説明

巻回物包装体、巻回物包装用端壁および巻回物包装体の組立方法

この発明による巻回物包装用端壁は、コアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装するものであって、プラスチックよりなり、前記コアの端部を支持する支持手段を中央部に有しかつ対をなす端壁どうしを連結する2本の下部ビームの端部が両側部下端に取り付けられる主体部と、前記主体部の下端から下方にのびる脚部とを備えている。前記脚部は、前記2本の下部ビームの下方に荷役車両の昇降可能な積載手段を差し込むための空間を形成し得るような高さを有している。この発明の巻回物包装用端壁によれば、重量が大きい巻回物や、パレットの規格に合わない長さの巻回物であっても、従来技術のようにパレットを使用することなく、フォークリフト等によって直接運搬できるように包装することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、棒状または筒状のコアに線条やフィルムなどの巻回材料を巻き付けた巻回物を包装してなる巻回物包装体(包装された巻回物)、巻回物を包装するための端壁および、巻回物包装体の組立方法に関する。
【背景技術】
磁気テープ用フィルムや液晶用フィルム等の巻回材料を紙管等よりなるコアに巻き付けてなる巻回物を輸送する際、1対のプラスチック製の端壁を用いて包装することが、従来より行われている。従来の巻回物包装用端壁としては、例えば日本国特許第2639512号公報や日本国特許第2801248号公報に記載されているように、正方形のプラスチック製の板よりなり、その内面に形成された支持用凸部を筒状コアの端部に挿入することによって、巻回物を支持するように構成されたものが知られている。
このようなプラスチック製端壁によって包装された巻回物は、パレット上に複数列複数段積み重ねられて、パレット単位でフォークリフトやハンドリフト等の荷役車両により輸送されるのが一般的である。
上記のようなプラスチック製端壁により包装される巻回物の中には、例えば磁気テープ用フィルムなどのプラスチックフィルムを巻回する場合のように600〜700kgの重量を有するものがある。
このような重量の大きい巻回物は、ダンボールなどによる包装も難しい。また、巻回物の長さがパレットの規格に合わない場合、該巻回物をフォークリフトで運搬するためには専用のパレットを準備する必要があるという問題がある。さらに、巻回物の重量が大きくなる程、これを包装する端壁に対して、より高い強度、耐久性、作業性等が要求される。
【発明の開示】
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、特に、フォークリフト等の荷役車両による運搬に効率良く対応できる巻回物包装体、巻回物包装用端壁および巻回物包装体の組立方法を提供することを目的とする。
この発明による巻回物包装用端壁は、コアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装するものであって、プラスチックよりなり、前記コアの端部を支持する支持手段を中央部に有しかつ対をなす端壁どうしを連結する2本の下部ビームの端部が両側部下端に取り付けられる主体部と、前記主体部の下端から下方にのびる脚部とを備えており、前記脚部は、前記2本の下部ビームの下方に荷役車両の昇降可能な積載手段を差し込むための空間を形成し得るような高さを有しているものである。
上記の端壁と下部ビームとを用いて巻回物を包装してなる巻回物包装体は、例えばフォークリフトの爪のような荷役車両の昇降可能な積載手段を下部ビームの下方の空間に差し込んで、直接運搬することが可能である。即ち、この発明の巻回物包装用端壁によれば、重量が大きい巻回物や、パレットの規格に合わない長さの巻回物であっても、従来技術のようにパレットを使用することなく、フォークリフト等によって直接運搬できるように包装することができる。
この発明による巻回物包装用端壁において、前記脚部の高さが50mm以上であるのが好ましい。
前記脚部の高さが50mm以上あれば、昇降可能な積載手段を備えた荷役車両として最も一般的に用いられるフォークリフトの爪を、前記2本の下部ビームの下方に差し込むことが可能となる。
この発明による巻回物包装用端壁において、前記主体部がほぼ正方形であって、前記支持手段が、該手段によって支持される前記コアの中心軸と前記主体部の中心とがほぼ合致するような位置に形成されているのが好ましい。
上記構成によれば、正方形をした主体部の中央でコアが支持されることにより、搬送したい巻回物の巻き径に対して端壁の面積を抑えて、輸送効率を上げることができる。
この発明による巻回物包装用端壁において、前記主体部と前記脚部とが一体成形されている場合がある。
上記のように端壁をプラスチックで一体成形すれば、それだけ部品点数が減り、コストが抑えられる。
他方、この発明による巻回物包装用端壁において、前記主体部を構成する主体部材と、前記脚部を構成する1つまたは複数の脚部材とを互いに接合することによって形成されている場合もある。
上記の場合、主体部材と脚部材とを接合一体化させてフォークリフト等による巻回物包装体の直接的な搬送に利用する形態と、主体部材のみを使用して従来技術のように巻回物包装体のパレット単位の搬送に利用する形態とを適宜使い分けることができる。
この発明による巻回物包装用端壁の第1の支持態様として、前記コアの長さ中間部に前記巻回材料が巻き付けられており、前記支持手段が、前記コアの端部を上方から挿入し得るように前記主体部の上端から下方に向かって形成されかつ前記コアの端部を載置するための停止面を有する溝よりなる場合がある。
上記第1の支持態様の場合、まず巻回物を吊り上げておくとともに、下部ビームにより2枚の端壁を立った状態に保持させておいてから、巻回物を降ろすことにより、巻回物のコアの端部が端壁の溝の停止面に載置されて支持されるので、巻回物の重量が大きい場合であっても、巻回物包装体の組立を容易に行うことができる。
上記第1の支持態様において、前記溝のうち少なくとも前記停止面を覆う弾性体が、交換可能に取り付けられているのが好ましい。
上記のような弾性体が端壁に交換可能に取り付けられていれば、包装すべき巻回物のコアの外径が多少変化しても十分な保持が可能になる。弾性体の端壁への取付は、例えば溝の側面と弾性体とを嵌合可能な相補的な形状を有するものとすることによって、交換可能に行いうる。
また、上記の場合、前記停止面が凹凸を有しているのがより好ましい。停止面の凹凸でコアの周方向における弾性体の変形量に強弱がつき、それによってコアの外形が変化した場合の保持力を向上させることができるからである。
上記第1の支持態様において、前記溝の外側部分に、前記コアの長さ方向の移動を阻止する壁が、前記溝の幅を狭めるように形成されているのが好ましい。
上記構成によれば、弾性体がコアの滑りを止めるとともに、溝の幅を狭める上記壁でコアの端部が端壁の溝から外に飛び出すのを防止するので、巻回材料が端壁にぶつかって破損したり変形したりするのを防止することができる。
上記第1の支持態様において、前記主体部の内面の両側部下端に、前記2本の下部ビームの端部を嵌め込むための穴があけられている場合がある。
上記構成の場合、端壁の穴に下部ビームの端部を嵌め込むだけでよいので、組立が簡単である。
上記の場合において、前記主体部の内面に、前記下部ビームの端部を受ける突起が形成されているのが好ましい。
上記のような凸部が穴の下縁部に形成されていれば、該凸部に下部ビームの端部を載せておいてから、下部ビームをスライドさせることにより、穴に下部ビームを挿入することができ、作業が行い易くなる。
この発明の巻回物包装用端壁における第2の支持態様として、前記コアが、両端が開口した筒状のものであって、前記支持手段が、前記コアの端部内に挿入し得るように前記主体部の内面に形成された支持用凸部よりなる場合もある。
上記第2の支持態様は、コアが筒状であってそのほぼ全長にわたって巻回材料が巻かれている巻回物に対して、特に適用される。この支持態様の場合、巻回物を宙吊りしたまま組立が行えるので、巻回物の表面を傷つけず、効率良く組み立てることができる。
第2の支持態様において、前記2本の下部ビームの端部を差し込み得るように前記端壁の下端または側縁から前記主体部の両側部下端まで達する2つのノッチが形成され、前記2つのノッチに差し込まれた前記2本の下部ビームの端部が、係留手段によって前記端壁に留められるようになっているのが好ましい。
上記構成によれば、巻回物とともに宙吊りされた状態の端壁に、2本の下部ビームの端部を容易に取り付けることができる。
また、この発明は、以下のような巻回物包装体にも関する。即ち、この発明による巻回物包装体は、コアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物と、先に詳述したこの発明による1対の巻回物包装用端壁であって前記巻回物の両端に配置されかつ支持手段によって前記コアの両端部を支持しているものと、前記1対の端壁の下部どうしを連結している2本の下部ビームとを備えているものである。
上記の巻回物包装体によれば、巻回物の重量が大きい場合やパレットの規格に合わない長さを有する場合であっても、例えばフォークリフトの爪のような荷役車両の昇降可能な積載手段を下部ビームの下方の空間に差し込んで直接運搬することが可能であり、荷扱いを容易に行いうる。
この発明による巻回物包装体において、前記2本の下部ビームが、互いに向かい合うように突出した水平壁部を有しており、これらの水平壁部に、板状の底カバーがまたがって載せられている場合がある。
上記の場合、巻回物の下方に底カバーを容易に配置することができ、該カバーによって、搬送中に巻回物の下部が汚れたり破損したりすることを防止することが可能である。なお、巻回物の汚染や破損を防止するために、好ましくは、この発明による巻回物包装体に、前記底カバーに加えて、巻回物の両側部および上部を覆う箱状または袋状のカバーが被せられる。
この発明による巻回物包装体において、さらに、前記1対の端壁の上部どうしを連結している2本の上部ビームを備えている場合がある。
上記の場合、上部ビームにより端壁の傾きを止めて、巻回物包装体の形態保持機能を向上させることができる。
一方、この発明による巻回物包装体において、さらに、前記1対の端壁の上部と前記2本の下部ビームとを連結している少なくとも2本の筋交いを備えている場合もある。
上記の場合、筋交いにより端壁の傾きを止めて、巻回物包装体の形態保持機能を向上することができる。しかも、巻回物の長さに係わらず筋交いの形状を共通化できるという効果がある。
また、この発明には、コアの長さ中間部に巻回材料が巻き付けられてなる巻回物を、上記第1の支持態様を備えたこの発明による1対の巻回物包装用端壁を用いて包装する方法が含まれる。この方法は、前記巻回物を吊り上げておくとともに、前記1対の端壁を2本の下部ビームによって連結することにより自立状態に保持する第1の工程と、前記巻回物を前記コアの両端部が前記1対の端壁の溝に挿入されるように吊り降ろして、前記コアの両端部を前記1対の端壁の溝の停止面に載置する第2の工程とを備えているものである。
上記の組立方法によれば、巻回物を宙吊りにした状態で端壁と下部ビームとの組み付けを行う必要がないので、作業効率を向上させることができる。
この発明による巻回物の組立方法において、前記第1の工程が、さらに、前記1対の端壁にこれらの自立状態を補強するための補助具を取り外し可能に取り付けておくことを含んでおり、前記第2工程の後工程として、前記補助具を前記1対の端壁から取り外す第3工程をさらに備えている場合がある。
上記の場合、補助具によって2枚の端壁の自立状態を補強することで、巻回物を吊り下ろしたときに作業効率を上げることができる。
さらに、この発明には、以下のような第2ないし第7の巻回物包装用端壁が含まれる。これらの巻回物包装用端壁は、両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装するものであって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しているものに関する。
まず、この発明による第2の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部が、筒状であって、その上部の肉厚が側部および下部の肉厚よりも厚くなるように形成されているものである。
上記第2の端壁によれば、コアから受ける応力が集中する支持用凸部の上部を、端壁の成形に必要な樹脂の総重量の増加を抑制しつつ、耐久性のあるものとすることができる。
この発明による第3の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部が、筒状であって、花弁型の横断面を有しているものである。
上記第3の端壁によれば、コアの内径の製造におけるロット内のばらつきを、支持用凸部の外周の張り出しで吸収して、コアを支持用凸部に嵌まり易くすることができる。
この発明による第3の巻回物包装用端壁において、前記凸部は、先端が付け根よりも細くなっているとともに、先端に近い程、横断面を外周の最大半径と最小半径との中央値を半径とする円で区画した場合に前記円よりも内側に位置する部分の割合が大きくなっているのが好ましい。
上記構成によれば、支持用凸部は、その先端が細くなり、先端ほど肉厚が薄い部分が多くなるので、さらにコアの端部に嵌め込みやすくなる。
この発明による第4の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部の外周面に、複数の環状突起が環節のように形成されているものである。
上記第4の端壁によれば、筒状コアとして紙管のような柔らかいものを用いた場合に、環状突起が筒状コア内面に食い込み、搬送中に支持用凸部から巻回物が抜けるのを防止することができる。また、筒状コアが回転しても、筒状コアの内面を傷めにくいという効果もある。
この発明による第5の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部の外周面に、複数のドーム状の突起が形成されているものである。
上記第5の端壁によれば、筒状コアとして紙管のような柔らかいものを用いた場合に、ドーム状の突起が筒状コア内面に食い込み、搬送中に支持用凸部から巻回物が抜けるのを防止する効果が有る。また、筒状コアが回転方向あるいは長さ方向に滑っても筒状コアの内面を傷めにくいという効果もある。
この発明による第6の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部の付け根付近に、補強用リブが形成されているものである。
上記第6の端壁によれば、支持用凸部の付け根部分の補強を行っているリブで支持用凸部付け根に掛かる荷重を支えることができ、支持用凸部付け根の樹脂が白化するなどの劣化を防止できるという効果がある。
この発明による第7の巻回物包装用端壁は、前記支持用凸部が、内外2重の周壁を有しているとともに、内周壁と外周壁との間に補強用リブが形成されているものである。
上記第7の端壁によれば、支持用凸部がリブを間に配した2重壁構造になっていることにより、凸部内面を棒状物で支える場合にも支持用凸部にコアから荷重が掛かる場合にも、支持用凸部およびその付け根が破損し難くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態による巻回物包装体の構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態による巻回物包装用端壁の斜視図である。
図3は、本発明の第1実施形態による巻回物包装用端壁の他の構成を示す斜視図である。
図4は、図3の巻回物包装用端壁における停止面近傍の部分正面図である。
図5は、本発明の第2実施形態よる巻回物包装体の組立図である。
図6は、本発明の第2実施形態よる巻回物包装体の構成を示す組立図である。
図7は、本発明の第2実施形態による巻回物包装用端壁の斜視図である。
図8は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の構成を示すものであって、図7のVIII−VIII線に沿う部分断面図である。
図9は、本発明の第2実施形態による巻回物包装用端壁の斜視図である。
図10は、本発明の第2実施形態におけるノッチ近傍の部分断面図である。
図11は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分背面図である。
図12は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分断面図である。
図13は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分断面図である。
図14は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分正面図である。
図15は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分平面図である。
図16は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分平面図である。
図17は、本発明の第2実施形態における支持用凸部の他の構成を示す部分平面図である。
図18は、本発明の第3実施形態における巻回物包装体の構成を説明するための組立図である。
図19は、本発明の第4実施形態による巻回物包装体の構成を示す斜視図である。
図20は、本発明の第4実施形態における巻回物包装体の構成を説明するための組立図である。
【発明を実施するための最良の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による巻回物包装体について図1〜図5を用いて説明する。
図1は第1実施形態による巻回物包装体の構成を示す斜視図である。図1において、巻回物包装体1は、巻回物2と、巻回物2の両端に配置された2枚のプラスチック製の端壁3と、2枚の端壁3の下部間に渡された2本のスチール製中空の下部ビーム4と、2枚の端壁3の上端部3aに掛け渡された2本の上部ビーム5とを備えて構成されている。
巻回物包装体1は、その包装を補強する目的でポリプロピレンバンド(以下PPバンドという)6で縛られている。このPPバンド6により巻回物包装体1を結わえる方法は、輸送対象である巻回物の種類や重量などの条件の違いに応じて変更される。
巻回物2としては、6インチの内径を有する厚さ10mm〜20mmの紙製のコア2aの長さ中間部に磁気テープ用プラスチックフィルム2bがロール状に巻き付けられてなるものが例として挙げられる。このような巻回物2の重量としては、100kg〜600kgを主な対象としている。
非常に重いこのような巻回物2をフォークリフトにより運搬するため、下部ビーム4には鋼管が適している。
図2は、巻回物包装体1の構成要素である巻回物包装用の端壁3の構成を示す斜視図である。
端壁3は、プラスチック製であり、高さが幅に比べて90mm長く形成されている。ここで、端壁3の高さは上端部3aと下端部3bとの間の長さである。例えば、幅が700mmで高さが790mm、あるいは幅が550mmで高さが640mmなどである。端壁の厚さは30〜60mm程度が一般的である。言い換えれば、端壁3は、正方形の主体部31と、主体部31の両側部下端から下方にのびる2つの脚部32とを備えており、脚部は90mmの高さを有している。主体部31は、例えば、一辺の長さが700mmまたは550mmである。
端壁3の上端部3aから下方に向けて溝(支持手段)3cが形成されている。溝3cの底部には、コア2aの端部が載置される停止面が形成されている。溝3cの停止面には両端がL字型に折れ曲がった弾性体7が取り付けられている。溝3cの幅は、巻回物2が配置されるとは反対側、即ち、外側が壁3dによって狭くなっている。溝3cの停止面に弾性体7の両端が嵌め込まれるスリット3eが形成されている。ここでは、スリット3eで嵌合部を形成したが、例えば円形の凹部など他の形状であってもよい。また形成される場所も弾性体7の端部に限られず、中央部その他の場所であってもよいが、巻回物2のコア2aの端部の載置などの際に弾性体7が取れないようにするために端に設けられていることが好ましい。
また、溝3cの停止面に巻回物2のコア2aの端部を載置したとき、コア2aが上端部3aを一辺とする正方形の略中央にくるように、溝3cが形成されている。即ち、巻回物2の側から見て、端壁3は上端部3aを一辺とする正方形の下部を下端部3bまで90mm延長した形状となっている。弾性体7としては、例えば硬質ゴム等のエラストマーや発泡プラスチック等がある。
下部ビーム4を取り付けた場合に端壁3の下端部3bから90mmの高さに下部ビーム4の底面が位置するように、穴3fが形成されている。即ち、正方形の主体部31の両端部下端に、下部ビーム4の端部が嵌め込まれる穴3fが形成されている。穴3fと端壁3の側面との距離は、下部ビーム4のねじれによって割れを生じない強度を持たせるよう設定される。端壁3の内面には、穴3fの底面を延長するように突起3gが形成されている。突起3aの上に下部ビーム4の端部を置き、下部ビーム4を滑らせて穴3fに入れることができる。
下部ビーム4の底面が端壁3の下端部3bから50mm以上のレベルにあれば、下部ビーム4の下方にフォークリフトの爪が入るが、ハンドリフトなどの使用も考慮すると80mm以上が好ましく、さらに床の凹凸を考慮した場合、90mm以上であることが好ましい。
端壁3の上端部3aの両側には、上部ビーム5を嵌め込むためのノッチ3hが形成されている。ノッチ3hの底面には、上部ビーム5の下面の端部に形成された凹部5aに嵌まり込む凸部3iが形成されている。ノッチ3hに上部ビーム5を嵌め込むことにより、端壁3が前後に傾くのを防止することができる。
図3は、図2に示したノッチ3hの他の態様を示す図である。図3に示すノッチ3haは、巻回物2が配置される側とは反対側が壁によって塞がっている。この場合、凸部3iを設けなくても端壁3が巻回物2の側に倒れかかるのを防止することができる。
端壁3は、巻回物2が配置される側の面、即ち内面に、平面形状が三角形の台部と台部から飛び出した円柱状の突起とよりなるロック機構3kを備えている。ロック機構3kの円柱状突起は、端壁3のみを重ねて輸送する際に、他の端壁3の外面に形成されている円形の凹部3nに嵌め込むことにより、複数重ねた端壁3がずれるのを防止することができる。ロック機構3kの三角形の台部は、端壁3が複数枚重ねられた際にスペーサとしての役割を果たす。
また、端壁3の両側面の上部および下部には、PPバンド6を結わえる際のPPバンド6の抜けを防止するための窪み3mが形成されている。下側の窪み3mは、PPバンド6によってフォークリフトの爪の差し込みが邪魔されないように、下部ビーム4の下面よりも高い位置に形成される。
なお、図2または図3に示した溝3cの停止面は断面U字型の滑らかな側面を有している。この場合、巻回物2のコア2aには、弾性体7から比較的均一な力が加わる。一方、図4に示す溝3caの停止面には凹凸が形成されている。図4のように停止面に凹凸をつけることにより、凹凸の上にある弾性体7の変形量が多くなり、グリップ力も向上する。そのため、コア2aの厚みの種類によるコア径のバリエーションにも対応し易くなる。なお、スリット3eaは図2に示すスリット3eと同様の働きをするものである。
次に、巻回物包装体の組立について図5を用いて説明する。
図5に示すように、先ず、2枚の端壁3を下部ビーム4で接続し、2枚の端壁3を自立させる。さらに、補助具20を端壁3の側面に取り付けることにより自立した状態を確実に保持させる。次に、金属棒8を巻回物2のコア2a内に差込み、金属棒8の両端にベルト9を掛けて巻回物2を吊り上げる。そして、巻回物2を下ろして端壁3の溝3cにコア2aの端部を載置して、2枚の端壁3により巻回物2を支える。次に、上部ビーム5の端部を端壁3のノッチ3hに嵌め込む。最後に、ベルト9を緩めて金属棒8を抜く。その後、PPバンド6で巻回物包装体1を結わえたり、巻回物包装体1をプラスチック製の袋で覆うなどの処置を行う。
なお、上記第1実施形態では、端壁3の面のうち、巻回物2が配置される側とは反対側にある面では、例えば特許第2639512号公報にあるように、プラスチックの使用量を減らすため多数の凹みを作りリブを形成するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態による巻回物包装体について図6〜図17を用いて説明する。
図6は第2実施形態による巻回物包装体の構成を示す組立図である。図6において、巻回物包装体11は、巻回物12と、巻回物12の両端に配置された2枚のプラスチック製の端壁13と、2枚の端壁13の間に渡された2本のスチール製中空の下部ビーム14と、2枚の端壁13の上端部に掛け渡された2本の上部ビーム15とを備えて構成されている。ベルト19は巻回物包装体11の組立にのみ使用されるものであり、巻回物包装体11の構成要素ではない。
巻回物2としては、3インチの内径を有する厚さ数mm〜20mmの紙製のコア12aに磁気テープ用プラスチックフィルム12bがロール状に巻き付けられてなるものが例として挙げられる。このような巻回物12の重量としては、100kg〜400kgを主な対象としている。
図7は、巻回物包装体11の構成要素である巻回物搬送用の端壁13の構成を示す斜視図である。
端壁13は、プラスチック製であり、高さが幅に比べて90mm長く形成されている。ここで、端壁13の高さは上端部13aと下端部13bとの間の長さである。例えば、幅が700mmで高さが790mm、あるいは幅が550mmで高さが640mmなどである。端壁13の厚さは30mm〜60mmが一般的である。つまり、端壁13は、正方形の主体部131と、主体部131の両側部下端から下方にのびる2つの脚部132とを備えており、脚部は90mmの高さを有している。主体部131は、例えば、一辺の長さが700mmまたは550mmである。
端壁13の上端部13aの両側には上部ビーム15を嵌め込むためのノッチ13haが形成されている。ノッチ13haは、巻回物12が配置されるとは反対側が壁によって塞がっている。この場合、上部ビーム15の端面がノッチ13haの壁に当たるため、端壁13が巻回物12の側に倒れかかるのを防止することができる。
なお、ノッチ13haに代えて、図2に示すようなノッチ3aと同様の形状と上部ビーム5との組み合わせを用いても良い。
端壁13は、巻回物12が配置される側の面、即ち内面に、平面形状が三角形の台部と台部から飛び出した円柱状の突起とよりなるロック機構13kを備えている。このロック機構13kの円柱状突起は、端壁13のみを重ねて輸送する際に、他の端壁13の外面に形成されている円形の凹部13uに嵌め込むことにより、複数重ねた端壁13がずれるのを防止することができる。ロック機構13kの三角形の台部は、端壁13が複数枚重ねられた際にスペーサとしての役割を果たす。
また、端壁13の両側面の上部および下部には、PPバンドを結わえる際のPPバンドの抜けを防止するための窪み13mが形成されている。下側の窪み13mは、PPバンドによってフォークリフトの爪の差し込みが邪魔されないように、下部ビーム14の下面よりも高い位置に形成される。
端壁13の上端部13aを一辺とする正方形の略中央部に、円筒状の支持用凸部13pが形成されている。即ち、巻回物12の側から見て、端壁13は上端部13aを一辺とする正方形の下部を下端部13bまで90mm延長した形状となっている。
支持用凸部13pは、筒状であって、外周に弧状に張り出した部分が複数形成されている花弁型の横断面を有している。より詳細に説明すると、凸部13pは、図8に示すように、内周が真円であるのに対し外周が鉛直方向と水平方向に対してそれぞれ45°ずれた個所が凹むことにより周方向の肉厚が90°の周期で変化している。このように鉛直方向と水平方向で支持用凸部13pの外周の一部が張り出していることによりコア12aの端部に挿入し易くなる。しかし、凸部13pの外周の張り出しがなだらかなため、紙管などをコアとして用いる場合にコア内面が傷つくことにより生じる粉状の異物の発生を抑えることができる。支持用凸部の横断面は、外周の張り出し部分がなだらかな弧状の花弁型であれば特に限定されないが、一般的には、花弁の数が、3〜10程度、好ましくは4〜8程度の花弁型となされる。また、支持用凸部は、図8に示すように外周の張り出し部分を周方向に連続して形成する他、中心からの距離が一定となる円弧部分を間に置いて断続的に形成するようにしてもよい。また、支持用凸部の横断面は、全ての張り出し部分の曲率を同じとしたものには限定されず、例えば、曲率の異なる2種類の張り出し部分を交互に形成したものであってもよい。
図9は、図7に示す円筒状の支持用凸部13pが形成されている端壁13の面と反対側の面、即ち外面が表されている斜視図である。円形の穴13rは、複数枚端壁13を重ねたときに他の端壁13の支持用凸部13pが嵌まるように設けられている。また、端壁13の四隅にある穴13uには他の端壁13のロック機構13kの円柱状の突起が嵌まる。円形の穴13rの周囲には同心円状と放射状のリブ13sが形成されている。
下部ビーム14の端部を入れた場合に端壁13の下端部13bから90mmの高さに下部ビーム14の底面が位置するようにノッチ13nが形成されている。ノッチ13nと端壁13の側面との距離は下部ビーム14のねじれによって割れを生じない強度を持たせるよう設定される。図10は、ノッチ13n近傍の部分断面図である。ノッチ13nの中には、下端部13bから90mmの高さで下部ビーム14を留めることができるよう、係留手段としてかんぬき13qが設けられている。かんぬき13qにより、下部ビーム4の出し入れを自在に行える。かんぬき13qは、端壁13における脚部132の上端にノッチ13nと直交するようにあけられた横穴13yに嵌め入れられている。かんぬき13qは、図10に示した比較的短いものに限らず、例えば横穴13yとほぼ同じ長さを有するものであってもよい。なお、係留手段は、ここで示したかんぬき13bに限られるものではなく、PPバンドで留めるための機構を設けるなどしてもよく、下部ビーム14を着脱自在に支えることができればよい。また、この実施形態では、支持用凸部13pを有する端壁13への下部ビーム4の取付手段としてノッチ13nおよびかんぬき13qが用いられているが、第1実施形態と同様に、端壁13の内面に穴をあけてこの穴に下部ビーム4の端部を嵌め込むようにしてもよい。一方、これとは逆に、第1実施形態、即ち、コアの端部を支持するための溝を有する端壁への下部ビームの取付手段として、この実施形態と同様のノッチおよびかんぬき(係留手段)を用いることも可能である。
図11は、支持用凸部の他の構成を示す端壁の背面図であり、図12は図11に示す支持用凸部近傍の部分断面図である。
この円筒状の支持用凸部13paの特徴は、リブ13taが支持用凸部13paと端壁13の内面13wとの境界部分、即ち支持用凸部13paの付け根の部分に形成されている点にある。1枚の端壁13の支持用凸部13paには巻回物12の荷重の半分が掛かるが、輸送時の振動を考慮するとさらに大きな荷重に耐えることが要求される。このような巻回物12を支持する荷重が支持用凸部13paの上側部とその付け根に集中する。図12に示すようにリブ13taが支持用凸部13paと内面13wの境界部分に形成されることにより、集中する荷重に対して十分な補強を行い易くなる。
また、円筒状の支持用凸部13paの他の特徴として、支持用凸部13paには外周部および内周部を合わせて2重に周壁を設けた2重構造となっており、2重構造の間がリブ13taで補強されている点がある。2重構造として内面を平滑にしておくことで内面に埃などの異物が堆積し難くなり、2重構造により支持用凸部13paの耐荷重を向上できる。リブ13taは、内周壁と外周壁との間に、複数本放射状に形成されている。
図13は、支持用凸部のさらに他の構成を示す支持用凸部近傍の部分断面図である。図12の支持用凸部13paと比べた図13に示す円筒状の支持用凸部13pbの特徴として、外周壁の上側部の肉厚が下側部よりも厚く形成されている点がある。上側部の肉厚を厚くすることにより支持用凸部13pbの耐荷重を向上できる一方、下側部を薄くすることで無用の重量増加を抑えている。
図14は支持用凸部のさらに他の構成を示す部分正面図であり、図15は部分平面図である。図14および図15に示す支持用凸部13pcは、図8に示す支持用凸部13pと比べて周方向において肉厚の厚い部分の個所を4から8に増やすことにより、即ち、花弁の枚数が8である花弁型の横断面とすることにより、コアの端部に嵌め込みやすくなっている。そして、先端部52cに近い方が付け根の部分51cに近いところよりも、支持用凸部13pcの中心軸に垂直な平面における断面において、最も厚みの厚い部分と最も厚みの薄い部分との中央値よりも薄い部分の方が厚い部分よりも長くなっているように、即ち、横断面を外周の最大半径と最小半径との中央値を半径とする円で区画した場合に前記円よりも内側に位置する部分の割合が大きくなっているように形成されている。図15において符号53で示す破線が中央値と同じ肉厚を有する部分を結ぶ線である。つまり、支持用凸部13pcは、先端52cに近い程、横断面を最も厚みの箇所の外径と最も厚みの薄い部分箇所の外径との中央値を直径とする円で区画した場合に前記円よりも内側に位置する厚みの薄い部分の割合が大きくなるように形成されている。
図16は支持用凸部のさらに他の構成を示す部分平面図である。図16に示す支持用凸部13pdは、先端部52dに近い方が付け根の部分51dよりも外周の径が小さくなるように形成されている。そして、支持用凸部13pdの外周面上に、複数のドーム状の突起54が形成されている。このようなドーム状の突起54により、例えば紙管よりなるコアに支持用凸部13pdを挿入する場合、挿入を容易にするとともに、一旦挿入されるとドーム状の突起54が紙管の内面に食い込み、紙管が支持用凸部13pdから抜けるのを防止する効果がある。
図17は支持用凸部のさらに他の構成を示す部分平面図である。図17に示す支持用凸部13peは、先端部52eに近い方が付け根の部分51eよりも外周の径が小さくなるように形成されている。そして、支持用凸部13peの外周面上に、複数の環状突起55が環節のように形成されている。このような環状突起55により、例えば紙管よりなるコアに支持用凸部13peを挿入する場合、挿入を容易にするとともに、一旦挿入されると環状突起55が紙管の内面に食い込み、紙管が支持用凸部13peから抜けるのを防止する効果がある。
次に、巻回物包装体の組立について図6を用いて説明する。
図6に示すように、先ず、ベルト19で巻回物12が懸垂されている状態で、2枚の端壁13の支持用凸部13pを巻回物12のコア12aの両端にはめ込む。次に、2本の下部ビーム14の端部を端壁13のノッチ13nに下から入れ込んで、かんぬき13qで留める(図10参照)。次に端壁13の上端部のノッチ13haに2本の上部ビーム15を嵌め込む。巻回物12を床に下ろしてコア2aからベルト19を外すことにより、巻回物包装体11ができる。
このように、巻回物12を宙吊りしたまま組立が行えるので、巻回物12の表面を傷つけず、効率良く組み立てることができる。
なお、上記第2実施形態では、端壁13の面のうち、巻回物2が配置される側とは反対側にある面では、例えば特許第2639512号公報にあるように、プラスチックの使用量を減らすためさらに多数の凹みを作りリブ13r〜13tのようなリブを全面に形成するようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態による巻回物包装体の構成を図18を用いて説明する。第3実施形態による巻回物包装体21は、巻回物22と、巻回物22の両端に配置された2枚のプラスチック製の端壁23と、2枚の端壁23の間に渡された2本のスチール製中空の下部ビーム24と、2枚の端壁23の上端部と2本の下部ビーム24を繋ぐ筋交い25とを備えて構成されている。ベルト29は巻回物包装体21の組立にのみ使用されるものであり、巻回物包装体21の構成要素ではない。
第1実施形態の巻回物包装体1に比べて第3実施形態の巻回物包装体21が異なるのは、上部ビーム5に代えて筋交い25を用いて端壁23を固定している点である。筋交い25を用いることにより、巻回物22の長さが代わっても所定長さ以上であれば下部ビーム24を取り替えるだけで済むという利点がある。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による巻回物包装体について図19および図20を用いて説明する。図19は、第4実施形態による巻回物包装体の構成を示す斜視図であり、図20は、図19の巻回物包装体(但し、巻回物、PPバンドは省略)を分解して示す斜視図である。
図19において、巻回物包装体310は、巻回物320と、巻回物320の両端に配置された2枚のプラスチック製の端壁33と、2枚の端壁33の下部間に渡された2本のスチール製中空の下部ビーム34と、2枚の端壁33の上端部に掛け渡された2本の上部ビーム35とを備えている。
端壁33は、主体部を構成する主体部材331と、脚部を構成する2つの脚部材332とを互いに接合することにより形成されている。
主体部材331は、正方形の板よりなり、その上端中央から下方に向かって溝33cが形成されている。主体部材331の一辺の長さは例えば700mmまたは550mmである。主体部材331の厚さは一般的に30〜60mmである。溝33cは、その停止面に巻回物320のコア(図示略)の端部を載置したとき、コアの中心軸と主体部材331の中心とがほぼ合致するような位置に形成されている。なお、図示は省略したが、第1〜第3実施形態と同様に、溝33cの停止面を弾性体で覆うようにしても勿論よい。主体部材331の下面には、2つの嵌合用凹部が33aが形成されている。
脚部材332は、高さ90mmの方形状のブロックよりなり、その上面には、主体部材331の嵌合凹部33aに嵌め入れられる嵌合用凸部33bが形成されている。脚部材332の下面には、PPバンドを通すためのノッチ33dが形成されている。なお、主体部材331と脚部材332との接合は、図19に示すような凹凸嵌合に限定されず、例えば、両部材331,332の対向面のうち一方にあり溝を、同他方にありを形成して、両部材331,332の嵌合を水平方向から行うようにしてもよい。
下部ビーム34は、垂直壁部341と、垂直壁部341の下縁から他方の下部ビーム34に向かって突出した第1の水平壁部342と、垂直壁部341の下縁から第1の水平壁部342と反対側に突出した第2の水平壁部343とを備えた、倒立T字型の横断面を有するものである。この下部ビーム34は、例えば、2つのL形鋼材の垂直壁部どうしを溶接することによって形成することができる。
主体部材331の下端部の両側には、下部ビーム34の垂直壁部341を嵌め込むためのノッチ33eが形成されている。ノッチ33eの底面には、下部ビーム34の垂直壁部341の端部に形成された凹部341aに嵌まり込む凸部33fが形成されている。主体部材331の下面の両側には、下部ビーム34の2つの水平壁部342,343の端部の厚みを逃がすための凹部33gが形成されている。凹部33gに下部ビーム34の2つの水平壁部342,343の端部が嵌まることにより、下部ビーム34の下面と主体部材331の下面とがほぼ面一となる。
2つの下部ビーム34の互いに向かい合う第1の水平壁部342には、板状の底カバー36がまたがって載せられている。この底カバー36によって、搬送中に巻回物320の下部が汚れたり破損したりするのが防止される。底カバー36は、例えば段ボールによって形成される。
なお、下部ビーム34は、図19および図20に示すような横断面倒立T型のものに代えて、垂直壁部および垂直壁部の下端から他方の下部ビームに向かって突出した水平壁部よりなる横断面L型のものとしてもよい。また、下部ビームは、第1〜第3実施形態で用いられているような中空角形のものであってもよい。
上部ビーム35は、水平壁部351と、水平壁部351の両縁から下方に突出した2つの垂下壁部352,353とを備えた、チャンネル型の横断面を有するものである。上部ビーム35の水平壁部351の両端部には、円形の穴351aがあけられている。
主体部材331の上端部の両側には、上部ビーム35の一方の垂下壁部352を嵌め込むためのノッチ33hが形成されている。主体部材331の両側面の上端部には、上部ビーム35の他方の垂下壁部353の厚みを逃がすための凹部33iが形成されている。この凹部33iに上部ビーム35の他方の垂下壁部353の端部が嵌まることにより、上部ビーム35の側面と主体部材331の側面とがほぼ面一となる。主体部材331の上端面の両側には、上部ビーム35の穴351に嵌め込まれる横断面円形の突起33jが形成されている。
巻回物包装体310には、方形箱状のカバー37が被せられている。このカバー37は、通常の段ボール箱から底フラップを除去したような構造を有している。このカバー37によって、巻回物320の両側部および上部が覆われる。そして、このカバー37の上から、巻回物包装体310の両端部がPPバンドによって縛られるようになっている。
第4実施形態の巻回物包装体310は、図19および図20に示すように端壁33が主体部材331と脚部材332とを接合してなる完全な形態の場合には、第1実施形態と同様にフォークリフト等による直接的な荷扱いが可能である。
また、第4実施形態の巻回物包装体310は、端壁33を主体部材331のみで構成した形態でも使用することが可能である。この場合、従来技術と同様にパレットに巻回物包装体を複数段複数列載せて、パレット単位でフォークリフトによる荷扱いを行うことができる。この際の端壁の寸法は、巻回物320の支持に必要な主体部材331の分のみであるので、輸送効率がよい。
【図1】

【図4】

【図2】

【図3】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図10】

【図9】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部を支持する支持手段を中央部に有しかつ対をなす端壁どうしを連結する2本の下部ビームの端部が両側部下端に取り付けられる主体部と、前記主体部の下端から下方にのびる脚部とを備えており、前記脚部は、前記2本の下部ビームの下方に荷役車両の昇降可能な積載手段を差し込むための空間を形成し得るような高さを有していることを特徴とする、巻回物包装用端壁。
【請求項2】
前記脚部の高さが50mm以上であることを特徴とする、請求項1記載の巻回物包装用端壁。
【請求項3】
前記主体部がほぼ正方形であって、前記支持手段が、該手段によって支持される前記コアの中心軸と前記主体部の中心とがほぼ合致するような位置に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の巻回物包装用端壁。
【請求項4】
前記主体部と前記脚部とが一体成形されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項5】
前記主体部を構成する主体部材と、前記脚部を構成する1つまたは複数の脚部材とを互いに接合することによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項6】
前記コアの長さ中間部に前記巻回材料が巻き付けられており、前記支持手段が、前記コアの端部を上方から挿入し得るように前記主体部の上端から下方に向かって形成されかつ前記コアの端部を載置するための停止面を有する溝よりなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項7】
前記溝のうち少なくとも前記停止面を覆う弾性体が、交換可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項6記載の巻回物包装用端壁。
【請求項8】
前記停止面が凹凸を有していることを特徴とする、請求項7記載の巻回物包装用端壁。
【請求項9】
前記溝の外側部分に、前記コアの長さ方向の移動を阻止する壁が、前記溝の幅を狭めるように形成されていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項10】
前記主体部の内面の両側部下端に、前記2本の下部ビームの端部を嵌め込むための穴があけられていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項11】
前記主体部の内面に、前記下部ビームの端部を受ける突起が形成されていることを特徴とする、請求項10記載の巻回物包装用端壁。
【請求項12】
前記コアが、両端が開口した筒状のものであって、前記支持手段が、前記コアの端部内に挿入し得るように前記主体部の内面に形成された支持用凸部よりなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の巻回物包装用端壁。
【請求項13】
前記2本の下部ビームの端部を差し込み得るように前記端壁の下端または側縁から前記主体部の両側部下端まで達する2つのノッチが形成され、前記2つのノッチに差し込まれた前記2本の下部ビームの端部が、係留手段によって前記端壁に留められるようになっていることを特徴とする、請求項12記載の巻回物包装用端壁。
【請求項14】
コアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物と、前記巻回物の両端に配置されかつ支持手段により前記コアの両端部を支持している請求項1〜13のいずれか1つに記載の1対の巻回物包装用端壁と、前記1対の端壁の下部どうしを連結している2本の下部ビームとを備えていることを特徴とする、巻回物包装体。
【請求項15】
前記2本の下部ビームが、互いに向かい合うように突出した水平壁部を有しており、これらの水平壁部に、板状の底カバーがまたがって載せられていることを特徴とする、請求項14記載の巻回物包装体。
【請求項16】
さらに、前記1対の端壁の上部どうしを連結している2本の上部ビームを備えていることを特徴とする、請求項14または15記載の巻回物包装体。
【請求項17】
さらに、前記1対の端壁の上部と前記2本の下部ビームとを連結している少なくとも2本の筋交いを備えていることを特徴とする、請求項14または15記載の巻回物包装体。
【請求項18】
コアの長さ中間部に巻回材料が巻き付けられてなる巻回物と、前記巻回物の両端に配置されかつ支持手段によって前記コアの両端部を支持している請求項6〜11のいずれか1つに記載の1対の巻回物包装用端壁と、前記1対の端壁どうしを連結している2本の下部ビームとを備えている巻回物包装体を組み立てる方法であって、前記巻回物を吊り上げておくとともに、前記1対の端壁を2本の下部ビームによって連結することにより自立状態に保持する第1の工程と、前記巻回物を前記コアの両端部が前記1対の端壁の溝に挿入されるように吊り降ろして、前記コアの両端部を前記1対の端壁の溝の停止面に載置する第2の工程とを備えていることを特徴とする、巻回物包装体の組立方法。
【請求項19】
前記第1の工程が、さらに、前記1対の端壁にこれらの自立状態を補強するための補助具を取り外し可能に取り付けておくことを含んでおり、前記第2工程の後工程として、前記補助具を前記1対の端壁から取り外す第3工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項18記載の巻回物包装体の組立方法。
【請求項20】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部は、筒状であって、その上部の肉厚が側部および下部の肉厚よりも厚くなるように形成されていることを特徴とする、巻回物包装用端壁。
【請求項21】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部は、筒状であって、花弁型の横断面を有していることを特微とする、巻回物包装用端壁。
【請求項22】
前記凸部は、先端が付け根よりも細くなっているとともに、先端に近い程、横断面を外周の最大半径と最小半径との中央値を半径とする円で区画した場合に前記円よりも内側に位置する部分の割合が大きくなっていることを特徴とする、請求項21記載の巻回物包装用端壁。
【請求項23】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部の外周面に、複数の環状突起が環節のように形成されていることを特徴とする、巻回物包装用端壁。
【請求項24】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部の外周面に、複数のドーム状の突起が形成されていることを特徴とする、巻回物包装用端壁。
【請求項25】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部の付け根付近に、補強用リブが形成されていることを特徴とする、巻回物包装用端壁。
【請求項26】
両端が開口した筒状のコアに巻回材料が巻き付けられてなる巻回物の両端部それぞれに配置されて前記巻回物を包装する端壁であって、プラスチックよりなり、前記コアの端部内に挿入し得る支持用凸部を内面に有しており、前記凸部が、内外2重の周壁を有しているとともに、内周壁と外周壁との間に補強用リブが形成されていることを特徴とする、巻回物包装用端壁。

【国際公開番号】WO2005/030611
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514180(P2005−514180)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013708
【国際出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【出願人】(000145987)株式会社昭和丸筒 (28)
【Fターム(参考)】