説明

巻線装置、電機子、風力タービン、および巻線装置の使用方法

【課題】コイル巻線装置を改善すること。
【解決手段】電動機(4)の電機子(2)のための巻線装置(1)において、
前記巻線装置(1)は、複数のコイル(C1,C2,C3)および複数の異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含み、
前記コイル(C1,C2,C3)は、各コイル(10,20,30)が同数の巻線(10,20,30)および同数の各異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含むように配置されている、
ことを特徴とする巻線装置によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の電機子のための巻線装置に関する。本発明はさらに、発電機のための電機子および発電機を備える風力タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンのロータまたはステータのような大型の電機子に対しては、コイル巻線は、発電機の物理的寸法および誘導される高電流のせいで一般的に非常に太く重くなっている。巻線はマルチストランドワイヤのような太いワイヤから形成することができ、その後巻線は、電機子、通常はステータの上に巻回される。最後に電機子には通常、巻線を収容するための外周に軸方向に配置される多数の平行なスロットが形成される。ワイヤを電機子に巻回する代わりに、巻線を事前成型して電機子のスロットに挿入または投下することが可能である。このような事前成型された巻線は、一般的に、2つのスロットにて保持される"往路(go)"部分と"復路(return)"部分とを含んだ閉ループを含む。1つのコイルは、直列または並列に接続されるこのような巻線を複数個含んでいる。接続は通常、電機子の1つの端部において形成され、ここでは巻線はスロットの端部を超えて伸張している。当業者には周知のようにコイルの連続的な巻線は、マルチストランドワイヤのストランドをコイルの1つの巻線から当該コイルの次の巻線へと伸張させることによって接続することができるか、もしくは電機子の周囲に環状に配置されたバスバーにコイルの巻線を接続することによって接続することができるか、または別の適切な方法によって接続することができる。
【0003】
多相の発電機は、位相と同数のコイルを有する。ここでは巻線は以下のようにしてスロット内に配置される。すなわち、コイルの個々の1つの巻線の"往路(go)"部分および"復路(return)"部分のためのスロットが、残りのコイルの"往路(go)"部分および"復路(return)"部分の複数のスロットを包囲するように、または側面に位置するようにして、巻線が配置される。異なるコイルの巻線同士は、何らかの方法で電機子端部にてオーバーラップしなければならない。比較的直線的なステータ巻線アセンブリを可能にするために、大型ステータ用の巻線の巻線端部は一般的に、先行して配置されている巻線を持ち上げる必要なしに巻線を位置に投下できるように構成されている。寸法が大きいので、巻線用に使用される材料は相当なコスト要因である。したがって巻線突出部または巻線ヘッド、すなわちステータスロットを超えて伸張する巻線部分は、できるだけ短く保つべきである。
【0004】
EP2166645A1に記載されたアプローチでは、各コイルを、特別な巻線突出部形状を有する閉ループ型の巻線から形成している。隣接するコイルの巻線が互いに簡単かつぴったり合うような構成で通過できるように、種々異なる巻線形状が形成されており、こうすることにより銅の総量を低減することができる。しかしながらこのアプローチは、形状が種々異なるせいで巻線突出部の長さが種々異なり、結果的にコイル全体の抵抗が種々異なるという欠点を有する。また、これによって位相間における負荷不平衡も生じる。このような不平衡を回避するために、"短い"コイルを効率的に最長のコイルと同じ長さにするため、付加的な材料をこの"短い"コイルに含める必要がある。明らかにこのことはステータ巻線機構の全体コストに加算されるので不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP2166645A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、コイル巻線装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、請求項1に記載の電動機の電機子のための巻線装置、請求項12に記載の電機子、請求項13に記載の風力タービン、および請求項14に記載の巻線装置の使用方法によって解決される。
【0008】
本発明によれば、電機子のための巻線装置は、複数のコイルおよび複数の異なる巻線タイプを含み、前記コイルは、各コイルが同数の巻線および同数の各異なる巻線タイプを含むように電機子に配置されている。
【0009】
本発明の明確な利点は、巻線の長さが全ての位相に対して実質的に同じであるので、平衡な位相レイアウトを得るために端部巻線が伸張されていた従来の解決方法と比べて、使用する材料が少なくなることである。巻線は全て実質的に同じ長さであるので、全ての位相は実質的に同じ電流を流す。さらにこれらの位相は平衡であるので巻線における電気損失は一定であり、位相間における電圧不平衡は実質的に無い。これにより発電機の全体損失が有利に低減され、よって電動機の全体性能が有利に増加する。また本発明の巻線機構においては、コイルの平衡をとるために付加的な材料を加える必要がないので、端部巻線における材料要求は有利にも最小限に抑えられ、したがって発電機の全体重量は有利にも低減される。
【0010】
本発明によれば、発電機のための電機子は複数のコイルを含み、これらのコイルは、上記のような巻線装置に基づいて電機子に配置または"巻回"されている。ここで"巻回"という用語は、大型の電機子の巻線は一般的にフレキシブルであるには太くて重すぎるけれども、確立された意味で使用される。
【0011】
本発明の風力タービンは、ロータおよびステータ、および上記のような巻線装置に基づいてステータに配置された複数のコイルを備える発電機を含む。
【0012】
このような巻線装置は有利には、風力タービンのための発電機のステータにコイルを巻回するために使用される。
【0013】
本発明の特に有利な実施形態および特徴は従属請求項に記載されており、以下の詳細な説明において明らかにする。異なる実施形態の特徴は、さらなる実施形態を形成するために適切に組み合わせることができる。
【0014】
電動機の電機子はステータまたはロータとすることができ、電動機−例えば発電機−が一般的に構成されるような方式に基づいている。しかしながら特に大型の発電機においては、コイル巻線を支持するのはステータである。したがって以下ではステータが巻線を支持するものと仮定するが、本発明がこれに制限されるわけではない。本発明の巻線機構は、発電機のロータが巻線を支持するような実施形態でも同様に適用可能である。
【0015】
上に述べたように大型の発電機のステータに必要な寸法は大きいので、ステータのコイルは、小型のモータの場合のようにステータの周囲に巻回されるワイヤを使用して巻回されるのではなく、ステータスロットに挿入または投下可能な事前成型された巻線を含んでいる。巻線は、ステータまたはステータセグメントのスロットの中に連続的に挿入される。コイルは事前成型された巻線のシリーズを含むことができ、これらはスロットに適切に挿入され、その後電気的に接続される。有利には、巻線は"閉ループ"型の巻線として構成することができる。すなわち各巻線は閉ループを含む。コイルの連続的な巻線は、電機子の中に挿入された後に電気的に接続される。したがって、本発明の有利な実施形態においては、巻線は、第1のステータスロットに配置するための第1("往路(go)")の巻線本体部分と、第2のステータスロットに配置するための第2("復路(return)")の巻線本体部分とを含む。第1および第2の巻線本体部分は、端部において端部部分によって連結されている。この端部部分は、第1および第2の巻線本体部分が実質的に平行となるように、ステータを超えて実質的に180°折り畳まれて伸張している。各異なる巻線タイプの端部部分はそれぞれ異なる巻線端部形状を含んでおり、この異なる巻線タイプの巻線端部形状により、連続的な巻線を、先行して配置されている巻線を持ち上げる必要なしにステータスロットに配置することができる。以下、コイル巻線が単層の巻線であると仮定する。しかしながら本発明がこれに限定されるわけではない。
【0016】
発電機は1つまたは複数の位相を有することができ、よって1つまたは複数のコイルを有することができる。1つのコイルに対して任意の数の異なる巻線タイプを共に接続することができる。しかしながら上述した理由により、多相発電機の場合には、巻線端部形状は、巻線同士がオーバーラップできるようにするために異なっていなければならない。本発明の別の1つの有利な実施形態においては、巻線装置は、同数の、コイルおよび異なる巻線タイプを含む。これによって巻線装置は簡単に、実質的同じ長さのコイルに達することができる。
【0017】
一般的に配電網は三相電力を使用する。したがって本発明の別の有利な実施形態においては、本発明の巻線装置は、三相二極のステータ巻線構造において3つのコイルを含み、したがって3つの異なる巻線タイプを含む。
【0018】
3つのコイルの巻線突出部同士がコンパクトに交差できるようにするために、本発明の別の1つの有利な実施形態においては、第1巻線タイプは第1巻線端部形状を含み、第2巻線タイプは第2巻線端部形状を含み、第3巻線タイプは第3巻線端部形状を含む。これに関し第1巻線端部形状は、有利には、第1および第2巻線本体部分と実質的に一致した端部部分を含む。すなわち第1巻線は、実質的に一平面上の簡単な閉ループを含むことができる。残りの巻線タイプは、この第1巻線タイプの周りを通過するように構成することができる。有利には第2巻線端部形状は、第1および第2巻線本体部分に対して実質的に45°だけ傾いた端部部分を含むことができる。例えば、第2巻線タイプの端部部分は"上向き"または"下向き"に傾くことができる。第2巻線タイプも閉ループを含む。したがってこの場合も巻線端部形状は、"往路(go)"および"復路(return)"部分を平行な軸方向のステータスロットの中に配置することができるように、180°の折り畳み部を含んでいる。有利には第3巻線端部形状は、第1および第2巻線本体部分に対して実質的に90°だけ傾いた端部部分を含むことができる。上に説明した第2巻線タイプと同様にして第3巻線タイプの端部部分は、"上向き"または"下向き"に傾くことができる。第3巻線タイプも閉ループを含む。したがってこの場合も巻線端部形状は、"往路(go)"および"復路(return)"部分を平行な軸方向のステータスロットの中に配置することができるように、180°の折り畳み部を含んでいる。
【0019】
上述したこれら3つの異なる巻線タイプは、簡単に製造可能かつ設置可能である。なぜなら連続的な巻線は、先行して挿入されている巻線を持ち上げたり移動させたりする必要なしにステータスロットの中に配置することができるからである。例えばまず、下向きに90°傾いた第3巻線タイプの全ての巻線をステータの中に配置することができる。それから、下向きに45°傾いた第2巻線タイプの全ての巻線がステータの中に配置される。最後に第1巻線タイプの全ての巻線が残りのスロットの中に挿入される。
【0020】
その後各コイルの巻線は、例えばステータの周囲に環状に配置されたバスバーに接続することにより電気的に接続される。このような接続は、巻線の1つまたは複数のワイヤまたは導体を露出したバスバーに接触させることによって形成することができる。
【0021】
有利には各コイルは、それぞれ複数の巻線タイプからなる異なるシーケンスを含む。本発明の有利な実施形態においては、第1コイル巻線シーケンスは、順番に第1巻線タイプ、第2巻線タイプ、および第3巻線タイプを含み、第2コイル巻線シーケンスは、順番に第2巻線タイプ、第3巻線タイプ、および第1巻線タイプを含み、そして第3コイル巻線シーケンスは、順番に第3巻線タイプ、第1巻線タイプ、および第2巻線タイプを含む。有利には、最適に平衡な配置を保証するために、各コイルは同数の巻線を含み、巻線の全数は発電機の位相数によって均等に割られている。例えば上述した三相発電機の場合には3つのコイルと3つの異なる巻線タイプが使用され、各コイルは有利には3N巻線を含む。このようにして各コイルは同数の各異なる巻線タイプを含み、したがってコイルの全体長さは実質的に同じとなる。したがってこのような巻線機構は、平衡な負荷を簡単かつ直線的に提供することができると同時に、他方では使用される金属量が節約される。
【0022】
本発明のさらなる対象および特徴は、添付図面に関連した以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながらこれらの図面は図示する目的だけで描かれたものであり、本発明を制限する規定として描かれたものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、風力タービンにおける発電機の概略図を示す。
【図2】図2は、発電機のステータのための従来技術による巻線機構の概略図を示す。
【図3】図3は、本発明による巻線装置を備えるステータセグメントを示す。
【図4】図4は、図3の巻線の端部の概略図を示す。
【図5】図5は、本発明による巻線機構の3つのコイルシーケンスの概略図を示す。
【実施例】
【0024】
図面では、全体に亘って同じ参照符号は同じ対象を図示している。図面における対象は必ずしもスケール通りに描かれているわけではない。
【0025】
図1は、風力タービン5における発電機4の非常に簡単な概略図を示す。簡単化のために重要な構成要素のみが図示されており、ギアボックスやコントローラ等のような他の構成要素は図示されていない。風力タービン5のブレード50に働く圧力はハブ51またはスピナーを回転させ、ひいてはロータ3を回転させる。ロータ3はステータ2の中に納めらており、ステータ2の周囲には複数のコイル(図面には図示されていない)が巻回されている。発電機4は誘導電動機として動作し、電流がコイルに誘導される。このような発電機の動作原理は当業者には周知であり、ここでは詳細に説明する必要はない。
【0026】
電流が大きいので(例えば2−10MWの風力タービンに対して200−500アンペアの範囲)、巻線を相応に寸法設計しなければならない。風力タービンのステータのために、巻線は典型的には20mm×100mmの範囲の断面積を有する積層された金属バーまたはストリップから形成されている。これらの金属ストリップはステータの外周に配置されたステータスロットに保持されており、その長さは3mにまで至ることがある。一般的に寸法が大きいので(風力タービンのステータは、3mから7mの範囲またはこれ以上の寸法を有することがある)、ステータは一般的にステータセグメントのセットを含んでいる。
【0027】
従来技術による巻線機構が図2に図示されている。図2は、巻線6a,6b,6cを収容するためのスロット6を備えたステータセグメント2aの非常に簡単化された平面図を示す。ここでは3つのコイルがステータ2の周囲に巻回されており、各コイルは同じタイプの巻線6a,6b,6cのシーケンスを含む。各巻線6a,6b,6cは、接続ストリップまたはバスバー7a,7b,7cによって同一のタイプの他の巻線6a,6b,6cに接続されている。巻線6a,6b,6cは実質的に平坦なストリップであり、この平坦なストリップは、閉ループを形成するために折り返し逆戻り方向へと曲げられて、2つの平行なスロット6の中に挿入されている。ここでは1つの巻線タイプ6aが必要とする2つのスロット6は、他の2つの巻線タイプ6b,6cのための別の2つのスロット6によって隔てられている。異なる巻線同士は互いに交差しなければならず、かつスロットの中に真っ直ぐに挿入できるように形成されている必要がある。つまり、巻線の端部を相応に形成する必要がある。例えば各巻線端部を、ステータから若干の距離だけ突出するよう構成して、往路側(go side)と復路側(return side)が異なる高さになるように180°曲げるまたは捻ることができる。このようにすると、隣接する巻線を簡単に連続的にステータスロットに配置することができる。しかしながらこの解決手段は、巻線の突出部が公差できるようにするために或る程度の量の付加的な金属、通常は銅、を必要とするので、このような解決手段は比較的高コストである。冒頭に述べた解決手段、すなわち各コイルごとに異なる形状をした巻線端突出部による解決手段はより低コストではあるが、これらのコイルの全長が種々異なるせいで、負荷不平衡によって不満足な性能となってしまう。
【0028】
図3は、本発明の巻線機構1における巻線装置10,20,30を備えるステータセグメント2aを示す。各巻線10,20,30は、閉ループを形成するために折り畳まれた金属ストリップとして図示されている。3つの異なる巻線タイプW1,W2,W3が図示されている。各コイルは巻線10,20,30のシーケンスを含んでおり、各コイルシーケンスは、以下に詳細に説明するように、順番に異なる巻線タイプW1,W2,W3を含む。
【0029】
図4は、図3に図示された異なる巻線タイプW1,W2,W3の端部10C,20C,30Cの概略図を示す。明瞭化のために各巻線を単独で図示しているが、これらの異なるタイプの巻線は、図3に図示するように隣接するステータスロットに配置されることを理解されたい。第1巻線タイプW1は実質的に直線的な閉ループW1であり、この巻線タイプW1の端部10Cは、実質的に180°の折り畳み部を含む。第2巻線タイプW2は端部20Cを有しており、この端部20Cは、第1巻線タイプW1ほどステータ端部を超えて突出しているわけではないが、逆戻り方向に折り畳まれる前に約45°の折り曲げ部を形成している。第3巻線タイプW3は端部30Cを有しており、この端部30Cは、第1巻線タイプW1ほどステータ端部を超えて突出しているわけではないが、逆戻り方向に折り畳まれる前に約90°の折り曲げ部を形成している。これらの異なる端部または突出部10C,20C,30Cにより、巻線10,20,30を、真っ直ぐにステータスロット6に配置することが可能となる。例えば最初に第3タイプW3の全ての巻線を挿入し、その後第2タイプW2の全ての巻線を挿入し、最後に第1タイプW1の巻線を挿入することによってステータを巻回することができる。この巻線端部形状のおかげで、先行して配置された巻線を持ち上げたり移動させたりする必要なく巻線を挿入することができる。それから個々のコイルの巻線を、図5に図示するように予め定められたシーケンスで接続することができ、例えば巻線10,20,30の導体10D,20D,30DをバスバーB1,B2,B3に接合することによって接続することができる。
【0030】
図5の上側部分は、本発明による巻線機構1の3つのコイルシーケンスS1,S2,S3の概略図を示す。巻線が接続される順番は、下側部分の線図に示されるシーケンスS1,S2,S3によって与えられる。第1コイルC1のための第1コイル巻線シーケンスS1は、順番に第1巻線タイプW1の巻線、第2巻線タイプW2の巻線、および第3巻線タイプW3の巻線を含む。このパターンは第1コイルC1全体に反復される。第2コイルC2のための第2コイル巻線シーケンスS2は、順番に第2巻線タイプW2の巻線、第3巻線タイプW3の巻線、および第1巻線タイプW1の巻線を含む。このパターンは第2コイルC2全体に反復される。第3コイルC3のための第2コイル巻線シーケンスS3は、順番に第3巻線タイプW3の巻線、第1巻線タイプW1の巻線、第2巻線タイプW2の巻線を含み、このパターンは第3コイルC3全体に反復される。線図の上側部分において、矢印は異なるコイルC1,C2,C3における電流の流れを示している(したがって第1コイルC1および第3コイルC3の"往路(go)"巻線部分は、第2コイルC2の"復路(return)"巻線部分を含んだスロットの両側に位置するスロットを占めており、その一方で、第1コイルC1および第3コイルC3の"復路(return)"巻線部分は、第2コイルC2の"往路(go)"巻線部分を含んだスロットの両側に位置するスロットを占めている。)各コイルC1,C2,C3はそれぞれシーケンスS1,S2,S3を含み、これらのシーケンスS1,S2,S3においては巻線タイプW1,W2,W3は実質的に均等に出現するので、コイルC1,C2,C3の全長も実質的に同じである。このようにして本発明による巻線装置は負荷不平衡を低減するか、もしくは実質的に除去し、その一方で同時に巻線に必要な金属量を低減することもできる。巻線はここでは閉ループとして示したが、巻線機構1の巻線を両端が開かれているように実現することも同様に可能であり、接続をバスバーによって電機子の両端にて形成することが可能である。
【0031】
これまで本発明を有利な実施形態および変形例の形態で開示してきたが、これらには本発明の範囲から逸脱することなく様々な付加修正および変形が可能であることを理解されたい。例えば風力タービンのハブはギアボックスに接続されたドライブシャフトを回転させることが可能であり、このギアボックスを、パワーグリッドのための電気を発生するためにより適当な速度で発電機の電機子を回転させるように構成することが可能である。
【0032】
明瞭化のために、本明細書全体に亘って使用される単数形の使用が複数形を排除するものではないということ、また「含む」という表現が他のステップまたは要素を排除するものではないということを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機(4)の電機子(2)のための巻線装置(1)において、
前記巻線装置(1)は、複数のコイル(C1,C2,C3)および複数の異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含み、
前記コイル(C1,C2,C3)は、各コイル(10,20,30)が同数の巻線(10,20,30)および同数の各異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含むように配置されている、
ことを特徴とする巻線装置。
【請求項2】
巻線(10,20,30)は、第1の電機子スロット(22)に配置するための第1(往路)の巻線本体部分(10A,20A,30A)と、第2の電機子スロット(22)に配置するための第2(復路)の巻線本体部分(10B,20B,30B)とを含み、
前記第1および第2の巻線本体部分(10A,10B,20A,20B,30A,30B)は、端部部分(10C,20C,30C)によって連結されており、
前記端部部分(10C,20C,30C)は、前記電機子(2)を超えて実質的に180°折り畳まれて伸張しており、
前記各異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)の端部部分(10C,20C,30C)は、それぞれ異なる巻線端部形状を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1記載の巻線装置。
【請求項3】
前記巻線装置は、同数の、コイル(C1,C2,C3)および異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含む、
ことを特徴とする請求項1または2記載の巻線装置。
【請求項4】
前記巻線装置は、3つのコイル(C1,C2,C3)と3つの異なる巻線タイプ(W1,W2,W3)を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の巻線装置。
【請求項5】
第1巻線タイプ(W1)は第1巻線端部形状を含み、第2巻線タイプ(W2)は第2巻線端部形状を含み、第3巻線タイプ(W3)は第3巻線端部形状を含む、
ことを特徴とする請求項4記載の巻線装置。
【請求項6】
前記第1巻線端部形状は、前記第1および第2巻線本体部分(10A,10B)と実質的に一直線をなす端部部分(10C)を含む、
ことを特徴とする請求項5記載の巻線装置。
【請求項7】
前記第2巻線端部形状は、前記第1および第2巻線本体部分(20A,20B)に対して実質的に45°だけ傾いた端部部分(20C)を含む、
ことを特徴とする請求項5記載の巻線装置。
【請求項8】
前記第3巻線端部形状は、前記第1および第2巻線本体部分(30A,30B)に対して実質的に90°だけ傾いた端部部分(30C)を含む、
ことを特徴とする請求項5記載の巻線装置。
【請求項9】
各コイル(C1,C2,C3)は、それぞれ複数の巻線タイプ(W1,W2,W3)からなる異なるシーケンス(S1,S2,S3)を含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の巻線装置。
【請求項10】
第1コイル巻線シーケンス(S1)は、順番に第1巻線タイプ(W1)、第2巻線タイプ(W2)、および第3巻線タイプ(W3)を含み、
第2コイル巻線シーケンス(S2)は、順番に第2巻線タイプ(W2)、第3巻線タイプ(W3)、および第1巻線タイプ(W1)を含み、
第3コイル巻線シーケンス(S3)は、順番に第3巻線タイプ(W3)、第1巻線タイプ(W1)、および第2巻線タイプ(W2)を含む、
ことを特徴とする請求項9記載の巻線装置。
【請求項11】
コイル巻線(10,20,30)は、単層の巻線(10,20,30)を含む、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の巻線装置。
【請求項12】
複数のコイル(C1,C2,C3)を含む、発電機(4)のための電機子(2)において、
前記コイル(C1,C2,C3)は、請求項1から11のいずれか一項記載の巻線装置に基づいて電機子(2)に配置されている、
ことを特徴とする電機子。
【請求項13】
ロータ(3)とステータ(2)を含む発電機(4)を備える風力タービン(5)において、
前記ステータ(2)には、請求項1から11のいずれか一項記載の巻線装置に基づいて複数のコイル(C1,C2,C3)が配置されている、
ことを特徴とする風力タービン。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項記載の巻線装置(1)を、風力タービン(5)の発電機(4)において使用する、
ことを特徴とする巻線装置(1)の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−234616(P2011−234616A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99415(P2011−99415)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】