確実にまた円滑に離間させるために、脱出電圧を、上昇電圧と同じに設定する。脱出電圧と上昇電圧とを同一とする期間は、1〜2秒でよい。なお、スクリーン12が上限位置以外の場所から下降方向に始動する場合は、印加する電圧を下降電圧と等しく、上昇電圧の1/2〜1/3とする。
【0036】
つついて、上述のスクリーン装置10の駆動動作におけるモータ33の制御に関して図13のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
ユーザがリモコン15を操作して、スクリーン装置10を駆動させる指示をすると、指示取得部37はその指示を取得し、モータ制御部35にその指示に応じた動作をするよう通知する(S10)。
【0038】
モータ制御部35は、ユーザの指示がスクリーン12の巻取りか、それとも導出かを判断する(S12)。
【0039】
巻取りである場合(S12のY)、モータ制御部35はモータ33に印加する電圧を上昇電圧、例えば12Vに設定する(S14)。そして、モータ制御部35は、まずモータ33を起動させるために所定期間、例えば1秒間、脱出電圧をモータ33に印加した後、上昇電圧となるように、モータ33に印加される電圧を制御する。上昇電圧が印加されている期間は、スクリーン12が上昇している期間である。
【0040】
そして、電流制御部36は、モータ33に流れる電流を監視し、上昇電流を検知したら、スクリーン12が上限位置に達した、つまり、軸受け部50の第1の規制面55が、第1のストッパ43の第1のリミット面47に当接したと判断し(S16のY)、モータ33を停止する(S18)。電流制御部36は、上昇電流を検知するまで継続して電流を監視する(S16のN)。
【0041】
S12の処理の説明に戻り、ユーザの指示がスクリーン12の導出である場合(S12のN)、モータ制御部35は、スクリーン12の始動位置が上限位置であるか否かを判断する(S20)。この判断のため、モータ制御部35は、モータ33を停止したときのスクリーン12の位置を記憶する。
【0042】
スクリーン12の始動位置が上限位置である場合(S20のY)、上限位置からの脱出を円滑にするため、モータ制御部35はモータ33に供給する電圧を、所定期間だけ、脱出電圧として上昇電圧に設定し(S22)、そして所定期間を経過したら下降電圧に設定する(S24)。
【0043】
スクリーン12の始動位置が上限位置でない場合(S20のN)、軸受け部50は過大なトルクで締め付けられてはいないので、脱出電圧(上昇電圧)に設定する必要はなく、モータ制御部35は、モータ33に対して、上述した下降電圧を設定する。
【0044】
そして、電流制御部36は、モータ33の電流を監視し、上昇電流を検知したら、スクリーン12が下限位置に達した、つまり、軸受け部50の第2の規制面56が、第2のストッパ44の第2のリミット面48に当接したと判断し(S26のY)、モータ33を停止する(S18)。電流制御部36は、上昇電流を検知するまで継続して電流を監視する(S26のN)
【0045】
以上、このように、スクリーン12を下降させる場合に、モータ33に印加する電圧を、スクリーン12を上昇させる場合に対して、1/2〜1/3にすることで、スクリーン12が下限位置に達したときに、軸受け部50に過大な締めつけトルクが作用しない。したがって、下限位置から脱出するときに、スクリーン12は円滑に脱出できる、つまり巻取動作を開始できる。また、この制御を行う構成は、第1の実施形態と同じであり、ケーブルの配設の追加等が不要である。
【0046】
(第3の実施形態)
本実施形態では、スクリーン12の上限位置又は下限位置に達するとき、つまり、軸受け部50が第1のストッパ43または第2のストッパ44に当接するときに、上述の上昇電流を発生させずモータ33を停止させる。これによって、軸受け部50に作用する過大な締めつけトルクを低減する。このために、第1の実施形態の構成を一部変更し、軸受け部50が第1のストッパ43又は第2のストッパ44に当接するタイミングを、リミットスイッチで検出する。
【0047】
図14は、本実施形態における、巻取制御支持部40の構造及び駆動制御部32の構成を示す図であり、図15は、リミットスイッチで検出する検出子71を備えた軸受け部50を示す図である。具体的には、軸受け部50の第1の外縁溝部54aに磁性体の検出子71を取り付け、さらに、取付部41に第1のリミット検出部72と第2のリミット検出部73とを取り付け、検出子71の近接を検知する。したがって、第1のリミット検出部72は、軸受け部50が第1のストッパ43に当接する直前、例えば、2回転前(もしくは2ピッチ前)で検出子71を検知する位置に設置される。また、第2のリミット検出部73も、軸受け部50が第2のストッパ44に当接する直前、例えば、2回転前で検知できる位置に設置される。さらに、第2の外縁溝部54bにも検出子71を備える構成の場合、より精度よく、つまり、半回転単位で制御が可能となる。
【0048】
また、駆動制御部32は、電流制御部36に替わって、開パルス検出部74と閉パルス検出部75とを備える。開パルス検出部74は、第1のリミット検出部72の出力を取得し、検出子71の近接を検出する。同様に、閉パルス検出部75は、第2のリミット検出部73の出力を取得し、検出子71の近接を検出する。ここでは、第1のリミット検出部72及び第2のリミット検出部73は、検出子71が近接したときに、オン信号を出力し、近接していないときは、オフ信号を出力する。
【0049】
例えば、軸受け部50が第1のストッパ43に近づき、第1のリミット検出部72が検出子71を検出すると、第1のリミット検出部72はオン信号を出力する。すると、開パルス検出部74は、その旨を検知する。そして、軸受け部50が更に第1のストッパ43の方向へ移動すると、軸受け部50の回転にともない検出子71も回転し、第1のリミット検出部72はオフ信号を出力する。さらに、軸受け部50が第1のストッパ43の方向へ移動し、軸受け部50が一回転すると、検出子71が再び第1のリミット検出部72に近接して、第1のリミット検出部72はオン信号を出力する。開パルス検出部74はそのオン信号を取得し、2度目のオン信号の入力があったことを記憶する。
【0050】
さらに、軸受け部50が第1のストッパ43の方向へ移動し、軸受け部50が一回転すると、検出子71が再び第1のリミット検出部72に近接して、第1のリミット検出部72はオン信号を出力する。開パルス検出部74はそのオン信号を取得し、3度目のオン信号の入力があったことを検知し、軸受け部50が2回転したと判断し、モータ制御部35にその旨を通知する信号を出力する。
【0051】
すると、モータ制御部35は、モータ33に供給する電力を遮断する。それにともなって、巻取パイプ60は停止し、スクリーン12の導出が下限位置で停止する。
【0052】
なお、軸受け部50が第2のストッパ44に近接したときも同様に、第2のリミット検出部73が検出子71を検知し、さらに、所定回数だけ軸受け部50が回動したことを判断し、モータ制御部35がモータ33を停止する。
【0053】
このように、軸受け部50が第1のストッパ43に当接する直前に、軸受け部50が近接している、つまり、スクリーン12が下限位置に近づいている旨を、リミットスイッチで検知し、検知後、所定回数だけモータ33を回動させる構成とすることで、軸受け部50が過度なトルクによって締め付けられること、言い換えると、いわゆるくさび効果が作用することを低減できる。したがって、巻取装置20は、下限位置又は上限位置からスクリーン12を円滑に脱出させ、巻取又は導出動作を行うことができる。
【0054】
(第4の実施形態)
第1〜3の実施形態では、巻取パイプ60を回動する駆動手段としてモータ33を用いたが、手動式の駆動手段を用いてもよい。手動式の駆動手段として、スプリングモータ(ゼンマイ)によるものやチェーンによるものがある。
【0055】
一般に、手動式で廉価なスクリーン装置の場合、スクリーンの上限位置での停止には、ウェイトバーが、巻取装置により移動を規制されることによってなされる。つまり、ウェイトバーが、巻取装置に衝突することによって、スクリーンの巻取りが停止する。特に、スプリングモータを用いたスクリーン装置にあっては、巻き取りのときに、スクリーンが勢いよく上昇してしまい、ウェイトバーが巻取装置に衝突するときに、大きな音が発生してしまう。また、衝突の衝撃で、巻取装置に不具合が発生しかねない。スクリーンの生地を傷めてしまうこともある。チェーン式のスクリーン装置であっても、上限位置において、必要以上に人の力が作用し、この場合も、スクリーンの生地を傷める原因となる。
【0056】
高級品のスクリーン装置では、遊星ギアを使用したブレーキ機構が採用され、ウェイトバーが上限位置に近づくと減速して、巻取装置とウェイトバーの衝突を緩和している。しかし、廉価なスクリーン装置には、コストとの観点で採用はできない。また、遊星ギアのブレーキ機構は、部品点数が多く複雑な機構のため、高級品のスクリーン装置であっても、より簡易的な機構が望ましい。
【0057】
しかし、上述のような、巻取制御支持部40の構造を採用することで、ウェイトバーが巻取装置に衝突することなく、巻取動作を停止することができる。したがって、衝突や必要以上の力が作用することで、巻取装置やスクリーンに不具合が発生することを回避できる。また、スクリーンの導出のときに導出しすぎると、スクリーンを逆巻きしてしまうことがあるが、下限位置に対しても適正な位置に停止させることができるため、この逆巻きも防止できる。
【0058】
また、スプリングモータを用いた場合には、スクリーンの停止位置を、ウェイトバーが巻取装置に接触する位置にしか設定できないという制限がある。しかし、本実施形態にあっては、そのような制限がなく、様々な位置を上限位置に設定できる。ユーザによっては、スクリーンを全開せず、窓の上部にスクリーンを残すことを希望することがあり、そのような場合、スプリングモータを用いたスクリーン装置では、実現が難しかった。しかし、本実施形態では、その様なユーザの要望に対して、柔軟に対応が可能であり、簡易的な構造であるため、コストの観点でも採用が容易である。
【0059】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
例えば、第3の実施形態で、検出子71の近接を検知後、所定回数(2回転)後、モータ33を停止させたが、例えば、近接検知後、1回転後にモータ33に供給する電圧を低下させてもよい、つまり、段階的に、モータ33に供給する電力を低下させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーン装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーンの導出及び巻取を行うために駆動するモータを制御する駆動制御部の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、巻取制御支持部の構造を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る、巻取パイプの一部を示す正面図及び断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る、巻取パイプの一部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る、巻取制御支持部について、図2の巻取パイプを取り除いた状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る、巻取制御支持部について、図6の軸受け部を取り除いた状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る、軸受け部の構造を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーンが完全に巻き取られた状態の巻取制御支持部スクリーン装置を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーンが完全に巻き取られた状態の巻取制御支持部の軸受け部の位置を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーンが完全に導出された状態のスクリーン装置を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る、スクリーンが完全に導出された状態の巻取制御支持部の軸受け部の位置を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る、スクリーン装置の駆動動作におけるモータの制御に関するフローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る、巻取制御支持部の構造及び駆動制御部の構成を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る、リミットスイッチで検出する検出子が取り付けられた軸受け部の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 スクリーン装置
11 壁
12 スクリーン
14 ウェイトバー
15 リモコン
20 巻取装置
30 駆動装置
31 取付部
32 駆動制御部
33 モータ
35 モータ制御部
36 電流制御部
37 指示取得部
40 巻取制御支持部
41 取付部
42 巻取軸
43 第1のストッパ
44 第2のストッパ
45 固定ネジ
46 ボルト
47 第1のリミット面
48 第2のリミット面
49 雄ネジ螺刻部
50 軸受け部
51 係合溝
52 軸孔
53 雌ネジ螺刻部
54a 第1の外縁溝部
54b 第2の外縁溝部
55 第1の規制面
56 第2の規制面
60 巻取パイプ
61 係合突部
71 検出子
72 第1のリミット検出部
73 第2のリミット検出部
74 開パルス検出部
75 閉パルス検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを巻き取るパイプと、前記パイプの端部に取り付けられて前記パイプを支持する支持手段と、前記パイプの他方の端部に取り付けられ、前記パイプを回動する駆動手段を備える巻取装置であって、
前記支持手段は、
螺刻された支柱と、
前記螺刻に回動可能に螺接するとともに、前記パイプの一端の近傍内部に移動範囲が規制されて係合する係合手段と、
を備え、
前記係合手段は、前記パイプの回動にともなって、前記螺刻に案内されて移動することを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
前記パイプの回動の量を、前記支柱に施された螺刻によって制御することを特徴とする請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記パイプの回動の始点及び終点を、前記支柱に施されている螺刻の端部により制御することを特徴とする請求項1または2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記係合手段が前記螺刻の端部に移動し、前記端部によって移動不可能となり、前記駆動手段の電流が所定値を超えたときに、前記駆動手段への電力供給を停止する駆動制御部を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の巻取装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、スクリーンを導出するときに前記駆動手段に供給する電力を、スクリーンを巻き取るときに前記駆動手段に供給する電力に対して、1/2以下としたことを特徴とする請求項4に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れかに記載の巻取装置と、
スクリーンと、
を備えたことを特徴とするスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−280703(P2008−280703A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124443(P2007−124443)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【特許番号】特許第4017040号(P4017040)
【特許公報発行日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(596168867)ナビオ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】